説明

生体マイクロバイブレーション解析装置、及び、生体診断支援装置

【解決手段】 生体マイクロバイブレーション(MV)測定値群の中から測定部位が所定の領域にあるMV測定値を選択する第1の手段と、第1の手段で選択したMV測定値の振動量を各々の求める目的でMV測定値の積分値を求める第2の手段と、第2の手段で求めた振動量の値を相互に比較してこれらの相互関係から各々の比率を求め、これらの振動量相互の比率の値を用いてMV測定値を一覧に表し、かつ、所定の領域ごとに分別してMV振動量の分布パターンを表示する第3の手段とを具備する生体MV解析装置。
【効果】
本装置により、(1)安静覚醒時MVの高振幅部位が、身体の健康状態(疾病状態)により身体上を移動することを検出でき、(2)検出した移動パターンに基づき健康状態(疾病状態)の診断を支援でき、(3)健康状態(疾病状態)をMVの発現パターンの特性として変化として把握できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、本発明者らの8年間に亘る、被験者身体皮膚上に検出された生体マイクロバイブレーションに関わる臨床データと、その臨床データに基づく、被験者生体マイクロバイブレーションの特性(分布)と、各種疾患との相関性に関する検討の結果として達成された。
より具体的には、被験者身体皮膚表面上に検出された微細な生理的振動たる生体マイクロバイブレーションを、東洋医学と、臨床医学の理論に基づいて、各種疾患との相関性に関する検討の結果として達成された。
本願発明者らは、鋭意検討を推進することにより、癌性疾患、生活習慣病等の疾病について、病理の状態、疾病の潜在する部位に関して(極)早期に非侵襲的に診断を支援し、さらには、早期発見、早期治療に結びつけることを可能とする装置の開発を完成するに至った。
【0002】

[特許請求の範囲及び明細書において使用する主要な用語]
[用語「生体マイクロバイブレーション」の意義]
本願発明においては、生体マイクロバイブレーションとは、恒温動物身体の表面上で検出され得る、肉眼で感知することが困難な微細振動をいう。
この現象は、1946年にRohracher によって初めて観測され、今日では、マイクロバイブレーション(Micro Vibration:MV)と呼ばれ、当時は、その周波数は10Hz前後であるとされていた。
環境温度の変化及び自律神経作動薬により影響を受けること、変温動物に欠如し恒温動物には存在することなどから、体温調節と関係のある自律神経機能を反映すると考えられてきた。
マイクロバイブレーション(英語表記:Micro Vibration)は、循環器系医療従事者の間においては、専門用語として一般的に使用されている。
マイクロバイブレーションなる用語は、通常、人体の微細振動という意味で使用されており、医療従事者の間においては、一般的には、MVと略称されることが多い。
本願発明においては、機械等の物体に発生する微少振動と区別する目的で、恒温動物身体の表面上に検出されうる、肉眼で感知することが困難な微振動を、生体マイクロバイブレーションという。
本願明細書においては、以後、生体マイクロバイブレーションをMVと略して表記する。
【0003】
[MVの生理学的意義]
肉眼で感知することが困難であるが、生理的には存在する身体表面上の微振動(Micro Vibration、マイクロバイブレーション)の基礎と臨床については、多くの研究発表があり、例えば、MVを自律神経機能検査の1つとして応用する試みも開発されている(非特許文献9〜非特許文献9)。
MVの発生機序については、これまでに主として筋性振動成分によるとする見解と、心弾図性振動成分に基づくとする見解があり、必ずしも従来は明確な統一的見解が得られていなかった。
ここで、心弾図とは、心筋の機械的活動に伴う弾性的な動きを記録したもので、これを循環器科領域においては一般に心弾図(BCG:Ballistocardiography)と呼んでいる。心弾図にモニターされるものは主として血液の時系列的変化で、脈圧波と呼ばれる波形で表される場合が多い。

MVの生理学的意義としては、例えば、以下の(1)〜(5)に示す項目を挙げることができる(非特許文献5)。

〈1〉覚醒安静状態における母指球MVの優勢な振動は心室の拍動にもとづく心弾図性振動成分であること、8〜13Hzの周波数から構成される母指球MVの優勢な振動成分は呼吸の吸息期に増強し、呼息期に減弱すること。

〈2〉運動、精神緊張の場合に観察されるMVの促進的変化は1回の拍出量と心拍数の増加に非常によく対応することから交感神経緊張亢進によるものと考えられること。

〈3〉眼球圧迫、睡眠時に認められるMVの抑制的変化は心拍数、1回の拍出量の減少に対応する事実から迷走神経緊張亢進に由来することが示唆されること。

〈4〉母指球MVの優勢な振動の促進と抑制はいわゆる心臓機能調節の促進と抑制機構と密接に関連すること。

〈5〉MVの優勢な振動群間隔は心拍数の変化によって決定されること。
【0004】
[用語「経穴(けいけつ)」の意義]
本願において、経穴とは、東洋医学の古典に患者の疾病状態を詳細に表す要所と伝えられ、ヒトの身体に361カ所あると伝えられている、いわゆるツボである。
古典ではヒトの身体だけでなく、犬、馬にもあるとしてこれを定めた図がある。
最近では世界保健機構(WHO)の医療用語標準化対策に従って、ヒトの身体に関わる361カ所の経穴に対してアルファベットと数字の組み合わせからなる国際標準名称が世界保健機構から与えられている。
【0005】
[用語「経(けい)」の意義]
本願において、経(けい)なる用語は、身体のすべての経穴を内臓に関わる働き毎に系統的に分別した、経穴の直線的連絡経路を意味する。
人の身体に関わる経絡は14経路あることが世界保健機構(WHO)によって定められている。
【0006】
[用語「WHO標準経穴部位」及び、「意義WHO標準コード記号」の意義]
本願発明においては、WHO標準経穴部位とは、世界保健機構(WHO)及び世界保健機構西太平洋地域事務局(WPRO)が推進する伝統医学における標準化の1つとして、2006年11月、日本で開催された専門家会議において合意に至った世界共通のツボの位置である。
また、本願発明においては、WHO標準コード記号とは、WHO標準経穴部位の合意に基づいて、アルファベットと整数の組み合わせをもってツボの位置を標記したものをいう。

日本はWHO西太平洋地域事務局(WPRO)から経穴部位の国際標準化委員会への参加要請を受け、(社)全日本鍼灸学会、(社)日本東洋医学会、(社)東洋療法学校協会、日本理療科教員連盟、(社)日本鍼灸師会の運営5団体を母体として、2004年4月、第2次日本経穴委員会を発足させた。
この発足後、第2次日本経穴委員会は経穴部位国際標準化公式会議をはじめ、日本、中国、韓国による11回の会合に参加してきた。

2006年11月の合意を元に、世界保健機構(WHO)及び世界保健機構西太平洋地域事務局(WPRO)が発行する世界共通のツボの位置を記した書籍(非特許文献12)の日本における訳本は、第2次日本経穴委員会が監修している(非特許文献13)。
表1に、従来の経絡名に対する、WHO標準経絡名の英語表記を示す。
【表1】

非特許文献12〜非特許文献13に記された全てのツボは、アルファベットと整数の組み合わせをもって標記されている。
日本において当業者が用いてきた経絡名には、このアルファベットを用いて略称として標記されている。
このアルファベットと整数の組み合わせをもって標記したものをWHO標準コード記号と称する。
表2〜表6に、本願発明の請求項2、及び請求項4に記載する経穴を示す。
表2〜表6に示す経穴には、次に挙げるの7項目に関する記述が添えられている。
(1)WHO標準コード記号。
(2)従来の日本で用いられてきた漢字表記による経穴名及び、ふりがな。
(3)解剖学上のツボの位置(当業者は取穴位置と称する)。
(4)ツボの位置に係わる筋肉組織名。
(5)運動神経名、知覚神経名。
(6)直近の最大径動脈名。
(7)ツボが係わる疾病症状(当業者は主治(しゅち)と称する)。
表2〜7に示す経穴は、上肢に係る経穴を示した。
本願発明においては、表2〜7に示す上肢の経穴以外に、下肢に関わる経穴から得られるMV測定値を解析する。
下肢に関わる経穴は図示しない。
【0007】
【表2】

【0008】
【表3】

【0009】
【表4】

【0010】
【表5】

【0011】
【表6】

【0012】
【表7】

【0013】
【表8】

【0014】
【表9】

【0015】
[用語「正経12経」の意義]
本願においては、正経12経なる用語は、前記WHO標準コード記号が定められる以前から、東洋医学論の分野で用いられてきた12種類の経絡を意味する(腎経、膀胱経、脾経、胃経、肝経、胆経、心包経、三焦経、心経、小腸経、肺経、大腸経)。
WHO標準コード記号は、この正経12経の概念に基づいて定められている。
正経12経のうち、上肢に6種類の経が存在し(心包経、三焦経、心経、小腸経、肺経、大腸経)、下肢に6種類の経が存在する(腎経、膀胱経、脾経、胃経、肝経、胆経)。
上肢と下肢に存在する経は異なる。

図2〜図3は、文部科学省により各種学校として認定された鍼灸専門学校において、鍼灸師国家試験受験用教材として用いられている教科書に記載の経絡経穴図の例である(非特許文献14)。
図2に示す経絡は、左右の上肢に存在する「手の太陰肺経」である。
この「手の太陰肺経」は、通常、「肺経」と略して称されることが多い。
本願においても、「手の太陰肺経」を「肺経」と略称する。
図3に示す経絡は、左右の下肢に存在する「足の少陰腎経」である。
この「足の少陰腎経」は、通常、「腎経」と略して称されることが多い。
本願においても、「足の少陰腎経」を「腎経」と略称する。
【0016】
[用語「WHO標準12経」の意義]
本願発明においては、表1に示すWHO標準コード記号の14の経のうち、
コード記号GV(Governor Vessel=督脈)と、
コード記号CV(Conception Vessel=任脈)の2経を除いた12の経をWHO標準12経と称する。
【0017】
[用語「五行穴(ごぎょうけつ)」の意義]
ヒトの身体に361カ所あると伝えられている経穴の中には、五行穴という分類で表される経穴がある。
この五行穴という分類に属する経穴には、井穴(せいけつ)、栄穴(えいけつ)、兪穴(ゆけつ)、経穴(けいけつ)、合穴(ごうけつ)、と呼ばれる5種類の経穴がある。

五行穴における「経穴(けいけつ)」と、段落[0004]に用語の意義を述べた「経穴(けいけつ)」とは、表記は同じであるが、示す意義が異なる。

この5種類の五行穴は、正経12経の12種類の経絡それぞれに、1種類ずつ存在する。
正経12経の12種類の経絡を総合すると、全体で、12種類の井穴、12種類の栄穴、12種類の兪穴、12種類の経穴、12種類の合穴、が存在する。
非特許文献8に、五行穴を例示した文献を示す。
図4〜5に、非特許文献8に記載された図を引用して示す。

段落[0080]〜[0081]に後述して五行穴の詳細を示す通り、五行穴には特殊な意味があると、伝統的に考えられてきた。
この特殊な意味は、古代支那の哲学である五行論に従ってツボの働きが説明されているところに由来する。
図4に示す上肢、下肢には、近傍に「木、火、土、金、水」の文字が付されている。
これらの文字は、五行論に従って付された文字で、五行穴に属する経穴の働きを示すと考えられている。
一方で、段落[0081]で後述する非特許文献8によれば、「五行穴の配置の意義は、現時点で不明である」とされている。
当業者においては五行穴を五兪穴と称することがある。
図4に示す上肢、下肢は、楕円で領域を区分して示している。この区分は、五行穴の種類毎のまとまりを示す。
例えば、図4に示す上肢の指先の領域区分は、図5に示す「井穴」のまとまりである。
同様に、図4に示す下肢の膝の領域区分は、図5に示す「合穴」のまとまりである。

五行穴のうち、手の井穴をWHO標準コード記号で示せば、LU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01であって、これら手の井穴は、本願においては、段落[0025]〜[0026]で後述する、手の第1領域中心経穴、と同じ部位である。
五行穴のうち、足の井穴をWHO標準コード記号で示せば、ST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1であって、これら足の井穴は、本願においては、段落[0025]〜[0026]で後述する、足の第1領域中心経穴、と同じ部位である。

五行穴のうち、手の栄穴をWHO標準コード記号で示せば、LU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02であって、これら手の栄穴は、本願においては、段落[0025]及び、[0027]で後述する、手の第2領域中心経穴、と同じ部位である。
五行穴のうち、足の栄穴をWHO標準コード記号で示せば、ST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2であって、これら足の栄穴は、本願においては、段落[0025]及び、[0027]で後述する、足の第2領域中心経穴、と同じ部位である。

五行穴のうち、手の兪穴をWHO標準コード記号で示せば、LU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03であって、これら手の兪穴は、本願においては、段落[0025]及び、[0028]で後述する、手の第3領域中心経穴、と同じ部位である。
五行穴のうち、足の兪穴をWHO標準コード記号で示せば、ST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3であって、これら足の兪穴は、本願においては、段落[0025]及び、[0028]で後述する、足の第3領域中心経穴、と同じ部位である。

五行穴のうち、手の経穴をWHO標準コード記号で示せば、LU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05であって、これら手の経穴は、本願においては、段落[0025]及び、[0029]で後述する、手の第4領域中心経穴、と同じ部位である。
五行穴のうち、足の経穴をWHO標準コード記号で示せば、ST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4であって、これら足の経穴は、本願においては、段落[0025]及び、[0029]で後述する、足の第4領域中心経穴、と同じ部位である。

五行穴のうち、手の合穴をWHO標準コード記号で示せば、LU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08であって、これら手の合穴は、本願においては、段落[0025]及び、[0030]で後述する、手の第5領域中心経穴、と同じ部位である。
五行穴のうち、足の合穴をWHO標準コード記号で示せば、ST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8であって、これら足の合穴は、本願においては、段落[0025]及び、[0030]で後述する、足の第5領域中心経穴、と同じ部位である。

【0018】
[用語「手の第1領域」〜「手の第5領域」及び、「足の第1領域」〜「足の第5領域」の意義]
図6に、手の第1領域〜手の第5領域及び、足の第1領域〜足の第5領域の部位を概略で示した。
本願においては、五行穴を記述する際に、井穴(せいけつ)、栄穴(えいけつ)、兪穴(ゆけつ)、経穴(けいけつ)、合穴(ごうけつ)の名称を用いる代わりに、図6に示す「第1領域」〜「第5領域」の名称を用いる。
この名称を用いる際に、上肢に関する「第1領域」〜「第5領域」は、「手の第1領域」〜「手の第5領域」と記述することがある。
同様に、下肢に関する「第1領域」〜「第5領域」は、「足の第1領域」〜「足の第5領域」と記述することがある。

以下に、手の第1領域〜手の第5領域及び、足の第1領域〜足の第5領域の意義を詳細に述べる。
【0019】
[用語「手の第1領域」及び、「足の第1領域」の意義]
図7に、手の第1領域の厳密な領域を示す。
本願発明においては、手の第1領域の厳密な領域は、手の井穴を中心として、被験者身長値の160分の1の値を第1領域半径(r1)として示される円内範囲である。
例えば、図7において、第1指尖端に存在するLU11(少商(しょうしょう))を中心として塗りつぶされている範囲は、肺経の第1領域である。
同様に、第2指尖端に存在するLI01(商陽(しょうよう))を中心として塗りつぶされている範囲は、大腸経の第1領域である。
同様に、第3指尖端に存在するPC09(中衝(ちゅうしょう))を中心として塗りつぶされている範囲は、心包経の第1領域である。
同様に、第4指尖端に存在するTE01(関衝(かんしょう))を中心として塗りつぶされている範囲は、三焦経の第1領域である。
同様に、第5指尖端に存在するHT09(少衝(しょうしょう))を中心として塗りつぶされている範囲は、心経の第1領域である。
図7に図示しない、第5指尖端に存在するSI01(少沢(しょうたく))を中心として、同様に塗りつぶされるべき範囲があり、これは小腸経の第1領域である。

手の第1領域は、上肢に存在する6種類の経絡それぞれに、1つずつ存在する。

図示しない足の第1領域の厳密な領域は、足の井穴を中心として、被験者身長値の160分の1の値を第1領域半径(r1)として示される円内範囲である。
足の第1領域は、下肢に存在する6種類の経絡それぞれに、1つずつ存在する。
【0020】
[用語「手の第2領域」及び、「足の第2領域」の意義]
図8に手の第2領域の領域を示す。
手の第2領域の厳密な領域は、手の栄穴を中心として、被験者身長値の107分の1の値を第2領域半径(r2)として示される円内範囲である。
例えば、図8に示す3つ手掌図において、中央に示す手掌図の、第1指の下方に存在するLU10(魚際(ぎょさい))を中心として塗りつぶされている範囲は、肺経の第2領域である。
同様に、図8に示す3つ手掌図において、左側に示す手掌図の、第2指の中間(第2中手指節間節)に存在するLI02(二間(じかん))を中心として塗りつぶされている範囲は、肺経の第2領域である。
同様に、図8に示す3つ手掌図において、中央に示す手掌図の、手掌に存在するPC08(労宮(ろうきゅう))を中心として塗りつぶされている範囲は、心包経の第2領域である。
同様に、図8に示す3つ手掌図において、中央に示す手掌図の、手掌に存在するHT08(少府(しょうふ))を中心として塗りつぶされている範囲は、心経の第2領域である。

同様に、図8に示す3つ手掌図において、右側に示す手掌図の、第4指と第5指の接合部に存在するTE02(液門(えきもん))を中心として塗りつぶされている範囲は、三焦経の第2領域である。
同様に、図8に示す3つ手掌図において、右側に示す手掌図の、第5指の中間(第5中手指節間節)に存在するSI02(前谷(ぜんこく))を中心として塗りつぶされている範囲は、三焦経の第2領域である。

手の第2領域は、上肢に存在する6種類の経絡それぞれに、1つずつ存在する。

図示しない足の第2領域の厳密な領域は、足の栄穴を中心として、被験者身長値の107分の1の値を第2領域半径(r2)として示される円内範囲である。
足の第2領域は、下肢に存在する6種類の経絡それぞれに、1つずつ存在する。

【0021】
[用語「手の第3領域」及び、「足の第3領域」の意義]
手の第3領域の厳密な領域は、手の兪穴を中心として、被験者身長値の80分の1の値を第3領域半径(r3)として示される円内範囲である。
手の第3領域は、上肢に存在する6種類の経絡それぞれに、1つずつ存在する。

足の第3領域の厳密な領域は、足の兪穴を中心として、被験者身長値の80分の1の値を第3領域半径(r3)として示される円内範囲である。
足の第3領域は、下肢に存在する6種類の経絡それぞれに、1つずつ存在する。
【0022】
[用語「手の第4領域」及び、[足の第4領域]の意義]
手の第4領域の厳密な領域は、手の経穴を中心として、被験者身長値の80分の1の値を第4領域半径(r4)として示される円内範囲である。
手の第4領域は、上肢に存在する6種類の経絡それぞれに、1つずつ存在する。

足の第4領域の厳密な領域は、足の兪穴を中心として、被験者身長値の80分の1の値を第4領域半径(r4)として示される円内範囲である。
足の第4領域は、下肢に存在する6種類の経絡それぞれに、1つずつ存在する。

【0023】
[用語「手の第5領域」及び、[足の第5領域]の意義]
手の第5領域の厳密な領域は、手の経穴を中心として、被験者身長値の80分の1の値を第5領域半径(r5)として示される円内範囲である。
手の第5領域は、上肢に存在する6種類の経絡それぞれに、1つずつ存在する。

足の第5領域の厳密な領域は、足の兪穴を中心として、被験者身長値の80分の1の値を第5領域半径(r5)として示される円内範囲である。
足の第5領域は、下肢に存在する6種類の経絡それぞれに、1つずつ存在する。

【0024】
[5領域]
本願においては、第1領域から第5領域をまとめて表現するときに、これを総称して「5領域」と称する。

【0025】
[用語「手の第1領域中心経穴」〜「手の第5領域中心経穴」及び、「足の第1領域中心経穴」〜「足の第5領域中心経穴」の意義]
本願においては、第1領域〜第5領域の、各領域の中心に存在する経穴を、各領域の中心経穴とする。

図9を用いて、「手の第1領域中心経穴」を説明する。
図9に示す手掌図に矢印を付して説明する経穴は、「井穴」である。
段落[0018]〜[0019]に述べたとおり、手の井穴を中心として、被験者の身長値の160分の1の値を第1領域半径(r1)とした円内を「手の第1領域」と定めた。従って、手の井穴は、手の第1領域の中心である。
故に、手の井穴を、「手の第1領域中心経穴」とする。

同様に、以下、手の第2領域〜手の第5領域の中心に存在する経穴を、それぞれ、「手の第2領域中心経穴」〜「手の第5領域中心経穴」とする。
同様に、足の第1領域の中心に存在する経穴を、「足の第1領域中心経穴」とし、以下、足の第2領域〜足の第5領域の中心に存在する経穴を、それぞれ、「足の第2領域中心経穴」〜「足の第5領域中心経穴」とする。
これら各領域における領域中心経穴は、五行穴である。
次に、「手の第1領域中心経穴」〜「手の第5領域中心経穴」及び、「足の第1領域中心経穴」〜「足の第5領域中心経穴」の位置について、WHO標準コード記号で示して詳細に述べる。
【0026】
[用語「手の第1領域中心経穴」及び、「足の第1領域中心経穴」の位置]
手の第1領域中心経穴をWHO標準コード記号で示せば、LU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01である。
足の第1領域中心経穴をWHO標準コード記号で示せば、ST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1である。
【0027】
[用語「手の第2領域中心経穴」及び、「足の第2領域中心経穴」の位置]
手の第2領域中心経穴をWHO標準コード記号で示せば、LU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02である。
足の第2領域中心経穴をWHO標準コード記号で示せば、ST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2である。
【0028】
[用語「手の第3領域中心経穴」及び、「足の第3領域中心経穴」の位置]
手の第3領域中心経穴をWHO標準コード記号で示せば、LU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03である。
足の第3領域中心経穴をWHO標準コード記号で示せば、ST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3である。
【0029】
[用語「手の第4領域中心経穴」及び、「足の第4領域中心経穴」の位置]
手の第4領域中心経穴をWHO標準コード記号で示せば、LU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05のである。
足の第4領域中心経穴をWHO標準コード記号で示せば、ST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4のである。
【0030】
[用語「手の第5領域中心経穴」及び、「足の第5領域中心経穴」の位置]
手の第5領域中心経穴をWHO標準コード記号で示せば、LU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08である。
足の第5領域中心経穴をWHO標準コード記号で示せば、ST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8である。

