説明

生乳用容器および体細胞数測定方法

【課題】生乳中の白血球の活性化に好適な生乳用容器を提供する。
【解決手段】生乳用容器1は、生乳中の白血球を活性化するために生乳が注入されるものであり、内部空間11を開放する注入口12と、内部空間11を取り囲む内壁面13とを有している。内壁面13には、菌の細胞壁を構成する細胞壁成分2が0.001〜500μmの厚さで膜状に固定化されている。細胞壁成分2は、β−グルカンおよびエンドトキシンの少なくとも一方であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生乳中の白血球を活性化するための生乳用容器、およびこの生乳用容器を使用して生乳中の体細胞数を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
畜産において、家畜の病気、けがの発見、投与した薬剤の効果の診断など、家畜の状態を早期に詳しく診断するニーズは近年ますます高まっている。特に感染性の疾病においてはそのニーズは高い。哺乳類、とりわけ牛、羊、山羊など酪農用の家畜の症状診断には家畜の生乳を分析することが重要かつ有効な手段である。
【0003】
たとえば乳房炎は、乳用牛の死廃傷病事故のなかで最大の問題になっている。乳房炎は、罹りやすい上に極めて治りにくい病気であるため、世界的に最難治疾病の一つとされている。乳房炎に罹患した乳用牛の生乳中の体細胞数は、正常な乳用牛が通常0.5〜10万個/mLであるのに対し、30万個/mL以上、なかには300万個/mL以上の慢性乳房炎に至る場合も少なくない。体細胞数の測定は煩雑であり、しかもそれを実現する装置は高価なため、通常生乳の検査は大型タンクに集められて(多くの場合は別の検査機関などに搬送されて)から行われる。そうすると、発覚が遅れて被害量が増えるだけでなく、サンプリングした生乳中の体細胞数が規定値以上であることが発覚した場合、生乳がタンク単位で廃棄されたり酪農家へペナルティ(課徴金)が課されたりする。このため、乳房炎を早期に発見することが望まれている。乳房炎の早期発見を実現するには、家畜の生乳を分析する方法は非常に有効である。
【0004】
けが、炎症、感染性の疾病においては生乳中の体細胞、例えば白血球の一種である好中球が増加する場合が多く見られる。例えば乳用牛が罹りやすい乳房炎では、この傾向は顕著である。乳用牛が乳房炎に罹ると、乳房が細菌の侵入を受け始める。乳房が細菌の侵入を受け始めると、それを食い止めようとして、貪食殺菌能力のある好中球が生乳中に集まってくる。好中球は、細菌侵入後の機動性が高く、圧倒的な数によって細菌侵入を食い止めようとして働く。好中球は、細菌を殺すために、活性酸素を放出する。そこで、生乳中に含まれる活性酸素量を検出することにより、乳房炎への感染を診断することも行われている。
【0005】
例えば、特許文献1には、生乳中に含まれる活性酸素量を光学的に検出して乳房炎の亢進度合いを判定する乳房炎診断装置が開示されている。この乳房炎診断装置では、生乳中に含まれる活性酸素をルミノールと反応させたときの発光強度を測定し、その発光強度に基づいて乳房炎の亢進度合いを判定している。
【0006】
ところで、活性酸素の検出感度を向上させるには、生乳中の白血球を活性化させて活性酸素放出量を増加させることが好ましい。この点、特許文献1には、生乳を注入した試験管に、ルミノールと合わせて活性化剤であるザイモサンを添加することが開示されている。
【0007】
なお、生乳に関するものではないが、特許文献2には、血液中の分析物の量を検出するための容器にザイモサンを含めることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2995205号公報
