説明

生ゴミ処理機

【課題】使用上の利便性を向上できるとともに、水分の流出を確実に防止する。
【解決手段】生ゴミを収容する処理槽21を有する処理機本体10と、処理機本体10に開閉可能に配設し処理槽21への投入口16を閉塞する蓋体11と、処理槽21内の生ゴミを攪拌する攪拌部材35と、処理槽21内の生ゴミを加熱する加熱手段(加熱ヒータ30)とを備え、処理槽21における攪拌部材35の回転軌跡の外周部に位置するように排出口52を設け、攪拌部材35の回転により処理槽21内の処理済みのゴミを排出可能とした生ゴミ処理機において、排出口52を閉塞する第1閉塞蓋72と、第1閉塞蓋72で閉塞した排出口52を更に閉塞する第2閉塞蓋74とを設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所などで発生した生ゴミを処理して減量化する生ゴミ処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の生ゴミ処理機に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0003】
【特許文献1】特許第3298511号公報
【特許文献2】特開平10−99841号公報
【0004】
特許文献1には、生ゴミを収納した容器の上部に温風を供給し、収納容器内に設けた固定刃と回転刃により前記生ごみを粉砕しながら乾燥処理を実行する乾燥方式の生ゴミ処理機が記載されている。この生ゴミ処理機では、外装体に対して前記収納容器が回転刃と一緒に着脱可能に配設する構成とされ、乾燥処理後の生ゴミを取り出して廃棄可能に構成している。
【0005】
しかしながら、前記生ゴミ処理機では、生ゴミの処理を行うと、その都度、収納容器を取り出して処理後の乾燥ゴミを廃棄する必要があるため、使用上の利便性が悪いという問題がある。なお、収納容器内に前回処理した乾燥ゴミが残存していても、新たな生ゴミを収容させるスペースが存在する場合には、引き続いて処理を実行することは可能であるが、この場合には、処理に要する時間が長くなる。
【0006】
また、収納容器から乾燥ゴミを廃棄する際には、内部に生ゴミを破断するための刃を備えた攪拌部材が存在しているため、生ゴミの廃棄作業性が悪いうえ、手が触れると怪我の恐れがある。なお、収納容器から攪拌部材を取外可能とすることにより、廃棄に係る作業性の問題は解消することができるが、この場合には、廃棄した生ゴミ中に存在する攪拌部材を取り出す必要が生じるため、怪我の可能性を無くすことはできない。
【0007】
特許文献2には、処理槽の内部に回転軸を水平方向に貫通させ、この回転軸に対して翼部を設けた撹拌部材を有する生ゴミ処理機が記載されている。そして、この生ゴミ処理機では、撹拌部材の回転軌跡の外周部に位置するように処理槽に排出口を設け、この排出口をキャップにより開閉可能としている。そして、この排出口を開放した状態で撹拌部材を回転させることにより、処理済みの生ゴミを処理槽外に排出できるように構成し、使用上の利便性を向上するとともに、使用者が怪我をすることを防止している。
【0008】
しかしながら、この生ゴミ処理機は、乾燥による生ゴミ処理の実行時に発生する水蒸気が、排出口と閉塞蓋との隙間から処理槽外に流出する可能性がある。また、処理前の生ゴミは、多くの水分を含んでいるため、その水分が排出口から処理槽外に滲み出る可能性がある。さらに、ゴミを排出する際には、生ゴミから滲み出た水分が付着している可能性が高いキャップを取り外す必要があるため、衛生面で問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、使用上の利便性を向上できるとともに、水分の流出を確実に防止できる生ゴミ処理機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の生ゴミ処理機は、生ゴミを収容する処理槽を有する処理機本体と、前記処理機本体に開閉可能に配設し前記処理槽への投入口を閉塞する蓋体と、前記処理槽内の生ゴミを攪拌する攪拌部材と、前記処理槽内の生ゴミを加熱する加熱手段とを備え、前記処理槽における前記攪拌部材の回転軌跡の外周部に位置するように排出口を設け、前記攪拌部材の回転により前記処理槽内の処理済みのゴミを排出可能とした生ゴミ処理機において、前記排出口を閉塞する第1閉塞蓋と、該第1閉塞蓋で閉塞した前記排出口を更に閉塞する第2閉塞蓋とを設けた構成としている。
【0011】
