説明

生体および化学反応分析キット

【課題】 イムノクロマトにおける反応層に対し、均一かつ低損失で試薬を供給できる試薬導入部をシンプルな構造で実現する。
【解決手段】 検出層を試薬層と反応層の間に配置する。そして、フィルタ層と吸収層を、これらの構造を挟み込むように配置する。検出層は反応層と吸収層の間に配置することも可能である。検出層の検出結果は、無線を介して制御用PCに送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は核酸、タンパク質、微生物などの生体物質を対象とする分析デバイスと、当該キットを応用した分析システムに関する。また、無線機能を有するセンサチップを適用した安価・簡便かつ高感度・迅速な分析デバイスと、本デバイスを応用した分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
成人病・腫瘍などの疾患マーカやウィルス・細菌などの免疫検査あるいは糖や電解質などの生化学検査などの検体検査では、従来、省力化によるコスト削減の観点から専ら大規模病院や検査センタに設置された集中検査装置が利用されてきた。一方で、診療所や小規模の病院においてその場で結果を得て治療や処方に利用できるようなPOCT(Point of Care Testing)に対するニーズが拡大している。例えばインフルエンザなどのウィルス感染症や心筋梗塞マーカなどの検出においてイムノクロマトが広く利用されるようになっている。また、血糖値や血中電解質についてもその場で簡便に検査結果が得られる小型の検査装置が上市されている。
【0003】
イムノクロマト法は安価・簡便なその場検査キットに適した技術である。しかし、目視によって呈色反応を検出するため、集中検査装置に比較すると感度が低く、定量計測が困難である。広く利用されているインフルエンザウィルス用のイムノクロマト検査薬は15分以内にウィルス感染の有無を表示できる迅速性を持つが[非特許文献1],感染初期のウィルスが少ない時期の検体については偽陰性となり[非特許文献2],感度の向上が望まれている[非特許文献3]。また,代表的な生活習慣病のひとつである心筋梗塞については,troponinやmyoglobinなどの疾患マーカと重篤な血栓発症の危険率との間には強い相関が見出されている[非特許文献4-6]。リスクを有する人が胸部不快を感じた場合,迅速な定量計測が望ましい。こうした背景から感度を向上し、定量計測に向けた検査装置が提案されている。イムノクロマトのもつ安価・簡便性を維持して、高感度化、定量計測を可能にするためイムノクロマトの膜部材を利用し、ここに発光ダイオード(LED; Light Emitting Diode)やレーザダイオード(LD; Laser Diode)によって光を照射し、フォトダイオード(PD; Photo Diode)で反射光を読取って呈色反応あるいは微粒子凝集の濃淡を数値化する方法が提案されている[特許文献1-3]。
【0004】
また、生化学分析を対象としたPOCTでは酵素センサとして機能する電極あるいはISFET(Ion sensitive Field Effect Transistor)を組み込んだカートリッジ式のテストデバイスが使用される。テストデバイスに試料溶液を滴下し、信号を読み取り装置によって検出する。テストデバイス中では試料溶液中のターゲット濃度に対応した信号(ボルタンメトリでは電圧、アンペロメトリでは電流)が発生する。これを信号読み取り装置に読み取ることにより、ターゲットを計測することができる。POCTの場合、テストデバイスは一つの計測が終わると廃棄するディスポーザブル型である。テストデバイスと信号読み取り装置には着脱可能な電極コネクタが設けられている。
【0005】
【特許文献1】特開昭57-200862号公報
【特許文献2】特許公報2818191号公報
【特許文献3】特表2001-516040号公報
【非特許文献1】川上他, インフルエンザ,6(4),pp. 35 (2005)
【非特許文献2】日経メディカル 11月号 pp.46 (2003)
【非特許文献3】日経メディカル 2月号 pp.54 (2003)
【非特許文献4】E. M. Ohman, et al., N. Engl. J. Med., 335, pp.1333, (1996)
【非特許文献5】R. H. Christenson, et al., Clinical Chemistry, 44(3), pp. 494, (1998)
【非特許文献6】P. Stubbs, et al., Circulation, 94(6), pp. 1291, (1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
イムノクロマト法によってタンパク質やウィルスなどの対象物を検出する際、従来は目視によって微粒子凝集や酵素による呈色反応によって免疫反応を計測してきた。高い感度が必要とされる場合には、例えば特許文献5、特許文献6に示されるように、化学発光を誘起する酵素や蛍光色素を使い、化学発光や蛍光を読み取り装置によって読み取る方式が提案されている。化学発光は蛍光法で必要な励起光源が不要であるため、読み取り装置を小型化することが容易である。
