説明

生ごみ処理装置

【課題】微生物の生ごみ分解活動に適合した攪拌制御を行なうことにより、省電力化を図りつつ、微生物の分解処理能力を確保することが可能な生ごみ処理装置を提供する。
【解決手段】CPU40により実現される攪拌制御部は、酸素濃度検知部42により検出された混合物中の溶存酸素濃度が所定の閾値以下であるか否かを判断する。混合物中の溶存酸素濃度が閾値以下であるときには、攪拌制御部は、攪拌手段を駆動させるための制御信号を生成して攪拌駆動部30へ出力する。攪拌駆動部30では、該制御信号の入力を受けたモータ駆動回路34が攪拌モータ32を予め設定された所定の運転条件に従って駆動させる。これにより、攪拌モータ32の回転力が回転軸14に伝達され、処理槽12内部の攪拌翼15が回転駆動する。一方、混合物中の溶存酸素濃度が閾値を上回るときには、攪拌制御部は、攪拌手段を運転停止状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生ごみ処理装置に関し、より特定的には、微生物の有機物分解活動により生ごみを減容処理する生ごみ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭、飲食店等で発生する生ごみを減容処理する生ごみ処理装置としては、微生物の有機物分解能力を利用して生ごみを処理する、微生物分解方式の生ごみ処理装置が提案されている。この微生物分解方式は、加熱等の物理的処理によって生ごみの水分を除去させることにより生ごみを減量する乾燥方式と比較して、微生物の有機物分解能力を利用するために省エネルギーであり、かつ、生ごみの減量率が高いという利点を有することから、広く普及しつつある。特に、微生物分解方式の生ごみ処理装置において主流となっているのは、木材チップ等の基材と生ごみとを好気性条件下で混合させ、基材に担持させた好気性菌によって生ごみを好気性分解するようにしたものである。
【0003】
このような生ごみ処理装置においては、処理槽内の環境条件が微生物にとって良好かどうかが生ごみの処理能力に大きく影響する。そのため、微生物の生ごみの処理能力を安定化または促進させるために、基材の水分量を一定化させる、生ごみと微生物とを均一化させる、または基材中の酸素が欠乏しないように、酸素濃度を一定値以上に保持することが行なわれている。
【0004】
たとえば特開2002−166249号公報(特許文献1)には、微生物が生息した基材と生ごみとが入れられた反応容器と、外部空気の相対湿度を検出する湿度センサと、反応容器内の基材と生ごみとの水分量を検出する水分センサと、反応容器内の水分量を調整する調整手段と、湿度センサにより検出された相対湿度および水分センサにより検出された水分量に基づいて、調整手段による水分調整量を制御する制御手段とを具備する生ごみ処理装置が開示される。
【0005】
これによれば、調整手段は、反応容器内の基材と生ごみとを攪拌する攪拌手段および反応容器内へ外部空気を送気する送気手段とからなる。制御手段は、湿度センサおよび水分センサの出力に応じて攪拌手段による攪拌頻度および送気手段による送気量を制御する。具体的には、水分センサによる水分量レンジと湿度センサの湿度レンジとの論理積をとり、水分量と湿度とに応じた最適な攪拌時間のON/OFFデューティ比および送気時間のON/OFFデューティ比を取得するようにしたので、水分量が多いときには乾燥能力を高め、速やかに最適水分量とする一方で、水分量が少ないときには過剰な乾燥を防ぐために乾燥能力を弱めることができる。このように空気湿度に関係なく、水分量に応じた一定の乾燥能力を得るようにしたことにより、空気湿度に左右されず安定した性能を発揮することができる。
【0006】
また、特開2002−346531号公報(特許文献2)には、生ごみを受け入れる生ごみ処理容器と、この生ごみ処理容器内に設けられ、初期攪拌動作の後、停止および攪拌動作を交互に繰返すように駆動される攪拌手段と、攪拌手段の初期攪拌動作の有無、攪拌時間、攪拌停止時間、回転数のうち少なくとも1つを調整可能な初期攪拌調整手段とを備える生ごみ処理機が開示されている。
【0007】
これによれば、例えば、ユーザが生ごみ処理機の運転中に処理状況を確認のみのために開閉扉を開閉した場合であっても、検出手段が、処理容器内質量が増大していないことあるいは初期攪拌動作後あまり時間が経過していないことを検出しそれに応じた制御信号を出力した場合には、初期攪拌調整手段は、初期攪拌動作を省略したり、初期攪拌動作の攪拌時間、攪拌停止時間、または回転数を小さくしたりする。これにより、開閉扉が閉じた後に新たな生ごみが投入されたとみなして再度初期攪拌動作から繰返す従来構造に比べて、過度な攪拌動作を抑制することができる。その結果、媒体(微生物担体)の過度の乾燥や小粒化あるいは生ごみの団粒化による生ごみの処理効率の低下や駆動手段の負荷増大等の弊害を回避することができる。
【特許文献1】特開2002−166249号公報
【特許文献2】特開2002−346531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、特開2002−166249号公報(特許文献1)に記載の生ごみ処理装置によれば、反応容器内の基材と生ごみとの水分量が最適水分量となるように攪拌手段による攪拌頻度が制御される。しかしながら、この最適水分量は基材の状態や基材中の菌叢の変化に応じて微妙に変化する可変値であることから、一定値に固定された最適水分量に従って攪拌頻度を制御することは、真に微生物の生ごみ分解能力に応じた制御とはなっていないという問題がある。
【0009】
また、特開2002−346531号公報(特許文献2)においても、処理容器内質量が増大していない場合には、初期攪拌動作がスキップされて直ちに通常の攪拌動作と動作停止とを繰返す間欠運転が行なわれるが、処理容器内質量と微生物の生ごみ分解能力との間には相関関係が成り立たないため、真に微生物の生ごみ分解能力に応じた制御とはなっていない。
【0010】
なぜなら、生ごみを処理容器内に投入した直後は、処理容器内質量が増えるため、処理容器内質量の増加に応じて攪拌動作を行なうことは、微生物の生ごみの分解活動を活性化させる点で有効であると言える。その一方で、処理容器内質量が増えていない場合であっても、栄養分である有機物が残っている限り微生物による生ごみの分解活動は依然として行なわれているため、この場合に攪拌動作を停止させることは当該分解活動を低下させることになるからである。
【0011】
それゆえ、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、微生物の生ごみ分解活動に適合した攪拌制御を行なうことにより、省電力化を図りつつ、微生物の分解処理能力を確保することが可能な生ごみ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明のある局面によれば、生ごみ処理装置は、生ごみを微生物により分解させる生ごみ処理装置であって、微生物を担持させた基材と生ごみとを収容する処理槽と、基材と生ごみとを混合するための攪拌手段と、基材と生ごみとの混合物中の溶存酸素濃度を検知する酸素濃度検知手段と、検知された該混合物中の溶存酸素濃度に基づいて攪拌手段による攪拌頻度を制御する攪拌制御手段とを備える。
