説明

現金処理装置

【課題】第1収納部の容量を超えて第1紙幣が収納されることを回避することができる現金処理装置を提供する。
【解決手段】現金処理装置は、第1紙幣が収納される第1収納部(千円券収納部311)と、第2紙幣が収納される第2収納部(一万円券収納部313)と、少なくとも前記第2紙幣が収納された第3収納部(紙幣売上収納部32)とを備え、前記第1収納部に収納された前記第1紙幣と前記第3収納部に収納された前記第2紙幣との双方の両替を行い、前記両替された第1紙幣を前記第3収納部に収納し、前記両替された第2紙幣を前記第2収納部に収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗に設置され、入金された紙幣および硬貨を収納して、売上金と、釣銭準備金とに分けて出金する現金処理装置に関し、特に、スーパーマーケットや、ショッピングセンタ、パチンコ店などの商業施設に設置される現金処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現金処理装置は、以下に示す「釣銭出金取引」、「売上入金取引」、「精算集計取引」、「回収取引」などの取引機能を有している。
<釣銭出金取引>
現金処理装置は、釣銭出金取引を行うことにより、リサイクルカセット(釣銭収納部)に収納された釣銭準備金を出金する。
<売上入金取引>
現金処理装置は、売上入金取引を行うことにより、入金された現金を釣銭準備金としてリサイクルカセットに収納する。
この売上入金取引時に現金処理装置に入金される現金は、レジに残った現金(紙幣および硬貨)、つまり売上金と残った釣銭とを含む現金である。現金処理装置は、この入金された現金の総額(入金総額)から、釣銭として出金した総額(出金総額)を差分することで、売上金の総額(売上額)を算出することができる。
<精算集計取引>
現金処理装置は、精算集計取引を行うことにより、出金総額分の現金を釣銭準備金としてリサイクルカセット(釣銭収納部)に収納したままにし、この出金総額を超える分の現金を売上金としてリサイクルカセットから搬送して、売上回収カセット(売上収納部)に収納する。
現金処理装置は、この精算集計取引時、リサイクルカセットから高額紙幣(一万円券)を優先して搬送して、売上回収カセット(売上収納部)に収納する。
<回収取引>
現金処理装置は、回収取引を行うことにより、リサイクルカセットおよび売上回収カセットを封止している現金処理装置の扉が開錠される。これによって、店長などの回収者が売上回収カセットに収納された売上金を回収することができる。現金処理装置は、回収者によって空の売上回収カセットがセットされたところで取引終了となる。
その後、回収者は回収した現金を金融機関などに売上金として入金する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−38062号公報
【特許文献2】特開2007−323228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通常、現金処理装置には、千円券(第1紙幣)が入金されることが多く、リサイクルカセット(千円券収納部)の容量を超える千円券が入金される場合があった。これにより、千円券が入金できなくなるため、回収者が現金処理装置の扉を開錠して、リサイクルカセット(千円券収納部(第1収納部))から千円券を取り出す作業を行わなければならなかった。
【0005】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、第1収納部の容量を超えて第1紙幣が収納されることを回避することができる現金処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の現金処理装置は、第1紙幣(千円券)が収納される第1収納部(千円券収納部)と、第2紙幣(一万円券)が収納される第2収納部(一万円券収納部)と、少なくとも前記第2紙幣が収納された第3収納部(売上収納部)とを備える現金処理装置であって、前記第1収納部に収納された前記第1紙幣と前記第3収納部に収納された前記第2紙幣との双方の両替を行い、前記両替された第1紙幣を前記第3収納部に収納し、前記両替された第2紙幣を前記第2収納部に収納することを特徴とする構成とした。なお、( )内の文字、記号は例示である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1収納部に収納された第1紙幣を、第3収納部に収納された第2紙幣と両替することができるため、第1収納部の容量を超えて第1紙幣が収納されることを回避することができる。これにより、回収者が現金処理装置の扉を開錠して、リサイクルカセットから千円券を取り出す作業を行う頻度を低減することができ、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る紙幣入出金部を含む現金処理装置のブロック図である。
【図2】現金処理装置が備える硬貨入出金部のブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る紙幣入出金部のブロック図である。
【図4】表示部6に表示されるメニュー画面である。
【図5】第1の実施形態に係る紙幣入出金部が行う売上入金処理動作および売上金額算出処理動作のフローチャートである。
【図6】第1の実施形態に係る紙幣入出金部が行う両替処理動作のフローチャートである。
