生体情報検出装置
【課題】良好なメンテナンス性を確保しつつ、電気的接続部に不具合が生じることを防止すると共に、検出性能が不安定になることを防止することができる心拍計測装置を提供する。
【解決手段】装置本体2と、装置本体2と一体的に形成され、生体表面に接触する電極6a,6bを有する心拍検出部3と、帯状に形成され、装置本体2、及び心拍検出部3を身体に固定するための固定バンド4と、を備え、固定バンド4の長手方向の両端は、それぞれ装置本体2にフック部5bと被係合部12bとで構成された係合手段を介して着脱可能に取り付けられていることを特徴としている。
【解決手段】装置本体2と、装置本体2と一体的に形成され、生体表面に接触する電極6a,6bを有する心拍検出部3と、帯状に形成され、装置本体2、及び心拍検出部3を身体に固定するための固定バンド4と、を備え、固定バンド4の長手方向の両端は、それぞれ装置本体2にフック部5bと被係合部12bとで構成された係合手段を介して着脱可能に取り付けられていることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、身体の生体表面に電極を取り付け、生体信号を検出する生体情報検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の生体情報検出装置の中には、例えば、心臓の鼓動に伴って発生する心電信号を検出し、生体表面から心拍数を計測するものがある。このような生体情報検出装置としては、例えば、検出回路基板等が内蔵された本体部と、この本体部を身体に装着するためのストラップとを有し、このストラップに一対の電極が設けられているものがある。そして、本体部、及びストラップには、それぞれ本体部の検出回路基板と、ストラップの電極とを電気的に接続するための電気的接続部が設けられている。
【0003】
このような構成のもと、一対の電極を身体の胸部(生体表面)に接触させることにより、心臓の鼓動に伴って発生する心電信号を検出し、この検出した心電信号に基づいて本体部が心拍数を導き出す。
さらに、生体情報検出装置の中には、例えば、ストラップの洗浄等のメンテナンス性の観点から、ストラップに本体部が着脱自在に設けられているものがある。そして、ストラップに本体部を装着するとストラップに設けられている電気的接続部と、本体部に設けられている電気的接続部とが機械的に接続され、検出回路基板と電極とが電気的に接続される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7526840号明細書
【特許文献2】米国意匠登録第603521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、本体部と電極とを着脱自在に構成しているので、電気的接続部の取り付け具合によって心拍計測装置の検出性能が不安定になるという課題がある。また、本体部と電極との着脱動作を繰り返すことにより、電気的接続部が損傷してしまう虞があるという課題がある。
さらに、ストラップに電極が設けられているので、心拍計測装置を身体に取り付けた状態にあっては、電極、及び電気的接続部に常時引張方向の外力が加わることになる。このため、ストラップに設けられている電気的接続部と、本体部に設けられている電気的接続部とが機械的に離間され、検出回路基板と電極との電気的接続が遮断されてしまう虞があるという課題がある。これに加え、メンテナンス時のストラップの洗浄に伴い、電極部分が洗浄液に晒され、電極や電気的接続部等の電気部品が損傷してしまう虞があるという課題がある。
【0006】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、良好なメンテナンス性を確保しつつ、電極や電気的接続部等の電気部品に不具合が生じることを防止すると共に、検出性能が不安定になることを防止することができる心拍計測装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る生体情報検出装置は、装置本体と、前記装置本体と一体的に形成され、生体表面に接触する電極を有する生体信号検出部と、帯状に形成され、前記装置本体、及び前記生体信号検出部を身体に固定するための固定手段と、を備え、前記固定手段の長手方向の両端は、それぞれ前記装置本体に係合手段を介して着脱可能に取り付けられていることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、固定手段と電極を有する生体信号検出部とを切り離した状態で、装置本体、及び生体信号検出部を身体に固定することができるので、生体信号検出部に外力が加わることを防止できる。また、装置本体と生体信号検出部とを一体にしたままこれら装置本体、及び生体信号検出部を、固定手段から切り離すことができる。このため、良好なメンテナンス性を確保しつつ、固定手段単体で洗浄を行うことが可能になり、電極や電気的接続部等の電気部品に不具合が生じることを確実に防止できる。
