説明

瓶口部・ネジ部ビリ検査装置

【目的】 製瓶又は瓶充填工場ラインにおいて、瓶口部・ネジ部のビリ検査において、生産性の向上、省力化、自動化に適した瓶口部・ネジ部ビリ検査装置の提供。
【構成】瓶口部・ネジ部ビリ検査装置であって、検査位置におかれた被検査瓶を回転させる公知の回転手段、瓶口の口部及びネジ部を中心として周囲に配置した2〜20個のLED投光器と、2〜100個のフォト受光器、1スキャン当たり、N X Mのデータを採取する手段、得られたデータのデータ並替手段及び微分手段を有することを特徴とする瓶口部・ネジ部ビリ検査装置。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、製瓶又は瓶充填工場ライン等において、被検査瓶の瓶口部・ネジ部のビリ等の欠陥検出検査において、自動化に適した瓶口部・ネジ部ビリ検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、製瓶又は瓶充填工場ラインにおいては、瓶の口部・ネジ部のビリ検査は、ライン上にて、目視検査によるか又は複数の投光器a、複数の受光器bのa:bで検査部位毎に複数の検査ステーションを占有して、公知のハンドリングマシン上で瓶種毎、ビリ欠陥種毎に手動目視により投光器、受光器等を設定し、検査を行っていた。また、もうひとつの方法としては、固定の複数の照明を、瓶の口部・ネジ部にあて、CCDカメラにて検査部位に公知のウインドウをかけて、検査を行っている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の目視による方法では、高速に流れるライン上では、欠陥の識別は困難であり、又前記の複数投光器を使用してビリ欠陥種別毎に手動目視により設定した検査方法では、瓶の口部・ネジ部のどこに欠陥が発生するか判らない上に、瓶の口部・ネジ部のビリに対しては、あらゆる型のビリに対応した検査を行うことができないし、公知の瓶の型替え時には、投光器等の設定に時間を要するという問題点を有している。
前記もう一つの方法であるCCDカメラによる検査では、縦状のビリ検出には有効であるが、瓶ネジ目に沿った横状のビリに関しては、検出感度が低いという問題点を有している。また、型替え時にはカメラ、照明、感度等を再設定し直さなければならないという問題点を有している。
本考案は、従来容易でなかった瓶種毎の型替え設定を自動化し、瓶の口部・ネジ部のビリ検査を部位、欠陥種別に無関係に網羅的に行い、且つ、欠陥種別では、泡、異物、カケ、ネジ出及び変形等の欠陥検出感度を有し、さらに、欠陥部位の仕分け、欠陥種別の仕分けを行い、品質管理を向上させることができる瓶口部・ネジ部ビリ検査装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案は、前記目的を達成するために、瓶口部・ネジ部ビリ検査装置において、検査位置におかれた被検査瓶を回転させる公知の回転手段と、瓶口部及びネジ部を中心として周囲に配置したN個、好ましくは2以上、より好ましくは2〜30個の、最も好ましくは20個前後の投光器と、M個、好ましくは2以上、より好ましくは2〜120個の、最も好ましくは60〜70個前後の受光器を、被検査瓶を中心として好ましくは略半球形状に配置し、被検査瓶の各検査ポイントに対して、NXMの回数の受光器による明度処理を行い、瓶口部・ネジ部全周にわたって、一定間隔、例えば、1〜10mm間隔程度で明度処理を行う。
ここで、明度処理とは、受光輝度の採取処理をいう。検査ポイントとは、1スキャンにおいて、投受光される瓶上のエリアのことである。
その時、全周分の検査スキャン数をLとすると、LXNXMの数の明度処理データが採取される。
次に、公知のデータ並替処理手段により、各投光器毎、受光器毎のデータをチャンネル単位で並替を行うと、並替られたデータが得られる。これをデータ並替処理という。その後、前記Lに対して、NXMの受光それぞれについて、受光データの微分処理を行う。この微分処理とは、公知の差分処理であり、公知の微分手段を用いて実行される。この微分処理により、明暗の変化点と受光データの変化量が検出され、1)良品瓶の場合には、検出された前記変化量のいずれかのデータが、しきい値設定を越えないよう、微分レベル判定値をNXMチャンネルに対して、それぞれ自動設定しているため、ビリ欠陥として検出されない。
2)ビリ欠陥瓶の場合には、NXMチャンネルでいずれかの微分レベルデータが微分レベル判定値を越えるため、ビリ欠陥として検出され、排出信号が出力され、排出される。
