説明

生コンの搬入現場における品質管理システムおよび生コン情報タグの書込み・読取り装置

【課題】生コンの搬入場所で搬送車から排出される生コンの送出部(シュートまたはホース等)通過部位で自動的に必要な情報を生コン内のICタグに入力し、管理の信頼性、容易性および管理コストの低減化を図った生コンの搬入現場における品質管理システムおよびICタグの書込み・読取り装置を提供する。
【解決手段】生コンの搬入現場における品質管理システムは、生コン製造段階で生コン製造関連情報を入力したICタグを生コンに混練し、このICタグを混練した生コンを搬入現場へ搬入し、搬入関連情報をICタグに入力する生コンの搬入現場における品質管理システムにおいて、ICタグ1に生コン出荷時の情報を入力するとともに、荷卸し現場で生コン搬送車につながる生コン送出部に書込み・読取り装置15を設置し、該書込み・読取り装置15によって生コン送出部を通る生コン内部のICタグ1に搬入関連情報の書き込みを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の信頼性を高めるためのコンクリート品質管理システム、より具体的には、製造工場から出荷された生コンクリート(以下、生コンと称する)の客先搬入現場における品質管理システムおよびこの品質管理システムで用いられる生コン情報タグ(ICタグ)の書込み・読取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土木関連のコンクリート構造物やビル等の建築物にあっては、補修時や地震等の災害時にコンクリートの強度や工事の履歴等の情報を検証する必要がある。このような情報は、これまで紙シート等の書面に記載して管理されていた。また近年は、これらの情報をコンピュータのデータベースに記録することも行われている。これらはいずれも手数のかかる煩雑な作業であり、記録書類の紛失、記録もれ、あるいは改ざんのおそれがあった。
【0003】
この種の情報をできるだけ正確に記録し、かつ長く保存できるようにするため、建物の建材や壁面等に建材等の流通管理の情報を記録したICタグを貼付する方法(例えば特許文献1)や、硬化前の生コン内に無線ICタグを混練し、外部から無線交信で読み取ることができるようにしたもの(特許文献2および3)も出現している。
【0004】
そのほか、施工場所での打設時におけるコンクリートの性状に関するデータを計測してICタグや電磁気的手段による記録媒体に記録し、これを打設時のコンクリートに埋め込んでおく方法(特許文献4)、あるいはセメント製品の製造特性値の自動測定装置とICタグ書込み装置を連結してセメント製品の製造時情報、製品特性値情報を自動的にICタグに書き込み、これをセメント製品の混練時に骨材等一緒に混入し、打設してコンクリート構造物となった後、ICタグの記録データを無線交信で読み出し得るようにした品質管理システム(特許文献5)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−141483号公報
【特許文献2】特開2005−330729号公報
【特許文献3】特開2006−183257号公報
【特許文献4】特開2006−145385号公報
【特許文献5】特許第4232117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した建材等の管理情報を記録したICタグを建物の壁面等に貼付する方法では、ICタグが経年により破損したり、脱落して紛失するおそれがある。この点、特許文献2〜5のようにICタグをコンクリート構造物の内部に埋め込むことにより、脱落や紛失は防げるものの、これらの方法はいずれも作業員が所定の書込み・読取り装置を用いて直接データをICタグに入力するため、入力する項目の見落としや、データの改ざんのおそれがある。その作業も煩雑であり、ときには入力作業を忘れることもあり、さらに人的なコストが大きいという問題があった。
【0007】