【図7】第1の実施形態に係る紙幣入出金部が行う両替処理動作による現金の移動を図示したものである(1/6)。
【図8】図7に続く第1の実施形態に係る紙幣入出金部が行う両替処理動作による現金の移動を図示したものである(2/6)。
【図9】図8に続く第1の実施形態に係る紙幣入出金部が行う両替処理動作による現金の移動を図示したものである(3/6)。
【図10】図9に続く第1の実施形態に係る紙幣入出金部が行う両替処理動作による現金の移動を図示したものである(4/6)。
【図11】図10に続く第1の実施形態に係る紙幣入出金部が行う両替処理動作による現金の移動を図示したものである(5/6)。
【図12】図11に続く第1の実施形態に係る紙幣入出金部が行う両替処理動作による現金の移動を図示したものである(6/6)。
【図13】第2の実施形態に係る紙幣入出金部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明について概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0010】
《第1の実施形態》
図1に示すように、第1の実施形態に係る現金処理装置10は、制御部1と、記憶部2と、紙幣入出金部3と、硬貨入出金部4と、カードリーダ部5と、表示部6と、入力部7とを備える。
【0011】
まず、制御部1および記憶部2について、簡単に説明する。
<制御部1>
制御部1は、現金処理装置10の各部を制御する処理部であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)や一時的にデータを記憶するバッファを備える。
第1の実施形態において、制御部1は、入力部7に入力されたユーザからの入力(指示)に応じて、記憶部2からデータやプログラムを取得して処理を実行する。ここで、ユーザは、店長などの回収者および店員などである。
<記憶部2>
記憶部2は、制御部1が現金処理装置10の各部を制御するために必要なデータやプログラムを記憶する記憶部であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)などを備える。
【0012】
なお、プログラムは、RAMやHDDに格納されて、ネットワークを介して更新することができる。また、硬貨入出金部4やカードリーダ部5、表示部6、入力部7は、一般的な現金処理装置に備えられているものであるため、以下で、各構成部の構成と動作については、簡単に説明する。なお、紙幣入出金部3についての詳細な説明は、後記する。
【0013】
<硬貨入出金部4>
硬貨入出金部4は、硬貨の入出金を取り扱う構成部である。
図2に、硬貨入出金部4の構成をブロック図で示す。
硬貨入出金部4は、硬貨格納部41と、硬貨留置部42と、硬貨鑑別部43と、返却硬貨格納部44と、出金ホッパ部45(釣銭収納部)と、硬貨売上収納部46と、釣銭硬貨格納部47と、搬送路48とを備えている。図2に示す矢印は、搬送路48と搬送方向を示している。搬送路48は、制御部1に制御されて、ベルト駆動で硬貨を1枚ずつ搬送するものであり、モータで駆動する駆動ローラや駆動ローラに従動する従動ローラを含む。制御部1は、記憶部2に記憶されたデータやプログラムを用いて、硬貨入出金部4の動作を制御する。
【0014】
(硬貨格納部41)
硬貨格納部41は、不図示の硬貨投入口からユーザが投入した硬貨を格納する構成部である。例えば、ユーザにより入力部7から「入金終了」の指示が入力されることで、制御部1は、硬貨投入口の蓋を閉められる。そして、硬貨格納部41に格納された硬貨は、制御部1が制御する搬送路48により、硬貨鑑別部43を介して、硬貨留置部42に搬送される。
(硬貨留置部42)
硬貨留置部42は、硬貨を一時的に留置する構成部である。
【0015】
(硬貨鑑別部43)
硬貨鑑別部43は、硬貨留置部42から制御部1が制御する搬送路48により搬送された硬貨を取得して、硬貨の種類や真贋などを鑑別する構成部である。例えば、ユーザにより入力部7から「入金実行」の指示が入力されることで、制御部1は、硬貨鑑別部43に対して、硬貨留置部42から硬貨を搬送させ、その硬貨を鑑別させる制御を行う。
硬貨鑑別部43は、硬貨が、例えば、日本国で流通している硬貨であれば、一円硬貨、五円硬貨、十円硬貨、五十円硬貨、百円硬貨、五百円硬貨の種類と、それらの硬貨が偽造硬貨であるか否かの真贋とを鑑別する。さらに、硬貨鑑別部43は、硬貨の汚損(汚れている)や変形(曲がっていたり、欠けていたりすること)を鑑別してもよい。
鑑別後、硬貨鑑別部43は、鑑別結果を制御部1に通知し、硬貨が「(偽造硬貨ではない)正貨」であれば、その正貨(硬貨)を搬送路48に出金ホッパ部45へ搬送させる。一方、硬貨が「(偽造硬貨である)偽貨」であれば、その偽貨(硬貨)を搬送路48に返却硬貨格納部44へ搬送させる。
また、硬貨鑑別部43は、正貨(硬貨)を出金ホッパ部45へ搬送させる際に、その硬貨の種類に基づく金額データを制御部1に出力する。これにより、制御部1は、記憶部2の入金総額データに、取得した金額データを加算して、入金総額データの総額を更新する。
また、ユーザにより入力部7から「入金取消」の指示が入力されることで、制御部1は、硬貨留置部42に留置された硬貨を、搬送路48を制御して、硬貨鑑別部43を経由して返却硬貨格納部44へ搬送させて格納させる制御を行う。
【0016】
(返却硬貨格納部44)
