説明

現金処理機

【課題】現金処理機において、釣銭準備金として必要な釣銭金種の紙幣の減少を抑制する手段を提供する。
【解決手段】釣銭金種の紙幣を金種別に収納する釣銭収納庫14と、釣銭に引当てる非釣銭金種の紙幣を金種混在させて収納する釣銭引当金収納庫17と、売上金の紙幣を金種混在させて収納する売上金収納庫18とを備え、1日分の最低売上高を設定し、各入金処理において、最低売上高に達するまでは、非釣銭金種の紙幣を全て売上金収納庫18へ収納すると共に釣銭金種の紙幣を全て釣銭収納庫14へ金種別に収納し、最低売上高に達した後は、売上金に充当する金種別内訳枚数を、非釣銭金種の高額金種を優先させ、不足分を釣銭金種の高額金種を優先させて算出し、算出された金種別内訳枚数の内数の紙幣を売上金収納庫18へ収納すると共に、外数の紙幣は、釣銭金種の紙幣を釣銭収納庫14へ金種別に収納し、非釣銭金種の紙幣を釣銭引当金収納庫17へ収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小売業の店舗等に設置され、レジスタへ釣銭準備金としての現金を出金する機能と、レジスタから入金された現金を売上金と釣銭準備金とに区分して収納する機能とを備えた現金処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、小売業の店舗では、売上金や釣銭準備金の入出金処理を自動で行うために現金処理機が導入されている。
【0003】
また、現金処理機に収納されている売上金は、売上金の輸送を委託された警備会社等の警送会社が売上金を収納した売上金収納庫を店舗から回収して銀行等に輸送するため、売上金収納庫には、正確な額の売上金が確実に収納されていることが必要になる。
【0004】
このような小売業の店舗で用いられる従来の現金処理機は、レジスタからの釣銭準備金を含む紙幣の回収時に売上金と釣銭準備金とを混在させた紙幣が投入されると、投入された紙幣は鑑別部で金種等を鑑別、計数して一時保留部に集積し、レジ担当者による入金金額の確認後に、一時保留部から繰出した紙幣を鑑別部で再鑑別し、その鑑別結果に基づいて、釣銭準備金の相当額は釣銭収納庫に収納し、売上金の相当額は紙幣回収庫に収納し、入金確定後の収納時のリジェクト紙幣はリジェクト庫へ収納し、リジェクト紙幣を収納した場合は、紙幣回収庫へ収納した実収納額が売上金に満たない場合は、その差額を釣銭収納庫から紙幣回収庫へ移動させて、入金処理毎に正確な額の売上金を紙幣回収庫に収納している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−77336号公報(主に、段落0029−0035、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術においては、入金処理毎に売上金相当額を紙幣回収庫へ、釣銭準備金相当額を釣銭収納庫へ収納し、紙幣回収庫の実収納額が売上金に満たない場合は、その差額を釣銭収納庫から紙幣回収庫へ移動させているため、収納時のリジェクト紙幣が多く発生した場合は、循環使用可能な釣銭金種の紙幣、例えば5千券や千券が紙幣回収庫に収納されることになり、入金された紙幣に非釣銭金種の紙幣、例えば万券や2千券が少ない場合は、売上金相当額を構成する金種に釣銭金種の紙幣が多く含まれることになり、入金された紙幣に非釣銭金種の紙幣が多過ぎる場合は、釣銭準備金の相当額を構成する金種に非釣銭金種の紙幣が多く含まれることになって、結果として釣銭収納庫に収納される釣銭金種の紙幣が減少し、釣銭準備金の管理を円滑に行うことができない場合があるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、売上金と釣銭準備金とを区分して収納する現金処理機において、釣銭準備金として必要な釣銭金種の紙幣の減少を抑制する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、釣銭金種の紙幣を、金種別に収納する釣銭収納庫と、釣銭に引当てる非釣銭金種の紙幣を、金種を混在させて収納する釣銭引当金収納庫と、売上金の紙幣を、金種を混在させて収納する売上金収納庫とを備えた現金処理機であって、1日分の最低売上高を設定しておき、各入金処理において、前記最低売上高に達するまでは、非釣銭金種の紙幣を全て前記売上金収納庫へ収納すると共に、釣銭金種の紙幣を全て前記釣銭収納庫へ金種別に収納し、前記最低売上高に達した後は、売上金に充当する金種別内訳枚数を、非釣銭金種の高額金種を優先させ、不足分を釣銭金種の高額金種を優先させて算出し、算出された前記金種別内訳枚数の内数の紙幣を前記売上金収納庫へ収納すると共に、前記金種別内訳枚数の外数の紙幣は、釣銭金種の紙幣を前記釣銭収納庫へ金種別に収納し、非釣銭金種の紙幣を前記釣銭引当金収納庫へ収納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
これにより、本発明は、最低売上高に達するまでは、循環使用可能な釣銭金種の紙幣を釣銭準備金として釣銭収納庫へ収納することができ、釣銭金種の紙幣の収納枚数を多く残して、売上金と釣銭準備金とを区分して収納する現金処理機の入金処理における釣銭金種の紙幣の減少を抑制することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例の現金処理機を示すブロック図
【図2】実施例の紙幣入出金機を示すブロック図
【図3】実施例の入金処理を示すフローチャート
【図4】実施例の入金処理を示すフローチャート
