説明

玄関庇ユニット及び玄関庇ユニット組立て方法、並びに玄関庇ユニットを使用した玄関庇施工方法

【課題】本発明の目的は、玄関庇部分をユニット化して出荷することにより、現場での施工工数を削減し、工期短縮を図ることが可能な玄関庇ユニット及び玄関庇ユニット組立て方法、並びに玄関庇ユニットを使用した玄関庇施工方法を提供することにある。
【解決手段】玄関先に設置される玄関庇ユニットSに関する。
玄関庇ユニットSは、玄関上部を被覆する庇本体部1と、この庇本体部1から上部方向に立ち上がる躯体接続部2とを有して構成されており、躯体接続部2は、庇本体部1の後方側に接続されており、建物の躯体側に取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関先に設置される玄関庇ユニット及び玄関庇ユニット組立て方法、並びに玄関庇ユニットを使用した玄関庇施工方法に関し、特に、足場の組立てが不要であり簡易に設置可能な玄関庇ユニット及び玄関庇ユニット組立て方法、並びに玄関庇ユニットを使用した玄関庇施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物の入口となる玄関では、玄関開口部、外壁面、玄関に対するアプローチ等を雨から守るために、玄関前方に広がる開口部分を覆うための庇が、外壁から突出する形状で設置される場合が多い。
このような庇は、建築物が施工される際に、建物本体に固定されたフレー材に庇本体、軒天材を取付けるといった各種作業を経て施工される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、玄関庇ユニットの取付け構造が開示されている。
この玄関庇ユニット取付け構造においては、基部側梁部と受け梁部とで構成された庇受け梁を胴差下面に固定し、庇受け梁の自由端部(外側方向端部)側に玄関庇ユニット(庇部分)を固定することにより、建物に玄関庇を取付けるよう構成されている。
この玄関庇ユニット(庇本体部分)は、この玄関庇ユニット内部に配設された庇梁材を、庇受け梁を構成する庇受け梁部の自由端部(外側方向端部)側に固定することにより取付けられる。
このように特許文献1においては、基部側梁部と受け梁部とで構成された庇受け梁を施工し、これに玄関庇ユニット(庇本体部分)を取付ける構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−011122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1等の従来技術においては、庇受け梁を施工し、これに玄関庇ユニット(庇本体部分)を取付ける構造になっている。
しかし、特許文献1の技術においては、建物本体に固定された庇受け梁に玄関庇ユニット(庇本体部分)を取付けるために、外部に足場等の仮設材を組む必要がある。
このような場合、仮設材が取付け作業の邪魔になることがあった。
また、庇本体部分の取付け作業は、常に上向姿勢となるため、作業者への身体的負担も大きい。
更に、脚立等を使用しての取付け作業においては、転落等の可能性もあり、作業性が悪くなるという問題点があった。
【0006】
本発明の目的は、上記各問題点を解決することにあり、玄関庇部分をユニット化して出荷することにより、現場での施工工数を削減し、工期短縮を図ることが可能な玄関庇ユニット及び玄関庇ユニット組立て方法、並びに玄関庇ユニットを使用した玄関庇施工方法を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、ユニット化することにより、外部に足場等の仮設材を不要とし、作業姿勢の安定を図る等作業員の負担軽減及び作業性の向上を図ることが可能な玄関庇ユニット及び玄関庇ユニット組立て方法、並びに玄関庇ユニットを使用した玄関庇施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、請求項1に係る玄関庇ユニットによれば、玄関先に設置される玄関庇ユニットであって、該玄関庇ユニットは、前記玄関上部を被覆する庇本体部と、該庇本体部から上部方向に立ち上がる躯体接続部とを有して構成されており、前記躯体接続部は、前記庇本体部の後方側に接続されており、建物の躯体側に取付けられることにより解決される。
【0008】
