説明

環境試験装置

【課題】試料側に供給される熱媒体の温度を俊敏かつ精度良く調整可能な環境試験装置の提供を目的とした。
【解決手段】環境試験装置1は、熱媒体を貯留可能なタンク10,20と、試料Wに取り付けられるワーク熱交換部100とを有し、タンク10,20とワーク熱交換部100との間で熱媒体循環流路50を介して熱媒体を循環させることができる。タンク10には高温に加熱された熱媒体が貯留される一方、タンク20には低温の熱媒体が貯留される。環境試験装置1は、タンク10,20から取り出された高温の熱媒体と低温の熱媒体を所定比で混合してワーク熱交換部100側に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境試験装置に関するものであり、特に試料側に所定温度に調整された熱媒体を供給可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1の図11に開示されているように、タンク内にある熱媒体(ブライン)を冷却可能な冷却装置や、熱媒体を加熱可能な加熱手段を備え、この冷却装置や加熱手段で温度調整された熱媒体を試験対象となる試料側に供給して冷却する環境試験装置がある。
【特許文献1】特開2003−269809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術の環境試験装置では、タンク内に蓄えている熱媒体が、試料側に供給するのに適した温度に調整され供給される。そのため、試料側に供給する熱媒体の温度が変化すると、タンク内にある熱媒体全体の温度をその温度に変化させねばならず、試料側に供給される熱媒体の温度を俊敏に変化させることは困難であった。従って、従来技術の環境試験装置では、例えば燃料電池のように、発電に伴って数秒の間に数十℃もの温度変化をするような試料を一定温度に維持する等して試験することが困難であったり、試験の精度が低くなってしまうという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、試料側に供給される熱媒体の温度を俊敏かつ精度良く調整可能な環境試験装置の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、所定温度に調整された熱媒体を試料側に供給して試料の温度が所定の条件を満足するように調整可能な環境試験装置であって、熱媒体を貯留可能な高温タンクおよび低温タンクと、前記高温タンクに貯留される熱媒体を加熱可能な加熱手段と、前記低温タンクに貯留される熱媒体を冷却可能な冷却手段と、試料側と高温タンク及び/又は低温タンクとの間で熱媒体を循環させることが可能な熱媒体循環流路とを備えており、当該熱媒体循環流路が、前記高温タンクおよび低温タンクに貯留されている熱媒体を試料側に供給可能な熱媒往路と、熱媒体を試料側から高温タンクおよび低温タンクに戻すことが可能な熱媒復路とを有し、高温タンクから取り出された高温の熱媒体と、低温タンクから取り出された低温の熱媒体とを所定比で混合し、前記熱媒往路を介して試料側に供給可能であることを特徴とする環境試験装置である。
【0006】
本発明の環境試験装置は、高温タンクと低温タンクとを備えており、高温タンクで温度調整された熱媒体と、低温タンクで温度調整された熱媒体とを所定比で混合することにより試料側に供給される熱媒体の温度を調整することができる。そのため、本発明の環境試験装置によれば、熱媒体の温度を試験条件に合致するように俊敏かつ精度良く変化させることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、高温タンクから取り出された高温の熱媒体と、低温タンクから取り出された低温の熱媒体とを、試料に対して供給すべき熱媒体の温度の設定値に基づいて導出された混合比で混合して供給可能であることを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置である。
【0008】
かかる構成によれば、試料に対して供給される熱媒体の温度を設定値に精度良く調整可能な環境試験装置を提供できる。
【0009】
ここで、上記したような環境試験装置を用いて試験を行う場合、試料側に供給される熱媒体の温度と、試料側において熱交換を行った後、熱媒復路を介して高温タンク側や低温タンク側に戻る熱媒体の温度との差が所定の条件を満足するように調整して試験を行いたいという要望がある。かかる要望に応じて本発明者らが検討した結果、前記温度差を調整するためには、当該温度差の設定値に基づいて熱媒体循環流路を流れる熱媒体の循環量を調整することが望ましいことが判明した。
【0010】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項3に記載の発明は、試料側に供給される熱媒体の温度と、試料側から出る熱媒体の温度との温度差を設定可能であり、当該温度差の設定値に基づいて熱媒体循環流路における熱媒体の循環量が調整されることを特徴とする請求項1又は2に記載の環境試験装置である。
【0011】
かかる構成によれば、試料側に供給される熱媒体の温度と、試料側から出る熱媒体の温度との温度差が設定値になるように精度良く調整して試料について試験可能な環境試験装置を提供することができる。
【0012】
