説明

獣類の罠

【課題】罠ロープのループ状部を縮径して獣類を捕獲する罠において、罠の設置を容易に行うことができ、猪等大きな動物から、ウサギ、狐等の軽量な動物まで捕獲が可能なコンパクトで、安価な、安全装置を設けた獣類の足括り罠を提供するものである。
【解決手段】地表に埋め込まれた棒体に、バネ部材の円形部を互いに接近させた状態で同バネ部材の両円形部を棒体に挿入し、係止部材を回動してこの挿入された円形部を上記支持部材と係止部材の爪部とで係止し、獣類の足踏みに伴う足踏み部材の下動外力に応じて該係止部材を回動させることにより、同係止部材の爪部によるバネ部材の円形部との係止を解除し、バネ部材の付勢力により罠ロープの端部が引っ張られて該ループ部を縮径する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮径可能なループ状にした罠ロープをバネの付勢力で縮径し、猪、鹿、熊等の獣類の足を捕捉するようにした獣類の罠に係わり、罠の設置の簡易化と、作動の確実性と、安全性を向上させるようにした獣類の罠に関する。
【背景技術】
【0002】
ロープにループ状の罠部を形成し、獣類を捕獲する捕獲具としては、縮径可能な輪が形成された罠ロープと、該縮径可能な輪を跳ね上げるもので、地表に固定する直線状の固定棒部と該固定棒部に接近させることにより付勢力が付与される直線状の作動棒部間に形成されたコイル部とから成り該作動棒部の端部に該罠ロープの端部が取り付けられるバネ部材と、地表に強固に定着された樹木部材などに固定するもので該罠ロープに連結する固定部材とを有する獣類の足くくり罠が下記特許文献1、2で知られている。
【0003】
しかし、上述の特許文献1の係止部材の構成は微妙な天秤バランス作用を必要としているもので何らかの拍子に不意に係止部材が外れる恐れが考えられ、特別な止め部材などを必要とするもので、獣類の捕獲には確実性に今一歩不安のあるものであった。
また、上述の特許文献2のものは括りバネ支持具の支持台構成が目立つ感じのものであり猪などの獣類が警戒して罠に近づかない恐れがあった。
【0004】
このため、本発明者及び関係者(家族)は、より構造が簡単で設置が容易であり、タイミング良く確実に罠ロープで獲物を捕獲できる獣類の足くくり罠を特許文献3及び特許文献4にて提案した。
上述の特許文献3及び特許文献4は、縮径可能な輪が形成された罠ロープと、コイルバネの両端に設けた円形部を接近させることにより付勢力が付与されるバネ部材とバネ部材と、前記罠ロープの端部を撚り戻し部材を介して接続して地表に強固に定着された部材に固定する固定部材とを有する獣類の足くくり罠であって、該バネ部材に付勢力を付与した状態に維持して外力が作用したときにバネを復元させるように係止を解く係止部材が設けられ、該係止部材を、バネ部材の棒部の一方端部に設けたフック部材と、他方端部に設けたリング部材と該フック部材とリング部材を重合した状態で係止する棒状の弾き止め部材で構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3101905号公報
【特許文献2】特許第3495958号公報
【特許文献3】実用新案登録第3129891号公報
【特許文献4】実用新案登録第3150246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献3及び特許文献4においては、バネ部材を地表に固定するための支柱やバネ部材の両端を接近した状態に係止及び解除する係止部材をそれぞれ距離を離して設けているため、先ずバネ部材を支柱で地表に固定し、この状態において片手で付勢力を付与すべくバネ部材の円形部を接近させ、もう一方の手でそのバネ部材の両端を係止部材でロックしなければならず、罠の仕掛けを設置するまでの作業が複雑で、罠は軽い作動力で瞬時に作動する特性を持っているため、誤って誤作動を起こしやすく、作業者に怪我をさせる不具合の可能性もある。
【0007】