具体的には、この生ゴミ処理機では、前記処理槽の排出口を覆うように該処理槽に固定し、前記排出口に対応する開口部を有する基枠を設け、前記基枠に、前記排出口および開口部の間に位置するように前記第1閉塞蓋をスライド可能に装着するとともに、前記開口部に対して前記第1閉塞蓋と反対側に位置するように前記第2閉塞蓋を配設することが好ましい。
【0012】
このように構成した生ゴミ処理機は、排出口を第1および第2の閉塞蓋によって二重構造をなすように閉塞するため、処理中に発生した水蒸気が排出口から処理槽外に流出することを防止できるとともに、生ゴミから滲み出た水分が流出することを防止できる。
【0013】
また、前記第1および第2閉塞蓋を、1個の駆動手段および連動手段により開閉可能とすることが好ましい。このようにすれば、閉塞蓋を自動開放することができるため、使用上の利便性を向上できる。しかも、駆動手段を配設するための占有スペースの削減を図ることができ、全体の小型化を図ることができる。
【0014】
具体的には、前記連動手段は、前記第1閉塞蓋に連結され、前記駆動手段の駆動により該第1閉塞蓋を一緒に進退させることにより、該第1閉塞蓋を開閉させるスライド部材と、前記スライド部材の進退移動に連動し、前記第2閉塞蓋を開閉させる連動部材と、を備えることが好ましい。
【0015】
さらに、前記第2閉塞蓋を回転可能に配設することが好ましい。
この場合、前記第2閉塞蓋にシール部材を配設するとともに、前記第2閉塞蓋を閉じ方向に付勢する付勢手段を設けることが好ましい。
このようにすれば、処理槽内の水蒸気の流出、および、滲み出た水分の漏出を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の生ゴミ処理機では、排出口を第1および第2の閉塞蓋によって二重構造をなすように閉塞するため、処理中に発生した水蒸気が排出口から処理槽外に流出することを防止できるとともに、生ゴミから滲み出た水分が流出することを防止できる。また、第2および第2の閉塞蓋は、1個の駆動手段によって開閉されるため、使用上の利便性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る生ゴミ処理機を示す。この生ゴミ処理機は、生ゴミの水分を無くすことにより重量および容積を低減させる乾燥方式であり、大略、処理機本体10と、該処理機本体10の上部を開放可能に閉塞する蓋体11とを備え、処理後のゴミを廃棄するための廃棄容器101を更に着脱可能に配設したものである。
【0019】
図1および図2に示すように、処理機本体10は、略四角筒状をなす胴体12の下端開口を底板13により閉塞した外装体を備えている。前記胴体12の上端には蓋枠14が配設されている。この蓋枠14には、蓋体11を回動可能に装着するための配設凹部15が設けられ、その中央に生ゴミを投入する矩形状の投入口16が設けられている。そして、配設凹部15において、蓋体11のヒンジ接続部17の近傍には、該蓋体11の開閉状態を検出する投入蓋開閉検出手段としてマイクロスイッチ18が配設されている。また、胴体12において、図1中左側に位置する正面には、廃棄容器101を着脱可能に装着するための開口部19が設けられ、この開口部19がカバー20により開放可能に閉塞されている。
【0020】
そして、前記処理機本体10の内部には、生ゴミを収容する処理槽21が配設されている。この処理槽21は、その上端が前記投入口16に配設され、該投入口16から内部に生ゴミを収容する樹脂製の容器である。具体的には、この処理槽21は、投入口16に接続される角筒状上部22と、該角筒状上部22に連続した半円筒状下部23とを有する。そして、処理槽21の角筒状上部22において、図中右側に位置する背面には、乾燥処理時に発生する内部の水蒸気を排気するための排気口24が設けられるとともに、該排気口24の下部に温風を給気するための給気口25が設けられている。なお、これら排気口24および給気口25には、図示しないフィルタが配設されている。
【0021】