一般に、この種のコンクリート施工においては、生コンの製造後、出荷から施工現場への荷卸しまでの搬入時間には、許容時間が定められてり、この時間内に搬入を終えたかどうかはコンクリートミキサー車の運転者等による自己申告や検収者側の時刻記入、サイン等により管理されていた。このように生コンの搬入時間に関しては作業者や検収者の人的管理に委ねられており、管理の信頼性、管理作業の迅速性等の点で多くの問題を有していた。また、生コンの荷卸しから打設までの時間もできるだけ短時間であることがのぞましい。
【0008】
本発明は、生コンを搬入現場へ出荷するコンクリートミキサー車や生コンを打設場所に排出するコンクリートポンプ車といった生コン搬送車において、生コンの搬入現場で搬送車から排出される生コンが送出部(排出シュートまたはホース等)を通過する時に自動的に必要な情報が生コン内部のICタグに書き込まれるようにし、あるいは記録されている情報を読み出し得るようにし、これによって管理の信頼性、容易性および管理コストの低減化を図った生コンの搬入現場における品質管理システムを提供するものである。
【0009】
本発明はまた、コンクリートミキサー車による生コンの出荷から搬入現場への搬入までの経過時間情報を、必要な各種の情報とともに、自動的に、かつ正確に生コン内部のICタグに入力でき、生コンの打設後あるいは構造物の完成後いつでもコンクリートの品質や施工の履歴を確認できるようにした生コンの搬入現場における品質管理システムを提供することにある。
【0010】
本発明はまた、コンクリートポンプ車による生コンの荷卸しから施工場所への排出までの経過時間情報を、必要な各種の情報とともに、自動的に、かつ正確に生コン内部のICタグに入力でき、生コンの打設後あるいは構造物の完成後いつでもコンクリートの品質や施工の履歴を確認できるようにした生コンの搬入現場における品質管理システムを提供することにある。
【0011】
本発明はさらに、上記品質管理システムに用いられる生コン情報タグの書込み・読取り装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、生コン製造段階で生コン製造関連情報を入力したICタグを生コンに混練し、前記ICタグを混練した生コンを搬入現場へ搬入する際に生コン関連情報を前記ICタグに入力する生コン情報タグによる搬入現場における品質管理システムであって、前記生コン出荷時に出荷関連情報を入力すると共に、生コン搬送車の生コン送出部に生コン関連情報を書き込む生コン情報タグの書込み・読取り装置を設置し、該書込み・読取り装置によって前記生コン送出部を通る生コン内部のICタグに搬入関連情報の書き込みを行うことを特徴とする生コンの搬入現場における品質管理システムが提供される。
【0013】
本発明の他の実施の形態によれば、搬入関連情報は荷卸し関連情報とし、前記荷卸し関連情報は生コン製造後の出荷関連情報入力時から前記搬入現場への生コン荷卸し時までの経過時間情報または荷卸日時情報のいずれかを含む。これにより、出荷から搬入に至るまでの時間が規格に定める許容時間に入っているかどうかの確認が容易になし得る。
【0014】
搬入関連情報は打設関連情報とし、前記打設関連情報は生コン製造後の出荷関連情報入力時から施工場所への打設時までの経過時間情報、または荷卸し関連情報入力時から打設時までの経過時間情報、または打設日時情報のいずれかを含む。これにより、荷卸しから打設に至るまでの時間が規格に定める許容時間に入っているかどうかの確認が容易になし得る。
【0015】
本発明の他の実施の形態によれば、書込み・読取り装置に設けられたアンテナの無線交信により前記ICタグに対して情報の書き込み、読み取りを行う。したがって作業者が直接ICタグに対して情報の書き込み、読み出しを行うことなく、アンテナ間の無線交信で情報の授受を行うため、人的なミスのない情報の安全管理が可能となる。
【0016】
また本発明によれば、生コンの製造関連情報が記録されて該生コン内に混練されたICタグに生コン関連情報を記録する生コン情報タグの書込み・読取り装置であって、前記生コン情報タグに対して無線交信するアンテナ部と、前記アンテナ部と電気的に接続されてなる情報リード・ライト部を有し、前記書込・読取り装置の少なくとも前記アンテナ部が、前記生コン搬送車の生コン送出部に設けられ備えられていることを特徴とする生コン情報タグの書込み・読取り装置が提供される。