このように構成されていることにより、躯体接続部を建物の躯体側に取付けるのみで、玄関庇を簡易に施工することができる。
よって、現場での施工工数を削減し、工期短縮を図ることが可能となる。
また、外部に足場等の仮設材を組む必要がなく、常に上向姿勢となる作業を行っていた作業者への身体的負担も軽減される。
更に作業性もまた向上する。
【0009】
また、具体的には、請求項1に係る玄関庇ユニットにおいて、前記庇本体部は、略矩形状に組まれた庇骨組を有して構成されており、前記躯体接続部は、前記躯体に取付けられる筐体部と、該筐体部と前記庇骨組の後方側とを接続する連結部と、を有して構成されており、前記筐体部は、4枚の鋼板により断面略矩形の筒状に組立てられた筐体であるよう構成されていると好適である。
【0010】
更に具体的には、請求項2に係る玄関庇ユニットにおいて、前記庇骨組は、前面に配設される前面横枠と、該前面横枠と相対向して配設される後面横枠と、前記前面横枠と前記後面横枠の両端部を各々架橋する2個の縦枠と、を備え、前記後面横枠の前記縦枠側端部には、連結部が上方へ突出するように固定されるとともに、前記固定金物には、前記筐体部が固定されていると好適である。
【0011】
また、更に具体的には、請求項3に係る玄関庇ユニットにおいて、前記筐体部は、前面側及び後面側に相対向して平行に配設される前面壁及び後面壁と、前記前面壁及び前記後面壁の端部を架橋する2個の側壁とを有する断面略矩形の筒状に組立てられた筐体であり、前記前面壁及び前記後面壁は、前記前面横枠及び前記後面横枠と略平行に配設されるとともに、前記後面壁の両端部は、前記連結部を介して、前記後面横枠両端部と各々連結されていると好適である。
【0012】
また、上記課題は、請求項5に係る玄関庇ユニット組立て方法によれば、玄関先に設置される玄関庇ユニットの組立て方法であって、前記玄関庇ユニットは、前記玄関上部を被覆する庇本体部と、該庇本体部から上部方向に立ち上がる躯体接続部とを有して構成されており、係止壁と該係止壁の一端部から略垂直に延出する設置壁とを有する略L字形状の組立治具を使用し、前記設置壁を接地させ、前記係止壁を上方に起立させた状態で、前記係止壁の上方自由端部側に前記設置壁が延出する方向へ突出するように形成された庇ユニット固定部へ前記躯体接続部を固定するとともに、前記庇本体部の庇骨組が前記設置壁が延出する方向に延出するように組上げる第1の工程と、前記係止壁を前記設置壁が延出する方向と反対側に反転させて、前記係止壁の前記設置壁が延出する側と反対側の面を接地させ、前記設置壁を上方に起立させる第2の工程と、前記庇骨組の裏面側の施工を行う第3の工程と、を行うことにより解決される。
【0013】
このように、本発明によれば、係止壁と設置壁とから構成される組立治具を使用して玄関庇ユニットを組立てることができる。
この係止壁の上方自由端部側には、設置壁が延出する方向へ突出するように形成された庇ユニット固定部が形成されている。
この組立治具は、第1の工程において、設置壁を接地させ、係止壁を上方に起立させた状態で使用される。
そして、庇ユニット固定部へ躯体接続部が固定されるとともに、庇本体部の庇骨組が設置壁が延出する方向に延出するように組上げられる。
この状態で、第2の工程へ移り、係止壁を設置壁が延出する方向と反対側に反転させて、係止壁の設置壁が延出する側と反対側の面を接地させ、設置壁を上方に起立させる。
このように反転させると、庇骨組が上下方向に立上がり、この裏面側が露出する。
よって、第3の工程において、庇骨組の下方側に潜り込んで裏面側の施工を行う必要がなくなる。
例えば、庇骨組の裏面側に軒天板を貼設する場合等は、有効に施工性を向上させることができる。
このように、簡易に裏面側の施工を行うことが可能となる。
【0014】
