説明

現地操作盤

【課題】
現地操作盤の操作を終了した後、現地操作盤の手動操作を可能とする専用鍵が盤面のキースイッチに挿入された状態のままであった場合に、その状態を確実に察知できるようにし、専用鍵が盤面のキースイッチに挿入されたまま放置されることがないようにすることを課題とする。
【解決手段】
専用鍵を現地操作盤の盤面の操作部に挿入したままでは、操作部を保護する盤面扉を閉鎖しようとしても、これが閉止しない位置で専用鍵頭頂部に当接し、盤面扉が閉まらないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現地操作盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建造物等の防火対象物に設置し、火災を自動的にあるいは手動操作によって消火する消火システムの制御装置として、防災センタ等の集中管理施設に設置して消火システムを集中制御する消火システム制御盤(散水制御盤ともいう)や、消火対象である防護区画を直接監視可能である、あるいは、遠隔操作しようとする消火装置を直接目視可能であるような、消火対象または消火装置の近傍位置に設置する現地操作盤、等がある。
【0003】
現地操作盤は、消火装置を手動操作することによって火災の消火作業を行うことができるようになっており、特許文献1に示すようなものがある。この特許文献1に示された手動操作盤(本発明における現地操作盤に相当)の盤面には、火災時や放水時に点灯する火災灯や放水中灯、放水を行う区画を選択するスイッチ、自動モードで放水するか、手動モードで放水するかを選択する操作部、放水を停止する停止スイッチ、自動モードまたは手動モードのどちらのモードが選択されているかを示す表示灯、手動操作を行う制御装置を選択する操作権のスイッチ、その選択によって手動操作可能となった制御装置を示す表示灯、などが設けられる。
【0004】
このような現地操作盤では、消火システムが手動放水モードで動作している場合は、専用鍵でキースイッチを操作することによって、放水操作を許可したり、盤面操作自体を許可するようにしているものがあり、盤面操作が可能となった現地操作盤は手動操作で放水区画を選択操作したり、操作権を取得したり、任意の区画に放水したり、といった手動操作を行えるようになっている。そして、実際に消火活動を行ったり、点検のために手動操作を行ったりした現地操作盤は、事後に専用鍵を回収して保管する必要がある。現地操作盤は放水区画等を目視確認できる位置に設置され、不特定多数の人がアクセスし易い位置にあるので、平常状態に復する際に専用鍵がそのまま放置され、何者かに消火システムを勝手に手動操作されるようなことがあってはならないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の現地操作盤は、平常時は盤面操作を禁止し、中央からの操作で現地操作盤の盤面操作が可能となるような制御(例えば、電磁ロックの解除)等を行なうことはあったが、操作終了後に勝手な操作を禁止する手段が講じられてこなかった。すなわち、現地操作盤の手動操作を可能とする専用鍵をその操作部である盤面のキースイッチに挿入したまま、これを放置してしまうと、不特定多数の人がアクセスし易い位置に設置された現地操作盤は、何者かに消火システムを勝手に手動操作される虞があった。本発明は、現地操作盤の操作を終了した後、専用鍵が盤面のキースイッチに挿入された状態であった場合に、その状態を確実に察知できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る現地操作盤は、操作部を保護する回動可能な盤面扉を有し、遠隔操作対象または防護対象を目視確認できる位置に配設され、平常時は前記遠隔操作対象の手動操作が禁止され、専用鍵を前記操作部に挿入して操作することによって前記遠隔操作対象が手動操作可能となる現地操作盤において、前記専用鍵を挿入した状態では、前記盤面扉を閉鎖しようとしても該盤面扉が閉止しない位置で前記専用鍵頭頂部に前記盤面扉が当接し、該盤面扉が閉まらないことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明に係る現地操作盤は、前記盤面扉は、該盤面扉が回動可能に取り付けられる支点から最も遠い側面に、前記盤面扉が閉止していない状態を表示する手段を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係る現地操作盤は、前記盤面扉が閉止していない状態を検出する扉スイッチを有し、該扉スイッチが所定時間を超えて作動したときに警報を発することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係る現地操作盤は、前記専用鍵が、前記遠隔操作対象を操作可能な操作位置で着脱できないことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る現地操作盤は、請求項1および2の構成によると、点検や消火作業等において手動操作した後に使用した専用鍵をそのまま置き忘れた場合は、現地操作盤の目視点検を行うことにより置き忘れを知ることができるので、専用鍵が操作部に挿入されたまま放置されることを防止できる。
【0012】
また、本発明に係る現地操作盤は、請求項3の構成によると、点検や消火作業等において手動操作した後に使用した専用鍵をそのまま置き忘れた場合は、防災センタ等に信号を送出して警報することができるので、専用鍵が操作部に挿入されたまま放置されることを防止できる。
