説明

球タンクの球抜き装置

【課題】球抜き時において計数センサーが球を計数してしまうことがない球タンクの球抜き装置を提供する。
【解決手段】パチンコ機の球タンクの一側に配設された球払出装置に連設される球抜き装置であって、賞球通路42と球抜き通路43とが形成された球通路部材4と、球通路部材4の一側に配置された球抜きスイッチ5と、球払出装置から送り込まれた球を賞球通路42又は球抜き通路43に切り替えて送り込むための切替レバー6と、切替レバー6の回動により上下方向に回動されるシーソー構造の球抜きレバー7とからなり、前記球抜きレバー7の一端には切替レバー6によって押し下げられる球抜きスイッチ作動片73を設け、球抜きレバー7の他端には球通路部材4の球供給通路41から上方に持ち上げられる計数センサー75を配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点検時などにパチンコ機の球タンクから球を抜くための球抜き装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
球タンク内の球を一球ずつ送出することができる球払出装置として、特許文献1に開示されたものがある。このものは、内周壁に球一個分の幅を有する凹溝が螺旋状に形成された筒状体と、モーターとを備えており、モーターにより筒状体を回転させることにより筒状体の下部に流入した球を螺旋状の凹溝により一球ずつ斜め上方に揚送することができる。
【0003】
以上のような球払出装置において、球詰まりなどのトラブル時や点検時などには、球タンク内や球払出装置内の球を抜く必要がある。しかしながら、この球払出装置においては、筒状体の球出口に球計数用のセンサーが配設されているため、球抜き時に球がセンサーを通過する。このため静電気等が原因となり抜き取り球を賞球としてカウントする等の誤作動を起こしてしまうという恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−259567号公報 (図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、球抜き時において計数センサーが球を計数してしまうことがない球タンクの球抜き装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明に係る球抜き装置は、パチンコ機の球タンクの端部に配設され、一球ずつ球を送り出す払出部材を有する球払出装置に連設される球抜き装置であって、球払出装置から送り出された球を計数する計数センサーと、賞球通路と球抜き通路とが形成された球通路部材と、計数センサーの下流に位置し球払出装置から送り込まれた球を賞球通路又は球抜き通路に切り替えて送入するための切替レバーと、切替レバーの回動により上下方向に回動されるシーソー構造の球抜きレバーと、払出部材を作動させるための球抜きスイッチと、からなり、
前記球抜きレバーの一端には切替レバーによって押し下げられる球抜きスイッチ作動片を設け、球抜きレバーの他端には球抜き時に球払出装置の球出口から上方に持ち上げられる計数センサーを配設したことを特徴とするものである。
【0007】
上記した発明において、前記払出部材を螺旋状の凹溝が形成された螺旋棒として、この螺旋棒の回転により凹溝に取り込んだ球を一球ずつ揚送するようにできる。さらに、切替レバーは、回動操作用の摘み部と、球通路切替弁と、球抜きレバー回動用の係合片とを有し、球抜きレバーは一端に、切替レバーの係合片と係合して球抜きレバーを下方に回動させるための傾斜面を有するものとすることができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明は、球抜き時に切替レバーを回動して賞球通路から球抜き通路に切り替えると、球抜きレバーの一端が押し下げられる。この一端に設けられた球抜きスイッチ作動片が球抜きスイッチを押下してオンされて、球払出装置が球タンク内の球を球抜き通路に送り込む。シーソー構造の球抜きレバーの他端には計数センサーが配設されており、この計数センサーは球抜きレバーの一端の押し下げによって上昇されて球供給通路から引き離されるので、計数センサーが抜き取り球を賞球として計数してしまうことがない。
【0009】
請求項2に係る発明は、賞球払い出し時又は球抜き時に螺旋棒が回転されて、凹溝内に取り込んだ球タンク内の球を一球ずつ揚送することができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、賞球通路が開放されている状態で摘み部を回動操作すると、球通路切替弁が賞球通路を閉鎖し球抜き通路を開放するとともに、係合片が球抜きレバーの一端の傾斜面を押し下げるので、球抜きレバーの他端が上昇されて、計数センサーが球供給通路から引き離される。切替レバーを逆方向に回動すると、傾斜面の押し下げが解除されるので、球抜きレバーの他端が自重により降下されて元の状態に復帰する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】球抜き装置が備えられた球タンクの斜視図である。
【図2】要部を拡大して示す斜視図である。
【図3】要部の長手方向の垂直断面図である。
【図4】球払出装置の垂直断面図である。
【図5】球抜き通路が閉鎖状態にある球抜き装置の斜視図である。
【図6】球抜き通路が閉鎖状態にある球抜き装置の平面図である。
【図7】球抜き通路が開放状態にある球抜き装置の斜視図である。
【図8】球抜き通路が開放状態にある球抜き装置の平面図である。
【図9】計数センサーが上昇された状態にある球抜き装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態に付いて説明する。
図1は、本発明の球抜き装置が配設された球タンクを示す図であって、1は球タンク、2は球タンク1の下流側端部に配設された球払出装置、3は球払出装置に連設された球抜き装置である。以下、球タンク1側を上流、球抜き装置3側を下流とし、上下、左右および前後は、図1の状態を基準として説明する。
【0013】