【図5】実施例の入金処理の処理結果を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して本発明による現金処理機の実施例について説明する。
【実施例】
【0012】
図1において、1は現金処理機であり、百貨店やスーパーマーケット等の小売業の店舗に設置され、店舗内の売場に設置されている複数のレジスタ2との間で、レジスタ2に供給した現金(紙幣および硬貨)およびレジスタ2から回収された現金等の現金の入出金を管理する装置である。
【0013】
なお、本実施例おいては、紙幣を取扱う場合を例に説明する。
【0014】
また、釣銭準備金は、開店前等に店舗内の売場に設置されているレジスタ2に釣銭として準備しておく紙幣のことをいい、釣銭として用いる金種を釣銭金種(本実施例では循環使用に用いる5千円紙幣(5千券という。)および1千円紙幣(千券という。))と、それ以外の金種を非釣銭金種(本実施例では1万円紙幣(万券という。)および2千円紙幣(2千券という。))という。
【0015】
3は現金処理機1の制御部であり、現金処理機1内の各部を制御して業務処理等を実行する。
【0016】
4は記憶部であり、制御部3が実行するプログラムや制御部3による処理結果等が格納される。
【0017】
5は表示部であり、LCD等の表示画面とタッチパネル等の入力手段との組合せで構成されており、表示画面に取引選択画面や、入金された紙幣の計数結果、出金する釣銭準備金の金種別の内訳、店舗の管理者やレジスタ2のレジ担当者(レジ担当者という。)、警送会社の輸送担当者等の係員に対する処置を促す文言等を表示する機能を有する他、入力手段により係員からの処理種別の選択入力等を受付ける機能を有している。
【0018】
6は入力部であり、表示内容を確認したこと等を指示する確認ボタン等の各種の指示入力のための入力ボタンや、後述する最低売上高や釣銭準備金等の金額を入力するためのテンキー等が設けられており、係員からの指示入力や金額の入力等の各種の入力を受付ける機能を有している。
【0019】
7はカード取扱部であり、パスさせた係員の係員カードの磁気ストライプやICチップ等に記録されている係員IDやレジスタ番号等のカード情報を読取る機能を有している。
【0020】
8は印刷部であり、プリンタ等を備えており、現金処理機1による入金や出金の履歴およびその集計結果等を明細票に印刷して排出する機能を有している。
【0021】
9は硬貨入出金機であり、入金時に投入された硬貨を受入れ、これを鑑別および計数して、釣銭準備金および売上金に区分して収納庫に収納し、出金時に釣銭準備金の硬貨を収納庫から繰出し、これを計数して係員に引渡す機能を有している。
【0022】
10は紙幣入出金機であり、入金時に投入された紙幣を受入れ、これを鑑別および計数して、釣銭準備金および売上金に区分して収納し、出金時に釣銭準備金の紙幣を繰出し、これを計数して係員に引渡す機能を有している。
【0023】
図2において、11は紙幣入出金機10の接客部であり、係員が投入した紙幣を受入れ、これを1枚毎に分離して繰出す分離機構、係員に引渡す紙幣を集積する集積機構、および紙幣の投入時および取出時に接客部11を開閉するシャッタ等を備えている。
【0024】
12は鑑別部であり、搬送された紙幣の真偽や正損、金種等を識別する機能、および重送、連鎖、斜行等の搬送異常を検出する機能等の、紙幣に対する各種の鑑別を行う機能を有している。
【0025】
13は一時保留部であり、接客部11に投入された紙幣で、鑑別部12によって真券と鑑別され、取込可能と鑑別された紙幣を集積して一時保留する収納部であって、紙幣を1枚毎に分離して繰出す分離機構および搬送された紙幣を集積する集積機構を備えている。
【0026】
14は釣銭収納庫であり、釣銭金種の紙幣を金種別に収納する金庫であって、それぞれ紙幣を集積すると共に収納している紙幣を1枚毎に分離して繰出す分離集積機構を備えており、紙幣入出金機10に設けられた釣銭収納庫用扉を店舗の管理者等の係員が所持する鍵で解錠することによって、釣銭収納庫14内の紙幣の取出しが可能となるように構成されている。本実施例の釣銭収納庫14は、千券を収納する千券収納庫15と、5千券を収納する5千券収納庫16とで構成される。
【0027】
17は釣銭引当金収納庫であり、釣銭に引当てる非釣銭金種の紙幣、および入金金額の確定後に鑑別部12で搬送異常等のために金種不明と鑑別された収納時のリジェクト紙幣を混在させて収納する収納庫であって、搬送された紙幣を集積する集積機構のみを備えており、釣銭収納庫用扉を店舗の管理者等の係員が所持する鍵で解錠することによって、釣銭引当金収納庫17内の紙幣の取出しが可能となるように構成されている。
【0028】
18は売上金収納庫であり、売上金を構成する紙幣を金種に関わらず混在させて収納する金庫であって、搬送された紙幣を集積する集積機構のみを備えており、紙幣入出金機10に設けられた売上金収納庫用扉を警送会社の輸送担当者等の係員が所持する鍵で解錠することによって、売上金収納庫18または売上金収納庫18内の紙幣の取出しが可能となるように構成されている。
【0029】
本実施例の売上金収納庫18には、主に非釣銭金種である万券および2千券が収納されるが、非釣銭金種では充当できない売上金の不足分に相当する金額は、釣銭金種の5千券および/もしくは千券で構成して収納される。
【0030】