ここで、上記したような環境試験装置を用いて試験を行う場合、試料側に向けて供給される熱媒体の温度(往き温度)を所定の温度としつつ、試料側から高温タンク側や低温タンク側に戻る熱媒体の温度(戻り温度)が所定の条件を満足するように調整して試験を行いたいという要望がある。かかる要望に基づき、本発明者らが検討した結果、このような場合は、当該温度差の設定値に基づいて熱媒体循環流路を流れる熱媒体の循環量を調整することにより前記往き温度を所定の温度としつつ、戻り温度を精度よく調整できることが見いだされた。
【0013】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項4に記載の発明は、熱媒復路を介して試料側から高温タンクおよび低温タンクに戻る熱媒体の温度に基づいて、熱媒体循環流路における熱媒体の循環量が調整されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0014】
かかる構成によれば、試料との熱交換を終えた熱媒体が所定の温度条件を満足するように試験条件を調整可能な環境試験装置を提供することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、熱媒体循環流路の中途に、試料との間で循環する熱媒体を圧送可能な圧送手段が接続されており、当該圧送手段が、圧送能力の異なる圧送装置を複数有し、当該圧送装置が、熱媒体循環流路に対して並列に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0016】
本発明の環境試験装置では、熱媒体を圧送するための圧送手段として圧送能力の異なる圧送装置を複数、熱媒体循環流路に対して並列に接続したものが採用されている。そのため、本発明の環境試験装置では、圧送手段の圧送能力の分解能が高く、熱媒体の圧送量を精度良く調整することができる。また、本発明の環境試験装置では、圧送手段の圧送能力をなめらかに変動させることができる。
【0017】
また、上記したように、熱媒体循環流路における熱媒体の循環量を調整することにより、試料側から高温タンクや低温タンク側に戻る熱媒体の温度(戻り温度)や、試料側に供給される熱媒体の温度(往き温度)と前記戻り温度との温度差が所定の条件を満足するように調整することができる。そのため、本発明の環境試験装置によれば、戻り温度や、往き温度と戻り温度との温度差を調整せねばならない試験についても精度良く実施することができる。
【0018】
ここで、上記した本発明の環境試験装置では、高温の熱媒体と低温の熱媒体とを混合して試料側に供給される熱媒体の温度を調整するため、温度条件によって熱媒体の粘度が異なり、流量比(混合比)を精度良く調整するのが困難となる可能性がある。
【0019】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項6に記載の発明は、熱媒往路が、高温タンクから熱媒体を取り出し可能な高温熱媒取出管と、低温タンクから熱媒体を取り出し可能な低温熱媒取出管とを有し、当該低温熱媒取出管の開口径が、高温熱媒取出管の開口径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0020】
かかる構成によれば、温度差により高温タンク側の熱媒体と低温タンク側の熱媒体とで粘度が異なる場合であっても、両者の熱媒体の流量比(混合比)を精度良く調整することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、熱媒往路の中途に、高温タンクから取り出された高温の熱媒体と、低温タンクから取り出された低温の熱媒体とが合流する合流点があり、当該合流点よりも熱媒体の流れ方向下流側に、熱媒体を温度調整可能な温度調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0022】
かかる構成によれば、高温タンクや低温タンクから試料側に向けて導出された熱媒体が、試料側に到達するまでの間に放熱等によって温度変化しても、これを補正することができる。従って、本発明の環境試験装置によれば、試料側に供給される熱媒体の温度を精度良く調整することができる。
【0023】
ここで、上記した本発明の環境試験装置は、高温タンク、低温タンク、並びに、熱媒体循環流路を含んだ熱媒体の循環系統を有しているが、この循環系統内に気体が混在する可能性がある。本発明者らが検討した結果、前記循環系統内に気体が混在していると、この影響により試験精度が低下する等の不具合が発生する可能性があることが判明した。
【0024】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項8に記載の発明は、高温タンク、低温タンク、並びに、熱媒体循環流路を含んだ熱媒体の循環系統を有し、前記高温タンク、低温タンク、並びに、熱媒体循環流路の少なくともいずれかに、前記循環系統を外気に対して開放し、前記循環系統内に存在する気体を外気に向けて放出可能な排気手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0025】
かかる構成によれば、排気手段により循環系統内に存在する気体を外気に向けて放出させることができる。従って、本発明の環境試験装置によれば、循環系統内に気体が混在することによる試験精度の低下等の不具合の発生を最小限に抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、試料側に供給される熱媒体の温度を俊敏かつ精度良く調整可能な環境試験装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