また、上記課題は、請求項6に係る玄関庇ユニットを使用した玄関庇施工方法によれば、玄関先に設置される玄関庇ユニットを使用した玄関施工方法であって、前記玄関庇ユニットは、前記玄関上部を被覆する庇本体部と、該庇本体部から上部方向に立ち上がる躯体接続部とを有して構成されており、係止壁と該係止壁の一端部から略垂直に延出する設置壁とを有する略L字形状の組立治具を使用し、記設置壁を接地させ、前記係止壁を上方に起立させた状態で、前記係止壁の上方自由端部側に前記設置壁が延出する方向へ突出するように形成された庇ユニット固定部へ前記躯体接続部を固定するとともに、前記庇本体部の庇骨組が前記設置壁が延出する方向に延出するように組上げる第1の工程と、前記係止壁を前記設置壁が延出する方向と反対側に反転させて、前記係止壁の前記設置壁が延出する側と反対側の面を接地させ、前記設置壁を上方に起立させる第2の工程と、前記庇骨組の裏面側の施工を行う第3の工程と、前記設置壁を前記第2の工程と反対方向に反転させて、前記設置壁を接地させ、前記係止壁を上方に起立させる第4の工程と、前記組立治具に固定された前記玄関庇ユニットを移動手段に積載し、搬送する第5の工程と、前記玄関庇ユニットを前記組立治具から開放し、前記躯体接続部を建物躯体に取付ける第6の工程と、を行うことにより解決される。
【0015】
このように本発明においては、組立治具を使用して、上記の通り玄関庇ユニットを組立てる(第1の工程乃至第3の工程)。
そして、第4の工程で、設置壁を第2の工程と反対方向に反転させて、設置壁を接地させ、係止壁を上方に起立させる。
これで、組立治具は第1の工程と同じ状態に戻る。
そして、第5の工程で玄関庇ユニットを組立治具に固定したままの状態で、トラック等の移動手段に積載して搬送する。
このように、玄関庇ユニットは、搬送時には、組立治具に固定されたままである。よって、積載が容易であるとともに、固定されているため、搬送時に破損等の可能性を軽減させることができる。
なお、建物施工現場では、第6の工程に示すように、玄関庇ユニットを組立治具から開放し、躯体接続部を建物躯体に取付けるとよい。
このように、本発明においては、玄関庇ユニットの組立てから建物躯体への取付けまでが、簡易かつ効率良く実施される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る玄関庇ユニットによれば、玄関庇部分をユニット化して出荷することにより、現場での施工工数を削減し、工期短縮を図ることができる。
更に、本発明に係る玄関庇ユニットは、ユニット化することにより、外部に足場等の仮設材を不要とし、作業姿勢の安定を図る等作業員の負担軽減及び作業性の向上を図ることができる。
また、組立治具を使用することにより、玄関庇ユニットの組立が容易になるとともに、積載が容易になる。
更に、玄関庇ユニットは、組立治具に固定されたまま搬送できるため、搬送時に玄関庇ユニットが破損すること等を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る玄関庇ユニットを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る玄関庇ユニットの骨格を示す側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る玄関庇ユニットの骨格を示す上面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図3のB−B線断面図及びC−C線断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る第1固定金物を示す4面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る第2固定金物を示す3面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る玄関ユニットを示す側面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る玄関ユニットの納まり状態を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る玄関庇ユニットの組立工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0019】
本実施形態は、玄関庇部分をユニット化して出荷することにより、現場での施工工数を削減し、工期短縮を図ることが可能な玄関庇ユニット及び玄関庇ユニット組立て方法、並びに玄関庇ユニットを使用した玄関庇施工方法に関するものである。
【0020】