なお、本実施例の売上金収納庫18および釣銭引当金収納庫17が繰出機構を備えていないのは、例えば、締上後に売上金収納庫18に収納されている5千券や千券を釣銭収納庫14に移動させ、これに相当する金額の紙幣を釣銭引当金収納庫17から繰出して売上金収納庫18へ収納する両替によって、釣銭収納庫14に収納されている釣銭金種の紙幣の枚数を増加させようとすると、売上金収納庫18から繰出された紙幣が重送等によって金種不明と鑑別された場合は、売上金収納庫18に収納されている収納額が不明になって、売上金収納庫18に正確な金額の売上金が収納されていることを保証できなくなるからである。このため本実施例の紙幣入出金機10では、売上金収納庫18および釣銭引当金収納庫17に不必要な繰出機構を省略して構造の簡素化を図っている。
【0031】
19は搬送路であり、ベルト対またはローラ対で紙幣の表裏両面を挟持して搬送する搬送路であって、上記の各部の間を接続して紙幣を搬送する機能を有しており、搬送路19の各分岐部には、切替ブレード等により紙幣の搬送方向を切替える切替機構が設けられている。
【0032】
本実施例の現金処理機1の記憶部4には、レジスタ2への釣銭準備金の紙幣を出金する出金処理や、図3、図4を用いて説明するレジスタ2から回収された売上金を含む紙幣を受入れ、これを売上金と釣銭準備金とに区分して収納する入金処理等の現金処理機1が行う業務処理を実行する機能を有する業務処理実行プログラムが予め格納されており、制御部3が実行する業務処理実行プログラムのステップにより本実施例の現金処理機1の各機能手段が形成される。
【0033】
また、記憶部4には、釣銭金種(5千券、千券)および非釣銭金種(万券、2千券)が予め設定されて格納され、係員IDに対応させて当該係員が行うことを許可された入金作業や出金作業等の操作資格を格納した資格テーブルが予め設定されて格納されている。
【0034】
更に、記憶部4には、鑑別部12で鑑別され一時保留部13へ集積された紙幣を金種別に計数するための取込枚数カウントエリア、釣銭収納庫14に収納した枚数を釣銭収納庫14別に計数するための釣銭枚数カウントエリア、売上金収納庫18に収納した枚数を金種別に計数するための売上金枚数カウントエリア、釣銭引当金収納庫17に収納した金種別の枚数と収納時のリジェクト紙幣の収納回数とを計数するための釣銭引当金カウントエリア、入金を行った係員の係員ID、入金日時、入金金額等からなる入金の履歴情報と、出金を行った係員の係員ID、出金日時、出金金額等からなる出金の履歴情報とを格納するための履歴情報格納エリアが予め確保されている。
【0035】
更に、記憶部4には、入金処理により入金された売上金の現在までの合計金額である現在売上高を格納するための現在売上高格納エリア、売上金の収納差額の内訳枚数(後述)を金種別にカウントするための内訳枚数カウントエリアが予め確保されている。
【0036】
本実施例の売上金は売上金収納庫18に収納されている紙幣で構成され、釣銭準備金は各釣銭収納庫14および釣銭引当金収納庫17に収納されている紙幣で構成される。
【0037】
このため、釣銭準備金の総額は、釣銭枚数カウントエリアおよび釣銭引当金カウントエリアで計数された総額とは一致しないが、締上時には、履歴情報格納エリアに記録された出金金額の総額を釣銭準備金の総額とし、入金金額の総額から出金金額の総額を減じた金額を売上金の総額として取扱う。
【0038】
本実施例の現金処理機1の入金処理においては、店舗における1日分の最低売上高が設定され、その最低売上高は、過去の月間売上実績または年間売上実績等を基にした統計処理により、1日分の売上高として確実に売上げることができる金額に設定されており、その金額が予め入力部6から入力されて記憶部4に格納されている。本実施例の最低売上高は、140千円(14万円)に設定されている。
【0039】
この場合に、曜日や月により最低売上高が変動する場合は、1日の取引開始前に当日の最低売上高を入力部6から入力して記憶部4に格納しておくようにしてもよい。
【0040】
また、本実施例の入金処理においては、確定された入金金額を収納するプロセスが2通り設けられており、その一つは、上記特許文献1と同様に、入金処理毎に売上金と釣銭準備金とに区分して収納する入金毎売上金収納処理であり、他の一つは最低売上高を限度として非釣銭金種は売上金収納庫18へ、釣銭金種は釣銭収納庫14へ金種別に収納する限度条件付売上金収納処理であって、限度条件付売上金収納処理によって売上金収納庫18の収納合計額が最低売上高を超えた場合に、入金毎売上金収納処理によって売上金の収納処理が実行される。
【0041】
以下に、図3、図4にSで示すステップに従って、本実施例の現金処理機による入金処理について説明する。
【0042】
店舗の開店前等の取引開始前に現金処理機1へ電源が投入されると、現金処理機1の記憶部4に格納されている業務処理実行プログラムが自動的に起動される。
【0043】
業務処理実行プログラムを起動すると、制御部3は現金処理機1の運用を開始し、レジスタ2のレジ担当者からの要求に応じて釣銭準備金の出金等の業務処理を実行する。
【0044】
そして、終業時等に、レジスタ2の係員であるレジ担当者は、レジスタ2に収納された当日の売上金を含む全ての紙幣を現金処理機1に収納するために、レジスタ2の紙幣を現金処理機1へ持参する。
【0045】
S1、現金処理機1の制御部3は、表示部5の表示画面に初期画面を表示して待機しており、レジスタ2の紙幣を持参したレジ担当者がその係員カードをカード取扱部7でパスさせると、制御部3はカード取扱部7によってそのカード情報を読取る。
【0046】
