説明

球打撃練習用ティー

【課題】グランド上に設置したティー上の球に対し、打撃練習を繰り返し行なう場合に、グランド上におけるティーの位置ずれの発生を抑制して、ティーの位置ずれの修正作業を少なくできるようにし、もって、打撃練習の効果を向上させる。
【解決手段】球打撃練習用ティーは、グランド2上に設置される基台11と、基台11から上方に向かって突出する起立姿勢とされ、突出端部の上端面に打撃される球4を載置可能とするポスト12とを備え、ポスト12の少なくとも上部が弾性を有している。ポスト12の上部側が球4の打撃方向の前方に向かって往回動A可能、かつ、これとは逆に復回動B可能となるようポスト12の下部を基台11に枢支する枢支具13と、ポスト12の上記起立姿勢からの後方回動を阻止するストッパ14と、基台11とポスト12とに架設され、ポスト12を復回動Bさせるよう付勢するばね15とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球やソフトボールの練習用として、所定高さに位置させた球をバットで打撃可能にさせるようにした球打撃練習用ティーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記球打撃練習用ティーには、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、上記ティーは、グランド上に設置され、打撃される球を、その上端面に載置可能とするものであり、グランド上に設置される基台と、この基台から上方に向かって突出する起立姿勢とされ、その突出端部の上端面に球を載置させるポストとを有している。また、このポストは、その上部が弾性を有している。
【0003】
上記ティーを用いての練習者による球打撃練習時には、まず、上記ティーのポストの上端面に球を載置して、この球を所定高さに位置させる。練習者は、上記ティーの側方のグランド上に立ってバットを構える。そして、上記ティー上の球から眼が離れないようこの球をよく見た状態でバットを振ることにより、所望の打撃練習を行なう。この打撃時、通常、上記ポストの上端部には球の打撃方向の前方に向かってバットから衝撃力が与えられるが、この衝撃力は上記ポストの上部が前下方に向かって弾性的に屈曲することにより、ある程度緩和される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−539967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したようにティーのポスト上に載置した球をバットで打撃する場合、このバットからポストの上端部に与えられる衝撃力は、前記したようにポストの上部が前下方に向かって弾性的に屈曲することによりある程度緩和されるが、このように前下方に屈曲したポストの上部の慣性力は、前方に向かう衝撃力として上記ポストの下部側に与えられる。
【0006】
このため、上記衝撃力により、上記ティーはグランド上を少しずつ位置ずれしがちとなる。よって、上記打撃を繰り返した場合には、上記ティーの位置ずれの合計寸法が徐々に大きくなり、ティーの位置が適正範囲から外れがちになる。そこで、これを防止するため、上記ティーの位置ずれを、ある期間毎に修正する作業が必要となる。しかし、このようなティーの位置ずれの修正作業は、上記打撃練習を大きく中断させることになるなど、この練習の効果を阻害するものであって、好ましくない。
【0007】
また、上記したように、打撃時には、バットからの衝撃力によりポストの上部は屈曲するが、この屈曲角度が大きい場合には、その屈曲部に生じる内部応力が大きくなって、このポストの上部が早期に損傷するおそれがあり、これは、ティーの寿命上、好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、グランド上に設置したティー上の球に対し、打撃練習を繰り返し行なう場合に、グランド上におけるティーの位置ずれの発生を抑制して、このティーの位置ずれの修正作業を少なくできるようにし、もって、打撃練習の効果を向上させることである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、上記ティーの寿命を向上させることである。
【0010】
