環境モニタリング方法及び装置
本発明は環境モニタリング及びその分析を行う装置に関する。装置は、複数のセンサと、制御ユニットと、表示ユニットとを含む。異なる種類のセンサが、それぞれ異なる環境パラメータの値を取得する。制御ユニットは環境パラメータの取得値を受け取り、該取得値を、異なる環境パラメータのパラメータ範囲を定める所定の規格及び基準と比較する。表示ユニットは、ユーザに分かり易い取得値の解釈と、取得値に応じた推奨事項とを含む実時間空気質レポートを表示する。本発明は、環境モニタリング及びその分析を行う方法を提供する。本発明を一実施形態に組み入れることによって、環境モニタリング及びその分析が、異なる環境パラメータの取得値の相互関係を考慮することにより即時に実行される。このため、分析結果は、はるかに正確である。包括的で、非技術者のユーザに理解され易い実時間空気質レポートが提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環境モニタリング技術に関する。より詳細には、環境モニタリング及びその分析を行う装置及び方法に関する。
【背景】
【0002】
室内空気汚染の問題が深刻になるにつれて、自分たちの生活環境及び労働環境の状態、並びに室内空気質による健康への影響に対する人々の関心が高まっている。同時に、室内空気質を管理し、規制するためのガイドライン及び規則が各国で制定されている。これにより、空気質をモニタリングする機器及び設備の需要が高まっている。
【0003】
従来、室内空気質をモニタリングする機器には、主に2種類ある。第1の種類の環境モニタリング機器は、主に研究所で用いられる。これは、非常に大型の機器である。第2の種類の環境モニタリング機器は、可搬型調査機器に属し、はるかに小型の機器である。
【0004】
第1の種類の環境モニタリング機器によって得られる結果は、極めて精密且つ正確である。しかしながら、この種類の機器は、非常に高価である。これらの機器の操作は、複雑で、よく訓練を受けた熟練の技術者にしか扱えない。
【0005】
一般に、第2の種類の環境モニタリング機器は、各々、或る特定の環境パラメータを測定するセンサを1つ備えている。そのため、この種類の機器は、比較的小型である。しかしながら、異なる環境パラメータは相互に関連しているため、通常、単一パラメータのレベルは、他のパラメータのレベルの影響を受ける。単一センサを用いて、或る特定の環境パラメータのレベルを得ることは、通常、万能な方法ではない。得られる精度が低くなる。たとえば、光イオン化検出法のみによって揮発性有機化合物濃度を測定すると、この検出法は、環境の温度及び相対湿度の影響を受け易いため、不正確な結果をもたらす可能性がある。さらに、同じ環境パラメータをモニタリングするために、動作原理が異なる異なる種類のセンサを用いると、これらのセンサは異なる結果をもたらす。このため、環境パラメータの検出法を画一化することには通常問題がある。単一パラメータに対して、適切且つ適度に正確な結果を確実に得られるようにするために、通常、測定時に複数の機器が現場に持ち込まれる。そして、得られた結果は、分析時に共に評価される。複数の機器による測定処理は、非常に不便である。
【0006】
それにもかかわらず、上記のどちらの種類の環境モニタリング機器の場合も生データのみが表示され、出力されるだけである。双方とも、本発明に記載されている体系的に分析された情報を提供しない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の少なくとも1つの利点は、現在の環境モニタリング装置及びその方法の欠陥に対処することである。本発明は、環境モニタリング及びその分析を行う装置及び方法を提供するという、さらなる利点を有する。レベルの異なる環境パラメータが同時に検出され、測定される。次に、これらの環境パラメータは体系的に判定され、分析される。実時間の包括的な空気質レポートが作成される。装置の構成は簡単である。非技術者のユーザによっても操作が容易である。評価された環境パラメータは極めて正確且つ精密である。
【0008】
本発明は、環境をモニタリングし、従来の環境モニタリング機器による問題を解決する装置を提供する。この環境モニタリング装置は、
異なる環境パラメータの値を取得する異なる種類の複数のセンサと、
環境パラメータの取得値を受け取り、該取得値を、異なる環境パラメータのパラメータ範囲を定める所定の規格及び基準と比較する制御ユニットと、
パラメータ範囲に基づいた取得値のユーザに分かり易い解釈と、パラメータ範囲に基づいた取得値に応じた推奨事項とを含む、非技術者のユーザが容易に理解できる実時間空気質レポートを表示する表示ユニットとを備え、
取得値を解釈し、該取得値に基づいて推奨事項を作成するために、異なる環境パラメータの取得値の実時間分析が、異なる環境パラメータの取得値の相互関係を考慮することにより行われる。
【0009】
所定の規格及び基準は第1の判定原則を含み、第1の判定原則は、各環境パラメータに対して少なくとも2つのパラメータ範囲を定め、各パラメータ範囲に対応する推奨事項を定める。
【0010】
所定の規格及び基準は第2の判定原則を含み、第2の判定原則は、少なくとも1つの条件配列を定め、各条件配列を定めるパラメータ範囲として、第1の判定原則によって定められた少なくとも2つのパラメータ範囲が用いられ、各条件配列に対する潜在的な問題に対応するメッセージが提供される。
【0011】
また、装置は、潜在的な問題に対処するための推奨事項をさらに含む。
【0012】
所定の規格及び基準は第3の判定原則を含み、第3の判定原則は、各環境パラメータに対して少なくとも2つのカテゴリを定め、測定環境パラメータの様々なカテゴリの組み合わせに基づいて、空気質レベルに対する空気質レベル判定規格が定められ、空気質レベル判定規格による空気質レベルに対応するメッセージが提供される。
【0013】
環境パラメータは、温度、相対湿度、揮発性有機化合物、一酸化炭素、二酸化炭素、ダスト、オゾン、二酸化炭素、空気流量、ラドン及びホルムアルデヒドから成る群のうちの何れか1つである。
【0014】
装置の制御ユニットは、
電源と、
制御回路と、
入力回路と、
出力回路と、
中央演算処理装置と、
環境パラメータを判定するための所定の規格及び基準と、解釈に対応するメッセージと、推奨事項と、パラメータ範囲の潜在的な問題とを記憶するメモリとを備え、
電源及び制御回路が装置に外部電源を接続し、
入力回路がセンサからの取得値を収集して、該取得値を中央演算処理装置に出力し、
中央演算処理装置が、所定の規格及び基準に基づいて取得値を分析し、各環境パラメータのパラメータ範囲を定めて、各パラメータ範囲の解釈及び推奨事項を出力し、表示ユニットに表示させる。
【0015】
入力回路はアナログデジタル変換器と、低パルスタイマとを含む。
【0016】
本発明はまた、環境をモニタリングし、分析する方法を提供し、該方法は、