【0031】
[用語「領域偏縁経穴」の意義]
図10に手の第2領域を示して、「領域偏縁経穴」を例示する。
本願においては、5領域の各領域ごとに、2つの「領域偏縁経穴」を定める。
領域偏縁経穴は、領域の円内に定める2つの副測定点である。
この2つの副測定点と、中心経穴との位置関係を説明する。
この2つの副測定点のうち、1つは中心経穴を中心に見て、指先方向に定め、もう1つは中心経穴を中心に見て、体幹方向に定める。
例えば、図10に示す手掌図左を例に説明する。
図10の手掌図左に、丸く塗りつぶした3つの円で示す3つの第2領域うち、左の第2領域は、第1指の下方に存在するLU10(魚際(ぎょさい))を中心経穴とする第2領域である。
このLU10(魚際(ぎょさい))を中心に見て、魚際を中心とした第2領域内の指先方向に、指先側の「第2領域偏縁経穴」の点が定められている。
さらに、LU10(魚際(ぎょさい))を中心に見て、第2領域内の体幹方向に、体幹側の「第2領域偏縁経穴」の点が定められている。
本願においては、これら2つの点を副測定点と見なし、「第2領域偏縁経穴」と定義する。
尚、当業者は一般に、ここに定義した「第2領域偏縁経穴」を経穴とは見なさない。

本願においては、前述したLU10(魚際(ぎょさい))の例と同様に、正経12経の全ての経において、第1領域〜第5領域に、領域偏縁経穴が2つずつ定められている。
本願発明においては、領域偏縁経穴で得られた測定値を利用する。
【0032】
[経穴の範囲]
従来、総数で361あるとされている経穴のそれぞれの位置は、極めて狭い皮膚上の1点である、と考えられてきた。
例えば、表2に示す経穴のうち、7行目に記載したLU10を例にとる。
このアルファベット略号LUが示す経絡とは、表1に示したWHO標準コード記号のLUを意味する。したがってこの経絡は、手の太陰肺経であり、LU10は、手の太陰肺経の「魚際(ぎょさい)」に当たる。
本願においては、この経穴は、第2領域中心経穴の1つである。
LU10(手の太陰肺経の魚際)に関して、表2の「取穴部位(しゅけつぶい)」の項を参照すると、
「第1中手指節関節(だいいちちゅうしゅしせつかんせつ)の上、橈側陥凹部(とうそくかんおうぶ)、表裏の肌目(はだめ)」
との指定がある。この指定が示す皮膚上の点は、一般的に半径2ミリメートル程度の範囲、もしくはそれ以下の狭い範囲である。
【0033】
[MVの振動範囲]
従来、経穴1つについての面積範囲が狭いことから、MVにおいても同様に振動する部位の範囲が狭いことが類推された。
然るに、本願発明者が皮膚上のMVと経穴についての関係を観察し検討したところ、MVの振動範囲は部位が広いことが判明した。
以下に、振動範囲の広がりに関わる本願発明者の発見を列記すれば、

(1)殊に腫瘍・嚢胞など細胞増殖制御に係わる疾患を有する被験者のMVにおいては、それら腫瘍・嚢胞などの病変が発生している身体の解剖学的部位に係わること無く、一様に振動量の大きいMVが、正経12経の全ての経において、第2領域中心経穴に集中して現れる。
例えば、この第2領域中心経穴の1つに、LU10(魚際(ぎょさい))が挙げられる。

段落[0090]〜[0105]に後述する「従来からのMV波形測定装置及び、技術」において、「母指球上の測定点」として頻繁に用いられる位置は、LU10(魚際)を中心として、被験者身長値の107分の1の値を第2領域半径(r2)として示される円内範囲に設けられることが多い。

(2)この振動量の大きいMVは、前記疾患被験者の病変進行の程度にほぼ比例して大きくなる。
(3)この振動量の大きいMVは、振動する部位の範囲が第2領域中心経穴を中心に、半径10ミリメートルから20ミリメートルまで広がって現れる。
(4)この振動範囲の広がりは、被験者の身長値に比例して範囲が広がる。
(5)この振動範囲の広がりの程度は、指先付近では範囲が狭く、手首、足首付近ではやや広く、肘、膝付近ではさらに広くなる。
(6)この振動範囲の広がりを円と見立てて、半径の値でこの広がりの広さを検討すると、手指付近では、被験者身長値の約160分の1であり、肘、膝関節付近では、被験者身長値の約40分の1程度である。

本願発明者が、細胞増殖制御に係わる他の被験者でも同様の検討を行うと、腫瘍・嚢胞などの病変では病変進行の程度にほぼ比例して、専ら第2領域全面においてMV振動量が増大することを見出した。
一方、細胞増殖制御に係わらない疾患では、第2領域以外の他の領域で、振動量の大きいMVが観察されることを見出した。
【0034】
本願発明者が、臨床データについて鋭意検討した結果、疾病の診断支援を目的としたMVの解析において、MV測定データが得られた位置を、

(1)WHO標準経穴部位、及び、
(2)領域半径値で示される領域内に定めた少なくとも2点の副次的な測定点

の3点とすることにより、統計学的に有意な臨床データを得ることができることを見出した。
また、本願発明者は、臨床データを検討する過程において、統計学的に有意な臨床データを得るためには、5領域中心経穴を中心とする5領域が極めて重要な意義を有することを見出した。
本願発明者は、これら5領域内において、従来の一般的な「経穴」という概念は、「本測定点」として重要な意義を有することを見出した。
さらに、本願発明者らは、驚くべきことに、「本測定点」たる「経穴」という概念に加えて、「副測定点」たる「領域偏縁経穴」も重要な意義を有することを見出した。
すなわち、本願発明者らは、今般、新たに、「本測定点」たる「経穴」とは全く異なる新たな概念であるところの、「副測定点」たる「領域偏縁経穴」という概念も、「本測定点」たる「経穴」と同等の重要な意義を有することを見出した。
【0035】
[用語「振動量対数値:(V)」の意義]
本願発明においては、被験者から得られたMV測定値を比較検討する際に、「振動量対数値:(V)」を定義して用いる。
領域中心経穴及び、領域偏縁経穴から得られたMV測定値には、自然数をもって連続番号が付される。

本願においては、この連続番号を「n」として、以下に用いる数式中で表す。

この連続番号を「n」が付されたMV測定値は、段落[0045]に後述する、MV測定値の一覧表たる「振幅スコア表」に、「n」番号と共に入力され、保存される。

[振動量対数値:(V)]
「振動量対数値(V)」とは、数式(2)で表される振動量の対数表記である。
【0036】
【数1】


【0037】
数式(1)〜(2)において、
f :MV振幅値、
:表9に示すディテクタ番号におけるMV振幅値、
F:MV測定開始時間からMV測定終了時間までのMV波形積分値であって、MVの振動量、
V:振動量対数値、
である。
実施において、「V」は「Vn」として、「F」は「Fn」として、共に表9に示すディテクタ番号「n」の連続番号を付されて保存される。

Fは、数式(1)で表される。
【0038】
【数2】


【0039】
数式(1)において、
積分区間は、MV測定開始時間からMV測定終了時間までであり、
から始まり、tで終わる。
単位は秒であって、MV測定時間である。

本願の実施例において、Fを求める場合は、表計算ソフトウェアを用いて積分近似値を求める。
表計算ソフトにディテクタから得られた測定値を入力する装置及び、ソフトウェアは、ディテクタ製造者から供給されるデータロガー及び、専用ソフトを用いることで可能である。
例えば一例として、(株)キーエンスが供給する「SIシリーズ」及び、「SKGシリーズ」においては、本体に付属するデータストレージ機能によって、MV測定値の保存と読み出しが可能である。
「SIシリーズ」の一例としては、「SI−F01」を挙げることができる。(「SI−F01」については、以下のURLを参照。http://www.keyence.co.jp/henni/laser_henni/si/spec/)。

積分近似値:Fは、次の数式(3)で表される。
【0040】
【数3】


【0041】
この数式(3)において、例えば、本願発明に用いるディテクタの仕様により、サンプリング周期が5000回毎秒であるから、
Δτm=0.2(ミリセコンド)
となる。
したがって、Δt=1として差し支えない。

ΔAm:MV波形の振幅
である。
ΔAm値を2乗した後に、平方根を求めることで、ΔAm値のマイナス値をプラス変換する。
ΔAm値は、表計算ソフトの行に、ディテクタのサンプリング周期にしたがって、例えば1秒間に5000個入力される。
この入力後に、各ΔAm値とΔτmとを乗ずる。

さらに、この乗じた値を、測定開始時〜測定終了時の間で総和する。
総和する演算は、表計算ソフトの測定開始値入力行〜測定終了値入力行の間で行う。
この総和する演算の一例を示せば、表計算ソフトの第一行目〜第25000行目の間で演算する、という動作が挙げられる。

この演算して生成された値の対数値を数式(2)で求めて、「振動量対数値(V)」を生成する。

本願発明においては、被験者の左右の片側について、上肢、下肢で合わせて180個のMV測定値を演算し、180個の「振動量対数値(V)」、すなわち、V1〜V180を求める。
この180個の内訳は、次の通りである。
60カ所の領域中心経穴に関わる60個及び、
120カ所の領域偏縁経穴に関わる120個である。
【0042】
[用語「振動量相対値:(R)」の意義]
本願発明においては、被験者から得られたMV測定値を比較検討する際に、「振動量相対値(R)」を定義して用いる。
「振動量相対値(R)」とは、ある1人の被験者から得られた複数の振動量対数値(V)集合を比較したときに、集合内の最低値を0として求める振動量対数値(V)の差分である。
「振動量相対値(R)」は、次の数式(4)で表される。
【0043】
【数4】


【0044】
「Rn」 :人の被験者から得られた、振動量対数値Vnと、振動量対数値の中の最も小さい値との差分、
「Vmin」:1人の被験者から得られた、振動量対数値Vnの集合のうち、最も小さい値を示すVn
である。
【0045】
[用語「振動量スコア表」の意義]
本願発明においては、振動量相対値(R)を表示する目的で用いる表を「振動量スコア表」と定める。
振幅スコア表は、本願発明の装置が、医師等に提供する診断支援情報の1つである。
振動量スコア表は、行と列とで、MV測定値を検出した皮膚上の位置を示す。
図11に、振動量相対値(R)を入力して表示した、振動量スコア表の一例を示す。
図12に、振動量スコア表を用いて、測定値の検出位置を、従来の経穴名を用いて示す。
【0046】
[用語「振動量スコア」の意義]
本願発明においては、振動量スコア表に記載する所定の略称及び記号を、「振動量スコア」と称する。
本願発明の明細書においては、振動量スコアに用いる識別背景色及び、記号の種類は、
「薄赤色背景」:最大値を示す識別背景色、
「◎」、「○」、「△」の3個の記号、
「 」:入力無しを示す空白、
の5種類である。
振動量スコアは、振動量相対値(R)を変換した表記である。
振動量スコアは、本願発明の装置が、医師等に提供する診断支援情報の1つである。
振動量スコアを用いて、180点の振動量相対値(R)を変換することで、視認を容易にし、振動量相対値(R)相互の大小比較を容易にする。
図13に、振動量スコアを入力して表示した、振動量スコア表の1例を示す。
次に、「振動量相対値(R)」を「振動量スコア」に変換する方法を説明する。
【0047】
[用語「振動量スコアパラメータ:(A)、(B)、(C)」の意義]
本願発明においては、「振動量相対値(R)」を「振動量スコア」に変換する目的で、閾値を用いる。
この閾値を「振動量スコアパラメータ」と定義する。
振動量スコアパラメータは、本願実施例においては、(A)、(B)、(C)の3個を用いる。
これら(A)、(B)、(C)は、次の通りである。
振動量スコアパラメータ(A):8を基準値として0以上30以内の整数値、
振動量スコアパラメータ(B):5を基準値として0以上30以内の整数値、
振動量スコアパラメータ(C):3を基準値として0以上30以内の整数値、
であって、かつ、
振動量スコアパラメータ(A) > 振動量スコアパラメータ(B) > 振動量スコアパラメータ(C)
である。

振動量相対値(R)>= (A)であるときは、
振動量相対値(R)を「◎」に変換する。

(A) > 振動量相対値(R)>= (B)であるときは、
振動量相対値(R)を「○」に変換する。

(B) > 振動量相対値(R)>= (C)であるときは、
振動量相対値(R)を「△」に変換する。

(C) > 振動量相対値(R)であるときは、
振動量相対値(R)を「(無しを示す空白)」に変換する。
【0048】
[用語「第2領域(R)合計値:(RII)」の意義]
本願においては、医師等に提供する診断支援情報の1つとして、「第1領域(R)合計値」、「第2領域(R)合計値」及び、「第3領域〜第5領域(R)合計値」を定義し、それぞれを「RI 」、「RII」及び、「RIII~V 」と表記する。
「RI 」、「RII」及び、「RIII~V 」は、次の数式(5)〜(7)で表される。
【0049】
【数5】

【0050】
この数式(5)〜(7)において、
I :第1領域(R)合計値、
II :第2領域(R)合計値
III~V :第2領域〜第5領域(R)合計値
である。
i : 振動量スコア表の列番号であって、1から15までの自然数、
である。
振動量スコア表の列番号「i」を設定する方法を、図14を用いて示す。
図14に例示する振動量スコア表の、最下行に「列番号」を示した。
この列番号は、振動量スコア表の第1領域の左端列に1を設定し、順次右列に数値を1ずつ増やして設定し、第5領域の右端列に15を設定する。
第1領域は、指先に存在する井穴であり、
第5領域は、肘または、膝の周辺に存在する合穴であるから、列番号1〜15は、上肢または、下肢の指先から肘または、膝まで位置を1〜15数字に置き換えて示している。

数式(6)において、「i」が示す「4〜6」は、振動量スコア表の第2領域を示す。
「RII」は、振動量スコア表の第2領域に入力された振動量相対値(R)を、総和することにより求める。
本願発明者が、臨床データについて鋭意検討した結果、殊に腫瘍・嚢胞など細胞増殖制御に係わる疾患を有する被験者のMVにおいては、それら腫瘍・嚢胞などの病変が発生している身体の解剖学的部位に係わること無く、一様に振動量の大きいMVが、正経12経の全ての経において、第2領域中心経穴に集中して現れることを見出した。
したがって、「RII」を、診断支援情報の1つとして提供する意義は極めて大きい。
【0051】
[用語「第2領域(R)集中度:CD」の意義]
本願においては、医師等に提供する診断支援情報の1つとして、「第2領域(R)集中度」を定義し、「CD」と表記する。
「CD」とは、英語表記:Concentrated Degreeの略表記である。
「CD」は、次の数式で表される。
【0052】
【数6】

【0053】
この数式において、
CD : 第2領域(R)集中度、
κ : 係数
I :第1領域(R)合計値:数式(5)、
II :第2領域(R)合計値:数式(6)、
III~V :第2領域〜第5領域(R)合計値:数式(7)、
である。

例えば、振動量スコア表の全てのマスに、同じ値の振動量相対値(R)が入力されたときに、係数Kに整数「4」を用いると、「No2(R)focus値」が「1.00」となる。
No2(R)focus値が「1.00」のとき、被験者の第1領域〜第5領域で検出されるMV振動量に偏りが無い。
すなわちこのとき、振動量相対値(R)は第2領域に集中していないことを示す。
本願発明者が、臨床データについて鋭意検討した結果、殊に腫瘍・嚢胞など細胞増殖制御に係わる疾患を有する被験者のMVにおいては、それら腫瘍・嚢胞などの病変が発生している身体の解剖学的部位に係わること無く、一様に振動量の大きいMVが、正経12経の全ての経において、第2領域中心経穴に集中して現れることを見出した。
従って、「第2領域(R)集中度:CD」を、診断支援情報の1つとして提供する意義は極めて大きい。
【0054】
[用語「MV変動指数値:VD」の意義]
本願においては、医師等に提供する診断支援情報の1つとして、「MV変動指数値:VD」を定義し、「VD」と表記する。
「VD」は、英語表記:Variation Degreeの略表記である。
「VD」は、次の数式で表される。
【0055】
【数7】

【0056】
この数式において、
VD : MV変動指数値、
CD : 第2領域(R)集中度、
本願においては、VDを求める際に、CDに代入する係数「κ」として「1」を用いる。

本願発明者が、臨床データについて鋭意検討した結果、殊に、癌性疾患の疾病状態と係わるMVにおいては、
(1)第2領域におけるMV振動量の大きさ、すなわち「RII」と、
(2)MVが5領域の中で第2領域に集中して現れる度合い、すなわち「CD」とがともに疾患の進行度と正の相関にあることを見出した。

従って、数式(9)で示すように、「RII」と、「CD」の3乗の値とを、乗ずることで、癌性疾患の進行状態との関わりを、正の相関をもって示す指数を生成することができる。
「MV変動指数値CD」を、診断支援情報の1つとして提供する意義は極めて大きい。
【0057】
[用語「診断基準振動量スコアファイル」の意義]
本願において、「診断基準振動量スコアファイル」とは、段落[0047]に述べた「振動量スコアパラメータ(A)、(B)、(C)」に関わるパラメータ数値と、判定プログラム及び、データベースを格納する、コンピュータ内のファイルである。
【0058】
[用語「医学診断基準ファイル」の意義]
本願において、「医学診断基準ファイル」とは、血液検査データを判断するためのパラメータ数値、判定プログラム及び、データベースを格納する、コンピュータ内のファイルである。
【0059】
[用語「鍼灸診断基準ファイル」の意義]
本願において、「鍼灸診断基準ファイル」とは、振幅スコア表に入力された振幅スコアの分布状態を疾病状態と関連づけて判断する際に、東洋医学論上の有機的診断基準情報を格納する、コンピュータ内のファイルである。
【0060】
[用語「漢方診断辞書ファイル」の意義]
本願においては、医師等に対して、漢方診断を支援する目的で、コンピュータ内のデータベースに「漢方診断辞書ファイル」を備える。
図14を用いて、この「漢方診断辞書ファイル」を例示する。
段落[0199]〜[0210]に、「漢方診断辞書ファイル」の実施例等を後述するように、この漢方診断辞書ファイルには、被験者に係る漢方投薬前のMV分布と、投薬後のMV分布とを比較して、薬効と考え得るMV分布の変化を記録する。

【0061】
[用語「診断支援基準」の意義]修正
本願発明においては、生体診断支援情報を提供するために「診断支援基準」を用いる。
この診断基準には、「癌性疾患診断支援基準」と、「漢方薬処方支援基準」とがある。
診断支援基準の設定においては、西洋医学的健常者であって同時に、東洋医学的健常者である被験者を母集団として統計学的検定を行う。
この検定された母集団の平均値を基礎に、医師等の臨床経験によって標準領域を定める。
以下に、「癌性疾患診断支援基準」と、「漢方薬処方支援基準」の詳細を述べる。
【0062】
[癌性疾患診断支援基準]
本願においては、「癌性疾患診断支援基準」として、2項を定める。
この2項とは、
(1)「MV変動指数値:VD」と、
(2)「MV変動指数値:VD」の時系列変化を表す折れ線グラフの傾き、
である。

段落[0157]に後述する、健常若年者6名の例を示して(1)の例を挙げれば、
健常若年者における(1)「MV変動指数値:VD」は、
0.02254±0.02360 (平均値±標準偏差)
である。

従って、この平均値±標準偏差以内のMV変動指数値:VDが、癌性疾患を論点とするときの安全値の一例として示される。

(2)として挙げた、「MV変動指数値:VD」の時系列変化を表す折れ線グラフの傾きは、腫瘍マーカー値が上昇するときにプラス勾配を示し、腫瘍マーカー値が減少するときにマイナス勾配を示す。
この傾きが、ゼロ勾配の時は、腫瘍マーカー値の上昇は無いと推測できる。
従って、癌性疾患ですでに腫瘍切除術を受けた被験者に係る「MV変動指数値:VD」の時系列変化を表す折れ線グラフの傾きは、癌性疾患の疾病状態が悪化傾向にあるのか、あるいは、改善傾向にあるのかを示すので、診断支援情報の1つとして提供する意義は極めて大きい。

【0063】
[漢方薬処方支援基準]
「漢方薬処方支援基準値」漢方薬の処方を行う医師等に提示する診断支援情報の基準設定においては、母集団選定に東洋医学的に診断した被験者の条件を加えなければならない。
この理由を挙げれば、医師等が生薬単味を選定するに際して、生薬単味の薬効に関する有効なデータベースの大半が、伝統的に東洋医学的判断基準に基づいて作成されているからである。