続いて、本発明の一実施形態にかかる環境試験装置1について、図面を参照しながら詳細に説明する。環境試験装置1は、恒温室R内に設置された燃料電池等の試験対象物(試料W)を温度調整すべく試料Wに設けられたワーク熱交換部100に対し、所定温度に調整された熱媒体(ブライン)を供給することができるものである。
【0028】
図1に示すように、環境試験装置1は、タンク10,20や、冷凍機30、熱媒体循環流路50等を備えた構成とされている。タンク10は、高温に加熱された熱媒体を貯留するためのもの(高温タンク)である。また、タンク20は、低温に冷却された熱媒体を貯留するためのもの(低温タンク)である。本実施形態では、タンク10に90℃に加熱された熱媒体を貯留し、タンク20に−40℃に冷却された熱媒体を貯留可能な構成とされている。
【0029】
タンク10,20は、互いに同程度の容量を有している。また、タンク10,20の容量の和は、環境試験装置1の運転に伴って後に詳述する熱媒循環流路50を介して試料W側との間で単位時間当たりに循環可能な熱媒体の総量の最大値と同程度である。本実施形態では、タンク10,20の容量がそれぞれ10〜20[リットル]であるのに対し、環境試験装置1の運転時に熱媒循環流路50を介して循環可能な熱媒体の総量は10[リットル/分]以下とされている。そのため、環境試験装置1は、運転を開始すると、タンク10,20内にある熱媒体のほぼ全量が単位時間毎に入れ替わることとなる。
【0030】
タンク10,20は、それぞれ排気手段11,21を有する。排気手段11,21は、それぞれタンク10,20の内部と連通した配管を有し、この中途に弁11a,21aが取り付けられた構成とされている。弁11a,21aは、常時は閉止されており、これを開くことによりタンク10,20の内部に存在する気体を頂部側から排出できる。タンク10,20には、ヒーター12,22(加熱手段)が設けられており、これを作動させることにより内部に貯留される熱媒体を加熱できる。
【0031】
タンク10,20には、それぞれ冷却回路13,23(冷却手段)が接続されている。冷却回路13は、タンク10内に貯留されている熱媒体と、外部から供給された冷却水との熱交換により、熱媒体を冷却するものである。具体的には、冷却回路13は、タンク10側に貯留されている熱媒体を冷却するためのものである。
【0032】
冷却回路13は、熱交換器15を有し、これの1次側に冷却一次側往路16aおよび冷却一次側復路16bが接続され、2次側に冷却二次側往路17aおよび冷却二次側復路17bが接続されたものである。冷却一次側往路16aは図示しない給水源に接続されており、当該給水源から供給された冷却水を熱交換器15に供給する流路である。また、冷却一次側復路16bは、冷却一次側往路16aを介して熱交換器15に供給された冷却水を外部に放出するための流路である。冷却一次側復路16bの中途には、弁16cが設けられており、これにより熱交換器15の1次側に流入する冷却水の流量を調整できる。
【0033】
また、冷却二次側往路17aおよび冷却二次側復路17bは、それぞれ熱交換器15の2次側とタンク10とを繋ぐように接続されている。冷却二次側往路17aの中途にはポンプ17cが設けられている。冷却回路13は、ポンプ17cを作動させ、熱交換器15の2次側にタンク10内の熱媒体を供給することにより、当該熱媒体を給水源から1次側に供給される冷却水との熱交換により冷却することができる。
【0034】
一方、冷却回路23は、タンク20側に貯留されている熱媒体を冷却するためのものである。冷却回路23は、冷凍機30と熱交換器25とを有し、熱交換器25の1次側と冷凍機30との間を冷却一次側往路26aおよび冷却一次側復路26bで繋ぐと共に、熱交換器25の2次側とタンク20との間を冷却二次側往路27aおよび冷却二次側復路27bで繋いだ構成とされている。
【0035】
冷凍機30は、従来公知のものと同様のものであり、冷却一次側往路26aおよび冷却一次側復路26bを介して熱交換器25との間で循環する冷媒を冷却可能な構成とされている。冷却一次側往路26aの中途には弁26cが設けられている。
【0036】
冷却二次側往路27aは、タンク20側から熱交換器25の二次側に向けて熱媒体を供給するための流路であり、冷却二次側復路27bは、熱交換器25の二次側からタンク20に向けて熱交換器25で冷却された熱媒体を戻す流路である。冷却二次側往路27aの中途にはポンプ27cが設けられている。冷却回路23は、ポンプ27cを作動させてタンク20内の熱媒体を熱交換器25の二次側に供給すると共に、冷凍機30で冷却された冷媒を熱交換器25の一次側に供給することにより、タンク20側の熱媒体を所定温度に冷却することができる。
【0037】
タンク10およびタンク20には、熱媒体循環流路50が接続されている。熱媒体循環流路50は、タンク10およびタンク20と、ワーク熱交換部100との間で熱媒体を循環させるための流路である。熱媒体循環流路50は、タンク10,20からワーク熱交換部100(試料W)側に向けて熱媒体を供給する熱媒往路51と、ワーク熱交換部100(試料W)側からタンク10,20側に熱媒体を戻す熱媒復路52と、バイパス流路53とに大別される。
【0038】
熱媒往路51は、図1に示すように中途に合流点Mを有し、これを境として熱媒体の流れ方向上流側、すなわちタンク10,20側に高温側往路60および低温側往路61を有する。また、熱媒往路51は、合流点Mを境として熱媒体の流れ方向下流側、すなわちワーク熱交換部100側に集合往路65を有する。
