説明

環形蛍光ランプ

【課題】 従来の環形蛍光ランプに比して口金の材料である樹脂の使用量を削減し、しかもランプ寿命中、係止部分がその樹脂の熱変形によって外れるのを確実に防止する低コストな環形蛍光ランプを提供する。
【解決手段】 環形のバルブ1と、互いに組み合わされてバルブ1の両端部を包囲連結するための第一部材3および第二部材4を有する樹脂製の口金2とを備え、第一部材3には第二部材4に設けられた被係止部8に係止される係止部6が設けられ、かつ第二部材4には係止部6が被係止部8に係止されている状態において係止部6の位置を規制するための規制部材9が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環形蛍光ランプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、実公昭60−42440号公報に開示された環形蛍光ランプは、図6および図7に示すように、環形のバルブ(図示せず)と、バルブの両端部を包囲連結するように取り付けられた樹脂製の口金14とを備えている。
【0003】この口金14は、二分割された半円筒形の口金構成部材15,16(第一部材および第二部材)から構成されている。口金構成部材15,16には、嵌合のための係止凸部17(係止部)と係止凹部18(被係止部)とがそれぞれ設けられている。この口金構成部材15,16には、ランプ寿命中、係止凸部17と係止凹部18との係止部分(以下、単に「係止部分」という)が口金14の材料である樹脂の熱変形によって外れないようにするため、その内周面に沿った補強用リブ19が複数個設けられている。
【0004】なお、ランプ電力30W、32Wおよび40Wの環形蛍光ランプに使用されている口金14の外形寸法は、一般的に、外径φが30.2mm、外周長Loが51.0mm、内周長Liが41.0mmである。また、上記したようにランプ寿命中、係止部分が樹脂の熱変形によって外れないようにするため、口金構成部材15,16の肉厚は例えば1.2mm、補強用リブ19の高さは例えば4mm〜7mm、その厚さは1.2mmにそれぞれ設定する必要があった。
【0005】そして、この口金1個当たりの樹脂の使用量は、一般的に使用されているポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いた場合、約12gであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の環形蛍光ランプでは、ランプ寿命中、係止部分が口金14の材料である樹脂の熱変形によって外れないようにするため、十分に厚みのある大きな補強用リブ19を複数個設けなければならず、したがってその樹脂の使用量が多くなり、材料費が高くなるという問題があった。
【0007】本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、従来の環形蛍光ランプに比して口金の材料である樹脂の使用量を削減することができ、しかもランプ寿命中、係止部分がその樹脂の熱変形によって外れるのを確実に防止することができる低コストな環形蛍光ランプを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の環形蛍光ランプは、環形のバルブと、互いに組み合わされて前記バルブの両端部を包囲連結するための第一部材および第二部材を有する樹脂製の口金とを備え、前記第一部材には前記第二部材に設けられた被係止部に係止される係止部が設けられ、かつ前記第二部材には前記係止部が前記被係止部に係止されている状態において前記係止部の位置を規制するための規制部材が設けられている構成を有している。
【0009】この構成によれば、点灯中、口金の材料である樹脂が熱変形して、係止部が被係止部から外れようとしても、規制部材によって係止部が被係止部から外れるのを防止することができ、係止部と被係止部との係止状態を確実に維持することができる。つまり、従来の環形蛍光ランプに比して、ランプ寿命中、係止部と被係止部との係止部分が口金の材料である樹脂の熱変形によって外れるのを一層防止することができる。しかも、大きな補強用リブを有する従来の環形蛍光ランプとは異なり、規制部材を設けるために必要な樹脂の使用量はわずかなので、コスト増を抑えることができる。