【0013】
好ましくは、攪拌制御手段は、検知された該混合物中の溶存酸素濃度が所定の閾値以下となったときに、攪拌手段による攪拌動作を実行させる。
【0014】
好ましくは、生ごみ処理装置は、処理槽内部に対して吸排気を行なうための吸排気手段と、攪拌手段による攪拌動作の実行中に吸排気が行なわれるように吸排気手段を制御する吸排気制御手段とをさらに備える。
【0015】
より好ましくは、吸排気制御手段は、攪拌手段による攪拌動作の停止中に吸排気が行なわれないように吸排気手段を制御する。
【0016】
好ましくは、生ごみ処理装置は、基材と生ごみとの混合物の水分量を検知する水分量検知手段をさらに備える。吸排気制御手段は、検知された該混合物の水分量に基づいて吸排気手段による吸排気量を制御する。
【0017】
より好ましくは、吸排気制御手段は、検知された該混合物の水分量が所定の基準範囲を下回る場合には、吸排気手段による吸排気量を減少させる。
【0018】
より好ましくは、吸排気制御手段は、検知された該混合物の水分量が所定の基準範囲を上回る場合には、吸排気手段による吸排気量を増加させる。
【0019】
好ましくは、生ごみ処理装置は、基材と生ごみとの混合物の水分量を検知する水分量検知手段をさらに備える。攪拌制御手段は、検知された該混合物の水分量に基づいて攪拌手段による攪拌速度を制御する。
【0020】
より好ましくは、攪拌制御手段は、検知された該混合物の水分量が所定の基準範囲を下回る場合には、攪拌手段による攪拌速度を低下させる。
【0021】
より好ましくは、攪拌制御手段は、検知された該混合物の水分量が所定の基準範囲を上回る場合には、攪拌手段による攪拌速度を増加させる。
【0022】
好ましくは、酸素濃度検知手段は、処理槽内部のうちの基材と生ごみとの混合物が収容されていない部分の酸素濃度を、該混合物中の溶存酸素濃度として検知する。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、微生物の生ごみ処理活動に適合するように攪拌手段による攪拌頻度を制御することにより、省電力化を図りつつ、微生物の分解処理能力を安定して確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0025】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1に従う生ごみ処理装置の構成を示すブロック図である。
【0026】
図1を参照して、生ごみ処理装置100は、ケーシング10と、処理槽12と、回転軸14と、攪拌翼15と、プーリ18,24と、ベルト20と、出力軸22と、攪拌モータ32と、モータ駆動回路34と、酸素濃度検知部42と、CPU(Central Processing Unit)40とを備える。
【0027】
ケーシング10は、図示は省略するが、その上面を開閉自在に覆う開閉扉を有するとともに、内部には投入された生ごみを処理する処理槽12を収容している。
【0028】
処理槽12は、上面が開口された容器からなり、その内部には微生物52が担持された木材チップ等の基材50が充填されている。さらに、処理槽12の内部には、外周方向に突出して設けられた攪拌翼15を有する回転軸14が水平に収容されている。
【0029】
回転軸14の両端は、処理槽12の槽壁に設けた軸受(図示せず)により回転自在に支持されている。回転軸14の一方端はさらに、処理槽12の槽壁を貫通するとともに、その端部にプーリ18が取り付けられている。このプーリ18と、ケーシング10内に設けられた攪拌モータ32の出力軸22の端部に取り付けられたプーリ24との間にベルト20を懸架することにより、回転軸14は攪拌モータ32の出力軸22に連結される。
【0030】
酸素濃度検知部42は、処理槽12内に充填された基材50中に浸漬される。酸素濃度検知部42は、基材50と生ごみとの混合物(以下、単に混合物とも称する。)中の溶存酸素濃度を検出し、その検出結果をCPU40へ出力する。
【0031】
CPU40は、酸素濃度検知部42からの溶存酸素濃度の検出値に基づいて図示しないメモリに記憶されている所定のプログラムを実行し、モータ駆動回路34に制御信号を出力する。モータ駆動回路34は、CPU40から出力される制御信号に従って攪拌モータ32を駆動させる。攪拌モータ32を駆動させることにより、その回転力がプーリ18,24およびベルト20を介して回転軸14に伝達され、攪拌翼15が正転方向または逆転方向に回転駆動するようになっている。
【0032】
すなわち、本実施の形態においては、攪拌翼15と回転軸14が「攪拌手段」を構成し、攪拌モータ32およびモータ駆動回路34が、「攪拌手段」を駆動するための攪拌駆動部30を構成する。そして、CPU40が「攪拌手段」を制御するための「攪拌制御手段」を実現する。
【0033】
図2は、処理槽12内部において基材50と生ごみとの混合物を攪拌する処理(以下、「攪拌処理」)を行なうための機能構成の具体例を示すブロック図である。図2に示される機能は、CPU40が図示しないメモリに記憶されている所定のプログラムを実行することで、CPU40および攪拌駆動部30により実行される機能である。
【0034】
図2を参照して、攪拌処理を行なうための機能は、酸素濃度検知部42と、CPU40により実現される攪拌制御部401と、攪拌駆動部30とを含む。
【0035】
酸素濃度検知部42は、上述したように、混合物中の溶存酸素濃度を検出してその検出結果を攪拌制御部401へ出力する。
【0036】
攪拌制御部401は、酸素濃度検知部42から混合物中の溶存酸素濃度の検出値を受けると、該溶存酸素濃度の検出値に基づいて、後述する方法によって攪拌手段を駆動させるための制御信号を生成する。そして、攪拌制御部401は、その生成した制御信号を攪拌駆動部30のモータ駆動回路34(図1)へ出力する。
【0037】
具体的には、攪拌制御部401は、混合物中の溶存酸素濃度と予め設定されている所定の閾値とを比較する。そして、該溶存酸素濃度が所定の閾値以下となる場合には、攪拌制御部401は、攪拌手段を駆動させるように攪拌駆動部30を制御する。
【0038】
攪拌駆動部30では、モータ駆動回路34が攪拌制御部401からの制御信号の入力を受けると、攪拌モータ32を予め設定された所定の運転条件に従って駆動させる。所定の運転条件には、攪拌モータ32の回転速度および運転時間などが含まれており、予め実験を行なうことにより、微生物による生ごみ分解活動を活性化させるのに好適な条件に設定されている。
【0039】
このように本実施の形態による生ごみ処理装置100は、混合物中の溶存酸素濃度が所定の閾値以下となった場合に、攪拌手段による攪拌動作を実行させる構成とする。これは、混合物中の溶存酸素濃度が、微生物の生ごみ分解活動に相関して変化するという知見に基づいている。なお、このような知見は、以下に述べる実験を行なった結果から確認されたものである。