【0064】
[用語「腫瘍」の意義]
本願発明においては、腫瘍とは、「広辞苑」岩波書店 昭和40年4月25日刊第1版が示す次の記述に準ずる。すなわち、
「体部に発生し、自発的に発育する病的組織の増殖物。多くは臓器あるいは組織中に「はれもの」「こぶ」として限局性の結節をつくる。
良性のもの(筋腫・脂肪種・繊維種・骨腫など)と、悪性のもの(肉腫・癌腫など)とある。」との内容を意味する。
【0065】
[用語「嚢胞」の意義]
本願発明においては、嚢胞とは、南山堂医学大辞典第18版EPWING版が示す次の内容に準ずる。すなわち、
英語のcyst(独;Zyste、仏;kyste)の語原はギリシャ語のkustisに由来する。液体を内容として壁に囲まれた袋状の腫瘤である。内面に上皮の被覆を認める真性嚢胞true cystと上皮の被覆を示さない仮性嚢胞pseudo cystに分けられる。嚢胞は下記のように分類される。
1)先天性嚢胞congenital(developmental)cyst:発生過程の異常に由来する(鰓原性嚢胞branchiogenic c.など)。
2)炎症性嚢胞inflammatory c.:炎症性変化に続発する(歯根嚢胞*radicular c.など)。
3)変性嚢胞degenerative c.:組織の壊死に続発する(甲状腺腫の嚢胞性変化など)。
4)貯留嚢胞*retention c.:分泌内容の貯留による腺管の拡張(子宮腟部のナボット卵*Nabothian follicleなど)。
5)移植嚢胞implantation c.:上皮が結合組織中に移植されて生じる(類表皮腫など)。
6)寄生虫嚢胞parasitic c.(包虫嚢胞hydatidc.など)。
7)増殖性嚢胞hyperplastic c.(乳腺嚢胞など)。
8)腫瘍性嚢胞neoplastic c.(卵巣の嚢胞腺腫など)。
である。
【0066】
[用語「ポリプ、または、ポリープ」の意義」
本願発明においては、ポリプ、または、ポリープとは、「広辞苑」岩波書店 昭和40年4月25日刊第1版が示す次の内容に準ずる。すなわち、
英名:Polyp。皮膚または粘膜の表面から細い柄でぶら下がった腫瘍ないし腫瘍様組織。
との内容及び、
「南山堂医学大辞典」第18版EPWING版が示す次の内容を示す。
《同義語》茸腫,隆起性病変protruded lesion
ポリープとは、粘膜の肉眼的に有茎の限局性隆起の総称で、その組織構成成分とは無関係な、あくまで肉眼形態に対しての呼び名である。胃ポリープ、大腸ポリープ,鼻たけ、子宮頚管ポリープ、尿道ポリープ、などがある。限局性隆起病変に対してもポリープの用語が用いられ、その場合、無茎性ポリープ、有茎性ポリープと表現されている。
【0067】
[用語「CEA(癌胎児性抗原)」の意義]
本願発明においては、CEAとは、癌胎児性抗原(ガンタイジセイコウゲン、carcinoembryonicantigen)を意味する。
CEAは、医学大辞典(南山堂、第18版、EPWING版)によれば、CEA産生大腸癌細胞では、管腔に面した癌細胞膜に密接したglycocalyx中に局在しており、大腸癌被験者の50〜80%に陽性であるが、膵臓癌、肺癌、肝癌、乳癌、神経芽細胞腫などの悪性腫瘍のみならず肝硬変、慢性肝炎、腎透析などの非腫瘍性病変でも陽性を示すことがあって、大腸癌組織のみならず、膵、肺、肝、乳腺、前立腺、腸管などの成人の正常組織にも少量ながら存在し、一般に、腺癌に高値を示す場合が多く、大腸癌に対する特異性はうすれたが、腫瘍の診断及びその消長の判定などに利用される。
【0068】
[用語「CA19−9」の意義]
本願発明においては、CA19−9とは、大腸癌培養細胞に対するモノクローナル抗体NS19−9の認識する糖鎖抗原で、シアリルルイスAとも呼ばれる糖鎖抗原を示す。
従来からの正常人血清値は95%が20U/ml以下、98%は37U/ml以下であるとされている。例えば「子宮頸管粘液中のCA125,CEA,CA19−9含有量」南部吉彦ら、京都大学医学部婦人科学産科学教室、日本産婦人科学会雑誌 Acta Obst Gynaec Jpn Vol.40, No.10,pp.1519-1524, 1988(昭和63年10月)によれば、婦人科的に異常の無い婦人の頚管粘液中のCA19−9の値は3470±500U/ml(平均値±標準誤差)で月経周期による差異は認めなかったこと、及び、頚管ポリープ及び膣炎の症例においてCA19−9値が健常婦人に比して有意に高い値を示すこと、及び、前記頚管ポリープ及び膣炎の症例の治療に女性ホルモン製剤エストリオール座薬を投与することでCA19−9値が低下したことを示している。
【0069】
[用語「皮膚」の意義]
本願発明においては、皮膚とは、皮膚を構成する真皮と表皮と、表皮の角質層とを包含する。
【0070】
[用語「MV波形」の意義]
本願発明においては、MV波形とは、皮膚の微振動であるMVの波動が皮膚上、及び/又は、皮下組織の一定点において示す物理量の時間的変化、あるいは/また、一定時間間隔の物理量の空間的変化をグラフで示したものをいう。この一次グラフが示す波形と、この一次グラフの波形を一次微分して得られる当業者が速度波形と称するグラフと、さらにこの速度波形を二次微分して得られる加速度波形とを包含する。
【0071】
[用語「高振幅部位」の意義]
本願発明においては、高振幅部位とは、表皮が三次元運動することによって生じる角質層表面の高低差の値を少なくとも2つの身体部位において比較するときに、相対的にその値がより大きい部位を意味する。
【0072】
[用語「診断」の意義]
本願発明においては、医師による一般医学的な疾病の診断と、東洋医学理論に基づく疾病の診断とを包含する。
【0073】
[用語「被験者」の意義]
本願発明においては、MVの測定を受けるヒトであって、疾病による自覚症状のあるなし、及び/又は、潜在的な疾病のあるなしを問わない。
本願発明においては、主に、本願発明者が従事する成城東洋鍼灸院東洋鍼灸院に主訴を有して来院された患者と、その家族と、主訴を有さないで健康診断目的で来院された健常者とを意味する。
【0074】
[用語「安静覚醒時」の意義]
本願発明においては、安静覚醒時とは、ヒトの運動直後の時間帯を除いて、ヒトが運動を伴わない安静な状態時でかつ目覚めている状態をいう。
例えばベッド及び、椅子などの身体を支える身体支持装置上にヒトの身体の体重を預けて、大きな身体動作を伴わないような、ヒトの身体状況を包含する。
【0075】
[用語「生薬単味」の意義]
本願発明においては、生薬単味とは、混合しない漢方生薬の単品をいう。
【0076】
[用語「生薬単味におけるMV対応スコア値」の意義]
本願発明においては、「生薬単味におけるMV対応スコア値」とは、生薬の薬効を指標するデータである。
生薬服用前の被験者のMVの振動量相対値(R)と、服用後のMVの振動量相対値(R)とを比較して、症状の改善を示す場合は、前者(R)と後者(R)との差を、「生薬単味におけるMV対応スコア値」とする。
【0077】
[非特許文献2の問題点で用いる用語]
[用語「ヒトの頭脳における判断機序」の意義]
本願においては、非特許文献2の問題点で用いる用語に、「ヒトの頭脳における判断機序」との語句を用いる。
この語句の意味は、ヒトが実際に具体的な対象物、又は、抽象的な概念に触れ、その何たるかを理解し、その対象に関わる過去の学習済み事項を記憶から呼び起こした上で、その良否を推定し判定する機序をいう。
【0078】
[用語「身体から遠隔の位置にあって、かつ未知の対象が有する情報」の意義]
本願においては、非特許文献2の問題点で用いる用語に、「身体から遠隔の位置にあってかつ未知の対象が有する情報」との語句を用いる。
この語句の意味は、被験者の身体によっては全く触れることをしない遠隔の位置にある対象であって、かつその対象に関わる一切の情報を与えられないか、あるいは一切の情報を得ることをしない、そのような対象が有するところの被験者にとって全く未知の情報をいう。
【0079】

[測定装置の用語]
[用語「クラス1レーザー」の意義]
本願発明においては、クラス1レーザーとは、どのような光学系(レンズや望遠鏡)で集光しても、眼に対して安全なレベルのレーザーをいう。クラス1であることを示すラベルを貼る以外は特に対策は要求されていない。JIS(日本工業規格)C6802に規定されている。
[レーザーのクラスとクラス別危険評価の概要]
クラス1:設計上本質的に安全である。
クラス1M:低出力(302.5〜4000nmの波長)。ビーム内観察状態も含め、一定条件の下では安全である。ビーム内で光学的手段を用いて観察すると、危険となる場合がある。
クラス2:可視光で低出力(400〜700nmの波長)。直接ビーム内観察状態も含め、通常目の嫌悪反応によって目の保護がなされる。
クラス2M:可視光で低出力(400〜700nmの波長)。通常目の嫌悪反応によって目の保護がなされる。ビーム内で光学的手段を用いて観察すると、危険となる場合がある。
クラス3M:可視光ではクラス2の5倍以下(400〜700nmの波長)、可視光以外ではクラス1の5倍以下(302.5nm以上の波長)の出力。直接ビーム内観察状態では、危険となる場合がある。
クラス3B:0.5W以下の出力。直接ビーム内観察をすると危険である。
ただし拡散反射による焦点を結ばないパルスレーザ放射の観察は危険ではなく、ある条件下では安全に観察できる。
クラス4:高出力。危険な拡散反射を生じる可能性がある。これらは皮膚障害をもたらし、また、火災を発生させる危険がある。

【背景技術】
【0080】
[従来の東洋医学論における経絡、経穴、及び、五行穴の概要]
従来から、東洋医学論においては、身体皮膚上に点在する経穴(ツボ)を線状に連結して皮膚上に経路を描き、これの医学的機能を特定の臓器と関連づけた経絡と称する東洋医学的経路を用いている。
この経絡には
(1)正経12経と称する経絡と、
(2)任脈及び、督脈と称する体幹部正中線(例えば眉間、鼻、口、臍、肛門、脊椎を結ぶ体幹の中心を通る線)を通る経絡と、
(3)奇経と称する経絡とが用いられている。
この正経12経は、WHO標準コード記号にも定められた経絡である。
この正経12経には12種類の経絡があることが知られている。
この12種類の経絡には、それぞれ井穴、栄穴、兪穴、経穴、合穴、と称する経穴が存在し、それらは五行穴、もしくは、五兪穴、と称されている。
例えば、非特許文献8には、「同じ経絡であっても、五行穴には他の臓腑の氣が流れているという特徴を有している。この特徴は、経絡の相互の影響を知り、治療に役立てることに応用できる。」と記述されている。
非特許文献8に示された図4を用いて「五行穴の位置の特徴」を例示する。

この非特許文献8によれば、
「五行説の原則が正しいとすれば、この配置に人の動きにおける指先端から肘までの動きの微細な調和をはかる仕組みが内蔵されているはずである。しかも、この仕組みには、上肢と下肢の五行穴間の相互の影響を使い分ける原則も存在し、人の動きを分析していく上で、きわめて重要な経穴であると考えられる。」
と五行穴の利点について述べている。
【0081】
[従来からの臨床医学における経絡、経穴、及び、五行穴の問題点]
従来からの臨床医学における経絡、経穴、及び、五行穴の問題点は、ことに五行穴においては非特許文献8において、
「五行穴の位置の配置が図4に示すようになっている意義は、現時点では不明である。」
と述べられていることに代表される。

すなわち、五行穴の位置・配置の意義が現時点では不明であるがために、この五行穴から得られる物理的測定値から殊に腫瘍・嚢胞など細胞増殖制御に係わる疾患の前兆を把握する技術は無かった。
【0082】
[臨床において経絡・経穴の生体反応を利用する特許文献1(直近先行技術)の概要]
従来から、東洋医学論的に経絡・経穴を測定することにより自律神経機能や臓器機能等の生体の機能状態を評価する非侵襲的装置の開発が行われている。例えば、特許文献1(直近先行技術)として示す生体反応波形情報の解析方法及び装置並びに診断装置がある。この装置は、経穴の電気反応を利用した皮膚インピーダンス法として知られる測定装置の一種である。
但し、特許文献1は、『皮膚インピーダンス』を利用した技術であって、『マイクロバイブレーション(MV)』を利用した技術ではなく、本願発明とは、技術的な基盤を全く異にする。
【0083】
[特許文献1(直近先行技術)の装置構成]
特許文献1(直近先行技術)の装置構成の概要を図11に示す。
装置全体は、
生体から得られる電気的波形を検出する装置(図11の1)と、
得られた電気的波形を用いて医学的診断を行う診断装置(図11の2)と、
診断結果を表示する装置(図11の3)との部分から成っている。
【0084】
[特許文献1(直近先行技術)の装置使用の態様]
図11を用いて、特許文献1(直近先行技術)の装置概略を示す。
特許文献1(直近先行技術)では、WHO標準経穴部位のうち、手指、及び、足指の先端に定められた井穴(せいけつ)と称される経穴を測定点として用いる。
この測定点に測定装置のディテクタを貼り付ける。
測定装置のアース線は測定点から遠隔の部位(図11の例では1例として手首)に導いて貼り付ける。
その後に電極に微弱なパルス電流を印加し、その出力を身体反応波形測定装置(図11の1)に入力して、その結果として身体から反応電流出力を得る。
この得られた反応電力出力の波形を比較検討することで、被験者身体の健康状態、疾病状態の診断を行う。
【0085】
[特許文献1(直近先行技術)の第1の利点]
特許文献1(直近先行技術)の第1の利点は、
生体から得られた電気的波形の値を単純に利用することなく、値を相互に加除することで新たなパラメータを定義しているところにある。
このことよって、従来とかく個人差のために不安定であった測定値を安定的なデータとした。
【0086】
[特許文献1(直近先行技術)の第2の利点]
特許文献1(直近先行技術)の第2の利点は、
得られた電気的波形を用いて医学的診断を行う診断装置において、コンピュータ内に診断基準として用いるための数種類の辞書ファイル領域を設け、これらの領域にあらかじめ作成した辞書ファイルデータを記録して診断基準のデータベースとし、これを用いて比較診断するところにある。
図11の2−1〜2−5にこの例を示した。

【0087】
[特許文献1(直近先行技術)の問題点]
本願発明者は、前記特許文献1(直近先行技術)を検討した結果、特許文献1(直近先行技術)が示す測定方法、すなわち図11に示すように、手指、及び、足指の先端に定められた井穴を測定点として用い、それらの限られた測定点の皮膚インピーダンスを測定して、得られた測定値を比較して診断する方法では、被験者の体質が腫瘍・嚢胞など細胞増殖制御に係わる疾患を招き易い体質に移行しつつあるか否かを極早期に発見する目的のためには、不十分であることを見出した。
さらに、本願発明者は、MV測定データと、被験者の疾病状態とを比較解析することによって、井穴だけでは無く、表2〜7に示す五行穴全ての経穴から同時に得られたMV測定値を比較することで、ことに腫瘍・嚢胞など細胞増殖制御に係わる疾患の前兆を明確に把握できることを見出した。
但し、特許文献1は、『皮膚インピーダンス』を利用した技術であって、『マイクロバイブレーション(MV)』を利用した技術ではなく、本願発明とは、技術的な基盤を全く異にする。
【0088】
[背景技術としてのMVの生理学的意義]
肉眼では認められないが、生理的に存在する身体表面の微小振動(Microvibration、MV)の基礎と臨床についてはすでにRohracherの報告以来数多くの研究発表がある。
例えば、非特許文献9に示す報告では、MVを自律神経機能検査の1つとして応用する試みも開発されていた。
MVの発生機序については、従来は明確な統一的見解は必ずしも得られていなかった。
MVの生理学的意義について段落[0003]に述べたとおり、いくつかの医学的特徴が研究者らによって明らかにされている。
【0089】
[MV波形測定の基本原理]
従来からのMV波形測定の原理は、マイクロバイブレーション検出センサーとして圧電素子等を利用してふるえを加速度として検出する原理に基づいている。例えば、非特許文献3には、昭和33年当時の研究初期段階のMV測定方法も、現在の方式と同様であったことが示されている。
【0090】
[従来からのMV波形測定装置の態様]
従来からのMV波形を測定する方法を図12に概略構成図をもって示した。ここに示した装置は、
振動検出装置(図12の1)、
振動信号増幅装置(図12の2)、
振動信号記録装置(図12の3)、
振動波形表示装置(図12の4)、
を含んで構成される。
振動検出装置(図12の1)は、MV検出センサーである。 例えば圧電式加速度ピックアップを利用して皮膚の微少振動を変位量として検出する。
検出された信号は振動信号増幅装置(図12の2)へ出力される。
振動信号増幅装置(図12の2)で増幅された信号の波形を、振動信号記録装置(図12の3)に記録し、
振動波形表示装置(図12の4)によって信号の波形を画像に表示する。
例えば、非特許文献4には振動検出装置として日本光電製MV用ピックアップMT−3T(3g)、あるいはリオン製振動加速度ピックアップPV−20A(1.2g)を用いて測定する方法が示されている。
【0091】
[従来からのMV周波数分析装置]
MV波形を測定する方法に加え、MV振動周波数を求める必要があった場合には、従来から図12に示す装置を用いて来た。すなわち、
(図12の5)振動周波数分析装置、
(図12の6)振動周波数分析値平均化装置、
(図12の7)振動周波数分析結果表示装置、
を含んで構成される振動周波数分析装置である。
この振動信号増幅装置(図12の2)で増幅された信号、
又は、
振動信号記録装置(図12の3)において記録された信号を、
振動周波数分析装置(図12の5)へ出力し、
振動波形表示装置(図12の4)によって信号の波形を画像に表示する。
さらに必要とする場合は、
振動周波数分析装置(図12の5)によって信号の波形を分析し、周波数毎に振幅強度を求める。
また、必要とする場合は、
振動周波数分析値平均化装置(図12の6)によって分析値を平均化する、
ことも可能であり、最終的には、
振動周波数分析結果表示装置(図12の7)によってMVを構成する周波数の対数値を求め、周波数成分毎にデシベルの単位をもって表示することも可能である。
例えば、非特許文献5には、このようにして得た周波数分析結果を用いて、周波数毎にスペクトルエンベロープが描く曲線を積分して、得られた積分値を相互に比較して周波数強度を比較する方法が示されている。
【0092】
[従来からのMV波形測定結果を利用する医療技術の概要]
次にMV波形測定結果を利用する従来からの医療技術について説明する。
【0093】
[小児科における応用研究]
非特許文献6〜非特許文献7には、MVの医学的応用研究として、頭頂部を測定して得られるMVと、指尖容積脈波(しせんようせきみゃくは)とを比較し、両者の相関を心臓が拍出する血液の流量状態を推し量る指標として記録して、小児科における起立性調節障害(きりつせいちょうせつしょうがい)の発生をモニターする技術について述べられている。指尖容積脈波とは、小型脈圧計を用いて手の指先皮下の脈圧を測定して得られる脈波の1つである。小児科における起立性調節障害とは、主に小児に起こるめまいをいう。
【0094】
[循環器科における応用研究]
例えば非特許文献5には、図13及び図14に示すように、健康成人と、心疾患患者を被験者とした時の、MV波形の明確な違いの例が報告されている。
【0095】
[循環器科における応用技術の利点]
図13〜14に、非特許文献5に示された健康成人及び心疾患被験者のMV波形の明確な変化の例を示して、従来から明らかにされているMV波形測定結果を利用する診断技術の利点について説明する。
図13は、健康成人の左手の母指球における、MVと、心電図と、呼吸曲線との関係を示す。
健康成人においては、母指球のMVと心電図とは同調して一致しており、呼吸曲線とは一致していない。

図14は、心房の心筋を刺激する電気信号がブロックされる心疾患、すなわち完全心房ブロック症の被験者の、頭頂のMVと、母指球のMVと、眼瞼のMVと、心電図との関係を示す。
完全心房ブロック症被験者においては、頭頂、及び母指球のMVと、心電図とは同調して一致している。

したがって、心電図上に示された電気信号の欠損が、頭頂、及び母指球のMVに反映されて同様に欠損として現れるため、頭頂及び母指球のMVをモニターすることで、前記疾患を有する被験者の心房における電気信号欠損が非侵襲的にモニター出来ることが示されている。

【0096】
[MV波形測定結果を利用する特許文献2(直近先行技術)の概要]
特許文献2(直近先行技術)においては、
ヒトの頭脳における判断機序によっては全く良否判定が不可能な、身体から遠隔の位置にあって、かつ、未知の対象が有する情報であっても、そのような未知の情報を目視した身体は、自身のMV波形の振幅値を高値へと変化させる、としている。
従って、そのようなMV波形の振幅値を高値へと変化させる生体反応を利用することで、身体から遠隔の位置にあって、かつ、全く未知の対象が有する情報の良否判定をすることが可能である、としている。
【0097】
[特許文献2(直近先行技術)の利点]
本願発明者が、特許文献2(直近先行技術)に示された装置の概略図と方法とによって度重なる追試験を行い、この技術が請求項毎に示した成果を求めようと試みた結果、得られたどのようなデータも特許文献2(直近先行技術)が示した成果を証明するに足る統計学上有意なデータとは成り得無かった。
従って、特許文献2(直近先行技術)における利点としては、考え得ることが無い。
【0098】
[特許文献2(直近先行技術)の問題点]
[特許文献2(直近先行技術)の第1の問題点]
本願発明者が、特許文献2(直近先行技術)に示された装置の概略図と方法とによって度重なる追試験を行い、この技術が請求項毎に示した成果を求めようと試みた結果、得られたどのようなデータも特許文献2(直近先行技術)が示した成果を証明するに足る統計学上有意なデータとは成り得無かった。
従って、特許文献2(直近先行技術)の第1の問題点は、安静覚醒時の身体におけるMVを変化させ得る要因を再検討する必要がある、
というところにあった。
すなわち、MVの変化は、特許文献2(直近先行技術)が示すような被験者身体の外部にある要因によって変化を示すのではなく、むしろMVを発生している身体の内部にある医学的問題の影響による可能性がある、という問題であった。
【0099】
[特許文献2(直近先行技術)の第2の問題点]
特許文献2(直近先行技術)の第2の問題点は、
安静覚醒時の身体におけるMVが変化を示す身体部位を再検討する必要がある、
というところにあった。すなわち、特許文献2(直近先行技術)の実施例においては、母指球のMVを重点的に測定しているが、MV測定値から生体情報を得ようとするときに、母指球から得られたMV測定値にのみ重点をおいて観察したデータが、果たして十分な生体情報を含むのか、という問題であった。
さらに、特許文献2(直近先行技術)によれば、何らかの外部因子の影響が被験者身体に及んだ場合は、MVは、母指球であろうと、身体の他のどのような部位であろうと、同様に振幅値に著しい変化を示すと述べているが、本願発明者が様々な被験者のMVを測定した結果、MVは、そのように身体上のあらゆる測定点で一律、かつ、同様に振幅値の変化を示すものではない、という結果が導き出された。
【0100】
図15〜16を用いて、従来からのMV基礎研究で明らかにされている課題と、医療における従来からのMV応用技術の問題点と、特許文献2(直近先行技術)の問題点とを示す実例を示す。
図15〜16に示す2枚の棒グラフは、前記問題点を明らかにする一助となったMV解析の一例である。
これらのグラフはある同一の被験者のMVを測定して、その振幅値を身体の位置ごとに記録したものである。
図17を用いて、図15〜16に示す2枚の棒グラフに関わる振幅値が得られた身体の位置を説明する。
図17の下方に、すでに図4(「五行穴の位置の特徴」)に示した上肢の図を引き延ばして用いた。
図17の上方の棒グラフは、図15の棒グラフと同一である。
図17の上肢の図から5つの矢印が出て、棒グラフの下方に示した5枚のラベルを示している。
すなわち、矢印の元の楕円内に存在する経穴から得られたMV振動量が、矢印の先の棒グラフデータとして表されていることを示している。