返却硬貨格納部44は、ユーザに硬貨を返却するために、硬貨を格納する構成部であり、硬貨鑑別部43により格納された硬貨をユーザが取り出せるようになっている。この返却硬貨格納部44には、偽貨の硬貨または「入金取消」によりユーザに返却される硬貨が格納される。
(出金ホッパ部45)
出金ホッパ部45(釣銭収納部)は、釣銭準備金として硬貨を収納する構成部である。
また、出金ホッパ部45は、制御部1により制御されて、内部に収納した硬貨を繰り出す機構を備えており、制御部1は搬送路48を制御して、繰り出された硬貨を硬貨売上収納部46または釣銭硬貨格納部47に搬送させる。
【0017】
例えば、ユーザにより入力部7から「精算集計」の指示が入力されることで、制御部1は、記憶部2に記憶された入金総額データおよび出金総額データ(境界金額データ)に基づいて、入金総額から出金総額を差分した売上金額を算出する。それから、制御部1は、出金ホッパ部45を制御して、出金ホッパ部45の内部に収納された硬貨の中から売上金額分に相当する種類および枚数の硬貨を繰り出させ、次に、制御部1は、搬送路48を制御して、繰り出された硬貨を硬貨売上収納部46に搬送するように制御を行う。
また、例えば、ユーザにより入力部7から「釣銭出金」の指示が入力されることで、制御部1は、出金ホッパ部45を制御して、出金ホッパ部45の内部に収納された硬貨の中から、指定された種類および枚数の硬貨を繰り出させ、次に、制御部1は、搬送路48を制御して、繰り出された硬貨を釣銭硬貨格納部47に搬送するように制御を行う。
【0018】
(硬貨売上収納部46)
硬貨売上収納部46は、売上金として硬貨を収納する構成部である。この硬貨売上収納部46に収納された硬貨は、回収者などが現金処理装置10の扉を開錠することで回収が可能である。
(釣銭硬貨格納部47)
釣銭硬貨格納部47は、釣銭として硬貨を格納する構成部であり、格納された硬貨をユーザが取り出せるようになっている。
【0019】
再び、図1を用いて、カードリーダ部5、表示部6および入力部7の説明をする。
<カードリーダ部5>
カードリーダ部5は、カードに埋め込まれたデータを抽出するカード読取機である。例えば、接触/非接触のIC(Integrated Circuit)カードを読み取って、そのカードに埋め込まれたデータを抽出する。
そして、制御部1は、記憶部2に予め記憶されたユーザ情報と、カードから抽出したデータとに基づき、ユーザがこの現金処理装置10を利用可能であるか否かの認証処理を行う。この認証処理は、一般的な処理であるため、説明を省略する。
【0020】
<表示部6、入力部7>
表示部6は、ユーザが視認可能な情報を表示する構成部であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やモニタ、ディスプレイなどである。
入力部7は、ユーザからの要求を受け付ける構成部であり、例えば、キーボードやマウスなどである。
ここで、例えば、表示部6および入力部7は、LCDのような表示機能とタッチパッドのような位置入力機能との双方を兼ね備えたタッチパネルであってもよい。
【0021】
<紙幣入出金部3>
紙幣入出金部3は、紙幣の入出金を取り扱う構成部である。
図3に、紙幣入出金部3の構成をブロック図で示す。
紙幣入出金部3は、釣札収納部31(千円券収納部311(第1収納部)、五千円券収納部312、一万円券収納部313(第2収納部))と、紙幣売上収納部32(第3収納部)と、リジェクト収納部33と、紙幣格納部34と、紙幣留置部35と、紙幣鑑別部36(配送部)と、搬送路37とを備えている。図3に示す矢印は、搬送路37と搬送方向を示している。搬送路37は、制御部1に制御されて、ローラやベルト駆動で紙幣を1枚ずつ搬送するものであり、モータで駆動する駆動ローラや駆動ローラに従動する従動ローラを含む。制御部1は、記憶部2に記憶されたデータやプログラムを用いて、紙幣入出金部3の動作を制御する。
【0022】
(釣札収納部31)
釣札収納部31は、釣札準備金として紙幣を収納する構成部である。本実施形態における釣札収納部31は、日本国で流通している紙幣を種類別で収納し、千円券が収納される千円券収納部311(第1収納部)と、五千円券が収納される五千円券収納部312と、一万円券が収納される一万円券収納部313(第2収納部)とを備える。
(紙幣売上収納部32)
紙幣売上収納部32(第3収納部)は、売上金として紙幣を収納する構成部である。
【0023】
(リジェクト収納部33)
リジェクト収納部33は、後記する紙幣鑑別部36により、汚損(汚れている)や破壊(破れていること)などにより再使用不能と鑑別された紙幣や、場合によっては、偽札(偽造された紙幣)と鑑別された紙幣を収納する構成部である。
以上の、釣札収納部31、紙幣売上収納部32、リジェクト収納部33に収納された紙幣は、回収者などが現金処理装置10の扉を開錠することで回収が可能である。
【0024】
(紙幣格納部34)
紙幣格納部34は、紙幣を格納する構成部である。また、紙幣格納部34は、制御部1により制御されて、内部に格納した紙幣を繰り出す機構を備えている。
紙幣格納部34は、例えば、不図示の紙幣入出金口からユーザが投入した紙幣を格納する。そのあと、ユーザにより入力部7から「入金終了」の指示が入力されることで、紙幣格納部34は、紙幣入出金口の蓋を閉める。紙幣格納部34に格納された紙幣は、制御部1が制御する搬送路37により、紙幣鑑別部36を経由して、紙幣留置部35に搬送される。
また、紙幣格納部34は、紙幣売上収納部32から搬送された紙幣を格納し、制御部1からの指示に基づき、内部に格納した紙幣を繰り出す。繰り出しされた紙幣は、制御部1が制御する搬送路37により、紙幣鑑別部36を経由して、紙幣留置部35に搬送される。
