説明

環状360度捻り帯で角当て部材を連結した荷物の角当て物

【課題】ビスでの固定方法を廃し、部材及び帯に穴を開けて強度を低下させないようにした荷物の角当て物を提供する。
【解決手段】二つの角当て部材2を、少なくとも二箇所にヒンジ機能を有して平行に連結する。荷物3の角当て物にあって、角当て部材2を少なくとも二本の帯1で連結し、帯1は、帯の片方の端を360度捻り、折り返して両端を接続して環状にし、帯1は自由状態では8の字形状の交差した二つの輪を形成する環状360度捻り帯1aで、8の字形状の穴に個別の角当て部材2を貫通する事で角当て部材2を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックやパレット等に積載した荷物の荷崩れを防止するためにロープやワイヤーロープ等で固縛する際に、荷物の角に当て、荷物及び固縛ロープの傷みを防ぐと同時に、固縛ロープの滑りを良くして確りと固縛するために利用する荷物角当て物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の二つの木質系角当て部材を平行に連結して角当て物として使用する物は、ヒンジ機能をもたせるために、少なくとも2本の帯と部材をビスで繋ぐ構成で、帯と部材を接着後ビス止めの場合もある。金属製のドアヒンジに類する連結方法は部材の曲げ応力や変形に弱いため一般には使用されない。金属製の角当て物は一般に一体構造で、90度の角度で荷物の角に当たる部分を製作し、固縛ロープが滑動する部分は丸く製作するが、荷物の角の角度が90度より大きい場合は使用できない。
【0003】
以下、〔図5〕により従来の2本の角当て部材の連結方法及び使用状態の一例を説明する。
【0004】
同図(F)は従来の角当て物Wbを平面に展開しれ置いた状態で、同図(G)・は同図(F)の矢視f−fで、部材2a及び2bと帯1bはそれぞれ4本のビス9と平座金8で連結されている。同図(H)は角の角度が90度の荷物3に角当て物Wbを沿わせた状態の部分外略側面図である。固縛ロープを締め付けると下側の部材2bは強く下方に引き下げる力が作用し、連結帯に引っ張り応力を与え、上側部材2a及び下側2bの前列の各々2本のビス9の部分に引っ張り応力が集中して、同部分の帯の穴を拡大し、同部分の部材の穴から割れを発生する力となって作用する。決して総てのビスに均等に力は分散しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に述べた従来の角当て物では、固縛用のロープを絞り込むと、特に下方の部材角をロープが滑り、下方に強く部材及び帯を引っ張る。この際、帯を留めている前列のビス取り付け部の帯及び部材に開けた穴に大きな応力が掛かり、取り付けたビス総てに平均に分散して力が掛からない。帯に開けた穴及び部材の穴は引っ張り応力が集中して大きくなり、ビスの締め付けが緩み、更に両者の穴は大きく成る事を繰り返し、たまに増し締めをするが、やがて破損に至る。この課題の対策として帯の幅及び厚みを増し、ビスの本数を増やして対応しているが本質的な課題解決は出来ていない。又、同じ荷物でも、荷物が膨らんだり凹んだりして、角当て部材が全長に渡り荷物に沿わずに浮いた状態の場合も多が、ロープ掛けのフックの位置の制限等で、浮いたところを締め付ける場合もあり、部材を弱らせ、最悪折損する。帯及び部材の破損・折損は片方にダメージが有ると残りが健在でも一般には廃却をする。また特に部材が長い場合には、帯の配置が不都合な場合や配置箇所が不足の場合や帯強度が不足の場合も多々あるが、帯の増設及び移動は困難である。また荷物の角に当たる部分の角度が決まった一体型の角当て物は、製作した角度より大きい角度の荷物には使用できない。更に角当て物が荷物の塗装等を傷つけることも多く、また角当て部材は硬質なので固縛作業中に角当て物が動いたり落下することも多く、円滑な固縛作業の妨げとなる。
【0007】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものである。
第一の課題はビスでの固定方法を廃し、部材及び帯に穴を開けて強度を低下させないこと。
第二の課題は帯全長に渡り均一な張力が作用すること。
第三の課題は部材と帯の組み立て及び組み換えが簡単容易に行なえること。