図1乃至図10は、本発明に係る一実施形態を示すものであり、図1は玄関庇ユニットを示す斜視図、図2は玄関庇ユニットの骨格を示す側面図、図3は玄関庇ユニットの骨格を示す上面図、図4は図3のA−A線断面図、図5は図3のB−B線断面図及びC−C線断面図、図6は第1固定金物を示す4面図、図7は第2固定金物を示す3面図、図8は玄関ユニットを示す側面図、図9は玄関ユニットの納まり状態を示す説明図、図10は玄関庇ユニットの組立工程を示す説明図である。
【0021】
まず、図1乃至図9により、本実施形態に係る玄関庇ユニットSの構成について説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る玄関庇ユニットSは、庇本体部1、躯体接続部2を有して構成されている。
【0022】
本実施形態に係る庇本体部1は、庇骨組11、庇外装12、ランマパネル13、軒天ソケット14を有して構成されている。
なお、本実施形態は、一例であり、ランマパネル13、軒天ソケット14等は必須の構成ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜選択・変更等できるものである。
【0023】
本実施形態に係る庇骨組11を図3乃至図5に示す。
図3乃至図5に示すように、庇骨組11は、複数の各種鋼材で略矩形格子状に組まれて形成されている。
本実施形態に係る庇骨組11は、庇構造部11A及び庇外装取付部11Bを有して構成されている。
【0024】
本実施形態に係る庇構造部11Aは、前面横枠11a、縦枠11b,11b、後面横枠11c、縦補強材11d,11d、第1横材11e,11e、第2横材11f,11f、第3横材11g、鼻隠取付材11h、を有して構成されている。
【0025】
前面横枠11a及び縦枠11b,11bは、角形鋼管であり、後面横枠11cはリップ溝形鋼である。
本実施形態においては、前面横枠11a、縦枠11b,11b、後面横枠11cにより略矩形枠体が形成されており、これが基本骨格外形となる。
【0026】
なお、後面横枠11c(リップ溝形鋼)の両端の鋼材開口部分には、プレート111が溶接されており、基本骨格外形を形成する際には、このプレート111外側面と縦枠11bの端部が溶接されるように構成されている。
【0027】
縦補強材11d,11dは、角形鋼管であり、前面横枠11aと後面横枠11cの略中央部分を架橋するように、縦枠11b,11bと略平行に配設されている。
なお、縦補強材11d,11dは、隣接して(中央部に並んで)配設されている。
【0028】
また、後面横枠11c(リップ溝形鋼)の略中央の鋼材開口部分には、プレート112が溶接されており、縦補強材11d,11dを配設する際には、このプレート112外側面と縦補強材11d,11dの端部が溶接されるように構成されている。
【0029】
第1横材11e,11e、第2横材11f,11f、第3横材11gは、溝形鋼で構成されている。
第1横材11e,11eは、縦枠11bと縦補強材11dの略中央部を架橋するように、前面横枠11a及び後面横枠11cと略平行に各々配設される。
また、第2横材11f,11fは、縦枠11bと縦補強材11dの略中央部より若干後面横枠11c側を架橋するように、前面横枠11a及び後面横枠11cと略平行に各々配設される。
【0030】
更に、第3横材11gは、縦枠11b,11bの略中央部より後面横枠11c側(第2横材11f,11fよりも若干後面横枠11c側)を架橋するように、前面横枠11a及び後面横枠11cと略平行に配設される。
【0031】
鼻隠取付材11hは、断面略L字形状の鋼材であり、前面横枠11aの上面に溶接されている。
この鼻隠取付材11hは、内隅側の一面を前面横枠11aの上面に積層した状態で溶接され、このとき、溶接された面から略垂直に屈曲する面が下部方向に垂下するように配設される。
【0032】
本実施形態に係る庇外装取付部11Bは、2組の第1突出部11i,11i、脚部11j、第2突出部11k,第3突出部11l、第4突出部11mを有して構成されている。
これら第1突出部11i,11i、脚部11j、第2突出部11k,第3突出部11l、第4突出部11mは、縦枠11b,11bに各々一組ずつ備えられている。
双方構成は、同様なので、一方のみ説明する。
【0033】
第1突出部11i,11iは、断面略L字形状の鋼材であり、後面横枠11cと第3横材11gとの間に一定間隔をもって、これらと略平行になるように、縦枠11bから外側へ突出するように溶接されている。
このとき、第1突出部11i,11iは、一面が水平となるとともに、この面から略垂直に屈曲する面が上方へ起立するように溶接される。