環境パラメータの値を取得するステップと、
環境パラメータの取得値を、異なる環境パラメータのパラメータ範囲を定める所定の規格及び基準と比較するステップと、
パラメータ範囲に基づいた取得値のユーザに分かり易い解釈と、パラメータ範囲に基づいた取得値に応じた推奨事項とを含む、非技術者のユーザが容易に理解できる実時間空気質レポートを表示するステップとを含み、
取得値を解釈し、該取得値に基づいて推奨事項を作成するために、異なる環境パラメータの取得値の実時間分析が、異なる環境パラメータの取得値の相互関係を考慮することにより行われる。
【0017】
前述した方法の所定の規格及び基準は、第1の判定原則、第2の判定原則及び第3の判定原則を含み、
第1の判定原則は環境パラメータに対してパラメータ範囲を定め、各パラメータ範囲に対応する推奨事項が提供され、
第2の判定原則は条件配列を定め、各条件配列を定めるパラメータ範囲として、第1の判定原則によって定められた少なくとも2つのパラメータ範囲が用いられ、各条件配列に対する潜在的な問題に対応するメッセージと、該潜在的な問題に対処するための推奨事項が提供され、
第3の判定原則は各環境パラメータに対して少なくとも2つのカテゴリを定め、取得値の様々なカテゴリの組み合わせに基づいて、空気質レベルに対する空気質レベル判定規格が定められ、
空気質レベル判定規格による空気質レベルに対応するメッセージが提供される。
【0018】
環境パラメータは、温度、相対湿度、揮発性有機化合物、一酸化炭素、二酸化炭素、ダスト、オゾン、二酸化炭素、空気流量、ラドン及びホルムアルデヒドから成る群のうちの何れか1つである。
【0019】
本発明では、異なる環境パラメータの値は、それぞれ別のセンサによって取得される。異なる環境パラメータの取得値の実時間分析は、異なる環境パラメータの取得値の相互関係を考慮することにより行われる。
【0020】
実時間空気質レポートが提供される。実時間空気質レポートは、ユーザに分かり易い取得値の解釈と、取得値に応じた推奨事項とを含み、非技術者のユーザが容易に理解できるものである。(すなわち、レポートは、パラメータ範囲に基づいた潜在的な問題に対応するメッセージと、潜在的な問題に対処するための推奨事項と、空気質レベルに対応するメッセージとを含む。)空中浮遊菌及び空中菌類などの、或る環境パラメータに関して、従来の方法では、より長い試験時間を要し、何時間もの定温放置が必要であるが、本発明では、異なる測定環境パラメータ間の(相互関係/相関関係)に基づいて予測することによって、即時のレベル評価を提供することができる。たとえば、ダストレベルが或る高レベルに達している温暖で湿潤な環境(吸入性浮遊粉塵レベルが高い環境)では、空中浮遊菌を成長させ、培養するための前提条件が実際に成り立っている。温度、相対湿度及び吸入性浮遊粉塵レベルの値に基づいて、空中浮遊菌のレベルが同時に予測できる。他の例に関して、二酸化炭素濃度が高レベルであり続けている環境では、換気が悪い又は占有人数が多すぎることが意味される。本発明を用いると、ユーザに分かり易い環境取得値の解釈が作成される。ユーザに分かり易い解釈は、「排気システムをつけてください」、「占有人数を減らしてください」、「窓を開けてください」などの推奨事項メッセージであってもよい。本発明による装置は構造的に簡単で低コストである。装置は非技術者のユーザによって容易に操作され得る。
【0021】
以下の図面及び説明により、本発明のさらなる詳細が明らかになる。
【図面の詳細な説明】
【0022】
図1及び図2を参照すると、本発明の装置は、センサ10と、制御ユニット20と、表示ユニット30とを含む。
【0023】
センサ10は異なる環境パラメータの値を取得する。制御ユニット20は該取得値を収集する。本実施形態では、センサ10は、温度センサ、相対湿度センサ12、揮発性有機化合物センサ13、一酸化炭素センサ14、二酸化炭素センサ15及び吸入性浮遊粉塵センサ16である。オゾンセンサ、二酸化窒素センサ、空気流量センサ、ラドンレベルセンサ及びホルムアルデヒドセンサなどの他の環境センサを同様の目的に適用することができる。
【0024】
図3〜8は、本発明の実施形態におけるセンサの回路図である。温度センサ11の回路を図3に示してある。本実施形態では、抵抗値が温度に伴って変化するサーミスタを温度センサとして用いる。環境における温度変化により、サーミスタRTの抵抗値が変化する。サーミスタRTの変化は、電圧出力によって表すことができる。制御ユニット20は、出力電圧VO1を受け取る。温度センサの出力は一連の周期信号に属し、周期信号の周波数は温度依存性である。制御ユニット20は、波形の周波数を検出し、測定温度を判定する。
【0025】
図4は、相対湿度センサ12の回路を示す。本実施形態では、相対湿度センサ12は、抵抗型相対湿度センサに属する。コンデンサCは、湿度感応抵抗器RHに直列接続している。回路は、センサから得られた信号のすべての直流成分を増幅し、遮断する。該信号は電圧として出力される。回路は、直流成分全体を遮断し、湿度感応抵抗器RHを保護するのに有効である。これは、簡単な回路であり、デューティサイクルが異なる入力信号に適応可能である。本実施形態では、50%の振動のデューティサイクルを用いる。
【0026】
図5は、揮発性有機化合物センサ13の回路を示す。本実施形態では、揮発性有機化合物センサ13は、加熱金属酸化物型に属する。センサは、揮発性有機化合物濃度に伴って、その抵抗RDを変化させる。入力電圧VB3は、まず抵抗RDを有する抵抗器を通過し、次にアナログ増幅器によって増幅される。次いで、電圧出力が制御ユニットに送られる。
【0027】
図6は、一酸化炭素センサ14の回路を示す。本実施形態では、用いる一酸化炭素センサ14は加熱金属酸化物型センサに属する。センサは、一酸化炭素濃度に伴って、その抵抗を変化させる。入力電圧は、まず抵抗器を通過し、次にアナログ増幅器によって増幅される。次いで、電圧出力が制御ユニットに送られる。
【0028】
図7は、二酸化炭素センサ15の回路を示す。本実施形態では、二酸化炭素センサ15は加熱金属酸化物型に属する。センサ素子に加え、発熱体が含まれている。センサの抵抗は、二酸化炭素濃度に伴って変化する。入力電圧は、まず抵抗器を通過し、次にアナログ増幅器によって増幅され、制御ユニット20に送られる。二酸化炭素の正確な値を得るために、所望のセンサ動作温度が内蔵ヒータによって維持される。環境温度及び大気中二酸化炭素の影響は、取得された電圧出力を外気のものと比較することによって排除される。より正確な結果が得られる。さらに、発熱体によるセンサの内部温度が制御ユニット20に供給される。これは、センサが温められたことを示し、センサが最適な動作温度に達したことを示す基準となる。
【0029】