S2、カード情報を読取った制御部3は、その係員IDを基に、記憶部4の資格テーブルを参照して当該係員の操作資格を確認し、その係員に許可された取引選択ボタンのみを表示した取引選択画面を表示部5の表示画面に表示する。
【0047】
本ステップでは、係員がレジ担当者であるので、レジスタ2の売上金と釣銭準備金とが混在した紙幣を入金するための入金ボタン、釣銭準備金をレジスタ2へ出金するための出金取引ボタン等のレジ担当者に許可された取引選択ボタンが表示される。
【0048】
レジ担当者が、表示部5から入力手段によって入金ボタンを押下して入金処理を選択すると、その選択入力を受付けた制御部3は、入金処理の開始を認識してステップS3へ移行する。
【0049】
S3、入金処理の開始を認識した制御部3は、表示部5の表示画面に紙幣の投入を促す旨の文言等を表示した紙幣投入画面を表示し、紙幣入出金機10の接客部11を閉鎖しているシャッタを開放してレジ担当者による売上金と釣銭準備金とが混在した紙幣の投入を待って待機する。
【0050】
S4、レジ担当者からの紙幣の投入を待って待機していた制御部3は、レジ担当者がレジスタ2から持参した紙幣を接客部11に投入すると、接客部11のシャッタを閉鎖して紙幣の取込処理を実行する。
【0051】
すなわち、制御部3は、接客部11に投入された紙幣を分離機構により1枚毎に分離して搬送路19へ繰出し、繰出した紙幣を鑑別部12へ搬送して紙幣の金種等の鑑別を行い、一時保留部13へ搬送して一時保留部13に集積し、記憶部4の取込枚数カウントエリアによってその枚数を金種別に計数する。
【0052】
この場合に、鑑別部12で外国紙幣や極端な汚れ、テープの貼付、搬送異常等のために、金種不明と鑑別された取込時のリジェクト紙幣は、搬送路19により接客部11へ搬送して集積し、レジ担当者に返却される。
【0053】
S5、そして、投入された紙幣の一時保留部13への集積を終えた制御部3は、表示部5の表示画面に、取込枚数カウントエリアによって計数した金種毎の枚数やその合計金額である入金金額等を表示した入金金額確認画面を表示し、レジ担当者は入力部6の確認ボタンを押下して入金金額の確定操作を行う。
【0054】
S6、入金金額が確定されたことを認識した制御部3は、取込処理を終了させ、その時計機能により認識した現在日時を入金日時として、係員ID、入金日時、入金金額等からなる入金の履歴情報を記憶部4の履歴情報格納エリアに格納する。
【0055】
そして、制御部3は、紙幣の収納処理を開始するために、読取ったカード情報の係員IDを基に、記憶部4の履歴情報格納エリアから、該当する係員IDの当日の出金金額(図5参照)を読出し、確定された入金金額から読出した出金金額(取引開始前に現金処理機1から当該係員IDのレジ担当者が出金した釣銭準備金の金額)を減じて、当該係員IDのレジ担当者が用いたレジスタ2の売上金を算出し、記憶部4の現在売上高格納エリアに格納されている現在売上高に算出した売上金の金額を加えて現在売上高を更新する。
【0056】
S7、現在売上高を更新した制御部3は、記憶部4に格納されている最低売上高を読出して更新した現在売上高と比較し、現在売上高が最低売上高を超えている場合は、入金毎売上金収納処理の実行を判定し、接続子Aを介して図4のステップS17へ移行する。
【0057】
現在売上高が最低売上高以下の場合は、限度条件付売上金収納処理の実行を判定してステップS8へ移行する。
【0058】
S8、限度条件付売上金収納処理の実行を判定した制御部3は、一時保留部13の確定された入金紙幣を1枚毎に搬送路19へ繰出す。
【0059】
S9、一時保留部13から入金紙幣を繰出した制御部3は、搬送路19によって繰出した入金紙幣を鑑別部12へ搬送して金種等の再鑑別を行い、その鑑別結果を認識する。
【0060】
S10、制御部3は、認識した鑑別結果が非釣銭金種の紙幣(万券、2千券)の場合はステップS12へ移行する。認識した鑑別結果が非釣銭金種の紙幣でない場合、つまり釣銭金種の紙幣(5千券、千券)の場合はステップS11へ移行する。
【0061】
S11、釣銭金種の紙幣が繰出されたことを認識した制御部3は、鑑別された金種に応じて、当該釣銭金種の入金紙幣を該当する釣銭収納庫14へ搬送して収納し、記憶部4の釣銭枚数カウントエリアによって釣銭収納庫14別の収納枚数を計数してステップS16へ移行する。
【0062】
具体的には、当該入金紙幣が千券の場合は、当該入金紙幣を千券収納庫15へ搬送して収納し、釣銭枚数カウントエリアの千券収納庫15のカウント数に「1」を加えて千券収納庫15の収納枚数を計数し、当該入金紙幣が5千券の場合は、当該入金紙幣を5千券収納庫16へ搬送して収納し、釣銭枚数カウントエリアの5千券収納庫16のカウント数に「1」を加えて5千券収納庫16の収納枚数を計数する。
【0063】
S12、非釣銭金種の紙幣が繰出されたことを認識した制御部3は、記憶部4の売上金枚数カウントエリアの売上金収納庫18の金種別の収納枚数を基に、現在までに売上金収納庫18に収納された売上金の収納金額を算出し、その収納金額に当該非釣銭金種の入金紙幣の金額を加えて、売上金収納庫18に収納される予定の売上金の収納予定額を算出する。
【0064】
S13、売上金の収納予定額を算出した制御部3は、算出した収納予定額が最低売上高を超えている場合はステップS14へ移行する。算出した収納予定額が最低売上高以下の場合はステップS15へ移行する。
【0065】
S14、収納予定額が最低売上高を超えていることを認識した制御部3は、当該非釣銭金種の入金紙幣を金種に関わらずに釣銭引当金収納庫17へ搬送して収納し、記憶部4の釣銭引当金カウントエリアによって釣銭引当金収納庫17の金種別の収納枚数を計数してステップS16へ移行する。