【特許文献2】特表2003−524773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されたようなザイモサンを後から添加する構成では、ザイモサンを定量的に供給する手段などが必要になり、装置が複雑になる。そこで、特許文献2のように容器にザイモサンを含めることが考えられるが、容器内に単にザイモサンを配置しただけでは、生乳中の白血球を効果的に活性化することができない場合がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑み、生乳中の白血球の活性化に好適な生乳用容器およびこの生乳用容器を使用して生乳中の体細胞数を測定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、生乳中の白血球を活性化するために生乳が注入される容器であって、内部空間を開放する注入口と、前記内部空間を取り囲む内壁面とを有し、前記内壁面には、菌の細胞壁を構成する細胞壁成分が0.001〜500μmの厚さで膜状に固定化されている、生乳用容器を提供する。
【0012】
また、本発明は、上記の生乳用容器を用い、この生乳用容器に生乳を注入して生乳中の白血球を活性化させる活性化処理を行い、前記活性化処理が行われた生乳にルミノールを混ぜて攪拌した後に発光強度を測定し、その測定した発光強度に基づいて生乳中の体細胞数を算出する、体細胞数測定方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
上記の生乳用容器によれば、生乳用容器の内壁面に活性化剤である細胞壁成分が膜状に固定化されているので、生乳用容器に注入された生乳に細胞壁成分を大きな面積で接触させることができる。しかも、細胞壁成分の厚さが500μm以下に抑えられているので、生乳中に細胞壁成分を均一に溶出させることができる。従って、生乳中の白血球を効果的に活性化することができる。
【0014】
そして、この生乳用容器を使用すれば、体細胞数を精度よく測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る生乳用容器の断面図である。
【図2】変形例の生乳用容器の断面図である。
【図3】(a)は実施例についての体細胞数と発光強度との関係を示すグラフであり、(b)は比較例についての体細胞数と発光強度との関係を示すグラフである。
【図4】(a)は実施例1の耐候性試験の結果を示すグラフであり、(b)は比較例2の耐候性試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下の説明は本発明の一例に関するものであり、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0017】
図1に、本発明の一実施形態に係る生乳用容器1を示す。この生乳用容器1は、生乳中の白血球を活性化するために生乳が注入されるものであり、内部空間11を開放する注入口12と、内部空間11を取り囲む内壁面13とを有している。そして、内壁面13には、菌の細胞壁を構成する細胞壁成分2が膜状に固定化されている。
【0018】
生乳用容器1を構成する材料は、特に限定されるものではないが、透明であることが好ましい。生乳用容器1が透明であれば、例えば、生乳中に含まれる活性酸素量の光学的な検出に生乳用容器1をそのまま使用することができる。例えば、生乳用容器1は、ガラスまたは透明な樹脂で構成することができる。細胞壁成分2の担持性の観点からは、生乳用容器1を構成する材料として、石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリメチルペンテン、ポリカーボネートを用いることが好ましい。
【0019】
本実施形態では、生乳用容器1が丸底円筒状の形状を有している。ただし、生乳用容器1の形状はこれに限られるものではない。例えば、生乳用容器1の形状は、下方に向かって拡径する三角フラスコ状であってもよいし、底がフラットな円筒状の形状であってもよい。また、生乳用容器1の断面形状は円形である必要はなく、例えば多角形であってもよいし、四角形の角を丸めたような形であってもよい。
【0020】
生乳用容器1の内壁面13は、上端が注入口13を形成する筒状の内周面13aと、内周面の下端とつながる底面13bとからなっている。本実施形態では、上述した生乳用容器1の形状により、内周面13aが円筒状になっており、底面13bが半球状になっている。
【0021】
