説明

球体付き回転体およびこの球体付き回転体を備えたマッサージ器

【課題】 公転運動を行なう球体や公転運動を行ないつつ自転運動を行なう球体によって身体を擦るようにしたマッサージ器具に関して、これまでのものからは得られないようなより複雑な刺激を与えることが出来るマッサージ器と、その主要な部品である球体付き回転体の提供を課題とする。
【解決手段】 (1)回転軸に取り付ける複数組の回転板と球体との組に付いて、回転軸に反転ギヤ列を介して取り付けて成る組を設けた。(2)また回転軸に取り付ける複数組の回転板と球体との組に付いて、回転軸に対して偏心して取り付けて成る組を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は公転運動を行なう球体や公転運動を行ないつつ自転運動を行なう球体によって身体を擦るためのマッサージ器具と、その部品である球体付き回転体とに関する。より詳しくは正回転をする球体付き回転体と逆回転をする球体付き回転体とを備えている点や、偏心回転を行なう球体付き回転体を備えている点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2004−329834のマッサージ器具は当発明者の発明になるものであるが、球体付き回転体に関して、図1及び図4で示すように、モータの回転軸に取り付けられた複数枚の円板の各々相対する面に軸受けの凹部が形成されており、この凹部に球体をはめ込むようにして、球体を円板で挟み付けて成るものである。
【0003】
そしてモータをON状態にすることによって円板ごと球体を公転運動させ、この球体を身体所要部に当てるようにしてマッサージを行なうものである。この際に球体自体が円板の凹部の中で凹部から外れることなく自転運動を行なって、身体に心地良いマッサージ刺激を与えることが出来る。
【特許文献1】特開2004−329834(図1、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確かに特開2004−329834のマッサージ器具では、身体に当てられた回転する球体によって一定のマッサージ効果を上げることが出来るのであるが、刺激が単調になりやすいと言う不満が出る場合があり、新たな刺激を加え得るようなマッサージ器の出現が望まれている。
【0005】
そこでこの発明は、上述したような構造のマッサージ器具のものからは得られないようなより複雑な刺激を与えることが出来るマッサージ器とその主要な部品である球体付き回転体の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
当発明者は鋭意研究の結果、従来のこの種のマッサージ器はどれも、モータの回転に伴って球体付き回転体が一斉に同方向に公転運動を行なうものであるために、身体に与える刺激が単調になりやすいのであると言うことが分かった。そこで当発明者は、球体付き回転体の中に逆方向の公転運動を行なう部位を設ければ良いと言う知見を得た。
【0007】
またこれまでのこの種のマッサージ器はどれも、公転する時に球体の最外周部分が描く軌跡の形が単純な円筒状であるために、身体に与える刺激が単調になりやすいのであると言うことが分かった。そこで当発明者は、複数個の球体付き回転体に関して、それぞれが描く軌跡が異なるように構成すれば良いと言う知見を得た。
【0008】
すなわち上記課題は、回転軸に取り付けた2枚の回転板の間に複数個の球体を、回転板の外周部に添って且つ回転板の外周部よりも外側に球体の外周部が出るようにして、回転可能に設けると共に、これと同様の構成の回転板と球体との組を、前記回転軸に反転ギヤ列を介して取り付けて成る球体付き回転体とすることにより、またこのような球体付き回転体を備えたマッサージ器とすることによって解決される。また上記課題は、周囲に複数個の球体を備えた回転板を回転軸に取り付けると共に、これと同様の構成の回転板と球体との組を、前記回転軸に反転ギヤ列を介して取り付けて成る球体付き回転体とすることにより、またこのような球体付き回転体を備えたマッサージ器とすることによって解決される。なお後者では回転板の周囲に複数個の球体を備えているが、球体は完全な球体とは限られず、半球体等であってもよい。また例えば球体はその一部を回転板の周囲に埋め込むようにして設けたり、略半球体をその平面部分で回転板の周囲に接着固定して設けたりしても良い。
【0009】