また、前記処理槽21と処理機本体10との間には、前記排気口24から給気口25にかけて流入路26aと流出路26bとに区画した略U字形状をなす循環ダクト26が配設されている。この循環ダクト26には、上流側である流入路26aにおいて、排気口24の近傍に位置するように脱臭器27が配設されている。この脱臭器27は、例えば、排気口24の側から加熱手段である触媒ヒータと、該触媒ヒータによる加熱温度を検出する温度検出手段であるサーミスタと、ハニカム構造をなす白金触媒とからなる。また、循環ダクト26には、脱臭器27の下流側に位置するように、流入路26aと流出路26bとの境界部分である下端に、処理槽21内の空気を排気口24から吸引して給気口25から循環供給するためのファン28が配設されている。このファン28はファンモータ29により回転される略円筒状をなすシロッコファンからなり、回転軸36の軸方向に沿って空気を吸引し、径方向に送出するものである。さらに、循環ダクト26には、流出路26bにおける給気口25の手前に位置するように、処理槽21内の生ゴミを乾燥させて重量および容積を低減させるための加熱手段として、処理槽21内に循環供給する空気を加熱する加熱ヒータ30が配設されている。そして、本実施形態では、給気口25には、処理槽内の下側に向けて循環供給する空気が流動するように、下側を開口した断面扇形形状をなすフード部材31が配設されている。また、加熱ヒータ30の下流側、即ち、給気口25の側には、加熱ヒータ30による加熱温度を検出する温度検出手段としてサーミスタ32が配設されている。
【0022】
さらに、図2および図3に示すように、処理槽21の両側面には、半円筒状下部23の軸心に位置するように軸受孔33が設けられ、これら軸受孔33に軸受板34を介して攪拌部材35が回動可能に取り付けられている。この攪拌部材35は、一対の軸受板34を貫通する回転軸36と、一対のアーム42,42と、攪拌板46とからなる。
【0023】
前記回転軸36は略円柱状をなし、その両端に軸受板34に貫通させる外径を小さくした軸部37A,37Bが設けられている。そのうち、一方の軸部37Aは、軸方向に沿って面状に切り欠かれ、断面D字形状をなすように構成されている。また、回転軸36には、軸部37Aと所定間隔をもって円環状に窪む位置決め溝38が設けられている。さらに、回転軸36には、軸方向に沿って所定間隔をもって外周部から軸芯に向けて延びる一対のアーム取付穴39,39が設けられている。また、これらアーム取付穴39,39と直交するように固定ネジ穴40が設けられている。
【0024】
前記アーム42,42は、アーム取付穴39に挿入してネジ止めにより固定される棒状のもので、その挿入端にはネジの先端が係合して抜け止めを図る係合溝43が設けられている。また、このアーム42,42の先端には、軸方向に沿って略半分の領域を切り欠いた攪拌板取付部44が設けられている。この攪拌板取付部44には、ネジ穴45が凹設されている。攪拌板46は、略長方形状をなす板状のもので、ネジ穴45に対応するネジ挿通孔47を備えている。この攪拌板46は、アーム42,42を介して回転軸36に装着した状態で、その回転軌跡の外端が半円筒状下部23の内周面近傍に位置する寸法で形成されている。
【0025】
前記構成の攪拌部材35は、処理槽21から外側に突出された図2中左側の軸部37Aに、処理槽21と処理機本体10との間に位置するように大径プーリ48が配設される。さらに、処理槽21外である底板13に駆動手段であるモータ49が配設され、このモータ49の出力軸82に小径プーリ50が配設される。そして、これらプーリ48,50に無端状部材であるエンドレスベルト51が巻回するように配設される。なお、プーリ48,50およびエンドレスベルト51の代わりに、歯車とチェーンを適用してもよい。また、モータ49は、図1において、反時計回りの正転回転と、時計回りの逆転回転とが可能なものを適用している。
【0026】
そして、本実施形態の処理槽21には、図1中左側に位置する角筒状上部22の正面下端、即ち、攪拌部材35の回転軌跡の外周部に位置する面に、矩形状をなす排出口52が設けられ、前記攪拌部材35の回転により排出口52から処理槽21内の生ゴミを排出可能に構成している。また、排出口52は、第1閉塞蓋72と第2閉塞蓋74とからなる二重蓋構造の蓋ユニット55により、開閉可能に構成している。
【0027】
この蓋ユニット55は、処理槽21において、排出口52の周囲の外面を内向きに窪ませた矩形状の蓋ユニット配設部53に配設されている。なお、この蓋ユニット配設部53の下端縁には、一対の係合溝54が設けられている。蓋ユニット55は、図4に示すように、大略、基枠56と、第1閉塞蓋72と、第2閉塞蓋74と、これら蓋72,74を連動させて開閉動作させるための連動機構(手段)とを備えている。
【0028】