【0034】
脚部11jは、断面略L字形状の鋼材であり、第1突出部11i,11iの外側端部を架橋するように配設される。
このとき、脚部11jは、一面が水平となるとともに、この面から略垂直に屈曲する面が上方へ起立するように配設されており、第1突出部11i,11iの外側端部が略L字の内隅に突き当たる位置に来るように溶接される。
【0035】
第2突出部11kは、断面略L字形状の鋼材であり、縦枠11bの第2横材11fが配設されている位置付近から外側方向へ向けて突出するように溶接されている。
このとき、第2突出部11kは、一面が水平となるとともに、この面から略垂直に屈曲する面が下方へ垂下するように溶接されている。
【0036】
第3突出部11lは、溝形鋼であり、縦枠11bの前面横枠11aが配設されている位置付近から外側方向へ向けて突出するように溶接されている。
このとき、第3突出部11l(溝形鋼)は、その底面から略垂直に屈曲する相対向する2側面が上方に起立するように配設されるとともに、この起立する2側面のうち一側面が縦枠11bに溶接されている。
【0037】
第4突出部11mは、溝形鋼であり、第2突出部11kと第3突出部11lとの間に、外方向に向けて突出するように溶接されている。
このとき、第4突出部11m(溝形鋼)は、その底面から略垂直に屈曲する相対向する2側面が上方に起立するように配設されるとともに、この起立する2側面のうち一側面が縦枠11bに溶接されている。
【0038】
本実施形態に係る庇外装12は、図8に示すように、庇外装ユニット12A、軒天下地12B、複数の軒天板12Cを有して構成される。
庇外装ユニット12Aは、上部外装12a、側面外装12bと、を有して構成されている。
上部外装12aは、庇部分(庇骨組11の第2突出部11kより前方部分)より若干大きい面積を囲むよう構成された第1フレームF1(図1、図8等参照)とその内部に配設された外装板G1により構成され、庇部分(庇骨組11の第2突出部11kより前方部分)の上方を被覆する。
【0039】
側面外装12bは、第2フレームF2、側面板G2,G2、鼻隠しG3を有して構成されている。
第2フレームF2は、庇部分(庇骨組11の第2突出部11kより前方部分)より若干大きい面積を囲むよう構成されており、庇部分(庇骨組11の第2突出部11kより前方部分)の下方に、第1フレームF1と対向して整合するように配設される。
【0040】
側面板G2,G2は、略矩形状の板体であり、第1フレームF1と第2フレームF2とで形成される間隙の側面部を各々被覆する。
また、鼻隠しG3は、略矩形状の板体であり、第1フレームF1と第2フレームF2とで形成される間隙の前面部を被覆する。
【0041】
軒天下地12Bは、略矩形平板であり、本実施形態においては、ケイ酸カルシウム板が使用される。
軒天下地12Bは、躯体接続部2を構成する筐体部21の下部開口を被覆するように、庇外装取付部11Bを構成する脚部11j,11jに渡ってこれらに取付けられる。
【0042】
また、軒天板12Cは、長辺が第2フレームF2の前方と、庇骨組11を構成する後面横枠11cとの内径距離とほぼ同一の長さで、短辺が後面横枠11cよりも小さい略長方形状の板体であり、その長辺が、第2フレームF2の前方と後面横枠11cとの間に渡るように配設される。
【0043】
この軒天板12Cは、第2フレームF2の前方と後面横枠11cに沿って並列するように複数敷設され、結果、庇骨組11の下方面を全面に渡り被覆する。
この軒天板12Cの枚数は特に限定されるものではなく、もちろん、1枚の板として構成してもよい。
【0044】
更に、本実施形態に係るランマパネル13は、略矩形板体であり、庇骨組11を構成する第2横材11f,11f上部に、これらに渡って配設される。
また、更に、本実施形態に係る軒天ソケット14は、軒天板12Cに形成されたソケット貫通孔(図示せず)に配設される。
【0045】
本実施形態に係る躯体接続部2は、筐体部21及び連結部22,22を有して構成されている。
筐体部21は、4枚の鋼板により断面略矩形の筒状に組立てられた筐体である。
なお、この筐体部21のうち、前面側及び後面側に相対向して平行に配設される2つの壁を各々前面壁21a及び後面壁21bとし、これらの端部を架橋する、相対向して平行に配設される2つの壁を側壁21c,21cとする。