【0039】
高温側往路60は、タンク10の底部側の位置に接続された管路であり、中途に流量調整弁62を有する。また、低温側往路61は、タンク20の底部側の位置に接続された管路であり、中途に流量調整弁63を有する。低温側往路61の開口径は、タンク10に接続された高温側往路60の開口径よりも大きい。高温側往路60および低温側往路61は、それぞれ合流点Mにおいて合流している。
【0040】
集合往路65は、高温側往路60および低温側往路61を介してタンク10,20から流出した熱媒体が集合して流れる流路であり、上記した合流点Mからワーク熱交換部100(試料W)側に向けて伸びている。集合往路65の中途には、圧送手段66や、温度調整手段67、弁68、流量計69等が設けられている。
【0041】
圧送手段66は、複数台(本実施形態では3台)のポンプ66a,66b,66c(圧送装置)の組み合わせによって構成されている。ポンプ66a〜66cは、回転ポンプによって構成されており、それぞれの圧送能力が異なる。具体的には、ポンプ66a〜66cは、それぞれギアポンプによって構成されている。本実施形態では、ポンプ66aとして8[リットル/分]の圧送能力を有するもの、ポンプ66bとして2[リットル/分]の圧送能力を有するもの、ポンプ66cとして1[リットル/分]の圧送能力を有するものが採用されている。図1に示すように、ポンプ66a〜66cは、それぞれ集合往路65に対して並列に接続されている。
【0042】
圧送手段66に対して熱媒体の流れ方向下流側、すなわちワーク熱交換部100側には、温度調整手段67が設けられている。本実施形態では、温度調整手段67としてヒーターが採用されており、これにより合流点Mの下流側を流れる間における熱媒体の温度低下を補うことができる構成とされている。圧送手段66の下流側には弁68が設けられている。また、弁68に対して熱媒体の流れ方向下流側には、流量計69が設けられている。流量計69は、いわゆる質量流量計であり、本実施形態ではコリオリ式のものが採用されている。
【0043】
集合往路65は、恒温室R内に設置された試料Wを温度調整するためのワーク熱交換部100の入口100aに接続されている。合流流路65の中途であって、恒温室R内にあり入口100aの直前に相当する部分には、ワーク熱交換部100に流入する熱媒体の温度を検知可能な往き温度検知手段70が設けられている。
【0044】
一方、熱媒復路52は、試料W側にあるワーク熱交換部100において熱交換した熱媒体をタンク10,20側に向けて戻す流路である。熱媒復路52は、ワーク熱交換部100の出口100bに接続された集合復路80と、高温側復路81と、低温側復路82とに大別される。
【0045】
集合復路80の中途であって、恒温室R内において出口100bに隣接する位置には、戻り温度検知手段83が設けられている。集合復路80は、分岐点Dにおいてタンク10に繋がる高温側復路81と、タンク20に繋がる低温側復路82とに分岐された構成とされている。高温側復路81および低温側復路82は、それぞれタンク10,20に対して上記した高温側往路60や低温側往路61よりも上方側の位置に接続されている。
【0046】
上記した熱媒往路51の集合往路65と、熱媒復路52の集合復路80との間を繋ぐように、バイパス流路53が接続されている。バイパス流路53の中途には、弁90が設けられている。バイパス流路53は、集合往路65を介して試料W側に向けて流れる熱媒体の流量を制御する等のために補助的に使用される。すなわち、例えば何らかの理由により圧送手段66の圧送能力が不安定となった場合などにバイパス流路53に設けられた弁90が開閉される。これにより、集合往路65を流れる熱媒体の一部が試料W側に設けられたワーク熱交換部100をショートカットして集合往路65側から集合復路80側に流れることとなり、ワーク熱交換部100に流れ込む熱媒体の流量が調整される。
【0047】
続いて、本実施形態の環境試験装置1の動作について説明する。環境試験装置1が作動を開始すると、ヒータ12,22や冷却回路13,23が作動し、タンク10内の熱媒体が高温に調整されると共に、タンク20内の熱媒体が低温に調整される。本実施形態では、タンク10内の熱媒体が90℃に加熱されると共に、タンク20内の熱媒体が−40℃まで冷却される。
【0048】
さらに具体的には、タンク10に存在する熱媒体は、ヒータ12によって所定温度まで加熱される。また、タンク10内に存在する熱媒体が所定温度よりも高温である場合は、上記した冷却回路13に設けられたポンプ17cが作動し、冷却二次側往路17aおよび冷却二次側復路17bを介して熱交換器15の二次側との間で循環する。これにより、タンク10内の熱媒体が熱交換器15において外部の給水源から熱交換器15の一次側に供給された水との熱交換により冷却され、熱媒体の温度が微調整される。
【0049】
一方、タンク20に存在する熱媒体は、上記した冷却回路23に設けられたポンプ27cによって二次側往路27aを介して熱交換器25の二次側に吸い出される。そして、この熱媒体は、熱交換器25において、冷凍機30と熱交換器25の一次側との間を循環している冷媒との熱交換によって所定温度まで冷却された後、タンク20側に戻る。また、タンク20内の熱媒体が所定温度よりも低温になっている場合は、ヒータ22が作動し、熱媒体の温度が微調整される。
【0050】