図8は、本実施形態におけるダストセンサ16の回路を示す。本実施形態では、ダストセンサ16は光散乱型センサに属する。ダストセンサの出力は、粒子状物質が検出されると低電圧(接地レベル)に移行し、検出されなかった場合は高電圧のままとなる。すなわち、低パルス占有時間がダスト濃度に比例する。低パルスの総時間と高パルスの総時間の比率を得ることによって、制御ユニット20は、対応するダストレベルを算出することができる。
【0030】
本実施形態の制御ユニット20は、電源及び制御回路21と、電圧入力回路22と、中央演算処理装置23と、メモリユニット24と、電圧出力回路25とを備える。電源及び制御回路21は、装置に外部電源を接続する。外部電源は、交流電源又は直流電源であってもよい。電源プラグを本実施形態に挿入すると、自動電源セレクタは、電源をトランスとする。
【0031】
電圧入力回路22は、センサ10から得られた値を収集する。本実施形態では、電圧入力回路22は、アナログデジタル変換器26と、低パルス時間カウンタ27とを含む。アナログデジタル変換器26は、温度センサ11、相対湿度センサ12、揮発性有機化合物センサ13、一酸化炭素センサ14及び二酸化炭素センサ15からアナログ信号を受け取ると共に、二酸化炭素センサ15による基準信号を受け取る。アナログデジタル変換器26は、アナログ信号をデジタル信号に変換し、該デジタル信号を中央演算処理装置23に入力する。低パルス時間カウンタ27は、ダストセンサ回路から入力信号を得る。中央演算処理装置23は、ダストセンサ回路から低パルス時間の平均値を収集する。用いられるセンサの種類により電圧入力回路が決定される。電圧入力回路は、様々なセンサの種類に適合するように改変することができる。
【0032】
メモリユニット24は、第1の判定原則、第2の判定原則及び第3の判定原則、並びに、非技術者のユーザが容易に理解できるパラメータ範囲に基づいた取得値のユーザに分かり易い解釈と、パラメータ範囲に基づいた取得値に応じた推奨事項とを記憶する。
【0033】
第1の判定原則は、各環境パラメータに対して少なくとも2つのパラメータ範囲を定める。本実施形態では、環境パラメータの値は、温度センサ、相対湿度センサ、揮発性有機化合物センサ、一酸化炭素センサ、二酸化炭素センサ及びダストセンサなどのセンサ10によって得られた値を指す。たとえば、温度のパラメータ範囲は、「25.5℃より上」、「20℃未満」、「10℃未満」などの範囲を指すことができる。第2の判定原則は、少なくとも1つの条件配列を定め、各条件配列を定めるパラメータ範囲として、第1の判定原則で定められた少なくとも2つのパラメータ範囲が用いられる。たとえば、或る場所の温度のパラメータ範囲を「25.5から35℃」と定め、同じ場所の揮発性有機化合物のパラメータ範囲を「600μg/m3より上」と定める。第1の判定原則で定められたパラメータ範囲は、異なる条件配列を定めるために適用することができる。空気質レベルに対する空気質レベル判定規格は、測定環境パラメータの様々なカテゴリの組み合わせに基づいて定められる。
【0034】
提供されるメッセージは、パラメータ範囲に基づいた潜在的な問題に対応するメッセージと、潜在的な問題に対処するための推奨事項と、空気質レベルに対応するメッセージとを含む。たとえば、図9に示したように、温度のパラメータ範囲を「25.5℃より上」と定める場合、このパラメータ範囲に基づいた取得値に応じた推奨事項は、「空冷装置をつけてください」である。各条件配列に対する潜在的な問題に対応するメッセージが第2の判定原則に基づいて提供される。たとえば、図10を参照すると、温度が「25.5から35℃」のパラメータ範囲内であり、総揮発性有機化合物レベルが「600μg/m3より上」のパラメータ範囲内である場合、この条件配列に対する潜在的な問題に対応するメッセージは、「高レベルのホルムアルデヒド」となる。この潜在的な問題に対処するための推奨事項には、「窓を開けてください」、「空気ろ過装置をつけてください」、「排気システムをつけてください」、「煙草を吸わないでください」が含まれる。図12及び図13は空気質レベルを示し、これは第3の判定原則に基づいた空気質レベル判定規格によって定められる。
【0035】
中央演算処理装置23は、電圧入力回路22から信号を受け取る。電圧入力回路22はセンサ回路20からのすべてのアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0036】
次に、デジタル信号は所定の規格及び基準で判定され、パラメータ範囲を定め、取得する第1の判定原則に基づいてメモリユニット24に記憶される。推奨事項が提供される。
【0037】
取得値はまた、第2の判定原則に基づいてメモリユニット24に記憶される所定の規格及び基準でも判定される。第2の判定原則は、条件配列を定める。各条件配列を定めるパラメータ範囲として、第1の判定原則で定められた少なくとも2つのパラメータ範囲が用いられる。異なる環境パラメータの取得値の相互関係に基づいて、条件配列に対する潜在的な問題に対応するメッセージと、潜在的な問題に対処するための推奨事項とが提供される。
【0038】
取得値はまた、第3の判定原則に基づいてメモリユニット24に記憶される所定の規格及び基準でも判定される。空気質レベルに対する空気質レベル判定規格は、測定環境パラメータの様々なカテゴリの組み合わせに基づいて定められる。空気質レベル判定規格による空気質レベルに対応するメッセージが提供される。表示ユニット30は、個々の測定値と、電圧出力回路25によるメッセージとを出力する。表示は、如何なる形式、文言、数字及びグラフでもよい。
【0039】
本発明の装置は、入力ポート及び入出力ポートを含み、入力ポートはキーパッドからの入力信号を受け取る。入出力ポートは、コンピュータ、ポケット型パーソナルコンピュータ及びフラッシュメモリなどの他の装置に情報を転送する。入出力ポートは、赤外インターフェース機器、ブルートゥースインターフェース機器及び他の無線インターフェース機器によって、装置を他の装置に接続する。
【0040】
図14は、本発明による環境モニタリング及びその分析を行う方法を示す。センサS1は、異なる環境パラメータの値を取得する。次に、これらの値は、制御ユニットに送られる。S2において、制御ユニットは、環境パラメータの取得値を所定の規格及び基準と比較する。異なる環境パラメータの取得値の相互関係に基づいて、異なる環境パラメータの取得値の実時間分析が行われる。パラメータ範囲に基づいた取得値のユーザに分かり易い解釈と、パラメータ範囲に基づいた取得値に応じた推奨事項とが出力され、表示ユニットS3に表示される。第1の判定原則は、各測定環境パラメータに対してパラメータ範囲を定める。第2の判定原則は、条件配列を定める。第1の判定原則によって定められた少なくとも2つのパラメータ範囲は、各条件配列を定めるパラメータ範囲として用いられる。第3の判定原則は、各測定環境パラメータに対してカテゴリを定める。測定環境パラメータの様々なカテゴリの組み合わせに基づいた空気質レベル判定規格によって、全体的な空気質レベルが定められる。空気質レベル判定規格による空気質レベルに対応するメッセージが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の環境装置の回路モジュールを示す図である。