【0007】
化学発光の一例として発光基質CDP-starを使った場合の発光反応を図19に示す。この反応では酵素としてアルカリフォスファターゼが使用される。光基質CDP-starを使った場合の化学発光を、無線機能を内蔵したセンサチップで読み取る場合のイムノクロマトデバイス構成を図2(及び図3(a))に示す。測定対象となるタンパク質やウィルスなどの計測対象抗原41を含む試料溶液45はフィルタ層33から導入される。試薬層31には酵素43で修飾された抗体42があらかじめ保持されており、試料溶液45の導入とともに酵素に修飾された抗体100は反応層30に浸透する。反応層30の一部にはターゲットに特異的な抗体42が固定化されたテスト部34が設けられ、ここに対面もしくは密着する様にセンサチップ50が配置される。免疫反応や酵素反応は多孔質の反応層30で専ら行われる。酵素で修飾された抗体100は抗原41と結合しながら反応層を拡散し、テスト部34において反応層に固定化された抗体42に結合し、酵素43が局在する。発光基質44が発光基質溶液46として流され、テスト部34に局在した酵素によって触媒された化学発光を検出層50で検出する。一般にイムノクロマト法では、反応層30にはニトロセルロースが用いられるが、ニトロセルロース製反応層における発光基質の拡散距離が問題となる。
【0008】
POCTのカートリッジ式のテストデバイスでは、テストデバイスで検出された信号は電極コネクタを介して読み取り装置に伝達され、増幅や信号処理された後、表示や転送や記録が行われる。ここでこの電極コネクタはテストデバイス製造の上でコストを増大させる要因となる他、着脱の繰り返しによる電気的接続の信頼性の低下が問題であった。
【0009】
【特許文献5】特開平01-244370号公報
【特許文献6】特表平08-502968号公報
【課題を解決するための手段】
【0010】
高感度で定量計測が可能であって簡便・安価な反応分析装置を実現するため,免疫反応あるいは酵素反応を利用する新規の検査・分析デバイスを考案した。本デバイスは,試薬層,反応層,検出層,吸収層を積層する構造を有し、この検出層を反応層とともに試薬層および吸収層の間に挟む。ここで試薬層とは検出対象物質に作用する酵素や抗体を含有する層,反応層とは,試薬と試料溶液中の検出対象物質の反応が行われる層,検出層とは,反応層における検出対象物と試薬が作用し合った結果として発生した化学発光,蛍光,電流,電気ポテンシャル,磁気ポテンシャル,機械的応力などの発生あるいは変動を検出し,増幅・ディジタル化などの信号処理を行って無線機能によって外部のリーダに検出信号を送信する層,吸収層とは,計測中において反応層を通過した試薬溶液および試料溶液を吸収する層である。検出層と反応層の位置は入れ替えることが可能である。試料溶液は試薬層側から滴下され,反応層において試薬と試料溶液中の計測対象物と反応する。試薬溶液は吸収層のドレイン機能によって反応層内の溶液流れを促進して洗浄効果を向上する。
【0011】
本発明に係る分析デバイスは一例として、検査対象物質と特異的に結合する第1抗体を保持する保持領域を備える第1膜と、保持領域と対面して設置される検出層と、検査対象物質と特異的に結合する第2抗体を一部に保持する第2膜とを有する。
【0012】
ここで、検出層は、第1膜と第2膜の間に位置してもよい。また、第1膜と対面して設置され、液体に対して吸収性を有する第3膜をさらに有し、検出層は第2膜と第3膜との間に位置してもよい。また、第1抗体は、化学発光を触媒する酵素が結合されていてもよい。
【0013】
本発明に係る分析システムは一例として、検査対象物質と特異的に結合する第1抗体を保持する保持領域を備える第1膜と、前記保持領域と対面して設置され、通信回路を備える検出層と、検査対象物質と特異的に結合する第2抗体を一部に保持する第2膜とを有するデバイスと、デバイスと情報を送受信するリーダライタと、リーダライタと接続する制御機とを有する。
【発明の効果】
【0014】
試薬層,反応層,検出層,吸収層からなる積層構造を有する検査デバイス構成により、反応層において試薬が試薬層から反応層の抗体固定領域に拡散する距離を短縮することができ,発光反応における発光基質の輸送効率向上によって発光強度が増大する。さらに反応層において検出対象物質に作用する固定試薬領域を限定することにより基質が周囲の面内の全方位から供給されるためやはり感度の向上を期待することができる。さらに本検査デバイスは基本的に積層構造であるので単純かつ安価な製造工程を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明からなる検査デバイス、分析デバイス、計測デバイスとして実施の一例を示す。試薬層,反応層,検出層,吸収層を積層する構造を有し、この検出層を反応層とともに試薬層および吸収層の間に挟むことを特徴とする。ここで、試薬層は親水性であって空孔(径1−100μm)を有する層、反応層は空孔(径0.1−100μm)を有し、IgGとして10μg/cmのタンパク質吸着性能を有する層、検出層は有機あるいは無機の半導体材料を用いることによって光、電荷、イオン、電磁場、温度、圧力、歪を電気信号に変換する性質を有する層、吸収層は親水性であって例えば1g/100cm以上の吸水性能を有する層、試料として血液を用いる場合には血球を除去するため、親水性であって空孔径1−100μmを有するフィルタ層を試薬層の上部に追加してもよい。