環境試験装置1によって燃料電池や内燃機関等のような試験対象物(試料W)について試験を行う場合は、熱媒体が、温度調整および流量調整された状態でワーク熱交換部100に供給される。さらに詳細に説明すると、環境試験装置1により試験を行う場合は、圧送手段66を構成する各ポンプ66a〜66cが作動状態とされると共に、高温側往路60および低温側往路61に設けられた流量調整弁62,63が開かれる。
【0051】
ここで、ポンプ66a〜66cの圧送能力は、試料Wに取り付けられたワーク熱交換部100に供給すべき熱媒体の量に応じて適宜振り分けられ、調整される。さらに詳細には、上記したように、本実施形態で採用されているポンプ66aは、8[リットル/分]の圧送能力を有するものであり、ポンプ66bは2[リットル/分]の圧送能力を有するもの、ポンプ66cは1[リットル/分]の圧送能力を有するものである。本実施形態では、熱媒体を圧送する際に、並列に配された圧送能力の異なる3台のポンプを適宜稼働させる。そのため、圧送手段66は、圧送能力の低いポンプ66cの出力を適宜調整することにより、熱媒体の圧送量を高分解能で調整することができる。また、圧送手段66は、熱媒体の流量を変化させる場合についても、なめらかに流量変化させることができる。
【0052】
また、流量調整弁62,63の開度は、ワーク熱交換部100に供給すべき熱媒体の温度(以下、必要に応じて往き温度Tgと称す)に応じて調整される。すなわち、環境試験装置1は、流量調整弁62,63の開度比を調整することによりタンク10,20から送出される高温の熱媒体と低温の熱媒体の混合比を調整し、ワーク熱交換部100に供給される熱媒体の温度を調整することができる。具体的には、タンク10内の熱媒体を90℃となるように温度調整し、タンク20内の熱媒体を−40℃となるように温度調整している状況下において、集合往路65を介してワーク熱交換部100側に供給される熱媒体の総流量を10[リットル/分]とする場合、流量調整弁62,63の開度を高温側往路60を5[リットル/分]の流量で熱媒体が流れ、低温側往路61を5[リットル/分]の流量で熱媒体が流れるように調整することにより、往き温度Tgを65℃に調整することができる。
【0053】
本実施形態の環境試験装置1は、複数の運転モードを有し、燃料電池や内燃機関等のような試験対象物(試料W)の試験方法に応じて任意に選択された運転モードで運転可能である。さらに具体的には、環境試験装置1は、その運転モードとして流量・往き温度一定モードや、温度差一定モード等の複数の運転モードを有する。
【0054】
流量・往き温度一定モードは、ワーク熱交換部100に対して供給される熱媒体の温度(往き温度)を一定に維持しつつ、熱媒体を一定の流量で熱媒体を供給する運転モードである。流量・往き温度一定モードで環境試験装置1が作動する場合、圧送手段66の圧送能力は、流量計69によって検知される熱媒体の流量に基づいてフィードバック制御され、一定に維持される。
【0055】
また、流量・往き温度一定モードで環境試験装置1を運転する場合は、ワーク熱交換部100に入口100aから流入する熱媒体の温度(以下、必要に応じて往き温度Tgと称す)が一定となるように温度調整される。さらに具体的には、試験条件として設定された往き温度Tgの設定値(以下、必要に応じて往き設定温度Tsgと称す)に基づき、流量調整弁62,63の開度比が調整される。これにより、流量調整弁62,63の開度比に応じてタンク10,20から導出された高温の熱媒体と低温の熱媒体とが合流点Mにおいて合流して混合し、所定温度に調整された状態になる。その後、合流点Mを通過した熱媒体は、集合往路65を通って試料W側に向けて流れる。ここで、集合往路65を流れる熱媒体が、集合往路65を流れるうちに放熱して温度低下する場合がある。この場合は、集合往路65の中途に設けられた温度調整手段67が作動し、熱媒体の温度が微調整される。
【0056】
上記したようにして集合往路65を流れる熱媒体は、試料Wに対して熱交換可能なように取り付けられたワーク熱交換部100に入口100a側から流入する。ワーク熱交換部100に導入された熱媒体は、試料Wとの熱交換を経た後、出口100bから集合復路80に流出する。
【0057】
集合復路80を流れる熱媒体は、この中途に設けられた分岐点Dにおいて高温側復路81と低温側復路82とに分流し、それぞれタンク10,20の上方側に戻る。タンク10,20に戻った熱媒体は、上記したのと同様にして加熱あるいは冷却され、所定の温度に調整される。環境試験装置1が流量・往き温度一定モードで運転を行う間、タンク10,20に貯留されている熱媒体は、このようにして循環し続ける。
【0058】
温度差一定モードは、環境試験装置1の運転に伴って試料W側に取り付けられたワーク熱交換部100の出口100bからタンク10,20側に戻る熱媒体の温度(以下、必要に応じて戻り温度Tbと称す)と往き温度Tgとの差(以下、必要に応じて温度差ΔTと称す)、すなわちΔT=|Tb−Tg|が一定となるように運転する運転モードである。温度差一定モードで動作する場合についても、上記したように流量調整弁62,63の開度比を調整してタンク10,20から熱媒体が導出され、混合される高温の熱媒体と低温の熱媒体との混合比が調整され、これにより熱媒体の往き温度Tgが往き設定温度Tsgに調整される。
【0059】
一方、温度差一定モードで運転を行う場合は、試験条件として温度差ΔTが設定されてており、これに基づき熱媒体の戻り温度Tbの設定値(以下、必要に応じて戻り設定温度Tsbと称す)が導出される。そこで、温度差一定モードで運転を行う場合は、熱媒体循環流路50を構成する集合復路80に設けられた戻り温度検知手段83の検知温度に基づき、この検知温度が上記した戻り設定温度Tsbになるように圧送手段66を構成するポンプ66a〜66cの出力がフィードバック制御される。温度差一定モードで運転する間、環境試験装置1は上記したようにして動作し続け、熱媒体の温度差ΔTが一定となるように循環し続ける。