【0010】特に、第一部材および第二部材のうち少なくとも一方に補強用リブが設けられている場合、規制部材によって係止部と被係止部との係止状態を確実に維持することができる結果、補強用リブを肉薄化したり、補強用リブの大きさを縮小化したりすることができるので、口金の材料である樹脂の使用量を大幅に削減することができる。よって、ランプ寿命中、係止部と被係止部との係止部分が口金の材料である樹脂の熱変形によって外れるのを確実に防止することができ、しかも低コストな環形蛍光ランプを実現することができる。
【0011】なお、樹脂が熱変形するのは主に点灯中であるが、係止部分が外れるのは点灯中だけでなく、その熱変形によって外れやすい状態にあり、そこに外部からの衝撃等が加わって消灯中にでも外れる場合が起こり得る。
【0012】また、本発明の環形蛍光ランプは、前記規制部材が前記係止部を前記被係止部側へ押圧している構成を有している。
【0013】この構成によれば、係止部が規制部材によって被係止部側へ押圧されているので、口金の材料である樹脂が熱変形しても、係止部が被係止部から外れるのを一層防止することができ、係止部と被係止部との係止状態を一層確実に維持することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態である環形蛍光ランプは、図2に示すように、環形のガラス製のバルブ1と、このバルブ1の両端部を包囲し、かつ連結するように取り付けられたPBTやポリカーボネイト(PC)等からなる樹脂製の口金2とを備えている。
【0015】バルブ1内の両端部には、電極(図示せず)が設けられている。また、バルブ1内には、水銀や希ガス等の封入物が所定量封入されている。さらに、バルブ1の内面には、蛍光体膜(図示せず)が形成されている。
【0016】口金2は、図5に示すように、バルブ1の環外径側の外周長Loがバルブ1の環内径側の内周長Liに比して長い略円筒形を有しており、図3に示すように、二分割された略半円筒形の一対の第一部材3と第二部材4とから構成されている。
【0017】なお、本実施の形態では、ランプ電力30W、32Wおよび40Wの環形蛍光ランプに使用される口金2を例示している。したがって、口金2の外形寸法は、外径φが30.2mm、外周長Loが51.0mm、内周長Liが41.0mmである。
【0018】図1および図4に示すように、第一部材3の両側端部3aの中央付近には、第二部材4(図4には図示せず)側に向かってまっすぐ延びる幅5.0mm、厚さ1.0mmの板状の係止体5と、この係止体5の先端部に形成されており、係止体5の長手方向に対して垂直方向で、かつ口金2の外部へ向かって0.5mm程度突出した凸状の係止部6とが設けられている。また、第一部材3の係止部6間には、第一部材3の内周面に沿った高さ1mm〜4mm、厚さ0.8mmの板状の補強用リブ7が設けられている。
【0019】一方、図1および図5に示すように、第二部材4の両側端部4aの中央付近には、第一部材3の係止部6が係止される凹状の被係止部8と、この被係止部8より内側に第一部材3(図5には図示せず)側に向かってまっすぐ延びる板状の規制部材9とが設けられている。また、第二部材4の規制部材9と後述の金属ピン取り付け部10との間には、第二部材4の内周面に沿った高さ1mm〜4mm、厚さ0.8mmの板状の補強用リブ11が設けられている。さらに、第二部材4の両端部には、第二部材4の内周面に沿った板状の補強用リブ12が設けられている。
【0020】また、第二部材4の外面には、リード線(図示せず)を介して電極に接続されている4本の金属ピン13が設けられている。この金属ピン13は、第二部材4の内面に形成されている金属ピン取り付け部10に挿入され、固定されている。
【0021】図1に示すように、第一部材3と第二部材4とが組み合わされる際、第一部材3の係止部6は、規制部材9を押し広げるように弾性変形させながら第二部材4の被係止部8に係止される。そして、係止部6が被係止部8に係止された後、係止部6は規制部材9の元の形に戻ろうとする力によって被係止部8側(図1中、矢印Zの方向)へ押圧される。もちろん、係止体5自体も第一部材3と第二部材4とが組み合わされる際は弾性変形する。
【0022】次に、このような本発明の実施の形態にかかる環形蛍光ランプ(以下、「本発明品」という)を10個作製し、作製した各々の環形蛍光ランプを点灯させ、定格寿命(6000時間)中に口金2の係止部6と被係止部8との係止部分が外れるかどうかを確認した。
【0023】その結果、本発明品では、定格寿命中、係止部6が被係止部8から外れたものは全くなかった。
【0024】また、本発明品の口金2に使用されている樹脂(PBT)の使用量は9gであった。このように本発明品では、図6および図7に示すような従来の環形蛍光ランプの口金に使用されている樹脂の使用量12gに比して約25%削減することができた。