本実地例では、フィルタ層はBorosilicateガラスファイバーを用いることにより異物の除去、血球の分離を行う。試薬層はBorosilicateガラスファイバーを用いることにより修飾抗体などの試薬を保持し、計測デバイス外から試料溶液あるいは試薬溶液が導入されたときに、導入溶液によって保持する修飾抗体を開放する機能を有する。反応層はニトロセルロースメンブレンあるいはナイロン、あるいはPVDF(Polyvinylidene Fluoride)を用いることにより、ここに抗体を固定して抗原抗体反応を起こし、その後,抗原に結合した酵素修飾抗体による酵素反応が起こる場所を提供する。 検出層として、信越半導体Siliconウェハ p型10Ωcm 直径6インチ上に0.35ミクロンCMOSテクノロジーを用いることにより形成したフォトダイオード,信号処理回路(増幅器,AD変換器),受動型RF通信回路,電源発生回路を含む集積回路を形成する。検出層は,反応層における検出対象物と試薬が作用し合った結果として発生した化学発光などの発生あるいは変動を検出し,増幅・ディジタル化などの信号処理を行って無線機能によって外部のリーダに検出信号を送信する機能を有する。吸収層として,Whatman 900 Cotton lintersなどを用いることにより計測中において反応層を通過した試薬溶液および試料溶液を吸収する。検出層と反応層は互いにそれらの位置を入れ替えることが可能である。試料溶液は試薬層側から滴下され,反応層において試薬と試料溶液中の計測対象物と反応する。
【実施例1】
【0016】
本発明の一実施例を図1により説明する。フィルタ層13としてBorosilicateガラスファイバー、試薬層11としてWhatman 33Glass Borosilicate glass fiber,反応層10としてWhatman(登録商標) PRIMA85 Nitrocellulose,吸収層12として,Whatman(登録商標) 900 Cotton linters,検出層50として、p型10Ωcm 直径6インチSiliconウェハ上に0.35ミクロンCMOSテクノロジーにより形成したフォトダイオード,増幅器,AD変換器,受動型RF通信回路,電源発生回路を含む集積回路を用いる。検出対象物の一例として妊娠マーカや腫瘍マーカとして使われているhCG(human Chorionic Gonadotropin)を検出する方法について説明する。ここで反応層10部材としてニトロセルロースの他、ナイロン、ポリビニリジンフルオライド(PVDF、polyvinylidene-Fluoride)などを使うことができるが、抗体固定化の容易さの点でニトロセルロースが多く利用される。検出対象物質の検出・定量はイムノクロマトの場合と同様に図6に示すようなサンドイッチ法による。試薬層11にはhCGに特異的に結合する抗体42が保持されている。ここで抗体42は酵素43で修飾されている。試料溶液45をフィルタ層13上から滴下する。試料溶液中の抗原41は試薬層11に保持された酵素修飾抗体42と反応しながら、反応層10に固定された抗体100と反応する。その後、発光基質44を含む溶液46が滴下されると発光基質は反応層10の中を拡散して、反応層10中の1次抗体の固定領域に局在した酵素43によって発光基質44の発光が触媒される。未反応の抗原や抗体は反応層に局在することなく、吸収層12に到達する。発光は検出層50によって検出される。抗原41の例であるhCGとして、ロート製薬R-505(マウス由来細胞)を用い、固定化抗体100として、抗hCG IgG(Medix Biochemica、品番100066、マウス由来monoclonal anti-human alpha-subunit 6601 SPR-5)をスポッタ(Cartesian(登録商標))により反応層30となるニトロセルロース製メンブレン(Whatman(登録商標)、PRIMA 85)へ固定化した。アルカリフォスファターゼ(AP)修飾抗体42は、抗hCG IgG(Medix Biochemica、品番100006、マウス由来monoclonal anti-hCG 5008 SP-5)に、APラベリングキット(Dojindo(登録商標)、Alkaline Phosphatase Labeling Kit-SH)を用いてAP修飾する。発光基質44にはApplied Biosystems(登録商標)、CDP-StarTM、(ready-to-use仕様、0.25mM)を用いることができる。なお、発光基質溶液にはNitro-Block-II(Applied Biosystems)を5%(v/v)添加してニトロセルロースメンブレンを疎水化処理することで発光基質を動きやすくすることができる。
【0017】