また、係止部材は、いずれも線材により成形しているため、係止部材を構成するリング部材やフック部材の成形寸法のバラツキや、使用時の衝撃などによりフック部材の傾斜角度の変形等により、上述した弾き止め部材の引き抜き力がバラツキ、安定した係止及びその解除機能が得られないものであった。
【0008】
更に、弾き止め部材の引き抜き力により、バネ部材を地表に固定するための支柱を軸としてバネ部材に回転方向及び転倒させる方向のモーメント(偶力)が働くため、バネ部材が回転又は転倒しやすく、よって獣類の足踏みによる弾き止め部材の引き抜きができず、罠の作動が不確実になる可能性があった。
【0009】
本発明は、従来の上述した問題に鑑みなされたもので、より正確に作動し、設置が容易で構造が簡単な、安全性の高い獣類の罠を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1に、一端に縮径可能なループ部を有し、他端を地表に強固に固定された部材に接続された罠ロープと、この罠ロープをコイルバネの一端側に遊嵌状態に接続され、その両端部に円形部を形成した付勢力を付与するためのバネ部材と、前記バネ部材の円形部を互いに接近させた状態で後述する棒体に挿入され、この円形部をバネの付勢力を抗してロック及びロック解除する係止機構を有する地表に埋め込まれる棒体とから構成してなる獣類の罠であって、上記棒体の係止機構は、棒体に設けられた支持部材と、一端がこの支持部材に回動自在に軸支され、他端に上記棒体に挿入された上側の円形部を係止する爪部を有する略く形状の係止部材とから構成すると共に、上記係止部材を罠ロープのループ状部の設置位置下方に設けた足踏み部材と接続せしめてなり、地表に埋め込まれた棒体に、バネ部材の円形部を互いに接近させた状態で同バネ部材の両円形部を挿入し、係止部材を回動してこの挿入された円形部を上記支持部材と係止部材の爪部とでロックし、獣類の足踏みに伴う足踏み部材の下動外力に応じて該係止部材を回動させることにより、同係止部材の爪部によるバネ部材の円形部との係止を解除し、バネ部材の付勢力により復元して、罠ロープが引っ張られて該ループ部を縮径するようにしたことを主要な特徴とする。
【0011】
第2に、上記係止部材に、同係止部材の爪部が上側の円形部と係止した状態において該棒体に嵌め込まれるリング状の規制具を設け、棒体に挿入されたバネ部材の円形部を係止部材の爪部とでロックした状態においてその上部から、リング状の規制具を該棒体に引っ掛けて、上記係止部材の爪部がバネ部材の円形部から外れるのを規制するようにしたことを特徴とする。
【0012】
第3に、上記支持部材の係止部材の軸支下部に下端を折曲して防護壁を形成し、係止部材の軸支下部に回動範囲の空間を確保するようにしたことを特徴とする。
【0013】
第4に、上記棒体に、同棒体を地中に陥没させるための打受部材を、係止部材の作動方向と直角方向に位置して取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、地表に固定した棒体に、両手でバネ部材の円形部を接近させてその両端の円形部を該棒体に挿入し、しかる後、片方の手で係止部材を回動し同係止部材の爪部を挿入された円形部に係止するという簡単な作業で容易に設置することができるという利点がある。また、従来は線材によりリング部材や弾き止め部材を形成するようにしていたため引き抜き力がバラツキ、係止及びその解除機能が不安定となっていたが、板状の係止部材の爪部によりバネ部材の円形部を係止するようにしてなるので、成型精度も高く変形強度も強くできるので安定した係止及びその解除機能が得られる。
【0015】
また、バネ部材の固定点と、付勢力を付与されたバネ部材の係止点が同一線上であるため、上述したように作業性が良いと共に、従来のようにロック解除時の下動外力によりバネ部材がバネ部材の地表に埋め込まれた固定点で回転又は転倒することもなく、安定して罠の作動を得ることができる。
【0016】