【0040】
図3は、混合物中の溶存酸素濃度と微生物の生ごみ分解活動との相関を調べるための実験を説明するための図である。
【0041】
図3を参照して、ケーシング10内に収容された処理槽12内部には、微生物52である細菌が担持された木材チップ等の基材50が充填されている。この基材50には、細菌の栄養分となるトリプトン、酵母エキスおよびグルコースを純水に溶解させて成る栄養液が添加されている。
【0042】
そして、処理槽12の上面を蓋120により閉じ、かつ、処理槽12の周囲温度を35〜38℃の範囲に保持した状態で、基材中の溶存酸素濃度、基材50の温度、基材中の総菌数、および栄養分であるグルコースの減少量を経時的に測定した。なお、溶存酸素濃度および基材温度については、基材50中に浸漬させた酸素濃度検知部42および温度検知部46を用いてそれぞれ測定した。また、総菌数およびグルコースの減少量については、図示は省略するが、周知の測定手段を用いた測定を行なった。図4〜図7には、その測定時間の経過に対して測定した結果が示される。
【0043】
図4を参照して、基材中の溶存酸素濃度は、測定時間の経過とともに急激に減少し、およそ8時間が経過したときに5%程度にまで低下する。そして、その後、溶存酸素濃度は増加に転じる傾向を示す。
【0044】
このときの基材50の温度は、図5の実線で示されるように、図4で基材中の溶存酸素濃度が減少する約8時間までは増加し続け、それ以降は周囲温度である37℃に収束している。
【0045】
また、総菌数については、図6に示されるように、基材中の溶存酸素濃度が減少する約8時間までに急激に増加していることが分かる。このときのグルコースの減少量については、図7を参照して、総菌数の増加と反比例するように、急激に減少するという測定結果が得られている。
【0046】
このような実験結果から、基材中の栄養分が豊富な測定開始直後から一定期間においては、基材温度の上昇、総菌数の増加およびグルコースの減少から微生物の分解活動が活発に行なわれていることが分かる。そして、この微生物の分解活動に相関するように分解に必要な酸素消費量が急激に増加するため、結果として基材中の溶存酸素濃度が急激に減少していることが分かる。
【0047】
なお、基材中の溶存酸素が減少するに従って、減少分を補うように基材表面からは外気中の酸素が取り込まれる。ところが、溶存酸素の消費速度が基材表面からの酸素供給速度をはるかに上回ってしまうため、結果として図4に示されるように、溶存酸素濃度が減少する傾向を示すことになる。そして、基材中の栄養分が減少するのに従って微生物の分解活動が鈍化してくると、溶存酸素の消費速度が低下し、基材表面からの酸素供給速度がこれを上回ることになる。その結果、基材中の溶存酸素濃度は約8時間の経過後には増加に転じることになる。
【0048】
これらの実験結果によれば、基材中の溶存酸素濃度は、微生物の分解活動が活発となるときに減少し、その一方で微生物の分解活動が低下すると増加するという相関関係が成り立つことが分かる。
【0049】
そして、このような知見に基づいて、図1の構成において、混合物中の溶存酸素濃度が低下しているときに攪拌手段による攪拌動作を実行させる構成とすれば、混合物に十分な酸素が供給されるため、活発な微生物の分解活動を維持させることが可能となる。その結果、微生物の分解処理能力を安定して確保することができる。
【0050】
図8は、本実施の形態1に従う攪拌処理を説明するためのフローチャートである。
図8を参照して、処理が開始されると、まず、CPU40により実現される攪拌制御部401は、酸素濃度検知部42(図1)から混合物中の溶存酸素濃度の検出結果を取得する(ステップS01)。そして、攪拌制御部401は、取得した混合物中の溶存酸素濃度が所定の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS02)。
【0051】
混合物中の溶存酸素濃度が所定の閾値以下であると判断したときには(ステップS02でYES)、攪拌制御部401は、攪拌手段を駆動させるための制御信号を生成して攪拌駆動部30へ出力する。攪拌駆動部30では、該制御信号の入力を受けたモータ駆動回路34が攪拌モータ32を予め設定された所定の運転条件に従って駆動させる(ステップS03)。これにより、攪拌モータ32の回転力が回転軸14に伝達され、処理槽12内部の攪拌翼15が回転駆動する。
【0052】
このとき攪拌制御部401は、内部のタイマを用いて攪拌時間を計時しており、その計時時間が所定の運転条件として予め設定された所定時間を経過したか否かを判断する(ステップS04)。そして、攪拌時間が所定時間を経過したときには(ステップS04でYES)、攪拌制御部401は、攪拌手段を運転停止させるための制御信号を生成して攪拌駆動部30へ出力する。攪拌駆動部30のモータ駆動回路34は、該制御信号の入力に応答して攪拌モータ32の運転を停止させる(ステップS05)。
【0053】
一方、計時時間が所定時間を経過していないときには(ステップS04でNO)、攪拌制御部401は、ステップS03に戻り、攪拌手段による攪拌動作を継続させるように攪拌駆動部30を制御する。
【0054】
なお、再びステップS02に戻って、混合物中の溶存酸素濃度が所定の閾値を上回ると判断したときには(ステップS02でNO)、攪拌制御部401は、ステップS05に進み、攪拌手段を運転停止状態とする。
【0055】
以上に述べたように、この発明の実施の形態1によれば、混合物中の溶存酸素濃度が所定の閾値以下である場合には、微生物の分解活動が活発であると判断して攪拌手段による攪拌動作を行なうことにより、該分解活動を維持させることができる。その一方で、混合物中の溶存酸素濃度が所定の閾値を上回る場合には、微生物の分解活動が活発でないと判断して攪拌動作を停止させることにより、無駄に攪拌駆動部の負荷が増大するのを抑制することができる。すなわち、混合物中の溶存酸素濃度に基づいて攪拌手段による攪拌頻度を制御することにより、微生物の分解処理能力を安定して確保できるとともに、生ごみ処理装置の省電力化を図ることができる。
【0056】
[実施の形態2]
図3で述べた実験から得られた知見としては、上述したような基材中の溶存酸素濃度と微生物の分解活動との相関関係に加えて、基材中の溶存酸素濃度と、処理槽12内部で基材50の上空に形成される基材50の非充填部分(以下、単に、非充填部分とも称する。)の酸素濃度との間にも相関関係が成り立つことがある。
【0057】
詳細には、図3を参照して、処理槽12内部には、基材50中に浸漬された酸素濃度検知部42とは別に、基材50の非充填部分にも酸素濃度検知部44が設置されている。このような状態で、図3で説明したのと同様の実験条件の下で基材中の溶存酸素濃度および非充填部分の酸素濃度をそれぞれ測定した。図9には、その測定時間の経過に対して測定した結果が示される。
【0058】