検出層の構造を図8(a)のブロックダイアグラムに示す。反応層10で発生した光は検出層50のセンサ64によって検出される。検出層50は無線を介して制御用パーソナルコンピュータ(PC)80およびリーダ70によってデータの通信を行う。ここでセンサ64はシリコンウェハ上に形成されたフォトダイオード(PD; Photo Diode)、フォトトランジスタ、フォトセル、FET(Field Effect Transistor)など光に感応する素子によって構成することができる。センサ64で捕獲された光は検出層50を構成するシリコンチップ上に形成された信号処理回路63で増幅、アナログ−ディジタル(A-D)変換され、同じくシリコンチップ上に形成された通信回路61に送られ、アンテナコイル74からリーダに送信される。
【0018】
図8(b)は検出デバイスとリーダコイル71の配置を示す。検出層とリーダとの通信には電磁波、交流磁場、交流電場などを用いることができる。本発明ではいずれを用いることも可能であるが、ここでは一般的に多く用いられている、13.56MHzの交流磁場を採用した場合について説明する。リーダ70で生成された交流磁場はリーダコイル71によって検出デバイスの置かれた領域に向けて放射される。本交流磁場は磁場振幅を変動することによってデータを転送する。
【0019】
図13に、本発明における検出デバイスの積層の例を示す。なお、簡単のため、ここでは各層を分離して表示する。ここで検出層50は試薬層11と反応層10の間に配置されている。そして、フィルタ層13と吸収層12がこれらの構造を挟み込むように配置される。図14に示すように、検出層50は反応層10と吸収層12の間に配置することも可能である。検出層50を試薬層11と反応層10に間に配置した場合は、試料溶液中の抗原は試薬層11を通過して試薬層11中に保持された修飾抗体と混合しながら検出層11を迂回して反応層10中の抗体固定部(テスト部)14に到達する。試料溶液が検出層11を迂回すると、試料溶液が検出層11を迂回する間に試料中の抗原41と試薬層中に保持されていた修飾抗体42が反応する時間を確保することができ、抗原抗体反応の効率をより向上することができる。一方、検出層50を反応層10と吸収層12に間に配置した場合は、抗原41が反応層10中の抗体固定部(テスト部)14に早期に到達するため早い信号の立ち上がり期待できる。したがって、より高い感度を得たい場合には検出層を試薬層と反応層の間に配置し、より早い応答速度を得たい場合には検出層を反応層と吸収層の間に配置してもよい。
【0020】
ここで図13および14の構造の検出デバイスについて、図8(b)で示したようなリーダコイルについては、積層構造の上部、下部のいずれに配置しても通信を行うことができる。
【0021】
本構造によれば、外部読取装置による信号検出用の窓形成が不要であることから、以下に述べるような窓形成に伴う信号強度の低下やバックグランド増加の要因を少なくできる。検出層50は測定対象物の濃度に応じて変動する信号、ここでは化学発光が発生する反応層10に密着して配置される。すなわち、本発明の構造では、試薬層11、反応層10、吸収層10が密着して配置されることにより、試薬層から反応層に対する試薬の供給や未反応物の吸収層12への排出が効率的に行われる。従来の検出デバイスでは、特許文献1にあるように、試薬層あるいは吸収層の全部または一部を除去することによって反射率や吸収率や発光を外部計測装置によって計測する構造を採用している。また特許文献2にあるように反応層の色変化を目視によって確認できるように試薬層に相当する部分を着脱式とし、計測時にはこれをはずして観察している。従来方式によれば、このように信号観察用の窓の形成により、窓領域の反応層は試薬層あるいは吸収層とは接していない部分ができ、この部分では試薬の供給が不足による信号強度の低下、あるいは未反応の修飾抗体の吸収層への排出が滞ることによるバックグランド信号の増加、などの問題が発生する。本構造によれば、信号検出は検出層50によって行われ、検出結果は無線によって外部に伝達されるため、反応層における信号観察のために試薬層や吸収層に観察用の窓を形成する必要がなく、このため、試薬供給や未反応修飾抗体の排出が阻害する要因が除かれることで感度の向上、バックグランド信号の低減が可能になる。
【0022】
また、本構造によれば、2次抗体の標識酵素としてアルカリフォスファターゼ(AP)を用いた場合に発光基質の輸送効率を向上できる。これは特にCDP-starのようなジオキセタン系の発光基質をニトロセルロースの反応層中で用いた場合に顕著となる。
【0023】
図3にイムノクロマトデバイスについて発光基質の拡散を調べた結果を示す。 ここに発光基質44を含む溶液46を図3(a)のAで示す位置から滴下した場合の反応層30の発光分布をCCDカメラで観察した結果を図3(b)に示す。ここで、発光基質の滴下位置は中心部に白丸で示す。
反応層30の一部に一次抗体100を固定化し、抗原41を含む試料溶液、続いて発光酵素43で修飾された抗体100を含む溶液を流す。修飾抗体を34の領域に局在させた後、発光基質44を含む溶液46を流して抗体が固定されていないブランク部の発光分布を調べた。図3(b)は発光のCCDイメージである。ここで抗原と結合していない未反応の酵素修飾抗体を洗い流す洗浄工程は入れていないのでブランク部には修飾抗体溶液の濃度に応じた未反応の酵素修飾抗体が一様に分布している。酵素の一様分布にもかかわらず発光は基質の添加位置(滴下部)近傍に限定されていることがわかった。このことから化学発光反応で用いた発光基質のニトロセルロース製の反応層30の中では拡散が大きく阻害されていることがわかった。