請求項1の発明は、グランド2上に設置される基台11と、この基台11から上方に向かって突出する起立姿勢とされ、その突出端部の上端面に打撃される球4を載置可能とするポスト12とを備え、このポスト12の少なくとも上部が弾性を有した球打撃練習用ティーにおいて、
上記ポスト12の上部側が球4の打撃方向の前方に向かって往回動A可能、かつ、これとは逆に復回動B可能となるよう上記ポスト12の下部を上記基台11に枢支する枢支具13と、上記ポスト12の上記起立姿勢からの後方回動を阻止するストッパ14と、上記基台11とポスト12とに架設され、このポスト12を復回動Bさせるよう付勢するばね15とを設けたことを特徴とする球打撃練習用ティーである。
【0011】
請求項2の発明は、上記ばね15の付勢力に対抗して上記ポスト12を往回動Aさせ、このポスト12を上記基台11に近接させたとき、それ以上の上記ポスト12の往回動Aを阻止する他のストッパ28を設けたことを特徴とする請求項1に記載の球打撃練習用ティーである。
【0012】
請求項3の発明は、上記ポスト12を往回動Aさせてこのポスト12を基台11に近接させたとき、上記ポスト12の自重が、上記ばね15の付勢によるポスト12の復回動Bを阻止するようにしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の球打撃練習用ティーである。
【0013】
請求項4の発明は、上記起立姿勢のポスト12の下部における上下方向の中途部を上記枢支具13により基台11に枢支し、上記ポスト12の下部自由端12aが上記ポスト12の往回動Aで上方回動する一方、上記ポスト12の復回動Bで下方回動するようにし、このポスト12が往回動Aした状態で、このポスト12の下部自由端12aをその上方から踏動F可能としたことを特徴とする請求項3に記載の球打撃練習用ティーである。
【0014】
請求項5の発明は、上記ストッパ14と他のストッパ28とを一体的に形成したことを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1つに記載の球打撃練習用ティーである。
【0015】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0016】
本発明による効果は、次の如くである。
【0017】
請求項1の発明は、グランド上に設置される基台と、この基台から上方に向かって突出する起立姿勢とされ、その突出端部の上端面に打撃される球を載置可能とするポストとを備え、このポストの少なくとも上部が弾性を有した球打撃練習用ティーにおいて、
上記ポストの上部側が球の打撃方向の前方に向かって往回動可能、かつ、これとは逆に復回動可能となるよう上記ポストの下部を上記基台に枢支する枢支具と、上記ポストの上記起立姿勢からの後方回動を阻止するストッパと、上記基台とポストとに架設され、このポストを復回動させるよう付勢するばねとを設けている。
【0018】
ここで、上記ティーのポスト上の球を練習者がバットで打撃する練習を行なう場合、通常、上記ポストの上端部には球の打撃方向の前方に向かってバットから衝撃力が与えられる。この場合、この衝撃力は、上記ポストの上部が前下方に向かって弾性的に屈曲することにより緩和される。
【0019】
また、上記したように、打撃時にバットからポストの上端部に与えられる衝撃力により、上記ポストの上部側は上記ばねの付勢力に対抗しつつ上記枢支具を中心として往回動するため、上記衝撃力は、更に緩和される。
【0020】
よって、打撃時の衝撃力に基づき、ティーがグランド上を位置ずれすることは効果的に抑制されるのであり、このため、上記ティーの位置ずれの修正作業を少なくでき、その分、打撃練習の効果の向上が達成される。
【0021】
また、上記したように、打撃時の衝撃力により、上記ポストの上部は前下方に向かって弾性的に屈曲するが、これと共に、上記ポストの上部側は往回動するため、このようにポストの上部側が往回動した分だけ、上記ポストの上部の屈曲角度は小さくされて、この屈曲部に生じる内部応力は小さく抑制される。よって、このポストの上部が早期に損傷する、ということは防止され、これにより、ティーの寿命の向上が達成される。
【0022】
請求項2の発明は、上記ばねの付勢力に対抗して上記ポストを往回動させ、このポストを上記基台に近接させたとき、それ以上の上記ポストの往回動を阻止する他のストッパを設けている。
【0023】