また、猪、鹿、熊等の重量の重い獣類の場合には、所要の弛みを持たせたロープや針金等で足踏み部材と係止部材を接続し、落とし穴等に落ち獣類の足踏に伴う足踏み部材の下動外力に応じて係止部材が作動する際の時間のずれを持たせて確実に罠ロープのループ部に嵌り込んだ状態で作動することが望ましく、一方ウサギ、狐等の重量の軽い獣類の場合には、足踏み部材を係止部材にボルト等で直接装着(直結)して直動式とし、足踏み部材の下動外力に応じて係止部材が作動する際の時間のずれが発生しないようにして動きが敏捷な動物に対応させることが望ましいが、上記係止部材は回動自在な板材で構成し、この係止部材に適数個の連結孔を形成するなどにより、捕獲したい動物や設置場所の条件などによりロープや針金等で接続若しくは直結することも選択的に行うことができ使い勝手の良いものである。
【0017】
請求項第2の発明によれば、係止部材に設けたリング状の規制具を棒体の先端部に引っ掛けることにより、簡単に上記係止部材の爪部がバネ部材の円形部から外れるのを規制することができるので、設置作業時に誤作動して作業者に怪我を負わせることも防止することができる。更に、設置作業終了後は、このリング状の規制具を棒体の先端部から外すだけで、作動状態とすることができるので、操作が容易な安全装置を提供するものである。
【0018】
また、請求項3の発明によれば、支持部材の係止部材の軸支下部に下端を折曲して防護壁を形成し、係止部材の軸支下部に回動範囲の空間を確保するようにしたので、防護壁の側面と底面で係止部材の回動範囲を確実に確保することができ、棒体を地面に打ち込んだ状態において係止部材の回動が支障をきたすことがない。従って、確実に罠を作動させることが出来る。
【0019】
また、請求項4の発明によれば、棒体に係止部材の作動方向と直角方向に位置して棒体を地中に陥没させるための打受部材を取り付けたものであるから、棒体を地面に叩き込む作業も容易で、棒体や係止部材を破損することなく地中に陥没させることが出来る。また、棒体は地中に陥没した支持部材および打受部材で支えられた状態となるので、外力が係止部材に作用しても、支持部材および打受部材が地中で抵抗となり棒体が傾斜、転倒することを防止し、外力を係止部材の付勢力解除に100%利用することが出来、確実に罠を作用させ獣類を捕獲することが出来ることとなる。
【0020】
このように、極めて簡単な構成にして構成部品が少なく安価に実施できると共に、持ち運びが容易で、安全性が高く据付が簡単な獣類の罠を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】罠を装着した装置を説明する説明図である。
【図2】罠に獣類がかかった状態を説明する説明図である。
【図3】ねじりバネを棒体に装着しロックした状態を示す説明図である。
【図4】ねじりバネの形状を示す平面図である。
【図5】ねじりバネの形状を示す正面図である。
【図6】図3の要部拡大図である。
【図7】安全装置である規制具の形状を示す図である。
【図8】係止部材が地表の障害物に接当している説明図である。
【図9】係止部材が引っ張られ、棒体が傾斜した状況の説明図である。
【図10】地中の障害物に係止部材が接当しない状況を説明する説明図である。
【図11】足踏み部材を係止部材に直接取り付けた図である。
【図12】棒体を地中に陥没させる説明図である。
【図13】棒体を地中に陥没時、棒体が変形した状態を示す説明図である。
【図14】棒体に設けた打受部材を示す説明図である。
【図15】図14のP矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を具体化した実施形態について説明する。図1において、本実施形態の獣類の足括り罠1は、地表に強固に定着された部材10に一端が固定され、他端が縮径可能な括り輪2aが形成された罠ロープ2と、この罠ロープ2の中間部に取付けられたバネ部材3と、バネ部材3の付勢力を保持する係止部材4とからなり、バネ部材3は剛性の棒部31,32と、これらの中間に形成されたコイル部33とからなり、一方の棒部31の端部に設けた環部材31aに罠ロープ2が挿通して取り付けられている。
【0023】