第四の課題は帯により連結する角当て部材の素材を容易に金属にまでひろげること。
第五の課題は帯の配置箇所の変更を容易にし、配置箇所の増減及び配置箇所の帯の数を増減して帯全数の引っ張り強度の増減を容易にすること。
第六の課題は角当て物が荷物を傷つけないこと。
第七の課題は固縛作業中に角当て物が容易に移動又は落下しないこと。
第八の課題は大量の市販されている主要部財を基準に、標準付帯部品を作り、組み合わせ範囲を広げて多用途に、安価に簡便に荷物の角当て物を提供すること。
この様な優れた点を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明は上記目的を達成するために、角当て部材の連結方法で環状帯を利用することでビスの使用を無くし、環状帯に180度の捻りを入れることで二枚の部材を平行に分離し、更に360度に捻ることで帯が角当て部材に平行に沿うことを実現した。また一般に帯との組み合わせは木材の板を使用するが、金属製及びプラスチック製の半丸形状の角当て部材の連結に本考案の帯が簡便に有効利用できるように工夫した。
帯の捻りが180度では、帯を二つの角当て部材に平行に沿わしていくと、帯が交差するところで撚りが残るので、360度に捻り、帯全長にわたり2枚の角当て部材の平面に沿う事を実現した。尚、ロープを環状に繋ぎ、180度捻って8の字形状にすれば、板を繋ぐ機能及び平行に分離保持する機能は果たすが、例えば、厚さ1ミリ幅30mmの帯と同じ断面積を持つロープの直径は約6・2mm必要で、この場合は荷物に当たる面積も少なくダンボール等荷物に強く食い込み、荷物の角を傷つけるので帯を採用した。
【0009】
上記第一、二、三、四、及び五の課題解決手段は前述の少なくとも二本の360度捻り帯で2本の部材を連結することで総てが解決でき、課題六の一部も解決できる。
【0010】
また、ホームセンター等で大量に販売されている規格品の木材を角当て部材に選択し、その木材に対応する環状360度捻り帯を製作し、同帯が流用できるように、金属製半丸角当て部材が前記木材と同じ周長に成る様に製造することで、誰でも簡単容易に目的にあった角当て物を組み立て使用できるように考案した。
【0011】
帯が荷物と接触する面に軟質滑り止め兼緩衝材のゴム等をコーティングした。
【発明の効果】
【0012】
上述したように本発明の環状360度捻り帯で角当て部材を連結した荷物の角当て物は帯と部材を固定するビスを排除して、両者の強度を落とすことなく簡単容易に組み立てられる。
【0013】
また、製作が容易で、帯及び部材の折損時の取替え、部材の長さの変更、帯数量を増減して強度増減、部材上の帯取り付け位置・取り付け箇所・取り付け数の変更を容易にする効果を発揮するものである。
【0014】
帯自体に滑り止め効果及び緩衝効果があるが、帯の荷物との接触面にゴム等をコーティングすることで滑り止め効果及び緩衝効果を大きくした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4に基いて説明する。
【0016】
図1は帯の一端を固定し、他端を360度捻り、折り返して両端の一部を重ねてJ部分で縫い合わせた環状360度捻り帯1aで、眼鏡の様に二つの環状空間X及びYを形成し、角当て部材を平行に分離保持する効果を発揮し、交差部はヒンジ機能を果す。
【0017】
図2は二本の環状360度捻り帯1aを使い、二本の帯1aの空間Xに角当て部材2aを貫通させ、もう一本の角当て部材2bを空間Yに貫通させて配した荷物の角当て物Waで、平面に展開して置いた状態を表す。組み立ては極めて簡単であり、部材が長くなれば帯の配置箇所を増やし、連結強度を上げる場合は一つの設置箇所の帯の数を増やせばこれも簡単に行なえる。
【0018】
図3は図2に記載の荷物の角当て物Waを角度が90度の荷物3の角に沿わせて固縛ロープ4及びロープ締め付け具5で締め付けた状態の部分図を示し、帯1aが荷物3と角当て物2に馴染んで沿っている状態を示す。帯に掛かる引っ張り応力は均等であり、ヒンジ機能及び部材を平行に強固に保持する機能を十分に発揮する。
【0019】