【0046】
連結部22,22は、筐体部21の長手方向両端部に配設されるが、同一の構成であるため、片方のみ説明する。
連結部22は、第1固定金物22a及び第2固定金物22bと、を有して構成されている。
【0047】
第1固定金物22aを図6に示す。
図6(a)は第1固定金物22aの上面図、図6(b)及び(c)は表面図及び裏面図、図6(d)は右側面図を示す。
【0048】
図6に示すように、第1固定金物22aは、断面略コ字形状の部材であり、略長方形状の第1底面壁122と、この第1底面壁122の相対向する長辺から略垂直に同方向に起立する第1固定壁123,123を有して構成されている。
なお、2個の第1固定壁123には、第1ボルト孔123a,123aが各々並列して形成されている。
【0049】
次いで、第2固定金物22bを図7に示す。
図7(a)は第2固定金物22bの正面図、図7(b)は第2固定金物22bの右側面図、図7(c)は第2固定金物22bの底面図である。
【0050】
図7に示すように、第2固定金物22bは、略矩形状の第2底面壁124と、その一辺から略垂直に起立する第2固定壁125と、この第2固定壁125が起立する一辺と隣接する一辺から同方向に起立する第2側壁126とを有して構成されている。
【0051】
つまり、第2固定壁125と第2側壁126は、第2底面壁124の一角を囲むように立設している。
第2底面壁124には、第2ボルト孔124aが形成されるとともに、第2固定壁125には、第3ボルト孔125a,125aが並列して形成されている。
【0052】
第1固定金物22a,22aは、筐体部21を構成する後面壁21bの長手方向(水平方向)両端部に固定される。
図示は省略するが、後面壁21bの両端部にはボルト孔が形成されており、このボルト孔と第1固定壁123に形成された第1ボルト孔123a,123aを整合させてボルト締めすることにより、第1固定金物22aは、筐体部21に固定される(両端共)。
【0053】
また、他方の第1固定壁123は、第2固定金物22bを構成する第2固定壁125に固定される。
つまり、第1固定壁123と第2固定壁125は、第1ボルト孔123a,123aと第3ボルト孔125a,125aが整合するように合わせられて、これらのボルト孔からボルト締めすることにより固定される。
【0054】
また、図示は省略するが、後面横枠11cの天面には、ボルト孔が形成されており、このボルト孔と、第2底面壁124に形成された第2ボルト孔124aを整合させてボルト締めすることにより第2固定金物22bは、後面横枠11cに固定される。
このように、第1固定金物22a及び第2固定金物22bにより構成される連結部22を介して、筐体部21が庇骨組11に取付けられる。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る玄関庇ユニットSは、庇本体部1、躯体接続部2を有して構成されている。
そして、庇本体部1は、第1固定金物22a及び第2固定金物22bにより躯体接続部2と連結される。
【0056】
よって、躯体接続部2を構成する筐体部21を建物躯体側に取付けることにより、玄関庇ユニットSは、建物の玄関口に簡易に配設される。
つまり、この筐体部21を建物躯体の庇配設位置へ差し込んで固定するのみで、簡易に玄関庇を立設することが可能となる。
【0057】
図9に、本実施形態に係る玄関庇ユニットSの納まり状態の一例を示す。
図9に示すように、玄関庇ユニットSの躯体接続部2を構成する筐体部21が、軒桁K1と床大梁K2との間に配設される。
その後、軒桁K1の前面部分に断熱材K3となるグラスウールが配設され、軒桁Kの前面に外壁材K4が貼設される。
【0058】
本実施形態に係る玄関庇ユニットSは、出荷時に、軒天板12Cを含む庇部分が全てユニット化されて完成しているため、このように建物躯体に取付けるのみで施工は完了する。
このため、施工時間が短縮されるとともに、作業自体が容易になり、作業効率が飛躍的に向上する。
【0059】
次いで、図10により、本実施形態に係る玄関庇ユニットSの組立工程について説明する。
本組立工程においては、組立治具H,Hを使用する。
組立治具Hは、角柱形状の鋼材で形成された係止壁H1と、この係止壁の一端部から略垂直に屈曲して延出する設置壁H2により、略L字形状に形成された部材である。