このような球体付き回転体はモータの回転軸に取り付けられるが、前記反転ギヤ列を介さずに取り付けられているものでは、この回転軸の回転方向と同じく正回転するのであるが、これに対し反転ギヤ列を介して取り付けられているものでは、モータの回転軸の回転方向とは逆の回転運動を行う。従って球体付き回転体に正逆2方向の回転が混在することになり、これに触れる身体部分が受ける感触が以前のものよりも複雑になり、満足度が高まってマッサージ効果を上げることが出来るのである。
【0010】
なお、前記反転ギヤ列とこれに係る前記回転板の中に前記回転軸を遊びを設けて貫通させて成るものとすることが出来る。これを貫通した前記回転軸には更に別の正回転する前記球体付き回転体を設けることが可能であり、更に反転ギヤ列と逆の回転運動をさせたい球体付き回転体を、と言うように前記球体付き回転体を増設することが可能である。またこの場合、同方向に回転する回転体を複数個並べて設けたり、正方向に回転する回転体と逆方向に回転する回転体とを交互に配設することも可能である。
【0011】
なお、前記回転軸に前記回転板を偏心して取り付けて成るものとすれば、前記2枚の回転板とこの間に回転可能に設けられた複数個の球体との組、または前記回転板とその周囲に固定的に設けられた複数個の球体との組、に関してそれぞれの組が描く軌跡が単純な円状ではなくなるため、より複雑な刺激を身体に与えることが出来る。またこれと同じ動作は、前記回転軸にカムを取り付け、このカムを前記球体付き回転体の中心に開けた孔部に填め込んで、このカムで前記孔部を押すように設けて成るものとしても実現可能である。カムの凸部に押される方向に前記球体付き回転体が偏心して回転するからである。更にこの何れの構成であっても複数の前記球体付き回転体の間で偏心方向が異なるように設けることで、前記組の集合体に、より複雑な動作を行わせ、身体に新たな刺激を加えることが可能となる効果を上げている。
【0012】
また上記課題は、回転軸に取り付けた2枚の回転板の間に複数個の球体を、回転板の外周部に添って且つ回転板の外周部よりも外側に球体の外周部が出るようにして、回転可能に設け、この構成の回転板と球体との組を複数組、前記回転軸に偏心して取り付けて成る球体付き回転体とすることにより解決される。またこのような球体付き回転体を備えたマッサージ器とすることによって解決される。また上記課題は、周囲に複数個の球体を備えた回転板を複数組、回転軸に偏心して取り付けて成る球体付き回転体とすることにより解決される。またこのような球体付き回転体を備えたマッサージ器とすることによって解決される。なお後者では回転板の周囲に複数個の球体を備えているが、球体は完全な球体とは限られず、半球体であってもよい。また例えば球体はその一部を回転板の周囲に埋め込むようにして設けたり、略半球体をその平面部分で回転板の周囲に接着固定して設けたりしても良いことは上述した通りである。
【0013】
この球体付き回転体もモータの回転軸に取り付けられるが、重要な点は偏心して取り付けられていることであり、これにより描く軌跡が単純な円状ではなくなるため、より複雑な刺激を身体に与えることが出来るのである。なお回転軸に対して偏心して取り付けて成る組は、全ての組であっても一部の組であっても良い。しかしながら大多数の組が偏心して取り付けられている方がより好ましい。
【0014】
なお、前記回転軸にカムを取り付け、このカムを前記回転板の中心に開けた孔部に填め込んでこのカムで前記孔部を押すように設ける構成としても良い。これによれば前記カムの凸部に押される方向に前記回転板が偏心して回転する。
【0015】
また複数の前記回転板の間で偏心方向が異なるように設けて成るものとすることが出来る。これにより前記回転板と球体との組の集合体により複雑な動作を行わせて、新たな刺激を身体に与えることが可能である。
【0016】
さてこの発明は、上述したような球体付き回転体を備えた回転軸をモータで回転させるように設けて成るマッサージ器を提供することが出来る。この球体付き回転体を備えたマッサージ器の作用効果は上述した通りである。なおモータに電力を供給するための電源(乾電池など)やスイッチや、場合によっては回転制御回路などをこのマッサージ器に内蔵するようにも設計し得るし、或いはこれ等を別に設けたコントローラに内蔵させてそこからマッサージ器に配線するようにも設計することが可能である。
【0017】