ここで、微分レベル判定値とは、微分処理され、一定のマージンを持って設定される値のことである。
この場合、本考案では、各投光器からの投光が同時点灯でないため、複数の投受光間の干渉現象が発生せず、ビリ検出を正確に且つ網羅的に行うことができる。
【0005】
同様に、本考案にかかる装置では、投光の反射光の検出ができること、且つ光の反射方向が変わるのを検出できるので、欠陥種別では、泡、異物、カケ、ネジ出及び変形等の欠陥を検出することができる。また、口部のうち、特に天面部に関しては、天スジ、天流れ、天カミダシ、天泡を検出することができる。
【0006】
又、その場合、欠陥部位の仕分け、欠陥種別の仕分けを行うことにより、品質管理を向上させ、生産性を高めることができる。即ち、前記NXMの各チャネルを使用者が任意に欠陥種別を設定することにより、仕分けを各カウンターにより読みとることができる。
【0007】
【作用】
本考案によれば、瓶口部・ネジ部のビリ欠陥検出を網羅的に行うことができ、かつ、投受光器の配列が固定化され、感度も自動設定のため、繁忙な瓶種毎の型替作業を迅速に行うことができる。また、同時に泡、異物、カケ、ネジ出及び変形欠陥等も検出でき、欠陥部位の仕分け、欠陥種別の仕分けを行うことにより、品質管理を向上させ、品質管理面の向上が計れる。
【0008】
本考案で使用できる投光器としては、高速点灯できるとの理由で、LED投光器が好ましいが、これに限定されるものではなく、レーザー光でも可能である。
【0009】
本考案で使用できる受光器としては、投光器からの光量の変化を採取できれば良く、フォト受光器が好ましいが、これに限定されるものではなく、受光デバイスであれば足りる。
【0010】
本考案で用いられる投光器及び受光器は、好ましくは、略半球状の検査治具ベットによって、被検査瓶の周囲に固定、または半固定で用いられる。
【0011】
本考案において良品瓶を良品と判定するための感度設定は、微分レベル判定値の増減によって行われる。
【0012】
本考案において、欠陥部位、欠陥種別の仕分けはチャンネルの位置の検出によって行われる。
【0013】
【実施例】
次に、図面を参照しながら本考案の実施例を以下に詳細に説明する。
図1は、本考案の一実施例の概略で、投受光センサと瓶の配置と投受光エリアを示す説明図である。
図2は、検査治具上における投受光センサの詳細配置図である。
図3は、ハンドリングマシン上における検査治具の取付側面図である。
図4は、本考案の一実施例の概略を示すシステムブロック図である。
図5は、投受光タイミングと検査エリアを示す説明図である。
図6は、実機オンライン時における検査処理タイミング図である。
図7は、本考案の一実施例の処理手段を示すシステムのフローチャートである。
図8は、実機オンライン時における動作処理のフローチャートである。
図9は、微分処理の説明図である。
図10は、オンライン時における表示画面である。
【0009】
図1に示すように、検査位置におかれた被検査瓶7は、回転方向8のように回転し、投光器配置位置1には、複数の投光器を配置し、受光器配置位置2には、複数の受光器を配置し、投光線3、受光線4のエリアで投受光を行う。
【0014】
図2に示すように、検査位置の被検査瓶7は、ハンドリングマシン上のスターホイル13上に位置し、投受光のセンサは検査治具ヘッド9上に位置し、投光器11は10個、受光器12は64個配置する。
【0015】
図3に示したのは、検査治具の側面図で、高さ位置可変ノブ14、左右方向位置可変ノブ15、前後方向位置可変ノブ16により、治具ヘッド9を被検査瓶7に対して、検査最適位置に設定する。
【0016】
図4に、本システムのシステムブロック構成図を示す。図5、図6を参考して説明する。
投光レンズ25、投光素子26、投光ケーブル27で構成する投光器NO.1〜NO.10の投光タイミング(図5に示す)を28〜37(図4)のようにコントロールロジック回路21により制御した。
受光レンズ17、受光素子18、受光アンプ19、受光ケーブル20で構成する受光器NO.1からNO.64は、受光タイミング38のタイミングで、一投光毎に受光スキャン■を行い、投光器NO.1〜NO.10までそれぞれ受光スキャンを行う。
コントロールロジック回路21により、受光スキャンのマルチプレックスタイミングを制御し、マルチプレックスA/D変換を行い、コントロールロジック21を通して、CPU23に受光データを読み込み、投受光一スキャン分のデータ採取が完了する。