【0060】
上記したように、本実施形態の環境試験装置1は、高温の熱媒体を貯留するためのタンク10や低温の熱媒体を貯留するためのタンク20に加えて、熱媒体循環流路50を有する。そして、タンク10から取り出された高温の熱媒体と、タンク20から取り出された低温の熱媒体とを所定比で混合し、熱媒体循環流路50を介してワーク熱交換部100とタンク10やタンク20との間で熱媒体を循環させることが可能な構成とされている。そのため、本実施形態の環境試験装置1によれば、試料W側に向けて供給される熱媒体の温度を試験条件に合致するように俊敏かつ精度良く変化させることができる。
【0061】
本実施形態の環境試験装置1では、試料Wに対して供給すべき熱媒体の温度の設定値たる往き設定温度Tsgに基づいてタンク10にある高温の熱媒体とタンク20にある低温の熱媒体との混合比が設定され、この混合比に基づいて流量調整弁62,63の開度比が調整される。そして、高温の熱媒体と低温の熱媒体とが、前記した混合比で混合され、試料W側に向けて送り込まれる。そのため、環境試験装置1によれば、試料Wに対して供給される熱媒体の温度(往き温度Tg)を設定値に精度良く調整できる。
【0062】
また、本実施形態の環境試験装置1は、動作モードとして温度差一定モードを選択した際に、試料W側に設けられたワーク熱交換部100に対する往き温度Tgと戻り温度Tbとの温度差ΔTの設定値に基づいて圧送手段66の出力がフィードバック制御され、熱媒体循環流路50における熱媒体の循環量が調整される。また、環境試験装置1は、動作モードとして戻り温度一定モードが選択された場合に、戻り温度検知手段83の検知温度に基づいて圧送手段66の出力がフィードバック制御され、熱媒体循環流路50における熱媒体の循環量が調整される。そのため、本実施形態の環境試験装置1では、動作モードとして温度差一定モードや戻り温度一定モードを選択した場合に、試料W側への往き温度Tgを変化させることなく、温度差ΔTや戻り温度Tbを精度良く調整することができる。
【0063】
ここで、本実施形態で採用されている圧送手段66は、圧送能力の異なる複数のギアポンプ(ポンプ66a〜66c)を並列に配した構成とされている。そのため、圧送手段66は、その圧送能力の分解能が高く、なめらかに流量変化させることも可能である。従って、本実施形態の環境試験装置1によれば、上記した熱媒体の温度差ΔTや、戻り温度Tbを試験条件に応じて俊敏かつ精度よく変動させることが可能である。
【0064】
本実施形態では、ポンプ66a〜66cとして、いわゆるギアポンプを採用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばスクリューポンプやチュービングポンプ等のポンプもポンプ66a〜66cとして好適に採用することができる。これらのポンプをポンプ66a〜66cとして採用した場合についても、ギアポンプを採用した場合と同様に容易かつ正確に熱媒体の流量を調整することができる。
【0065】
また、ポンプ66a〜66cとしてギアポンプやスクリューポンプ、チュービングポンプのようなポンプを採用した場合は、遠心力式のポンプを採用した場合のように出力変動に伴う吐出圧の変動がほとんど起こらない。従って、ギアポンプ等をポンプ66a〜66cとして採用すれば、出力変動、すなわち熱媒体の流量変動に伴う圧力変動がほとんど起こらず、環境試験の試験精度をより一層向上させることができる。
【0066】
上記したように、本実施形態の環境試験装置1は、流量・往き温度一定モードや、温度差一定モード等、複数の動作モードで運転して試料Wの試験を実施可能なものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、環境試験装置1は、これらの運転モードのうちの一又は複数について実施できないものであったり、他の動作モードでも動作可能なものであってもよい。
【0067】
また、上記したように、環境試験装置1は、熱媒往路51が、タンク10から熱媒体を取り出し可能な高温側往路60と、タンク20から熱媒体を取り出し可能な低温側往路61とを有し、低温側往路61の開口径が、高温側往路60の開口径よりも大きい。そのため、本実施形態の環境試験装置1は、上記したように高温の熱媒体と低温の熱媒体とでその温度差が非常に大きく、粘度が異なる条件下で作動しても、高温の熱媒体と低温の熱媒体との流量比(混合比)を精度良く調整することができる。
【0068】
なお、上記実施形態では、温度差に起因する熱媒体の粘度の違いを考慮して高温側往路60および低温側往路61の開口径の大きさが異なるとする例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、両者の開口径が略同一であってもよい。
【0069】
上記した環境試験装置1は、熱媒往路51の中途にタンク10から取り出された高温の熱媒体と、タンク20から取り出された低温の熱媒体とが合流する合流点Mがあり、これよりも熱媒体の流れ方向下流側、すなわち試料W側に、熱媒体の温度調整をすることができる温度調整手段67が設けられている。そのため、例えば集合往路65の配管長が長い等の事情により、合流点Mにおいて混合され温度調整された熱媒体が、集合往路65を通って試料W側に到達するまでの間に放熱等によって温度変化しても、これを微調整することができる。従って、本実施形態の環境試験装置1によれば、試料W側に供給される熱媒体の温度をより一層精度良く調整することができる。