このようなマッサージ器に前記球体を覆うための柔軟な素材から成るカバーを掛けて成るものとすることが出来る。すなわち例えば、マッサージ器の球体付き回転体から先端部に掛けてら柔軟な素材のカバーを被せるようにするのである。このカバーにはゴム素材のもの、プラスチック素材のもの、布素材のものなどで柔軟なものが任意に利用可能である。身体のデリケートな部位に触れる球体などの部位がカバーで覆われているため、当たりがソフトなものと成って、効果的なマッサージ作用が得られる。あるいは好みのカバーに交換し得るように、カバーを本体に対して着脱自在とするなどもよい。このような構成であるため身体皮膚に対してはこのカバーの裏側から回転刺激を加えるようになる。従ってこのようなカバーを介しの当りはソフトなものであり、やはり心地良いものである。
【0018】
なおモータの回転軸に軸受けを設ける場合では、前記カバーでこの軸受けを係止するように設けて成るものとすることが出来る。上述したようにモータの回転軸には前記球体付き回転体などが設けられるため、これ等をブレることなく回転させるためにはモータの回転軸に軸受けを設ける方がより好ましくある。そこでこの軸受けをどこで支えるかであるが、前記カバーでこれを係止させて支える構成が可能である。
【0019】
更に上述したようなマッサージ器にバイブレータが設けられているものとすることが出来る。このバイブレータとしては偏心重錘を有するモータに電池とスイッチとが接続されているものなどを例に上げることが出来る。この場合モータの回転によって偏心重錘が回転するが、偏心重錘であるが故に振動を発生するのである。従ってバイブレータからの振動刺激を加えつつ、この発明の球体付き回転体によるマッサージ刺激を与えることが可能であり、2つの異なる刺激で相乗効果を上げることが出来るのである。
【0020】
なおこのマッサージ器本体から分岐する突出部を設けて、そこにバイブレータを納めた構成とすることが可能である。またこの突出部はこのマッサージ器本体とは別の身体部位をマッサージする目的に使用し得るように構成することが可能である。
【発明の効果】
【0021】
この発明は、複数の球体付き回転体の中に逆方向の回転運動を行なう回転体を設けたり、それぞれの回転体が描く軌跡が異なるように構成している。これによって身体により複雑な新感覚のマッサージ刺激を与えることが出来るようになっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
第1実施形態
図1及び図2はこの実施形態の球体付き回転体を表わしたものである。各々6個の球体とこれ等の球体を挟む2枚の回転板との組が3組設けられている。図2で示したように2枚の回転板20,20の各々相対する面に球体受けとなる凹部23が形成されており、この凹部23に球体2をはめ込むようにして、この凹部23内で全方向に回転自在となるように球体2を2枚の回転板20,20で挟んで成るものである。なお回転板20,20の間は連結軸21で結ばれている。この構成は球体1と回転板10との組でも同様である。また球体1と回転板10との組は2組用いられている。この2組は同方向に回転するものであり、これに対して前記球体2と回転板20との組は逆回転するものである。なお6個ある球体1も球体2も、回転板10や回転板20の外周部に添って且つ回転板の外周部よりも外側に球体の外周部が出るようにして、回転可能に設けられている。
【0023】
図1で示したように回転軸41には第1の球体1と回転板10との組(図1では最下段のもの)が固定されている。2枚の回転板10,10をその中心部で接続する連結軸11に前記回転軸41を挿通させて、上記組を回転軸41に固定して成る。従ってこの組は回転軸41の回転方向と同一の方向に回転する。更に回転軸41には上記組の上段に球体1と回転板10との組、及びこれに連結された透明ケース3が、遊軸孔22,30に前記回転軸41を通すようにして取り付けられている。前記透明ケース3には反転ギヤ列が納められている。この反転ギヤ列は図1で上側となるクラウンギヤ31と下側となるクラウンギヤ33とを向かい合わせに配置してその間にピニオンギヤ32を噛合させて成るものであるが、上側となるクラウンギヤ31が回転軸41に固定されているのに対して、下側となるクラウンギヤ33は回転軸41に固定されておらず、このクラウンギヤ33は前記透明ケース3に固定されている。なおピニオンギヤ32は透明ケース3の側壁に回転軸で回転自在に取り付けられている。更に前記透明ケース3より先では第2の球体1と回転板10との組が回転軸41に固定されている(図1では最上段に描かれている)。従ってこの組も回転軸41の回転方向と同一方向に回転するものとして設けられている。