【0024】
図3(b)にさらに、基質滴下点周辺(CCDカメラ確認結果に両端が矢印の線分で示した範囲)の発光分布を数値化し,下記に示す定常的な拡散の式(数1)でフィッティングした結果を示す。
【0025】
【数1】

【0026】
ここでは,発光の強度は発光基質の濃度を反映していると考えられる。xは反応層の長さ方向に沿った位置座標,Lはニトロセルロース製反応層内の拡散長である。フィッティングからLを求めた結果,約1mmであった。ラテラルフロー型のイムノクロマト検査デバイスでは、計測対象物に伴う呈色反応を目視によって判定するために試料導入部と呈色部には一定の距離が必要であり、反応層30の中で発光反応が起こる抗体100が固定された領域34と基質を滴下する試薬滴下位置(図3(a) A)は10mm程度の距離に設定されている。
以上のように、定常状態における拡散の式から拡散距離LDは約1mmであることがわかった。したがって、基質添加位置を抗体固定領域34に近づけることにより信号強度は大幅に増大する。
【0027】
図4(a)に従来のラテラルフローによるイムノクロマト構造における試薬層31からの試薬の供給を示す。ここでラテラルフロー構造とは、試料溶液や試薬溶液がデバイスの積層構造の層に対して主として実質的に平行に流れる構造、すなわち、イムノクロマト構造において、試料溶液が導入される試薬層31と試薬溶液が吸収される吸収層52が上面からみて重なりをもたない構造である。図4(b)はフロースルー構造における試薬の流れを示す。ここでフロースルー構造とは、試料溶液や試薬溶液は積層構造の層に主として実質的に垂直に流れることを特徴とする構造、すなわち、試料溶液が導入される試薬層11と試薬溶液が吸収される吸収層12が上面からみて重なりをもつ構造である。フロースルー構造では反応層の中で1次抗体が固定され、酵素が局在する領域17に対して吸収層12は反応層10の下部(吸収層と対面する関係)に配置されているため、発光試薬(基質)を効率的に供給することができる。特にAPを使った化学発光の系で発光基質の拡散距離が短く、図4(b)に示すフロースルー構造では、検出層50の大きさを基質の拡散距離LDに対して同じかそれ以下にすることによって抗体固定領域17に対して反応層面内のあらゆる方向から基質が供給される。図4(c)はラテラルフローとフロースルーのイムノクロマト構造について基質滴下位置と反応領域の距離と基質到達量(相対値)の関係を示す。ここで基質の拡散距離LDは図3(b)で求めた値(1mm)を用いた。フロースルー構造はラテラルフロー構造に比べて基質滴下位置と反応領域の距離が短くなるため図に示すように信号強度の増加が期待できる。
【0028】
また、本構造によれば、検出デバイス組み立て工程の簡略化することができる。APに対するジオキセタン系発光基質のように拡散距離の短い発光試薬を供給しようとする場合、検出デバイスの感度ばらつきを抑えるには1次抗体が固定化されたテスト部に対して発光基質の添加位置を正確に規定する必要があるが、図4(a)の構造では、試薬層31と抗体固定位置34および検出層50を正確に決める必要があり、製造組み立ての工数増が問題になる。図4(b)のフロースルー構造では、反応層10中の抗体固定領域17と検出層50の位置を正確に決めれば、試薬層11や吸収層12は単に積層するだけでよく、正確な位置決めは不要である。これについて以下説明する。抗体固定領域17と検出層50を互いに位置合わせする場合、検出デバイス組立て時における位置合わせばらつきに対してデバイス毎に感度が異ならないようにすることが重要である。抗体固定領域の形状と検出層における受光部の形状が同一の場合、位置合わせばらつきが生ずると抗体固定領域と受光部の重なり面積が変化して感度が低下する方向に変化する。これに対し、受光部の大きさに対して抗体固定領域を大きく設定する、あるいは受光部の大きさに対して抗体固定領域を小さく設定することによって組立て時の位置合わせばらつきによる感度の変動を抑制することができる。一般の組立工程において位置合わせ精度を100μmとすることは格別に困難ではない。そこで、受光部と抗体固定領域の形状を100μmの位置合わせずれがあっても重なり部分の面積が変化しないように形状を定めればよい。位置合わせの具体的手段としては、反応層に位置合わせマークをつけることによって精度良くデバイスを組立てることができる。位置合わせマークは反応層上への染料の滴下、反応層の加工(穿孔、切りかき形成、圧刻)等によって形成することができる。抗体固定領域17と検出層50の形状をこのように定めて位置を合わせれば、他の試薬層11や吸収層12は抗体固定領域に対して十分に大きいため1mm程度の位置合わせ精度で十分であり組立て時の位置合わせについて精密な注意をはらう必要はない。検出層50は一般にシリコンなどの溶液に対して非浸透性の材料で構成されているため、発光試薬の供給経路は検出層50の形状によって規定される。
【実施例2】
【0029】