この投受光一スキャンを瓶一周分にわたって、データ採取処理を行う。
1スキャン目の受光タイミング39、2スキャン目の受光タイミング40であり、その時の1スキャン目の検査エリア42、2スキャン目の検査エリア43、3スキャン目の検査エリア44、Nスキャン目の検査エリア41である。
被検査瓶7が回転方向8のように回転するため、全周にわたってデータ採取処理が行われる。
【0017】
これをハンドリングマシンとのタイミングで説明すると、マシン回転クロック45の一周期分が瓶1本のハンドリングとすると、検査中46の期間内に瓶全周分のデータ採取処理が行われ、次の瓶の検査中■までの間、検査処理48が行われ、検査中■の先頭で検査結果47を出力する。この場合、不良瓶の時は排出信号を出力する。
【0018】
図7にCPU部23におけるソフトウェアの処理の概要を示し、その説明を行うと、POWER ON58で初期設定59の処理により、システム動作の準備を行う。
次に、選択が、オフライン60の場合は、オフラインの初期設定62の処理によりオフライン処理の準備を行い、処理選択を待つ。オフライン処理には個別投光画面処理63、欠陥検出モニター処理64、ファイル処理65があり、選択により実行する。
又、選択がオンラインの場合には、ON LINE処理61を実行する。
【0019】
図8にON LINE処理61のフローチャートを示して説明すると、ON LINEスタート70により処理が開始され、検査中、信号比較手段71により検査中46(図6)を認識し、投受光のスキャンが開始される。その時、CPUは受光データ採取処理手段72により、一投光器当たり60受光データ、1スキャン10投光器分のデータを読み込み、瓶一周分以上、瓶回転速度に対応したスキャン数、およそ約100スキャン分のデータを読み込む作業を行う。
次に、データ並替処理手段74により、各投光器毎、受光器毎のデータを約100スキャンのデータとして、チャンネル単位で並替を行うと、10X60スキャンの並び替えられたデータとして成立する。
その後、それらのスキャンデータを各スキャン毎に微分処理手段75により公知の微分処理を行うことにより、受光データの変化量を算出する。そして、良品瓶の場合には、検出された前記変化量のいずれかのデータががしきい値設定を越えないよう、微分レベル判定値をNXMチャンネルに対して、それぞれ自動設定しているため、ビリ欠陥として検出されないが、ビリ欠陥瓶の場合には、NXMチャンネルでいずれかの微分レベルデータが微分レベル判定値を越えるため、ビリ欠陥として検出され、排出信号が出力され、排出される。そして、しきい値比較処理手段76により設定されたしきい値を越えた場合は、口部・ネジ部の欠陥として認識され、欠陥分類処理手段77により、投光器と受光器の関係によって、あらかじめ決められた欠陥分類によって分類される。
そして、検査結果処理手段78により、NG信号が出力され、被検査瓶は排出され、画面表示処理手段79でNG検出を表示し、ループ80で次の被検査瓶を待つ。
【0020】
図9に微分処理と、しきい値比較処理の説明の為の図を示し、説明すると、スキャンデータ83は、前記10個の投光器、64個の受光器のうちの一投光器、一受光器における約100スキャン分のデータの並替後のデータである。
欠陥時レベルデータ68、受光センサベースデータ66のような場合、微分比較幅であるCPパラメータ67は、設定値1〜10程度の数値で設定し、何スキャン前のデータと差分をとるかを設定するパラメータである。スライスパラメータ69は設定値5〜100程度の数値で設定し、しきい値として使用され、このしきい値を越えると欠陥と判定される。
【0021】
図10に、ON LINE時の画面を示し、説明すると、良品本数84、欠陥本数85、トータル処理本数86をモニターし、欠陥本数85の内分として、横ビリ本数87、縦ビリ本数88を表示し、さらに、欠陥検出の内分を投受光器毎に表示される。投光器番号89、受光器番号90、欠陥検出比較91は、製瓶における欠陥部位のデータを集計すると共に、ライン上にフィードバックすることにより、欠陥原因を究明するために重要なデータとなる。
【考案の効果】
本考案によれば、製瓶工場において、瓶口部・ネジ部ビリ検査精度を向上させる事ができ、又、ビン種毎の型替作業時間の大幅な短縮を謀れる。又、欠陥種別の情報を適格に表現することにより、欠陥原因の分析と対策を迅速に講ずることができる。これらによって、生産性の向上、省力化を推進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 投受光センサと瓶の配置と投受光エリアを示す説明図。