前記基枠56は排出口52を覆うように蓋ユニット配設部53に配設される矩形状のもので、組付状態で排出口52と対応する下側には矩形状の開口部57が形成され、その上側に閉塞部58が設けられている。この基枠56には、下端部に引掛溝に係合する係合爪59が設けられている。また、閉塞部58には、蓋ユニット配設部53にネジ止めにより固定するためのネジ挿入孔60が設けられている。さらに、基枠56には、処理槽21の側に位置する内面両側に、組付状態で上下方向に延びる一対のレール部材61が配設されている。また、基枠56の外面両側には、開口部57の上方に位置するように一対の軸受部62が設けられている。さらに、閉塞部58の外面側には、上下方向に延びるスライド溝63が内向きに窪むように設けられている。このスライド溝63の一側縁には駆動部材配設部64が設けられている。この駆動部材配設部64には、出力軸貫通孔65と、リンク部材取付孔66と、モータ固定孔67とが設けられている。また、閉塞部58には、スライド溝63に対して駆動部材配設部64と反対側に位置するように、後述するリンク部材85を揺動可能に装着するためのブラケット部材69をネジ止めにより固定する固定孔68が設けられている。
【0029】
前記ブラケット部材69は略L字形状をなし、その挿通孔70を通して基枠56の閉塞部58の固定孔68にネジ止めすることにより、固定されるものである。このブラケット部材69には、上端にリンク部材85およびリンク部材取付孔66を貫通して、リンク部材85を揺動可能に保持する揺動軸71が設けられている。
【0030】
前記第1閉塞蓋72は矩形状をなし、基枠56のレール部材61にスライド可能に配設することにより、排出口52および開口部57の間に位置した状態で排出口52を開放可能に閉塞するものである。この第1閉塞蓋72には、後述するスライド部材90および連動部材96を取り付ける一対の取付孔73が設けられている。
【0031】
前記第2閉塞蓋74は、基枠56の軸受部62に回転可能に配設することにより、開口部57に対して第1閉塞蓋72と反対側で、第1閉塞蓋72で閉塞した排出口52を外側で更に閉塞するものである。この第2閉塞蓋74は断面略凹字形状をなし、組付状態で上側に位置する端部には軸受部62に軸着する一対の接続部75が設けられている。また、この第2閉塞蓋74には、開口部の側に位置する端縁に外向きに突出するフランジ部76が設けられ、このフランジ部76を外嵌するように断面形状が蛇腹状をなすシール部材77が配設されている。なお、このシール部材77は、後述するスライド部材90と対応する位置が切り欠かれている。さらに、第2閉塞蓋74には、外面上側に位置するように、外向きに膨出する膨出部78が設けられている。この膨出部78には、第2閉塞蓋74を閉じ方向に付勢する付勢手段として、スプリング79と略凸字形状をなす当接部材80とが配設されている。なお、この当接部材80の先端には、スプリング79の内径より外径が大きい膨出部が設けられ、スプリング79からの離脱を防止している。
【0032】
前記基枠56に対して、スライド可能に配設した第1閉塞蓋72および回転可能に配設した第2閉塞蓋74は、駆動手段である1つの駆動モータ81、カム部材83、リンク部材85、スライド部材90、および、連動部材96を有する連動手段により開閉される。
【0033】
前記駆動モータ81は、正転および逆転が可能なもので、基枠56の駆動部材配設部64に対してスライド溝63の反対側に位置するように配置され、モータ固定孔67に対してネジ止めにより固定される。そして、その出力軸82が出力軸貫通孔65を貫通し、スライド溝63の側に位置するように構成されている。
【0034】
前記カム部材83は円板状をなし、その中心に駆動モータ81の出力軸82を固定することにより、基枠56のスライド溝63上に位置するように配設されるものである。このカム部材83の外周部には、出力軸82に対して平行に延びるように突出する連結軸84が突設されている。
【0035】
前記リンク部材85は長円形状をなす板状のもので、その一端に設けた貫通孔86にブラケット部材69の揺動軸71が貫通されることにより、基枠56に対して揺動可能に装着されるものである。このリンク部材85の中間位置には、カム部材83の連結軸84を挿通する長円形状のカム部材連結溝87が設けられている。また、リンク部材85には、貫通孔86と逆側の端部にスライド部材90を連動させるためのスライド部材連結溝88が設けられている。さらに、リンク部材85には、第2閉塞蓋74に配設した当接部材80に当接し、スプリング79の付勢力で該第2閉塞蓋74を閉じ方向に付勢するための押圧部89が突設されている。
【0036】