【図2】本発明の環境装置のブロック回路図である。
【図3】本発明の環境装置における温度センサの回路図である。
【図4】本発明の環境装置における相対湿度センサの回路図である。
【図5】本発明の環境装置における揮発性有機化合物センサの回路図である。
【図6】本発明の環境装置における一酸化炭素センサの回路図である。
【図7】本発明の環境装置における二酸化炭素センサの回路図である。
【図8】本発明の環境装置におけるダストセンサの回路図である。
【図9】パラメータ判定規格及び基準、並びに結果として得られた推測の例を示す図である。
【図10】パラメータ判定規格及び基準、並びに結果として得られた推測の例を示す図である。
【図11】パラメータ判定規格及び基準、並びに結果として得られた推測の例を示す図である。
【図12】パラメータ判定規格及び基準、並びに結果として得られた推測の例を示す図である。
【図13】パラメータ判定規格及び基準、並びに結果として得られた推測の例を示す図である。
【図14】本発明による環境モニタリング及びその分析の流れ図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は環境モニタリング技術に関する。より詳細には、環境モニタリング及びその分析を行う装置及び方法に関する。
【背景】
【0002】
室内空気汚染の問題が深刻になるにつれて、自分たちの生活環境及び労働環境の状態、並びに室内空気質による健康への影響に対する人々の関心が高まっている。同時に、室内空気質を管理し、規制するためのガイドライン及び規則が各国で制定されている。これにより、空気質をモニタリングする機器及び設備の需要が高まっている。
【0003】
従来、室内空気質をモニタリングする機器には、主に2種類ある。第1の種類の環境モニタリング機器は、主に研究所で用いられる。これは、非常に大型の機器である。第2の種類の環境モニタリング機器は、可搬型調査機器に属し、はるかに小型の機器である。
【0004】
第1の種類の環境モニタリング機器によって得られる結果は、極めて精密且つ正確である。しかしながら、この種類の機器は、非常に高価である。これらの機器の操作は、複雑で、よく訓練を受けた熟練の技術者にしか扱えない。
【0005】
一般に、第2の種類の環境モニタリング機器は、各々、或る特定の環境パラメータを測定するセンサを1つ備えている。そのため、この種類の機器は、比較的小型である。しかしながら、異なる環境パラメータは相互に関連しているため、通常、単一パラメータのレベルは、他のパラメータのレベルの影響を受ける。単一センサを用いて、或る特定の環境パラメータのレベルを得ることは、通常、万能な方法ではない。得られる精度が低くなる。たとえば、光イオン化検出法のみによって揮発性有機化合物濃度を測定すると、この検出法は、環境の温度及び相対湿度の影響を受け易いため、不正確な結果をもたらす可能性がある。さらに、同じ環境パラメータをモニタリングするために、動作原理が異なる異なる種類のセンサを用いると、これらのセンサは異なる結果をもたらす。このため、環境パラメータの検出法を画一化することには通常問題がある。単一パラメータに対して、適切且つ適度に正確な結果を確実に得られるようにするために、通常、測定時に複数の機器が現場に持ち込まれる。そして、得られた結果は、分析時に共に評価される。複数の機器による測定処理は、非常に不便である。
【0006】
それにもかかわらず、上記のどちらの種類の環境モニタリング機器の場合も生データのみが表示され、出力されるだけである。双方とも、本発明に記載されている体系的に分析された情報を提供しない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の少なくとも1つの利点は、現在の環境モニタリング装置及びその方法の欠陥に対処することである。本発明は、環境モニタリング及びその分析を行う装置及び方法を提供するという、さらなる利点を有する。レベルの異なる環境パラメータが同時に検出され、測定される。次に、これらの環境パラメータは体系的に判定され、分析される。実時間の包括的な空気質レポートが作成される。装置の構成は簡単である。非技術者のユーザによっても操作が容易である。評価された環境パラメータは極めて正確且つ精密である。
【0008】
本発明は、環境をモニタリングし、従来の環境モニタリング機器による問題を解決する装置を提供する。この環境モニタリング装置は、
異なる環境パラメータの値を取得する異なる種類の複数のセンサと、
環境パラメータの取得値を受け取り、該取得値を、異なる環境パラメータのパラメータ範囲を定める所定の規格及び基準と比較する制御ユニットと、
パラメータ範囲に基づいた取得値のユーザに分かり易い解釈と、パラメータ範囲に基づいた取得値に応じた推奨事項とを含む、非技術者のユーザが容易に理解できる実時間空気質レポートを表示する表示ユニットとを備え、
取得値を解釈し、該取得値に基づいて推奨事項を作成するために、異なる環境パラメータの取得値の実時間分析が、異なる環境パラメータの取得値の相互関係を考慮することにより行われる。
【0009】
所定の規格及び基準は第1の判定原則を含み、第1の判定原則は、各環境パラメータに対して少なくとも2つのパラメータ範囲を定め、各パラメータ範囲に対応する推奨事項を定める。
【0010】
所定の規格及び基準は第2の判定原則を含み、第2の判定原則は、少なくとも1つの条件配列を定め、各条件配列を定めるパラメータ範囲として、第1の判定原則によって定められた少なくとも2つのパラメータ範囲が用いられ、各条件配列に対する潜在的な問題に対応するメッセージが提供される。
【0011】
また、装置は、潜在的な問題に対処するための推奨事項をさらに含む。
【0012】
所定の規格及び基準は第3の判定原則を含み、第3の判定原則は、各環境パラメータに対して少なくとも2つのカテゴリを定め、測定環境パラメータの様々なカテゴリの組み合わせに基づいて、空気質レベルに対する空気質レベル判定規格が定められ、空気質レベル判定規格による空気質レベルに対応するメッセージが提供される。
【0013】
環境パラメータは、温度、相対湿度、揮発性有機化合物、一酸化炭素、二酸化炭素、ダスト、オゾン、二酸化炭素、空気流量、ラドン及びホルムアルデヒドから成る群のうちの何れか1つである。
【0014】
装置の制御ユニットは、
電源と、
制御回路と、
入力回路と、
出力回路と、
中央演算処理装置と、
環境パラメータを判定するための所定の規格及び基準と、解釈に対応するメッセージと、推奨事項と、パラメータ範囲の潜在的な問題とを記憶するメモリとを備え、
電源及び制御回路が装置に外部電源を接続し、