図9を参照して、非充填部分の酸素濃度は、基材中の溶存酸素濃度に略一致するように増減していることが分かる。すなわち、基材中の溶存酸素濃度が減少する場合には、これに追従するように非充填部分の酸素濃度も減少し、基材中の溶存酸素濃度が増加に転じると非充填部分の酸素濃度も増加に転じている。
【0059】
このように基材中の溶存酸素濃度に追従して非充填部分の酸素濃度が減少するのは、基材中の溶存酸素が減少するのに従って、非充填部分の酸素が基材表面から取り込まれることによる。このとき非充填部分は処理槽12の蓋120の僅かな隙間を介して外気と繋がっているため、非充填部分の酸素が減少すると、濃度差による拡散によって外気の酸素が隙間を介して取り込まれることになる。ところが、非充填部分の酸素の消費速度は、溶存酸素の消費速度を受けて外気からの酸素供給速度をはるかに上回ってしまうため、結果として図9に示されるように、非充填部分の酸素濃度が減少することになる。
【0060】
そして、基材中の栄養分が減少するのに従って微生物の分解活動が鈍化してくると、溶存酸素の消費速度の低下を受けて非充填部分の酸素の消費速度が低下するため、外気からの酸素供給速度がこれを上回ることになる。その結果、非充填部分の酸素濃度は増加に転じることになる。
【0061】
このような知見に基づいて、本実施の形態では、基材50の非充填部分の酸素濃度に応じて攪拌手段による攪拌頻度を制御する構成とする。これによれば、図10に示されるように基材50の非充填部分にのみ酸素濃度検知部44を設置すれば足りるため、基材50中に酸素濃度検知部42を浸漬させる場合と比較して、湿度、基材50との摩擦および微生物による損傷から酸素濃度検知部を保護することができる。その結果、酸素濃度検知部の長寿命化を図ることができる。
【0062】
図10は、この発明の実施の形態2に従う生ごみ処理装置の構成を示すブロック図である。図10の生ごみ処理装置100Aは、図1の生ごみ処理装置100において、処理槽12内部の基材50中に浸漬されていた酸素濃度検知部42を、基材50上空の非充填部分に設置された酸素濃度検知部44に置き換えたものである。よって、重複する部分についての詳細な説明は繰返さない。
【0063】
図10を参照して、酸素濃度検知部44は、基材50の非充填部分の酸素濃度を検出し、その検出結果をCPU40へ出力する。
【0064】
CPU40は、酸素濃度検知部44からの酸素濃度の検出値に基づいて図示しないメモリに記憶されている所定のプログラムを実行し、モータ駆動回路34に制御信号を出力する。モータ駆動回路34は、CPU40から出力される制御信号に従って攪拌モータ32を駆動させる。
【0065】
図11は、本実施の形態2に従う攪拌処理を説明するためのフローチャートである。図11のフローチャートは、図8のフローチャートに対して、ステップS01,S02をステップS011,S021に変更したものである。よって、共通するステップについての詳細な説明は繰返さない。
【0066】
図11を参照して、処理が開始されると、まず、CPU40により実現される攪拌制御部401は、酸素濃度検知部44(図10)から非充填部分の酸素濃度の検出結果を取得する(ステップS011)。そして、攪拌制御部401は、取得した非充填部分の酸素濃度が所定の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS021)。
【0067】
非充填部分の酸素濃度が所定の閾値以下であると判断したときには(ステップS021でYES)、攪拌制御部401は、攪拌手段を駆動させるための制御信号を生成して攪拌駆動部30へ出力する(ステップS03)。一方、非充填部分の酸素濃度が所定の閾値を上回ると判断したときには(ステップS021でNO)、攪拌制御部401は、ステップS05に進み、攪拌手段を運転停止状態とする。
【0068】
以上に述べたように、この発明の実施の形態2によれば、基材の非充填部分の酸素濃度が所定の閾値以下である場合には、基材中の溶存酸素濃度も所定の閾値以下であることが推定されることから、微生物の分解活動が活発であると判断して攪拌手段による攪拌動作を行なうことにより、分解活動を維持させることができる。
【0069】
その一方で、基材の非充填部分の酸素濃度が所定の閾値を上回る場合には、基材中の溶存酸素濃度も所定の閾値を上回ることが推定されることから、微生物の分解活動が低下していると判断して攪拌動作を停止させることにより、無駄に攪拌駆動部の負荷が増大するのを抑制することができる。
【0070】
すなわち、基材の非充填部分の酸素濃度に応じて攪拌手段による攪拌頻度を制御することにより、微生物の分解処理能力を安定して確保できるとともに、生ごみ処理装置の省電力化を図ることができる。さらに、酸素濃度検知部が損傷を受けるのを抑制することが可能となる。
【0071】
[実施の形態3]
図12は、この発明の実施の形態3に従う生ごみ処理装置の構成を示すブロック図である。
【0072】
図12を参照して、生ごみ処理装置100Bは、ケーシング10と、処理槽12と、蓋120と、吸排気用蓋122と、ファン126と、回転軸14と、攪拌翼15と、プーリ18,24と、ベルト20と、出力軸22と、攪拌モータ32と、モータ駆動回路34と、酸素濃度検知部44と、CPU40Bとを備える。
【0073】
図12の生ごみ処理装置100Bは、図1の生ごみ処理装置100に対して、処理槽12内部に対して吸排気を行なうための「吸排気手段」を付加したものである。「吸排気手段」は、処理槽12の上面に位置する蓋120にて開口する吸排気口124と、吸排気口124を開閉するための吸排気用蓋122と、吸排気口124に設けられたファン126とにより構成される。
【0074】
吸排気用蓋122は、蓋120の面内方向に沿って移動可能に設けられている。CPU40Bは、後述する方法によって攪拌処理を実行しているときに、吸排気口124を開放可能な位置まで吸排気用蓋122を移動させる。これにより、処理槽12内部は、吸排気口124によって処理槽12の外部と連通するため、吸排気口124を通して処理槽12内部に対して吸排気を行なうことができる。
【0075】
一方、CPU40Bは、攪拌処理を実行していないときには、吸排気口124を閉塞可能な位置まで吸排気用蓋122を移動させる。これにより、処理槽12内部が密閉された状態となるため、吸排気は行なわれない。
【0076】
なお、吸排気口124を開閉するための手段としては、これ以外に、吸排気口124の近傍に吸排気口124の開閉を行なうための切替え弁を設けておき、CPU40Bが攪拌処理の実行の有無に応じて吸排気口124を開放または閉塞するように該切替え弁を駆動する構成としてもよい。
【0077】
ファン126は、図示しないファンモータの駆動によって回転する。このとき、吸排気口124が開放した状態では、ファン126は、吸排気口124を通して処理槽12内部の空気を外部へ排気するとともに、外部からの空気を処理槽12内部に吸気する。
【0078】
吸排気用蓋122を駆動するアクチュエータ(図示せず)およびファン126を回転させるファンモータは、CPU40Bに接続されている。また、CPU40Bには、基材50の非充填部分の酸素濃度を検出する酸素濃度検知部44が接続されている。