罠ロープ2は、柔らかくて靱性のある細いワイヤーからなり、地表面に広げられて配置され、獣の足を捕捉し縮径して足が外れるのを防ぎ、獣類を捕獲するための部材であり、縮径したワイヤーが緩まないよう緩み止め部材22が設けられている。
【0024】
図4、図5はねじりバネ3を表した図である。図4、5で示すよう中央部にコイル33を構成し、両端の棒部31,32の端部には、円形状に成形された円形部34、35を設けている。図3は、バネ部材3を付勢力を発生させるため、棒部31,31の端部の円形部34,35を接近させ棒体40に挿入し係止部材4の爪41でバネ3が復元するのをロックしている。
【0025】
図6は、バネ部材3の係止された状態を示す図である。棒体40には支持部材50が固着され、支持部材50には上述の係止部材4を回動自在に回動点51に取り付けられている。係止部材4には穴42が設けられ、獣類を感知して足踏み部材6の下動外力に応じて係止部材4を作動させるためのロープ62が接続されている。また、穴43が設けられており、この穴43に規制具80が回動自在に装着されている。
【0026】
図6に於いて、バネ部材3の円形部34と35は棒体40に装入されて支持部材50と係止部材4の爪41でバネ部材3が復元ができないようロックされている。獣類の捕獲は、図2で獣類が足踏み部材6に乗り、足踏み部材6が下方に移動しロープ62を引っ張り、係止部材4が回動し、バネ部材3の円形部35から係止部材4の爪部41が外れ、バネ部材3の付勢力が解除され、棒部31が跳ね上がり罠ロープ2が引っ張られて、括り輪2aが縮径し、括り輪2aで獣類の足5を捕捉して獣類を捕獲することとなる。
【0027】
係止部材4には、図6、7に示すよう規制具80が穴43に回動自在に装着されており、規制具はバネ部材3の付勢力を保持している係止部材4が誤って回動しバネ部材3が復元しないよう棒体40の先端部に引っ掛けられており、引っ掛けられた状態では、係止部材4が回動しないよう規制している。罠の設置が完了したのち、安全を確認して、獣類を感知したとき罠が作動するよう規制具80を棒体40から外し設置作業を終えることができる。このように、敏感に作動する罠の設置時の安全性が確実に確保できる操作の簡単な安全装置として有効に作用する規制具80である。
【0028】
また、図6に示す係止部材4を回動自在に保持する支持部材50には、ロープ62が足踏み部材6の下動に伴う張力により係止具4が回動する方側に間隙52を持たせ地面の障害物70等で係止部材4の回動に支障がおきないよう係止部材4の回動範囲を確保するため防護壁53が設けられている。
【0029】
本発明は、罠の設置にバネ部材3を係止した係止部材4を設けた棒体40を地中に貫入し設置する罠である。地中には、土石や、木の枝等障害物70が散乱している場合が多く、地中貫入時図8に示すようロープ62が引っ張られても、係止部材4が回動しようとしても障害物70により、回動できない場合、係止具がバネ部材3の付勢力を解除することができず、罠の括り輪2aを縮径することができないため、獣類の捕獲ができない不具合が発生する。
【0030】
また、地中に貫入した棒体40は、地面が軟弱な場合、図9のよう設置されていても、ロープ62の張力で棒体4が傾き、係止部材4が回動できずコイルバネ3の付勢力を解除することができない場合がある。
【0031】
本発明では、図10に示すよう棒体40を地中に貫入時、障害物70があっても、支持部材50の防護壁53により障害物70を押し込み係止具4の回動範囲52を確保する間隙が確保され、ロープ62が引っ張られ係止部材4が回動しても、障害物70に接触し、作動不良になることなく罠が確実に作動することとなる。
また、支持部材50の防護壁53がロープ62の引っ張り方向に対して地中で、傾斜、転倒を防止するよう地中で抵抗となるように底面積を有し、棒体40に対して角度を付けて設けてある。
【0032】
図10に示すよう障害物の対応もできるが、軟弱な地中であっても、防護壁53の面積で棒体40が傾斜、転倒を防止することができる。また、図12に示す棒体を地中に陥入させるための板体44が地中に陥入し、ロープ62の引っ張り力に地中で抵抗し、棒体40の傾斜、転倒を合わせて防止することができる。