このため、上記ティーの不使用時や搬送時には、上記ポストをその起立姿勢から往回動させ、この往回動が上記他のストッパによって阻止されるまでこの往回動を単に続ければ、このポストは基台に近接することとなって、上記ティーを自動的にコンパクトな形状にできる。よって、上記ティーの不使用時や搬送時に、このティーをコンパクトにする作業は容易にできて便利である。
【0024】
請求項3の発明は、上記ポストを往回動させてこのポストを基台に近接させたとき、上記ポストの自重が、上記ばねの付勢によるポストの復回動を阻止するようにしている。
【0025】
このため、上記したように、ポストを往回動させてこのポストを基台に近接させたときには、上記ばねによる付勢に対抗して上記ポストの復回動を阻止する、という作業は不要である。よって、上記ティーをコンパクトにする作業は、より容易にできて便利である。
【0026】
請求項4の発明は、上記起立姿勢のポストの下部における上下方向の中途部を上記枢支具により基台に枢支し、上記ポストの下部自由端が上記ポストの往回動で上方回動する一方、上記ポストの復回動で下方回動するようにし、このポストが往回動した状態で、このポストの下部自由端をその上方から踏動可能としている。
【0027】
ここで、前記したように、ティーをコンパクトにしようとしてポストを往回動させた場合や、打撃時に上記ポストの上端部に与えられた衝撃力が過大であるために、上記ばねの付勢力に対抗しつつポストがその起立姿勢から所定の角度範囲を越えて大きく往回動した場合には、この往回動したポストの自重が、上記ばねの付勢によるポストの復回動を阻止することとなって、このポストは往回動したままの状態に保持される。
【0028】
そして、上記したようにポストが往回動した状態からこのポストを復回動させて起立姿勢にさせようとするときには、まず、上記往回動状態のポストの自重に対抗するようこのポストの下部自由端を踏動して、ある程度復回動させ、その後は、上記ばねの付勢力でポストを復回動させればよい。そして、上記踏動時には、上記ポストを復回動させるよう上記ばねの付勢力が既にある程度上記ポストに与えられているため、その分、軽い踏動の操作力で、このポストを容易に起立姿勢にさせることができる。
【0029】
しかも、このようにポストを起立させるための操作は、屈むことなくポストの下部自由端を単に踏動することで可能なため、上記往回動状態のポストを起立姿勢にさせることは極めて容易にできる。
【0030】
請求項5の発明は、上記ストッパと他のストッパとを一体的に形成している。
【0031】
このため、上記両ストッパが互いに兼用される分、上記ティーの構成を、より簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図2の部分拡大詳細図である。
【図2】側面図である。
【図3】平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の球打撃練習用ティーに関し、グランド上に設置したティー上の球に対し、打撃練習を繰り返し行なう場合に、グランド上におけるティーの位置ずれの発生を抑制して、このティーの位置ずれの修正作業を少なくできるようにし、もって、打撃練習の効果を向上させるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0034】
即ち、球打撃練習用ティーは、グランド上に設置される基台と、この基台から上方に向かって突出する起立姿勢とされ、その突出端部の上端面に打撃される球を載置可能とするポストとを備え、このポストの少なくとも上部が弾性を有している。上記ポストの上部側が球の打撃方向の前方に向かって往回動可能、かつ、これとは逆に復回動可能となるよう上記ポストの下部を上記基台に枢支する枢支具と、上記ポストの上記起立姿勢からの後方回動を阻止するストッパと、上記基台とポストとに架設され、このポストを復回動させるよう付勢するばねとが設けられている。
【実施例】
【0035】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0036】
図において、符号1は、野球やソフトボールについての球打撃練習装置である。この球打撃練習装置1は、グランド2上の所望位置に設置され、かつ、球4を所定高さとなるよう載置させ、この球4を練習者5がバット6により打撃可能にさせるものである。なお、説明の便宜上、球4の打撃方向を前方(矢印Fr)とし、下記する左右とは、上記前方に向かっての方向をいうものとする。