【0066】
S15、収納予定額が最低売上高以下であることを認識した制御部3は、当該非釣銭金種の入金紙幣を金種に関わらずに売上金収納庫18へ搬送して収納し、記憶部4の売上金枚数カウントエリアによって売上金収納庫18の金種別の収納枚数を計数してステップS16へ移行する。
【0067】
S16、一時保留部13から繰出した入金紙幣を収納した制御部3は、一時保留部13に入金紙幣が存在する場合はステップS8へ戻り、上記した限度条件付売上金収納処理の実行を継続する。
【0068】
一時保留部13に入金紙幣が存在しない場合、つまり収納した紙幣が最後の入金紙幣の場合は、入金処理を終了させてステップS1へ戻り、表示部5の表示画面に初期画面を表示して待機する。
【0069】
なお、上記ステップS9において、重送等による収納時のリジェクト紙幣と鑑別された入金紙幣は、釣銭引当金収納庫17へ搬送されて収納され、記憶部4の釣銭引当金カウントエリアによって釣銭引当金収納庫17のリジェクト紙幣の収納回数が計数される。
【0070】
このようにして本実施例の限度条件付売上金収納処理による入金処理が実行され、ステップS7において、更新された現在売上高が最低売上高を超えた場合は、以下に示す入金毎売上金収納処理が実行される。
【0071】
S17、現在売上高が最低売上高を超えたことによって入金毎売上金収納処理の実行を判定し、図3のステップS7から接続子Aを介して移行した制御部3は、記憶部4の現在売上高格納エリアに格納されている更新された現在売上高から、売上金枚数カウントエリアの金種別の収納枚数を基に算出した売上金収納庫18に収納されている現在までの売上金の収納金額を減じて売上金の収納差額を算出する。
【0072】
S18、売上金の収納差額を算出した制御部3は、売上金の収納差額と、記憶部4に格納されている取込枚数カウントエリアによる計数結果とを基に、売上金の収納差額に相当する金種別の枚数(金種別内訳枚数という。)を、非釣銭金種の高額金種を優先させ、不足分は釣銭金種の高額金種を優先させて算出し、算出した売上金の収納差額の金種別内訳枚数を、記憶部4の内訳枚数カウントエリアの金種別のカウント数の初期値として設定する。
【0073】
S19、売上金の収納差額の金種別内訳枚数を算出した制御部3は、一時保留部13の確定された入金紙幣を1枚毎に搬送路19へ繰出す。
【0074】
S20、一時保留部13から入金紙幣を繰出した制御部3は、上記ステップS9と同様にして、繰出した入金紙幣の鑑別結果を認識する。
【0075】
S21、制御部3は、記憶部4の内訳枚数カウントエリアの金種別のカウント数を参照して、鑑別された金種のカウント数が「0」の場合、つまり当該紙幣が収納差額の金種別内訳枚数の外数の場合は、釣銭準備金に充当する紙幣が繰出されたと判定してステップS22へ移行する。鑑別された金種のカウント数が「1」以上の場合、つまり当該紙幣が収納差額の金種別内訳枚数の内数の場合は、売上金に充当する紙幣が繰出されたと判定してステップS25へ移行する。
【0076】
S22、釣銭準備金に充当する紙幣が繰出されたことを認識した制御部3は、認識した鑑別結果が非釣銭金種の紙幣(万券、2千券)の場合はステップS23へ移行する。認識した鑑別結果が非釣銭金種の紙幣でない場合、つまり釣銭金種の紙幣(5千券、千券)の場合は、ステップS24へ移行する。
【0077】
S23、釣銭準備金に充当する紙幣が非釣銭金種であることを認識した制御部3は、上記ステップS14と同様にして、当該非釣銭金種の入金紙幣を金種に関わらずに釣銭引当金収納庫17へ収納し、釣銭引当金カウントエリアによって釣銭引当金収納庫17の金種別の収納枚数を計数してステップS26へ移行する。
【0078】
S24、釣銭準備金に充当する紙幣が釣銭金種であることを認識した制御部3は、上記ステップS11と同様にして、当該釣銭金種の入金紙幣を該当する釣銭収納庫14へ収納し、釣銭枚数カウントエリアによって釣銭収納庫14別の収納枚数を計数してステップS26へ移行する。
【0079】
S25、売上金に充当する紙幣が繰出されたことを認識した制御部3は、当該入金紙幣を鑑別された金種に関わらずに売上金収納庫18へ搬送して収納し、記憶部4の売上金枚数カウントエリアによって売上金収納庫18の金種別の収納枚数を計数すると共に、内訳枚数カウントエリアの当該金種のカウント数から「1」を減じて内訳枚数カウントエリアの金種別のカウント数を更新し、ステップS26へ移行する。
【0080】
S26、一時保留部13から繰出した入金紙幣を収納した制御部3は、一時保留部13に入金紙幣が存在する場合はステップS19へ戻り、上記した入金毎売上金収納処理の実行を継続する。
【0081】
一時保留部13に入金紙幣が存在しない場合、つまり収納した紙幣が最後の入金紙幣の場合は、入金処理を終了させてステップS1へ戻り、表示部5の表示画面に初期画面を表示して待機する。
【0082】
なお、上記ステップS20において、重送等による収納時のリジェクト紙幣と鑑別された入金紙幣は、釣銭引当金収納庫17へ搬送して収納され、記憶部4の釣銭引当金カウントエリアによって釣銭引当金収納庫17のリジェクト紙幣の収納回数が計数される。
【0083】
このようにして本実施例の入金毎売上金収納処理による入金処理が実行される。
【0084】
以下に、図5(b)を用いて、本実施例の入金処理について、最低売上高を140千円とした場合を例に具体的に説明する。
【0085】