【0013】
また、本発明に係る現地操作盤は、請求項4の構成によると、専用鍵さえ操作部に挿入したまま放置しなければ、現地操作盤を勝手に手動操作されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係る現地操作盤100の外観図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る現地操作盤100の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る現地操作盤100のキースイッチに専用鍵を挿入する状態を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る現地操作盤100のキースイッチに専用鍵を挿入した状態を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る現地操作盤100のキースイッチに専用鍵を挿入した状態で盤面扉を閉めようとしたときを説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る現地操作盤100のキースイッチに専用鍵を挿入した状態で盤面扉を閉めようとしたときを説明する断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る現地操作盤200の外観図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る現地操作盤300の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施の形態1]
本実施の形態に係る現地操作盤について、その構成を図1乃至図3に基づいて説明する。
【0016】
遠隔操作対象である消火装置等、または、防護対象である空間や設備等を目視確認できる位置に配設された現地操作盤100の前面には、現地操作盤100の本体を開閉可能な本体扉1を備えても良く、ここでは本体扉1を備えるものとして説明する。
【0017】
現地操作盤100は、本体扉1の前面から落とし込んだ位置に操作部としての操作パネル2が設けられ、さらに、その前面には操作パネル2を保護する盤面扉としてのアクリルパネル3が本体扉1に設けられる。アクリルパネル3は、支点としての蝶番4(例えば軸蝶番)によって本体扉1へ回動可能に取り付けられ、蝶番4の支点から最も遠い辺にマグネットキャッチ受け金具5が設けられ、アクリルパネル3を閉じたときは本体扉1側に設けられたマグネットキャッチ6の磁力によって閉止される。また、アクリルパネル3が閉止した状態では、本体扉1と略面一となるようになっており、本体扉1の前面より内側に位置するようになり、その側面部分は本体扉1から露出しない状態となる(図1および図2参照)。
【0018】
操作パネル2には、遠隔操作対象を手動操作可能とするキースイッチ7が設けられ、キースイッチ7を操作可能とし、キースイッチ7と対である専用鍵8が挿入できるようになっている(図3参照)。なお、キースイッチ7は、遠隔操作対象を手動操作可能な操作位置で専用鍵8が着脱できないようになっており、専用鍵8が無い状態で手動操作が可能とならないようにし、平常時は遠隔操作対象の手動操作が確実に禁止されるようになっている。
【0019】
次に、本実施の形態に係る現地操作盤について、その動作を図4乃至図6に基づいて説明する。
【0020】
現地操作盤100を手動操作するときは、専用鍵8を操作パネル2のキースイッチ7に挿入する(図4参照)。
【0021】
そして、現地操作盤100を操作して、遠隔操作対象である消火装置等を手動操作した後に、専用鍵8をキースイッチ7に残したままでは、アクリルパネル3を閉じることができないようにしている。
【0022】
すなわち、操作パネル2は本体扉1の前面よりも奥に位置するもので、専用鍵8をキースイッチ7に挿入しない状態では、アクリルパネル3は端部のマグネットキャッチ受け金具5がマグネットキャッチ6に当接するまで閉じ、閉止させることができるようになっているが、専用鍵8をキースイッチ7に挿入した状態では、専用鍵8の頭頂部が本体扉1の前面より飛び出すようにする。すなわち、キースイッチ7が設けられる操作パネル2は本体扉1よりも長さαだけ奥まっているとし、キースイッチ7に挿入した専用鍵8の頭頂部と操作パネル2との距離がβであるとすると、α<βの関係となるようにするのである。このように構成することにより、専用鍵8を挿入したままではアクリルパネル3が閉止しない位置で専用鍵8の頭頂部に当接し、アクリルパネル3を閉止位置まで閉じることができないようにするのである(図5および図6参照)。
【0023】
したがって、離れた位置からでも現地操作盤100のアクリルパネル3が開いたままであることを目視確認することによって、専用鍵8が挿入されたままである可能性を察知することができ、そのときに現地操作盤100まで行ってアクリルパネル3を閉じられないことを確認すると、専用鍵8が挿入されたままであることを確認できる。そして、専用鍵8を回収することができるので、専用鍵8がキースイッチ7に挿入されたままで現地操作盤100の手動操作が可能な状態を回避することができる。
[実施の形態2]
本実施の形態に係る現地操作盤200について、その構成を図7に基づいて説明する。なお、実施の形態1と名称も機能も同じものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0024】