【0037】
上記球打撃練習装置1は、グランド2上に設置され、打撃される球4を、その上端面に載置可能とするティー7と、打撃された球4を緩衝しつつ受け止めてこの球4が自由に遠くまで飛びことを防止する飛球防止膜状体8とを備えている。
【0038】
上記ティー7は、グランド2上に設置される基台11と、この基台11から上方に向かって鉛直方向に突出して起立姿勢とされ、その突出端部の上端面に球4を載置可能とするポスト12と、上記ポスト12の上部側が球4の打撃方向の前方に向かって往回動A可能、かつ、これとは逆に復回動B可能となるよう上記ポスト12の下部を基台11に枢支する枢支具13と、上記ポスト12の上記起立姿勢からの後方回動を阻止するストッパ14と、上記基台11とポスト12とに架設され、このポスト12を復回動Bさせるよう弾性的に付勢するコイルスプリング式のばね15とを有している。
【0039】
具体的には、上記基台11は、平面視(図1)で上記ティー7のポスト12側から膜状体8側に向かって開くV字形状とされ、円形パイプ材の屈曲により形成されている。上記ポスト12は、このポスト12の上部を構成し弾性を有するゴム製の上部ポスト部材18と、上記ポスト12の上下方向の中途部を構成し円形パイプ材で形成される中途部ポスト部材19と、上記ポスト12の下部を構成し円形パイプ材で形成される下部ポスト部材20とを備えている。
【0040】
上記下部ポスト部材20の下部は上記枢支具13により上記基台11に枢支されている。上記下部ポスト部材20の上部に上記中途部ポスト部材19の下部が上下に摺動可能に嵌入され、所望の摺動位置で、上記下部ポスト部材20に中途部ポスト部材19を着脱可能に固着する固着具21が設けられている。また、上記中途部ポスト部材19に上部ポスト部材18が連結されている。この上部ポスト部材18の下部には、この上部ポスト部材18が弾性的に屈曲し易いよう蛇腹部22が形成されている。また、この上部ポスト部材18の上端部には、上端面が球4の載置を可能とさせる凹面とされた球受部23が形成されている。
【0041】
前記枢支具13は、上記基台11の後部に上方に向かって突設される左右一対の支持片26,26と、これら左右支持片26,26の間に挿入された上記下部ポスト部材20の下部を上記左右支持片26,26に枢支させる枢支軸27とを有している。この枢支軸27の軸心は左右方向に延びている。具体的には、上記起立姿勢のポスト12の下部における上下方向の中途部が上記枢支具13の枢支軸27により枢支されている。そして、この枢支軸27よりも下側に位置する上記ポスト12の下部自由端12aは、上記ポスト12の往回動Aで上方回動する一方、上記ポスト12の復回動Bで下方回動することとされている。
【0042】
前記ばね15は、上記ポスト12の下部自由端12aと基台11との間に架設され、上記枢支軸27よりも上方に位置する上記ポスト12の上部側が復回動Bするよう上記ばね15により付勢されている。前記ストッパ14は、上記枢支軸27よりも上方に位置して左右支持片26,26の上端部の後面に架設されている。そして、上記ポスト12が起立姿勢から後方回動しようとするとき、このポスト12は上記ストッパ14に当接させられて、その後方回動が阻止される。
【0043】
上記固着具21を弛めれば、上記下部ポスト部材20に対する上記中途部ポスト部材19の摺動が可能となる。そして、上下方向の所定範囲内におけるこの中途部ポスト部材19の所望高さで、上記固着具21により下部ポスト部材20に対し中途部ポスト部材19を固着すれば、この中途部ポスト部材19と共に上部ポスト部材18の高さ調整がされる。つまり、この上部ポスト部材18上の球4につき、高さの位置調整ができる。
【0044】
上記ポスト12の下部ポスト部材20に対し中途部ポスト部材19を下方に向けて摺動させ、このポスト12を最収縮状態として、図1中二点鎖線で示すように、上記ばね15の付勢力に対抗して上記ポスト12を往回動Aさせ、このポスト12を上記基台11に折り畳むよう近接させたとき、それ以上の上記ポスト12の往回動Aを阻止する他のストッパ28が設けられ、この他のストッパ28は、上記ストッパ14に一体的に形成されている。
【0045】