【0017】
また本発明の他の実施の形態によれば、生コン送出部はコンクリートミキサー車の生コン排出シュートであり、前記書込み・読取り装置の少なくとも前記アンテナ部は前記シュートの上面に張られた磁性シートと保護シートの間に設置されている生コン情報タグの書込み・読取り装置が提供される生コン情報タグの書込み・読取り装置が提供される。これにより、出荷から搬入までの時間が正確に計測できるとともに、前記アンテナ部が磁性シート上に配置されることから、鉄製あるいは鋼製のシュートであっても、アンテナ部に磁気的な影響を与えることはない。また、書込み・読取り装置の上面が保護シートで被われることから、前記書込み・読取り装置の毀損が避けられる。
【0018】
また本発明の他の実施の形態によれば、生コン送出部はコンクリートミキサー車の硬質合成樹脂製の生コン排出シュートであり、前記書込み・読取り装置の少なくとも前記アンテナ部は前記硬質合成樹脂製の生コン排出シュートの内部に一体に組み込まれている生コン情報タグの書込み・読取り装置が提供される。前記アンテナ部が硬質合成樹脂製のシュート、例えば高強度プラスチック製のシュートの内部に一体に成形されて表面に露出しないので、前記シュートを流れる生コンによって毀損を受けるおそれはない。
【0019】
また本発明の他の実施の形態によれば、生コン送出部はコンクリートミキサー車のカバー付き生コン排出シュートであり、前記書込み・読取り装置の少なくとも前記アンテナ部は前記シュート上の生コンに対峙するように前記シュートのカバー裏面に取り付けられる生コン情報タグの書込み・読取り装置が提供される。 シュートカバーの裏面にアンテナ部を設けることで、生コンと直接接触することはなく、前記シュートを流れる生コンによって毀損を受けるおそれはない。
【0020】
また本発明の他の実施の形態によれば、前記カバー付き生コン排出シュートのカバーは該シュートの長手方向に傾動可能に該シュートに枢支され、前記カバーの傾動角度によって前記アンテナ部の指向性を調整可能とした生コン情報タグの書込み・読取り装置が提供される。シュートカバーの傾動操作により、シュート面に対するアンテナ部の角度を変えてシュートの傾斜状態に対応してアンテナ部の指向性を適切に調整できる。
【0021】
また本発明の他の実施の形態によれば、前記生コン送出部は生コンを施工場所に打設排出するコンクリートポンプ車の生コン排出ホースであり、前記書込み・読取り装置の少なくとも前記アンテナ部は前記ホースに取り付けられている生コン情報タグの書込み・読取り装置が提供される。これにより、出荷から搬入までの時間が正確に計測できる。
【0022】
また本発明の他の実施の形態によれば、前記生コン送出部は生コンを施工場所に打設排出するコンクリートポンプ車の生コン排出ホースであり、前記書込み・読取り装置の少なくとも前記アンテナ部は前記ホースに巻回自在の基材に取り付けられている生コン情報タグの書込み・読取り装置が提供される。これにより、出荷から搬入までの時間が正確に計測できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、生コンの搬入現場で生コン搬送車から送出される生コンの送出部に搬入情報の書込み・読取り装置を設けることで、荷卸し時または打設時に前記送出部を通る生コンに対して、その生コン内部のICタグに自動的に必要な生コン関連情報を書き込むことができ、従来のように作業者が手動で情報の記録作業をすることなく、生コンの出荷から搬入さらには打設までの経過時間をはじめとする必要な情報が自動的に、かつ正確にICタグに書き込まれる。したがって、コンクリートの品質保証が容易に確認でき、構造物のコンクリートの履歴も簡単に知ることが可能となる。また、データの記録漏れや改ざんのおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ICタグを内蔵したコンクリートの製造から搬入、施工〜補修工事に至るまでの工程を例示した図である。
