説明

玩具銃の安全装置

【目的】 安全装置の掛け忘れをなくすことにより、誤発射や暴発をなくし、動力を無駄に消費させない。
【構成】 片手の或る指で操作可能な引き金11と、同じ手の他の指で操作可能な操作片12を銃本体10の握り部近くに配置する。前記引き金11の移動軌跡上に位置するように常時、弾性手段13によって付勢され、前記操作片12を弾性手段13に抗して操作したときに前記移動軌跡外へ移動し、引き金11の操作を可能にする停止片14を操作片12と一体的に設ける。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案が属する技術分野】
本考案は、玩具銃を作動させるための引き金の移動を拘束し、玩具銃を不作動状態にする安全装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
誤射や暴発の防止のために、引き金を引けないように拘束する安全装置は玩具銃においても公知である。しかし、従来の安全装置は、例えばオン、オフの2位置に切り替えるもので、オン位置では発射可能であるが、オフ位置では発射不可能となる。このため、オフ等不作動位置への切り替えを忘れると安全装置は機能しない。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、安全装置は常に働いておりこれを解除した場合にのみ玩具銃を作動させることができるようにすることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本考案は、片手の或る指で操作可能な引き金11と、同じ手の他の指で操作可能な操作片12を銃本体10の握り部近くに配置し、引き金11の移動軌跡上に位置するように常時、弾性手段13によって付勢され、前記操作片12を弾性手段13に抗して操作したときに前記移動軌跡外へ移動し、引き金11の操作を可能にする停止片14を操作片12と一体的に設けたものである。
【0005】
引き金11は、片手の或る指例えば人差指で操作し、操作片12は同じ手の他の指例えば親指で操作する。故に操作片12を操作しながら、引き金11を操作するのが容易である。
【0006】
操作片12を操作することで、引き金11の移動軌跡外へ停止片14を移動させることができるので安全装置は解除状態になる。故に引き金11を引いて玩具銃を作動させることができるが、操作片12の操作を止めたときは常に不作動状態である。
【0007】
【考案の実施の形態】
玩具銃Aは、それを作動させるための手段として、所謂引き金11を有し、またその運動を拘束して玩具銃Aを不作動状態にする手段として、所謂安全装置Sを有する。
【0008】
引き金11は片手の或は指、通常右利き用の場合は右手の人差指で操作可能、安全装置Sの操作片12は同じ手の他の指、通常は右手の親指で操作可能な、銃本体10の握り部15の付近の位置に夫々配置する。通常の場合人差指は握り部15の右に、親指は握り部15の左に来るので、操作片12を親指で押しながら人差指で引き金11を引く、というのは無理のない構成である。
【0009】
実施例の場合、引き金11は、ほぼ前後方向の移動軌跡を有するように銃本体10に組み込まれ、ばね手段16によって前方へ付勢されている。実施例の引き金11は、電動モータで示された回転機17を回転させるスイッチ手段18を切り替える部材である。そのためスイッチ手段18の操作子18aを嵌める嵌合部18bを有する。
【0010】
引き金11の、前後方向の移動軌跡上に常時位置するように弾性手段13によって付勢される停止片14が操作片12と一体的に設けられる。停止片14との接触をより自由に或いは確実にするため、接触部19を引き金11の外方へ突出させて設けることができる。故に停止片14は接触部19の移動軌跡上に配置される。
【0011】
実施例において、停止片14は操作片12と軸体20によって一体化され、銃本体10に回転可能に取り付けられる(図2)。実施例の停止片14は、コイルばねで示された弾性手段13によって、係合部21が引き金11(の接触部19)の移動軌跡上へ突出するように付勢されている。13a、13bはコイルばねの停止部を示す。
【0012】
停止片14を不作動位置に規定するため、それ以上の回転を防止する不作動位置決め部22と、停止片14を作動位置に規定し、それ以上の回転を防止する作動位置決め部23とが設けられる。実施例の場合これら両位置決め部22、23共に操作片12と接触するように銃本体10の外面に設けている(図3)。
【0013】
故に操作片12を回転させると弾性手段13として例示されたコイルばねは、停止片14の外周に巻き付くようにして伸ばされる(図5)。そのコイルばねの外れ止め24としつば状の凸部が停止片14の外周に設けられる。
【0014】
なお実施例の玩具銃Aは、引き金操作によって弾丸Bを発射させる機構を有する。即ち、回転機17の回転力は減速歯車25を通じてピストン26をラックアンドピニオン27の噛合分だけ後退させ、かつその過程でシリンダ28をも僅か後退させて最先端の弾丸Bを1発、発射位置Dへ装填し、強いばねからなる蓄圧手段29の瞬時解放によりピストン26を前進させてノズル30からエアを噴射し前記弾丸Bを発射させることとなる。
【0015】
【考案の効果】
本考案は以上の如く構成されかつ作用するものであるから、操作片12を操作しないうちは停止片14が引き金11の移動軌跡上に占位しているため、引き金11を引いてもそれを移動させて玩具銃を作動させることができない。しかし、操作片12を操作して停止片14を前記移動軌跡外へ移動させておいてから引き金11を引くと、引き金11は移動軌跡上を移動し、玩具銃を作動させることができるので、安全装置の切り替えを忘れるということがなく、動力を無駄に消費するという問題も起らない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る玩具銃の安全装置の実施例を示す縦断面図。
【図2】同じく実施例の分解斜視図。
【図3】操作片の動きを示す銃本体の外面図。
【図4】安全装置作動状態の説明図。
【図5】引き金を引いた状態の説明図。

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 玩具銃を作動させるための引き金の移動を拘束し、玩具銃を不作動状態にする安全装置であって、片手の或る指で操作可能な引き金11と、同じ手の他の指で操作可能な操作片12を銃本体10の握り部近くに配置し、引き金11の移動軌跡上に位置するように常時、弾性手段13によって付勢され、前記操作片12を弾性手段13に抗して操作したときに前記移動軌跡外へ移動し、引き金11の操作を可能にする停止片14を操作片12と一体的に設けたことを特徴とする玩具銃の安全装置。
【請求項2】 停止片14との接触をより自由に或いは確実にするため、接触部19を引き金11の外方へ突出させて設けた構成を有する請求項第1項記載の玩具銃の安全装置。
【請求項3】 停止片14は操作片12と軸体20によって一体化され、銃本体10に回転可能に取り付けられた構成を有する請求項第1項記載の玩具銃の安全装置。
【請求項4】 停止片14を不作動位置に規定するため、それ以上の回転を防止する不作動位置決め部22と、停止片14を作動位置に規定し、それ以上の回転を防止する作動位置決め部23とを設けた請求項第1項記載の玩具銃の安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【登録番号】第3021876号
【登録日】平成7年(1995)12月13日
【発行日】平成8年(1996)3月12日
【考案の名称】玩具銃の安全装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平7−9821
【出願日】平成7年(1995)8月24日
【出願人】(592153584)株式会社東京マルイ (29)