また、上記したようにポスト12を往回動Aさせ、このポスト12を上記基台11に近接させて上記他のストッパ28により、それ以上の往回動Aが阻止されたとき、上記ポスト12の自重が、上記ばね15の付勢によるポスト12の復回動Bを阻止することとされ、このポスト12は往回動A状態に保持される。また、このポスト12の往回動A状態では、このポスト12の下部自由端12aは上記枢支具13の各支持片26から後方に突出することとされている。これにより、上記ポスト12の下部自由端12aはその上方から踏動F可能とされている。
【0046】
前記膜状体8は、グランド2上に設置される膜状体フレーム29と、この膜状体フレーム29の枠内を全体的に覆うようこの膜状体フレーム29に取り付けられる膜状体本体30とを有している。具体的には、上記膜状体フレーム29は円形パイプ材により正面視門形となるよう屈曲形成され、その下端部の左右各端部は、それぞれ上記グランド2の上面近傍に位置し、後方に向かって屈曲されている。上記膜状体本体30はネット製で全体的に弛んだ状態で上記膜状体フレーム29に取り付けられる。なお、この膜状体本体30は布製であってもよく、ネットと布とを組み合わせたものであってもよい。
【0047】
上記ティー7と膜状体8の膜状体フレーム29とを連結する連結体33が設けられている。この連結体33は、グランド2の上面近傍に位置し、この上面に沿って延びる左右一対の長尺材34,34を有している。これら各長尺材34は、それぞれ円形パイプ材で形成され、ティー7側の各端部は、このティー7の基台11の各端部(前端部)に締結具35により着脱可能に固着され、膜状体8側の各端部は、上記膜状体フレーム29の下端部における左右各端部に締結具36により着脱可能に固着されている。
【0048】
上記の場合、連結体33のティー7側の端部は、このティー7のポスト12の下部ポスト部材20に連結してもよい。
【0049】
上記連結体33の左右各長尺材34はそれぞれ直線的に延び、平面視(図3)で、上記ティー7側から膜状体8側に向かって開くハの字形状となるよう形成されている。
【0050】
上記連結体33の各長尺材34はそれぞれグランド2の上面に当接して、上記ティー7と膜状体8とを支持しており、これにより、これらティー7と膜状体8とは上記連結体33によってグランド2上に自立させられている。なお、グランド2の上面に上記ティー7と膜状体8とをそれぞれ当接させ、これら7,8を上記連結体33で連結して、上記ティー7と膜状体8とをそれぞれグランド2上に自立させてもよい。
【0051】
上記各締結具35,36を弛めれば、上記球打撃練習装置1は、ティー7、膜状体8、および連結体33の各長尺材34に分解されてコンパクトに収納可能とされる。
【0052】
上記球打撃練習装置1を用いての練習者5による球打撃練習時には、まず、上記ティー7のポスト12の上端面の球受部15に、各図中一点鎖線で示すように球4を載置して、この球4を所定高さに位置させる。練習者5は、上記ティー7の側方のグランド2上に立ってバット6を構える。そして、上記ティー7上の球4から眼が離れないようこの球4をよく見た状態でバット6を振ることにより、所望の打撃練習を行なう。この際、この球4の打撃方向は、打撃された球4が上記飛球防止膜状体8に向かう方向とされる。
【0053】
また、上記打撃時、通常、上記ポスト12の上端部には球4の打撃方向の前方に向かってバット6から衝撃力が与えられるが、この衝撃力は、上記ポスト12の上部ポスト部材18が前下方に向かって弾性的に屈曲することと、上記ポスト12の上部側が上記ばね15の付勢力に対抗しつつ往回動Aすることとによって緩和される。なお、上記打撃による衝撃力により、ポスト12の上部側が上記起立姿勢から所定の角度範囲内で往回動Aして停止した場合には、その後、上記ばね15の付勢により直ちに復回動Bさせられ、元の起立姿勢に戻る。
【0054】
そして、上記のように打撃されて膜状体8の膜状体本体30に向かう球4は、上記膜状体本体30が緩衝しつつ受け止めて、この球4が自由に遠くまで飛ぶことを防止する。また、この球4は、その自重により上記膜状体本体30の下部側に落下して集められる。
【0055】
上記打撃を所望回数繰り返し行なった場合、一旦、上記膜状体本体30の下部側に集まった球4や、膜状体8で跳ね返って膜状体8周りのグランド2上に落下して散乱している球4を集球して、その後の打撃練習に備えることとされる。。
【0056】