【0060】
そして、係止壁H1の、自由端部側には、庇ユニット固定部H11が形成されている。
庇ユニット固定部H11は、係止壁H1の内側側面(係止壁H1と設置壁H2とで形成される内隅側の側面)から、設置壁H2が延出する方向へ略垂直に突出する角柱部である。
組立治具Hは、2個一組で使用される。
【0061】
まず、図10(a)に示すように、庇骨組11を骨組みする。
これは、筐体部21を構成する後面壁21bの下側両端部を庇ユニット固定部H11,H11に載置固定し、設置壁H2が延出する方向に庇骨組11を組立てることにより行う。
【0062】
そして、これに庇外装12を構成する上部外装12a、側面外装12bを配設する。
また、このとき、ランマパネル13も取付けておく。
【0063】
次いで、図10(a)に示すように、組立治具H,HをこのままX方向に反転させて、図10(b)の状態とする。
図10(b)の状態では、玄関庇ユニットSの裏面側が立上がるため、Y方向から玄関庇ユニットSの裏面側の施工を行う。
【0064】
つまり、軒天下地12Bを、躯体接続部2を構成する筐体部21の下部開口を被覆するように、庇外装取付部11Bを構成する脚部11j,11jに渡って取付ける。
また、軒天板12Cを、第2フレームF2の前方と後面横枠11cに沿って並列するように複数敷設し、庇骨組11の下方面を全面に渡り被覆する。
【0065】
次いで、軒天ソケット14を、軒天板12Cに形成されたソケット貫通孔(図示せず)に配設する。
この状態で、玄関庇ユニットSの組立ては完了する。
このように各施工が終了した後、X方向と反対方向に、組立治具H,Hをこのまま反転させて、図10(c)の状態とする。
【0066】
そして、この状態で、トラックに積載し、玄関庇ユニットSは出荷される。
このように、組立治具H,Hを使用すれば、反転させることによって、玄関庇ユニットSの裏面側を簡易に施工することができる。
よって、生産スピードが向上するとともに、組立作業員の作業負担の軽減を図ることができる。
【0067】
更に、玄関庇ユニットSを組立治具H,Hに固定したまま、トラックに積載して搬送することが可能となるため、積載作業が容易になるとともに、輸送中の破損等もまた有効に防止することができる。
そして、建物の施工現場に到着すると、玄関庇ユニットSを組立治具H,Hから開放し、建物の躯体側に開放した玄関庇ユニットSを取付ける(例えば、図9に示すように設置する)。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る玄関庇ユニットSによれば、庇本体部1と躯体接続部2とが連結して構成されている。
よって、躯体接続部2を建物躯体に取付けるのみで、玄関庇ユニットSを簡易に設置することができる。
また、組立治具H,Hを使用すれば、玄関庇ユニットSを簡易に施工することができ、生産スピードが向上するとともに、組立作業員の作業負担の軽減を図ることができる。
更に、積載作業が容易になるとともに、輸送中の破損等もまた有効に防止することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 庇本体部
11 庇骨組
11A 庇構造部
11a 前面横枠
11b 縦枠
11c 後面横枠
11d 縦補強材
11e 第1横材
11f 第2横材
11g 第3横材
11h 鼻隠取付材
11B 庇外装取付部
11i 第1突出部
11j 脚部
11k 第2突出部
11l 第3突出部
11m 第4突出部
111,112 プレート
12 庇外装
12A 庇外装ユニット
12a 上部外装
12b 側面外装
12B 軒天下地
12C 軒天板
13 ランマパネル
14 軒天ソケット
2 躯体接続部
21 筐体部
21a 前面壁
21b 後面壁
21c 側壁
22 連結部
22a 第1固定金物
122 第1底面壁
123 第1固定壁
123a 第1ボルト孔
22b 第2固定金物
124 第2底面壁
124a 第2ボルト孔
125 第2固定壁
125a 第3ボルト孔
126 第2側壁
F1 第1フレーム
F2 第2フレーム
G1 外装板
G2 側面板
G3 鼻隠し
H 組立治具
H1 係止壁
H2 設置壁
H11 庇ユニット固定部
K1 軒桁
K2 床大梁
K3 断熱材
K4 外壁材