前記スライド部材90は、基枠56のスライド溝63にスライド可能に装着され、その先端がシール部材77の切欠部を通して第2閉塞蓋74の内部に位置される。そして、駆動モータ81の駆動によりリンク部材85を介して第1閉塞蓋72を一緒に進退させることにより、該第1閉塞蓋72を開閉させるものである。このスライド部材90には、スライド溝63内に位置する端部に上向きに突出する突板部91が設けられ、この突板部91にリンク部材85のスライド部材連結溝88に連結される連結軸92が突設されている。また、第2閉塞蓋74内に位置する端部には、第1閉塞蓋72に別体の連結部材94を介して連結するための連結部93が設けられている。この連結部93は略凹字形状をなし、その両側の突部に軸孔を設けたものである。
【0037】
前記連結部材94は、第1閉塞蓋72の取付孔73にネジ止めにより固定されるもので、その中間位置には、スライド部材90の連結部93の両側突部間に配置される被連結部95が設けられている。この被連結部95は、連結部93の軸孔と軸方向に一致する軸孔が設けられている。
【0038】
前記連動部材96は、連結部材94の被連結部95に対して回動可能に取り付けられ、スライド部材90の進退移動に連動して第2閉塞蓋74を開閉させるものである。この連動部材96は、スライド部材90の連結部93の両側に位置する一対の軸着部97,97と、これら軸着部97,97を接続するとともにスライド部材90において突板部91に向けて突出する回動板部98とを備えている。この回動板部98の先端は、円弧状をなすように面取りされている。この連動部材96は、連結部材94に対して連結軸99により回動可能に装着されるとともに、スプリング100により開き方向、即ち、第1閉塞蓋72から離反する方向であり、第2閉塞蓋74を開放する方向に付勢した状態で装着される。
【0039】
前記処理機本体10と処理槽21との間には、排出口52の下部に位置するように廃棄容器101が配設されている。この廃棄容器101は、排出口52から処理槽21外に排出されるゴミを収容するもので、上端を開口し下端を閉塞した樹脂製のものであり、開口部19から着脱可能に設置される。本実施形態では、処理機本体10の底板13には、廃棄容器101の下部に位置するように、該廃棄容器101の装着の有無を検出する廃棄容器検出手段であるマイクロスイッチ102が配設されている。
【0040】
さらに、処理槽21内には、生ゴミの含水分を検出する手段として、一対の電極103a,103bが配設されている。電極103a,103bは、図示しない電圧印加回路から所定の電圧が印加されると、生ゴミを導体として電流が流れ、その電流の大きさは抵抗値の大きさに比例し、この抵抗値は生ゴミの含有水分の多少に略比例するため、含水分を検出できる。また、これら電極103a,103bは、その通電状態により生ゴミの有無を検出する生ゴミ検出手段の役割をなす。
【0041】
このように構成した生ゴミ処理機は、図5に示すように、ユーザによる操作パネル104のスイッチ操作により、図示しない制御基板に配設された制御手段であるマイコン105が、予め設定されたプログラムに従って動作される。具体的には、ユーザが処理槽21内に生ゴミを投入してゴミ処理動作を開始するように操作すると、マイクロスイッチ18により投入口16の蓋体11が閉塞されている状態を検出した場合に、駆動モータ81により蓋ユニット55の各閉塞蓋72,74を確実に閉塞状態として、攪拌部材35を反時計回りに回転させながら、処理槽21内の空気をファン28によって吸引し、加熱ヒータ30によって加熱して処理槽21内に循環供給することによる生ゴミ処理を開始する。
【0042】
そして、電極103a,103bによって未処理の生ゴミの有無を判断し、投入されている場合には生ゴミ処理を実行し、投入されていない場合には所定時間が経過すると電源を自動的に遮断して動作を停止する。また、生ゴミ処理では、電極103a,103bによって生ゴミが乾燥状態であるか未乾燥状態であるかを検出し、未乾燥状態である場合には生ゴミ処理を実行し、乾燥状態になると、マイクロスイッチ102により廃棄容器101の装着を確認し、装着されている場合のみ、自動的に処理済みの生ゴミの排出処理を実行する。さらに、操作パネル104により強制排出操作されると、生ゴミ処理の非実行状態で廃棄容器101が装着されている状態を検出し、かつ、投入口16の蓋体11が閉塞されている場合に、排出処理を実行する。
【0043】