なお、以上は図示の例によるが、ティー7と膜状体8とは、それぞれ個別にグランド2上に自立可能なものとしてもよい。また、上記ティー7は全体的に弾性を有するようにしてもよい。また、上記基台11は板形状であってもよく、前後に長い一本の部材で形成してもよい。また、上記連結体33の一部もしくは全部を弾性材で形成してもよい。
【0057】
また、上記した連結体33の構成に代えて、この連結体33を、図3中二点鎖線で示すようにしてもよい。即ち、上記連結体33の左右各長尺材34,34における上記ティー7側の部分は、このティー7側から膜状体8の膜状体本体30の左右方向での中央部側に向かって延びるよう形成され、つまり、上記基台11は、平面視(図3)で、上記ティー7のポスト12側から膜状体8側に向かって開くU字形状とされる。また、上記左右各長尺材34,34における膜状体8側の部分は、上記したように、平面視(図3)で、膜状体8側に向かって大きく開くハの字形状となるよう形成される。
【0058】
また、上記した連結体33の構成に代えて、この連結体33を、図3中三点鎖線で示すようにしてもよい。即ち、左右に延びて、上記膜状体8の膜状体フレーム29の下端部における左右各端部に不図示の締結具により着脱可能に連結される連結フレームが設けられる。上記連結体33の左右長尺材34,34は互いに平行となるよう前後方向に直線的に延びるよう設けられ、これら左右長尺材34,34の各前端部が上記連結フレームの左右方向での中央部に連結される。なお、上記左右長尺材24,24は、これに代えて、一本の棒材や帯状材で形成してもよい。
【0059】
上記構成によれば、ポスト12の上部側が球4の打撃方向の前方に向かって往回動A可能、かつ、これとは逆に復回動B可能性となるよう上記ポスト12を上記基台11に枢支する枢支具13と、上記ポスト12の上記起立姿勢からの後方回動を阻止するストッパ14と、上記基台11とポスト12とに架設され、このポスト12を復回動Bさせるよう付勢するばね15とを設けている。
【0060】
ここで、上記ティー7のポスト12上の球4を練習者5がバット6で打撃する練習を行なう場合、通常、上記ポスト12の上端部には球4の打撃方向の前方に向かってバット6から衝撃力が与えられる。この場合、この衝撃力は、上記ポスト12の上部を構成する上部ポスト部材18の蛇腹部22が主に前方に向かって弾性的に屈曲することにより緩和される。
【0061】
また、上記したように、打撃時にバット6からポスト12の上端部に与えられる衝撃力により、上記ポスト12の上部側は上記ばね15の付勢力に対抗しつつ上記枢支具13を中心として往回動Aするため、上記衝撃力は、更に緩和される。
【0062】
よって、打撃時の衝撃力に基づき、ティー7がグランド2上を位置ずれすることは効果的に抑制されるのであり、このため、上記ティー7の位置ずれの修正作業を少なくでき、その分、打撃練習の効果の向上が達成される。
【0063】
また、上記したように、打撃時の衝撃力により、上記ポスト12の上部を構成する上部ポスト部材18の蛇腹部22は前下方に向かって弾性的に屈曲するが、これと共に、上記ポスト12の上部側は往回動Aする(図1中一点鎖線)。このため、このようにポスト12の上部側が往回動Aした分だけ、上記ポスト12の上部を構成する上部ポスト部材18の蛇腹部22の屈曲角度は小さくされて、この屈曲部に生じる内部応力は小さく抑制される。よって、このポスト12の上部が早期に損傷する、ということは防止され、これにより、ティー7の寿命の向上が達成される。
【0064】
また、前記したように、ばね15の付勢力に対抗して上記ポスト12を往回動Aさせ、このポスト12を上記基台11に近接させたとき、それ以上の上記ポスト12の往回動Aを阻止する他のストッパ28を設けている。
【0065】
このため、上記ティー7の不使用時や搬送時には、上記ポスト12をその起立姿勢から往回動Aさせ、この往回動Aが上記他のストッパ28によって阻止されるまでこの往回動Aを単に続ければ、このポスト12は基台11に近接することとなって、上記ティー7を自動的にコンパクトな形状にできる。よって、上記ティー7の不使用時や搬送時に、このティー7をコンパクトにする作業は容易にできて便利である。
【0066】
また、前記したように、ポスト12を往回動Aさせてこのポスト12を基台11に近接させたとき、上記ポスト12の自重が、上記ばね15の付勢によるポスト12の復回動Bを阻止するようにしている。
【0067】