【0070】
なお、上記実施形態では、集合往路65の中途にヒーターを備えた温度調整手段67を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、温度調整手段67を有しない構成としてもよい。また、温度調整手段67を熱媒体の加熱だけでなく、冷却も可能な構成としてもよい。
【0071】
本実施形態の環境試験装置1は、タンク10や、タンク20、熱媒体循環流路50を含んだ熱媒体の循環系統を有する。また、タンク10やタンク20に設けられた排気手段11,21の弁11a,21aを開くことにより、前記循環系統を外気に対して開放し、この循環系統内に存在する気体を外気に向けて放出可能な状態とすることができる。従って、環境試験装置1は、前記循環系統内に気体が混在していることにより流量計69が誤検知したり、これに伴って熱媒体の流量が不必要に変動するといったような不具合の発生を抑制することができる。
【0072】
なお、上記した排気手段11,21は、上記循環系統内に混在している気体を排出するための構成の一例を示したものに過ぎず、排気手段11,21のいずれか一方又は双方に代わって他の気体を排出可能な構成を採用してもよい。また、環境試験装置1は、排気手段11,21のいずれか一方又は双方を備えていないものであってもよい。
【0073】
上記実施形態では、熱媒体循環流路50の一部として、集合往路65と集合復路80とをバイパスするバイパス流路53を設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、バイパス流路53を持たない構成としてもよい。
【0074】
上記実施形態で示した環境試験装置1は、試料Wに取り付けられるワーク熱交換部100を含んだものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、環境試験装置1は、ワーク熱交換部100を備えていない構成とし、熱媒循環流路50を構成する熱媒往路51や熱媒復路52を試料Wに対して直接的に取り付ける構成としたり、試料Wに別途取り付けられた熱交換器やラジエター等の温調装置に対して熱媒往路51や熱媒復路52を接続する構成としてもよい。
【0075】
上記した環境試験装置1は、高温側復路81や低温側復路82をタンク10,20の頂部側に接続したものであるため、仮に試料W側から戻る熱媒体に気体が含まれていたとしても、この気体がタンク10,20から試料側Wに向けて流れる熱媒体中に混入する可能性が低い。
【0076】
さらに詳細に説明すると、一般的に気体は、熱媒体として使用されるエチレングリコール水溶液等に比べて軽い。そのため、仮に気体がタンク10,20内に入ったとした場合、この気体はタンク10,20を上昇しようとする。しかし、エチレングリコール水溶液等の熱媒体は粘度が高いため、ひとたび気体が熱媒体中に混入すると、熱媒体から抜け出しにくい傾向にある。そのため、仮に高温側復路81や低温側復路82がタンク10,20の底部側に接続されていたとした場合は、高温側復路81や低温側復路82を介してタンク10,20に戻る熱媒体中に気体が含まれていると、この気体が熱媒体中から抜けることなく試料W側とタンク10,20間を循環してしまう可能性が高い。
【0077】
しかし、上記した環境試験装置1では、高温側復路81や低温側復路82がタンク10,20の頂部側に接続されている。また、環境試験装置1では、タンク10,20内の熱媒体を冷却するために熱交換器15,25に接続された冷却二次側復路17b,27bが冷却二次側往路17a,27aに対して上方に接続されている。すなわち、タンク10,20において熱媒体は、上方から下方に向けて流れるように形成されている。そのため、高温側復路81や低温側復路82を介してタンク10,20に戻る熱媒体中に気体が混在していたとしても、この熱媒体が次に試料W側に供給されるまでの間に気体がタンク10,20の頂部側に抜ける可能性が高い。
【0078】
すなわち、環境試験装置1では、タンク10,20において上方側から下方側に向けて流れる熱媒体の流速(タンク内流速Vと称す)が、熱媒体中を気泡が上昇する速度(気泡上昇速度vと称す)よりも低くなる、すなわちV<vとなるようにすることにより、気泡が熱媒体中に混じったまま熱媒循環流路50を循環するのを防止することができる。従って、環境試験装置1は、熱媒体中に気体が混入することにより懸念される不具合が発生する可能性が低い。
【0079】
また、環境試験装置1は、タンク10,20内に貯留されている熱媒体の液面が高温側復路81や低温側復路82、冷却二次側復路17b,27bがタンク10,20に対して接続されている位置よりも低くなることを条件として、熱媒体を補充するよう警報等を出す構成としてもよい。かかる構成とすれば、試料Wの交換に際して熱媒循環流路50を着脱する際に熱媒体が漏洩する等して、タンク10,20内に気体が大量に存在する状態になったり、気体が熱媒体中に混入するのを防止できる。
【0080】
なお、上記実施形態では、熱媒体中に気体が混入する可能性を低減すべく、高温側復路81や低温側復路82をタンク10,20の頂部側、すなわち高温側往路60および低温側往路61の接続部分よりも上方に接続した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば高温側復路81や低温側復路82の接続位置を、高温側往路60や低温側往路61の接続位置よりも下方に配した構成としてもよい。また、別途熱媒体中への気体の混入を防止したり、混入した気体を除去可能な構成を追加してもよい。
