説明

環状表示札およびその使用方法

【課題】表示札の両面を一緒に視認させることができるとともに、立体感を有することで目に付き易く、訴求効果が高い環状表示札とその使用方法を提供する。
【解決手段】表面と裏面のうち少なくとも一方に情報を記録可能な短冊状のシートからなる表示札である。表示札裏面の一端部近傍に粘着剤層からなる粘着部が設けられており、
該粘着部を、表示札裏面の他端部に貼着してメビウスループを形成する。作成した環状表示札を棒状の被取付体に掛け、情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示札およびその使用方法に関し、特に、帯状の表示札とその効果的な使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
様々な商品に対し、商品の説明や価格の情報を付けるため様々な工夫がなされている。代表的な表示方法としてラベルが挙げられる。綺麗にデザインされ、商品説明が印刷されたラベルは、商品を引き立てて購買意欲をかき立てる。また、例えば、電子プリンタで商品価格を印字したラベルは商品の価格情報表示として機能する。
【0003】
身の回りの商品は必ずしもラベルを貼りやすい物とは限らない。衣料品のように粘着剤の貼付けが好ましくない物、表面に凹凸が多くラベルが貼付かない物、表面が三次曲面でラベルが馴染まない物、棒状のようにラベルを貼る場所が確保できない物、等がある。これらの商品には粘着剤を使った用いるラベル以外の方法で情報を表示する。
例えば衣料品の場合は、腰がある厚手の用紙をブランド名やロゴの表示や、価格、素材の表示等に用いる。この多くはブランドタグ(商品タグ)や提げ札と呼ばれる矩形状の厚紙で、端部近傍中央にあけた孔に糸を通し、衣料品のボタンホール等を利用して取り付けられる。この種のタグは、植木の枝のような細く長い、且つ、粘着ラベルが貼り付きにくい物にも応用される。
【0004】
しかし、厚紙と糸を利用した衣料品用の商品タグを商品に取付けた場合は表か裏か何れかの面しか見えない。両面の文字を読み取るには手で裏返す必要があり、買い物に来る消費者への訴求効果が十分であるとは言えない。植物用の表示札として、短冊状シートの端部を枝に巻き付け、ステープラーや両面テープ等でリング状に留めたり、短冊状シートの同一面同士を合掌形状に留める方法があるが、シートの片面に表記した文字は良く見えるが、他面の情報はタグや棒状の物品の陰になって良く見えないため、情報の表示領域としては実質的に片面しか利用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−337560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためなされたもので、表示札の表面と裏面との両面を一緒に視認させることができるとともに、人目に付き易く、訴求効果が高い環状表示札とその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するためなされた本発明の第1発明である環状表示札は、表面と裏面のうち少なくとも一方に情報を記録可能な短冊状のシートからなる表示札である。表示札裏面の一端部近傍に粘着剤層からなる粘着部が設けられており、その粘着部を、表示札裏面の他端部に貼着してメビウスループを形成したことを特徴としている。
環状表示札の少なくとも表面は、電子プリンタで情報を印字可能であることが望ましい。
環状表示札の粘着部は、例えば、両面粘着テープと両面テープの粘着剤を被覆する台紙からなる。
本発明の第2発明である環状表示札の使用方法は、表面と裏面のうち少なくとも一方に情報を記録した短冊状のシートからなり、裏面の一端部近傍に粘着剤層からなる粘着部が形成された表示札の使用方法である。表示札裏面の粘着部を表示札裏面の他端部に貼着してメビウスループ状の環状表示札を作成し、作成した環状表示札を棒状の被取付体に掛け、情報を表示することを特徴としている。
本発明の第3発明である環状表示札の使用方法は、表面と裏面のうち少なくとも一方に情報を記録した短冊状のシートからなり、裏面の一端部近傍に粘着剤層からなる粘着部が形成された表示札の使用方法である。その表示札を棒状の被取付体の周りを周回させ、周回させた状態で表示札裏面の粘着部を表示札裏面の他端部に貼着してメビウスループ状の環状表示札を作成し、棒状の被取付体に取付けて情報を表示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の環状表示札およびその使用方法によれば、表示札の表面と裏面との両面を同一視点から一緒に視認させることができる。メビウスループの形状を採ることにより、立体的に見えて人目に付き易く、高い訴求効果を得ることができる。さらにメビウスループは一面一線であるため、ループを形成する前に表示札に表と裏があった場合でも、ループ状に形成した後は、表面・裏面が無くなり、何れの面の情報も公平に見てもらえるという効果が得られる。木の枝のように、棒状の被取付体が屋外にある場合、枝に掛けた環状表示札は風を受けてループ形状が変化し、外面に見える部分と内面に見える部分とが時々入れ替わるため、情報をくまなく見せることが可能になる。また、取り付ける作業も簡単である。突き出た棒状部材には環状に形成した後に掛けるだけで良い。棒状部材が長くて端部から掛けられない場合には、棒状部材の途中を周回させた後に環状に形成すれば良い。環状への形成は短冊状表示札の一端部を摘んで半回転捻り、他端の端部と貼り合わせるだけで良く、簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の環状表示札を環状化する前の母体である表示札連続体を表す平面図および断面図。