【0024】
回転軸41を回転させると、上述したように回転軸41に固定されている回転板10とクラウンギヤ31とだけが回転軸41と同一方向に回転する。クラウンギヤ31の回転はピニオンギヤ32を介してクラウンギヤ33に逆方向への回転運動を起こさせる。このクラウンギヤ33は透明ケース3に固定されており透明ケース3は遊軸孔30で回転軸41に通されているだけであるから、回転軸41とは逆方向に回転する。この透明ケース3には回転板20が固定されているが、この回転板20自体もその連結軸21が前記回転軸41に対しては遊軸孔22で通されているだけであるため、回転軸41と逆方向に回転することが出来るのである。なお2組の回転板10は何れも回転軸41に固定されており、同一の方向へ回転する。この2組の回転板10に挟まれる形で回転板20が逆方向へ回転するのである。
【0025】
球体1と回転板10との組が2組、この間に挟まれる球体2と回転板20とによる1組、が回転した時に、球体1,2が身体に接触していると、球体1,2は自転運動を行なう。図1で球体1の矢線方向の回転と球体2の矢線方向の回転とは逆になることが了解される。何れにせよ身体にはそれぞれの組が描く軌跡が交互に異なるように知覚される。このことによって身体により複雑な新感覚のマッサージ刺激を与えることが出来るのである。なお図1で球体1,2に接する鎖線は柔軟な合成樹脂製のカバー50であり、このカバー50がある場合にはマッサージ刺激はこのカバー50を介して身体に伝達される。またこのカバー50の少なくとも球体1,2に接触する部位が透明な素材で構成されているものとすれば、内部で正逆回転している球体1,2をカバー50を透して見ることが出来る。これは以下で述べる他の実施形態に付いても同様である。
【0026】
第2実施形態
図3で表わされているこの実施形態のマッサージ器は、上述した第1実施形態の球体付き回転体を組み込んで成るものである。すなわちマッサージ器のケース5にはモータ4とこの回転軸の回転数を下げるためのギヤボックス40とモータ4に電力を供給するための乾電池(図示せず)とが納められており、このモータ4をON/OFFするためのスイッチ43がケース5の底部に設けられている。このモータ4の回転軸41には前記球体付き回転体が取り付けられており、更に先方は屈曲されて屈曲軸42とされて成る。そしてケース5から露出する前記球体付き回転体から屈曲軸42までを、シリコン製のカバー50で覆って成る。
【0027】
前記球体付き回転体の回転運動によって球体1,2がカバー50を介して身体をマッサージする。特にこの球体1,2には回転軸というものが存在しないために球体1,2が全方向に回転可能と成っており、身体に対していろいろな方向に動かし、当て方を変えてマッサージを行なうことが可能と成っている。この実施形態のマッサージ器は、全体としてスティック状を呈しているため、身体の殊に女性の膣内部の筋肉をマッサージしてその感覚を十分に鍛練することが出来る。またモータ4がON状態になると屈曲軸42が首振り運動を行ない、これが前記カバー50に首振り運動させて膣内部の筋肉に上記とは異なる刺激を与えるのである。なお前記カバー50の形状は任意であり、人形や動物等の具象形状とするなども好ましい。
【0028】
なおこの実施形態のマッサージ器には、前記ケース5の途中から分岐する分岐ケース51が設けられており、この分岐ケース51にはモータ6が納められており、このモータ6の回転軸60に偏心重錘61が固定されている。ここで言う偏心重錘とは、重錘が重量バランスを壊して回転軸60に固定されたものを言い、このような偏心重錘61を回転させるとモータ6の全体延いては分岐ケース51やケース5にまで振動が伝わるのである。従ってこの分岐ケース51の部位は、バイブレータとしてのマッサージ器の役割を担うものである。なお前記ケース5の底面には前記スイッチ43と共にモータ6をON/OFFするためのスイッチ62が取り付けられており、このスイッチ62と図示しない電池とモータ6とが直列に配線されている。
【0029】
第3実施形態