なお、図5(a)は、参考として、上記特許文献1と同様に、入金処理毎に売上金と釣銭準備金とに区分して収納する入金毎売上金収納処理のみによる入金処理の場合の処理結果を示したものである。
【0086】
図5(b)において、係員ID「A」のレジ担当者が持参した80千円分の紙幣を投入(S3、図5(b)第5行参照)した場合は、制御部3は、投入された紙幣を鑑別部12で鑑別し、記憶部4の取込枚数カウントエリアによってその枚数を金種別に計数し、入金金種と枚数欄の第5行に記載した計数結果を得る(S4)。
【0087】
そして、入金金額がレジ担当者によって確定されると(S5)、確定された入金金額(80千円)から記憶部4の履歴情報格納エリアの係員ID「A」の当日の出金金額(30千円、図5(b)第1行参照)を減じて、当該レジスタ2の売上金(50千円)を算出し、記憶部4の現在売上高格納エリアに格納されている現在売上高(0円)に加えて現在売上高を50千円として更新し(S6)、ステップS7において、更新された現在売上高(50千円)と最低売上高(140千円)とを比較し、現在売上高が最低売上高以下であるので、限度条件付売上金収納処理の実行を判定してステップS8へ移行する。
【0088】
限度条件付売上金収納処理の実行を判定した制御部3は、一時保留部13から繰出した入金紙幣が、釣銭金種の千券の場合は千券収納庫15へ、釣銭金種の5千券の場合は5千券収納庫16へ、非釣銭金種の万券および2千券の場合は売上金収納庫18へ搬送して収納し、釣銭枚数カウントエリアおよび売上金枚数カウントエリアによって、それぞれの収納枚数を計数する(S8〜S16、売上金収納金種と枚数欄、釣銭収納金種と枚数欄の第5行参照)。
【0089】
この場合に、ステップS12における売上金の収納予定額は最大でも72千円であるので、釣銭引当金収納庫17への収納(S14)は実行されない。
【0090】
また、係員ID「A」による入金処理後の売上金収納庫18の売上金の収納金額は72千円になっており、現在売上高は50千円になっている。
【0091】
次に、係員ID「B」のレジ担当者が持参した80千円分の紙幣を投入(S3、図5(b)第6行参照)した場合は、制御部3は、投入された紙幣を鑑別部12で鑑別し、記憶部4の取込枚数カウントエリアによってその枚数を金種別に計数し、入金金種と枚数欄の第6行に記載した計数結果を得る(S4)。
【0092】
そして、入金金額がレジ担当者によって確定されると(S5)、係員ID「A」の場合と同様にして、当該レジスタ2の売上金(50千円)を算出し、現在売上高格納エリアに格納されている現在売上高(50千円)に加えて現在売上高を100千円として更新し(S6)、ステップS7において、更新された現在売上高(100千円)と最低売上高(140千円)とを比較し、現在売上高が最低売上高以下であるので、限度条件付売上金収納処理の実行を判定してステップS8へ移行する。
【0093】
限度条件付売上金収納処理の実行を判定した制御部3は、一時保留部13から繰出した入金紙幣が、釣銭金種の千券の場合は千券収納庫15へ、釣銭金種の5千券の場合は5千券収納庫16へ搬送して収納し、釣銭枚数カウントエリアによって、それぞれの収納枚数を釣銭収納庫14別に計数する(S8〜S11、釣銭収納金種と枚数欄の第6行参照)。
【0094】
非釣銭金種の1枚目の万券の場合(S10)は、記憶部4の売上金枚数カウントエリアの売上金収納庫18の金種別の収納枚数を基に算出された現在までの売上金の収納金額(72千円、S12)に当該非釣銭金種の入金紙幣の金額(10千円)を加えて算出された売上金の収納予定額は82千円になり、収納予定額が最低売上高以下になるので(S13)、売上金収納庫18へ搬送して収納し、売上金枚数カウントエリアによって収納枚数を金種別に計数する(S15)。
【0095】
同様にして、6枚目までの万券が売上金収納庫18へ収納され(売上金収納金種と枚数欄の第6行参照)、7枚目の万券が繰出された場合は、現在までの売上金の収納金額(132千円、S12)に当該非釣銭金種の入金紙幣の金額(10千円)を加えて算出された売上金の収納予定額は142千円になり、収納予定額が最低売上高を越えるので(S13)、釣銭引当金収納庫17へ搬送して収納し、釣銭引当金カウントエリアによって金種別の収納枚数を計数する(S14、釣銭収納金種と枚数欄の第6行参照)。2千券の場合も同様である。
【0096】
この場合に、係員ID「B」による入金処理後の売上金収納庫18の売上金の収納金額は132千円になっており、現在売上高は100千円になっている。
【0097】
次に、係員ID「C」のレジ担当者が持参した70千円分の紙幣を投入(S3、図5(b)第7行参照)した場合は、制御部3は、投入された紙幣を鑑別部12で鑑別し、記憶部4の取込枚数カウントエリアによってその枚数を金種別に計数し、入金金種と枚数欄の第7行に記載した計数結果を得る(S4)。
【0098】
そして、入金金額がレジ担当者によって確定されると(S5)、係員ID「A」の場合と同様にして、当該レジスタ2の売上金(50千円)を算出し、現在売上高格納エリアに格納されている現在売上高(100千円)に加えて現在売上高を150千円として更新し(S6)、ステップS7において、更新された現在売上高(150千円)と最低売上高(140千円)とを比較し、現在売上高が最低売上高を超えているので、入金毎売上金収納処理の実行を判定してステップS17へ移行する。
【0099】