(紙幣留置部35)
紙幣留置部35は、紙幣を一時的に留置する構成部であり、入金計数時および売上金作成時に一時的に紙幣を集積する場所である。
【0025】
(紙幣鑑別部36)
紙幣鑑別部36(配送部)は、紙幣留置部35から搬送された紙幣の種類や真贋などを鑑別する構成部である。また、紙幣鑑別部36は、鑑別結果および制御部1による売上算出処理の結果に基づき、鑑別後の紙幣の搬送先(釣札収納部31、紙幣売上収納部32、リジェクト収納部33)を制御部1に通知する。この通知を受けて制御部1は、鑑別後の紙幣を搬送先(釣札収納部31、紙幣売上収納部32、リジェクト収納部33)に搬送するように、搬送路37を制御する。
【0026】
例えば、ユーザにより入力部7から「入金実行」の指示が入力されることで、制御部1は、紙幣留置部35に留置された紙幣を紙幣鑑別部36に搬送するように、搬送路37を制御する。
紙幣鑑別部36は、紙幣が、例えば、日本国で流通している紙幣であれば、千円券、五千円券、一万円券の種類と、それらの紙幣の真贋(紙幣が偽造紙幣であるか否か)、紙幣の汚損や破壊(再使用不能な紙幣であるか否か)などを鑑別する。
【0027】
鑑別後、紙幣が「偽造紙幣やリジェクト紙幣(再使用不能な紙幣)」であれば、紙幣鑑別部36は、その偽造紙幣やリジェクト紙幣の搬送先を「リジェクト収納部33」に決定する。
一方、紙幣が「正券紙幣(再使用可能な紙幣)」であれば、紙幣鑑別部36は、その正券紙幣の搬送先を「紙幣売上収納部32」または「釣札収納部31」に決定する。この正券紙幣の搬送先は、後記する制御部1による売上金額算出処理により決定する。そして、搬送先が決定した紙幣の種類に基づく金額データおよびその紙幣の搬送先を制御部1に出力する。
【0028】
ここで、制御部1が行う売上金額算出処理について簡単に説明する。
(売上金額算出処理)
まず、制御部1は、記憶部2から、入金総額データおよび出金総額データを取得して、入金総額から出金総額を差分した売上金額を算出し、売上金が生じているか否かを判定する。
ここで、『売上金額≧0円』であれば(売上金額達成)、制御部1は、紙幣鑑別部36を制御して、正券紙幣の配送先を「紙幣売上収納部32」に決定させる。
一方、『売上金額<0円』であれば(売上金額未達成)、制御部1は、紙幣鑑別部36を制御して、正券紙幣の配送先を「釣札収納部31」に決定させる。このとき、紙幣の種類が、千円券であれば、配送先を「千円券収納部311」とし、五千円券であれば、配送先を「五千円券収納部312」とし、一万円券であれば、配送先を「一万円券収納部313」とする。
そして、制御部1は、紙幣鑑別部36に正券紙幣の送出先を「釣札収納部31」または「紙幣売上収納部32」に決定させた後で、紙幣鑑別部36が出力した「金額データおよびその紙幣の搬送先」を取得する。制御部1は、取得した金額データを、記憶部2の入金総額データに加算して、入金総額データの総額を更新する。さらに、釣札収納部31に収納した千円券、五千円券、一万円券それぞれの枚数を、記憶部2の収納枚数データに加算して、収納枚数データの総枚数を更新する。
【0029】
また、紙幣鑑別部36は、千円券収納部311から搬送路37により紙幣が搬送されたとき、その搬送された紙幣の鑑別および枚数のカウントを行い、10×N枚の千円券の搬送先を「紙幣留置部35」に決定して制御部1に出力する。これにより、制御部1は搬送路37を制御して、10×N枚の千円券を紙幣留置部35に搬送する。その後、制御部1は搬送路37を制御して、それら10×N枚の千円券を、紙幣鑑別部36を経由して、紙幣売上収納部32に搬送する。
また、紙幣鑑別部36は、紙幣留置部35から搬送路37により紙幣が搬送されたとき、その搬送された紙幣の鑑別および枚数のカウントを行い、N枚の一万円券の搬送先を「一万円券収納部313」に決定して制御部1に出力する。このとき、N枚の一万円券の搬送先が決定するまでに、紙幣鑑別部36に搬送されたその他の券種の紙幣は、搬送先を「紙幣売上収納部32」に決定して制御部1に出力する。これにより、制御部1は搬送路37を制御して、N枚の一万円券を一万円券収納部313に搬送する。一方、N+1枚目以降の一万円券およびその他の券種の紙幣は、紙幣売上収納部32に搬送する。
【0030】
(制御部1と搬送路37)
制御部1は、搬送路37の駆動ローラを制御して、紙幣を搬送させる機能を有する構成部である(第1搬送部、第2搬送部、第3搬送部)。
この制御部1により制御された搬送路37(第1搬送部)は、千円券収納部311(第1収納部)から紙幣鑑別部36を経由して紙幣留置部35に紙幣を搬送する。
また、制御部1により制御された搬送路37(第2搬送部)は、紙幣格納部34から紙幣鑑別部36を経由して紙幣留置部35に紙幣を搬送する。
さらに、制御部1により制御された搬送路37(第3搬送部)は、紙幣売上収納部32(第3収納部)から紙幣格納部34に紙幣を搬送する。
【0031】
ここで、制御部1が現金処理装置10の各部の動作を制御して実行させる処理について説明する。第1の実施形態において、制御部1は、入力部7に入力されたユーザからの入力(指示)に応じて処理を実行する。ここでは、『ユーザ認証処理』、『釣銭出金処理』、『売上入金処理』、『精算集計処理』、『両替処理』、『売上回収処理』について説明する。
【0032】
<ユーザ認証処理>