また、生乳用容器1には、注入すべき生乳の量を規定する参照線15が付されている。なお、参照線15は、生乳用容器1が透明である場合には、生乳用容器1の外壁面に形成すればよいし、生乳用容器1が透明でない場合には、生乳用容器1の内壁面13に形成すればよい。
【0022】
細胞壁成分2は、生乳用容器1の内壁面13に0.001〜500μmの厚さで膜状に固定化されている。細胞壁成分2の厚さが厚すぎると、細胞壁成分2が生乳中に十分に溶出せず、生乳中の体細胞数が多いときに細胞壁成分2が不足する。さらには、細胞壁成分2が塊となって生乳中に浮遊することもあり、生乳中に含まれる活性化酸素量の検出に悪影響を及ぼすおそれがある。これらを防止するためには、細胞壁成分2の厚さの上限を500μmとすることが好ましい。細胞壁成分2の厚さは、より好ましくは0.1〜400μmであり、さらに好ましくは1〜200μmである。
【0023】
本実施形態では、細胞壁成分2は、底面13bを覆うとともに当該底面13bの周縁から内周面13aに沿って立ち上がるように固定化されている。ただし、細胞壁成分2の固定化の範囲は、これに限られるものではない。例えば、細胞壁成分2は、底面13bのみに固定化されていてもよいし、内周面13aのみに固定化されていてもよい。
【0024】
細胞壁成分2の全量は、生乳用容器1の内部空間11における参照線15から下側の容積に対して1cm3あたり0.1〜50mgであることが好ましい。より好ましい細胞壁成分2の全量は、前記容積に対して1cm3あたり1〜10mgである。
【0025】
細胞壁成分2としては、菌の細胞壁を構成する、生乳中の白血球を活性化させることが可能な細胞壁成分であれば特に限定されるものではないが、β−グルカンおよびエンドトキシンの少なくとも一方を含むことが好ましい。β−グルカンは、真菌の細胞壁から抽出でき、エンドトキシンはグラム陰性菌から抽出できる。β−グルカンとしては、酵母由来で安価、かつ均一分散が容易な、粒子状のβ−グルカンであるザイモサンを用いることが好ましい。また、真菌(キノコ)由来のグリフォランやレンチナンも用いることができる。エンドトキシンとしては、例えばリポポリサッカライドやリポオリゴサッカライド、あるいは加熱等により不活化したグラム陰性菌等が挙げられる。
【0026】
ザイモサンとしては、オプソニン化されていないものが好ましい。オプソニン化ザイモサンは凍結保存が必要であるが、非オプソニン化ザイモサンであれば、常温保存することができる。しかも、非オプソニン化ザイモサンは、生乳に接触するとオプソニン化されるため、白血球の活性化度が低下することもない。
【0027】
生乳用容器1の内壁面13に細胞壁成分2を膜状に固定化する方法としては、種々の方法が採用可能である。例えば、細胞壁成分2を分散媒に分散させた分散液を、生乳用容器1の内壁面13に塗布し、自然乾燥させればよい。このとき、均一な厚さの膜を形成するためには、分散液を注入した生乳用容器1を回転させることが好ましい。
【0028】
以上説明したように、本実施形態では、生乳用容器1の内壁面13に活性化剤である細胞壁成分2が膜状に固定化されているので、生乳用容器1に注入された生乳に細胞壁成分2を大きな面積で接触させることができる。しかも、細胞壁成分2の厚さが500μm以下に抑えられているので、生乳中に細胞壁成分2を均一に溶出させることができる。従って、生乳中の白血球を効果的に活性化することができる。
【0029】
本実施形態の細胞壁成分2を担持する生乳用容器1は、生乳中の白血球が放出する活性酸素の量を検出する種々の方法に有用である。それらの方法としては、化学光学的検出法、電気化学測定法、その他活性酸素を検出し得る比色法(シクトクロム法など)が挙げられる。中でも、特に化学光学的検出法に生乳用容器1が有用である。また、活性酸素量を検出すれば、その検出結果から生乳中の体細胞数を算出することも可能である。以下では、生乳用容器1を使用して生乳中の白血球が放出する活性酸素の量を光学的に検出し、その検出結果から体細胞数を算出する方法について説明する。
【0030】
まず、生乳用容器1に生乳を注入して、生乳用容器1に担持された細胞壁成分2により生乳中の白血球を活性化させる活性化処理を行う。この活性化処理は、生乳が注入された生乳用容器1を、活性化に適した温度(例えば、30〜40℃)環境下に所定時間(例えば、10分程度)設置して行うことが好ましい。