入力回路がセンサからの取得値を収集して、該取得値を中央演算処理装置に出力し、
中央演算処理装置が、所定の規格及び基準に基づいて取得値を分析し、各環境パラメータのパラメータ範囲を定めて、各パラメータ範囲の解釈及び推奨事項を出力し、表示ユニットに表示させる。
【0015】
入力回路はアナログデジタル変換器と、低パルスタイマとを含む。
【0016】
本発明はまた、環境をモニタリングし、分析する方法を提供し、該方法は、
環境パラメータの値を取得するステップと、
環境パラメータの取得値を、異なる環境パラメータのパラメータ範囲を定める所定の規格及び基準と比較するステップと、
パラメータ範囲に基づいた取得値のユーザに分かり易い解釈と、パラメータ範囲に基づいた取得値に応じた推奨事項とを含む、非技術者のユーザが容易に理解できる実時間空気質レポートを表示するステップとを含み、
取得値を解釈し、該取得値に基づいて推奨事項を作成するために、異なる環境パラメータの取得値の実時間分析が、異なる環境パラメータの取得値の相互関係を考慮することにより行われる。
【0017】
前述した方法の所定の規格及び基準は、第1の判定原則、第2の判定原則及び第3の判定原則を含み、
第1の判定原則は環境パラメータに対してパラメータ範囲を定め、各パラメータ範囲に対応する推奨事項が提供され、
第2の判定原則は条件配列を定め、各条件配列を定めるパラメータ範囲として、第1の判定原則によって定められた少なくとも2つのパラメータ範囲が用いられ、各条件配列に対する潜在的な問題に対応するメッセージと、該潜在的な問題に対処するための推奨事項が提供され、
第3の判定原則は各環境パラメータに対して少なくとも2つのカテゴリを定め、取得値の様々なカテゴリの組み合わせに基づいて、空気質レベルに対する空気質レベル判定規格が定められ、
空気質レベル判定規格による空気質レベルに対応するメッセージが提供される。
【0018】
環境パラメータは、温度、相対湿度、揮発性有機化合物、一酸化炭素、二酸化炭素、ダスト、オゾン、二酸化炭素、空気流量、ラドン及びホルムアルデヒドから成る群のうちの何れか1つである。
【0019】
本発明では、異なる環境パラメータの値は、それぞれ別のセンサによって取得される。異なる環境パラメータの取得値の実時間分析は、異なる環境パラメータの取得値の相互関係を考慮することにより行われる。
【0020】
実時間空気質レポートが提供される。実時間空気質レポートは、ユーザに分かり易い取得値の解釈と、取得値に応じた推奨事項とを含み、非技術者のユーザが容易に理解できるものである。(すなわち、レポートは、パラメータ範囲に基づいた潜在的な問題に対応するメッセージと、潜在的な問題に対処するための推奨事項と、空気質レベルに対応するメッセージとを含む。)空中浮遊菌及び空中菌類などの、或る環境パラメータに関して、従来の方法では、より長い試験時間を要し、何時間もの定温放置が必要であるが、本発明では、異なる測定環境パラメータ間の(相互関係/相関関係)に基づいて予測することによって、即時のレベル評価を提供することができる。たとえば、ダストレベルが或る高レベルに達している温暖で湿潤な環境(吸入性浮遊粉塵レベルが高い環境)では、空中浮遊菌を成長させ、培養するための前提条件が実際に成り立っている。温度、相対湿度及び吸入性浮遊粉塵レベルの値に基づいて、空中浮遊菌のレベルが同時に予測できる。他の例に関して、二酸化炭素濃度が高レベルであり続けている環境では、換気が悪い又は占有人数が多すぎることが意味される。本発明を用いると、ユーザに分かり易い環境取得値の解釈が作成される。ユーザに分かり易い解釈は、「排気システムをつけてください」、「占有人数を減らしてください」、「窓を開けてください」などの推奨事項メッセージであってもよい。本発明による装置は構造的に簡単で低コストである。装置は非技術者のユーザによって容易に操作され得る。
【0021】
以下の図面及び説明により、本発明のさらなる詳細が明らかになる。
【図面の詳細な説明】
【0022】
図1及び図2を参照すると、本発明の装置は、センサ10と、制御ユニット20と、表示ユニット30とを含む。
【0023】
センサ10は異なる環境パラメータの値を取得する。制御ユニット20は該取得値を収集する。本実施形態では、センサ10は、温度センサ、相対湿度センサ12、揮発性有機化合物センサ13、一酸化炭素センサ14、二酸化炭素センサ15及び吸入性浮遊粉塵センサ16である。オゾンセンサ、二酸化窒素センサ、空気流量センサ、ラドンレベルセンサ及びホルムアルデヒドセンサなどの他の環境センサを同様の目的に適用することができる。
【0024】
図3〜8は、本発明の実施形態におけるセンサの回路図である。温度センサ11の回路を図3に示してある。本実施形態では、抵抗値が温度に伴って変化するサーミスタを温度センサとして用いる。環境における温度変化により、サーミスタRTの抵抗値が変化する。サーミスタRTの変化は、電圧出力によって表すことができる。制御ユニット20は、出力電圧VO1を受け取る。温度センサの出力は一連の周期信号に属し、周期信号の周波数は温度依存性である。制御ユニット20は、波形の周波数を検出し、測定温度を判定する。
【0025】
図4は、相対湿度センサ12の回路を示す。本実施形態では、相対湿度センサ12は、抵抗型相対湿度センサに属する。コンデンサCは、湿度感応抵抗器RHに直列接続している。回路は、センサから得られた信号のすべての直流成分を増幅し、遮断する。該信号は電圧として出力される。回路は、直流成分全体を遮断し、湿度感応抵抗器RHを保護するのに有効である。これは、簡単な回路であり、デューティサイクルが異なる入力信号に適応可能である。本実施形態では、50%の振動のデューティサイクルを用いる。
【0026】
図5は、揮発性有機化合物センサ13の回路を示す。本実施形態では、揮発性有機化合物センサ13は、加熱金属酸化物型に属する。センサは、揮発性有機化合物濃度に伴って、その抵抗RDを変化させる。入力電圧VB3は、まず抵抗RDを有する抵抗器を通過し、次にアナログ増幅器によって増幅される。次いで、電圧出力が制御ユニットに送られる。
【0027】
図6は、一酸化炭素センサ14の回路を示す。本実施形態では、用いる一酸化炭素センサ14は加熱金属酸化物型センサに属する。センサは、一酸化炭素濃度に伴って、その抵抗を変化させる。入力電圧は、まず抵抗器を通過し、次にアナログ増幅器によって増幅される。次いで、電圧出力が制御ユニットに送られる。
【0028】
図7は、二酸化炭素センサ15の回路を示す。本実施形態では、二酸化炭素センサ15は加熱金属酸化物型に属する。センサ素子に加え、発熱体が含まれている。センサの抵抗は、二酸化炭素濃度に伴って変化する。入力電圧は、まず抵抗器を通過し、次にアナログ増幅器によって増幅され、制御ユニット20に送られる。二酸化炭素の正確な値を得るために、所望のセンサ動作温度が内蔵ヒータによって維持される。環境温度及び大気中二酸化炭素の影響は、取得された電圧出力を外気のものと比較することによって排除される。より正確な結果が得られる。さらに、発熱体によるセンサの内部温度が制御ユニット20に供給される。これは、センサが温められたことを示し、センサが最適な動作温度に達したことを示す基準となる。