図4は角当て部材に金属製の半丸形状の角当て部材2Sを組み込んだ角当て物で、一つの基準として選んだ木質の角当て部材2、その部材2と帯1aが当たる部分の周長Lの2倍を基準に製作した環状360度捻り帯、同帯1aが流用できる様に、半丸形状の角当て物2Sの周長(m+n)を前記Lと同じに製作し、ワイヤーロープ等で強固に締め付ける用途にも対応する角当て物を提供する。
【0020】
帯が荷物に接触する面にゴム等をコーティング10することでロープ掛け作業中に角当て物が移動及び落下することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】環状360度捻り帯のスケッチ図。
【図2】2本の木質系角当て部材と2本の環状360度捻り帯で組み立てた荷物の角当て物の概略図を示し、同図(A)は平面に広げた概略平面図を示し、同図(B)は同図(A)の矢視a−a概略側面図を示す。
【図3】荷台の積載荷物の対抗する角に図2に記載の角当て物を配し、固縛ロープで締め付けた状態の後方よりの概略側面図。
【図4】2本の金属製半丸形状の角当て部材と2本の環状360度捻り帯で組み立てた荷物の角当て物の概略図を示し、同図(C)は角が90度の荷物に沿わせた状態の概略側面図を示し、同図(D)は同図(C)の矢視c−cの概略側面図を示し、同図(E)は金属製半丸形状の角当て部材の断面図でその周長をm及びnで表現した図である。
【図5】従来の角当て物を示す図で、同図(F)は平面に展開した概略平面図で、同図(G)は同図(F)の矢視f−fの概略側面図を示し、同図(H)は90度の荷物に沿わせた状態の概略側面図の部分図である。
【符号の簡単な説明】
【0022】
1 角当て物の連結帯
1a 環状360度捻り帯
1b 従来の角当て物の連結帯
2 角当て部材
2a 荷物の上側に位置する角当て部材
2b 荷物の下側に位置する角当て部材
2S 金属製半丸形状の角当て部材
3 荷物
4 荷物固縛用繊維ロープ又はワイヤーロープ
5 上記4の締め付け具
6 固縛用ロープ掛けフック
7 荷台
8 丸座金
9 ビス
10 ゴム等コーティング
J 環状360度捻り帯の縫製部分
X 環状360度捻り帯が自然状態で形成する8の字形状の二つの環の一方
Y 環状360度捻り帯が自然状態で形成する8の字形状の二つの環の他方
Wa 本発明の荷物角当て部材
Wb 従来の荷物角当て部材
m 金属製半丸形状の角当て物断面の円弧の長さ
n 金属製半丸形状の角当て物断面の荷物に接触する面の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの角当て部材を少なくとも二箇所にヒンジ機能を有して平行に連結する荷物の角当て物にあって、前記部材を少なくとも二本の帯で連結し、同帯は、帯の片方の端を360度捻り、折り返して両端を接続して環状にし、同帯は自由状態では8の字形状の交差した二つの輪を形成する環状360度捻り帯で、前記8の字形状の穴に個別の角当て部材を貫通する事で角当て部材を連結することを特徴とする荷物の角当て物。
【請求項2】
請求項1に記載の荷物の角当て物を構成する環状360度捻り帯にあって、同帯の接続部分を避けて、同帯が荷物に接触する面に、軟質で滑り止め効果のあるゴム等をコーティングすることを特徴とする荷物の角当て物。
【請求項3】
請求項1及び2に記載の荷物の角当て物にあって、角当て部材の素材に木質系を選択し、同角当て部材の帯の当たる部分の周長の二倍を基準に環状360度捻り帯を製作して主として繊維ロープでの固縛に利用し、逆にこの捻り帯に合う周長の金属製の半丸角当て部材を製作し、同部材と前記捻り帯とを組み立てて角当て物を作り、主としてワイヤーロープでの固縛に利用する、このように捻り帯、木質系角当て部材及び金属製半丸角当て部材の三者が交換自由に組み立て及び組み換え利用することを特徴とする荷物の角当て物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−168107(P2010−168107A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34513(P2009−34513)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(596116189)株式会社カムサー (2)
【Fターム(参考)】