【図2】本発明に適用されるICタグの一例を示した拡大断面図である。
【図3】本発明に係る生コン情報の書込み・読取り装置を取り付けたコンクリートミキサー車の部分的な斜視図である。
【図4】本発明の実施例1による生コン情報の書込み・読取り装置を有するコンクリートミキサー車の生コン排出シュートの縦断面図である。
【図5】本発明の実施例2による生コン情報の書込み・読取り装置を有するコンクリートミキサー車の生コン排出シュートの縦断面図である。
【図6】本発明の実施例3による生コン情報の書込み・読取り装置を有するコンクリートミキサー車のカバー付き生コン排出シュートの縦断面図である。
【図7】本発明の実施例4による生コン情報の書込み・読取り装置を有するコンクリートミキサー車のカバー傾動式生コン排出シュートの部分的な斜視図である。
【図8】本発明に係る生コン情報の書込み・読取り装置を取り付けたコンクリートポンプ車の打設作業を示す模式図である。
【図9】本発明の実施例5によるコンクリートポンプ車の生コン排出ホースの斜視図である。
【図10】本発明の実施例6によるコンクリートポンプ車の生コン排出ホースの斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の各種の実施例について図面を参照しつつ説明する。図1に示すようにコンクリート構造物の構築に際しては、セメント工場におけるコンクリート製造8、セメント工場からの出荷8、現場への搬入10、施工場所への打設11が行われてコンクリート構造物を構築し、生コンの硬化前また硬化後の所望の段階でコンクリート構造物の安全性等の検査12が行われ、また必要に応じて補修工事13が行われる。
【0026】
本発明の生コン品質管理システムに適用されるICタグ1は、図2(A)に例示するように、後述する外部の情報書込み・読取り装置と無線交信可能なアンテナ部4と、半導体材料等から成る不揮発性メモリ部2と、アンテナ部4を介して受信した電波に共振して電源機能を発揮する電源部3と、これらを制御する制御部5と、外殻を成すガラス等の被覆体6とを有しており、これらのアンテナ部4、メモリ部2、電源部3、制御部5は基材30の表面に形成されている。その外形形状は、例えば球体、楕円体、多面体等の立体形状を成し、かつ生コンの混練時に偏在することなく分散混入するように生コン中の骨材と略同一の大きさ、比重を有している。
【0027】
また、図2(B)に示すようにICタグの他の実施例であるICタグ7は、基板上に不揮発性メモリ部と、アンテナ部を備え大容量のデータの読み書きが可能なRFIDタグチップ71を、抗アルカリ性樹脂材からなる被覆体72により覆ったICタグでありその外形形状は、周囲に生コンと親和性を高めるディンプル73が形成された楕円球体を成し、かつ生コンの混練時に偏在することなく分散混入するように生コン中の骨材と略同一の大きさ比重を有している。
【0028】
図2(C)に示すようにICタグの他の実施例であるICタグ8は、また、基板上に不揮発性メモリ部と、アンテナ部を備え大容量のデータの読み書きが可能なRFIDタグチップ81を、抗アルカリ性樹脂材からなる被覆体82により覆ったICタグでありその外形形状は、周囲に生コンと親和性を高める凸部83が形成された俵型を成し、かつ生コンの混練時に偏在することなく分散混入するように生コン中の骨材と略同一の大きさ比重を有している。このように、ICタグの形状や材質はいくつも例示される。
【0029】
図1を参照すれば、このようなICタグ1は生コンの製造段階8で生コン材料中に混入されて前記骨材や水と一緒に混練される。このICタグには図1に示す製造段階時、および出荷段階9、施工現場への搬入段階10、施工打設段階11あるいは施工後の検査段階12等において種々の情報が書き込まれ、あるいは書き込まれた情報の読み出しが行われる。
【0030】