【0029】
図8は、本実施形態におけるダストセンサ16の回路を示す。本実施形態では、ダストセンサ16は光散乱型センサに属する。ダストセンサの出力は、粒子状物質が検出されると低電圧(接地レベル)に移行し、検出されなかった場合は高電圧のままとなる。すなわち、低パルス占有時間がダスト濃度に比例する。低パルスの総時間と高パルスの総時間の比率を得ることによって、制御ユニット20は、対応するダストレベルを算出することができる。
【0030】
本実施形態の制御ユニット20は、電源及び制御回路21と、電圧入力回路22と、中央演算処理装置23と、メモリユニット24と、電圧出力回路25とを備える。電源及び制御回路21は、装置に外部電源を接続する。外部電源は、交流電源又は直流電源であってもよい。電源プラグを本実施形態に挿入すると、自動電源セレクタは、電源をトランスとする。
【0031】
電圧入力回路22は、センサ10から得られた値を収集する。本実施形態では、電圧入力回路22は、アナログデジタル変換器26と、低パルス時間カウンタ27とを含む。アナログデジタル変換器26は、温度センサ11、相対湿度センサ12、揮発性有機化合物センサ13、一酸化炭素センサ14及び二酸化炭素センサ15からアナログ信号を受け取ると共に、二酸化炭素センサ15による基準信号を受け取る。アナログデジタル変換器26は、アナログ信号をデジタル信号に変換し、該デジタル信号を中央演算処理装置23に入力する。低パルス時間カウンタ27は、ダストセンサ回路から入力信号を得る。中央演算処理装置23は、ダストセンサ回路から低パルス時間の平均値を収集する。用いられるセンサの種類により電圧入力回路が決定される。電圧入力回路は、様々なセンサの種類に適合するように改変することができる。
【0032】
メモリユニット24は、第1の判定原則、第2の判定原則及び第3の判定原則、並びに、非技術者のユーザが容易に理解できるパラメータ範囲に基づいた取得値のユーザに分かり易い解釈と、パラメータ範囲に基づいた取得値に応じた推奨事項とを記憶する。
【0033】
第1の判定原則は、各環境パラメータに対して少なくとも2つのパラメータ範囲を定める。本実施形態では、環境パラメータの値は、温度センサ、相対湿度センサ、揮発性有機化合物センサ、一酸化炭素センサ、二酸化炭素センサ及びダストセンサなどのセンサ10によって得られた値を指す。たとえば、温度のパラメータ範囲は、「25.5℃より上」、「20℃未満」、「10℃未満」などの範囲を指すことができる。第2の判定原則は、少なくとも1つの条件配列を定め、各条件配列を定めるパラメータ範囲として、第1の判定原則で定められた少なくとも2つのパラメータ範囲が用いられる。たとえば、或る場所の温度のパラメータ範囲を「25.5から35℃」と定め、同じ場所の揮発性有機化合物のパラメータ範囲を「600μg/m3より上」と定める。第1の判定原則で定められたパラメータ範囲は、異なる条件配列を定めるために適用することができる。空気質レベルに対する空気質レベル判定規格は、測定環境パラメータの様々なカテゴリの組み合わせに基づいて定められる。
【0034】
提供されるメッセージは、パラメータ範囲に基づいた潜在的な問題に対応するメッセージと、潜在的な問題に対処するための推奨事項と、空気質レベルに対応するメッセージとを含む。たとえば、図9に示したように、温度のパラメータ範囲を「25.5℃より上」と定める場合、このパラメータ範囲に基づいた取得値に応じた推奨事項は、「空冷装置をつけてください」である。各条件配列に対する潜在的な問題に対応するメッセージが第2の判定原則に基づいて提供される。たとえば、図10を参照すると、温度が「25.5から35℃」のパラメータ範囲内であり、総揮発性有機化合物レベルが「600μg/m3より上」のパラメータ範囲内である場合、この条件配列に対する潜在的な問題に対応するメッセージは、「高レベルのホルムアルデヒド」となる。この潜在的な問題に対処するための推奨事項には、「窓を開けてください」、「空気ろ過装置をつけてください」、「排気システムをつけてください」、「煙草を吸わないでください」が含まれる。図12及び図13は空気質レベルを示し、これは第3の判定原則に基づいた空気質レベル判定規格によって定められる。
【0035】
中央演算処理装置23は、電圧入力回路22から信号を受け取る。電圧入力回路22はセンサ回路20からのすべてのアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0036】
次に、デジタル信号は所定の規格及び基準で判定され、パラメータ範囲を定め、取得する第1の判定原則に基づいてメモリユニット24に記憶される。推奨事項が提供される。
【0037】
取得値はまた、第2の判定原則に基づいてメモリユニット24に記憶される所定の規格及び基準でも判定される。第2の判定原則は、条件配列を定める。各条件配列を定めるパラメータ範囲として、第1の判定原則で定められた少なくとも2つのパラメータ範囲が用いられる。異なる環境パラメータの取得値の相互関係に基づいて、条件配列に対する潜在的な問題に対応するメッセージと、潜在的な問題に対処するための推奨事項とが提供される。
【0038】
取得値はまた、第3の判定原則に基づいてメモリユニット24に記憶される所定の規格及び基準でも判定される。空気質レベルに対する空気質レベル判定規格は、測定環境パラメータの様々なカテゴリの組み合わせに基づいて定められる。空気質レベル判定規格による空気質レベルに対応するメッセージが提供される。表示ユニット30は、個々の測定値と、電圧出力回路25によるメッセージとを出力する。表示は、如何なる形式、文言、数字及びグラフでもよい。
【0039】
本発明の装置は、入力ポート及び入出力ポートを含み、入力ポートはキーパッドからの入力信号を受け取る。入出力ポートは、コンピュータ、ポケット型パーソナルコンピュータ及びフラッシュメモリなどの他の装置に情報を転送する。入出力ポートは、赤外インターフェース機器、ブルートゥースインターフェース機器及び他の無線インターフェース機器によって、装置を他の装置に接続する。
【0040】