【図2】本発明の環状表示札を示す斜視図。
【図3】電子プリンタの概略側面図。
【図4】本発明の環状表示札の使用方法を示す説明図。
【図5】本発明の環状表示札の別な使用例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1に本発明の環状表示札1の母体となる表示札2の連続体、図2に本発明の環状表示札1の斜視図を示す。図1(a)は表示札2の連続体を印字面である表面から見た平面図、図1(b)は表示札2の連続体を裏面から見た平面図、図1(c)は図1(a)のc−c線断面図である。
【0012】
表示札2はPETフィルムの片面に加熱によって発色するサーマル層を設けたサーマルフィルムであり、サーマル層側を表面10、その反対側を裏面20とする。表示札2の表面10は後述する電子プリンタにより文字、画像、バーコードなどの可変情報11が印字される予定の印字面である。表示札2連続体には所定の間隔で切り離し用のミシン目9が設けられており、ミシン目9とミシン目9との間が一単位の表示札2となる。
【0013】
一単位の表示札2裏面の端部3には、粘着剤5とそれを被覆する台紙6とからなる両面粘着テープ7を貼り付けた粘着部8が形成されている。他方の端部4には表示札のインターバルを表すタイミングマーク12が設けられている。即ち、粘着部8とタイミングマーク12は、ミシン目9を挟んだ位置関係になっている。表示札2裏面20の粘着部8とタイミングマーク12間のスペースは、情報21をプレ印刷可能な領域である。図1の情報21は製品の説明や注意書きを印刷した例である。
【0014】
一単位の表示札2を切り離し、裏面20の端部3を半周捻った状態で粘着剤5を裏面20の端部4に貼付けるとメビウスループ形状になり、図2に示す本発明の環状表示札1が完成する。
【0015】
この表示札2の連続体に一枚ごと異なる情報11を書き込む場合は、その連続体を巻回して表示札連続体のロールを作成し、図3に示す電子プリンタ50にセットして印字を行う。以下、電子プリンタで可変情報を印字する作業と、環状表示札1を形成する作業を説明する。
【0016】
図3に電子プリンタ50の概略側面図を示す。電子プリンタ50は、表示札2を供給する供給部51と印字部61を筐体52内に設けたものである。供給部51の軸55には表示札2の連続体ロール2aが回転可能に支持されている。表示札10の走行経路に沿って、ガイドバー56、表示札10の連続体の有無を検知する用紙センサ57、ラベルのインターバルを検出するピッチセンサ58が取り付けられている。その下流の印字部61は、プラテンローラ62と、前記プラテンローラ62とともに表示札10の連続体を押圧保持するサーマルヘッド63、それらの下流のカッタユニット64で構成される。筐体52には、カッタユニット64に隣接して発行口65が設けられる。
【0017】
プラテンローラ62が回転すると、連続体ロール2aから巻き出された表示札2は、ガイドバー56、用紙センサ57、ピッチセンサ58を経て印字部61に至り、各表示札2にサーマルヘッド63の発熱走査で文字やバーコード等の画像が印字される。情報11の印字が行なわれた表示札2は連続したまま発行口65から外部に排出される。ミシン目9で切り離せば、一単位の表示札2が得られる。表示札2にミシン目9が無い場合はプリンタ50に付属したカッタユニット64でカットしてから排出すれば良い。
【0018】
印字発行した表示札2は、以下のようにして使用する。
粘着部8のセパレータ6を剥がして粘着剤層5を露出させる。粘着剤層5が露出した裏面20の端部3をつかみ、半回転させながら同じ裏面20の端部4に貼付ける。すると図2に示すメビウスループ形状の環状表示札1が完成する。完成した環状表示札1は、例えば図4に示すような樹木70の枝71に掛けて使用する。
【0019】
メビウスループは1面1線であり、表面と裏面が連続した立体である。枝71に掛けた環状表示札1は環状に形成以前に表面10や裏面20と称していた面が連続しており、電子プリンタ50で印字した情報11と、印刷機で事前に印刷した情報21との両方が露出する。そのため、環状表示札1周囲のどの角度から見ても、情報11と情報21とが同時に目に入るため、人目に付きやすくなり、表示内容の高い訴求効果を得ることができる。
【0020】
さらに、園芸店の苗木のように屋外に展示された樹木70の枝71に付けた場合、環状の表示札1は風に吹かれてくるくる動き、見える部分が自然にずれて行く。この場合は人手をかけることなく、環状表示札1の様々な部分が見えるようになる。
【0021】