図15〜16に示す2枚の棒グラフの下方に、共に「第1領域」〜「第2領域」と記述した5枚のラベルがある。
この5枚のラベルが示すは、本願において、上肢及び、下肢に設定した領域である。
この5枚のラベルの直下に、「RI 」、「RII」及び、「RIII~V 」と記述した。
この「RI 」、「RII」及び、「RIII~V 」は、段落[0048]〜[0050]に述べた数式(5)、(6)及び、(7)によって得られる、各領域毎の振動量相対値:(R)の総和である。
【0101】
図15に、この被験者が感冒の初期症状を主訴に来院された平成17年2月13日のMV振幅値分布パターンを示す。
図16に、この同じ被験者が11日後の2月24日に再来院された時に、発熱も感冒の症状も収束していることを確認した時点の、MV振幅値分布パターンを示す。
【0102】
これら2つの異なる身体症状に係わるMV振幅値の時系列的変化を相互に比較検討して明らかとなることは、
(1)図15に示すように、感冒の初期症状が被験者の身体症状であるときには、振幅値のピークが第4領域に偏って集中していること、
(2)図16に示すように、(1)の11日後で、発熱も風邪の症状も収束したときには、振幅の比較的小さなピークが第1領域と第3領域に現れること、
(3)同時に初期症状で現れた第四領域のピークがさらに小さくなっていること、
である。
【0103】
本願発明者が、感冒をはじめ、その他の疾病状態にある被験者らから得られたMV測定値を解析し、検討すると、
(1)皮膚上にMVが強く現れる解剖学的位置は、身体内部の医学的問題に相関を有すること、
(2)MVの振幅強度は、医学的問題の程度の大小と正の相関をもって変化を示すこと、
を見出した。
【0104】
[本願発明と特許文献2(直近先行技術)との関連]
特許文献2(直近先行技術)は、被験者の頭脳における判断機序によっては全く判断不可能な、身体から遠隔の位置にあってかつ未知の対象が有する情報を得る際に、この未知の対象が被験者にとって有益であるときは、被験者のMVの振幅値が高値へと変化するという仮定の下に、未知の対象の良否判断動作を、MV振幅値の変化と関連づけたものである。
従って、特許文献2(直近先行技術)は、本願発明におけるような、
MVを測定し、このMV測定値から得られたMV情報の解析装置であって、
MV測定値群の中から測定部位が所定の領域にあるMV測定値を選択する第1の手段と、

前記第1の手段で選択したMV測定値の振動量をそれぞれ求める目的で前記MV測定値の積分値を求める第2の手段と、

前記第2の手段で求めた振動量の値を相互に比較してこの相互関係からそれぞれの比率を求め、この振動量相互の比率の値を用いて前記MV測定値を一覧に表し、かつ、前記所定の領域ごとに分別してMV振動量の分布パターンを表示する第3の手段と、

を具備することを特徴とするMV解析装置、

及び、
MVを測定し、このMV測定値から得られたMV情報の解析装置であって、
MV測定値群の中から測定部位が所定の領域にあるMV測定値を選択する第1の手段と、

前記第1の手段で選択したMV測定値の振動量をそれぞれ求める目的で前記MV測定値の積分値を求める第2の手段と、

前記第2の手段で求めた振動量の値を相互に比較してこの相互関係からそれぞれの比率を求め、この振動量相互の比率の値を用いて前記MV測定値を一覧に表し、かつ、前記所定の領域ごとに分別してMV振動量の分布パターンを表示する第3の手段と、

前記第3の手段で求められた前記所定の領域ごとのMV振動量相互の比率及び、分布パターンと、あらかじめ記憶した臨床によって得られているデータ集合とを対比させて対応づける第4の手段と、

前記第3の手段で求められた前記所定の領域ごとの振動量相互の比率及び、分布パターンを時系列で記録して時系列変化特性を表示し、この得られた被験者MV振動量相互間の時系列変化特性と、あらかじめ記憶した臨床によって得られている健常者及び/又は被験者からの前記時系列変化特性のデータ集合とを比較して対応づける第5の手段と

を具備することを特徴とする生体診断支援装置とは全く異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】特許第3562798号公報(特開2002−253521号公報)生体反応波形情報の解析方法及び装置並びに診断装置
【特許文献2】特開平07−059755号公報
【非特許文献】
【0106】
本出願に係る発明が属する技術分野において、本出願の出頭日におけるいわゆる当業者が有するべき知識の技術水準を理解するために参考となる参考文献(非特許文献)を以下に列挙する。
【非特許文献1】「皮膚インピーダンス法による漢方薬の薬効評価の研究結果」大蔵多美子ほか「和漢医薬学雑誌」15巻,264頁,1998年
【非特許文献2】「経絡測定による気功の同調現象」「人体科学」(2巻(1号)、19〜29頁,1993年)
【非特許文献3】「こまかいふるえの発生機序」菅野久信、稲永和豊共著、「脳と神経」10巻11号1958年刊、23〜34頁
【非特許文献4】「母指球筋上Mirovibratioによる振動障害被験者の自律神経機能の検討」原田規章、近藤弘一共著、「自律神経」23:1986年刊 p490〜p495
【非特許文献5】「マイクロバイブレーション、生理学的意義」尾崎俊行著、「臨床脳波」14巻1号1972年刊、1〜10頁
【非特許文献6】「Application of microvibration on body surfacein diagnosis of ort hostatic dysregulation」 Igarashi,K.Tohoku J. exp. Med., 102,p207-p208,1970
【非特許文献7】「Microvibration on the Scalp as a DiagnosticAid in Orthostatic Dysregulation」 Igarashi,K.TohokuJ.exp.Med.,in press,1971
【非特許文献8】「経絡テストによる診断と鍼治療」(医歯薬出版、2006年3月10日刊、26頁)向野義人著(福岡大学大学院体育学研究科教授、福岡大学病院第2内科講師、スポーツ医学、医学博士)
【非特許文献9】「自律神経失調症の診断と治療−精神身体医学的立場から」銅直春雄、黒木かおる、松本健一、河野友信、森崇、堀田一郎ら 日本医事新報刊、No.2398,43〜48号、1970年
【非特許文献10】「危険選択における腫瘍マーカーの導入の経験-CEA AFPについて-」佐々木光信他著、日本保険医学会誌 87巻 1989年
【非特許文献11】「薬徴(やくちょう)」吉益東洞(よしますとうどう)著 1771年
【非特許文献12】「WHO STANDARD ACUPUNCTURE POINT LOCATIONS INTHE WESTERN PACIFIC REGION」(日本語訳:西太平洋地域におけるWHO標準鍼灸経穴部位)世界保健機構(WHO)、世界保健機構西太平洋地域事務局(WPRO)発行、World Health Organization; 1版 (2008/6/25)、ISBN-10:9290613831
【非特許文献13】「WHO/WPRO標準経穴部位」WHO西太平洋地域事務局原著、第二次日本経穴委員会監修、医道の日本社、2009年http://www.idonohippon.com/book/shinkyu/1117-3.html
【非特許文献14】「経絡経穴図」小林三剛監修、中山仁二著、宝栄企画、1995年
【非特許文献15】「危険選択における腫瘍マーカーの導入の経験」佐々木光信ほか/安田生命相互保険会社、日本保険医学会誌、第87巻、1989年、国立情報学研究所論文情報ナビゲータ[サイニィ]に収録
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0107】
[発明が解決しようとする課題]
本願発明が解決しようとする課題は、五行穴と本発明者が新規に見出したその周辺の特定領域から検出したMV情報に基づき、疾病の診断に資する生体診断支援装置を提供することである。
ここで、MV情報とは、波としてのMVに関する波形、振動量、振幅、周波数を包含する。
ここで、疾病とは、細胞増殖制御と関連する疾病(腫瘍・嚢胞等の)、これらの疾病の前駆的状態を包含する。
従来の技術において、経絡、及び/又は、経穴においてMVを測定しようとすることは、当業者間において非常識であり、一般的ではなかった。
ましてや、経絡や経穴の下位概念たる五行穴、及び/又は、五行穴の周辺領域においてMVを測定しようとすることは、当業者間において全く想定外であった。
五行穴の位置・配置は、古より伝承されたものであり、東洋医学の分野における当業者間、特に、鍼・灸等による東洋医学的治療の分野における当業者間では、生体における特異な部位であることは、論を待つまでもない。
然るに、従来の技術においては、五行穴の位置・配置は、鍼・灸等の治療行為を『INPUT』をする部位であって、そこから情報を得ようとする『OUTPUT』を得るための部位としては、殆ど認識されてこなかった。
辛うじて、特許文献1においてのみ、五行穴に包含される井穴において、皮膚インピーダンスが測定されている。
但し、この特許文献1における実施態様は、交感神経と副交感神経のバランスを検知することを目的としており、細胞増殖制御と関連する疾病(腫瘍・嚢胞等の)、並びに、これらの疾病の前駆的状態の診断を目的としたものではない。
特許文献2も、細胞増殖制御と関連する疾病(腫瘍・嚢胞等の)、並びに、これらの疾病の前駆的状態の診断を目的としたものではない。
即ち、従来の技術においては、五行穴を情報を得るための『OUTPUT』部位と認識して、五行穴から得られる物理的測定値に基づいて、細胞増殖制御と関連する疾病(腫瘍・嚢胞等の)、並びに、これらの疾病の前駆的状態の診断に資する技術は存在しなかった。
【0108】
[従来のMV基礎研究における解決課題]
従来のMV基礎研究により、被験者が覚醒安静状態にあるときには、骨格筋緊張性のMVは、心拍に起因するMV波形と重なって出現する場合があることが知られている(非特許文献5)。
然るに、被験者が覚醒安静状態にあるときにおいて、骨格筋緊張性のMVが、心拍に起因するMV波形と重なって出現する現象としない現象があり、この2つの現象の出現理由は不明のままであった。
一方、そもそも、骨格筋緊張性のMVが、いかなる理由に起因するのか不明のままであった。
そして、そもそも、骨格筋緊張性のMVの生理学的意義も不明のままであった。
即ち、本願発明者は、従来のMV基礎研究を鋭意精査を推進した結果、(1)骨格筋緊張性のMVが単独で出現する場合と、心拍に起因するMV波形と重畳的に出現する場合とがあることの理由が不明であり、(2)骨格筋緊張性のMVが出現する理由が不明であり、(3)骨格筋緊張性のMVの生理学的意義も不明であることが、従来のMV基礎研究における解決課題であることを想到するに至った。
【0109】
[従来のMV基礎研究におけるMVの位置付け(意義)]
非特許文献5には、本願における図14に示すとおり、完全心房ブロック疾患被験者のMV波形(眼瞼、頭頂、母指球)と心電図の波形が開示されている。
そして、非特許文献5では、本願における図14に示すとおり、被測定者の手の母指球、眼瞼、前頭部、頭頂部等で測定したMV波形に基づき、心電図測定による波形に基づく場合と同等に、心疾患の診断をすることが開示されている。
【0110】
[本願発明者が見出したMVの位置付け(意義)]
本願発明者は、非特許文献5において開示されているMVと心電図の波形(本願における図14)について鋭意精査をした結果、原著者等が認識していなかった知見として、本願における図14から読み取ることが可能なように、

(1)頭頂と母指球で測定されたMVと心電図の波形が一致している一方において、

(2)眼瞼のMVの波形は、心電図の波形と共に、心電図の波形以外の由来不明の他の波形が重畳的に合成されている

ことを見出した。

即ち、頭頂と母指球で測定されたMVの波形は、心電図の波形とほぼ等価であるのとは対照的に、眼瞼のMVの波形は、心電図の波形とは異なる、心電図から得られるものとは異なる他の医学的情報(疾病情報)を内包しているという実験仮説を想到するに至った。

換言すれば、眼瞼のMVの波形は、複数の波形が合成されたものであり、心電図の波形を相殺して、波形を分離することにより、心電図から得られるものとは異なる他の医学的情報(疾病情報)を抽出することができるとの実験仮説を想到するに至った。

そこで、本願発明者は、眼瞼のMVの波形から、心電図の波形を相殺して、残された波形を分離することにより、心疾患以外の他の疾病状態を判断しようと試みた。

然るに、眼瞼のMVの波形の場合には、MVの波形から、心電図の波形に相当する波形成分を相殺した結果として残された残成分の波形MVについては、内包される情報量が少な過ぎることが判明した。
即ち、眼瞼でMVを測定しても、そのMV波形に基づいて、生体の健康状態や疾病状態を明確に把握することが困難であることを見出した。
【0111】
[特許文献1と「本願発明の解決課題」との関係]
特許文献1(直近先行技術)において、五行穴のうち、井穴(せいけつ(手指、足指のみに定められたと称される24の経穴))を測定点として、皮膚インピーダンスを測定することにより、皮膚インピーダンスが測定されている。
但し、この特許文献1における実施態様は、交感神経と副交感神経のバランスを検知することを目的としており、細胞増殖制御と関連する疾病(腫瘍・嚢胞等の)、並びに、これらの疾病の前駆的状態の診断を目的としたものではない(段落[0082]〜[0087]参照)。
【0112】
[非特許文献5と「本願発明の解決課題」との関係]
非特許文献5には、本願における図14に示すとおり、完全心房ブロック疾患被験者のMV波形(眼瞼、頭頂、母指球)と心電図の波形が開示されている。
そして、非特許文献5では、本願における図14に示すとおり、被測定者の手の母指球、眼瞼、前頭部、頭頂部等で測定したMV波形に基づき、心電図測定による波形に基づく場合と同等に、心疾患の診断をすることが開示されている。
但し、この非特許文献5における実施態様は、MV波形測定により、心電図波形測定を代替しようとする技術と理解することもでき、細胞増殖制御と関連する疾病(腫瘍・嚢胞等の)、並びに、これらの疾病の前駆的状態の診断を目的としたものではない(段落[0107]〜[0109]参照)。
【0113】
[「本願発明の解決課題」の新規性と進歩性]
本願発明者は、鋭意検討を推進した結果、

(1)皮膚上にMVが強く現れる解剖学的位置は、身体内部の医学的問題に相関を有するという実験仮説、並びに、
(2)MVの振幅強度は、医学的問題の程度の大小と正の相関をもって変化を示すという実験仮説

を新たに想到した(段落[0102]〜[0105])。

本願発明者が、今般、新たに相当した実験仮説を実証することにより、全く斬新なMV診断技術の新境地を開拓すべく、鋭意検討を推進した結果、いわば、建設的な『ネガティブデータ』として、

被測定者の手の母指球、眼瞼、前頭部、頭頂部等に測定点を定めて、少なくとも1カ所を選び、その皮膚のMVを測定するという従来技術(非特許文献5)

によったのでは、MVに内包される情報量が少なすぎて、生体の健康状態や疾病状態を明確に把握することが困難であるという知見を新たに獲得するに至った。

本願発明者は、上記した、いわば、建設的な『ネガティブデータ』ともいえる貴重な知見に基づき、さらに鋭意検討を推進した結果、五行穴と本発明者が新規に見出したその周辺の特定領域から検出したMV情報に基づき、疾病の診断に資することができるという『ポジティブデータ』を獲得するに至った。
ここで、MV情報とは、波としてのMVに関する波形、振動量、振幅、周波数を包含する。
ここで、疾病とは、細胞増殖制御と関連する疾病(腫瘍・嚢胞等の)、これらの疾病の前駆的状態を包含する。
従来の技術において、経絡、及び/又は、経穴においてMVを測定しようとすることは、当業者間において非常識であり、一般的ではなかった。
ましてや、経絡や経穴の下位概念たる五行穴、及び/又は、五行穴の周辺領域においてMVを測定しようとすることは、当業者間において全く想定外であった。

従って、本願発明のみならず、「本願発明の解決課題」も、新規性と進歩性を具備するということができる。
【0114】
[特許文献2と「本願発明の解決課題」との関係]
特許文献2(直近先行技術)では、五行穴の範疇に包含されない母指球においては、MVを測定している。
然るに、特許文献2の測定部位は、母指球であって、五行穴は含まないので、本願発明とは、発明特定事項が異なる。
特許文献2には、発明の効果として、各症状の臨床、診断や治療等への適用、より詳細には、自律神経症状、心身症、過敏性大腸症候群、気管支喘息、糖尿病、高血圧症の治療・治療評価や、精神安定剤や鎮痛剤の薬物効果判定への応用が開示されている。

然るに、この特許文献2においては、MV波形測定による細胞増殖制御と関連する疾病(腫瘍・嚢胞等の)、並びに、これらの疾病の前駆的状態の診断について示唆も開示もない。

従って、本願発明者は、安静覚醒時の被験者身体におけるMVを変化させ得る要因は、被験者身体の外部にある要因ではない、と考えざるを得なかった。
また、段落[0102]〜[0105]で述べたとおり、MVは、身体上のあらゆる測定点で一律、かつ、同様に振幅値の変化を示すものではない、という結果が導き出されたので、全く新しいMVの医学的意義を見出さなければならなかった。

本願発明者は、特許文献2(直近先行技術)に開示されているデータを鋭意精査した結果、原著者等が認識していなかった知見として、

(1)皮膚上にMVが強く現れる解剖学的位置は、身体内部の医学的問題に相関を有するという知見、並びに、
(2)MVの振幅強度は、医学的問題の程度の大小と正の相関をもって変化を示すという知見

を見出した(段落[0102]〜[0105])。
【課題を解決するための手段】
【0115】
本願発明は、「特許請求の範囲」の「請求項1」〜「請求項7」に記載した事項により特定される。
【0116】
[特許請求の範囲]



[請求項1]

生体が発生する生体マイクロバイブレーションの波形を測定し、測定した生体マイクロバイブレーションの波形から得られる生体反応波形情報の解析装置であって


第1の主測定部位としての、手の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第2の主測定部位としての、足の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第3の中心測定部位としての、手の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第4の主測定部位としての、足の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第5の主測定部位としての、手の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第6の主測定部位としての、足の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第7の主測定部位としての、手の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第8の主測定部位としての、足の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第9の主測定部位としての、手の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第10の主測定部位としての、足の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

の合計nE箇所であって、上記々載順でナンバリングされた1〜nE番目の測定部位のそれぞれにおいて、生体マイクロバイブレーションの波形を測定する第1の手段と、

前記第1の手段により、1乃至nEの範囲内の自然数であらわされるn番目の測定部位で測定された生体マイクロバイブレーションの波形について、数式(1)に示すとおり、時刻tの振幅fn(t)を、時刻t0乃至tEの時間範囲で積分することにより得られる積分値である振動量(Fn)を計算し、

【数1】


数式(1)で計算された合計nE個の振動量(Fn)を、数式(2)に基づいて、振動量対数値(Vn)を計算し、

【数2】


数式(2)で計算された合計nE個の振動量対数値(Vn)の中から最低の数値である最低振動量対数値(Vmin)を検出すると共に、
数式(4)に基づき、
合計nE個の振動量対数値(Vn)と最低振動量対数値(Vmin)との差分である振動量相対値(Rn)を計算し、

【数3】


合計nE個の振動量相対値(Rn)を、
上記々載順でナンバリングされた1〜nE番の順番で、
測定部位毎の振動量相対値(Rn)を一覧表としてあらわす第2手段と、
を具備することを特徴とする生体マイクロバイブレーション解析装置。




[請求項2]

生体が発生する生体マイクロバイブレーションの波形を測定し、測定した生体マイクロバイブレーションの波形から得られる生体反応波形情報の解析装置であって


第1の主測定部位としての、手の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第1の副測定部位としての、手の第1領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第1領域中心経穴(第1の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の160分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第2の主測定部位としての、足の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第2の副測定部位としての、足の第1領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第1領域中心経穴(第2の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の160分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第3の中心測定部位としての、手の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第3の副測定部位としての、手の第2領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第2領域中心経穴(第3の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の107分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第4の主測定部位としての、足の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第4の副測定部位としての、足の第2領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第2領域中心経穴(第4の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の107分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第5の主測定部位としての、手の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第5の副測定部位としての、手の第3領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第3領域中心経穴(第5の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第6の主測定部位としての、足の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第6の副測定部位としての、足の第3領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第3領域中心経穴(第6の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第7の主測定部位としての、手の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第7の副測定部位としての、手の第4領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第4領域中心経穴(第7の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第8の主測定部位としての、足の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第8の副測定部位としての、足の第4領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第4領域中心経穴(第8の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第9の主測定部位としての、手の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第9の副測定部位としての、手の第5領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第5領域中心経穴(第9の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第10の主測定部位としての、足の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第10の副測定部位としての、足の第5領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第5領域中心経穴(第10の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の40分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点

の合計nE箇所であって、上記々載順でナンバリングされた1〜nE番目の測定部位のそれぞれにおいて、生体マイクロバイブレーションの波形を測定する第1の手段と、

前記第1の手段により、1乃至nEの範囲内の自然数であらわされるn番目の測定部位で測定された生体マイクロバイブレーションの波形について、数式(1)に示すとおり、時刻tの振幅fn(t)を、時刻t0乃至tEの時間範囲で積分することにより得られる積分値である振動量(Fn)を計算し、

【数4】


数式(1)で計算された合計nE個の振動量(Fn)を、数式(2)に基づいて、振動量対数値(Vn)を計算し、

【数5】


数式(2)で計算された合計nE個の振動量対数値(Vn)の中から最低の数値である最低振動量対数値(Vmin)を検出すると共に、
数式(4)に基づき、
合計nE個の振動量対数値(Vn)と最低振動量対数値(Vmin)との差分である振動量相対値(Rn)を計算し、