『ユーザ認証処理』は、一般的な現金処理装置でも行われる処理であるため、簡単に説明する。まず、ユーザが現金処理装置10に事前に認証登録したレジカードやICカードなどをカードリーダ部5(図1)に読み取らせる。これにより、制御部1は『ユーザ認証処理』を実行する。制御部1は、カードリーダ部5が読み取ったユーザID(IDentification)などが、記憶部2に予め記憶されたデータと一致するか否かの認証を行う。認証された場合に、制御部1は表示部6に図4に図示するメニュー画面を表示する。メニュー画面には、「釣銭出金」、「売上入金」、「精算集計」、「売上回収」が選択可能に表示される。
【0033】
<釣銭出金処理>
『釣銭出金処理』は、一般的な現金処理装置でも行われる処理であるため、簡単に説明する。メニュー画面(図4)にてユーザにより「釣銭出金」が選択(入力)されることで、記憶部2に予め記憶された「金種および枚数を登録済みのパターンで出金する」または「金種および枚数をそれぞれ指定したパターンで出金する」が選択可能な画面が表示される。その後、ユーザの操作(指示)にしたがい、制御部1は現金処理装置10の各部の動作を制御して、指定された枚数の紙幣を釣札収納部31から搬送して、紙幣格納部34(図3)に格納する。また、指定された枚数の硬貨を出金ホッパ部45(図2)から釣銭硬貨格納部47(図2)に格納する。これにより、ユーザは、紙幣格納部34から釣札(紙幣)を、釣銭硬貨格納部47から釣銭(硬貨)を取り出すことができる。
【0034】
<売上回収処理>
『売上回収処理』は、一般的な現金処理装置でも行われる処理であるため、簡単に説明する。メニュー画面(図4)にて回収者により「売上回収」が選択(入力)されることで、紙幣売上収納部32(図3)および硬貨売上収納部46(図2)に収納された紙幣および硬貨が取り出せるように、制御部1は現金処理装置10の各部の動作を制御する。これにより、例えば、現金処理装置10に取り付けられた扉が開錠されて、店長などの回収者は、紙幣売上収納部32および硬貨売上収納部46に収納された紙幣および硬貨を回収することができる。その後、回収者は、回収した紙幣および硬貨を売上金として銀行や郵便局などの金融機関に入金する。
【0035】
<売上入金処理>
『売上入金処理』が実行されることにより、ユーザが現金処理装置10に紙幣や硬貨を入金することで、硬貨は出金ホッパ部45(図2)に収納され、紙幣は、売上未達成であれば釣札収納部31(図3)に収納され、一方、売上達成であれば紙幣売上収納部32に収納される。
この『売上入金処理』は、一部の処理(売上金額算出処理)以外は、一般的な現金処理装置でも行われる処理であるため、簡単に説明する。まず、メニュー画面(図4)にてユーザにより「売上入金」が選択(入力)されることで、制御部1は現金処理装置10の各部の動作を制御して、紙幣格納部34(図3)の紙幣入出金口の蓋(不図示)および硬貨格納部41(図2)の硬貨入金口の蓋(不図示)を開放し、さらに表示部6(図1)に入金誘導画面を表示させて、ユーザが紙幣および硬貨を入金するように促す。
【0036】
(硬貨の売上入金処理)
まず、硬貨の売上入金処理について説明する(適宜、図3を参照)。
ユーザにより入金誘導画面で「入金終了」が選択(入力)されることで、硬貨格納部41は硬貨入金口の蓋を閉め、格納された硬貨は硬貨鑑別部43を介して硬貨留置部42に一旦搬送される。硬貨鑑別部43は、硬貨留置部42から一枚ずつ硬貨が搬送され、その硬貨の鑑別を行う。鑑別後の硬貨が正貨であれば出金ホッパ部45に搬送される。このとき、硬貨鑑別部43は、搬送させた硬貨(正貨)の種類に基づく金額データを制御部1に出力する。これにより、制御部1は、記憶部2の入金総額データに、取得した金額データを加算して、入金総額データの総額を更新する。そして、硬貨の売上入金処理を終了する。
【0037】
(紙幣の売上入金処理)
次に、紙幣の売上入金処理について、図5のフローチャートを用いて説明する(適宜、図3を参照)。図5は、第1の実施形態に係る紙幣入出金部が行う売上入金処理動作および売上金額算出処理動作のフローチャートである。
店長などの回収者により入金誘導画面で「入金終了」が選択(入力)される(ステップS101)ことで、紙幣格納部34は紙幣入出金口の蓋を閉め、格納された紙幣を紙幣鑑別部36を介して紙幣留置部35へと搬送路37に搬送させる(ステップS102)。
ここで、制御部1は、記憶部2から、入金総額データおよび出金総額データを取得して、入金総額から出金総額を差分した売上金額を算出する(ステップS103)。
次に、紙幣鑑別部36は、紙幣留置部35から紙幣を取得して(ステップS104)、その紙幣の鑑別を行う(ステップS105)。以下では、紙幣が正券紙幣であった場合の処理について説明する。ここで、紙幣が偽造紙幣やリジェクト紙幣であった場合は、リジェクト収納部33へと搬送路37に搬送させることとなるが、ここでは処理の説明を省略する。
【0038】
(売上金額算出処理)
まず、制御部1は、記憶部2から、入金総額データおよび出金総額データを取得して、入金総額から出金総額を差分した売上金額を算出し、売上金が生じているか否かを判定する(売上金額≧0円?)(ステップS106)。
ここで、『売上金額≧0円』であれば(売上金額達成)(ステップS106,Yes)、紙幣鑑別部36は、正券紙幣の搬送先を「紙幣売上収納部32」とすることを制御部1に通知して、正券紙幣を紙幣売上収納部32へと搬送路37に搬送させ、その正券紙幣を紙幣売上収納部32に収納する(ステップS107)。このとき、制御部1は、紙幣売上収納部32に収納した紙幣の種類に基づく金額データを把握する。