このため、上記したように、ポスト12を往回動Aさせてこのポスト12を基台11に近接させたときには、上記ばね15による付勢に対抗して上記ポスト12の復回動Bを阻止する、という作業は不要である。よって、上記ティー7をコンパクトにする作業は、より容易にできて便利である。
【0068】
また、前記したように、起立姿勢のポスト12の下部における上下方向の中途部を上記枢支具13により基台11に枢支し、上記ポスト12の下部自由端12aが上記ポスト12の往回動Aで上方回動する一方、上記ポスト12の復回動Bで下方回動するようにし、このポスト12が往回動Aした状態(図1中二点鎖線)で、このポスト12の下部自由端12aをその上方から踏動F可能としている。
【0069】
ここで、前記したように、ティー7をコンパクトにしようとしてポスト12を往回動Aさせた場合や、打撃時に上記ポスト12の上端部に与えられた衝撃力が過大であるために、上記ばね15の付勢力に対抗しつつポスト12がその起立姿勢から所定の角度範囲を越えて大きく往回動Aした場合には、この往回動Aしたポスト12の自重が、上記ばね15の付勢によるポスト12の復回動Bを阻止することとなって、このポスト12は往回動Aしたままの状態に保持される。
【0070】
そして、上記したようにポスト12が往回動Aした状態からこのポスト12を復回動Bさせて起立姿勢にさせようとするときには、まず、上記往回動A状態のポスト12の自重に対抗するようこのポスト12の下部自由端12aを踏動Fして、ある程度復回動Bさせ、その後は、上記ばね15の付勢力でポスト12を復回動Bさせればよい。そして、上記踏動F時には、上記ポスト12を復回動Bさせるよう上記ばね15の付勢力が既にある程度上記ポスト12に与えられているため、その分、軽い踏動Fの操作力で、このポスト12を容易に起立姿勢にさせることができる。
【0071】
しかも、このようにポスト12を起立させるための操作は、屈むことなくポスト12の下部自由端12aを単に踏動Fすることで可能なため、上記往回動A状態のポスト12を起立姿勢にさせることは極めて容易にできる。
【0072】
また、前記したように、ストッパ14と他のストッパ28とを一体的に形成している。
【0073】
このため、上記両ストッパ14,28が互いに兼用される分、上記ティー7の構成を、より簡単にできる。
【0074】
また、前記したように、ティー7と飛球防止膜状体8の膜状体フレーム29とを連結する連結体33を設けている。
【0075】
このため、上記ティー7のポスト12上の球4を練習者5がバット6で打撃する練習を繰り返し行なう場合、このバット6から上記ティー7のポスト12に与えられる衝撃力は、上記連結体33を介し膜状体8によっても支持されることから、上記衝撃力に基づくグランド2上でのティー7の位置ずれの発生が抑制される。また、仮に、ティー7に位置ずれが生じたとしても、このティー7と膜状体8とは連結体33により連結されているため、上記ティー7と膜状体8との相対位置は適正に保たれる。よって、ティー7の位置ずれの修正作業を少なくでき、その分、打撃練習の効果の向上が達成される。
【0076】
また、上記したように、膜状体8では膜状体フレーム29に膜状体本体30を弛んだ状態で取り付けている。このため、打撃時に、ティー7のポスト12から連結体33を介して上記膜状体8の膜状体フレーム29に衝撃力が与えられるとき、この膜状体フレーム29に対し上記膜状体本体30がわずかながらでも相対的に揺れることにより、上記衝撃力に基づくエネルギーが吸収されて、この衝撃力が緩和される。よって、上記ティー7の位置ずれの発生が、より効果的に抑制されることから、これによっても、ティー7の位置ずれの修正作業を少なくでき、その分、打撃練習の効果の向上が達成される。
【0077】
また、前記したように、連結体33が、グランド2の上面近傍に位置すると共に、この上面に沿って延びる左右一対の長尺材34,34を有している。
【0078】
このため、打撃された球4が膜状体8で跳ね返ってグランド2上に落下し、その慣性力で上記膜状体8から離れるよう転動しようとしても、この転動は上記連結体33の各長尺材34により防止されて、上記球4は左右長尺材34,34の間のグランド2上に集められる。よって、これら球4の集球作業が容易かつ迅速にできることから、打撃練習の効果の向上が、より確実に達成される。
【0079】