【数6】


合計nE個の振動量相対値(Rn)を、
上記々載順でナンバリングされた1〜nE番の順番で、
測定部位毎の振動量相対値(Rn)を一覧表としてあらわす第2手段と、
を具備することを特徴とする生体マイクロバイブレーション解析装置。




[請求項3]

生体が発生する生体マイクロバイブレーションの波形を測定し、測定した生体マイクロバイブレーションの波形から得られる生体反応波形情報に基づく生体診断支援装置であって


第1の主測定部位としての、手の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第2の主測定部位としての、足の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第3の中心測定部位としての、手の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第4の主測定部位としての、足の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第5の主測定部位としての、手の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第6の主測定部位としての、足の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第7の主測定部位としての、手の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第8の主測定部位としての、足の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第9の主測定部位としての、手の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第10の主測定部位としての、足の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

の合計nE箇所であって、上記々載順でナンバリングされた1〜nE番目の測定部位のそれぞれにおいて、生体マイクロバイブレーションの波形を測定する第1の手段と、

前記第1の手段により、1乃至nEの範囲内の自然数であらわされるn番目の測定部位で測定された生体マイクロバイブレーションの波形について、数式(1)に示すとおり、時刻tの振幅fn(t)を、時刻t0乃至tEの時間範囲で積分することにより得られる積分値である振動量(Fn)を計算し、

【数7】


数式(1)で計算された合計nE個の振動量(Fn)を、数式(2)に基づいて、振動量対数値(Vn)を計算し、

【数8】


数式(2)で計算された合計nE個の振動量対数値(Vn)の中から最低の数値である最低振動量対数値(Vmin)を検出すると共に、
数式(4)に基づき、
合計nE個の振動量対数値(Vn)と最低振動量対数値(Vmin)との差分である振動量相対値(Rn)を計算し、

【数9】


合計nE個の振動量相対値(Rn)を、
上記々載順でナンバリングされた1〜nE番の順番で、
測定部位毎の振動量相対値(Rn)を一覧表としてあらわす第2手段と、

第2手段で得られた一覧表としてあらわされた測定部位毎の振動量相対値(Rn)を、
数式(5)〜(7)に基づき、
第1領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第1領域合計振動量相対値(RI)、
第2領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第2領域合計振動量相対値(RII)、
第3領域乃至第5領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V
を計算する第3の手段と、

【数10】


第3の手段により計算された、第1領域合計振動量相対値(RI)、第2領域合計振動量相対値(RII)、及び、第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V)を、
数式(8)に基づき、第2領域への生体マイクロバイブレーションが集中している度合いの指標である第2領域振幅集中指数(CD)を計算して表示し、

【数11】



及び/又は、

数式(9)に基づき、全領域における生体マイクロバイブレーションの変動の大きさの指標である生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)を計算して表示する第4の手段

【数12】

を具備することを特徴とする生体診断支援装置。




[請求項4]


生体が発生する生体マイクロバイブレーションの波形を測定し、測定した生体マイクロバイブレーションの波形から得られる生体反応波形情報に基づく生体診断支援装置であって


第1の主測定部位としての、手の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第1の副測定部位としての、手の第1領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第1領域中心経穴(第1の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の160分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第2の主測定部位としての、足の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第2の副測定部位としての、足の第1領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第1領域中心経穴(第2の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の160分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第3の中心測定部位としての、手の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第3の副測定部位としての、手の第2領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第2領域中心経穴(第3の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の107分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第4の主測定部位としての、足の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第4の副測定部位としての、足の第2領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第2領域中心経穴(第4の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の107分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第5の主測定部位としての、手の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第5の副測定部位としての、手の第3領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第3領域中心経穴(第5の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第6の主測定部位としての、足の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第6の副測定部位としての、足の第3領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第3領域中心経穴(第6の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第7の主測定部位としての、手の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第7の副測定部位としての、手の第4領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第4領域中心経穴(第7の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第8の主測定部位としての、足の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第8の副測定部位としての、足の第4領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第4領域中心経穴(第8の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第9の主測定部位としての、手の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第9の副測定部位としての、手の第5領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第5領域中心経穴(第9の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第10の主測定部位としての、足の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第10の副測定部位としての、足の第5領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第5領域中心経穴(第10の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の40分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点

の合計nE箇所であって、上記々載順でナンバリングされた1〜nE番目の測定部位のそれぞれにおいて、生体マイクロバイブレーションの波形を測定する第1の手段と、

前記第1の手段により、1乃至nEの範囲内の自然数であらわされるn番目の測定部位で測定された生体マイクロバイブレーションの波形について、数式(1)に示すとおり、時刻tの振幅fn(t)を、時刻t0乃至tEの時間範囲で積分することにより得られる積分値である振動量(Fn)を計算し、

【数13】


数式(1)で計算された合計nE個の振動量(Fn)を、数式(2)に基づいて、振動量対数値(Vn)を計算し、

【数14】


数式(2)で計算された合計nE個の振動量対数値(Vn)の中から最低の数値である最低振動量対数値(Vmin)を検出すると共に、
数式(4)に基づき、
合計nE個の振動量対数値(Vn)と最低振動量対数値(Vmin)との差分である振動量相対値(Rn)を計算し、

【数15】


合計nE個の振動量相対値(Rn)を、
上記々載順でナンバリングされた1〜nE番の順番で、
測定部位毎の振動量相対値(Rn)を一覧表としてあらわす第2手段と、

第2手段で得られた一覧表としてあらわされた測定部位毎の振動量相対値(Rn)を、
数式(5)〜(7)に基づき、
第1領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第1領域合計振動量相対値(RI)、
第2領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第2領域合計振動量相対値(RII)、
第3領域乃至第5領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V
を計算する第3の手段と、

【数16】


第3の手段により計算された、第1領域合計振動量相対値(RI)、第2領域合計振動量相対値(RII)、及び、第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V)を、
数式(8)に基づき、第2領域への生体マイクロバイブレーションが集中している度合いの指標である第2領域振幅集中指数(CD)を計算して表示し、

【数17】



及び/又は、

数式(9)に基づき、全領域における生体マイクロバイブレーションの変動の大きさの指標である生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)を計算して表示する第4の手段

【数18】


を具備することを特徴とする生体診断支援装置。




[請求項5]

生体が発生する生体マイクロバイブレーションの波形を測定し、測定した生体マイクロバイブレーションの波形から得られる生体反応波形情報に基づく生体診断支援装置であって


第1の主測定部位としての、手の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第2の主測定部位としての、足の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第3の中心測定部位としての、手の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第4の主測定部位としての、足の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第5の主測定部位としての、手の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第6の主測定部位としての、足の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第7の主測定部位としての、手の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第8の主測定部位としての、足の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第9の主測定部位としての、手の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第10の主測定部位としての、足の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

の合計nE箇所であって、上記々載順でナンバリングされた1〜nE番目の測定部位のそれぞれにおいて、生体マイクロバイブレーションの波形を測定する第1の手段と、

前記第1の手段により、1乃至nEの範囲内の自然数であらわされるn番目の測定部位で測定された生体マイクロバイブレーションの波形について、数式(1)に示すとおり、時刻tの振幅fn(t)を、時刻t0乃至tEの時間範囲で積分することにより得られる積分値である振動量(Fn)を計算し、

【数19】


数式(1)で計算された合計nE個の振動量(Fn)を、数式(2)に基づいて、振動量対数値(Vn)を計算し、

【数20】


数式(2)で計算された合計nE個の振動量対数値(Vn)の中から最低の数値である最低振動量対数値(Vmin)を検出すると共に、
数式(4)に基づき、
合計nE個の振動量対数値(Vn)と最低振動量対数値(Vmin)との差分である振動量相対値(Rn)を計算し、

【数21】


合計nE個の振動量相対値(Rn)を、
上記々載順でナンバリングされた1〜nE番の順番で、
測定部位毎の振動量相対値(Rn)を一覧表としてあらわす第2手段と、

第2手段で得られた一覧表としてあらわされた測定部位毎の振動量相対値(Rn)を、
数式(5)〜(7)に基づき、
第1領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第1領域合計振動量相対値(RI)、
第2領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第2領域合計振動量相対値(RII)、
第3領域乃至第5領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V
を計算する第3の手段と、

【数22】


第3の手段により計算された、第1領域合計振動量相対値(RI)、第2領域合計振動量相対値(RII)、及び、第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V)を、
数式(8)に基づき、第2領域への生体マイクロバイブレーションが集中している度合いの指標である第2領域振幅集中指数(CD)を計算し、

【数23】



数式(9)に基づき、全領域における生体マイクロバイブレーションの変動の大きさの指標である生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)を計算する第4の手段と、

【数24】


第4の手段によって計算された生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)の数値を、生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)と血清腫瘍マーカーの血清濃度との間の回帰式に基づく検量線と照合して、血清腫瘍マーカーの血清濃度を予測する第5の手段

を具備することを特徴とする生体診断支援装置。




[請求項6]


生体が発生する生体マイクロバイブレーションの波形を測定し、測定した生体マイクロバイブレーションの波形から得られる生体反応波形情報に基づく生体診断支援装置であって


第1の主測定部位としての、手の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第1の副測定部位としての、手の第1領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第1領域中心経穴(第1の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の160分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第2の主測定部位としての、足の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第2の副測定部位としての、足の第1領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第1領域中心経穴(第2の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の160分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第3の中心測定部位としての、手の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第3の副測定部位としての、手の第2領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第2領域中心経穴(第3の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の107分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第4の主測定部位としての、足の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第4の副測定部位としての、足の第2領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第2領域中心経穴(第4の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の107分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第5の主測定部位としての、手の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第5の副測定部位としての、手の第3領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第3領域中心経穴(第5の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第6の主測定部位としての、足の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第6の副測定部位としての、足の第3領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第3領域中心経穴(第6の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第7の主測定部位としての、手の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第7の副測定部位としての、手の第4領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第4領域中心経穴(第7の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第8の主測定部位としての、足の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第8の副測定部位としての、足の第4領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第4領域中心経穴(第8の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第9の主測定部位としての、手の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第9の副測定部位としての、手の第5領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第5領域中心経穴(第9の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第10の主測定部位としての、足の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第10の副測定部位としての、足の第5領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第5領域中心経穴(第10の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の40分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点

の合計nE箇所であって、上記々載順でナンバリングされた1〜nE番目の測定部位のそれぞれにおいて、生体マイクロバイブレーションの波形を測定する第1の手段と、

前記第1の手段により、1乃至nEの範囲内の自然数であらわされるn番目の測定部位で測定された生体マイクロバイブレーションの波形について、数式(1)に示すとおり、時刻tの振幅fn(t)を、時刻t0乃至tEの時間範囲で積分することにより得られる積分値である振動量(Fn)を計算し、

【数25】


数式(1)で計算された合計nE個の振動量(Fn)を、数式(2)に基づいて、振動量対数値(Vn)を計算し、

【数26】


数式(2)で計算された合計nE個の振動量対数値(Vn)の中から最低の数値である最低振動量対数値(Vmin)を検出すると共に、
数式(4)に基づき、
合計nE個の振動量対数値(Vn)と最低振動量対数値(Vmin)との差分である振動量相対値(Rn)を計算し、

【数27】


合計nE個の振動量相対値(Rn)を、
上記々載順でナンバリングされた1〜nE番の順番で、
測定部位毎の振動量相対値(Rn)を一覧表としてあらわす第2手段と、

第2手段で得られた一覧表としてあらわされた測定部位毎の振動量相対値(Rn)を、
数式(5)〜(7)に基づき、
第1領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第1領域合計振動量相対値(RI)、
第2領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第2領域合計振動量相対値(RII)、
第3領域乃至第5領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V
を計算する第3の手段と、

【数28】


第3の手段により計算された、第1領域合計振動量相対値(RI)、第2領域合計振動量相対値(RII)、及び、第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V)を、
数式(8)に基づき、第2領域への生体マイクロバイブレーションが集中している度合いの指標である第2領域振幅集中指数(CD)を計算し、

【数29】



数式(9)に基づき、全領域における生体マイクロバイブレーションの変動の大きさの指標である生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)を計算する第4の手段と、

【数30】



第4の手段によって計算された生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)の数値を、生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)と血清腫瘍マーカーの血清濃度との間の回帰式に基づく検量線と照合して、血清腫瘍マーカーの血清濃度を予測する第5の手段

を具備することを特徴とする生体診断支援装置。

【0117】
課題を解決するための手段として本願発明の概要を以下に説明する。
【0118】
[本願発明の第1の特徴]
本願発明の第1の特徴は、MVを測定し、このMV測定値から得られたMV情報の解析装置であって、
MV測定値群の中から測定部位が所定の領域にあるMV測定値を選択する第1の手段と、

前記第1の手段で選択したMV測定値の振動量をそれぞれ求める目的で前記MV測定値の積分値を求める第2の手段と、

前記第2の手段で求めた振動量の値を相互に比較してこの相互関係からそれぞれの比率を求め、この振動量相互の比率の値を用いて前記MV測定値を一覧に表し、かつ、前記所定の領域ごとに分別して表示する第3の手段とを具備することである。
【0119】
[本願発明の第2の特徴]
本願発明の第2の特徴は、MVを測定し、このMV測定値から得られたMV情報の解析し、解析結果に基づいて生体診断情報を提供する生体診断支援装置であって、
MV測定値群の中から測定部位が所定の領域にあるMV測定値を選択する第1の手段と、

前記第1の手段で選択したMV測定値の振動量をそれぞれ求める目的で前記MV測定値の積分値を求める第2の手段と、

前記第2の手段で求めた振動量の値を相互に比較してこの相互関係からそれぞれの比率を求め、この振動量相互の比率の値を用いて前記MV測定値を一覧に表し、かつ、前記所定の領域ごとに分別して表示する第3の手段と、

前記第3の手段で求められた前記所定の領域ごとの振動量相互の比率と、あらかじめ記憶した臨床によって得られているデータ群とを対比させて対応づける第4の手段と、

前記第3の手段で求められた前記所定の領域ごとの振動量相互の比率を時系列で記録して時系列変化特性を表示し、この得られた被験者MV振動量相互間の時系列変化特性と、あらかじめ記憶した臨床によって得られている健常者及び/又は被験者からの前記時系列変化特性の的データ群とを比較して対応づける第5の手段とを具備することである。
【0120】
[本願発明の第3の特徴]
本願発明の第3の特徴は、前記第1の特徴のMV情報の解析装置、及び、第2の特徴の生体診断支援装置において、前記所定の領域が
WHOがWHO標準経穴部位としてWHO標準コード記号を与えて認定する全身の経穴のうち、

WHO標準コード記号で示される左右の手のLU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01の6種類の経穴(以下、手の第1領域中心経穴と称する)、及び/又は、これらの6種類の経穴を中心として半径値に被験者身長値の160分の1の値を代入した前記半径で示される円内範囲(以下、手の第1領域と称する)、及び
WHO標準コード記号で示される左右の足のST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1の6種類の経穴(以下、足の第1領域中心経穴と称する)、及び/又は、これらの6種類の経穴を中心として半径値に被験者身長値の160分の1の値を代入した前記半径で示される円内範囲(以下、足の第1領域と称する)、

及び、

WHO標準コード記号で示される左右の手のLU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02の6種類の経穴(以下、手の第2領域中心経穴と称する)、及び/又は、これらの6種類の経穴を中心として半径値に被験者身長値の107分の1の値を代入した前記半径で示される円内範囲(以下、手の第2領域と称する)、及び
WHO標準コード記号で示される左右の足のST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2の6種類の経穴(以下、足の第2領域中心経穴と称する)、及び/又は、これらの6種類の経穴を中心として半径値に被験者身長値の107分の1の値を代入した前記半径で示される円内範囲(以下、足の第2領域と称する)、

及び、

WHO標準コード記号で示される左右の手のLU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03の6種類の経穴(以下、手の第3領域中心経穴と称する)、及び/又は、これらの6種類の経穴を中心として半径値に被験者身長値の80分の1の値を代入した前記半径で示される円内範囲(以下、手の第3領域と称する)、及び
WHO標準コード記号で示される左右の足のST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3の6種類の経穴(以下、足の第3領域中心経穴と称する)、及び/又は、これらの6種類の経穴を中心として半径値に被験者身長値の80分の1の値を代入した前記半径で示される円内範囲(以下、足の第3領域と称する)、

及び

WHO標準コード記号で示される左右の手のLU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05の6種類の経穴(以下、手の第4領域中心経穴と称する)、及び/又は、これらの6種類の経穴を中心として半径値に被験者身長値の80分の1の値を代入した前記半径で示される円内範囲(以下、手の第4領域と称する)、及び
WHO標準コード記号で示される左右の足のST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4の6種類の経穴(以下、足の第4領域中心経穴と称する)、及び/又は、これらの6種類の経穴を中心として半径値に被験者身長値の80分の1の値を代入した前記半径で示される円内範囲(以下、足の第4領域と称する)、

及び、

WHO標準経穴部位のWHO標準コード記号で示される左右の手のLU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08の6種類の経穴(以下、手の第5領域中心経穴と称する)、及び/又は、これらの6種類の経穴を中心として半径値に被験者身長値の40分の1の値を代入した前記半径で示される円内範囲(以下、手の第5領域と称する)、及び
WHO標準コード記号で示される左右の足のST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8の6種類の経穴(以下、足の第5領域中心経穴と称する)、及び/又は、これらの6種類の経穴を中心として半径値に被験者身長値の40分の1の値を代入した前記半径で示される円内範囲(以下、足の第5領域と称する)、

(以下、第1領域中心経穴から第5領域中心経穴を総称して5領域中心経穴と呼び、第1領域から第5領域を総称して5領域と称する)であることである。

【0121】
本願発明の第1の特徴、及び、第2の特徴にあげた手段を用いてMV測定値を解析すれば、身体皮膚上に現れるMVには被験者の健康状態によって、身体の異なる部位に振動量の大小差を生み出す性質があることを把握することが出来る。

MV測定時に別途医師等の作業により被験者の血液検査情報、血圧情報、医学的診断名等の医学的情報をあらかじめ把握しておく。
このあらかじめ得られた医学的情報と、本願発明のMV解析装置によって求められた以下に掲げる、MV振動量に関する情報とを比較し、関連づけてデータベースを作成する。

実際の臨床において、このデータベースを基礎にして、随時、新たな被験者について、非侵襲的に得るMVを解析することで、この新たな被験者の健康状態に関する情報を、医師等に対して、診断支援情報として提供することができる。

この提供する診断支援情報とは、

(1)被験者のMV振動量の位置的分布パターンを求める目的で、MV測定値を、身体の場所ごとと、経絡ごとに分類して、表示した一覧表たる、振動量スコア表。

(2)被験者のMV振動量の位置的分布パターンを求める目的で、前述(1)の振動量スコア表の集計結果を表示した棒グラフ。

(3)被験者のMV振動量の位置的分布パターンの統計学的分布傾向を求める目的で、前述(1)の振動量スコア表の集計結果を統計解析にかけて得た度数分布表と、ヒストグラム。

(4)被験者の第2領域に集中した生体マイクロバイブレーション振動量の総和値たる、「第2領域(R)合計値:(RII)」。

(5)被験者の生体マイクロバイブレーション振動量が第2領域に集中する程度を比率で表す、「第2領域(R)集中度:CD」。

(6)腫瘍マーカー値と相関関係を示す「MV変動指数値:VD」。

(7)被験者の「MV変動指数値:VD」の時系列変化グラフ、及びこのグラフの傾き。

の7つの情報をいう。

次に、これらの生体支援情報の(1)〜(7)について説明する。

【0122】
[診断支援情報としての「振動量スコア表」]
段落[0121]の(1)項にいう「振動量スコア表」とは、段落[0045]に述べて、表8〜10に例示した表である。
この振幅スコア表は、例えば、表9に示すように、表の書式が東洋医学論に基づいて正経十二経の分類をもって作成してあるので、被験者の上肢及び、下肢から得られたMV振動量を東洋医学論の概念からとらえて、解析することが出来る。
また、図9に例示する振幅スコア表のように、表の各マスに入力してある記号、すなわち、
「薄赤色背景」(最大値を示す)、
「◎」、
「○」、
「△」、
「−」、
「 」(空欄を示す)、
は、段落[0182]に後述する動作によって与えられ、振動量の大きいものから順に、「◎」、「○」、「△」、「−」又は、「 」(「−」)、の記号を当てはめて、振動量の数値を変換して表すので、これを見て診断支援装置を得ようとする医師等がMVの振動量分布状況を視認し易い。
【0123】
また、この振幅スコア表(表10)では、MV振動量の相対的数値が低いものを切り捨て、空欄を示す「−」を入力してさらに視認し易いようにした。
【0124】
この振幅スコア表は、各領域中心経穴と、また各領域偏縁経穴とを逢わせて記載する書式とした。
本願発明の明細書において、MV振動量の説明のためにこの振幅スコア表を用いる時は、説明の便宜と、視認しやすさを考慮して、右手の部分の測定データを分離して示した。
【0125】
[診断支援情報としての「棒グラフ」]
段落[0121]の(2)項にいう棒グラフとは、例えば、図15〜17に例示するグラフである。
この棒グラフは、段落[0102]に図17を用いて述べたとおり、被験者のMVが指先からの距離に従ってどのように変化するかをモニターすることができる。
【0126】
図15〜23に例示する棒グラフは、
5領域の経穴から得られたMV測定値を対数表記して振動量相対値(R)を求め、
このR値をy値としてグラフのy軸上に取り、
指先から測定位置までの距離をx軸の値として
生成されている。