【0031】
その後、活性化処理が行われた生乳にルミノールを混ぜて攪拌した後に発光強度を測定し、その測定した発光強度に基づいて生乳中の体細胞数を算出する。生乳にルミノールを混ぜるには、生乳用容器1の中でそのまま行ってもよいし、生乳用容器1から所定量の生乳を取り出して他の検出用容器に移し、その検出用容器内で行ってもよい。また、生乳にルミノールを混ぜる際には、緩衝液を合わせて混ぜてもよい。体細胞数の算出は、体細胞数と発光強度との相関関係(検量線)を予め実験などにより入手しておき、測定した発光強度をその相関関係に照らして体細胞数を算出すればよい。
【0032】
このように本実施形態の生乳用容器1を用いれば、体細胞数を精度よく測定することが可能になる。
【0033】
本実施形態では、図1を参照して生乳用容器1を説明したが、生乳用容器1としては、種々の変形が可能である。例えば、図2に示すように、生乳用容器1の注入口12が軟質材料で構成された蓋(例えば、セプタムキャップ)3で塞がれており、内部空間11の圧力が大気圧に対して負圧になっていてもよい。このような構成では、生乳を吸引したシリンジ4を蓋3に突き刺せば、生乳用容器1の内部空間11の圧力と大気圧との圧力差に応じた一定量の生乳がシリンジ4から生乳用容器1内に注入される。この場合、図1に示した参照線15はあってもよいし、なくてもよい。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら制限されるものではない。
【0035】
(実施例1)
生乳用容器として、注入口の直径が4cm、全体の高さが6cmの丸底円筒状のプロピレン製容器を用いた。この生乳用容器の内壁面に、ザイモサン50mgをアセトン3mLに分散させた分散液を略全面に亘って塗布し、自然乾燥させることで、生乳用容器の内壁面にザイモサンを膜状に固定化した。分散液の塗布は、分散液を注入した生乳用容器を回転させることにより行った。ザイモサンの厚さは、平均150μmであった。
【0036】
(実施例2)
生乳用容器の内壁面における生乳用容器の底から1cmの高さまでの範囲に分散液を塗布した以外は、実施例1と同様にして生乳用容器の内壁面にザイモサンを膜状に固定化した。ザイモサンの厚さは、平均400μmであった。
【0037】
(比較例1)
比較例1として、内壁面に細胞壁成分が固定化されていない生乳用容器を用いた。
【0038】
(比較例2)
白血球活性化作用のあることが知られているコンカナバリンA(ナタマネ由来タンパク)60mgを水3mLに分散させた分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、生乳用容器の内壁面にコンカナバリンAを膜状に固定化した。
【0039】
(比較例3)
生乳用容器の内壁面における生乳用容器の底から0.5cmの高さまでの範囲に分散液を塗布した以外は、実施例1と同様にして生乳用容器の内壁面にザイモサンを膜状に固定化した。ザイモサンの厚さは、平均550μmであった。
【0040】
(比較例4)
ザイモサン50mgをアセトン3mLに分散させた分散液を、実施例1と同様の生乳用容器に注入して静置し、自然乾燥させることで、生乳用容器の底にザイモサンを固定化した。ザイモサンの厚さは、平均1000μmであった。
【0041】
(発光強度の測定)
実施例および比較例の生乳用容器のそれぞれに対して発光強度の測定を行った。具体的には、調製(活性化剤の固定化)直後の生乳用容器に、乳牛より搾乳した体細胞数1.4〜480万個/mLの生乳10mLを注入し、37℃で10分間の活性化処理を行った。その後、生乳用容器から活性化処理後の生乳50μLをサンプルチューブに移し、さらにそのサンプルチューブに、緩衝液450μLおよびルミノール溶液10μLを混ぜて攪拌し、化学発光測定装置(株式会社トッケン製テトラライト)を用いて発光強度を測定した。発光強度の測定は30分間行い、そのうちの最大値を測定値として採用した。その結果は、図3(a)および(b)に示す通りであった。なお、発光強度の単位のRLUとは、相対発光量(Relative Light Unit)のことである。
【0042】