S 玄関庇ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関先に設置される玄関庇ユニットであって、
該玄関庇ユニットは、前記玄関上部を被覆する庇本体部と、該庇本体部から上部方向に立ち上がる躯体接続部とを有して構成されており、
前記躯体接続部は、前記庇本体部の後方側に接続されており、建物の躯体側に取付けられることを特徴とする玄関庇ユニット。
【請求項2】
前記庇本体部は、略矩形状に組まれた庇骨組を有して構成されており、
前記躯体接続部は、前記躯体に取付けられる筐体部と、該筐体部と前記庇骨組の後方側とを接続する連結部と、を有して構成されており、
前記筐体部は、4枚の鋼板により断面略矩形の筒状に組立てられた筐体であることを特徴とする請求項1に記載の玄関庇ユニット。
【請求項3】
前記庇骨組は、前面に配設される前面横枠と、該前面横枠と相対向して配設される後面横枠と、前記前面横枠と前記後面横枠の両端部を各々架橋する2個の縦枠と、を備え、
前記後面横枠の前記縦枠側端部には、連結部が上方へ突出するように固定されるとともに、前記固定金物には、前記筐体部が固定されていることを特徴とする請求項2に記載の玄関庇ユニット。
【請求項4】
前記筐体部は、前面側及び後面側に相対向して平行に配設される前面壁及び後面壁と、前記前面壁及び前記後面壁の端部を架橋する2個の側壁とを有する断面略矩形の筒状に組立てられた筐体であり、
前記前面壁及び前記後面壁は、前記前面横枠及び前記後面横枠と略平行に配設されるとともに、前記後面壁の両端部は、前記連結部を介して、前記後面横枠両端部と各々連結されていることを特徴とする請求項3に記載の玄関庇ユニット。
【請求項5】
玄関先に設置される玄関庇ユニットの組立て方法であって、
前記玄関庇ユニットは、前記玄関上部を被覆する庇本体部と、該庇本体部から上部方向に立ち上がる躯体接続部とを有して構成されており、
係止壁と該係止壁の一端部から略垂直に延出する設置壁とを有する略L字形状の組立治具を使用し、
前記設置壁を接地させ、前記係止壁を上方に起立させた状態で、
前記係止壁の上方自由端部側に前記設置壁が延出する方向へ突出するように形成された庇ユニット固定部へ前記躯体接続部を固定するとともに、前記庇本体部の庇骨組が前記設置壁が延出する方向に延出するように組上げる第1の工程と、
前記係止壁を前記設置壁が延出する方向と反対側に反転させて、前記係止壁の前記設置壁が延出する側と反対側の面を接地させ、前記設置壁を上方に起立させる第2の工程と、
前記庇骨組の裏面側の施工を行う第3の工程と、
を行うことを特徴とする玄関庇ユニット組立て方法。
【請求項6】
玄関先に設置される玄関庇ユニットを使用した玄関庇施工方法であって、
前記玄関庇ユニットは、前記玄関上部を被覆する庇本体部と、該庇本体部から上部方向に立ち上がる躯体接続部とを有して構成されており、
係止壁と該係止壁の一端部から略垂直に延出する設置壁とを有する略L字形状の組立治具を使用し、
前記設置壁を接地させ、前記係止壁を上方に起立させた状態で、
前記係止壁の上方自由端部側に前記設置壁が延出する方向へ突出するように形成された庇ユニット固定部へ前記躯体接続部を固定するとともに、前記庇本体部の庇骨組が前記設置壁が延出する方向に延出するように組上げる第1の工程と、
前記係止壁を前記設置壁が延出する方向と反対側に反転させて、前記係止壁の前記設置壁が延出する側と反対側の面を接地させ、前記設置壁を上方に起立させる第2の工程と、
前記庇骨組の裏面側の施工を行う第3の工程と、
前記設置壁を前記第2の工程と反対方向に反転させて、前記設置壁を接地させ、前記係止壁を上方に起立させる第4の工程と、
前記組立治具に固定された前記玄関庇ユニットを移動手段に積載し、搬送する第5の工程と、
前記玄関庇ユニットを前記組立治具から開放し、前記躯体接続部を建物躯体に取付ける第6の工程と、
を行うことを特徴とする玄関庇ユニットを使用した玄関庇施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−36607(P2012−36607A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176150(P2010−176150)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)