まず、図1におけるコンクリート製造段階8の際には、例えば、製造工場名および製品番号、製造年月日や製造日時、セメントや骨材等の原料情報、コンクリートの配合計画、実際の材料計量値、製造責任者等の製造関連情報が書き込まれ生コンに投入されて混練される。また、製造が完了し、出荷の際には出荷関連情報、最も重要な情報としては出荷日時または出荷スタート情報、さらには出荷場所、出荷数量等、出荷に関連した情報が書き込まれる(出荷段階9)。
【0031】
次に、施工現場への搬入段階において、搬入関連情報として生コンの荷卸し時には種々の荷卸し関連情報の書き込み、読み取りが後述の書込み・読取り装置によって自動的になされる(現場搬入段階10)。この現場搬入段階10における荷卸し関連情報としては、例えば出荷時から荷卸し時までの経過時間または搬入日時が最も重要な情報である。経過時間を入力する場合は、出荷時から荷卸し時までの経過時間は書込み・読取り装置と連動するタイマー等の時間計測装置により出荷時の出荷情報入力時をスタートとして時間計測を開始し荷卸し時に経過時間を入力する。搬入日時を入力する場合は、書込み・読取り装置と連動する不図示の時計等の時間計測装置により搬入日時を計測し荷卸し時に搬入日時を入力する。また、その他、必要に応じて搬入場所、荷卸し・受入れ確認、品質管理試験(硬化前)、受入れ責任者名等の情報が含まれる。これによって出荷から搬入までの所要時間が判明する。このような荷卸し関連情報の読み取りにより、搬入受入れに際しての受入れミスが防止される。特に、出荷から搬入までの所要時間が規定時間、例えば90分以内と定められた規格に合致しているがどうかの確認がICタグの読み取りによって容易になる。また、出荷から搬入までの時間に応じて生コン受入れ後の施工開始時間もコンクリートの規格に合うように定めることが可能となる。
【0032】
また、施工段階11では、搬入関連情報として、打設関連情報の書き込み、読み取りが後述の書込み・読取り装置によって自動的になされる。この施工段階11における打設関連情報としては、例えば出荷時から打設時までの経過時間、荷卸し時から打設時までの経過時間または打設日時が最も重要な情報である。出荷時や荷卸し時から打設時までの経過時間は書込み・読取り装置と連動するタイマー等の時間計測装置により出荷時の出荷情報入力時をスタートとして時間計測を開始し打設時に経過時間を入力する。打設日時は書込み・読取り装置と連動する不図示の時計等の時間計測装置により計測した搬入日時を入力する。この施工段階10における他の打設関連情報としては、打込み箇所の確認、施工責任者名等の書き込み、読み出しが行われ、施工ミスの防止が図られる。後続の検査段階12では、品質管理試験(硬化後)の実施、検査箇所の書き込み、検査結果の読み出しがなされ、その結果、補修が必要となった時の補修段階13では不具合の原因究明、施工主あるいは購入者への保証責任対処、補修箇所、補修材料、補修方法の選定等の情報引出しがなされ、これによって責任の明確化とともに適切な補修が確保される。この補修工事および情報の読み出しは施工直後および施工後の長年月を経た時にもなされる。
【0033】
次に、本発明に係る生コン情報タグの書込み・読取り装置の各種実施例を図3〜図6を参照して説明する。図4〜図6に概略的に示すように、本発明のICタグの書込み・読取り装置15は、ICタグ側のアンテナ部4(図2)と所定の周波数で情報の無線交信を行うアンテナ部16と、電源を内蔵した情報リード・ライト部17とを有している。このアンテナ部16から出る電波は無線ICタグ1を駆動させるとともに情報リード・ライト部17からの情報を無線交信により無線ICタグ1に書き込むようになっている。尚、書込み・読取り装置15においてアンテナ部16とリード・ライト部17は電気的に接続されて一体に組み込まれている。図3に示す実施形態では、書込み・読取り装置15はコンクリートミキサー車14のミキサー本体部の後部に形成された生コン排出口18に近接して設けられた生コン排出シュート20に設けられ、このシュート20から送り出される混練済みの生コン21がシュート20上の書込み・読取り装置15の位置を通過する際に生コン内部のICタグに対して、前述した荷卸し関連情報の書き込みが自動的になされる。また、必要に応じて既に書き込まれている製造情報や出荷情報を読み取るようにしてもよい。
【0034】