次に、前記蓋ユニット55の開閉動作について具体的に説明する。なお、この蓋ユニット55の開閉動作を有する排出処理時には、ファン28および加熱ヒータ30は停止されている。
【0044】
まず、蓋ユニット55の閉塞状態では、図6(A),(B)に示すように、駆動モータ81によりカム部材83は連結軸84が開口部57の側に位置するように動作される。これにより、リンク部材85が図6中右側に位置しており、このリンク部材85によりスライド部材90を介して第1閉塞蓋72が排出口52および開口部57を閉塞した状態をなす。また、第1閉塞蓋72に取り付けた連動部材96は、第2閉塞蓋74とは干渉しない状態をなす一方、リンク部材85の押圧部89は、第2閉塞蓋74の当接部材80に当接した状態をなす。その結果、当接部材80を介してスプリング79が付勢されることにより、その付勢力は、第2閉塞蓋74を閉じ方向に付勢するように作用する。その結果、第2閉塞蓋74に取り付けたシール部材77は、基枠56の開口部57の周囲に圧接され、気密状態を確実に維持する。
【0045】
この状態で、マイコン105により駆動モータ81が開放駆動されると、図7に示すように、カム部材は反時計回りに回転され、連結軸84が開口部57から離反する位置に動作される。これにより、リンク部材85は図7中右側に位置するように揺動されることにより、スライド部材がスライド溝63に沿って連動してスライドする。そうすると、スライド部材90に連結部材94を介して連結された第1閉塞蓋72がレール部材61に沿って移動し、排出口52を開口させる。そして、スライド部材90の移動により、連結部材94に取り付けた連動部材96が第2閉塞蓋74の上端(図7では右端)内面に当接する。なお、駆動モータ81の開放駆動が開始されて、連動部材96が第2閉塞蓋74に当接するまでの間では、第2閉塞蓋74は、スプリング79による閉塞方向への付勢が解除されるのみで、全く開放(回動)はしない。
【0046】
そして、駆動モータ81の開放駆動により、リンク部材85が更に反時計回りに移動されると、スライド部材90は更に開口部57に対して離反方向に移動するように力が加わる。そのため、連結部材94を介して第1閉塞蓋72にも開放方向に移動するように力が加わる。一方、連結部材94には第2閉塞蓋74の内面に連動部材96が当接している。ここで、この連動部材96は、第1閉塞蓋72の側が回転可能に軸着され、スプリング100により第2閉塞蓋74の開放方向に付勢されている。よって、スライド部材90が離反方向に移動すると、連動部材96は連結軸99を中心とした下側が引っ張られるため、図8(A),(B)に示すように、連動部材96が図8中反時計回りに回動する。その結果、第2閉塞蓋74が時計回りに回転し、開口部57および排出口52を開放する。
【0047】
このようにして第1閉塞蓋72および第2閉塞蓋74を動作させて排出口52を開放させると、マイコン105は、攪拌部材35を時計回りに逆転させることにより、処理槽21内のゴミを排出口52から廃棄容器101に排出する。そして、予め設定した回転数、攪拌部材35が回転されると、攪拌部材の回転を停止した後、駆動モータ81を時計回りに回転させることにより、カム部材83、リンク部材85、スライド部材90および連動部材96を介して、第2閉塞蓋74および第1閉塞蓋72を閉じ方向に移動させ、排出口52および開口部57を閉塞する。この際、第2閉塞蓋74は、連動部材96による開放方向の押圧が解除されると、自重で閉塞する。そして、この閉塞状態では、前述のように、リンク部材85の押圧部89が第2閉塞蓋74の当接部材80に当接して押圧することにより、スプリング79を介して第2閉塞蓋74を閉じ方向に付勢する。
【0048】
このように、本発明の生ゴミ処理機では、処理槽21に設けた排出口52を自動開放して、処理槽内のゴミを廃棄容器101に自動排出できるため、使用上の利便性を向上できる。また、第1および第2閉塞蓋72,74は、連動機構を構成するカム部材83、リンク部材85、スライド部材90および連動部材96を介して、1個の駆動モータ81で開閉されるため、駆動手段を配設するための占有スペースの削減を図ることができ、全体の小型化を図ることができる。
【0049】
しかも、処理槽21の排出口52は、第1および第2の閉塞蓋72,74によって二重蓋構造をなすように閉塞するため、処理中に発生した水蒸気が排出口52から処理槽外に流出することを防止できるとともに、生ゴミから滲み出た水分が流出することを防止できる。しかも、第2閉塞蓋74には、シール部材77を配設するとともに、閉塞状態で閉じ方向に付勢する構成としているため、処理槽21内の水蒸気の流出、および、滲み出た水分の漏出を確実に防止できる。