図5(a)および図7に、1次抗体が固定された領域14からの発光と同時に1次抗体が固定されていないブランク部分からの発光を計測して、その差分を実際の信号として処理する実施例を示す。ここでは、1次抗体が固定された領域を複数有しかつ検出層を複数有し、複数の検出層は、複数の検査領域の少なくとも2つに対面して設置される。本構造は、実際の計測において感度と再現性の向上に有効である。
【0030】
これは、抗体固定部14からの信号を検出するための検出層51とブランク部からの信号を検出する検出層52を設けることによって容易に実現することができる。ここで検出層51と検出層52が接しないように配置すれば抗体固定部14への試料溶液あるいは試薬溶液の流れを検出層51の中心に対して対称にすることができ、固定抗体と抗原の反応効率を向上できる。各検出層は図8(a)の構造を有し、検出層が1個の時と同様にひとつのリーダによってデータを読み出すことができる。識別番号(UID:unique identifier)による衝突防止制御機能を有する無線通信プロトコルを使用することにより、複数の検出層についても図9(a)のようにデータ読み出しシステムは検出層1個の場合とまったく変わらない。図9(b)の制御フローに示すようにinventory(通信フィールド内にある検出層の確認)、pre−charge(フォトダイオードのリセットと計測開始)、measure(計測データのAD変換)などの共通コマンドはリーダから一括して各検出層に送信される。各検出層からの信号はUIDを使って個別に順次読み取る。
【0031】
複数の検出層を制御してそれぞれの信号を検出する場合、各検出層に固有のUIDが必要となる。UIDを付与する方法としては、ROM(Read Only Memory)、PROM(Progammable ROM)、乱数発生回路を用いることができる。PROMについては電気的に書き換えが可能なEEPROM(Electrical Erasable Progammable ROM)、乱数発生回路としてはMOSトランジスタの閾値ばらつきを利用する方式を用いることができる。
【実施例3】
【0032】
他の実施例を図5(b)により説明する。本実施例は1個の検査デバイスで複数の計測対照物をする手段を容易に提供することができる。反応層10の中に第1の計測対象物に特異的に結合する抗体を固定化した抗体固定領域14を形成し、さらに第2の計測対象物に特異的に結合する抗体を固定化した抗体固定領域15を形成する。各抗体固定化領域に隣接して第1の検出層51および第2の検出層53を配置する。さらに抗体を固定化しないブランク部には検出層52を配置する。第1の計測対象物からの信号は検出層51とブランク部の検出層52の差分、第2の計測対象物からの信号は検出層53と検出層52の差分をとって算出する。この場合、3つの検出層を同時に駆動する必要があるが、図9に示した2個の検出層の駆動の場合と同様に各検出層に固有のUIDを用いた輻輳制御機能によって3個の検出層を駆動して、独立にデータを読み取るこが可能である。なお、3個以上の計測対象物についても、各々について検出層と計測対象物に特異的に結合する交代を固定化した領域とを新たに設置することによって対応できる。
【実施例4】
【0033】
他の実施例を図10により説明する。本発明からなる計測デバイスを構成する各層の保護性能、計測時の遮光性能、取扱の容易性を向上するため、フィルタ層13、試薬層11、検出層50、反応層10、吸収層12の各層をケース(カバー)20に収納する。試料はケースに設けられた試料導入部から添加する。ケースは検出層と外部の読み出しリーダとの通信を阻害しないように、樹脂等の誘電体材料たとえばポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂等で構成する。計測デバイスは上記の実施例に記載したデバイスと同様である。
【0034】
本発明の計測デバイスをケースに収納する場合についての実施例を、さらに図11および12により説明する。検出層により化学発光を正確に計測するには、試料導入部21からの外部光侵入を抑制する手段が必要になる。これに対し、光吸収性の染料をガラスファイバ、PVF(poly vinyl fluoride)、nylonなどの多孔質材料を遮光層22を試料導入部21に配置する。これにより、試料導入部21から進入する光は、試料溶液の流れは妨げられず、試料導入部21からケースの内側に進入した光が各層(13、11、10、12)において散乱されて検出層22に到達して雑音源となることを抑制することができる。図12は遮光性能を向上するケースの構造を示す。ケース20の内側に試料導入部21を囲むように凸部23を設けることにより、ケース20と遮光層22の間隙にそって侵入する光を遮断することができる。また、テーパ形状を有する試料導入部20を設けることでデバイスに導入する溶液の飛散を防止できる。また、図11におけるケース20を図12のように24と25に分割することにより、積層構造部分の収納を容易に行うことが可能になる。
【実施例5】
【0035】