図14は、本発明による環境モニタリング及びその分析を行う方法を示す。センサS1は、異なる環境パラメータの値を取得する。次に、これらの値は、制御ユニットに送られる。S2において、制御ユニットは、環境パラメータの取得値を所定の規格及び基準と比較する。異なる環境パラメータの取得値の相互関係に基づいて、異なる環境パラメータの取得値の実時間分析が行われる。パラメータ範囲に基づいた取得値のユーザに分かり易い解釈と、パラメータ範囲に基づいた取得値に応じた推奨事項とが出力され、表示ユニットS3に表示される。第1の判定原則は、各測定環境パラメータに対してパラメータ範囲を定める。第2の判定原則は、条件配列を定める。第1の判定原則によって定められた少なくとも2つのパラメータ範囲は、各条件配列を定めるパラメータ範囲として用いられる。第3の判定原則は、各測定環境パラメータに対してカテゴリを定める。測定環境パラメータの様々なカテゴリの組み合わせに基づいた空気質レベル判定規格によって、全体的な空気質レベルが定められる。空気質レベル判定規格による空気質レベルに対応するメッセージが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の環境装置の回路モジュールを示す図である。
【図2】本発明の環境装置のブロック回路図である。
【図3】本発明の環境装置における温度センサの回路図である。
【図4】本発明の環境装置における相対湿度センサの回路図である。
【図5】本発明の環境装置における揮発性有機化合物センサの回路図である。
【図6】本発明の環境装置における一酸化炭素センサの回路図である。
【図7】本発明の環境装置における二酸化炭素センサの回路図である。
【図8】本発明の環境装置におけるダストセンサの回路図である。
【図9】パラメータ判定規格及び基準、並びに結果として得られた推測の例を示す図である。
【図10】パラメータ判定規格及び基準、並びに結果として得られた推測の例を示す図である。
【図11】パラメータ判定規格及び基準、並びに結果として得られた推測の例を示す図である。
【図12】パラメータ判定規格及び基準、並びに結果として得られた推測の例を示す図である。
【図13】パラメータ判定規格及び基準、並びに結果として得られた推測の例を示す図である。
【図14】本発明による環境モニタリング及びその分析の流れ図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる環境パラメータの値を取得する異なる種類の複数のセンサと、
前記環境パラメータの前記取得値を受け取り、前記取得値を、前記異なる環境パラメータのパラメータ範囲を定める所定の規格及び基準と比較する制御ユニットと、
前記パラメータ範囲に基づいた前記取得値のユーザに分かり易い解釈と、前記パラメータ範囲に基づいた前記取得値に応じた推奨事項とを含む、非技術者のユーザが容易に理解できる実時間空気質レポートを表示する表示ユニットと、
を備え、
前記取得値を解釈し、前記取得値に基づいて推奨事項を作成するために、前記異なる環境パラメータの前記取得値の実時間分析が、前記異なる環境パラメータの前記取得値の相互関係を考慮することにより行われる、環境モニタリング装置。
【請求項2】
前記所定の規格及び基準が、第1の判定原則を含み、
前記第1の判定原則が、各環境パラメータに対して少なくとも2つのパラメータ範囲を定め、各パラメータ範囲に対応する推奨事項を定める、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記所定の規格及び基準が、第2の判定原則を含み、
前記第2の判定原則が、少なくとも1つの条件配列を定め、
各条件配列を定めるパラメータ範囲として、前記第1の判定原則によって定められた前記少なくとも2つのパラメータ範囲が用いられ、
各条件配列に対する潜在的な問題に対応するメッセージが提供される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記潜在的な問題に対処するための推奨事項をさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記所定の規格及び基準が、第3の判定原則を含み、
前記第3の判定原則が、各環境パラメータに対して少なくとも2つのカテゴリを定め、 前記測定環境パラメータの様々なカテゴリの組み合わせに基づいて、空気質レベルに対する空気質レベル判定規格が定められ、
空気質レベル判定規格による空気質レベルに対応するメッセージが提供される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記環境パラメータが、温度、相対湿度、揮発性有機化合物、一酸化炭素、二酸化炭素、ダスト、オゾン、二酸化炭素、空気流量、ラドン及びホルムアルデヒドから成る群のうちの何れか1つである、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記制御ユニットが、
電源と、
制御回路と、
入力回路と、
出力回路と、
中央演算処理装置と、
前記環境パラメータを判定するための前記所定の規格及び基準と、解釈に対応するメッセージと、推奨事項と、前記パラメータ範囲の潜在的な問題とを記憶するメモリと
を備え、
前記電源及び制御回路が、前記環境モニタリング装置に外部電源を接続し、
前記入力回路が、前記センサから前記取得値を収集して、前記取得値を前記中央演算処理装置に出力し、
前記中央演算処理装置が、前記所定の規格及び基準に基づいて前記取得値を分析し、各環境パラメータの前記パラメータ範囲を定めて、各パラメータ範囲の前記解釈及び推奨事項を出力し、前記表示ユニットに表示させる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記入力回路が、アナログデジタル変換器と、低パルスタイマとを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
環境パラメータの値を取得するステップと、
前記環境パラメータの前記取得値を、前記異なる環境パラメータのパラメータ範囲を定める所定の規格及び基準と比較するステップと、
前記パラメータ範囲に基づいた前記取得値のユーザに分かり易い解釈と、前記パラメータ範囲に基づいた前記取得値に応じた推奨事項とを含む、非技術者のユーザが容易に理解できる実時間空気質レポートを表示するステップと、
を含み、
前記取得値を解釈し、前記取得値に基づいて推奨事項を作成するために、前記異なる環境パラメータの前記取得値の実時間分析が、前記異なる環境パラメータの前記取得値の相互関係を考慮することにより行われる、環境モニタリング方法。
【請求項10】
前記所定の規格及び基準が、第1の判定原則、第2の判定原則及び第3の判定原則を含み、
前記第1の判定原則が、前記環境パラメータに対してパラメータ範囲を定め、
前記第2の判定原則が、条件配列を定め、各条件配列を定めるパラメータ範囲として、前記第1の判定原則によって定められた少なくとも2つのパラメータ範囲が用いられ、
前記第3の判定原則が、各環境パラメータに対して少なくとも2つのカテゴリを定め、前記取得値の様々なカテゴリの組み合わせに基づいて、空気質レベルに対する空気質レベル判定規格が定められ、
