説明

生ごみの処理システム

【課題】臭気の発生を抑えつつ効率的に生ごみを乾燥処理して資源化することを可能にする生ごみの処理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】バイオマスをガス化するガス化装置と、生ごみを乾燥処理するための生ごみ乾燥機とを備え、ガス化装置の排熱を熱風として生ごみ乾燥機に導入し、生ごみ乾燥機内に収容した生ごみを排熱によって乾燥処理するとともに、生ごみ乾燥機からの排気をガス化装置内で流通する熱風の流通経路に返送するようにした。また、生ごみ乾燥機で乾燥処理した生ごみをガス化装置に投入し、バイオマスとして利用するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみの処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生ごみを資源化処理する際には、大きく分けて、生ごみを微生物によって分解して減容化する微生物分解法と、生ごみを高温で乾燥させて減容化する高温乾燥法とが適用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−167318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、微生物分解法は、生ごみの含水率を30〜60%となるように維持するとともに60℃程度に加温し、微生物によって好気的に分解するものであるが、魚や肉などの分解時には不快な臭気が発生する。また、生ごみの含水率が70%以上であると、ただでさえ時間を要する微生物分解速度が急激に低下するとともに、嫌気状態になってメルカプタンなどが生成され、強烈な悪臭が発生する。
【0005】
また、高温乾燥法は、生ごみを加熱ヒーターによって例えば150℃以下に加熱して乾燥処理するものであり、含水率が80%を超える生ごみでも短時間で含水率を10%程度まで乾燥させることが可能であるが、100℃を超える温度域で処理すると、アルデヒド類などによる焦げ臭が発生する。
【0006】
このように、生ごみを減容化(資源化)処理する際に、微生物分解法では微生物分解臭、高温乾燥法では焦げ臭が発生するため、除臭装置や触媒を利用する臭気対策を講じる必要が生じ、これに伴い、生ごみの処理コストが高コストになるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0008】
本発明の生ごみの処理システムは、バイオマスをガス化するガス化装置と、生ごみを乾燥処理するための生ごみ乾燥機とを備え、前記ガス化装置の排熱を熱風として前記生ごみ乾燥機に導入し、前記生ごみ乾燥機内に収容した生ごみを前記排熱によって乾燥処理するとともに、前記生ごみ乾燥機からの排気を前記ガス化装置内で流通する熱風の流通経路に返送するようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明の生ごみの処理システムにおいては、前記生ごみ乾燥機で乾燥処理した生ごみを前記ガス化装置に投入し、前記バイオマスとして利用することが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の生ごみの処理システムにおいては、ガス化装置が、例えばバイオマスを供給してガス化するガス化反応炉と、ガス化反応に必要な熱を供給する外熱炉とを備えて構成され、このガス化装置の例えば200〜600℃の高温の排熱を熱風として生ごみ乾燥機に導入することで、生ごみを短時間で乾燥処理することが可能になる。すなわち、無駄な燃料や電気を使用することなく、特に都市域では利用が難しいガス化装置の排熱を利用して、効率的に生ごみを処理することが可能になる。
【0011】
また、このように200〜600℃の高温で生ごみを乾燥することにより、さらに生ごみ乾燥機からの排気をガス化装置内の熱風の流通経路に返送することにより、従来の高温乾燥方式で生ごみを処理した際に問題となる悪臭の発生を確実に防止できる。すなわち、脱臭装置や触媒を利用することなく、臭気対策を施すことが可能になる。
【0012】
また、生ごみ乾燥機で乾燥処理した後の生ごみをガス化装置に投入してガス化することにより、生ごみをバイオマスとして再資源化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る生ごみの処理システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1を参照し、本発明の一実施形態に係る生ごみの処理システムについて説明する。
【0015】
本実施形態の生ごみの処理システムAは、図1に示すように、バイオマスをガス化するガス化装置1と、生ごみを乾燥処理するための生ごみ乾燥機2とを備えて構成されている。
【0016】