他の実施例を図15により説明する。計測デバイスは上記の実施例に記載したデバイスと同様である。図15(a)に示すように、溶液流の制限層18を設けることにより、1次抗体の固定領域に溶液流を集中して感度を向上することができる。制限層18は、吸収層の少なくとも一部に面する層状部材である。さらには、抗体固定部14に接さないように配置される。制限層は液体を浸透しない材料であって、分子吸着の少ない材料あるいは表面処理がなされていることが必要である。このような性質を有する材料としてたとえばポリエステルフィルム、PVC(Poly vinyl chloride)フィルム等を用いることができる。
【0036】
微量試料を計測する場合には、ブランク部を設けてブランク部の発光をさらに計測することができる。図15(b)に示すようにブランク部にも溶液流が集中するように溶液流制限層を設けることによりブランク部の洗浄効果が向上してバックグランド信号を低減することができる。
【実施例6】
【0037】
図17に、検出層として光センサだけでなく、温度センサ、ISFET(Ion Sensitive Field Effect Transistor)センサを組み込んだ検出層を同時に利用する実施例の制御のフローを示す。計測デバイスは上記の実施例に記載したデバイスと同様である。各検出層の制御と信号の読み出しは図9で説明した複数の同種センサを搭載した検出層を用いる場合と同様に、UIDを用いて各検出層を識別することにより、ひとつのリーダで複数の検出層を制御することができる。本実施例の特徴は異なる物理量・化学量をひとつのリーダによって同時に計測することである。光センサによって免疫反応を使ったタンパク質計測を行いながら、温度およびpHを計測してその計測条件を明確にし、タンパク質計測結果を補正することが可能になる。ここで温度センサは半導体のバンドギャップの温度依存性によりダイオード特性が変化することを使って温度を計測する。図8の検出層の構造におけるセンサ64の部分にpn接合を使った温度計測部を形成することにより、計測した温度をディジタル化して外部に送信することができる。
【0038】
ISFETは、通常のMOSトランジスタのゲート電極を試料溶液に接するようにしてここにイオン感応膜を堆積することによって形成する。温度センサの場合と同様に、図8の検出層の構造におけるセンサ64の部分にISFETを形成することにより、計測したpHをディジタル化して外部に送信することができる。ここで、図20(a)に示すように検出層におけるセンサ、信号処理回路、通信回路の一部または全部を有機半導体で構成される検出層38を導入する。有機半導体材料としては例えば比較的低分子量のペンタセン(例えば非特許文献7)、あるいは比較的項分量のポリチオフェン(例えば非特許文献8)などを用いることができる。
【0039】
有機半導体による検出層38の形成方法と材料構成について以下説明する。PET(poly ethylene terephthalate)やpolyesterなどフィルム52上に前記半導体材料をグリニヤール法、電解重合、溶液塗布法や化学的気相成長法などによって堆積し、フォトリソグラフィー技術によってセンサ、信号処理回路、通信回路を含む層51を形成する(図20(b))。図20(a)の検出層38は層51とフィルム52を合わせたものである。ここで実施例1の試薬層、検出層、反応層、吸収層の一部、あるいはすべてを共通のフィルム52上の層51に連続して堆積することにより、簡便かつ安価に検出デバイスを形成できる(図20(c))。有機半導体は大面積のフィルム上に回路やセンサを形成できるため、製造コストの点で有利である。しかし、一般に有機半導体が形成されるフィルムには溶液透過性がないので、フィルムには図21(a)のように溶液を透過させるためのスルーホール39を形成する。上記各層の一部を別々のフィルム上に形成する場合には、同様に吸収層以外の層が形成されたフィルムにスルーホールを形成する。スルーホール39の間隔d1は前記の基質の拡散長に対して同程度以下とすることが望ましい(図21(b))。これにより、発光基質がメンブレンによって捕獲される割合を減らして基質の利用効率を向上し、発光強度を増大することができる。
【実施例7】
【0040】
本実施例では、計測デバイスを全血試料計測関連に用いる例を記載する。ここでは特に、心筋梗塞のマーカして利用されているtroponinなどを全血試料から計測する例を検討する。
【0041】
計測デバイスは上記の実施例の構成と同様の構成を基本とする。従来の目視によるイムノクロマトデバイスでは視認性の点から血球を除くことが必須であるが、本実施例では検出層による発光や電位によって免疫反応を計測するため、反応層における免疫反応は酵素反応が阻害されなければ血球除去は必須ではない。しかし、メンブレンの目詰まり防止の観点から本実施例においても血球を除去するフィルタ層を設けることが望ましい。血球フィルタ層40を導入した計測デバイスの実施例を図22に示す。血球フィルタ層40は、試料の流路において試薬層よりも実質的に下流に配置される。ここで血球フィルタ層40として、例えばPALL社製BTSを用いることができる(図22)。前述のとおり計測は目視計測にたよらないため、反応層10への着色汚染は問題とならず血球フィルタ性能の選定条件は緩和され、血球フィルタコストの点で有利である。
【0042】
【非特許文献7】Y.Y.Lin et al.:IEEE Electron Device Lett.,vol.18,pp.606−608(1997).