本願明細書において、MV振動量の説明のためにこの棒グラフを用いる時は、説明の便宜と視認しやすさを考慮して、被験者右側部分の測定データを示した。
【0127】
[被験者Naitakの症例から]
この図18〜20に示す3枚の棒グラフの被験者は、平成13年10月にS状結腸に発生した原発性大腸癌により腫瘍切除手術、並びに腫瘍周辺のリンパ節郭清手術を受けた男性被験者(65歳)である。この被験者をNaitakと仮称する。
この手術の3年後、平成16年6月10日に至り、本願発明のMV測定値の解析装置による予測を受け、得られた解析結果から、被験者の体質が腫瘍・嚢胞等の細胞増殖制御と関連する疾病、及び/又は、これら疾病の前駆的状態にあり得るとの予測結果を得た例である。このMV測定時の血清腫瘍マーカー値は
CEA;5.0(カットオフ値=5.0)、
Ca19−9;23.0(カットオフ値=37.0)
であったが、外科担当主治医は転移癌のエビデンスが不足していると判断から転移癌の診断を行わなかった。
しかし、この6ヶ月後の平成16年12月に至り、胸部レントゲン写真診断により、左右肺上部の肺尖部にそれぞれ直径5mm程度のかすかな陰影が見出された。
さらにその1ヶ月後の平成17年1月に至り、胸部レントゲン写真診断により同部位に1cmの陰影が得られたので、細胞診を行い、その結果、大腸癌の転移による肺尖部癌との診断を受け、平成17年2月末に内視鏡による腫瘍切除手術を受けるに至った。
この左肺尖に転移した腫瘍の位置は、本願発明による解析装置を用いて予測した病巣の予測位置と同一であった。
次にこの棒グラフの示す意味について説明する。
【0128】
図18に示す棒グラフはこの男性被験者Naitakの平成16年6月10日来院時のMV記録である。
このグラフの底辺に両矢印で5領域を分けて示している。
この5領域のそれぞれで、棒グラフが3つの区切りに分かれて立っている。これはそれぞれ3つの区切りの中央が領域中心経穴の測定値を表し、この中心経穴の左が指先側領域偏縁経穴の測定値を表し、この中心経穴の右が体幹側(体の中心に近い側を意味する)領域偏縁経穴の測定値を表したためである。
【0129】
図18に示す平成16年6月10日の記録では、5領域全体にMVが現れているが、ことに、第2領域のMVが大きく、取り分けて第2領域中心経穴の測定値が集中して大きな振動量を記録したことがわかる。
このときの医学的疾病状況は、前段に述べたとおり、3年前に原発性大腸癌の切除手術を受け、リンパ節に転移が診られたとの状況によりリンパ節郭清術(かくせいじゅつ)を同時に受けたので、すでに3年前の時点でリンパ行性転移(りんぱこうせいてんい)と称する、リンパ節及びリンパ管内を伝搬して癌細胞転移が始まっていて、大腸の原発腫瘍から全身に癌細胞が運搬された可能性が予測された。
この時点での血清腫瘍マーカー値は、前段に述べたとおり、
CEA;5.0(カットオフ値=5.0)、
Ca19−9;23.0(カットオフ値=37.0)
であったのであるが、外科担当の主治医は、CT断層写真による転移が発見されないことを根拠として転移があるとは診断し得なかった。
【0130】
この図18に示すMV記録と、時間を経過した後のMV測定値解析データを時系列で比較して、段落[0121]の(7)項に述べた、
「被験者の「MV変動指数値:VD」の時系列変化グラフ、及びこのグラフの傾き」
を検討すると、傾きはプラス勾配を示した。
すなわち腫瘍マーカー値が上昇しているであろうことを推測する、診断支援情報が得られた。
この診断支援情報を、図24に示す。
図24は、被験者Naitakについての「腫瘍マーカーとMV変動指数値に関する検討」である。
図24の(3)に示す「MV変動指数値の時系列変化」によれば、「MV変動指数値」のグラフは継続的に勾配がプラスであった。
図24の(3)に示す勾配は、
グラフ日付:「2004年(平成16年)7月12日〜7月13日」から、
グラフ日付:「2005年(平成17年)1月17日〜2月9日」
までの間で上昇を続けた。

一方、図24の(4)に示す、同時期の「CEA値の時系列変化」によれば、CEA値は、
グラフ日付:「2004年(平成16年)12月5日〜12月14日」
のMV解析時点で、一時的に低い値を示している。

この「2004年(平成16年)12月5日〜12月14日」のMV解析時点で一時的に示した低い値は、被験者Naitakが主治医の薦めで抗ガン剤を投与された結果、一時的に腫瘍が小さくなった結果であることが、推測された。

しかしながら、直後から肺内転移癌腫が拡大してしまった。
そのため、
グラフ日付:「2004年(平成16年)12月5日〜12月14日」
からわずか2ヶ月後の、平成17年(2005年)2月に至り、切除術を受けなければならなかった。

この事実は、被験者Naitakが抗ガン剤投与を受けることで、悪性腫瘍の大きさを一時的に縮小せしめることに成功したとしても、いわゆる「癌性体質」は全く変化しておらず、疾病症状は体内の不可視部分において、悪化傾向を辿っていたと見なすべきであった。
従って、本願発明者は、「MV変動指数値の時系列変化」グラフの傾きが、癌性疾患の正しい疾病状態の把握には不可欠であり、極めて重要な診断支援情報であることを見出した。

また、段落[0157]〜[0161]に後述する、「被験者「MV変動指数値:VD」と、炎症性疾患の関連性」からも検討を加えると、この被験者Naitakには、炎症性疾患が無かったから、得られた時系列で比較グラフの傾きは、癌性疾患の悪化を疑うに十分な診断支援情報であった。
【0131】
次に示す図19は、被験者Naitakの平成16年12月5日来院時のMV記録である。
この記録と前記6月10日の記録とを比較すると、5領域のうち第5領域の振動量が最低値となり、第4領域の振動量も減ってきたことがわかる。
それと対照的に、第3領域では振動量が増加した。
ことに、第2領域の振動量は、中心経穴においてはほとんどが相対的に高い値を示すようになり、偏縁経穴の指先側、体幹側においても同様に振動量が高くなってきたことを示していた。

このとき平成16年12月の医学的疾病状況は、前段に述べたとおり、胸部レントゲン写真診断により、左右肺上部の肺尖部にそれぞれ直径5mm程度のかすかな陰影が見出され、腫瘍マーカーは12月14日検査時で、
CEA;5.4ng/ml、
CA19−9;24.0ng/ml
であり、

6月10日の値と比較すると、それぞれ、
0.5ng/ml増加、
1.0ng/ml増加、
していた。

この血清腫瘍マーカー値の増加は、当然ながら、腫瘍の拡大を予測し得るデータであった。
被験者Naitakは、この平成16年12月5日にMV値解析を受けた後、平成17年2月に至り、内視鏡による肺内転移癌腫切除術を受けた。

【0132】
次に示す図20は、被験者Naitakの平成17年10月17日来院時のMV記録である。
この記録と前記平成16年12月5日の記録とを比較すると、5領域のうち、第5領域、及び、第4領域、及び、第3領域の振動量が最低値となったことがわかる。
それと対照的に、第2領域では振動量が著しく増加した。
ことに、第2領域中心経穴の振動量は、正経十二経全ての経絡の中心経穴において、振動量相対値が8以上の高値を示すようになった。
その一方で、第2領域偏縁経穴の振動量は全体的に低値を示すようになった。
このとき平成17年10月17日の医学的疾病状況は、
CEA;39.1ng/ml(カットオフ値=5.0)、
CA19−9;453.0ng/ml(カットオフ値=37.0)
まで上昇し、悪性腫瘍の転移と拡大が一層深刻な状況であることが示されていた。
【0133】
被験者Naitakが当院を訪れることができたのはこの平成17年10月17日来院時が最後となり、翌年平成18年4月20日に往診依頼を受けた時はすでに深刻な腹水症状で、直ちに入院手続きを行った。その後5月4日未明に息を引き取られた。
【0134】
[被験者Nakmitの症例から]
つぎに図21〜23に示す3枚の棒グラフの被験者は、平成14年、食道癌切除手術後、平成15年、右鎖骨下リンパ節転移によりリンパ節郭清手術を受けた経過をもつ男性被験者(63歳)である。この被験者をNakmitと仮称する。
【0135】
被験者Nakmitは、放射線治療を断続的に3年間継続してきたが、平成18年に至り、食道吻合(しょくどうふんごう=つなぎ合わせること)部、及び、胸部食道に悪性腫瘍の再発を診た。
累積放射線量が上限値を越えるため、さらなる放射線治療は不可能との主治医の判断で、経過観察することとなり、平成19年6月18日に本願発明者が従事する施設へ来院された。
来院時、癌性病巣は上記部位に大小3カ所であった。
【0136】
図21に示す被験者Nakmitの平成19年6月18日のMV記録では、当初から第2領域の振動量が大きく、しかも中心経穴だけが突出して大きな振動量を示していた。
このとき平成19年6月18日前後の医学的疾病状況は、
CEA;5.5(カットオフ値=5.0)、
であった。
【0137】
この被験者Nakmitは、すでに掛かり付けの2つの大学病院病院の双方から、さらなる放射線治療の危険性を指摘され、かつ、白血球の低下程度から判断してさらなる抗ガン剤使用が制限されて、ただ、病状の経過を観察するだけの状況にあった。
【0138】
従って被験者Nakmitは、抗ガン剤等一般医療常識で考え得る投薬手段が制限されたことから、やむを得ず東洋医学的手段を模索して、その結果来院されたのであったから、ご希望とする治療手段の中に漢方薬の選択肢は当然のことながら含まれていた。
【0139】
そこで本願発明者の従事先では、本願発明の疾病予測システムの診断支援装置に基づいて漢方薬選定について検討を行い、連携する医師と薬剤師との相談の上で、被験者Nakmitの要望に応える方向を目指した。
【0140】
図22は、被験者Nakmitの初診後およそ1ヶ月を経た時点のMV記録である。
この棒グラフと、前述の平成19年6月18日の記録とを比較検討すると、初診時、第2領域中心経穴だけに集中していた振動量は上限値が小さくなり、偏縁経穴の指先側に値の大きい振動量が現れている。
さらに第1領域の偏縁経穴の体幹側にも振動量があらわれているので、あたかも振動量のピークが身体上を移動するかのように記録された。
【0141】
次の図23は、被験者Nakmitが初診の翌年、平成20年2月11日に来院されたときのMV記録である。
この記録によれば、当初、第2領域の中心経穴において著しく高かった振動量は、4つの経絡をのぞいては低値を示すようになり、その一方で、第3領域、及び、第4領域において振動量が増加してきていた。
このとき平成20年2月11日前後の医学的疾病状況は、
CEA;3.0(カットオフ値=5.0)、
であった。
そしてこの後まもなくして、被験者Nakmitは掛かり付けの主治医から、
「CT断層写真撮影の結果、3病巣の消失を認める」、
との診断を受けた。

ここに示した、被験者Nakmitの臨床例からも、本願発明の診断支援情報が有意であることを示された。

【0142】
被験者Naitakの実施例は、癌性疾患が悪化してゆく経過をMV記録でモニターしたものであり、
一方、被験者Nakmitの実施例は、癌性疾患が改善してゆく経過を同様にモニターしたものである。
悪性腫瘍に関わるこれら対照的なMV記録を比較検討すると、
癌性疾患が悪化してゆく時に振動量分布グラフにおこる分布パターンの変化は、
癌性疾患の程度がまだ軽度の時には、振動分布のピークが第2領域の中心経穴にあるものの、第2領域以外の他の領域にも振動量分布がみられ、
その後、癌性疾患が悪化してゆくに従って、第2領域にあった振動分布のピークが高くなり、第2領域以外の他の領域にみられた振動量分布が次第に第2領域付近に集中する傾向が見られた。
【0143】
一方、癌性疾患が改善してゆく時に振動量分布グラフにおこる分布パターンの変化は、
癌性疾患の程度がまだ改善前にあっては、振動量分布が次第に第2領域付近に集中するが、
その後、癌性疾患が改善してゆくに従って、振動量分布のピークがまだ第2領域にあるものの、第2領域以外の他の領域にも振動量分布が現れる、
ことが特徴的であり、
さらに、例えば、図23に示す、被験者Nakmitの平成20年2月11日の実施例のように、癌性疾患が大きく改善し始めると、第2領域の中心経穴に現れていた振動量の高い値がいくつか姿を消して、第2領域以外の他の領域に大きな振動量の値の分布がみられる、という特徴があった。
【0144】
段落[0127]〜[0143]に述べた2つの症例を総括して、癌性疾患に見られた特徴的なMV現象を述べれば、以下の点が挙げられる。

(1)癌性疾患が悪化の傾向にある時の、振動量分布グラフにおこる分布パターンの変化は、第2領域における振動量相対値(R)の値が次第に大きくなること、と、高振幅部位が第2領域に集中してくる、という2点の特徴があった。

(2)癌性疾患が改善の傾向にある時の、振動量分布グラフにおこる分布パターンの変化は、第2領域における振動量相対値(R)の値が次第に小さくなること、と、高振幅部位が第2領域に集中していた状態から、高振幅部位が第2領域以外の他の領域へ移動する状態へ変化してくる、という2点の特徴があった。
【0145】
そこで、癌性疾患の疾病進行状態を示す度合いと、MV分布パターンの変化程度とが、正の相関を示すか否かを検討する必要が生じた。
この検討のためには、癌性疾患の疾病進行状態をモニターするための指標として用いられている血清腫瘍マーカー値と、MV振動量分布状態との相関を検討する必要があった。
【0146】
前述した棒グラフの変化傾向から、癌性疾患の疾病状態と係わるのは、

(1)第2領域におけるMV振動量の大きさと、

(2)MVが5領域の中で第2領域に集中して現れる度合い、

とであった。

(1)については、段落[0045]に詳細を述べた振動量スコア表に、第2領域振動量相対値(R)が入力されて一時的に保存されるから、これを集計して生成される値を用いることができる。

(2)については、段落[0048]の数式(5)〜(7)によって、
「RII」(振動量相対値(R)の第2領域における合計値)と、
「RI 」 +「RIII~V 」(第2領域以外の他の領域全てにおける合計値)
とを比較して、
この比率をもとに生成する値を用いることができる。

この比率を、「第2領域(R)集中度:CD」として求める数式(8)については、すでに段落[0051]で述べたとおりである。
【0147】
「第2領域(R)集中度:CD」を求める数式(8)において、用いている係数「κ」について説明する。
表14に示す振動量スコア表は、「被験者が極めて健康な若年者である時の振動量スコア表入力例」である。
本願のMV解析装置による測定値解析を行う時に、希に、表14で示すように、振動量相対値(R)が、全て「1」として振動量スコア表入力される場合がある。

本願発明者のこれまでの臨床データから判断すると、被験者の振動量相対値(R)が、全て「1」として振動量スコア表に入力される場合は、被験者が一般医学的にも、東洋医学論的にも、全くの健康体である。

このように、5領域の全てにおいて、MVがきわめて低値を示した時は、被験者が全くの健康体であって、このようなときはMVの高振幅部位は、どこの領域にも現れない。
被験者の振動量相対値(R)が、全て「1」として振動量スコア表入力される場合は、MVの高振幅部位が、どの領域にも集中することがないので、健康状態を示す基準になる。
これを理由に、被験者の振動量相対値(R)が、全て「1」として振動量スコア表入力される場合に第2領域(R)集中度が「1.00」を示すように数式(8)の(κ)を「4」と設定した。
【0148】
【表10】

【0149】
前段[0146]に述べたように、
棒グラフの変化傾向から、癌性疾患の疾病状態と係わるMV特性は、
(1)第2領域におけるMV振動量の大きさ、と、
(2)MVが5領域の中で第2領域に集中して現れる度合い、
とであったから、
これら、(1)及び、(2)の値を乗ずることにより、癌性疾患の疾病状態との関わりを示す「MV変動指数値」が生成される。
このMV動向指数を「VD」と表して、数式(9)で求める。
【0150】
【数8】


【0151】
被験者Naitakから得られた血清腫瘍マーカー値の記録と、
この血清腫瘍マーカー検査日に近い日時に行ったMV記録
との相関を時系列変化で検討する。
図24に「腫瘍マーカーとMV変動指数値に関する検討」を示して、相関グラフを示す。
図24の(1)に、「CEA値とMV変動指数値の相関」を、
図24の(2)に、「CA19−9値とMV変動指数値の相関」を示す。
これら相関グラフでは、
x軸に前述のMV変動指数値を定め、
y軸に血清腫瘍マーカー値を定めて、
MV変動指数値と、血清腫瘍マーカー値との相関を検討した。
この結果、両者は正の相関にあることが明らかとなった。
【0152】
次に、MV変動指数値と、血清腫瘍マーカー値との相関が、他の被験者においても同様に存在するかを検討した。
癌性疾患には、すでに一般的に認識されているように、悪性が強く腫瘍の拡大が急速であるような、例えば膵臓癌のような種類や、一般的に比較的中程度の悪性度で知られる乳癌のような種類もあり、または、甲状腺癌のような比較的穏やかな悪性度を見せる種類もある。
そのような医学的理由から、MV変動指数値と、血清腫瘍マーカー値との相関が、他の被験者においても同様に存在するかを検討するに際し、得られている全てのデータを癌性種類の区別無く混在させて検討することはせず、被験者の癌性種類ごとに分類して検討した。
【0153】
MV変動指数値と、血清腫瘍マーカー値との相関を検討するために用いる被験者の血清腫瘍マーカー値のサンプル数について述べる。
いうまでもなく血清腫瘍マーカーの検査は費用患者負担の検査である。また、血液検査であるから、侵襲的に行わなければならず、被験者にとっては体重測定や体温測定、あるいは血圧測定などの非侵襲的検査とは異なった一種の精神的敷居の高さがあることを患者の気持ちになって考慮しなければならないことはいうまでも無い。
今日、医療機関による利益向上主義が批判され、医療機関では検査ばかりが多い、との批判が繰り返されている。
このような時に、臨床試験データを得る目的で頻繁にデータを出すよう依頼することは、できる限りこれを控え、検査回数は必要最小限の比較データを得るにとどめなければならない。
従って、時系列変化を検討すべき血液検査データは、その数が少ないものも検討の対象に含めた。
【0154】
図24〜29に6症例の実施例を示して、MV変動指数値と、血清腫瘍マーカー値との相関を検討した。
図24の被験者の疾病状態は、原発性大腸癌であった。
図25の被験者の疾病状態は、原発性食道癌であった。
図26の被験者の疾病状態は、膵臓癌であった。
図27の被験者の疾病状態は、乳癌であった。
図28の被験者の疾病状態は、乳癌であった。
図29の被験者は疾病状態は、膵臓癌であった。
これらの検討から、R2forcus値と、血清腫瘍マーカー値との相関は有意であることが見出された。
【0155】
[診断支援情報としての「ヒストグラム」]
段落[0121]の(3)項にいう「ヒストグラム」とは、例えば、図30として例示するグラフである。
図30は、「癌性疾患の可能性が低い健常若年者7名から得た振動量相対値の分布を表すヒストグラム」である。

この図30のヒストグラムを作成するには、次の工程による。
(1)MV測定値から「振動量相対値:(R)」を求める。
(2)領域毎に、(1)で求めた「振動量相対値:(R)」の統計学的度数分布を求める。
(3)この統計学的度数分布から、ヒストグラムを求める。

図30のヒストグラムにおいて、y軸値は振動量相対値(R)の値と定めた。
ヒストグラムは、領域ごとに一枚ずつ生成するので、5領域で5枚のヒストグラムが生成される。
ヒストグラムは、MVの振動量分布状態や分布傾向を統計学的に表すので、5枚のヒストグラムを相互に比較検討することで、5領域内に存在する、正経十二経全ての経絡の、MV振動量を比較検討できる。
本願発明の明細書において、MV振動量の説明のためにこのヒストグラムを用いる時は、説明の便宜と視認しやすさを考慮して、主に右手の部分の測定データを分離して提示した。

一般に、癌性疾患が発見された患者は、癌の進行状態に応じて、癌の種類と、ステージを診断して記録される。
その記録と同時に、患者(被験者)のMV解析を行い、患者(被験者)の振動量相対値(R)分布状態を、癌の種類と、ステージ毎に分類して、あらかじめデータベースに加えることで、癌の種類と、ステージ毎にヒストグラムが得られる。

新規患者(被験者)のMV解析において、あらかじめデータベースに保存されているヒストグラムが示す振動量相対値(R)分布データと、新規患者(被験者)から得られた同様のデータとを比較して検討することで、新規患者(被験者)の疾病状態の推測が可能である。
【0156】
図31は、「明らかに癌性疾患が悪化傾向を示す被験者10名から得た振動量相対値の分布を表すヒストグラム」である。
図31のヒストグラムの母集団は、本願発明者が所属する医療施設において関わった、

(1)明らかな癌性疾患の診断を受け、腫瘍切除手術を受ける予定の症例と、

(2)腫瘍切除手術を受けたのちに転移の疑いが生じた症例

を選び、この(1)及び、(2)を併せた10症例を母集団としている。
この10症例のうち、平成22年1月1日現在の生存例は4例、死亡例は6例である。

この母集団全てに共通する事項は、
すべての症例において被験者の血清腫瘍マーカー値が漸次上昇している、
ということである。

すなわちそれは、全ての症例において癌性疾患が悪化していることを示す。

図31に示す5つのヒストグラムは、第1領域〜第5領域の振動量相対値(R)分布状態を示す。
図31の、5領域に関わる5枚のヒストグラムのうち、第2領域のヒストグラムは他の領域のヒストグラムとは、明らかに異なる。
本願発明者が、これらヒストグラムを比較し、検討した結果、
「悪性腫瘍が悪化しつつあるときの振動量相対値(R)は、癌性種類に関わりなく、一様に第2領域で値が高くなる」、
という現象を見出した。
【0157】
次に、図30に示すヒストグラムは、前段落[0155]で述べた、「癌性疾患の可能性が低い健常若年者7名から得た振動量相対値の分布を表すヒストグラム」である。