ガス化装置1は、ガス化反応炉3と外熱炉4などからなり、ガス化反応炉3内にバイオマスを投入してガス化し、一酸化炭素や水素などを含むバイオマスガスを生成する。また、このとき、外熱炉4でガス化反応に必要な熱が供給される。ガス化反応炉3内でのガス化の反応温度は約700〜900℃とされているため、外熱炉温度は約1000℃以上に保たれている。さらに、ガス化装置1の排熱の一部は熱交換器5を通じて外熱炉4に返送される。
【0017】
生ごみ乾燥機2としては、例えば熱風並流式で撹拌軸付のロータリーキルンなどが挙げられ、ガス化装置1の熱風が流通する流通経路Rと生ごみ乾燥機2の内部を熱風導入用の配管、排気返送用の配管で接続して配設されている。
【0018】
そして、本実施形態の生ごみの処理システムAにおいては、内部に生ごみを収容した生ごみ乾燥機2にガス化装置1の高温排熱6を熱風として導入し、この排熱6を利用することで生ごみを乾燥処理する。このとき、ガス化装置1の排熱6を利用することによって、従来の高温乾燥法で利用する温度より数倍高い約200〜600℃で生ごみを乾燥処理する。これにより、例えば400℃で数分間〜6分間程度の短時間で生ごみが乾燥処理される。
【0019】
また、生ごみ乾燥機2で生ごみを乾燥した後の排気7は、ガス化装置1の熱風の流通経路Rに再投入する。このとき、処理システムAの装置1内で循環させ、排気7を400℃以上の煙道に戻したり、臭気の要求レベルが高い場合には1000℃以上の外熱炉4に戻すことにより、400℃から条件によっては1000℃程度の高温で再加熱することができる。このため、通常の高温乾燥法で問題となる臭気成分を、例えば5秒以上の高温接触により、確実に分解することができる。
【0020】
このように、臭気の発生を抑え、短時間で生ごみが乾燥処理される。また、本実施形態では、処理後の乾燥生ごみ8をガス化装置1に供給してガス化し、バイオマスガスの生成に利用する。これにより、生ごみの再資源化が図れる。
【0021】
したがって、本実施形態の生ごみの処理システムAにおいては、ガス化装置1が、バイオマスを供給してガス化するガス化反応炉3と、ガス化反応に必要な熱を供給する外熱炉4とを備えて構成され、このガス化装置1の例えば200〜600℃の高温の排熱6を熱風として生ごみ乾燥機2に導入することで、生ごみを短時間で乾燥処理することが可能になる。すなわち、無駄な燃料や電気を使用することなく、特に都市域では利用が難しいガス化装置の排熱を利用して、効率的に生ごみを処理することが可能になる。
【0022】
また、このように200〜600℃の高温で生ごみを乾燥することにより、さらに生ごみ乾燥機2からの排気7をガス化装置1内の熱風の流通経路Rに返送することにより、従来の高温乾燥方式で生ごみを処理した際に問題となる悪臭の発生を確実に防止できる。すなわち、脱臭装置や触媒を利用することなく、臭気対策を施すことが可能になる。
【0023】
また、生ごみ乾燥機2で乾燥処理した後の生ごみ8をガス化装置1のガス化反応炉3に投入してガス化することにより、生ごみ8をバイオマスとして再資源化することが可能になる。
【0024】
よって、従来の微生物分解法や高温乾燥法と比較し、短時間で生ごみの乾燥が可能になるとともに、除臭装置や触媒などを用いることなく、臭気の発生を抑制することができ、生ごみを処理(減容化、資源化)するコストを大幅に低減することが可能になる。
【0025】
以上、本発明に係る生ごみの処理システムの一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 ガス化装置
2 生ごみ乾燥機
3 ガス化反応炉
4 外熱炉
5 熱交換器
6 排熱
7 排気
8 乾燥処理した生ごみ
A 生ごみの処理システム
R 流通経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスをガス化するガス化装置と、生ごみを乾燥処理するための生ごみ乾燥機とを備え、
前記ガス化装置の排熱を熱風として前記生ごみ乾燥機に導入し、前記生ごみ乾燥機内に収容した生ごみを前記排熱によって乾燥処理するとともに、前記生ごみ乾燥機からの排気を前記ガス化装置内で流通する熱風の流通経路に返送するようにしたことを特徴とする生ごみの処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の生ごみの処理システムにおいて、
前記生ごみ乾燥機で乾燥処理した生ごみを前記ガス化装置に投入し、前記バイオマスとして利用するようにしたことを特徴とする生ごみの処理システム。

【図1】
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【公開番号】特開2013−111498(P2013−111498A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257949(P2011−257949)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】