情報リード・ライト部17は、不図示の時計やタイマー等の時間計測装置と情報伝達可能になっており、この時間計測装置同期させて搬入日時を書き込むようになっている。また、荷卸し情報として搬入場所を書き込む場合には、情報リード・ライト部17は、不図示のGPS装置と情報伝達可能し、このGPS装置と同期させて搬入場所を書き込むようになっている。
【実施例1】
【0035】
図4は図3に示したようなコンクリートミキサー車の生コン排出シュートに設けられた書込み・読取り装置の実施例1を示す断面図である。この実施例ではシュート22は鉄製の樋状わん曲板で形成され、この鉄製のシュート22上に直に設置するとアンテナ部16による無線交信に影響を与えるおそれがあり、従って鉄製のシュート面22aに磁性シート23が貼着され、この磁性シート23上に書込み・読取り装置15が設置され、さらにその上面が合成ゴムあるいは合成樹脂材等の保護板24で被われている。シュート22を生コンが通過するときにも書込み・読取り装置15は前記保護板24によって保護され、毀損のおそれは生じない。
【実施例2】
【0036】
図5は本発明の実施例2による書込み・読取り装置を有する生コン排出シュートの横断面図であり、この場合は生コン排出シュート25は比較的厚みのある高強度プラスチック材で全体が形成され、その内部に書込み・読取り装置15が組み込まれている。具体的には、プラスチック材製シュート25の成形加工時に書込み・読取り装置15が前記シュート25と一体成形される。この場合はアンテナ部16による無線交信に何ら影響を与えず、しかも通過する生コンによって書込み・読取り装置15が毀損されるおそれがない。
【実施例3】
【0037】
図6は本発明の実施例3による書込み・読取り装置を有するカバー付き生コン排出シュート26の横断面図であり、鉄製あるいはプラスチック材製のシュート26の上部がカバー27によって蓋閉され、書込み・読取り装置15はこのシュートカバー27の裏面27aに設けられている。送出される生コンはシュート上部のカバー27には接触しないため、同様に書込み・読取り装置15の毀損は生じない。カバー27は合成樹脂製で、かつシュート26に対して着脱可能にしてもよい。これによって予め書込み・読取り装置15を装着したカバー27を必要な時、即ち生コンの搬入時にシュート26に装着することができる。この実施例では書込み・読取り装置15を交換したり、取付位置を調整するのが容易となる利点がある。このようにカバーに書込み・読取り装置15を取り付けることにより、搬入現場に当該装置を一つ用意しておけば、複数のコンクリートミキサー車14の排出シュート26にその都度取り付けてデータの読み書きをすることができる。
【実施例4】
【0038】
図7は生コン排出シュート26に傾動可能なカバーを取り付けた例であり、この傾動式のカバー28に書込み・読取り装置15を取り付けてアンテナ部16の指向性を調整可能とした実施例である。この実施例5のシュートカバー28はその長手方向中途部でシュート26の長手方向に直交するシュート側部の横軸29に枢着され、これによってシュートカバー28はシュート26の長手方向上下に或る範囲で傾動できるようになっている。この傾動角度は外部からの指令信号によってシュートカバー28の傾動モータ(図示省略)を制御して角度調整できるようにしている。ミキサー車の生コン排出口に対するシュート26の傾斜状態、あるいはシュート26を通過する生コンの状態に応じてカバー28の角度調整を行い、書込み・読取り装置15のアンテナ部16の指向性を調整できる。
【0039】
上述の各実施例では、書込み・読取り装置は排出シュートに1個設けた例を示したが、本発明は複数個の書込み・読取り装置を排出シュートに設けてもよい。その配置位置も排出シュートの底面中央に限らず、シュートの側部やシュート長手方向に沿った複数箇所に設けてもよい。また、書込み・読取り装置15は一体に設けられているが、少なくともアンテナ部16をシュート26に取り付ければよく、アンテナ部16と情報リード・ライト部17とは有線または無線により電気的に繋がっていればよい。
【0040】