さて図4及び図5はこの実施形態の球体付き回転体を表わしたものである。各々6個の球体とこれ等の球体を挟む2枚の回転板との組から成る。図5で示したように2枚の回転板70,70の各々相対する面に球体受けとなる凹部71が形成されており、この凹部71に球体7をはめ込むようにして、凹部71内で全方向に回転自在となるように、球体7を2枚の回転板70,70で挟んで成るものである。このような構成の回転板70と球体7との組を4組、各々、回転板70の中心部から偏心させて開孔した偏心軸孔72,73,74,75を以て回転軸41に固定して成る。
【0030】
従って回転軸41を回転させると、図4から明らかとなるように、各々の組が偏心状態で且つ長径部がずれた状態で回転運動を行うため、各部の球体7に触れている身体にはそれぞれの組が描く軌跡が別々に波打つように知覚される。このことによって身体により複雑な新感覚のマッサージ刺激を与えることが出来るのである。
【0031】
第4実施形態
次に図6はこの実施形態の球体付き回転体を表わしたものである。円筒形状の回転板13の周囲には回転対称となる6ヶ所の部位に、球体12を填め込むための凹部14が設けられており、ここに球体12が接着固定されている。また同様に回転板25の周囲の凹部26に球体24が填め込まれている。前記回転板13は2組あるが、これ等は直接回転軸41に固定されている。これに対して前記回転板25は前記回転軸41に反転ギヤ列を介して取り付けられている。この反転ギヤ列であるが、第1実施形態でも説明したように、透明ケース3に反転ギヤ列が納められており、この反転ギヤ列は図6で上側となるクラウンギヤ31と下側となるクラウンギヤ33とを向かい合わせに配置してその間にピニオンギヤ32を噛合させて成るものであるが、上側となるクラウンギヤ31が回転軸41に固定されているのに対して、下側となるクラウンギヤ33は回転軸41に固定されておらず前記透明ケース3に固定されている。ピニオンギヤ32は透明ケース3の側壁に回転軸で回転自在に取り付けられている。更に前記透明ケース3より先では上述したように第2の球体12と回転板13との組が回転軸41に固定されている(図6では最上段に描かれている)。従ってこの組も回転軸41の回転方向と同一方向に回転するものとして設けられている。
【0032】
回転軸41を回転させると、上述したように回転軸41に固定されている回転板13とクラウンギヤ31とだけが回転軸41と同一方向に回転する。クラウンギヤ31の回転はピニオンギヤ32を介してクラウンギヤ33に逆方向への回転運動を起こさせる。このクラウンギヤ33は透明ケース3に固定されており透明ケース3は遊軸孔30で回転軸41に通されているだけであるから、回転軸41とは逆方向に回転する。この透明ケース3には回転板25が固定されているが、この回転板25自体も前記回転軸41に対しては遊軸孔27で通されているだけであるため、回転軸41と逆方向に回転することが出来るのである。
【0033】
前記2組の回転板13は何れも回転軸41に固定されており、同一の方向へ回転する。この2組の回転板13に挟まれる形で回転板25が逆方向へ回転する。従って身体にはそれぞれの組が描く軌跡が交互に異なるように知覚される。このことによって身体により複雑な新感覚のマッサージ刺激を与えることが出来るのである。なお図6に描かれている球体12,24に接する鎖線は柔軟な合成樹脂製のカバー50であり、このカバー50があると、マッサージ刺激はこのカバー50を介して身体に伝達される。このカバー50の少なくとも球体12,24に接触する部位が透明な素材で構成されているものとすれば、内部で正逆回転している球体12,24をカバー50を透して見ることが出来ることは上述した通りである。
【0034】
第5実施形態
さて図7はこの実施形態の球体付き回転体を表わしたものである。各々6個の半球体76とこれ等の半球体76を周囲に接着した回転板77との組から成る。円筒形状の回転板77の周囲には回転対称となる6ヶ所の部位に、半球体76をその平面部で接着するための接着座78が設けられており、ここに半球体76が接着固定されている(なお半球体76も身体を押す部位からすれば球体と同じである)。また前記回転板77には偏心孔78が開孔されており、この偏心孔78に上述した回転軸41に通して固定するための軸孔80を有するカム8が填め込まれる。
【0035】