【0079】
CPU40Bは、酸素濃度検知部44からの非充填部分の酸素濃度の検出値に基づいて図示しないメモリに記憶されている所定のプログラムを実行し、モータ駆動回路34に制御信号を出力する。モータ駆動回路34は、CPU40Bから出力される制御信号に従って攪拌モータ32を駆動させる。攪拌モータ32を駆動させることにより、その回転力がプーリ18,24およびベルト20を介して回転軸14に伝達され、攪拌翼15が正転方向または逆転方向に回転駆動するようになっている。
【0080】
さらに、CPU40Bは、処理槽12内部に対して吸排気が行なわれるように吸排気用蓋122およびファン126に制御信号を出力する。図示しないアクチュエータは、CPU40Bから出力される制御信号に従って吸排気用蓋122を開放させる。また図示しないファンモータは、CPU40Bから出力される制御信号に従ってファン126を作動する。
【0081】
すなわち、本実施の形態においては、攪拌翼15と回転軸14が「攪拌手段」を構成し、攪拌モータ32およびモータ駆動回路34が、「攪拌手段」を駆動するための攪拌駆動部30を構成し、吸排気口124、吸排気用蓋122およびファン126が「吸排気手段」を構成する。そして、CPU40Bが「攪拌手段」を制御するための「攪拌制御手段」、および「吸排気手段」を制御するための「吸排気制御手段」を実現する。
【0082】
図13は、処理槽12内部における攪拌処理と、処理槽12内部に対して吸排気する処理(以下、「吸排気処理」)とを行なうための機能構成の具体例を示すブロック図である。図13に示される機能は、CPU40Bが図示しないメモリに記憶されている所定のプログラムを実行することで、CPU40Bおよび攪拌駆動部30により実行される機能である。
【0083】
図13を参照して、攪拌処理および吸排気処理を行なうための機能は、酸素濃度検知部44と、CPU40Bにより実現される攪拌制御部401Bおよび吸排気制御部402と、攪拌駆動部30と、吸排気用蓋122と、ファン126とを含む。
【0084】
酸素濃度検知部44は、非充填部分の酸素濃度を検出してその検出結果を攪拌制御部401Bおよび吸排気制御部402へ出力する。
【0085】
攪拌制御部401Bは、酸素濃度検知部44から非充填部分の酸素濃度の検出値を受ける。そして、攪拌制御部401Bは、その酸素濃度の検出値に応じて攪拌手段を駆動させるための制御信号を生成し、その生成した制御信号を攪拌駆動部30のモータ駆動回路34(図12)へ出力する。
【0086】
具体的には、攪拌制御部401Bは、非充填部分の酸素濃度と予め設定されている所定の閾値とを比較する。そして、該酸素濃度が所定の閾値以下となった場合には、攪拌制御部401Bは、攪拌手段を駆動させるように攪拌駆動部30を制御する。
【0087】
攪拌駆動部30では、モータ駆動回路34が攪拌制御部401Bからの制御信号の入力を受けると、攪拌モータ32を予め設定された所定の運転条件に従って駆動させる。所定の運転条件には、攪拌モータ32の回転速度および運転時間などが含まれており、予め実験を行なうことにより、微生物による生ごみ分解活動を活性化させるのに好適な条件に設定されている。
【0088】
吸排気制御部402は、酸素濃度検知部44からの非充填部分の酸素濃度の検出値に応じて吸排気用蓋122およびファン126を駆動させるための制御信号を生成し、その生成した制御信号を吸排気用蓋122およびファン126へそれぞれ出力する。
【0089】
具体的には、吸排気制御部402は、非充填部分の酸素濃度と予め設定されている所定の閾値とを比較する。そして、該酸素濃度が所定の閾値以下となった場合には、吸排気制御部402は、吸排気用蓋122を開放し、かつファン126を作動するように吸排気用蓋122およびファン126を制御する。なお、ファン126では、ファンモータが吸排気制御部402からの制御信号の入力を受けると、予め設定された運転条件に従ってファン126を回転させる。この運転条件には、ファン126の風量および運転時間などが含まれており、予め実験を行なうことによって基材50の水分量が微生物による生ごみ分解活動を活性化させるのに好適な水分量となる条件に設定されている。
【0090】
このように本実施の形態による生ごみ処理装置100Bでは、基材の非充填部分の酸素濃度が所定の閾値以下となった場合には、混合物中の溶存酸素濃度も所定の閾値以下であると推定されて攪拌手段による攪拌動作が実行されるとともに、吸排気手段によって処理槽12内部に対して吸排気が行なわれる。これにより、微生物の分解活動が活発に行なわれているタイミングに、基材中の微生物と酸素とを効率良く接触させることができるため、微生物の分解活動をより一層活性化することができる。
【0091】
その一方で、非充填部分の酸素濃度が所定の閾値を上回っている場合には、混合物中の溶存酸素濃度も所定の閾値を上回っていると推定されて攪拌手段による攪拌動作が停止されるとともに、吸排気手段による処理槽12内部に対する吸排気が停止される。これにより、微生物の分解活動が活発でない場合には、無駄に攪拌駆動部30の負荷が増大するのが抑制されるため、生ごみ処理装置100Bの省電力化を図ることができる。
【0092】
さらに、本実施の形態によれば、攪拌動作時以外は処理槽12を密閉状態に保つことにより、臭気の排出量を低減して臭気レベルを低減することが可能となる。
【0093】
詳細には、処理槽12内部では微生物の分解活動に伴なって多くのガスが発生する。特に、好気性分解では一般にアルカリ性領域で行なわれるため、たんぱく質の分解によって多量のアンモニアが放出されることがあり、悪臭が発生し易いという問題があった。
【0094】
これに対して、本実施の形態では、処理槽12で発生したアンモニアガスを含む空気を処理槽12内部に溜めておくことによって、アンモニアを処理槽12内で生成された有機酸と接触させて効率高く反応させることができるとともに基材50に吸着させることができる。その結果、アンモニアが臭気として排出される量を低減して悪臭の発生を抑制することが可能となる。
【0095】
図14は、本実施の形態3に従う攪拌処理を説明するためのフローチャートである。
図14を参照して、処理が開始されると、まず、CPU40Bにより実現される攪拌制御部401Bおよび吸排気制御部402は、酸素濃度検知部44(図12)から基材の非充填部分の酸素濃度の検出結果を取得する(ステップS011)。そして、攪拌制御部401Bおよび吸排気制御部402は、取得した非充填部分の酸素濃度が所定の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS02)。
【0096】
非充填部分の酸素濃度が所定の閾値以下であると判断したときには(ステップS02でYES)、攪拌制御部401Bは、攪拌手段を駆動させるための制御信号を生成して攪拌駆動部30へ出力する。攪拌駆動部30では、該制御信号の入力を受けたモータ駆動回路34が攪拌モータ32を予め設定された所定の運転条件に従って駆動させる(ステップS03)。これにより、攪拌モータ32の回転力が回転軸14に伝達され、処理槽12内部の攪拌翼15が回転駆動する。