また、樹木70の枝71が長く、その先端に届かない場合がある。このような場合は、短冊状の表示札2を枝71の周りを周回させ、周回した状態で表示札2の粘着部8を他端部に貼着してメビウスループ状の環状表示札1を形成すれば良い。
【0022】
図5に別の使用方法を示す。同図はメビウスループ状に仕上げた環状表示札1を展示台72上に並べ、環状表示札1を、チラシやリーフレットの代用品として用いる例である。平面状の紙で構成されたチラシと比べて立体感に富んだ環状表示札1は人目を引き易く、目立つため、持ち帰ってもらえる率が高くなり、高い宣伝効果を得ることができる。
【0023】
なお、本発明が前述した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状、配置等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0024】
この実施の形態では、表示札2を加工する際に印刷機を用いて裏面20にタイミングマーク12と情報21(注意書き等)を同一の色で印刷しておき、電子プリンタ50で表面10のサーマル層に印字したが、印刷機で印刷する情報11の内容や色数は任意である。また、表示札2一単位ごとに切り離し用のミシン目9を設けたが、ミシン目9を省略しても構わない。この場合は電子プリンタ50付属のカッタユニット64を用いて切り離せば良い。
【0025】
環状表示札1を構成するシートとして先の実施例ではPETフィルムをベースにしたPETサーマル紙を用いたが、種類や材質を限定する物ではなく、PPを主成分とする合成紙をベースにした合成紙サーマルや紙をベースにした汎用の感熱紙でも良い。また、感熱発色方式以外にも熱転写方式も使用可能である。この場合、表示札として一般的に用いられているものが使用可能である。例えば、上質紙、コート紙、アート紙のような紙基材、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)を素材とした合成樹脂フィルムや、前記の合成樹脂を複数種組み合わせたシート、合成樹脂フィルムと紙とを合わせた複合シートも使用できる。さらには、リボン状の布、織布、不織布も使用可能である。
【0026】
両面粘着テープ7の粘着剤層6の粘着剤は、例えば、エマルジョン系(粘着剤を水に分散したもの)、ソルベント系(粘着剤を溶剤に溶解したもの)、ホットメルト系(熱可塑性を利用したもの)等である。材質としては、合成ゴム系や天然ゴム系、アクリル樹脂系、ポリビニルエーテル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系等の粘着剤があげられる。粘着剤の粘着力は任意であるが、いわゆる強粘着と呼ばれる永久接着型の粘着剤を用いることが望ましい。
【符号の説明】
【0027】
1 環状表示札
2 表示札
2a 表示札ロール
3 端部
4 端部
5 粘着剤層
6 台紙
7 両面粘着テープ
8 粘着部
9 ミシン目
10 表面
11 情報(可変情報)
12 タイミングマーク
20 裏面
21 情報(印刷)
50 電子プリンタ
51 供給部
52 筐体
55 軸
56 ガイドバー
57 用紙センサ
58 ピッチセンサ
61 印字部
62 プラテンローラ
63 サーマルヘッド
64 カッタユニット
65 発行口
70 樹木
71 枝
72 展示台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と裏面のうち少なくとも一方に情報を記録可能な短冊状のシートからなる表示札であって、
前記表示札裏面の一端部近傍に粘着剤層からなる粘着部が設けられており、
該粘着部を、表示札裏面の他端部に貼着してメビウスループを形成したことを特徴とする環状表示札。
【請求項2】
前記環状表示札の少なくとも表面には電子プリンタで情報を印字可能であることを特徴とする請求項1に記載の環状表示札。
【請求項3】
前記粘着部は、両面粘着テープと両面テープの粘着剤を被覆する台紙からなることを特徴とする請求項1に記載の環状表示札。
【請求項4】
表面と裏面のうち少なくとも一方に情報を記録した短冊状のシートからなり、裏面の一端部近傍に粘着剤層からなる粘着部が形成された表示札の使用方法であって、
表示札裏面の粘着部を表示札裏面の他端部に貼着してメビウスループ状の環状表示札を作成し、
作成した環状表示札を棒状の被取付体に掛け、情報を表示することを特徴とする環状表示札の使用方法。
【請求項5】
表面と裏面のうち少なくとも一方に情報を記録した短冊状のシートからなり、裏面の一端部近傍に粘着剤層からなる粘着部が形成された表示札の使用方法であって、
前記表示札を棒状の被取付体の周りを周回させ、
周回させた状態で表示札裏面の粘着部を表示札裏面の他端部に貼着してメビウスループ状の環状表示札を作成し、
作成した環状表示札を棒状の被取付体に取付けて情報を表示することを特徴とする環状表示札の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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