【図2】 投受光センサの詳細配置図。
【図3】 検査治具の取付側面図。
【図4】 本考案の一実施例のシステムブロック図。
【図5】 投受光タイミングと検査エリアを示す説明図。
【図6】 実機オンライン時における検査処理タイミング図。
【図7】 本考案の一実施例のソフトウェアの概略を示すシステムのフローチャート。
【図8】 実機オンライン時における動作処理のフローチャート。
【図9】 微分処理の説明図。
【図10】 オンライン時における表示画面。
【符号の説明】
1 投光器配置位置
2 受光器配置位置
3 投光線
4 受光線
5 瓶回転受ローラー
6 瓶回転ローラー
7 被検査瓶
8 瓶回転方向
9 治具ヘッド
10 欠
11 投光器
12 受光器
13 スターホイル
14 高さ可変ツマミ
15 左右可変ツマミ
16 前後方向可変ツマミ
17 受光レンズ
18 受光素子
19 受光アンプ
20 受光ケーブル
21 マルチプレックスA/D変換回路
22 コントロールロジック回路
23 CPU部
24 表示部
25 投光レンズ
26 投光素子
27 投光ケーブル
28〜37 投光器NO,1〜NO.10投光タイミング
38 受光タイミング
39 1スキャン目の受光タイミング
40 2スキャン目の受光タイミング
41 Nスキャン目の検査エリア
42 1スキャン目の検査エリア
43 2スキャン目の検査エリア
44 3スキャン目の検査エリア
45 マシン回転クロック
46 検査中
47 検査結果
48 検査処理
49 瓶静止回転タイミング
50 瓶静止回転終了タイミング
51 検査結果出力タイミング
58 POWER ON
59 初期設定
60 OFF LINE
61 ON LINE処理
62 初期設定2
63 個別投光画面処理手段
64 欠陥検出モニタ処理手段
65 ファイル処理手段
66 受光センサベースデータ
67 CPパラメータ
68 欠陥時レベルデータ
69 スライスパラメータ
70 ON LINEスタート
71 検査中信号比較手段1
72 受光データ採取処理手段
73 検査中信号比較手段2
74 データ並替処理手段
75 微分処理手段
76 しきい値比較処理手段
77 欠陥分類処理手段
78 検査結果処理手段
79 画面表示処理手段
80 ループ1
81 ループ2
82 ループ3
83 スキャンデータ
84 良品本数
85 欠陥本数
86 トータル処理本数
87 横ビリ本数
88 縦ビリ本数
89 投光器番号
90 受光器番号
91 欠陥検出比率

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 瓶口部・ネジ部ビリ検査装置であって、検査位置におかれた被検査瓶を回転させる回転手段と、被検査瓶の瓶口部及びネジ部を中心として周囲に、略半円球状の取付治具に複数個の投光器と、複数個の受光器とを配置し、前記被検査瓶に対する投受光データを採取し、採取されたデータを並替え及び並替られたデータを微分するデータ処理手段とからなることを特徴とする瓶口部・ネジ部ビリ検査装置。
【請求項2】 良品サンプルに対しては、前記被検査瓶に対して、1スキャン当たりNXMのデータを瓶口部・ネジ部全周にわたって実施したとき、良品となるように受光の感度を自動設定し、不良サンプルに対しては、前記感度設定状態で瓶口部・ネジ部ビリ欠陥の検出を行うことを特徴とする前記請求項1記載の瓶口部・ネジ部ビリ検査装置。
【請求項3】 公知の欠陥種別である瓶口部・ネジ部における泡、異物、カケ、ネジ出及び変形の欠陥を検出することができる前記請求項1ないし2記載の瓶口部・ネジ部ビリ検査装置。
【請求項4】 欠陥部位の仕分け、欠陥種別の仕分けを行い、表示及びモニターすることができる前記請求項1乃至3記載の瓶口部・ネジ部ビリ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【登録番号】第3039500号
【登録日】平成9年(1997)5月7日
【発行日】平成9年(1997)7月22日
【考案の名称】瓶口部・ネジ部ビリ検査装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願平8−9774
【出願日】平成8年(1996)9月6日
【出願人】(595148590)株式会社プレシジョン (1)
【出願人】(391002708)日本硝子株式会社 (1)