【0081】
本実施形態で示した環境試験装置1は、上記したように試料W側に供給される熱媒体の温度(往き温度Tg)や試料W側から出る熱媒体の温度(戻り温度Tb)を迅速かつ精度良く調整できるものであるため、燃料電池等のように試験時に温度条件が急激に変動するものを試料Wとして好適に採用することができる。また、環境試験装置1は、燃料電池のようなものの性能試験だけではなく、半導体素子製造の材料であるウェハーや内燃機関等の性能試験に用いたり、急激な温度変化を伴う環境下に試料をさらして実施する、いわゆる冷熱衝撃試験に用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態である環境試験装置が備える回路系統図である。
【符号の説明】
【0083】
1 環境試験装置
10 タンク(高温タンク)
11,21 排気手段
12 ヒーター(加熱手段)
20 タンク(低温タンク)
23 冷却回路(冷却手段)
50 熱媒体循環流路
51 熱媒往路
52 熱媒復路
62,63 流量調整弁
65 集合往路
66 圧送手段
66a〜66c ポンプ(圧送装置)
69 流量計
70 往き温度検知手段
80 集合復路
81 高温側復路
82 低温側復路
83 戻り温度検知手段
100 温調装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定温度に調整された熱媒体を試料側に供給して試料の温度が所定の条件を満足するように調整可能な環境試験装置であって、
熱媒体を貯留可能な高温タンクおよび低温タンクと、
前記高温タンクに貯留される熱媒体を加熱可能な加熱手段と、
前記低温タンクに貯留される熱媒体を冷却可能な冷却手段と、
試料側と高温タンク及び/又は低温タンクとの間で熱媒体を循環させることが可能な熱媒体循環流路とを備えており、
当該熱媒体循環流路が、前記高温タンクおよび低温タンクに貯留されている熱媒体を試料側に供給可能な熱媒往路と、熱媒体を試料側から高温タンクおよび低温タンクに戻すことが可能な熱媒復路とを有し、
高温タンクから取り出された高温の熱媒体と、低温タンクから取り出された低温の熱媒体とを所定比で混合し、前記熱媒往路を介して試料側に供給可能であることを特徴とする環境試験装置。
【請求項2】
高温タンクから取り出された高温の熱媒体と、低温タンクから取り出された低温の熱媒体とを、試料に対して供給すべき熱媒体の温度の設定値に基づいて導出された混合比で混合して供給可能であることを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置。
【請求項3】
試料側に供給される熱媒体の温度と、試料側から出る熱媒体の温度との温度差を設定可能であり、
当該温度差の設定値に基づいて熱媒体循環流路における熱媒体の循環量が調整されることを特徴とする請求項1又は2に記載の環境試験装置。
【請求項4】
熱媒復路を介して試料側から高温タンクおよび低温タンクに戻る熱媒体の温度に基づいて、熱媒体循環流路における熱媒体の循環量が調整されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環境試験装置。
【請求項5】
熱媒体循環流路の中途に、試料との間で循環する熱媒体を圧送可能な圧送手段が接続されており、
当該圧送手段が、圧送能力の異なる圧送装置を複数有し、
当該圧送装置が、熱媒体循環流路に対して並列に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の環境試験装置。
【請求項6】
熱媒往路が、高温タンクから熱媒体を取り出し可能な高温熱媒取出管と、低温タンクから熱媒体を取り出し可能な低温熱媒取出管とを有し、
当該低温熱媒取出管の開口径が、高温熱媒取出管の開口径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の環境試験装置。
【請求項7】
熱媒往路の中途に、高温タンクから取り出された高温の熱媒体と、低温タンクから取り出された低温の熱媒体とが合流する合流点があり、
当該合流点よりも熱媒体の流れ方向下流側に、熱媒体を温度調整可能な温度調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の環境試験装置。
【請求項8】
高温タンク、低温タンク、並びに、熱媒体循環流路を含んだ熱媒体の循環系統を有し、
前記高温タンク、低温タンク、並びに、熱媒体循環流路の少なくともいずれかに、前記循環系統を外気に対して開放し、前記循環系統内に存在する気体を外気に向けて放出可能な排気手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の環境試験装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−134168(P2008−134168A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321202(P2006−321202)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000108797)エスペック株式会社 (282)
【Fターム(参考)】