【非特許文献8】Denise M. Wilson, Sean Hoyt, Jiri Janata, Karl Booksh and LouisObando, IEEE Sensors Journal, vol. 1,4, pp. 256-274,( 2001)
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1における反応分析キットの構成を示す図。
【図2】従来の反応分析キットの構成の一例を示す図。
【図3】発光試薬の拡散を示す図。
【図4】試薬の供給方法による効果を示す図。
【図5】複数の検出層を導入したときの本発明の実施例を示す図。
【図6】本発明の実施例を示す図。
【図7】本発明の実施例を示す図。
【図8】検出層の構造と通信の原理を示す図。
【図9】複数検出層の駆動と制御シーケンスを説明する図。
【図10】検出デバイスのケース収納を説明する図。
【図11】検出デバイスのケース収納を説明する図。
【図12】検出デバイスのケース収納を説明する図。
【図13】検出デバイスの構造を示す図。
【図14】検出デバイスの構造を示す図。
【図15】溶液の流れを制限する構造を示す図。
【図16】本発明の実施例を示す図。
【図17】本発明の制御シーケンスの一実施例を説明する図。
【図18】本発明の検出層構造の一実施例を説明する図。
【図19】発光基質CDP-starを使った場合の発光反応。
【図20】フィルム上に形成した有機半導体を用いた検出層の構造を示す図。
【図21】フィルム上に形成した有機半導体を用いた検出層の構造を示す図。
【図22】血球除去フィルタを付加した検出デバイスの構造を示す図。
【符号の説明】
【0044】
図において、10:反応層、11:試薬層、12:吸収層、13:フィルタ層、14:抗体固定部(テスト部)、15:抗体固定部(テスト部)、16:試薬・試料の流れ、17:試薬・試料の流れ、18:溶液流の制限層、20:ケース、21:試料導入口、22:遮光層、23:ケース内側に設けられた遮光用の凸部、24:ケース部品、30:反応層、31:試薬層、33:フィルタ層、34:抗体固定部(テスト部)、35:メンブレン中の試薬・試料溶液の流れ、36:メンブレン中の試薬・試料溶液の流れ、37:メンブレン中の試薬・試料溶液の流れ、38:有機半導体検出層、39:スルーホール、40:血球フィルタ層、41:抗原、42:抗体、43:酵素、44:発光基質、45:試料溶液、46:発光基質溶液、47:血球、50:検出層、51:検出層を構成する有機半導体で形成された回路やセンサを含む層、52:フィルム、53:試薬層、60:検出層、61:通信回路、62:通信処理回路、63:信号処理回路、64:センサ、65:UID格納部、66:補正データ収納部、70:リーダ、71:リーダコイル、72:検出層からリーダに送信される信号、73:リーダから検出層に送られる信号、74:チップコイル:75:共振用容量、76:磁力線、80:制御用PC、81:inventoryコマンド、82:pre−chargeコマンド、83:measureコマンド、84:readコマンド、85:readコマンド、86:検出層1に固有のUID、87:検出層1における信号蓄積期間、88:検出層1におけるA−D変換期間、89:検出層1から送信される計測データ、90:検出層2に固有のUID、91:検出層2における信号蓄積期間、92:検出層2におけるA−D変換期間、93:検出層2から送信される計測データ、を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物質と特異的に結合する第1抗体を保持する保持領域を備える第1膜と、
前記保持領域と対面して設置される検出層と、
前記検査対象物質と特異的に結合する第2抗体を一部に保持する第2膜とを有する分析デバイス。
【請求項2】
前記検出層は、前記第1膜と前記第2膜の間に位置する請求項1に記載の分析デバイス。
【請求項3】
前記第1膜と対面して設置され、液体に対して吸収性を有する第3膜をさらに有し、前記検出層は、前記第2膜と前記第3膜との間に位置する請求項1に記載の分析デバイス。
【請求項4】
前記第1抗体は、化学発光を触媒する酵素が結合されていることを特徴とする請求項1に記載の分析デバイス。
【請求項5】
前記第1膜は、ニトロセルロース、ナイロン、ポリビニリジンフルオライドのいずれかを含むことを特徴とする請求項4に記載の分析デバイス。
【請求項6】
前記検出層は、有機あるいは無機の半導体材料を有することを特徴とする請求項1に記載の分析デバイス。
【請求項7】
前記検出層は、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトセル、FETのいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の分析デバイス。
【請求項8】
前記検出層は、液体に対して非浸透性を有することを特徴とする請求項1に記載の分析デバイス。
【請求項9】
前記第1膜と対面して設置され、液体に対して吸収性を有する第3膜をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の分析デバイス。
【請求項10】
前記検出層は、フォトダイオード、信号処理回路、及び通信回路を具備する集積回路であることを特徴とする請求項1に記載の分析デバイス。
【請求項11】
前記保持領域を複数有しかつ前記検出層を複数有し、複数の前記検出層は、複数の前記保持領域の少なくとも2つに対面して設置されることを特徴とする請求項1に記載の分析デバイス。
【請求項12】
複数の前記保持領域は、各々異なる抗体を前記第1抗体として保持することを特徴とする請求項6に記載の分析デバイス。
【請求項13】
前記第1膜及び前記第2膜とを囲むカバーをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の分析デバイス。
【請求項14】
前記第3膜の少なくとも一部に対面する層状部材をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の分析デバイス。
【請求項15】
前記層状部材は、液体について非浸透性であることを特徴とする請求項14に記載の分析デバイス。
【請求項16】
検査対象物質と特異的に結合する第1抗体を保持する保持領域を備える第1膜と、前記保持領域と対面して設置され、通信回路を備える検出層と、前記検査対象物質と特異的に結合する第2抗体を一部に保持する第2膜とを有するデバイスと、
前記デバイスと情報を送受信するリーダライタと、
前記リーダライタと接続する制御機とを有する分析システム。
【請求項17】
前記デバイスを囲むカバーをさらに有することを特徴とする請求項16に記載の分析システム。
【請求項18】
前記フォトダイオード、信号処理回路、及び通信回路を具備する集積回路の全部または一部が有機半導体で構成されることを特徴とする請求項10に記載の分析デバイス。
【請求項19】
前記検査対象物質の流路において、前記第2膜よりも実質的に下流に配置される血球フィルタ層をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の分析デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−292382(P2008−292382A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139922(P2007−139922)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】