【0050】
なお、本発明の生ゴミ処理機は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、前記実施形態では、第2閉塞蓋74をスライド部材90の先端に回動可能に配設した連動部材96により開閉させるようにしたが、リンク部材85の揺動に連動して開閉する構成としてもよい。また、第2閉塞蓋74は回転による開閉に限られず、第1閉塞蓋72と同様にスライドによって開閉する構成としてもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、乾燥方式の生ゴミ処理機に本発明の二重蓋構造を適用したが、その方式は希望に応じて変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る生ゴミ処理機を示す断面図である。
【図2】処理槽の構成を示す斜視図である。
【図3】図2の分解斜視図である。
【図4】図3の蓋ユニットの分解斜視図である。
【図5】生ゴミ処理機の構成を示すブロック図である。
【図6】蓋ユニットの閉塞状態を示し、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図7】蓋ユニットの開放動作工程を示す断面図である。
【図8】蓋ユニットの開放状態を示し、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【符号の説明】
【0054】
10…処理機本体
11…蓋体
16…投入口
21…処理槽
35…攪拌部材
52…排出口
55…蓋ユニット
56…基枠
57…開口部
61…レール部材
63…スライド溝
72…第1閉塞蓋
74…第2閉塞蓋
77…シール部材
79…スプリング(付勢手段)
80…当接部材
81…駆動モータ
83…カム部材(連動手段)
85…リンク部材(連動手段)
90…スライド部材(連動手段)
96…連動部材(連動手段)
101…廃棄容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミを収容する処理槽を有する処理機本体と、前記処理機本体に開閉可能に配設し前記処理槽への投入口を閉塞する蓋体と、前記処理槽内の生ゴミを攪拌する攪拌部材と、前記処理槽内の生ゴミを加熱する加熱手段とを備え、前記処理槽における前記攪拌部材の回転軌跡の外周部に位置するように排出口を設け、前記攪拌部材の回転により前記処理槽内の処理済みのゴミを排出可能とした生ゴミ処理機において、
前記排出口を閉塞する第1閉塞蓋と、該第1閉塞蓋で閉塞した前記排出口を更に閉塞する第2閉塞蓋とを設けたことを特徴とする生ゴミ処理機。
【請求項2】
前記処理槽の排出口を覆うように該処理槽に固定し、前記排出口に対応する開口部を有する基枠を設け、
前記基枠に、前記排出口および開口部の間に位置するように前記第1閉塞蓋をスライド可能に装着するとともに、前記開口部に対して前記第1閉塞蓋と反対側に位置するように前記第2閉塞蓋を配設したことを特徴とする請求項1に記載の生ゴミ処理機。
【請求項3】
前記第1および第2閉塞蓋を、1個の駆動手段および連動手段により開閉可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生ゴミ処理機。
【請求項4】
前記連動手段は、
前記第1閉塞蓋に連結され、前記駆動手段の駆動により該第1閉塞蓋を一緒に進退させることにより、該第1閉塞蓋を開閉させるスライド部材と、
前記スライド部材の進退移動に連動し、前記第2閉塞蓋を開閉させる連動部材と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の生ゴミ処理機。
【請求項5】
前記第2閉塞蓋を回転可能に配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の生ゴミ処理機。
【請求項6】
前記第2閉塞蓋にシール部材を配設するとともに、前記第2閉塞蓋を閉じ方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項5に記載の生ゴミ処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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