この図30のヒストグラムの母集団は、明らかに癌性疾患が無い4〜14歳までの若年者7症例である。
本願発明者が、これらヒストグラムを比較し、検討した結果、

(1)明らかに癌性疾患が無い身体では、MVの振動量分布は、5領域の全ての領域でほとんど異なりを見せない。

(2)5領域全ての領域で現れる振動量相対値(R)はきわめて低い。

との2つの現象を見出した。
【0158】
段落[0155]〜[0157]に述べたこれらのヒストグラムによる検討から、先に述べた棒グラフを用いて行った個々の被験者の検討結果と、ほぼ同様の結論がえられ、癌性疾患の疾病状況と、MVの分布パターンには、データの範囲を広げても同様の相関にあることが見出された。
【0159】
[診断支援情報としての時系列変化グラフ]
段落[0154]に図24〜29を示して、MV変動指数値の時系列変化を、疾病毎に比較することで、診断支援情報としての時系列変化グラフが有効であることが見出された。
【発明の効果】
【0160】
[本願発明の効果]
本願発明の効果は、五行穴と本発明者が新規に見出したその周辺の特定領域から検出したMV情報に基づき、疾病の診断に資する生体診断支援装置を提供することができることである。
ここで、MV情報とは、波としてのMVに関する波形、振動量、振幅、周波数を包含する。
ここで、疾病とは、細胞増殖制御と関連する疾病(腫瘍・嚢胞等の)、これらの疾病の前駆的状態を包含する。
従来の技術において、経絡、及び/又は、経穴においてMVを測定しようとすることは、当業者間において非常識であり、一般的ではなかった。
ましてや、経絡や経穴の下位概念たる五行穴、及び/又は、五行穴の周辺領域においてMVを測定しようとすることは、当業者間において全く想定外であった。
五行穴の位置・配置は、古より伝承されたものであり、東洋医学の分野における当業者間、特に、鍼・灸等による東洋医学的治療の分野における当業者間では、生体における特異な部位であることは、論を待つまでもない。
然るに、従来の技術においては、五行穴の位置・配置は、鍼・灸等の治療行為を『INPUT』をする部位であって、そこから情報を得ようとする『OUTPUT』を得るための部位としては、殆ど認識されてこなかった。
辛うじて、特許文献1においてのみ、五行穴に包含される井穴において、皮膚インピーダンスが測定されている。
但し、この特許文献1における実施態様は、交感神経と副交感神経のバランスを検知することを目的としており、細胞増殖制御と関連する疾病(腫瘍・嚢胞等の)、並びに、これらの疾病の前駆的状態の診断を目的としたものではない。
特許文献2も、細胞増殖制御と関連する疾病(腫瘍・嚢胞等の)、並びに、これらの疾病の前駆的状態の診断を目的としたものではない。
即ち、従来の技術においては、五行穴を情報を得るための『OUTPUT』部位と認識して、五行穴から得られる物理的測定値に基づいて、細胞増殖制御と関連する疾病(腫瘍・嚢胞等の)、並びに、これらの疾病の前駆的状態の診断に資する技術は存在しなかった。
【0161】
[本願発明の効果の詳細]
全身361箇所の経穴のうち、手指、及び、足指のみに定められた井穴(せいけつ)と称される28の経穴を測定するだけでは無く、より多くの経穴を多点測定し、その中から特に前記第1領域から前記第5領域までの領域中心経穴、及び、領域偏縁経穴における測定値を選択して、この選択された測定値から生成される振動量を相互比較することで、MV波形測定値を解析・利用する非侵襲的な手段で生体の健康状態と疾病状態との比較することが可能となった。
それゆえ、安静覚醒時のMVを変化させ得る要因が、被験者身体内部の健康状態と関連を有することを明らかにすることができた。
また、MV波形測定値から生体が示す健康状態情報を得る工程において振動量スコアを表示した振動量スコア表のパターンを採用することにより、少なくとも(1)〜(7)の効果を奏することができた。
【0162】
(1)安静覚醒時のMVが変化を示す高振幅部位は、身体の健康状態あるいは疾病状態によって身体上を移動してMVの振動量分布パターンが変化することを明らかすることができた。
【0163】
(2)このパターンの変化、及び、高振幅部位の位置的変遷は、身体上に定められたWHO標準経穴部位相互間を移動するという身体全体における医学的位置関係を明らかにすることができた。
【0164】
(3)身体の健康状態あるいは疾病状態とMVの発現特性との相関関係を前記記号等を用いて表すパターン変化として把握することが出来るようになったので、MVに含まれる情報量を十分に引き出すことが可能となった。
【0165】
(4)癌性疾患の進行度と関連が深い血清腫瘍マーカーとの相関を示すMV変動指数値を発見することができたので、非侵襲的に癌性疾患の悪化傾向をモニターできるようになった。
【0166】
(5)抗ガン剤を使用することで、一時的に癌性腫瘍が縮小したように観察される場合であっても、再発の危険性がいわゆる「癌体質」が改善されていないときは、MV変動指数が上昇傾向を示すこと現象を明らかできたので、より正確な診断支援情報を提供できるようになった。
【0167】
(6)振動量スコアを一覧する振動量スコア表を考案したことで、癌性疾患の疾病状態変化を数値化できた。従って、東洋医学論においても数値データを用いて癌性疾患の検証を行うことができるようになった。
【0168】
(7)振動量スコアを一覧する振動量スコア表を考案したことで、癌性疾患の疾病状態変化を五行論から数値化できた。従って、五行論に基づいて処方されている漢方薬処方においても、数値データを用いて癌性疾患に対する処方を行うことができるようになった。

【発明を実施するための形態】
【0169】

[実施例1/MV解析装置]
図1に「1」として示すブロック構成図は、本願発明の実施例1の「MV解析装置」の機能構成を示すブロック構成図である。
【0170】
本実施例1のMV解析装置は、
MVディテクタから出力されるMV波形信号を受け取るための「データバッファ」と、
波形信号増幅装置と、
(A/D)変換器及び、雑音フィルタと、
CPUと、
で構成されている。
【0171】
図1に1として示す、本実施例1のMV解析装置1は、例えば、人体に照射することの出来るレーザー光(JIS(日本工業規格)C6802レーザー安全基準レーザクラス1)を皮膚に照射して、皮膚表面で反射されるレーザー光を読みとることで、皮膚のMV波形を振幅量と時間軸とによる測定値として得ることが出来るようなレーザー変位計(株式会社キーエンス製SI-F01、マイクロヘッドタイプ)を用いてMVを測定して波形信号(データ)を得る。
【0172】
この得た波形信号の中から、5領域の各領域中心経穴及び、各領域偏縁経穴に係わるMV波形信号を得て、この得た波形信号を波形信号増幅装置で増幅する。
【0173】
この増幅した波形信号を(A/D)変換器によりディジタル信号に変換し、変換したディジタル信号をフィルタリングステップに入力し、入力した信号から供給電源の規定周波数(例えば関東地方においては50ヘルツ毎秒)と、使用するパソコン等演算装置固有の周波数Fを基本周波数とするFの整数倍の周波数とからなるいわゆる雑音を除去する。
【0174】
雑音を除去したこの波形信号を、CPU(演算装置)に入力し、CPU内にインストールされたプログラムによって、表計算ソフトの表の列に入力する。
数値(ディジタル)化されたディテクタ毎の波形信号は、表計算ソフト内の表に、列毎に振り分けられて入力される。
【0175】
列毎に振り分けられて入力されたディジタルデータに対して、絶対値化する工程を加え、その後、絶対値化された波形ディジタルデータを表計算ソフトに組み込んだプログラムによって列毎に近似積分する。
【0176】
さらに、CPUにおいて、この近似積分されたMV波形データの対数を演算して得る。この得た対数値が、「振動量対数値:V」である。
【0177】
「振動量対数値:V」は、身体の左右の上肢及び、下肢からn個得られ(n=360)、それぞれは「Vn」と連続番号を付して記憶される。
【0178】
連続番号を付された「Vn」は、振動量スコア表に入力される。
この入力は、振動量スコア表にあらかじめ割り付けてある「n」番号に従って、同じ「n」番号のマスに入力されて、表として表示される。
【0179】
身体の左右のうち、片側に係る「Vn」はn=1〜180である。
【0180】
連続番号を付して記憶された「Vn」の中から、値が最低値の「Vn」を選択し、「Vmin」とする。
【0181】
「Vn」から「Vmin」を除して、「振動量対数値:V」の差分を求め、これを、「振動量相対値:Rn」とする。
【0182】
「振動量相対値:Rn」は、3つの「振動量スコアパラメータ:(A)、(B)、(C)」によって、5種類の記号等に変換され、診断支援情報の1つとして表示され、提供される。
【0183】
5種類の記号等とは、
(「薄赤色背景」:最大値を示す表のマスの識別背景色)、(「◎」)、(「○」)、(「△」)及び、(「 」:入力無しを示す空白)
である。
【0184】
これら5種類の記号等は、「振動量スコア」である。


[実施例2/生体診断支援装置]
図1に「2」として示すブロック構成図は、本願発明の実施例2の「生体診断支援装置」の機能構成を示すブロック構成図である。

本実施例2の生体診断支援装置は、
図1に「1」として示すMV解析装置から出力される、振動量相対値:Rnを、一旦取り込むためのデータバッファ、
パラメータによる演算及び、解析装置、
ハードディスクドライブ、
データ編集領域、
診断判定領域、
(2−1)安全値ファイル、
(2−2)診断基準ファイル、
(2−3)医学診断辞書ファイル、
(2−4)漢方診断辞書ファイル、
(2−5)鍼灸診断辞書ファイル
及び、
被験者の血液検査データ等、医学的情報を入力するためのキーボード
、を含む構成で成り立っている。
【0185】
MV解析装置から出力された、「振動量相対値:Rn」は、「パラメータによる演算及び、解析装置」に移され、
(2−1)安全値ファイル、
(2−2)診断基準ファイル、
(2−3)医学診断辞書ファイル、
(2−4)漢方診断辞書ファイル、
(2−5)鍼灸診断辞書ファイル
及び、
キーボードから入力される、被験者の血液検査データ等の医学的情報と共に、処理されて次の(2)〜(7)で示す診断支援情報に変換される。
【0186】
(2)被験者のMV振動量の位置的分布パターンを求める目的で、前述(1)の振動量スコア表の集計結果を表示した棒グラフ。
【0187】
(3)被験者のMV振動量の位置的分布パターンの統計学的分布傾向を求める目的で、前述(1)の振動量スコア表の集計結果を統計解析にかけて得た度数分布表と、ヒストグラム。
【0188】
(4)被験者の第2領域に集中した生体マイクロバイブレーション振動量の総和値たる、「第2領域(R)合計値:(RII)」。
【0189】
(5)被験者の生体マイクロバイブレーション振動量が第2領域に集中する程度を比率で表す、「第2領域(R)集中度:CD」。
【0190】
(6)腫瘍マーカー値と相関関係を示す「MV変動指数値:VD」。
【0191】
(7)被験者の「MV変動指数値:VD」の時系列変化グラフ、及びこのグラフの傾き。
【0192】
(2)〜(7)で示した診断支援情報は、図1に「3」として示す「診断支援情報出力・表示装置」によって表示され、情報として提供される。
【0193】
以下に、実施例2の生体診断支援装置において用いる、診断支援基準の作成について説明する。
【0194】
[診断支援基準]
本願発明の生体診断支援装置は、医師等が行う診断に際し、疾病の進行状態と有意な相関にある情報、及び、指数値を提供することで診断を支援するものである。
【0195】
診断支援基準の設定は、あらかじめ、西洋医学的健常者であって同時に、東洋医学的健常者である被験者を母集団として統計学的検定を行い、最も分布の多い集団領域の平均最大値と平均最小値を求め、それを標準領域とする。
【0196】
[癌性疾患診断支援基準]
癌性疾患の診断支援基準を設定するにおいて、癌性疾患の予防として安全基準値を求める際には、癌性疾患の可能性がきわめて低い健常若年者を選択する。
【0197】
癌性疾患の診断支援工程においては、癌性種類ごとに、また、癌性疾患のステージ(癌進行度、及び、悪性度の基準で、癌学会が定めるスケール)ごとに、母集団となりうる被験者のデータを記憶しておき、これらの保存データをデータベースとして、癌性種類それぞれのステージ毎に基準領域を定める。
【0198】
この基準領域の定義には血清腫瘍マーカー値を基準の1つとする。
例えば、血清腫瘍マーカーCEA値における安全基準値は、本願発明においては、例えば非特許文献10に示された、生命保険事業における契約者の健康危険度に関する血清腫瘍マーカー値の安全基準に関する報告書等の信頼できる調査報告を参考に、基準値を定める。

本願発明においては、この調査報告書として、「危険選択における腫瘍マーカーの導入の経験」を採用した。これは、安田生命相互保険会社の調査チームが行ったもので、国立情報学研究所の管理する論文情報ナビゲータ[サイニィ]に収録されているものである(非特許文献15)。
【0199】
血清腫瘍マーカー値における安全基準値は、一般的に病院での腫瘍マーカー検査基準に準じてはならない。
例えば腫瘍マーカーCEAを例に挙げれば、一般病院での血清腫瘍マーカー値における安全基準値は、一度、癌性疾患によって腫瘍切除術が施された患者に癌性腫瘍の再発が在るか、無いかを知るための指標として用いられていることが多い。
本願発明のMV解析装置を使用して、一度、癌性疾患によって腫瘍切除術が施された患者のMVを解析すると、次に挙げる5項目の値が、健常者の範囲から大きくはずれる。

それらの項目とは、
「振動量相対値:(R)」、
「第1領域(R)合計値:RI」、「第2領域(R)合計値:RII」及び、「第3領域〜第5領域(R)合計値:RIII~V 」、
「第2領域(R)集中度:CD」、
「MV変動指数値:VD」、
である。
【0200】
すなわち、前記5項目の値が、健常者の範囲から大きくはずれる、ということは、術後であっても、患者らのいわゆる「癌性体質」といわれる体質は、改善されていないことを示す。

従って、本願発明の診断支援装置が示す診断支援情報は、腫瘍マーカー値と相関するので、診断支援情報の安全基準設定においては、一般病院検査値を有意に下回る値を定めなければならない。
【0201】
本願発明においては、この調査報告書が報告する279例(うち女性17例、平均年齢46歳)のうち健常者として選抜された196例の血清腫瘍マーカー値平均値を最も安全な基準値と定めた。それらの値は、例えば腫瘍マーカーCEAについては、
CEA;0.6ng/ml
である。
この値、CEA;0.6ng/ml
を元に、MV変動指数値の最も安全な基準値を求め、この求めた基準値をデータベースに加えることで、同様の疾病傾向に対するデータベースを補完することができる。

【0202】
[漢方薬処方支援基準]
漢方薬の処方を行う医師等に提示する診断支援情報の基準設定においては、医師等がこれら診断支援情報を生薬単味(段落[0055]参照)選定に用いることを考慮して、母集団選定に東洋医学的健常者の条件を加えなければならない。この理由は、生薬単味の辞書ファイルにおいては、生薬単味の薬効に関する有効なデータベースの大半が、伝統的に東洋医学的判断基準に基づいて作成されているからである。

【0203】
[実施例3/漢方薬の処方を行う医師等に提示する診断支援情報]
本願発明の生体診断支援装置においては、あらかじめデータベース内に「漢方診断辞書ファイル」を備える。
この漢方診断辞書ファイルには、被験者に係る漢方投薬前のMV分布と、投薬後のMV分布とを比較して、薬効と考え得るMV分布の変化を記録する。
この漢方診断辞書ファイル作成する工程を次に説明する。
【0204】
(1)段落[0100]〜[0101]に述べた振幅スコア表を、はじめに医師等が処方しようとする被験者に関して作成する。
【0205】
(2)次に、
(ア)(1)で作成した振幅スコア表の高振幅値が記録された領域がいずれの領域であるか、と、
(イ)この高振幅部位が記録された経絡がどの経絡であるか、
との情報を得る。
【0206】
(3)次に、表12〜13に例示する、生薬単味におけるマイクロバイブレーション対応スコア、及び帰経の一覧を参照して、適合する生薬単身を選定する。
この一覧のタイトルにいう帰経とは、症状に応じて生薬単味を選定する際の指標となる生薬個々に定められた特性であり、当業者によって伝統的にこれが用いられてきた。

この一覧の左端に記入した寒熱スコアとは、生薬単味を服用することでどのように体内の熱バランスがコントロールされるかを示す指標をいう。
寒熱スコアの行領域には、上方の行に「脾」との文字で脾経を記載し、同様に次々の行に経絡名を記載し、最下段の行は小腸経を記載した。

また、この一覧の左端上方、生薬名の行の次行に記入した寒熱記号の、+、−、±、との記号は、生薬名の行に箇々に記載して示した生薬単味が、服用後体内でどのような熱変化を身体に与えるかを記したものである。
【0207】
例えば、表13の第四領域区分に記載して示す「附子」は、寒熱記号が+(プラス)であって、かつ、寒熱記号の次行に記載して示す寒熱値は4.0である。さらに、この附子が記載された列を下方へたどると、寒熱スコアの行領域に至り、この領域では全ての経絡に○の記号が付してある。
この、寒熱記号+とは、
この附子が、服用後の身体に、身体の冷えを改善するように作用することを意味し、
寒熱値4.0とは、
この附子が、服用後の身体与えるプラスの熱作用の程度が4.0であることを示す。
寒熱スコアが全ての経絡において○、との記載は、
この附子を服用することで、12の経絡の全てに存在していた冷えの現象が改善されることを示す。
【0208】
一方、表11に記載の、第2領域区分の右端に記載して示す「石膏」を例示すれば、寒熱記号が−(マイナス)であって、かつ、寒熱記号の次行に記載して示す寒熱値は−1.0である。
さらに、この石膏が記載された列を下方へたどると、寒熱スコアの行領域にいたり、この領域では、心包、及び、心の経絡だけに○の記号が付してある。

表11に示した石膏に関するこの記述は、本願発明のMV解析装置を用いて、服用前に計測された被験者のデータと、服用後に計測された被験者のデータとを比較して、比較結果から作成した。
【0209】
従来からの伝統的な漢方薬に関する考察では、この石膏の場合は、服用後の身体に、身体内部の発熱状態、もしくは内熱と称する熱のアンバランス状態を解消する、と伝統的に解釈されてきた。
例えば、非特許文献11によれば、江戸時代からこの石膏の処方について、当時の医師らが議論してきたことを示す記述がある。
それらの議論では、石膏が身体の炎症性疾患においておこる発熱状態を改善すると同時に、副次的効果として身体を冷やしすぎてしまう、との点が議論の中心となっていた。その後も現在に至るまで、石膏の効果を検証するために、服用によって変化する身体の生体反応を科学的に解析する手法は存在しなかった。
【0210】
本願発明のMV解析装置によって、石膏服用後の身体反応を解析したところ、図19に記載したとおり、服用前において、心包と、心の経絡の第2領域にMV振動量の高振幅部位が分布する被験者の場合において、石膏の服用により、この高振幅部位の分布が消失する生体反応が見出された。
【0211】
本願発明者は、臨床経験における、この石膏と、石膏服用後の生体反応とを考察して、本願発明の明細書においてたびたび述べる第2領域が、MVを利用して、体内の熱バランスに関わる生体反応を知る上で重要な領域であることを見出した。
この石膏の薬効に関わる実施例同様に、図19に記載した生薬単身に係る寒熱スコアの記載は、服用後のMV振動量分布データと、服用前の同データとを比較して、これらを作成した。

なお、この寒熱記号と寒熱値との基礎概念は、佐賀県で薬剤師として医療に従事する香田賢介師をはじめとする研究グループが考案したことで知られている。
【0212】
(4)前述(3)までの工程で導き出された生薬単味を、医師等が被験者に処方し、1時間〜3時間後に再び被験者のMV振動量分布を測定する。この測定によって求めるデータの種類は、前述(2)と同様である。
【0213】
(5)前述(2)によって得たデータを服用前データとし、(4)によって得たデータを服用後データとして、両者を比較し、服用前データにおいて高振幅値が記録されていた領域で、服用後に高振幅部位の消失があるか、または、消失し得ない場合は残存する振動量相対値(R)値の相対差は、どの経絡で、いくつであるかを求め、これを服用した生薬単味の薬効情報として、図19に例示した生薬単味におけるマイクロバイブレーション対応スコア、及び帰経の一覧、に記録し、データベースとして記憶させる。
【0214】
従来から知られている漢方薬の薬効確認作業において、服用した漢方薬の薬効が1時間〜3時間程度の短時間で判別する手段は存在しなかった。
本願発明のMV解析装置を用いて、MV反応を利用すれば、服用後1時間〜3時間程度の比較的短時間のうちに、服用した漢方薬の薬効を確認できるので、例えば癌性疾患で入院中の患者に対してより効果的に箇々の患者の疾病状態、及び、個人差に応じた漢方薬の処方を可能にする処方支援情報を医師等に提供できる。

【0215】
[本願発明に係わる各装置の形態]
本願発明に係わる各装置を以下に説明する。

[振動検出装置]
本願発明に係るMV解析装置にMV測定値を入力するために使用される振動検出装置は、例えば
圧電式加速度計、サーボ加速度計、人体に照射できるレーザー光を利用したレーザー変位計、光発光ダイオードを用いた三次元変位計、マイクロ波の替わりに人体に照射できるレーザー光を利用した合成開口レーダー装置、
からなる群から選択した少なくとも1種が望ましい。
【0216】
[振動検出装置の測定可能周波数帯]
本願発明に係るMV解析装置において使用する振動検出装置の測定可能周波数帯は、好ましくは、
0ヘルツから1000ヘルツの周波数帯を測定できるものである。
【0217】
[振動検出装置の測定精度]
本願発明に係るMV解析装置において使用する振動検出装置の測定精度は、好ましくは、
1ナノメートルの変位量を測定できるものである。
[振動検出装置のサンプリング周期(毎秒測定回数)]
本願発明に係るMV解析装置において使用する振動検出装置のサンプリング周期は、好ましくは、
5キロヘルツ以上である。
【0218】
[雑音除去ステップのフィルタリング周波数]
本願発明に係るMV解析装置において、雑音除去ステップのフィルタリング周波数は、少なくとも、
供給電源の規定周波数、すなわち関東地方では50ヘルツを基本周波数とする50の整数倍の周波数と、
及び、
使用するパソコン等演算装置固有の周波数Fを基本周波数とするFの整数倍の周波数とである。
【0219】
[測定データ処理装置の態様]
被験者左右片側ごと測定して得られたMV波形曲線に対し、測定時間間隔Δtと測定振幅値Δdの積を生成することで波形曲線と時間軸xが作る面積の積分近似値を求めるため、データ処理装置はプログラミング言語を用いて稼働する表計算ソフトウェアを備えることが望ましい。