活性化剤のない比較例1では、生乳中の白血球には活性化されたものと活性化されていないものとが混在している(乳腺内で感染原因菌が大量に増殖していれば、白血球はそれらを貪食するなどして大多数が活性化状態(活性酸素を多量に放出する状態)になるが、菌が少ない場合は活性化されていない白血球も多数存在する)。そのため、特に菌の少ない感染初期に活性酸素の検出感度が低くなる。
【0043】
これに対し、菌の細胞壁を構成する細胞壁成分を適切な厚さで膜状に固定化した実施例1および2では、感染初期でも活性酸素の検出感度が高くなる。
【0044】
また、ザイモサンの厚さが厚すぎる比較例3,4では、固定化したザイモサンが十分に溶出せず、体細胞数が多くなると活性化剤の量が不足し、十分な活性化作用が得られないことが分かる。
【0045】
なお、菌の細胞壁を構成する細胞壁成分でない活性化剤を用いた比較例2では、次の耐候性試験により耐候性が悪いことが分かった。
【0046】
(耐候性試験)
実施例1および比較例2の生乳用容器に対して耐候性試験を行った。具体的には、調整した生乳用容器を22日間室温(平均25℃)で放置した後に、再度上記と同様にして発光強度の測定を行った。その結果は、図4(a)および(b)に示すとおりであった。
【0047】
菌の細胞壁を構成する細胞壁成分でない活性化剤を用いた比較例2では、生乳用容器の調製直後は生乳中の白血球を活性化できるが、室温での放置後にはコンカナバリンAが変性して活性化作用が大幅に低下した。これに対し、ザイモサンを用いた実施例1では、室温での放置後でも、良好な活性化作用を維持していることが分かる。
【符号の説明】
【0048】
1 生乳用容器
11 内部空間
12 注入口
13 内壁面
13a 内周面
13b 底面
15 参照線
2 細胞壁成分
3 蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生乳中の白血球を活性化するために生乳が注入される容器であって、
内部空間を開放する注入口と、前記内部空間を取り囲む内壁面とを有し、
前記内壁面には、菌の細胞壁を構成する細胞壁成分が0.001〜500μmの厚さで膜状に固定化されている、生乳用容器。
【請求項2】
前記細胞壁成分は、β−グルカンおよびエンドトキシンの少なくとも一方である、請求項1に記載の生乳用容器。
【請求項3】
前記β−グルカンは、ザイモサンである、請求項2に記載の生乳用容器。
【請求項4】
前記内壁面は、上端が前記注入口を形成する筒状の内周面と、前記内周面の下端とつながる底面とを含み、
前記細胞壁成分は、前記底面を覆うとともに当該底面の周縁から前記内周面に沿って立ち上がるように固定化されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の生乳用容器。
【請求項5】
前記容器には、注入すべき生乳の量を規定する参照線が付されており、
前記細胞壁成分の全量は、前記内部空間における前記参照線から下側の容積に対して1cm3あたり0.1〜50mgである、請求項4に記載の生乳用容器。
【請求項6】
前記注入口は軟質材料で構成された蓋で塞がれており、前記内部空間の圧力は大気圧に対して負圧となっている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の生乳用容器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の生乳用容器を用い、この生乳用容器に生乳を注入して生乳中の白血球を活性化させる活性化処理を行い、
前記活性化処理が行われた生乳にルミノールを混ぜて攪拌した後に発光強度を測定し、その測定した発光強度に基づいて生乳中の体細胞数を算出する、体細胞数測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−122975(P2011−122975A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281857(P2009−281857)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】