【0025】以上のように本発明の実施の形態にかかる環形蛍光ランプの構成によれば、点灯中、口金2の材料である樹脂が熱変形して、係止部6が被係止部8から外れようとしても、規制部材9によって係止部6を被係止部8から外れるのを防止することができ、係止部6と被係止部8との係止状態を確実に維持することができる。つまり、従来の環形蛍光ランプに比して、ランプ寿命中、係止部6と被係止部8との係止部分が口金2の材料である樹脂の熱変形によって外れるのを一層防止することができる。しかも、大きな補強用リブを有する従来の環形蛍光ランプとは異なり、規制部材9を設けるために必要な樹脂の使用量はわずかなので、コスト増を抑えることができる。特に、規制部材9によって係止部6と被係止部8との係止状態を確実に維持することができる結果、補強用リブ7,11,12を肉薄化したり、補強用リブ7,11,12の大きさを縮小化したりすることができるので、口金2の材料である樹脂の使用量を大幅に削減することができる。よって、低コストな環形蛍光ランプを実現することができる。さらに、特に、係止部6は規制部材9によって被係止部8側へ押圧されているので、係止部6と被係止部8との係止状態を一層確実に維持することができる。
【0026】なお、上記実施の形態では、第一部材3および第二部材4は一つの部材から構成されている場合について説明したが、第一部材3および第二部材4は複数の部材から構成されても上記と同様の効果を得ることができる。
【0027】また、上記実施の形態では、規制部材9は係止部6を被係止部8側へ押圧している場合について説明したが、規制部材9は係止部6に接触またはわずかな隙間をあけて近接している場合でも上記と同様の効果を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、従来の環形蛍光ランプに比して口金の材料である樹脂の使用量を削減することができ、しかもランプ寿命中、係止部分がその樹脂の熱変形によって外れるのを確実に防止することができる低コストな環形蛍光ランプを提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図4のA−A線の断面図
【図2】本発明の実施の形態である環形蛍光ランプの斜視図
【図3】同じく環形蛍光ランプに用いられている口金の斜視図
【図4】同じく環形蛍光ランプに用いられている口金を構成する第一部材の正面図
【図5】同じく環形蛍光ランプに用いられている口金を構成する第二部材の正面図
【図6】従来の環形蛍光ランプに用いられている口金の斜視図
【図7】同じく環形蛍光ランプに用いられている口金の断面図
【符号の説明】
1 バルブ
2 口金
3 第一部材
3a,4a 側端部
4 第二部材
5 係止体
6 係止部
7,11,12 補強用リブ
8 被係止部
9 規制部材
10 金属ピン取り付け部
13 金属ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 環形のバルブと、互いに組み合わされて前記バルブの両端部を包囲連結するための第一部材および第二部材を有する樹脂製の口金とを備え、前記第一部材には前記第二部材に設けられた被係止部に係止される係止部が設けられ、かつ前記第二部材には前記係止部が前記被係止部に係止されている状態において前記係止部の位置を規制するための規制部材が設けられていることを特徴とする環形蛍光ランプ。
【請求項2】 前記規制部材は、前記係止部を前記被係止部側へ押圧していることを特徴とする請求項1記載の環形蛍光ランプ。
【請求項3】 前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方には、補強用リブが設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の環形蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2003−22743(P2003−22743A)
【公開日】平成15年1月24日(2003.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−205864(P2001−205864)
【出願日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【出願人】(592026554)大洋化学株式会社 (26)
【Fターム(参考)】