【0097】
吸排気制御部402では、吸排気用蓋122(図12)を開放させるための制御信号およびファン126を回転させるための制御信号が生成される。吸排気用蓋122のアクチュエータは制御信号を受けると、吸排気用蓋122を開放する(ステップS031)。また、ファンモータは制御信号を受けると、ファン126を作動する(ステップS032)。これにより、吸排気口124を通して処理槽12内部に対して吸排気が行なわれる。
【0098】
このとき攪拌制御部401Bは、内部のタイマを用いて攪拌時間を計時しており、その計時時間が所定の運転条件として予め設定された所定時間を経過したか否かを判断する(ステップS04)。そして、攪拌時間が所定時間を経過したときには(ステップS04でYES)、攪拌制御部401Bは、攪拌手段を運転停止させるための制御信号を生成して攪拌駆動部30へ出力する。攪拌駆動部30のモータ駆動回路34は、該制御信号の入力に応答して攪拌モータ32の運転を停止させる(ステップS05)。
【0099】
さらに、吸排気制御部402は、攪拌手段が運転停止したことに応じて、吸排気用蓋122を閉塞するとともにファン126を停止する(ステップS051)。
【0100】
一方、計時時間が所定時間を経過していないときには(ステップS04でNO)、攪拌制御部401Bは、ステップS03に戻り、攪拌手段による攪拌動作を継続させるように攪拌駆動部30を制御する。また、吸排気制御部402は、処理槽12内部に対する吸排気を継続させるように吸排気用蓋122およびファン126を制御する。
【0101】
なお、再びステップS02に戻って、基材の非充填部分の酸素濃度が所定の閾値を上回ると判断したときには(ステップS02でNO)、攪拌制御部401Bは攪拌手段の運転を停止する(ステップS05)。吸排気制御部402は吸排気手段を停止させることにより、処理槽12内部を密閉状態に保つ(ステップS051)。
【0102】
以上に述べたように、この発明の実施の形態3によれば、基材の非充填部分の酸素濃度が所定の閾値以下である場合には、微生物の分解活動が活発であると判断して攪拌動作と処理槽内部に対する吸排気とを行なうことにより、該分解活動を維持させることができる。その一方で、該酸素濃度が所定の閾値を上回る場合には、微生物の分解活動が低下していると判断して攪拌動作を停止させるとともに処理槽内部を密閉状態とすることにより、攪拌駆動部の負荷が増大するのを抑制することができるとともに、臭気レベルを低減することができる。その結果、生ごみ処理装置の省電力化を図りつつ微生物の分解処理能力を安定して確保することができるとともに、悪臭の発生を抑制することができる。
【0103】
[実施の形態4]
図15は、この発明の実施の形態4に従う生ごみ処理装置の構成を示すブロック図である。図15の生ごみ処理装置100Cは、図12の生ごみ処理装置100Bに対して、基材50の水分量を検出するための水分量検知部48を付加したものである。よって、重複する部分についての詳細な説明は繰返さない。
【0104】
図15を参照して、水分量検知部48は、処理槽12内に充填された基材50中に浸漬される。水分量検知部48は、混合物の水分量を検出し、その検出結果をCPU40Cへ出力する。
【0105】
CPU40Cは、酸素濃度検知部44から基材の非充填部分の酸素濃度の検出値を受け、水分量検知部48から混合物の水分量の検出値を受ける。そして、CPU40Cは、これらの入力に基づいて図示しないメモリに記憶されている所定のプログラムを実行し、モータ駆動回路34に制御信号を出力する。モータ駆動回路34は、CPU40Cから出力される制御信号に従って攪拌モータ32を駆動させる。攪拌モータ32を駆動させることにより、その回転力がプーリ18,24およびベルト20を介して回転軸14に伝達され、攪拌翼15が正転方向または逆転方向に回転駆動するようになっている。
【0106】
CPU40Cは、さらに、処理槽12内部に対して吸排気が行なわれるように吸排気用蓋122およびファン126に制御信号を出力する。図示しないアクチュエータは、CPU40Cから出力される制御信号に従って吸排気用蓋122を開放させる。また図示しないファンモータは、CPU40Cから出力される制御信号に従ってファン126を作動する。
【0107】
図16は、処理槽12内部における攪拌処理と吸排気処理とを行なうための機能構成の具体例を示すブロック図である。図16に示される機能は、CPU40Cが図示しないメモリに記憶されている所定のプログラムを実行することで、CPU40C、攪拌駆動部30、吸排気用蓋122およびファン126により実行される機能である。
【0108】
図16を参照して、攪拌処理および吸排気処理を行なうための機能は、酸素濃度検知部44と、水分量検知部48と、CPU40Cにより実現される攪拌制御部401Cおよび吸排気制御部402Cと、攪拌駆動部30と、吸排気用蓋122と、ファン126とを含む。
【0109】
酸素濃度検知部44は、基材の非充填部分の酸素濃度を検出してその検出結果を攪拌制御部401Bおよび吸排気制御部402へ出力する。水分量検知部48は、混合物の水分量を検出してその検出結果を攪拌制御部401Cおよび吸排気制御部402Cへ出力する。
【0110】
攪拌制御部401Cは、非充填部分の酸素濃度および混合物の水分量の検出値に応じて攪拌手段を駆動させるための制御信号を生成し、その生成した制御信号を攪拌駆動部30のモータ駆動回路34(図12)へ出力する。
【0111】
具体的には、攪拌制御部401Cは、非充填部分の酸素濃度と予め設定されている所定の閾値とを比較する。そして、該酸素濃度が所定の閾値以下となった場合には、攪拌制御部401Bは、攪拌手段を駆動させるように攪拌駆動部30を制御する。
【0112】
このとき、攪拌制御部401Cは、混合物の水分量に基づいて攪拌手段による攪拌動作を制御する。詳細には、攪拌制御部401Cは、混合物の水分量が予め設定されている所定の範囲内にあるか否かを判断する。この所定の範囲は、予め実験を行なうことによって、混合物の水分量が微生物による生ごみ分解活動を活性化させるのに最適な水分量の範囲に設定されている。
【0113】
そして、混合物の水分量が所定の範囲内にある場合には、攪拌制御部401Cは、攪拌モータ32を予め設定された所定の通常回転速度で駆動させる。これに対して、混合物の水分量が所定の範囲を上回る場合には、攪拌制御部401Cは、攪拌モータ32を該通常回転速度よりも速い回転速度で駆動させる。その一方で、混合物の水分量が所定の範囲を下回る場合には、攪拌モータ32を該通常回転速度よりも遅い回転速度で駆動させる。
【0114】
吸排気制御部402Cは、非充填部分の酸素濃度および混合物の水分量の検出値に応じて吸排気用蓋122およびファン126を駆動させるための制御信号を生成し、その生成した制御信号を吸排気用蓋122およびファン126へそれぞれ出力する。
【0115】