【0033】
図11で示すよう係止部材4には、穴42が複数設けてあり、係止部材4に直接足踏み部材6bをボルト等で脱着自在に固定し、足踏み部材6bがロープ等を介せず直接係止部材4が作動するよう直動の足踏み部材6bを取り付ける構造としている。足踏み部材をロープ等で係止部材4と接続するのは、猪等重量の重い獣は、足が確実に足踏み部材6を踏み込み、括り輪2aが足に十分入ってから縮径するほうが捕獲が確実であるが、ウサギ、狐等軽量な獣は、動きが敏捷で、足踏み部材6に足が接触して即刻係止部材4が付勢力を解除しないと括り罠2aが縮径するまでに足を括り輪から抜いてしまうため、敏捷な小さい動物の捕獲には瞬時に作動する足踏み部材が最適である。このように捕獲する獣類に合わせて罠の仕掛けを換える必要があるが、本発明では、容易に足踏み部材を取替え可能な構造となっている。
【0034】
図13に示すよう、係止部材4を設けた棒体40は、罠の設置のため、地中に陥入しなければならないが、棒体40の係止部材4をハンマー90等で打ち込むと、棒対40が変形する可能性があり、変形するとコイルバネ3の円形部31,32を装入することができず、罠の設置ができないこととなる。このため、図12、14で示すよう、棒体40が変形しても支障のない部分に打受部材44を図15に示すよう係止部材4の回動方向と直角方向に固着して設けており、この打受部材を打ち込み、地中に陥入することにより、軟弱な地中であっても、打受部材44の面45の面積で棒体40が傾斜、転倒を防止することができる。
【0035】
上記のように構成した本実施形態の獣類の足くくり罠の設置方法を説明する。
先ず、動物の通る獣道に直径約15cm、深さ約15〜20cmの穴Hを堀り、格子状の足踏み部材6をロープ61,62で支えて穴Hの中心部に少し浮かせるようにセットする。そして、穴表面に細い枝などの支持梁を渡して枯れ葉で表面を覆って穴を塞ぐ。落とし穴Hの周りに罠ロープ2の括り輪2aを配置し、さらにこれらの表面を枯れ葉、又は土で覆う。
【0036】
次に、落とし穴の近傍に、係止具4、規制具80を設けた棒体40をハンマーで棒体の打受部材44を叩き地中に陥没させる、このとき、足踏み部材6からのロープ62の方向と係止部材4の回動方向が直線状にあるよう棒体40の方向を定める。
【0037】
次に、バネ部材3の円形部34,35を両手で近接させ円形部34,35を棒体40の係止部材4が取り付いた側に装入し、片手でバネ部材3の付勢力を保持し、もう一方の手で係止部材4の爪41で円形部35をロックし、規制具80を棒体40の先端に引っ掛けて、係止部材4が回動しないよう安全装置を働かす。
【0038】
次に、罠ロープ2の括り輪2aと地表に固定された部材10の固定された側の中間部に設けた環部材31aをバネ部材3の棒部33の円形部35近傍にて遊結合し、バネ部材3の罠ロープ2と遊結合した棒体31と係止部材4以外を、表面を枯れ葉、又は土で覆い、獣道に全く目立たない状態に設置し、罠の状況を点検して後、規制具80を棒体40から外して罠の設置を完了する。
【0039】
従来、罠の設置が、強力なバネの付勢力に抗して両手で円形部を近接後、片手で付勢力を保持しながら付勢力を係止するため。円形部に遊嵌したフック部、リング部材と足踏み部材と接続した引き止め部材との3点を片手で組み立てなければならず、罠の設置に相当の熟練を要し、設置作業中にセットした引止め部材が抜け、バネが復元して、作業者の事故に至る例があった。
【0040】
本発明によれば、強力なバネの付勢力に抗して両手で円形部34、35を近接後、付勢力を保持しながら付勢力を係止するため円形部34,35を棒体40の先端に装入し、片手で付勢力を保持した後、片方の手で係止部材4を回動させバネ部材3の円形部35に係止部材4のフック部41を引っ掛けるだけで、容易にバネ部材3の付勢力をロックすることが出来、規制具80を棒体40の先端部にかけることで、係止部材4が回動することがまったく出来ない状態となり、安全な設置作業か出来ることとなる。