図2〜4に、球払出装置2の構造を示す。球払出装置2は筐体21の内部に立設された螺旋棒22と、螺旋棒22の前後に隣接して立設された揚送通路28とを有する。螺旋棒22は、ギア24、25を介してモーター23により回転される。球タンク1の下流側端部の底面11は球タンク1の前後左右から螺旋棒22に向かって低く傾斜されているので、球はそれぞれの揚送通路28に向かって流れ込む(図4)。螺旋棒22は遊技球の直径以上の幅の螺旋状の凹溝を有しているので凹溝に球が入り込み、回転することによって流れ込んだ球を揚送通路28に沿って上方に揚送する。揚送通路28の上部には待機空間26が設けられており、揚送された球は、段差27により足止めされて、次の球により押し出されるまで一瞬待機空間26に留められて、前後の球同士の間に計数用の隙間が設けられる。
【0014】
球抜き装置3の構造を、図1、2、5、6に示す。球抜き装置3は、球通路部材4と、球通路部材4の後方に配置された球抜きスイッチ5と、球払出装置2から送り込まれた球を賞球又は抜き取り球とに切り替えるための切替レバー6と、切替レバー6の回動により上下方向に回動される球抜きレバー7とからなる(図1)。
【0015】
球通路部材4には、上流側の2本の球供給通路41と、下流側の賞球通路42と球抜き通路43とが形成されている。賞球通路42と球抜き通路43の入口には、球供給通路41から流れ込んだ球を賞球通路42又は球抜き通路43に振り分けるための切替レバー6が水平回動自在に立設されている(図5、6)。
【0016】
切替レバー6は、中心の支軸61と、回動操作用の摘み部62と、支軸61の下部の球通路切替弁63と、支軸61の上部の球抜きレバー7回動用の係合片64とを有している。図5、6に示す状態においては、球抜き通路43の入口は球通路切替弁63によって閉鎖され賞球通路42の入口は開放されているので、2本の球供給通路41を流下した球は賞球通路42に流れ込むこととなる。なお、螺旋棒22によって前後それぞれの揚送通路28からは交互に送り出されるので、賞球通路42において球は自然と一列になる。
【0017】
球抜きレバー7は、支軸71を中心に上下方向に回動するシーソー構造のものであって、切替レバー6側の一端に切替レバー6との係合部72が設けられ、この係合部72の端部には球抜きスイッチ作動片73が設けられている。係合部72には、球抜きスイッチ作動片73の方向に向けて高く傾斜する傾斜面74が形成されている。支軸71を挟んで球抜きレバー7の他端には、計数センサー75が配設されており、賞球払い出し時においては、球抜きレバー7の他端は降下されており、球検出部76は切替レバー6よりも上流の球供給通路41に臨んでいて球供給通路41を通過する賞球を計数することができる(図2)。計数センサー75として、フォトセンサー、磁気センサーなどを用いることができる。
【0018】
以上のような球抜き装置において、点検などで球タンク1内の球を抜く必要が生じたときは、図7、8に示すように、切替レバー6を時計回り方向に回動する。これによって、
球通路切替弁63が球抜き通路43の入口を開放し賞球通路42の入口を閉鎖すると同時に、係合片64が傾斜面74を押し下げつつ摺動するので、球抜きレバー7の一端が押し下げられる。これによって球抜きスイッチ作動片73が球抜きスイッチ5を押圧してオンとする。球抜きスイッチ5のオンとともにモーター23が駆動されて、一球ずつ球を送り出す払出部材としての螺旋棒22が球タンク1内の球を揚送して、球供給通路41、球抜き通路43を通過させて球抜きを行うことができる。
【0019】
球抜きレバー7の一端が押し下げられると同時にその他端が上昇されるので、他端に設けた計数センサー75の球計数部76は持ち上げられて、球供給通路41から引き離される。よって、計数センサー75が抜き取り球を賞球として計数してしまうことはない。
【0020】
点検等の作業完了後は、切替レバー6を反時計方向に回動する。これによって、球通路切替弁63が球抜き通路43の入口を閉鎖し賞球通路42の入口を開放する。これとともに係合片64が傾斜面74を押し下げる力が解除されるので、玉抜きレバー7の一端が上昇されるとともに、他端が降下されて計数センサー75の球計数部76が球供給通路76にセットされて、賞球払い出し可能な状態に復帰させることができる。
【符号の説明】
【0021】
4 球通路歩部材、5 球抜きスイッチ、6 切替レバー、7 球抜きレバー、41 球供給通路、42 賞球通路、43 球抜き通路、73 球抜きスイッチ作動片、75 計数センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ機の球タンクの端部に配設され、一球ずつ球を送り出す払出部材を有する球払出装置に連設される球抜き装置であって、球払出装置から送り出された球を計数する計数センサーと、賞球通路と球抜き通路とが形成された球通路部材と、計数センサーの下流に位置し球払出装置から送り込まれた球を賞球通路又は球抜き通路に切り替えて送入するための切替レバーと、切替レバーの回動により上下方向に回動されるシーソー構造の球抜きレバーと、払出部材を作動させるための球抜きスイッチと、からなり、
前記球抜きレバーの一端には切替レバーによって押し下げられる球抜きスイッチ作動片を設け、球抜きレバーの他端には球抜き時に球払出装置の球出口から上方に持ち上げられる計数センサーを配設したことを特徴とする球抜き装置。
【請求項2】
前記払出部材を螺旋状の凹溝が形成された螺旋棒として、この螺旋棒の回転により凹溝に取り込んだ球を一球ずつ揚送するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の玉抜き装置。
【請求項3】
切替レバーは、回動操作用の摘み部と、球通路切替弁と、球抜きレバー回動用の係合片とを有し、球抜きレバーは一端に、切替レバーの係合片と係合して球抜きレバーを下方に回動させるための傾斜面を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の球抜き装置。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−139273(P2012−139273A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292422(P2010−292422)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000148287)株式会社浅間製作所 (114)
【Fターム(参考)】