実施の形態2が実施の形態1と異なる点は、盤面扉としてのアクリルパネル3において、アクリルパネル3を回動可能に取り付けられる支点としての蝶番4から最も遠い側面9に、アクリルパネル3が閉止していない状態を表示する手段を備えたことにある。
【0025】
側面9に設ける表示手段としては、アクリルパネル3が閉止していない状態を離れた位置から視覚的に察知できるものであれば良く、例えば、側面9に赤色等の警戒色の塗料を塗布したり、側面9に粘着面を有する赤色等の警戒色のテープを貼ったり、これらの警戒色を蛍光色としたり、側面9に粘着面を有する反射テープを貼ったりする。また、積極的に発光するものとして、例えば、側面9に蓄光塗料を塗布したり、側面9に粘着面を有する蓄光テープを貼る等して、暗所での対応を可能としても良い。
【0026】
このように構成することによって、離れた位置から現地操作盤200のアクリルパネル3が開いたままであることを目視確認し易くすることができるので、専用鍵8がキースイッチ7に挿入されたままで現地操作盤200の手動操作が可能な状態を回避することができる。
[実施の形態3]
本実施の形態に係る現地操作盤300について、その構成を図8に基づいて説明する。なお、実施の形態1または2と名称も機能も同じものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0027】
実施の形態3が実施の形態1または2と異なる点は、盤面扉としてのアクリルパネル3が閉止していない状態を検出する扉スイッチ10を備えたことにある。
【0028】
すなわち、アクリルパネル3が、その端部のマグネットキャッチ受け金具5がマグネットキャッチ6の磁力で閉止するときに、扉スイッチ10から突出した検出部をアクリルパネル3が押圧して摺動させ、扉スイッチ10に設けられたスイッチを動作させるものである。
【0029】
なお、扉スイッチ10に設けられる図示しない電気的接点は、アクリルパネル3開放時にオフし、アクリルパネル3閉止時にオンするようにしても良いし、逆に、アクリルパネル3開放時にオンし、アクリルパネル3閉止時にオフするようにしても良い。
【0030】
また、扉スイッチ10は、上記説明のような機械式スイッチ以外、例えば、アクリルパネル3またはアクリルパネル3に設けた磁性体等の被検出部の接触の有無を検出できるような接触センサ等の電子的センサを用いるものであっても良い。
【0031】
このような扉スイッチ10を設け、アクリルパネル3が閉止していないときの信号によって警報を発するようにする。なお、上記信号が予め設定した所定時間以上継続して作動したときに警報を発するようにすることが信頼性を確保する上で望ましい。なお、上記警報は、視覚的なものであって良いし、音響によるものであって良いし、これらを複合的に警報するものであっても良い。また、警報する位置は、現地操作盤300であって良いし、図示しない防災センタに配設された監視装置、例えば、消火システム制御盤であっても良い。
【0032】
このように構成することによって、離れた位置から現地操作盤300のアクリルパネル3が開いたままであることを確認することができるので、専用鍵8がキースイッチ7に挿入されたままで現地操作盤300の手動操作が可能な状態を回避することができる。
【符号の説明】
【0033】
100、200、300 現地操作盤、 1 本体扉、 2 操作パネル、
3 アクリルパネル、 4 蝶番、 5 マグネットキャッチ受け金具、
6 マグネットキャッチ、 7 キースイッチ、 8 専用鍵、
9 アクリルパネル側面、 10 扉スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部を保護する回動可能な盤面扉を有し、
遠隔操作対象または防護対象を目視確認できる位置に配設され、
平常時は前記遠隔操作対象の手動操作が禁止され、
専用鍵を前記操作部に挿入して操作することによって前記遠隔操作対象が手動操作可能となる現地操作盤において、;
前記専用鍵を挿入した状態では、前記盤面扉を閉鎖しようとしても該盤面扉が閉止しない位置で前記専用鍵頭頂部に前記盤面扉が当接し、該盤面扉が閉まらないことを特徴とする現地操作盤。
【請求項2】
前記盤面扉は、該盤面扉が回動可能に取り付けられる支点から最も遠い側面に、前記盤面扉が閉止していない状態を表示する手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の現地操作盤。
【請求項3】
前記盤面扉が閉止していない状態を検出する扉スイッチを有し、該扉スイッチが所定時間を超えて作動したときに警報を発することを特徴とする請求項1または2に記載の現地操作盤。
【請求項4】
前記専用鍵が、前記遠隔操作対象を操作可能な操作位置で着脱できないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の現地操作盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−183(P2013−183A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131576(P2011−131576)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】