次に、本発明に係る生コン情報タグの書込み・読取り装置の別の種類の実施例を図8〜図10を参照して説明する。図8〜図10に概略的に示すように、生コン収容筐体に収容された生コン打設用のホースで打設場所に搬送する場合には、このホースに設けることも可能である。図8に示すのは、現場に荷卸しされた生コンを施工場所に打設・排出するコンクリートポンプ車30であり、このホース32を通じて施工場所40にICタグ1が混練された生コン21が排出される。図9に示す本発明のICタグの書込み・読取り装置50は、ICタグ側のアンテナ部4(図2)と所定の周波数で情報の無線交信を行うアンテナ部52と、電源を内蔵した情報リード・ライト部51とが電気的に接続されている。
【実施例5】
【0041】
図8に示す実施形態では、書込み・読取り装置50を構成するアンテナ部52はコンクリートポンプ車30に連接される生コン打設用のホース32に巻回可能な巻回シート53に取り付けられ、この基材53はホース32に巻回固定されている。このホース32から送り出される混練済みの生コン21がホース32内のアンテナ部52の位置を通過する際に生コン内部のICタグに対して、前述した打設関連情報の書き込みが自動的になされる。また、必要に応じて既に書き込まれている製造情報や出荷情報さらには荷卸し情報を読み取るようにしてもよい。このようにホースに巻回可能な巻回シート32にアンテナ部52を取り付けることにより、打設個所に当該装置を一つ用意しておけば、複数のコンクリートポンプ車30のホース32にその都度取り付けてデータの読み書きをすることができる。
【実施例6】
【0042】
図9に示す実施形態では、書込み・読取り装置60を構成するアンテナ部62はコンクリートポンプ車に連通される生コン打設用のホース32に取り付けられている。このホース32から送り出される混練済みの生コン21がホース32内のアンテナ部62の位置を通過する際に生コン内部のICタグに対して、前述した打設関連情報の書き込みが自動的になされる。また、必要に応じて既に書き込まれている製造情報や出荷情報さらには荷卸し情報を読み取るようにしてもよい。
【0043】
実施例5および6においては、情報リード・ライト部51,61は、不図示の時計やタイマー等の時間計測装置と情報伝達可能になっており、この時間計測装置同期させて搬入日時を書き込むようになっている。また、荷卸し情報として搬入場所を書き込む場合には、情報リード・ライト部51,61は、不図示のGPS装置と情報伝達可能し、このGPS装置と同期させて搬入場所を書き込むようになっている。またアンテナ部52、62をホース32に取り付ける例を示したがアンテナ部52、62とリード・ライト部51,61を一体に取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 ICタグ
2 メモリ部
3 電源部
4 ICタグ側アンテナ部
8 製造段階
9 出荷段階
10 搬入段階
11 施工打設段階
12 検査段階
13 補修段階
14 コンクリートミキサー車
15 書込み・読取り装置
16 アンテナ部
17 リード・ライト部
20,22、26 生コン排出シュート
21 生コン
23 磁性シート
24 保護板
25 プラスチック材製シュート
28 シュートカバー
29 横軸
30 コンクリートポンプ車
31 アーム
32 ホース
40 施工現場
50 書込み・読取り装置
51 リード・ライト部
52 アンテナ部
53 巻回シート
60 書込み・読取り装置
61 リード・ライト部
62 アンテナ部
7 ICタグ
71 RFIDタグチップ
72 被覆体
73 ディンプル
8 ICタグ
81 RFIDタグチップ
82 被覆体
83 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コン製造段階で生コン製造関連情報を入力したICタグを生コンに混練し、前記ICタグを混練した生コンを搬入現場へ搬入する際に生コン関連情報を前記ICタグに入力する生コン情報タグによる搬入現場における品質管理システムであって、