また、前記したように、ティー7の基台11と、上記膜状体8の膜状体フレーム29の下端部における左右各端部とをそれぞれ上記長尺材34で連結している。
【0080】
このため、上記膜状体8の膜状体フレーム29の左右幅寸法に応じて、上記左右長尺材34,34の間の面積を、より大きくできる。よって、打撃された球4が膜状体8で跳ね返ってグランド2上に落下するとき、上記球4を左右長尺材34,34の間に集めることが、より確実に達成できることから、打撃練習の効果の向上が、更に確実に達成される。
【0081】
また、前記図3中二点鎖線で示したように、連結体33におけるティー7側の部分を、このティー7側から上記膜状体8の膜状体本体30の左右方向での中央部側に向かって延びるよう形成している。
【0082】
このため、上記したように連結体33におけるティー7側の部分が膜状体本体30の左右方向での中央部側に向かって延びる分、上記ティー7の側方におけるグランド2上の面積を、より大きくできる。よって、練習者5がティー7の側方のグランド2上に立ってティー7上の球4を打撃する際、足の動作範囲を、より広く採り得ることから、打撃練習の効果の向上が、更に確実に達成される。
【0083】
また、前記したように、上記ティー7と膜状体8とを上記連結体33により互いに連結したことにより、上記ティー7と膜状体8とをグランド2上にそれぞれ自立させている。
【0084】
このため、上記連結体33の利用により、ティー7と膜状体8とを個別に自立させないで足りる分、球打撃練習装置1の構成を簡単にできる。
【符号の説明】
【0085】
1 球打撃練習装置
2 グランド
4 球
5 練習者
6 バット
7 ティー
8 膜状体
11 基台
12 ポスト
12a 下部自由端
13 枢支具
14 ストッパ
15 ばね
18 上部ポスト部材
19 中途部ポスト部材
20 下部ポスト部材
21 固着具
22 蛇腹部
23 球受部
26 支持片
27 枢支軸
28 他のストッパ
A 往回動
B 復回動
F 踏動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランド上に設置される基台と、この基台から上方に向かって突出する起立姿勢とされ、その突出端部の上端面に打撃される球を載置可能とするポストとを備え、このポストの少なくとも上部が弾性を有した球打撃練習用ティーにおいて、
上記ポストの上部側が球の打撃方向の前方に向かって往回動可能、かつ、これとは逆に復回動可能となるよう上記ポストの下部を上記基台に枢支する枢支具と、上記ポストの上記起立姿勢からの後方回動を阻止するストッパと、上記基台とポストとに架設され、このポストを復回動させるよう付勢するばねとを設けたことを特徴とする球打撃練習用ティー。
【請求項2】
上記ばねの付勢力に対抗して上記ポストを往回動させ、このポストを上記基台に近接させたとき、それ以上の上記ポストの往回動を阻止する他のストッパを設けたことを特徴とする請求項1に記載の球打撃練習用ティー。
【請求項3】
上記ポストを往回動させてこのポストを基台に近接させたとき、上記ポストの自重が、上記ばねの付勢によるポストの復回動を阻止するようにしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の球打撃練習用ティー。
【請求項4】
上記起立姿勢のポストの下部における上下方向の中途部を上記枢支具により基台に枢支し、上記ポストの下部自由端が上記ポストの往回動で上方回動する一方、上記ポストの復回動で下方回動するようにし、このポストが往回動した状態で、このポストの下部自由端をその上方から踏動可能としたことを特徴とする請求項3に記載の球打撃練習用ティー。
【請求項5】
上記ストッパと他のストッパとを一体的に形成したことを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1つに記載の球打撃練習用ティー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−5939(P2013−5939A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140937(P2011−140937)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000134187)株式会社トーアスポーツマシーン (8)