【0039】
一方、『売上金額<0円』であれば(売上金額未達成)(ステップS106,No)、紙幣鑑別部36は、正券紙幣の搬送先を「釣札収納部31」とすることを制御部1に通知して、制御部1は、正券紙幣を釣札収納部31へと搬送路37に搬送させ、その正券紙幣を釣札収納部31に収納する(ステップS108)。このとき、紙幣の種類が、千円券であれば、千円券収納部311に収納し、五千円券であれば、五千円券収納部312に収納し、一万円券であれば、一万円券収納部313に収納する。また、このとき、制御部1は、釣札収納部31に収納した紙幣の種類に基づく金額データを把握する。
【0040】
そして、正券紙幣が釣札収納部31または紙幣売上収納部32に収納された後(ステップS107またはステップS108の後)で、制御部1は、その紙幣の種類に基づく金額データおよび収納場所データを把握する。これにより、制御部1は売上金額算出処理を実行する(ステップS109)。
制御部1は、紙幣鑑別部36から取得した金額データを、記憶部2の入金総額データに加算して、入金総額データの総額を更新する(ステップS110)。さらに、紙幣売上収納部32に収納した各券種の枚数データ(千円券、五千円券、一万円券それぞれの枚数データ)と、釣札収納部31に収納した各券種の枚数データ(千円券、五千円券、一万円券それぞれの枚数データ)とを、記憶部2の収納枚数データに加算して、収納枚数データの総枚数を更新する(ステップS111)。これにより、千円券収納部311に収納された千円券の収納枚数を示す釣札千券収納枚数データと、紙幣売上収納部32に収納された一万円券の収納枚数を示す売上万券収納枚数データとが記憶部2に記憶される。そして、制御部1は、売上金額算出処理を終了する。
【0041】
その後、紙幣鑑別部36は、紙幣留置部35に紙幣が残っているか否かを判定し(ステップS112)、残っていれば(ステップS112,Yes)、ステップS104に戻り、その紙幣を取得して、その紙幣の鑑別を行う。一方、残っていなければ(ステップS112,No)、紙幣の売上入金処理を終了する。
【0042】
<精算集計処理>
『精算集計処理』が実行されることにより、紙幣売上収納部32(図3)および硬貨売上収納部46(図2)に売上金額分に相当する紙幣および硬貨が収納されて、売上金が確定する。
この『精算集計処理』は、一部の処理(両替処理)以外は、一般的な現金処理装置でも行われる処理であるため、簡単に説明する(適宜、図1ないし図3を参照)。
【0043】
この『精算集計処理』は、前記した『売上回収処理』を行う前に実行される処理であり、これにより売上金が確定するとともに、後記する『両替処理』が実行されることにより、釣札収納部31に収納された千円券と、紙幣売上収納部32に収納された一万円券とを両替することができる。
【0044】
まず、メニュー画面(図4)にてユーザにより「精算集計」が選択(入力)されることで、制御部1は現金処理装置10の各部の動作を制御して、『精算集計処理』を実行する。
制御部1は、記憶部2に記憶された入金総額データおよび出金総額データから入金総額および出金総額を取得し、入金総額から出金総額を差分した売上金額を算出する。さらに制御部1は、記憶部2に記憶された収納枚数データから、紙幣売上収納部32に収納された紙幣の総額を算出する。そして、売上金額と、紙幣売上収納部32に収納された紙幣の総額とを差分し、売上額に足りない分(差額分)の紙幣の券種別の枚数および硬貨の種類別の枚数を算出する。次に、算出した枚数分の紙幣を釣札収納部31から、紙幣留置部35、紙幣鑑別部36を介して、紙幣売上収納部32へと搬送路37に搬送させる。さらに、算出した枚数分の硬貨を出金ホッパ部45から、硬貨売上収納部46へと搬送路37に搬送させる。これにより、紙幣売上収納部32および硬貨売上収納部46に収納された紙幣および硬貨の合計額が売上金額と同額となり、売上金が確定する。これにより、精算集計処理が終了する。この後で、『両替処理』が行われる。
【0045】
<両替処理>
図6は、第1の実施形態に係る紙幣入出金部が行う両替処理動作のフローチャートであり、図7ないし図12は、第1の実施形態に係る紙幣入出金部が行う両替処理動作による現金の移動を図示したものである(適宜、図3を参照)。
この『両替処理』が実行されることにより、釣札収納部31に収納された千円券と、紙幣売上収納部32に収納された一万円券とを両替することができる。
【0046】
まず、売上金額が確定し、『精算集計処理』が終了したところで、制御部1は現金処理装置10の各部の動作を制御して、『両替処理』を実行する。ここでは、一万円券と千円券とを交換(両替)する説明をする。このとき、交換(両替)する一万円券の数をN枚とし、千円券の数を10×N枚とする。
制御部1は、記憶部2に記憶された釣札千券収納枚数データを取得する(ステップS201,図6)。制御部1は、その釣札千券収納枚数データに基づいて、千円券収納部311に所定の枚数(例えば、10×N枚)の千円券が収納されているか否かを判定する(ステップS202,図6)。
ここで、10×N枚の千円券が収納されていなければ(ステップS202,No)、両替処理を終了する。
【0047】
一方、10×N枚の千円券が収納されていれば(ステップS202,Yes)、制御部1は、記憶部2に記憶された売上万券収納枚数データを取得する(ステップS203,図6)。制御部1は、その売上万券収納枚数データに基づいて、紙幣売上収納部32にN枚の一万円券が収納されているか否かを判定する(ステップS204,図6)。