前記生コン出荷時に出荷関連情報を入力すると共に、生コン搬送車の生コン送出部に生コン関連情報を書き込む生コン情報タグの書込み・読取り装置を設置し、該書込み・読取り装置によって前記生コン送出部を通る生コン内部のICタグに搬入関連情報の書き込みを行うことを特徴とする生コンの搬入現場における品質管理システム。
【請求項2】
搬入関連情報は荷卸し関連情報とし、前記荷卸し関連情報は生コン製造後の出荷関連情報入力時から前記搬入現場への生コン荷卸し時までの経過時間情報または荷卸日時情報のいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の生コンの搬入現場における品質管理システム。
【請求項3】
搬入関連情報は打設関連情報とし、前記打設関連情報は生コン製造後の出荷関連情報入力時から施工場所への打設時までの経過時間情報、または荷卸し関連情報入力時から打設時までの経過時間情報、または打設日時情報のいずれかを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の生コンの搬入現場における品質管理システム。
【請求項4】
前記書込み・読取り装置に設けられたアンテナの無線交信により前記ICタグに対して情報の書き込み、読み取りを行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の生コンの搬入現場における品質管理システム。
【請求項5】
生コンの製造関連情報が記録されて該生コン内に混練されたICタグに生コン関連情報を記録する生コン情報タグの書込み・読取り装置であって、前記生コン情報タグに対して無線交信するアンテナ部と、前記アンテナ部と電気的に接続されてなる情報リード・ライト部を有し、前記書込み・読取り装置の少なくとも前記アンテナ部が、前記生コン搬送車の生コン送出部に備えられていることを特徴とする生コン情報タグの書込み・読取り装置。
【請求項6】
前記生コン送出部はコンクリートミキサー車の生コン排出シュートであり、前記書込み・読取り装置の少なくとも前記アンテナ部は前記シュートの上面に張られた磁性シートと保護シートの間に設置されていることを特徴とする請求項5に記載の生コン情報タグの書込み・読取り装置。
【請求項7】
前記生コン送出部はコンクリートミキサー車の硬質合成樹脂製の生コン排出シュートであり、前記書込み・読取り装置の少なくとも前記アンテナ部は前記硬質合成樹脂製の生コン排出シュートの内部に一体に組み込まれていることを特徴とする請求項5に記載の生コン情報タグの書込み・読取り装置。
【請求項8】
前記生コン送出部はコンクリートミキサー車のカバー付き生コン排出シュートであり、前記書込み・読取り装置の少なくとも前記アンテナ部は前記シュート上の生コンに対峙するように前記シュートのカバー裏面に取り付けられることを特徴とする請求項5に記載の生コン情報タグの書込み・読取り装置。
【請求項9】
前記カバー付き生コン排出シュートのカバーは該シュートの長手方向に傾動可能に該シュートに枢支され、前記カバーの傾動角度によって前記アンテナ部の指向性を調整可能としたことを特徴とする請求項8に記載の生コン情報タグの書込み・読取り装置。
【請求項10】
前記生コン送出部は生コンを施工場所に排出するコンクリートポンプ車の生コン排出ホースであり、前記書込み・読取り装置の少なくとも前記アンテナ部は前記ホースに取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の生コン情報タグの書込み・読取り装置。
【請求項11】
前記生コン送出部は生コンを施工場所に打設排出するコンクリートポンプ車の生コン排出ホースであり、前記書込み・読取り装置の少なくとも前記アンテナ部は前記ホースに巻回自在の基材に取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の生コン情報タグの書込み・読取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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