具体的には、吸排気制御部402Cは、非充填部分の酸素濃度と予め設定されている所定の閾値とを比較する。そして、該酸素濃度が所定の閾値以下となった場合には、吸排気制御部402Cは、吸排気用蓋122を開放し、かつファン126を作動するように吸排気用蓋122およびファン126を制御する。
【0116】
このとき、吸排気制御部402Cは、混合物の水分量に基づいてファン126の風量を制御する。詳細には、吸排気制御部402Cは、混合物の水分量が上述した所定の範囲内にあるか否かを判断する。そして、混合物の水分量が所定の範囲内にある場合には、吸排気制御部402Cは、ファン126を所定の通常回転速度で駆動させる。これに対して、混合物の水分量が所定の範囲を上回る場合には、吸排気制御部402Cは、ファン126を通常回転速度よりも速い回転速度で駆動させる。その一方で、混合物の水分量が所定の範囲を下回る場合には、ファン126を停止させる。あるいは、ファン126を通常回転速度よりも遅い回転速度で駆動させる。
【0117】
このように本実施の形態による生ごみ処理装置100Cでは、基材の非充填部分の酸素濃度が所定の閾値以下となった場合に、攪拌手段による攪拌動作が実行されるとともに、吸排気手段によって処理槽12内部に対して吸排気が行なわれる。そして、このときの攪拌動作および吸排気は、混合物の水分量に応じて微生物の分解活動を活性化させるのに最適な水分量となるように制御される。
【0118】
すなわち、混合物の水分量が過剰となる場合には、混合物中の水分の蒸発を促すように攪拌動作および吸排気が行なわれる一方で、混合物の水分量が過小となる場合には、混合物が乾燥するのを抑えるように攪拌動作および吸排気が行なわれる。これにより、微生物の分解活動が活発に行なわれているタイミングに、基材中の微生物と酸素とを効率良く接触させることができるとともに、混合物を微生物の分解活動に最適な水分量に保つことができるため、微生物の分解活動をより一層活性化することができる。
【0119】
なお、本実施の形態では、攪拌モータ32およびファン126の回転速度を混合物の水分量に応じて可変とする構成としたが、攪拌時間およびファン126の作動時間を可変とする構成としてもよい。
【0120】
図17は、本実施の形態4に従う攪拌処理を説明するためのフローチャートである。
図17を参照して、処理が開始されると、まず、CPU40Cにより実現される攪拌制御部401Cおよび吸排気制御部402Cは、酸素濃度検知部44(図15)から基材の非充填部分の酸素濃度の検出結果を取得する(ステップS011)。また、攪拌制御部401Cおよび吸排気制御部402Cは、水分量検知部48(図15)から混合物の水分量の検出結果を取得する(ステップS10)。
【0121】
そして、攪拌制御部401Cおよび吸排気制御部402Cは、取得した非充填部分の酸素濃度が所定の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS11)。
【0122】
非充填部分の酸素濃度が所定の閾値以下であるときには(ステップS11でYES)、攪拌制御部401Cは、続けて、混合物の水分量が予め設定された所定範囲の上限値を超えるか否かを判断する(ステップS12)。混合物の水分量が該上限値を超える場合には(ステップS12でYES)、攪拌制御部401Cは、攪拌モータ32を通常回転速度よりも速い回転速度で駆動させるための制御信号を生成して攪拌駆動部30へ出力する。これにより、攪拌モータ32の回転力が回転軸14に伝達され、処理槽12内部の攪拌翼15が高回転速度で回転駆動する(ステップS13)。
【0123】
さらに、吸排気制御部402Cでは、吸排気用蓋122(図15)を開放させるための制御信号およびファン126を通常回転速度よりも速い回転速度で回転させるための制御信号が生成される。吸排気用蓋122のアクチュエータは制御信号を受けると、吸排気用蓋122を開放する(ステップS14)。また、ファンモータは制御信号を受けると、ファン126を高回転速度で作動する(ステップS15)。これにより、吸排気口124を通して処理槽12内部に対して吸排気が行なわれる。
【0124】
再びステップS12に戻って、混合物の水分量が該上限値以下となる場合には(ステップS12でNO)、攪拌制御部401Cは、さらに、混合物の水分量が所定範囲の下限値以上であるか否かを判断する(ステップS16)。混合物の水分量が該下限値以上である場合には(ステップS16でYES)、攪拌制御部401Cは、混合物が微生物の分解活動に最適な水分量であると判断し、攪拌モータ32を通常回転速度で駆動させるための制御信号を生成して攪拌駆動部30へ出力する(ステップS17)。
【0125】
また、吸排気制御部402Cは、吸排気用蓋122を開放させるための制御信号およびファン126を通常回転速度で回転させるための制御信号を生成する。吸排気用蓋122のアクチュエータは制御信号を受けると、吸排気用蓋122を開放する(ステップS18)。また、ファンモータは制御信号を受けると、ファン126を通常転速度で作動する(ステップS19)。
【0126】
一方、ステップS16において、混合物の水分量が該下限値を下回る場合には(ステップS16でNO)、攪拌制御部401Cは、攪拌モータ32を通常回転速度よりも遅い回転速度で駆動させるための制御信号を生成して攪拌駆動部30へ出力する。これにより、攪拌モータ32の回転力が回転軸14に伝達され、処理槽12内部の攪拌翼15が低回転速度で回転駆動する(ステップS20)。
【0127】
さらに、吸排気制御部402Cでは、吸排気用蓋122を開放させるための制御信号およびファン126を停止させるための制御信号が生成される。吸排気用蓋122のアクチュエータは制御信号を受けると、吸排気用蓋122を開放する(ステップS21)。また、ファンモータは制御信号を受けると、ファン126を停止する(ステップS22)。
【0128】
このような攪拌動作および吸排気に並行して、攪拌制御部401Cは、内部のタイマを用いて攪拌時間を計時しており、その計時時間が所定の運転条件として予め設定された所定時間を経過したか否かを判断する(ステップS04)。そして、攪拌時間が所定時間を経過したときには(ステップS04でYES)、攪拌制御部401Cは、攪拌手段を運転停止させるための制御信号を生成して攪拌駆動部30へ出力する。攪拌駆動部30のモータ駆動回路34は、該制御信号の入力に応答して攪拌モータ32の運転を停止させる(ステップS05)。
【0129】
さらに、吸排気制御部402Cは、攪拌手段が運転停止したことに応じて、吸排気用蓋122を閉塞するとともにファン126を停止する(ステップS051)。
【0130】
一方、計時時間が所定時間を経過していないときには(ステップS04でNO)、攪拌制御部401Cは、ステップS12に戻り、攪拌手段による攪拌動作を継続させるように攪拌駆動部30を制御する。また、吸排気制御部402は、処理槽12内部に対する吸排気を継続させるように吸排気用蓋122およびファン126を制御する。
【0131】