【0041】
もし、獲物が穴Hに足を入れて落ちると、足踏み部材6を押し下げ、押し下げる力はロープ62を伝わり、係止部材4を回動させバネ部材3の円形部35から係止部材4の爪部41が外れて、バネ部材3の付勢力が解除され、環部材31aを介して罠ロープ2が瞬時に引っ張られ、括り輪に入った獣類の足が括り輪2aの中に入れた足を引き抜く間もなく、、輪が縮径して締まり、足を外すことができなくなり、獣類を捕捉することがきる。
【符号の説明】
【0042】
1 足括り罠
2 罠ロープ
2a 括り輪
3 バネ部材
4 係止部材
5 獣類の足
6 足踏み部材
6b 直動足踏む部材
10 地表に強固に定着された部材
22 緩み止め部材
31、32 棒部
31a 環部材
33 コイル部
34、35 円形部
40 棒体
41 爪
42、 穴
43 穴
44 打板部材
45 打板部材の面
50 支持部材
51 回動点
52 回動範囲の間隙
53 防護壁
62 ロープ
70 障害物
80 規制具
θ 角度
90 ハンマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に縮径可能なループ部を有し、他端を地表に強固に固定された部材に接続された罠ロープと、この罠ロープをコイルバネの一端側に遊嵌状態に接続され、その両端部に円形部を形成した付勢力を付与するためのバネ部材と、前記バネ部材の円形部を互いに接近させ状態で棒体に挿入され、この円形部をバネの付勢力を抗してロック及びロック解除する係止機構を有する地表に埋め込まれる棒体とから構成してなる獣類の罠であって、上記棒体の係止機構は、棒体に設けられた支持部材と、一端がこの支持部材に回動自在に軸支され、他端に上記棒体に挿入された上側の円形部を係止する爪部を有する略く形状の係止部材とから構成すると共に、上記係止部材を罠ロープのループ状部の設置位置下方に設けた足踏み部材と接続せしめてなり、地表に埋め込まれた棒体に、バネ部材の両端部を互いに接近させた状態で同バネ部材の両円形部を挿入し、係止部材を回動してこの挿入された円形部を上記支持部材と係止部材の爪部とでロックし、獣類の足踏みに伴う足踏み部材の下動外力に応じて該係止部材を回動させることにより、同係止部材の爪部によるバネ部材の円形部との係止を解除し、バネ部材の付勢力により復元して、罠ロープの端部が引っ張られて該ループ部を縮径するようにしたことを特徴とする獣類の罠。
【請求項2】
上記係止部材に、同係止部材の爪部が上側の円形部と係止した状態において該棒体に嵌め込まれるリング状の規制具を設け、棒体に挿入されたバネ部材の円形部を係止部材の爪部とでロックした状態においてその上部から、リング状の規制具を該棒体に引っ掛けて、上記係止部材の爪部がバネ部材の円形部から外れるのを規制するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の獣類の罠。
【請求項3】
上記支持部材の係止部材の軸支下部に下端を折曲して防護壁を形成し、係止部材の軸支下部に回動範囲の空間を確保するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の獣類の罠。
【請求項4】
上記棒体に、同棒体を地中に陥没させるための打受部材を、係止部材の作動方向と直角方向に位置して取り付けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の獣類の罠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−39924(P2012−39924A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183322(P2010−183322)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(710009324)
【Fターム(参考)】