ここで、N枚の一万円券が収納されていなければ(ステップS204,No)、制御部1は両替処理を終了する。
一方、N枚の一万円券が収納されていれば(ステップS204,Yes)、制御部1は、次のステップS205を実行する。以下、制御部1は、搬送路37の駆動ローラを制御している。
【0048】
このとき、現金処理装置10の内部に収納されている紙幣は、図7に示す初期状態の位置にあり、例えば、千円券収納部311には24枚の千円券が収納され、五千円券収納部312には6枚の五千円券が収納され、一万円券収納部313には6枚の一万円券が収納されているものとする。また、紙幣売上収納部32には、6枚の千円券、6枚の五千円券、10枚の一万円券が収納されているものとする。
【0049】
制御部1は搬送路37を制御して、紙幣売上収納部32に収納された紙幣を、紙幣格納部34に搬送する(ステップS205,図6)。これにより、図8に示すように、紙幣格納部34には、6枚の千円券、6枚の五千円券、10枚の一万円券が格納される。
次に、制御部1は搬送路37を制御して、千円券収納部311に収納された千円券を紙幣鑑別部36に搬送する。紙幣鑑別部36は、所定の枚数、ここでは10×N枚の千円券を繰り出して、紙幣留置部35へと搬送路37に搬送させる(ステップS206,図6)。例えば、交換すべき一万円券の数を、N=2として、20枚の千円券が搬送される(図9)。
紙幣鑑別部36は、紙幣留置部35から紙幣(千円券)を1枚ずつ取得して、紙幣売上収納部32へと搬送路37に搬送させる(ステップS207,図6)。これにより、紙幣売上収納部32には20枚の千円券が収納される(図9)。
【0050】
次に、制御部1に制御されて、搬送路37は、紙幣格納部34に格納された紙幣を、紙幣鑑別部36を経由して紙幣留置部35に搬送する(ステップS208,図6)。これにより、紙幣格納部34に格納された紙幣が紙幣留置部35に留置される(図10)。その後、制御部1に制御されて、搬送路37は、紙幣留置部35から紙幣を1枚ずつ繰り出して、紙幣鑑別部36へと搬送する。紙幣鑑別部36は、搬送された紙幣の鑑別を行って、紙幣留置部35から搬送された紙幣のうち、N枚の一万円券を一万円券収納部313へと搬送路37に搬送させ、それ以外の紙幣を紙幣売上収納部32へと搬送路37に搬送させる(ステップS209,図6)。この例では、N=2であるため、2枚の一万円券が搬送される(図11)。これにより、紙幣売上収納部32には、26枚の千円券、6枚の五千円券、8枚の一万円券が収納される(図12)。これで、紙幣入出金部3は、両替処理動作を終了する。
【0051】
以上により、第1の実施形態に係る紙幣入出金部3によれば、売上金が確定するとともに、釣札収納部31に収納された10×N枚の千円券と、紙幣売上収納部32に収納されたN枚の一万円券とを両替することができる。
【0052】
《第2の実施形態》
図13に、第2の実施形態に係る紙幣入出金部3Aの構成をブロック図で示す。
第2の実施形態に係る紙幣入出金部3Aは、第1の実施形態に係る紙幣入出金部3の構成に、千円券収納部311に検知部51をさらに備え、検知部51から出力される信号に基づき、制御部1Aが搬送路37を制御する構成となっている。
【0053】
(検知部51)
検知部51は、千円券収納部311に設置され、千円券収納部311に収納された千円券の枚数が所定の条件に達したときに、制御部1Aに信号を出力する構成部である。
例えば、収納された紙幣の厚さが所定値以上であることを検知する厚みセンサであったり、千円券収納部311の重量を測定する重量センサであってもよい。
【0054】
(制御部1A)
制御部1Aは、第1の実施形態に係る制御部1と比較すると、検知部51からの信号を受信して、『両替処理』(図6参照)を実行する点で相違している。これにより、第2の実施形態に係る紙幣入出金部3Aは、釣札収納部31に収納された千円券の枚数に応じて、自動的に、釣札収納部31に収納された千円券と、紙幣売上収納部32に収納された一万円券とを両替することができる。
【0055】
以上の構成を備える第2の実施形態に係る紙幣入出金部3Aを備える現金処理装置10は、千円券収納部311の容量を超える紙幣が収納されることを回避することができる。
【0056】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【0057】
例えば、実施形態において、紙幣売上収納部32に収納されたすべての紙幣を紙幣格納部34に搬送することとしているが、すべてである必要はない。例えば、制御部1は、一万円券がN枚以上混入されていると想定される枚数の紙幣を、紙幣売上収納部32から紙幣格納部34に搬送するように搬送路37を制御すればよい。あるいは、紙幣売上収納部32から紙幣鑑別部36を介して紙幣格納部34に搬送するようにし、N枚の一万円券が紙幣売上収納部32から繰り出されたことを紙幣鑑別部36で計数し、その時点で搬送を止めるようにしてもよい。
【0058】
第2の実施形態に係る紙幣入出金部3Aは、千円券収納部311に検知部51を設置して、千円券収納部311に収納された千円券の枚数の管理をしているが、記憶部2に記憶された収納枚数データを用いて千円券の枚数を管理してもよい。
【0059】