前記空気質レベル判定規格による空気質レベルに対応するメッセージが提供される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記環境パラメータが、温度、相対湿度、揮発性有機化合物、一酸化炭素、二酸化炭素、ダスト、オゾン、二酸化炭素、空気流量、ラドン及びホルムアルデヒドから成る群のうちの何れか1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項1】
異なる環境パラメータの値を取得する異なる種類の複数のセンサと、
前記環境パラメータの前記取得値を受け取り、前記取得値を、前記異なる環境パラメータのパラメータ範囲を定める所定の規格及び基準と比較する制御ユニットと、
前記パラメータ範囲に基づいた前記取得値のユーザに分かり易い解釈と、前記パラメータ範囲に基づいた前記取得値に応じた推奨事項とを含む、非技術者のユーザが容易に理解できる実時間空気質レポートを表示する表示ユニットと、
を備え、
前記取得値を解釈し、前記取得値に基づいて推奨事項を作成するために、前記異なる環境パラメータの前記取得値の実時間分析が、前記異なる環境パラメータの前記取得値の相互関係を考慮することにより行われる、環境モニタリング装置。
【請求項2】
前記所定の規格及び基準が、第1の判定原則を含み、
前記第1の判定原則が、各環境パラメータに対して少なくとも2つのパラメータ範囲を定め、各パラメータ範囲に対応する推奨事項を定める、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記所定の規格及び基準が、第2の判定原則を含み、
前記第2の判定原則が、少なくとも1つの条件配列を定め、
各条件配列を定めるパラメータ範囲として、前記第1の判定原則によって定められた前記少なくとも2つのパラメータ範囲が用いられ、
各条件配列に対する潜在的な問題に対応するメッセージが提供される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記潜在的な問題に対処するための推奨事項をさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記所定の規格及び基準が、第3の判定原則を含み、
前記第3の判定原則が、各環境パラメータに対して少なくとも2つのカテゴリを定め、 前記測定環境パラメータの様々なカテゴリの組み合わせに基づいて、空気質レベルに対する空気質レベル判定規格が定められ、
空気質レベル判定規格による空気質レベルに対応するメッセージが提供される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記環境パラメータが、温度、相対湿度、揮発性有機化合物、一酸化炭素、二酸化炭素、ダスト、オゾン、二酸化炭素、空気流量、ラドン及びホルムアルデヒドから成る群のうちの何れか1つである、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記制御ユニットが、
電源と、
制御回路と、
入力回路と、
出力回路と、
中央演算処理装置と、
前記環境パラメータを判定するための前記所定の規格及び基準と、解釈に対応するメッセージと、推奨事項と、前記パラメータ範囲の潜在的な問題とを記憶するメモリと
を備え、
前記電源及び制御回路が、前記環境モニタリング装置に外部電源を接続し、
前記入力回路が、前記センサから前記取得値を収集して、前記取得値を前記中央演算処理装置に出力し、
前記中央演算処理装置が、前記所定の規格及び基準に基づいて前記取得値を分析し、各環境パラメータの前記パラメータ範囲を定めて、各パラメータ範囲の前記解釈及び推奨事項を出力し、前記表示ユニットに表示させる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記入力回路が、アナログデジタル変換器と、低パルスタイマとを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
環境パラメータの値を取得するステップと、
前記環境パラメータの前記取得値を、前記異なる環境パラメータのパラメータ範囲を定める所定の規格及び基準と比較するステップと、
前記パラメータ範囲に基づいた前記取得値のユーザに分かり易い解釈と、前記パラメータ範囲に基づいた前記取得値に応じた推奨事項とを含む、非技術者のユーザが容易に理解できる実時間空気質レポートを表示するステップと、
を含み、
前記取得値を解釈し、前記取得値に基づいて推奨事項を作成するために、前記異なる環境パラメータの前記取得値の実時間分析が、前記異なる環境パラメータの前記取得値の相互関係を考慮することにより行われる、環境モニタリング方法。
【請求項10】
前記所定の規格及び基準が、第1の判定原則、第2の判定原則及び第3の判定原則を含み、
前記第1の判定原則が、前記環境パラメータに対してパラメータ範囲を定め、
前記第2の判定原則が、条件配列を定め、各条件配列を定めるパラメータ範囲として、前記第1の判定原則によって定められた少なくとも2つのパラメータ範囲が用いられ、
前記第3の判定原則が、各環境パラメータに対して少なくとも2つのカテゴリを定め、前記取得値の様々なカテゴリの組み合わせに基づいて、空気質レベルに対する空気質レベル判定規格が定められ、
前記空気質レベル判定規格による空気質レベルに対応するメッセージが提供される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記環境パラメータが、温度、相対湿度、揮発性有機化合物、一酸化炭素、二酸化炭素、ダスト、オゾン、二酸化炭素、空気流量、ラドン及びホルムアルデヒドから成る群のうちの何れか1つである、請求項10に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−529684(P2009−529684A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558619(P2008−558619)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【国際出願番号】PCT/CN2007/000736
【国際公開番号】WO2007/104240
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508274518)アコス アドヴァンスト テクノロジー リミテッド (1)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【国際出願番号】PCT/CN2007/000736
【国際公開番号】WO2007/104240
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508274518)アコス アドヴァンスト テクノロジー リミテッド (1)
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