入金毎売上金収納処理を判定した制御部3は、更新された現在売上高(150千円)から、売上金枚数カウントエリアの売上金収納庫18の金種別の収納枚数を基に算出した現在までの売上金の収納金額(132千円)を減じて売上金の収納差額(18千円)を算出し、記憶部4の取込枚数カウントエリアによる計数結果を基に、非釣銭金種の高額金種(万券)を優先させ(万券1枚と2千券1枚)、不足分(6千円)は釣銭金種の高額金種(5千券)を優先させて(5千券1枚と千券1枚)、売上金の収納差額に相当する金種別内訳枚数(売上金収納金種と枚数欄の第7行参照)を算出して記憶部4の内訳枚数カウントエリアの金種別のカウント数の初期値として設定し(S18)、一時保留部13から繰出した入金紙幣が、1枚目の万券または2千券の場合は、金種別内訳枚数の内数であるので(S21)、売上金収納庫18へ搬送して収納し、売上金枚数カウントエリアによって収納枚数を金種別に計数すると共に内訳枚数カウントエリアの当該金種(万券および2千券)のカウント数を更新する(S25)。
【0100】
一時保留部13から繰出した入金紙幣が、2枚目の万券の場合は、前記で内訳枚数カウントエリアの当該金種(万券)のカウント数が「0」になっており、金種別内訳枚数の外数であるので(S21)、ステップS22へ移行し、非釣銭金種の紙幣(万券)であるので、釣銭引当金収納庫17へ搬送して収納し、釣銭引当金カウントエリアによって金種別の収納枚数を計数する(S24、釣銭収納金種と枚数欄の第7行参照)。2千券の場合も同様である。
【0101】
一時保留部13から繰出した入金紙幣が、1枚目の5千券または千券の場合は、金種別内訳枚数の内数であるので(S21)、売上金収納庫18へ搬送して収納し、売上金枚数カウントエリアによって収納枚数を金種別に計数すると共に内訳枚数カウントエリアの当該金種(5千券および千券)のカウント数を更新する(S25、売上金収納金種と枚数欄の第7行参照)。
【0102】
一時保留部13から繰出した入金紙幣が、2枚目以降の5千券または千券の場合は、前記で内訳枚数カウントエリアの当該金種(5千券および千券)のカウント数が「0」になっており、金種別内訳枚数の外数であるので(S21)、釣銭金種の千券は千券収納庫15へ、釣銭金種の5千券は5千券収納庫16へ搬送して収納し、釣銭枚数カウントエリアによって、それぞれの収納枚数を釣銭収納庫14別に計数する(S22、S23、釣銭収納金種と枚数欄の第7行参照)。
【0103】
この場合に、係員ID「C」による入金処理後の売上金収納庫18の売上金の収納金額は150千円になっており、現在売上高も150千円になっている。
【0104】
次に、係員ID「D」のレジ担当者が持参した90千円分の紙幣を投入(S3、図5(b)第8行参照)した場合は、制御部3は、投入された紙幣を鑑別部12で鑑別し、記憶部4の取込枚数カウントエリアによってその枚数を金種別に計数し、入金金種と枚数欄の第8行に記載した計数結果を得る(S4)。
【0105】
そして、入金金額がレジ担当者によって確定されると(S5)、係員ID「A」の場合と同様にして、当該レジスタ2の売上金(50千円)を算出し、現在売上高格納エリアに格納されている現在売上高(150千円)に加えて現在売上高を200千円として更新し(S6)、ステップS7において、更新された現在売上高(200千円)と最低売上高(140千円)とを比較し、現在売上高が最低売上高を超えているので、入金毎売上金収納処理の実行を判定してステップS17へ移行する。
【0106】
入金毎売上金収納処理を判定した制御部3は、更新された現在売上高(200千円)から、売上金枚数カウントエリアの売上金収納庫18の金種別の収納枚数を基に算出した現在までの売上金の収納金額(150千円)を減じて売上金の収納差額(50千円)を算出し、記憶部4の取込枚数カウントエリアによる計数結果を基に、非釣銭金種の高額金種(万券)を優先させ(万券3枚と2千券5枚)、不足分(10千円)は釣銭金種の高額金種(5千券)を優先させて(5千券1枚と千券5枚)、売上金の収納差額に相当する金種別内訳枚数(売上金収納金種と枚数欄の第8行参照)を算出して記憶部4の内訳枚数カウントエリアの金種別のカウント数の初期値として設定し(S18)、一時保留部13から繰出した入金紙幣が、1〜3枚目の万券または1〜5枚目の2千券の場合は、金種別内訳枚数の内数であるので(S21)、売上金収納庫18へ搬送して収納し、売上金枚数カウントエリアによって収納枚数を金種別に計数すると共に内訳枚数カウントエリアの当該金種(万券および2千券)のカウント数を更新する(S25)。
【0107】
一時保留部13から繰出した入金紙幣が、1枚目の5千券または1〜5枚目の千券の場合は、金種別内訳枚数の内数であるので(S21)、売上金収納庫18へ搬送して収納し、売上金枚数カウントエリアによって収納枚数を金種別に計数すると共に内訳枚数カウントエリアの当該金種(5千券および千券)のカウント数を更新する(S25、売上金収納金種と枚数欄の第8行参照)。
【0108】
一時保留部13から繰出した入金紙幣が、6枚目以降の千券の場合は、前記で内訳枚数カウントエリアの当該金種(千券)のカウント数が「0」になっており、金種別内訳枚数の外数であるので(S21)、千券収納庫15へ搬送して収納し、釣銭枚数カウントエリアによって、千券収納庫15の収納枚数を計数する(S22、S23、釣銭収納金種と枚数欄の第8行参照)。
【0109】
この場合に、係員ID「D」による入金処理後の売上金収納庫18の売上金の収納金額は200千円になっており、現在売上高も200千円になっている。
【0110】