また、実施形態において、メニュー画面(図4)にてユーザにより「精算集計」が選択(入力)されることで、制御部1は現金処理装置10の各部の動作を制御して、『精算集計処理』を実行し、精算集計処理が終了した後で、『両替処理』が行われると説明している。しかし、両替処理の実行トリガーは必ずしも「精算集計」の指示である必要はない。例えば、制御部1(1A)が前記したように記憶部2に記憶された収納枚数データを用いて千円券の枚数を管理している場合に、所定の枚数を超える千円券が千円券収納部311に収納されることにより、制御部1(1A)は、ユーザにより入力部7から「精算集計」の指示が入力された時と同様に、現金処理装置10の各部の動作を制御して、『両替処理』を実行させてもよい。
【0060】
さらに、実施形態における『両替処理』では、一万円券と千円券との両替を行っているが、一万円券と五千円券との両替、五千円券と千円券との両替も可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 制御部(第1搬送部、第2搬送部、第3搬送部)
2 記憶部
3 紙幣入出金部
4 硬貨入出金部
5 カードリーダ部
6 表示部
7 入力部
10 現金処理装置
31 釣札収納部
32 紙幣売上収納部(第3収納部)
33 リジェクト収納部
34 紙幣格納部
35 紙幣留置部
36 紙幣鑑別部(配送部)
37 搬送部(第1搬送部、第2搬送部、第3搬送部)
41 硬貨格納部
42 硬貨留置部
43 硬貨鑑別部
44 返却硬貨格納部
45 出金ホッパ部(釣銭収納部)
46 硬貨売上収納部
47 釣銭硬貨格納部
48 搬送部
51 検知部
311 千円券収納部(第1収納部)
312 五千円券収納部
313 一万円券収納部(第2収納部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1紙幣が収納される第1収納部と、第2紙幣が収納される第2収納部と、少なくとも前記第2紙幣が収納された第3収納部とを備える現金処理装置であって、
前記第1収納部に収納された前記第1紙幣と前記第3収納部に収納された前記第2紙幣との双方の両替を行い、前記両替された第1紙幣を前記第3収納部に収納し、前記両替された第2紙幣を前記第2収納部に収納することを特徴とする現金処理装置。
【請求項2】
さらに、紙幣を留置する紙幣留置部と、
前記第1収納部に収納された前記第1紙幣を前記紙幣留置部に搬送する第1搬送部と、
前記第3収納部に収納された紙幣群を前記紙幣留置部に搬送する第2搬送部と、
前記両替を行うときに、前記紙幣留置部から紙幣を取得して、前記第1搬送部が搬送した前記第1紙幣を前記第3収納部に収納させ、前記第2搬送部が搬送した紙幣群のうち、前記第3収納部に収納させた第1紙幣と両替可能な枚数の第2紙幣を、前記第2収納部に収納させる配送部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載された現金処理装置。
【請求項3】
前記第1収納部に収納された前記第1紙幣の枚数が所定数を超えたことを検知する検知部をさらに備え、
前記第1搬送部は、前記検知部が検知したことを契機に動作する
ことを特徴とする請求項2に記載された現金処理装置。
【請求項4】
前記配送部は、前記紙幣留置部から取得した紙幣の種類を鑑別し、枚数を計数する紙幣鑑別部をさらに備え、
金額データを記憶する金額記憶部と、
前記紙幣鑑別部が鑑別した紙幣の種類に基づく金額データを取得して、入金総額データを前記金額記憶部に記憶させる入金計算制御部と、
前記金額記憶部に予め記憶された境界金額データの金額を、前記金額記憶部に記憶された前記入金総額データの金額が超えたとき、前記配送部を制御して、以後前記紙幣留置部に留置された紙幣を前記第3収納部に収納させる売上判定制御部と、
を備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載された現金処理装置。
【請求項5】
ユーザにより投入された紙幣を格納する格納部と、
前記第3収納部に収納された紙幣を前記格納部に搬送する第3搬送部とをさらに備え、
前記第2搬送部は、前記第3搬送部が搬送して前記格納部に格納された紙幣群を、前記紙幣留置部に搬送することを特徴とする請求項4に記載された現金処理装置。
【請求項6】
偽造紙幣を収納するリジェクト収納部と
をさらに備え、
前記配送部は、前記紙幣鑑別部が偽造紙幣であると鑑別した紙幣を、前記リジェクト収納部に収納させる
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載された現金処理装置。
【請求項7】
前記入金総額データの金額から前記境界金額データの金額を差分した金額が売上金額であり、前記第3収納部には、前記売上金額分の紙幣が収納されることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載された現金処理装置。
【請求項8】
前記紙幣は、日本銀行券であり、
前記第1紙幣は、千円券であり、前記第2紙幣は、一万円券であり、
前記配送部は、前記第1搬送部が前記紙幣留置部に搬送した千円券のうち、10×N(Nは自然数)枚の前記千円券を前記第3収納部に収納させ、前記第2搬送部が前記紙幣留置部に搬送した紙幣群のうち、N枚(Nは自然数)の前記一万円券を前記第2収納部に収納させる
ことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載された現金処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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