この表計算ソフトウェアの行はMV波形データの測定時間を記載し、実施例では例えば5秒間の測定時間内に求められた波形の振幅値とを、一時収納する。
そのため、この表計算ソフトウェアが備える表に必要な行数は、例えばサンプリング周波数を5キロヘルツとして、波形測定時間を10秒間と設定する図33の手腕の第2領域測定実施例では、少なくとも50,000行が必要である。この必要行数は
(この表に必要な行数)
=(波形測定時間;10秒間)×(サンプリング周波数;5000ヘルツ)
によって求める。
【図面の簡単な説明】
【0220】
以下、本願発明について、図面を参照して説明を示す。

【図1】生体マイクロバイブレーション解析装置のブロック構成を示す図である。
【図2】手の太陰肺経を示す図である。
【図3】足の少陰腎経を示す図である。
【図4】五行穴の位置の特徴を示す図である。
【図5】手足の五行穴を示す図である。
【図6】五行穴と5領域(第1領域〜第5領域)との位置関係を示す図である。
【図7】手の第1領域を示す図である。
【図8】手の第2領域を示す図である。
【図9】手の第2領域偏縁経穴を示す図である。
【図10】手の第1領域中心経穴を示す図である。
【図11】特許文献1に開示されている生体反応波形情報の解析装置を示す図である。 (原文献の図1と図8に基づき本出願人が作図したものである。)
【図12】非特許文献4に開示されているマイクロバイブレーション測定装置を示す図である。 (原文献の記載に基づき本出願人が作図したものである。)
【図13】健康成人の左手の母指球のマイクロバイブレーションと、心電図、呼吸曲線との関係を示す図である。 (原文献の記載に基づき本出願人が引用して作図したものである。)
【図14】完全心房ブロック患者の母指球マイクロバイブレーションと、頭頂のマイクロバイブレーション、眼瞼のマイクロバイブレーションとの関係を示す図である。
【図15】感冒罹患初期におけるMV振幅値分布(56歳・女性)を示す図である。
【図16】感冒完治後におけるMV振幅値分布(56歳・女性)を示す図である。
【図17】指先(木)〜肘(水)に至るMV振幅値分布(56歳・女性)を示す図である。
【図18】大腸癌により腫瘍切除手術受けた男性被験者(65歳)の振動量相対値:Rnの分布(1)を示す図である。
【図19】大腸癌により腫瘍切除手術受けた男性被験者(65歳)の振動量相対値:Rnの分布(2)を示す図である。
【図20】大腸癌により腫瘍切除手術受けた男性被験者(65歳)の振動量相対値:Rnの分布(3)を示す図である。
【図21】食道癌切除手術後、右鎖骨下リンパ節転移の経過をもつ男性被験者(63歳)の振動量相対値:Rnの分布(1)を示す図である。
【図22】食道癌切除手術後、右鎖骨下リンパ節転移の経過をもつ男性被験者(63歳)の振動量相対値:Rnの分布(2)を示す図である。
【図23】食道癌切除手術後、右鎖骨下リンパ節転移の経過をもつ男性被験者(63歳)の振動量相対値:Rnの分布(3)を示す図である。
【図24】腫瘍マーカーとMV変動指数値に関する検討(1)を示す図である。
【図25】腫瘍マーカーとMV変動指数値に関する検討(2)を示す図である。
【図26】腫瘍マーカーとMV変動指数値に関する検討(3)を示す図である。
【図27】腫瘍マーカーとMV変動指数値に関する検討(4)を示す図である。
【図28】腫瘍マーカーとMV変動指数値に関する検討(5)を示す図である。
【図29】腫瘍マーカーとMV変動指数値に関する検討(6)を示す図である。
【図30】癌性疾患の可能性が低い健常若年者7名から得た振動量相対値の分布を表すヒストグラムを示す図である。
【図31】明らかに癌性疾患が悪化傾向を示す被験者10名から得た振動量相対値の分布を表すヒストグラム
【符号の説明】
【0221】
1・・・MV解析装置
2・・・生体診断支援装置
3・・・診断支援情報出力・表示装置
HT09・・・経穴:少衝
TE01・・・経穴:関衝
PC09・・・経穴:中衝
LI01・・・経穴:商陽
LU11・・・経穴:少商
PC08・・・経穴:労宮
HT08・・・経穴:少府
TE02・・・経穴:液門
LU10・・・経穴:魚際
SI02・・・経穴:前谷
LI02・・・経穴:二間
I ・・・第1領域(R)合計値、
II ・・・第2領域(R)合計値
III~V ・・・第2領域〜第5領域(R)合計値

【特許請求の範囲】
【請求項1】

生体が発生する生体マイクロバイブレーションの波形を測定し、測定した生体マイクロバイブレーションの波形から得られる生体反応波形情報の解析装置であって


第1の主測定部位としての、手の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第2の主測定部位としての、足の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第3の中心測定部位としての、手の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第4の主測定部位としての、足の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第5の主測定部位としての、手の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第6の主測定部位としての、足の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第7の主測定部位としての、手の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第8の主測定部位としての、足の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第9の主測定部位としての、手の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第10の主測定部位としての、足の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

の合計nE箇所であって、上記々載順でナンバリングされた1〜nE番目の測定部位のそれぞれにおいて、生体マイクロバイブレーションの波形を測定する第1の手段と、

前記第1の手段により、1乃至nEの範囲内の自然数であらわされるn番目の測定部位で測定された生体マイクロバイブレーションの波形について、数式(1)に示すとおり、時刻tの振幅fn(t)を、時刻t0乃至tEの時間範囲で積分することにより得られる積分値である振動量(Fn)を計算し、

【数1】


数式(1)で計算された合計nE個の振動量(Fn)を、数式(2)に基づいて、振動量対数値(Vn)を計算し、

【数2】


数式(2)で計算された合計nE個の振動量対数値(Vn)の中から最低の数値である最低振動量対数値(Vmin)を検出すると共に、
数式(4)に基づき、
合計nE個の振動量対数値(Vn)と最低振動量対数値(Vmin)との差分である振動量相対値(Rn)を計算し、

【数3】


合計nE個の振動量相対値(Rn)を、
上記々載順でナンバリングされた1〜nE番の順番で、
測定部位毎の振動量相対値(Rn)を一覧表としてあらわす第2手段と、
を具備することを特徴とする生体マイクロバイブレーション解析装置。



【請求項2】

生体が発生する生体マイクロバイブレーションの波形を測定し、測定した生体マイクロバイブレーションの波形から得られる生体反応波形情報の解析装置であって


第1の主測定部位としての、手の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第1の副測定部位としての、手の第1領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第1領域中心経穴(第1の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の160分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第2の主測定部位としての、足の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第2の副測定部位としての、足の第1領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第1領域中心経穴(第2の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の160分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第3の中心測定部位としての、手の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第3の副測定部位としての、手の第2領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第2領域中心経穴(第3の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の107分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第4の主測定部位としての、足の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第4の副測定部位としての、足の第2領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第2領域中心経穴(第4の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の107分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第5の主測定部位としての、手の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第5の副測定部位としての、手の第3領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第3領域中心経穴(第5の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第6の主測定部位としての、足の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第6の副測定部位としての、足の第3領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第3領域中心経穴(第6の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第7の主測定部位としての、手の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第7の副測定部位としての、手の第4領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第4領域中心経穴(第7の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第8の主測定部位としての、足の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第8の副測定部位としての、足の第4領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第4領域中心経穴(第8の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第9の主測定部位としての、手の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第9の副測定部位としての、手の第5領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第5領域中心経穴(第9の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第10の主測定部位としての、足の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第10の副測定部位としての、足の第5領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第5領域中心経穴(第10の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の40分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点

の合計nE箇所であって、上記々載順でナンバリングされた1〜nE番目の測定部位のそれぞれにおいて、生体マイクロバイブレーションの波形を測定する第1の手段と、

前記第1の手段により、1乃至nEの範囲内の自然数であらわされるn番目の測定部位で測定された生体マイクロバイブレーションの波形について、数式(1)に示すとおり、時刻tの振幅fn(t)を、時刻t0乃至tEの時間範囲で積分することにより得られる積分値である振動量(Fn)を計算し、

【数4】


数式(1)で計算された合計nE個の振動量(Fn)を、数式(2)に基づいて、振動量対数値(Vn)を計算し、

【数5】


数式(2)で計算された合計nE個の振動量対数値(Vn)の中から最低の数値である最低振動量対数値(Vmin)を検出すると共に、
数式(4)に基づき、
合計nE個の振動量対数値(Vn)と最低振動量対数値(Vmin)との差分である振動量相対値(Rn)を計算し、

【数6】


合計nE個の振動量相対値(Rn)を、
上記々載順でナンバリングされた1〜nE番の順番で、
測定部位毎の振動量相対値(Rn)を一覧表としてあらわす第2手段と、
を具備することを特徴とする生体マイクロバイブレーション解析装置。



【請求項3】

生体が発生する生体マイクロバイブレーションの波形を測定し、測定した生体マイクロバイブレーションの波形から得られる生体反応波形情報に基づく生体診断支援装置であって


第1の主測定部位としての、手の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第2の主測定部位としての、足の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第3の中心測定部位としての、手の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第4の主測定部位としての、足の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第5の主測定部位としての、手の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第6の主測定部位としての、足の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第7の主測定部位としての、手の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第8の主測定部位としての、足の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第9の主測定部位としての、手の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第10の主測定部位としての、足の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

の合計nE箇所であって、上記々載順でナンバリングされた1〜nE番目の測定部位のそれぞれにおいて、生体マイクロバイブレーションの波形を測定する第1の手段と、

前記第1の手段により、1乃至nEの範囲内の自然数であらわされるn番目の測定部位で測定された生体マイクロバイブレーションの波形について、数式(1)に示すとおり、時刻tの振幅fn(t)を、時刻t0乃至tEの時間範囲で積分することにより得られる積分値である振動量(Fn)を計算し、

【数7】


数式(1)で計算された合計nE個の振動量(Fn)を、数式(2)に基づいて、振動量対数値(Vn)を計算し、

【数8】


数式(2)で計算された合計nE個の振動量対数値(Vn)の中から最低の数値である最低振動量対数値(Vmin)を検出すると共に、
数式(4)に基づき、
合計nE個の振動量対数値(Vn)と最低振動量対数値(Vmin)との差分である振動量相対値(Rn)を計算し、

【数9】


合計nE個の振動量相対値(Rn)を、
上記々載順でナンバリングされた1〜nE番の順番で、
測定部位毎の振動量相対値(Rn)を一覧表としてあらわす第2手段と、

第2手段で得られた一覧表としてあらわされた測定部位毎の振動量相対値(Rn)を、
数式(5)〜(7)に基づき、
第1領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第1領域合計振動量相対値(RI)、
第2領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第2領域合計振動量相対値(RII)、
第3領域乃至第5領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V
を計算する第3の手段と、

【数10】


第3の手段により計算された、第1領域合計振動量相対値(RI)、第2領域合計振動量相対値(RII)、及び、第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V)を、
数式(8)に基づき、第2領域への生体マイクロバイブレーションが集中している度合いの指標である第2領域振幅集中指数(CD)を計算して表示し、

【数11】



及び/又は、

数式(9)に基づき、全領域における生体マイクロバイブレーションの変動の大きさの指標である生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)を計算して表示する第4の手段

【数12】

を具備することを特徴とする生体診断支援装置。



【請求項4】


生体が発生する生体マイクロバイブレーションの波形を測定し、測定した生体マイクロバイブレーションの波形から得られる生体反応波形情報に基づく生体診断支援装置であって


第1の主測定部位としての、手の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第1の副測定部位としての、手の第1領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第1領域中心経穴(第1の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の160分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第2の主測定部位としての、足の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第2の副測定部位としての、足の第1領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第1領域中心経穴(第2の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の160分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第3の中心測定部位としての、手の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第3の副測定部位としての、手の第2領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第2領域中心経穴(第3の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の107分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第4の主測定部位としての、足の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第4の副測定部位としての、足の第2領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第2領域中心経穴(第4の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の107分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第5の主測定部位としての、手の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第5の副測定部位としての、手の第3領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第3領域中心経穴(第5の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第6の主測定部位としての、足の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第6の副測定部位としての、足の第3領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第3領域中心経穴(第6の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第7の主測定部位としての、手の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第7の副測定部位としての、手の第4領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第4領域中心経穴(第7の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第8の主測定部位としての、足の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第8の副測定部位としての、足の第4領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第4領域中心経穴(第8の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第9の主測定部位としての、手の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第9の副測定部位としての、手の第5領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第5領域中心経穴(第9の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第10の主測定部位としての、足の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第10の副測定部位としての、足の第5領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第5領域中心経穴(第10の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の40分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点

の合計nE箇所であって、上記々載順でナンバリングされた1〜nE番目の測定部位のそれぞれにおいて、生体マイクロバイブレーションの波形を測定する第1の手段と、

前記第1の手段により、1乃至nEの範囲内の自然数であらわされるn番目の測定部位で測定された生体マイクロバイブレーションの波形について、数式(1)に示すとおり、時刻tの振幅fn(t)を、時刻t0乃至tEの時間範囲で積分することにより得られる積分値である振動量(Fn)を計算し、

【数13】


数式(1)で計算された合計nE個の振動量(Fn)を、数式(2)に基づいて、振動量対数値(Vn)を計算し、

【数14】


数式(2)で計算された合計nE個の振動量対数値(Vn)の中から最低の数値である最低振動量対数値(Vmin)を検出すると共に、
数式(4)に基づき、
合計nE個の振動量対数値(Vn)と最低振動量対数値(Vmin)との差分である振動量相対値(Rn)を計算し、

【数15】


合計nE個の振動量相対値(Rn)を、
上記々載順でナンバリングされた1〜nE番の順番で、
測定部位毎の振動量相対値(Rn)を一覧表としてあらわす第2手段と、

第2手段で得られた一覧表としてあらわされた測定部位毎の振動量相対値(Rn)を、
数式(5)〜(7)に基づき、
第1領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第1領域合計振動量相対値(RI)、
第2領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第2領域合計振動量相対値(RII)、
第3領域乃至第5領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V
を計算する第3の手段と、

【数16】


第3の手段により計算された、第1領域合計振動量相対値(RI)、第2領域合計振動量相対値(RII)、及び、第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V)を、
数式(8)に基づき、第2領域への生体マイクロバイブレーションが集中している度合いの指標である第2領域振幅集中指数(CD)を計算して表示し、

【数17】



及び/又は、

数式(9)に基づき、全領域における生体マイクロバイブレーションの変動の大きさの指標である生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)を計算して表示する第4の手段

【数18】


を具備することを特徴とする生体診断支援装置。



【請求項5】

生体が発生する生体マイクロバイブレーションの波形を測定し、測定した生体マイクロバイブレーションの波形から得られる生体反応波形情報に基づく生体診断支援装置であって


第1の主測定部位としての、手の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第2の主測定部位としての、足の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第3の中心測定部位としての、手の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第4の主測定部位としての、足の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第5の主測定部位としての、手の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第6の主測定部位としての、足の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第7の主測定部位としての、手の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第8の主測定部位としての、足の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第9の主測定部位としての、手の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、



第10の主測定部位としての、足の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

の合計nE箇所であって、上記々載順でナンバリングされた1〜nE番目の測定部位のそれぞれにおいて、生体マイクロバイブレーションの波形を測定する第1の手段と、

前記第1の手段により、1乃至nEの範囲内の自然数であらわされるn番目の測定部位で測定された生体マイクロバイブレーションの波形について、数式(1)に示すとおり、時刻tの振幅fn(t)を、時刻t0乃至tEの時間範囲で積分することにより得られる積分値である振動量(Fn)を計算し、

【数19】


数式(1)で計算された合計nE個の振動量(Fn)を、数式(2)に基づいて、振動量対数値(Vn)を計算し、

【数20】


数式(2)で計算された合計nE個の振動量対数値(Vn)の中から最低の数値である最低振動量対数値(Vmin)を検出すると共に、
数式(4)に基づき、
合計nE個の振動量対数値(Vn)と最低振動量対数値(Vmin)との差分である振動量相対値(Rn)を計算し、

【数21】


合計nE個の振動量相対値(Rn)を、
上記々載順でナンバリングされた1〜nE番の順番で、
測定部位毎の振動量相対値(Rn)を一覧表としてあらわす第2手段と、

第2手段で得られた一覧表としてあらわされた測定部位毎の振動量相対値(Rn)を、
数式(5)〜(7)に基づき、
第1領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第1領域合計振動量相対値(RI)、
第2領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第2領域合計振動量相対値(RII)、
第3領域乃至第5領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V
を計算する第3の手段と、

【数22】


第3の手段により計算された、第1領域合計振動量相対値(RI)、第2領域合計振動量相対値(RII)、及び、第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V)を、
数式(8)に基づき、第2領域への生体マイクロバイブレーションが集中している度合いの指標である第2領域振幅集中指数(CD)を計算し、

【数23】



数式(9)に基づき、全領域における生体マイクロバイブレーションの変動の大きさの指標である生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)を計算する第4の手段と、

【数24】


第4の手段によって計算された生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)の数値を、生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)と血清腫瘍マーカーの血清濃度との間の回帰式に基づく検量線と照合して、血清腫瘍マーカーの血清濃度を予測する第5の手段

を具備することを特徴とする生体診断支援装置。



【請求項6】


生体が発生する生体マイクロバイブレーションの波形を測定し、測定した生体マイクロバイブレーションの波形から得られる生体反応波形情報に基づく生体診断支援装置であって


第1の主測定部位としての、手の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU11、LI01、PC09、TE01、HT09、SI01の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第1の副測定部位としての、手の第1領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第1領域中心経穴(第1の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の160分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第2の主測定部位としての、足の第1領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST45、SP1、BL67、KI1、GB44、LR1の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第2の副測定部位としての、足の第1領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第1領域中心経穴(第2の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の160分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第3の中心測定部位としての、手の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU10、LI02、PC08、TE02、HT08、SI02の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第3の副測定部位としての、手の第2領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第2領域中心経穴(第3の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の107分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第4の主測定部位としての、足の第2領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST44、SP2、BL66、KI2、GB43、LR2の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第4の副測定部位としての、足の第2領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第2領域中心経穴(第4の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の107分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第5の主測定部位としての、手の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU09、LI03、PC07、TE03、HT07、SI03の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第5の副測定部位としての、手の第3領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第3領域中心経穴(第5の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第6の主測定部位としての、足の第3領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST43、SP3、BL65、KI3、GB41、LR3の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第6の副測定部位としての、足の第3領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第3領域中心経穴(第6の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第7の主測定部位としての、手の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU07、LI05、PC05、TE06、HT04、SI05の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第7の副測定部位としての、手の第4領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第4領域中心経穴(第7の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第8の主測定部位としての、足の第4領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST41、SP5、BL60、KI7、GB38、LR4の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第8の副測定部位としての、足の第4領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第4領域中心経穴(第8の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点



第9の主測定部位としての、手の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の手のLU05、LI11、PC03、TE10、HT03、SI08の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第9の副測定部位としての、手の第5領域、
即ち、
中心としての、選択された手の第5領域中心経穴(第9の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の80分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点、



第10の主測定部位としての、足の第5領域中心経穴、
即ち、WHO標準コード記号で示される左右の足のST36、SP9、BL40、KI6、GB33、LR8の6種類の経穴から選択された少なくとも2つの経穴、

第10の副測定部位としての、足の第5領域、
即ち、
中心としての、選択された足の第5領域中心経穴(第10の主測定部位)としての少なくとも2つの経穴とし、
半径としての、被験者身長値の40分の1の値として描かれる円内の領域において、
中心を挟んで等距離で対峙する2点

の合計nE箇所であって、上記々載順でナンバリングされた1〜nE番目の測定部位のそれぞれにおいて、生体マイクロバイブレーションの波形を測定する第1の手段と、

前記第1の手段により、1乃至nEの範囲内の自然数であらわされるn番目の測定部位で測定された生体マイクロバイブレーションの波形について、数式(1)に示すとおり、時刻tの振幅fn(t)を、時刻t0乃至tEの時間範囲で積分することにより得られる積分値である振動量(Fn)を計算し、

【数25】


数式(1)で計算された合計nE個の振動量(Fn)を、数式(2)に基づいて、振動量対数値(Vn)を計算し、

【数26】


数式(2)で計算された合計nE個の振動量対数値(Vn)の中から最低の数値である最低振動量対数値(Vmin)を検出すると共に、
数式(4)に基づき、
合計nE個の振動量対数値(Vn)と最低振動量対数値(Vmin)との差分である振動量相対値(Rn)を計算し、

【数27】


合計nE個の振動量相対値(Rn)を、
上記々載順でナンバリングされた1〜nE番の順番で、
測定部位毎の振動量相対値(Rn)を一覧表としてあらわす第2手段と、

第2手段で得られた一覧表としてあらわされた測定部位毎の振動量相対値(Rn)を、
数式(5)〜(7)に基づき、
第1領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第1領域合計振動量相対値(RI)、
第2領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第2領域合計振動量相対値(RII)、
第3領域乃至第5領域に属する振動量相対値(Rn)の合計値としての第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V
を計算する第3の手段と、

【数28】


第3の手段により計算された、第1領域合計振動量相対値(RI)、第2領域合計振動量相対値(RII)、及び、第3領域以降合計振動量相対値(RIII~V)を、
数式(8)に基づき、第2領域への生体マイクロバイブレーションが集中している度合いの指標である第2領域振幅集中指数(CD)を計算し、

【数29】



数式(9)に基づき、全領域における生体マイクロバイブレーションの変動の大きさの指標である生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)を計算する第4の手段と、

【数30】



第4の手段によって計算された生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)の数値を、生体マイクロバイブレーション変動指数(VD)と血清腫瘍マーカーの血清濃度との間の回帰式に基づく検量線と照合して、血清腫瘍マーカーの血清濃度を予測する第5の手段

を具備することを特徴とする生体診断支援装置。



【請求項7】

血清腫瘍マーカーが、
CEA、CA15−3、CA19−9、BCA、及び、NCC−ST−439からなる群から選択された少なくとも1種である、
請求項6又は7に記載した生体診断支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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