説明

玩具花火の基台

【課題】好ましい外観を有し、かつ、組立作業が容易な玩具花火の基台を提供する。
【解決手段】中央部(1)と該中央部の左右両側に連続する一対の挟持部(3)(5)とを一枚のシート状体(7)により所望の形状に形成し、各挟持部を該中央部に対し上方に略直角に折り曲げて立ち上げ、一方の挟持部(3)における各縁部(17a)(17b)を他方の挟持部(5)における対応縁部(19a)(19b)にそれぞれ固定したことを特徴とする玩具花火の基台。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具花火の基台に関するものであり、例えば、打上花火等の玩具花火を直立状態で地上に保持するための基台に係るものである。
【背景技術】
【0002】
玩具花火の基台としては、プラスチック又は紙により箱状体を形成し、該箱状体に玩具花火の基部を挿嵌する挿嵌孔を備えさせてなるものが知られている。
【0003】
特開2001−241897号公報は、紙を折曲して箱状体を形成し、該箱状体の中央に玩具花火の基部を挿嵌する挿嵌孔を備えさせ、該挿嵌孔は、その形成域内に複数の放射状切れ目を設け、隣接する切れ目間に生じた複数の折曲片をそれぞれ下向きに折曲してなる玩具花火の基台を開示している。
【特許文献1】特開2001−241897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、上記従来の玩具花火の基台は、プラスチック又は紙により箱状体を形成し、該箱状体に玩具花火の基部を挿嵌する挿嵌孔を備えさせてなるものであり、専ら打上花火を直立状態で地上に保持するという機能から生ずる必然的な形態のみを備えたものである。即ち、上記従来の玩具花火の基台は、外観上の面白みを有しないものである。また、紙製の基台においては、組立作業が複雑である。
【0005】
本発明は、上記従来の玩具花火の基台における上述の如き問題を解決し、好ましい外観を有し、かつ、組立作業が容易な玩具花火の基台を提供しようとしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、下記の玩具花火の基台を提供する。
【0007】
(1)中央部と該中央部の左右両側に連続する一対の挟持部とを一枚のシート状体により所望の形状に形成し、各挟持部を該中央部に対し上方に略直角に折り曲げて立ち上げ、一方の挟持部における各縁部を他方の挟持部における対応縁部にそれぞれ固定したことを特徴とする玩具花火の基台(請求項1)。
【0008】
(2)中央部と該中央部の左右両側に連続する一対の挟持部とを一枚のシート状体により所望の形状に形成し、該中央部における前後両端部にはそれぞれ切り欠きを形成し、該中央部における各端部をそれぞれ上方に略直角に折り曲げて立ち上げると共に、各挟持部を該中央部に対し上方に略直角にそれぞれ折り曲げて立ち上げ、各挟持部における各縁部の切り欠き側端をそれぞれ該中央部の各端部における切り欠きに係止したことを特徴とする玩具花火の基台(請求項2)。
【0009】
(3)前記いずれか一方の挟持部には、玩具花火の導火線を導出するための導火線導出穴を開閉自在に備えさせる(請求項3)。
【0010】
本願において、「前後」とは、「左右」と直角の水平方向をいうものとする。
【0011】
[発明の作用]
[請求項1の発明]
一方の挟持部における各縁部を他方の挟持部における対応縁部にそれぞれ固定することにより、玩具花火を左右両側から挟持する挟持筒が形成される。
【0012】
請求項1の基台を使用する際には、玩具花火を一対の挟持部により形成される挟持筒内に挿入し、該玩具花火の下端を中央部の上面に当接させた状態で該玩具花火を一対の挟持部により挟持させる。中央部の下面は接地する。挟持部は所望の形状を備えており、その形状は、各挟持部が立ち上がることにより、顕著に現われる。
【0013】
基台は、多数本の玩具花火用に、繰り返し使用することができる。
【0014】
[請求項2の発明]
各挟持部における各縁部の切り欠き側端をそれぞれ中央部の各端部における切り欠きに係止することにより、玩具花火を左右両側から挟持する挟持筒が形成される。
【0015】
請求項2の基台を使用する際には、玩具花火を一対の挟持部により形成される挟持筒内に挿入し、該玩具花火の下端を中央部の上面に当接させた状態で該玩具花火を一対の挟持部により挟持させる。中央部の下面は接地する。挟持部は所望の形状を備えており、その形状は、各挟持部が立ち上がることにより、顕著に現われる。
【0016】
基台は、多数本の玩具花火用に、繰り返し使用することができる。
【0017】
[請求項3の発明]
導火線導出穴を閉じたときには、玩具花火の導火線は前記挟持筒内に位置し、挟持筒の外部からは見えない。導火線導出穴を玩具花火の点火時まで閉じておくことにより、導火線が保護される。
【0018】
玩具花火の点火時には、導火線導出穴を開き、導火線を導火線導出穴から導出し、該導火線に点火する。
【0019】
因みに、導火線が露出した状態で玩具花火を店頭に陳列しておくと、悪戯により、導火線が引き抜かれ或いは点火されるおそれがある。
【発明の効果】
【0020】
挟持部は所望の形状を備えており、その形状は、各挟持部が立ち上がることにより、顕著に現われる。従って、本発明による玩具花火の基台は、極めて好ましい外観を有し、商品としての玩具花火の体裁を一層向上させる。
【0021】
本発明による玩具花火の基台は、シート状体からの組立が極めて容易である。従って、組立作業に要する人件費も節減される。
【0022】
挟持部に導火線導出穴を開閉自在に備えさせたときには、導火線導出穴を玩具花火の点火時まで閉じておくことにより、導火線が保護される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