従って回転軸41を回転させると、回転板77の偏心孔78が偏心回転運動を行うカム8に押されて、回転板77が偏心回転運動を行なうことに成る。従ってこのような構成の回転板77と半球体7との組を例えば4組、各々、前記カム8に填め込んで取り付けておけば、且つカム8ごとに偏心方向を違えて回転軸41に固定しておけば、各々の回転板77が偏心状態で回転運動を行うため、各部の半球体76の球面部分に触れている身体には、それぞれの組が描く軌跡が別々に波打つように知覚される。このことによって身体に対してはより複雑な新感覚のマッサージ刺激を与えることが出来るのである。
【0036】
この他の実施形態
以下では図面を用いずに説明するが、上述の実施形態を参照すれば理解は容易である。まず第1実施形態のクラウンギヤ33の方を回転軸41に固定し、回転軸41から自由に設けたクラウンギヤ31の側にその先の回転板と球体との組を固定すれば、この組に逆転運動を起させることが出来るが、この際に遊軸孔の構成を不要とすることが出来る。
【0037】
第1実施形態の回転板20と球体2との組を複数組連結することも可能であり、これは他の組すなわち回転板10と球体1との組に付いても同様に実施することが出来る。
【0038】
透明ケース3は透明である必要はないのであるが、上記では内部構造が見えるように透明としてある。なおこのケースの外周部分に球体を取り付ける構成も可能である。また球体には真珠玉や磁石玉やトルマリン玉などを用いることが、可能であり各々の素材が有する効能を亨受し得る。
【0039】
また第1実施形態の回転板と球体との組を回転軸41に偏心して取り付ける構成が可能である。これは第1実施形態と第3実施形態とを併せたような構成であると言うことが出来る。
【0040】
また回転板が前記回転軸に対して非直角に(傾斜して)取り付けられて成るものとすることが出来る。回転板には回転板の外周部に沿って球体が回転自在に取り付けられているが、回転板がモータの回転軸に対して傾斜して取り付けられているために、球体全体としては波を打つような軌跡を描いて身体に接触しているような感覚を与えることが出来るのである。
【0041】
また回転板に球体を取り付けるのに、上述した実施形態では回転板に球体受けとなる凹部を形成し、この凹部に球体をはめ込むようにして球体を凹部回転自在としている。しかしながらこの構成に限定されることはないから、例えば回転板の各々相対する面に軸受けの溝部を形成し、この溝部に球体を、この球体に設けた回転軸をはめ込むようにして、球体を回転板で挟み付けて成るものを上げることが出来る。またこのように回転軸で球体を軸支するのであれば、球体の表面にマッサージに変化を付けるための凹凸を付けるなどの構成が可能となる。なおこれまでは回転板に円板を用いて来たが、必ずしも円板でなくともよく、正多角形状のものや、これ等の形を崩したものなどが適宜利用可能である。また必ずしもいわゆる板状でなくてよい。また球体には全て同じものを使わなくてはならないと言うような限定もないから、例えば回転板に大小2種類の球体を交互に配設するなども可能である。大小の球体はその曲率が異なるため、身体に接触した時に当たりが異なって感じられて、マッサージにもリズミカルな変化を加えることが出来るのである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
なおこの発明は上述した実施形態に限定されないから、上述のように回転板や球体の素材や大きさの選択は任意であり、同一の層内に於いて外周部の球体の内側に別の球体を配設することも可能である。
【0043】
またマッサージ器具としては、実施形態で説明した屈曲軸42の屈曲構成やこれに合わせたカバー50の構成などは必須ではない。またカバー50そのものも必須ではないから、球体が直接身体に接触し得るような構成も可能である。なおマッサージ器具に於ける電池をケース5とは別のケースに納めてコントローラとする構成も出来る。また電源には乾電池の他に家庭用電源から電力を得るための電源アダプターなどを利用してもよい。モータを制御回路に接続し、制御回路に幾つもの異なるモータの回転パターンを設定しておき、これ等からユーザーが好みのパターンを選択し得るように設計することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】 第1実施形態の球体付き回転体の模式図である。
【図2】 同実施形態の回転板20の底面図である。
【図3】 第2実施形態のマッサージ器の内部模式図である。
【図4】 第3実施形態の球体付き回転体の模式図である。
【図5】 同実施形態の回転板70の底面図である。