上記のようにして、本実施例の限度条件付売上金収納処理を用いた4回の入金処理を行った結果は、図5(b)に示すように、売上金収納庫18に収納されている売上金総額は200千円、釣銭収納庫14および釣銭引当金収納庫17に収納されている釣銭準備金総額は120千円となり、釣銭準備金総額の中で釣銭引当金収納庫17に収納されている釣銭引当金の金額は20千円となる。
【0111】
一方、従来と同様に入金毎売上金収納処理のみを用いた4回の入金処理を行った結果は、図5(a)に示すように、売上金収納庫18に収納されている売上金総額は200千円、釣銭収納庫14および釣銭引当金収納庫17に収納されている釣銭準備金総額は120千円となり、釣銭準備金総額の中で釣銭引当金収納庫17に収納されている釣銭引当金の金額は42千円となり、本実施例の入金処理による釣銭引当金の金額は、入金毎売上金収納処理のみを用いた入金処理による釣銭引当金の金額に較べて22千円減少しており、釣銭金種の紙幣の収納枚数をより多く残すことができる。
【0112】
なお、釣銭引当金収納庫17に収納された非釣銭金種の紙幣および収納時のリジェクト紙幣は、必要に応じて釣銭収納庫用扉を店舗の管理者等の係員が解錠して取出し、釣銭金種の紙幣に両替して釣銭収納庫14に金種別に収納される。
【0113】
また、稀にではあるが、最低売上高に達するときに入金された金種に釣銭金種が多く含まれていた場合(例えば、図5の係員ID「B」と「C」との入金の順が入れ代わった場合)に、その後の入金がなかったときは、売上金収納庫18に収納されている売上金の額が、実際の売上金の額より少ない状態で締上が行われることがあるが、その場合は、例外的に締上時に売上金の不足分を釣銭収納庫14から売上金収納庫18へ移動させることで、売上金収納庫18の収納額を、実際の売上金の額に一致させる。
【0114】
このように、本実施例の限度条件付売上金収納処理を用いた入金処理においては、最低売上高に達するまでは、循環使用可能な釣銭金種の紙幣を釣銭準備金として釣銭収納庫へ収納して釣銭金種の紙幣の収納枚数を多く残すことができ、売上金と釣銭準備金とを区分して収納する現金処理機1の入金処理における釣銭金種の紙幣の減少を抑制して、循環使用する釣銭準備金の管理を円滑に行うことができる。
【0115】
以上説明したように、本実施例では、紙幣の分離集積機構を有し、釣銭金種の紙幣を金種別に収納する釣銭収納庫と、紙幣の集積機構のみを有し、釣銭に引当てる非釣銭金種の紙幣を金種を混在させて収納する釣銭引当金収納庫と、紙幣の集積機構のみを有し、売上金の紙幣を金種を混在させて収納する売上金収納庫とを備え、複数のレジスタとの間の入出金を管理する現金処理機に、1日分の最低売上高を設定しておき、各入金処理において、最低売上高に達するまでは、非釣銭金種の紙幣を全て売上金収納庫へ収納すると共に、釣銭金種の紙幣を全て釣銭収納庫へ金種別に収納し、最低売上高に達した後は、売上金に充当する金種別内訳枚数を、非釣銭金種の高額金種を優先させ、不足分を釣銭金種の高額金種を優先させて算出し、算出された金種別内訳枚数の内数の紙幣を売上金収納庫へ収納すると共に、金種別内訳枚数の外数の紙幣は、釣銭金種の紙幣を釣銭収納庫へ金種別に収納し、非釣銭金種の紙幣を釣銭引当金収納庫へ収納するようにしたことによって、最低売上高に達するまでは、循環使用可能な釣銭金種の紙幣を釣銭準備金として釣銭収納庫へ収納することができ、釣銭金種の紙幣の収納枚数を多く残して、売上金と釣銭準備金とを区分して収納する現金処理機の入金処理における釣銭金種の紙幣の減少を抑制することができる。
【符号の説明】
【0116】
1 現金処理機
2 レジスタ
3 制御部
4 記憶部
5 表示部
6 入力部
7 カード取扱部
8 印刷部
9 硬貨入出金機
10 紙幣入出金機
11 接客部
12 鑑別部
13 一時保留部
14 釣銭収納庫
15 千券収納庫
16 5千券収納庫
17 釣銭引当金収納庫
18 売上金収納庫
19 搬送路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣銭金種の紙幣を、金種別に収納する釣銭収納庫と、
釣銭に引当てる非釣銭金種の紙幣を、金種を混在させて収納する釣銭引当金収納庫と、
売上金の紙幣を、金種を混在させて収納する売上金収納庫と、を備えた現金処理機であって、
1日分の最低売上高を設定しておき、
各入金処理において、前記最低売上高に達するまでは、非釣銭金種の紙幣を全て前記売上金収納庫へ収納すると共に、釣銭金種の紙幣を全て前記釣銭収納庫へ金種別に収納し、
前記最低売上高に達した後は、売上金に充当する金種別内訳枚数を、非釣銭金種の高額金種を優先させ、不足分を釣銭金種の高額金種を優先させて算出し、算出された前記金種別内訳枚数の内数の紙幣を前記売上金収納庫へ収納すると共に、前記金種別内訳枚数の外数の紙幣は、釣銭金種の紙幣を前記釣銭収納庫へ金種別に収納し、非釣銭金種の紙幣を前記釣銭引当金収納庫へ収納することを特徴とする現金処理機。
【請求項2】
請求項1において、
前記釣銭収納庫は、紙幣の分離集積機構を有し、
前記釣銭引当金収納庫および売上金収納庫は、紙幣の集積機構のみを有することを特徴とする現金処理機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−277453(P2010−277453A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131198(P2009−131198)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】