まず、図1〜図3に示す事例について説明する。
【0024】
中央部1と該中央部1の左右両側に連続する一対の挟持部3、5とを一枚のシート状体7により所望の形状に形成する。
【0025】
シート状体7は、好ましくは、紙により形成する。
【0026】
この事例においては、中央部1は略長方形状に形成され、一対の挟持部3、5はロケットを模した形状に形成されている。
【0027】
各挟持部3、5を中央部1に対し、それぞれ折曲線9、11にて上方に略直角に折り曲げて立ち上げる。
【0028】
符号13a〜13d及び15a〜15dは、挟持部3、5に設けられた折曲線である。
【0029】
一方の挟持部3における各縁部17a、17bを他方の挟持部5における対応縁部19a、19bにそれぞれ固定する。
【0030】
一方の挟持部3における各縁部17a、17bを他方の挟持部5における対応縁部19a、19bに固定するための固定手段としては、例えば、ステープラー、糊等を用いる。
【0031】
符号21に示すものは、一対の挟持部3、5により形成される挟持筒であり、符号23に示すものは、該挟持筒21により挟持された玩具花火である。
【0032】
いずれか一方の挟持部3(5)には、玩具花火23の導火線25を導出するための導火線導出穴27を開閉自在に備えさせる。符号29に示すものは、導火線導出穴27を開閉する蓋である。
【0033】
次に、図4〜図7に示す事例について説明する。
【0034】
この事例においては、前記図1〜図3に示す事例と共通する部材、部分については、前記図1〜図3に示す事例と同一の符号を用いる。
【0035】
中央部1と該中央部1の左右両側に連続する一対の挟持部3、5とを一枚のシート状体7により所望の形状に形成する。
【0036】
シート状体7は、好ましくは、紙により形成する。
【0037】
この事例においては、中央部1は略長方形状に形成され、一対の挟持部3、5はロケットを模した形状に形成されている。
【0038】
中央部1における前後両端部31、33にはそれぞれ切り欠き35、37を形成する。
【0039】
中央部1における各端部31、33をそれぞれ折曲線39、41にて上方に略直角に折り曲げて立ち上げる。
【0040】
各挟持部3、5を中央部1に対し、それぞれ折曲線43、45にて上方に略直角に折り曲げて立ち上げ、各挟持部3、3における各縁部17a、17b、19a、19bの切り欠き側端47a、47b、49a、49bをそれぞれ中央部1の各端部31、33における切り欠き35、37に係止する。図7参照。
【0041】
挟持部3、5は折曲線13a〜13d及び15a〜15dを備えている。
【0042】
玩具花火23は、一対の挟持部3、5により形成された挟持筒21により挟持される。
【0043】
いずれか一方の挟持部3(5)には、玩具花火23の導火線25を導出するための導火線導出穴27を開閉自在に備えさせる。符号29に示すものは、導火線導出穴27を開閉する蓋である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による玩具花火の基台の一例を示す展開図である。
【図2】同上基台を組み立てた状態を示す正面図である。
【図3】同上基台を組み立てた状態を示す側面図である。
【図4】本発明による玩具花火の基台の別の一例を示す展開図である。
【図5】同上基台を組み立てた状態を示す正面図である。
【図6】同上基台を組み立てた状態を示す側面図である。
【図7】挟持部における縁部の切り欠き側端を中央部の端部における切り欠きに係止する状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 中央部
3 挟持部
5 挟持部
7 シート状体
9 折曲線
11 折曲線
13a 折曲線
13b 折曲線
13c 折曲線
13d 折曲線
15a 折曲線
15b 折曲線
15c 折曲線
15d 折曲線
17a 縁部
17b 縁部
19a 縁部
19b 縁部
21 挟持筒
23 玩具花火
25 導火線
27 導火線導出穴
29 蓋
31 端部
33 端部
35 切り欠き
37 切り欠き
39 折曲線
41 折曲線
43 折曲線
45 折曲線
47a 切り欠き側端
47b 切り欠き側端
49a 切り欠き側端
49b 切り欠き側端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部と該中央部の左右両側に連続する一対の挟持部とを一枚のシート状体により所望の形状に形成し、各挟持部を該中央部に対し上方に略直角に折り曲げて立ち上げ、一方の挟持部における各縁部を他方の挟持部における対応縁部にそれぞれ固定したことを特徴とする玩具花火の基台。
【請求項2】
中央部と該中央部の左右両側に連続する一対の挟持部とを一枚のシート状体により所望の形状に形成し、該中央部における前後両端部にはそれぞれ切り欠きを形成し、該中央部における各端部をそれぞれ上方に略直角に折り曲げて立ち上げると共に、各挟持部を該中央部に対し上方に略直角にそれぞれ折り曲げて立ち上げ、各挟持部における各縁部の切り欠き側端をそれぞれ該中央部の各端部における切り欠きに係止したことを特徴とする玩具花火の基台。
【請求項3】
前記いずれか一方の挟持部には、玩具花火の導火線を導出するための導火線導出穴を開閉自在に備えさせたことを特徴とする請求項1又は2に記載の玩具花火の基台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−170564(P2006−170564A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366173(P2004−366173)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(592072551)井上玩具煙火株式会社 (7)