【図6】 第4実施形態の球体付き回転体の模式図である。
【図7】 第5実施形態の回転板77の底面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 球体
10 回転板
11 連結軸
12 球体
13 回転板
14 凹部
2 球体
20 回転板
21 連結軸
22 遊軸孔
23 凹部
24 球体
25 回転板
26 凹部
27 遊軸孔
3 透明ケース
30 遊軸孔
31 クラウンギヤ
32 ピニオンギヤ
33 クラウンギヤ
4 モータ
40 ギヤボックス
41 回転軸
42 屈曲軸
43 スイッチ
5 ケース
50 カバー
51 分岐ケース
6 モータ
60 回転軸
61 偏心重錘
62 スイッチ
7 球体
70 回転板
71 凹部
72 偏心軸孔
73 偏心軸孔
74 偏心軸孔
75 偏心軸孔
76 半球体
77 回転板
78 接着座
79 偏心孔
8 カム
80 軸孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に取り付けた2枚の回転板の間に複数個の球体を、回転板の外周部に添って且つ回転板の外周部よりも外側に球体の外周部が出るようにして、回転可能に設けると共に、これと同様の構成の回転板と球体との組を、前記回転軸に反転ギヤ列を介して取り付けて成ることを特徴とする、球体付き回転体。
【請求項2】
周囲に複数個の球体を備えた回転板を回転軸に取り付けると共に、これと同様の構成の回転板と球体との組を、前記回転軸に反転ギヤ列を介して取り付けて成ることを特徴とする、球体付き回転体。
【請求項3】
前記反転ギヤ列とこれに係る前記回転板の中に前記回転軸を遊びを設けて貫通させて成る、請求項1または請求項2に記載の球体付き回転体。
【請求項4】
同方向に回転する前記回転板と球体との組を複数組並べて設けて成る、請求項1または請求項2に記載の球体付き回転体。
【請求項5】
正方向に回転する前記回転板と球体との組と、逆方向に回転する前記回転板と球体との組と、を交互に配設して成る請求項1または請求項2に記載の球体付き回転体。
【請求項6】
前記回転軸に前記回転板を偏心して取り付けて成る、請求項1または請求項2に記載の球体付き回転体。
【請求項7】
前記回転軸にカムを取り付け、このカムを前記回転板の中心に開けた孔部に填め込んでこのカムで前記孔部を押すように設けて成る、請求項1または請求項2に記載の球体付き回転体。
【請求項8】
複数の前記回転板の間で偏心方向が異なるように設けて成る、請求項6または請求項7に記載の球体付き回転体。
【請求項9】
回転軸に取り付けた2枚の回転板の間に複数個の球体を、回転板の外周部に添って且つ回転板の外周部よりも外側に球体の外周部が出るようにして、回転可能に設け、この構成の回転板と球体との組を複数組、前記回転軸に偏心して取り付けて成ることを特徴とする、球体付き回転体。
【請求項10】
周囲に複数個の球体を備えた回転板を複数組、回転軸に偏心して取り付けて成ることを特徴とする、球体付き回転体。
【請求項11】
前記回転軸にカムを取り付け、このカムを前記回転板の中心に開けた孔部に填め込んでこのカムで前記孔部を押すように設けて成る、請求項10または請求項11に記載の球体付き回転体。
【請求項12】
複数の前記回転板の間で偏心方向が異なるように設けて成る、請求項10または請求項11の球体付き回転体。
【請求項13】
請求項1〜請求項12の何れか一に記載の球体付き回転体を備えており、前記回転軸をモータで回転させるように設けて成ることを特徴とするマッサージ器。
【請求項14】
前記球体を覆うための柔軟な素材から成るカバーが掛けられている請求項13に記載のマッサージ器。
【請求項15】
このマッサージ器にさらにバイブレータが設けられている請求項13に記載のマッサージ器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−212615(P2008−212615A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98864(P2007−98864)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(391004540)ユーズ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】