なお、再びステップS11に戻って、非充填部分の酸素濃度が所定の閾値を上回ると判断したときには(ステップS11でNO)、攪拌制御部401Cは攪拌手段の運転を停止する(ステップS05)。吸排気制御部402Cは吸排気手段を停止させることにより、処理槽12内部を密閉状態に保つ(ステップS051)。
【0132】
以上に述べたように、この発明の実施の形態4によれば、基材の非充填部分の酸素濃度および混合物の水分量に基づいて攪拌手段による攪拌動作および処理槽内部に対する吸排気を制御することから、微生物の分解活動が活発に行なわれているタイミングに、基材中の微生物と酸素とを効率良く接触させることができるとともに、混合物を微生物の分解活動に最適な水分量に保つことができるため、微生物の分解活動をより一層活性化することができる。
【0133】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】この発明の実施の形態1に従う生ごみ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】処理槽内部における攪拌処理を行なうための機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図3】基材中の溶存酸素濃度と微生物の生ごみ分解活動との相関を調べるための実験を説明するための図である。
【図4】測定時間の経過に対する基材中の溶存酸素濃度の測定結果を示す図である。
【図5】測定時間の経過に対する基材の温度の測定結果を示す図である。
【図6】測定時間の経過に対する総菌数の測定結果を示す図である。
【図7】測定時間の経過に対するグルコースの減少量を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態1に従う攪拌処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】測定時間の経過に対して基材中の溶存酸素濃度および基材の非充填部分の酸素濃度を測定した結果を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態2に従う生ごみ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態2に従う攪拌処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態3に従う生ごみ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図13】処理槽内部における攪拌処理と吸排気処理とを行なうための機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図14】この発明の実施の形態3に従う攪拌処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】この発明の実施の形態4に従う生ごみ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図16】処理槽内部における攪拌処理と吸排気処理とを行なうための機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図17】この発明の実施の形態4に従う攪拌処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0135】
10 ケーシング、12 処理槽、14 回転軸、15 攪拌翼、18,24 プーリ、20 ベルト、22 出力軸、30 攪拌駆動部、32 攪拌モータ、34 モータ駆動回路、42,44 酸素濃度検知部、46 温度検知部、48 水分量検知部、50 基材、52 微生物、100,100A〜100C 生ごみ処理装置、120 蓋、122 吸排気用蓋、124 吸排気口、126 ファン、401,401B,401C 攪拌制御部、402,402C 吸排気制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ごみを微生物により分解させる生ごみ処理装置であって、
微生物を担持させた基材と生ごみとを収容する処理槽と、
前記基材と生ごみとを混合するための攪拌手段と、
前記基材と生ごみとの混合物中の溶存酸素濃度を検知する酸素濃度検知手段と、
検知された該混合物中の溶存酸素濃度に基づいて前記攪拌手段による攪拌頻度を制御する攪拌制御手段とを備える、生ごみ処理装置。
【請求項2】
前記攪拌制御手段は、検知された該混合物中の溶存酸素濃度が所定の閾値以下となったときに、前記攪拌手段による攪拌動作を実行させる、請求項1に記載の生ごみ処理装置。
【請求項3】
前記処理槽内部に対して吸排気を行なうための吸排気手段と、
前記攪拌手段による攪拌動作の実行中に吸排気が行なわれるように前記吸排気手段を制御する吸排気制御手段とをさらに備える、請求項2に記載の生ごみ処理装置。
【請求項4】
前記吸排気制御手段は、前記攪拌手段による攪拌動作の停止中に吸排気が行なわれないように前記吸排気手段を制御する、請求項3に記載の生ごみ処理装置。
【請求項5】
前記基材と生ごみとの混合物の水分量を検知する水分量検知手段をさらに備え、
前記吸排気制御手段は、検知された該混合物の水分量に基づいて前記吸排気手段による吸排気量を制御する、請求項3に記載の生ごみ処理装置。
【請求項6】
前記吸排気制御手段は、検知された該混合物の水分量が所定の基準範囲を下回る場合には、前記吸排気手段による吸排気量を減少させる、請求項5に記載の生ごみ処理装置。
【請求項7】
前記吸排気制御手段は、検知された該混合物の水分量が前記所定の基準範囲を上回る場合には、前記吸排気手段による吸排気量を増加させる、請求項5に記載の生ごみ処理装置。
【請求項8】
前記基材と生ごみとの混合物の水分量を検知する水分量検知手段をさらに備え、
前記攪拌制御手段は、検知された該混合物の水分量に基づいて前記攪拌手段による攪拌速度を制御する、請求項2に記載の生ごみ処理装置。
【請求項9】
前記攪拌制御手段は、検知された該混合物の水分量が所定の基準範囲を下回る場合には、前記攪拌手段による攪拌速度を低下させる、請求項8に記載の生ごみ処理装置。
【請求項10】
前記攪拌制御手段は、検知された該混合物の水分量が前記所定の基準範囲を上回る場合には、前記攪拌手段による攪拌速度を増加させる、請求項8に記載の生ごみ処理装置。
【請求項11】
前記酸素濃度検知手段は、前記処理槽内部のうちの前記基材と生ごみとの混合物が収容されていない部分の酸素濃度を、該混合物中の溶存酸素濃度として検知する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の生ごみ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−18259(P2009−18259A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183169(P2007−183169)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】