さらに、固定手段の長手方向の両端がそれぞれ装置本体に接続されているので、固定手段に対する装置本体の位置決めを精度よく行うことができると共に、ズレを防止できる。このため、取付安定性のよい生体情報検出装置を提供できる。
【0009】
また、前記固定手段は、少なくとも伸縮性のストラップと、前記ストラップの長手方向における一端及び他端の少なくとも一方に連結される非伸縮性のベルトと、を備え、前記ベルトは、前記生体信号検出部を覆うように形成され、前記装置本体に前記係合手段を介して着脱可能に取り付けられていることを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、ベルトで生体信号検出部を覆うことにより、生体信号検出部の露出を防止し、衣類等を介して生体信号検出部の電極が短絡するのを防止できるとともに、デザイン性を向上できる。また、ベルトは非伸縮性であるため、固定手段に対する装置本体の位置決めをさらに精度よく行うことができる。
【0011】
また、前記ベルトと前記生体信号検出部との間には、相対位置のズレを規制するズレ規制手段が設けられていることを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、確実に電極を使用者の胸部に密着させることができるので、生体情報検出装置の検出精度を向上させることができる。また、ベルトと生体信号検出部とのズレを防止できるので、生体信号検出部がベルトから露出し、衣類等を介して生体信号検出部の電極が短絡するのを確実に防止できる。
【0013】
また、前記係合手段は、前記装置本体及び前記固定手段のいずれか一方に設けられたフック部と、前記装置本体及び前記固定手段のいずれか他方に設けられ前記フック部に係合される被係合部と、により構成されていることを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、生体情報検出装置の装着時には固定手段からの装置本体の脱落を確実に防止し、メンテナンス時には装置本体と固定手段との着脱を容易に行うことができる。
【0015】
また、前記生体信号検出部は導電エラストマーにより形成され、前記導電エラストマーが前記電極を兼ねていることを特徴としている。
【0016】
本発明によれば、生体信号検出部を弾性変形し易くすることができ、電極の生体表面に対する密着性を高めることができる。このため、生体信号を、より高精度に検出することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、固定手段と電極を有する生体信号検出部とを切り離した状態で、装置本体、及び生体信号検出部を身体に固定することができるので、生体信号検出部に外力が加わることを防止できる。また、装置本体と生体信号検出部とを一体にしたままこれら装置本体、及び生体信号検出部を、固定手段から切り離すことができる。このため、良好なメンテナンス性を確保しつつ、固定手段単体で洗浄を行うことが可能になり、電極や電気的接続部等の電気部品に不具合が生じることを確実に防止できる。
さらに、固定手段の長手方向の両端がそれぞれ装置本体に接続されているので、固定手段に対する装置本体の位置決めを精度よく行うことができると共に、ズレを防止できる。このため、取付安定性のよい生体情報検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態における心拍計測装置を、使用者に取り付けた状態を示す説明図である。
【図2】第1実施形態の心拍計測装置の斜視図である。
【図3】第1実施形態の心拍計測装置の分解斜視図である。
【図4】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図5】第2実施形態の心拍計測装置の斜視図である。
【図6】第2実施形態の心拍計測装置の分解斜視図である。
【図7】図5のB−B線に沿った断面図である。
【図8】第2実施形態の第1変形例における電極の周囲の斜視図である。
【図9】第2実施形態の第1変形例における電極の周囲の上面図である。
【図10】第2実施形態の第2変形例における電極の周囲の斜視図である。
【図11】第2実施形態の第2変形例における電極の周囲の上面図である。
【図12】他の係合手段の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
(心拍計測装置)
次に、この発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る生体情報検出装置である心拍計測装置1を、使用者Uに取り付けた状態を示す説明図、図2は、心拍計測装置1の斜視図、図3は、心拍計測装置1の分解斜視図である。
【0020】
図1に示すように、心拍計測装置1は、使用者Uの生体表面である胸部に装着して心臓の鼓動に伴って発生する心電信号を検出し、この検出した心電信号を無線通信するものである。図2に示すように、心拍計測装置1は、装置本体2と、装置本体2と一体的に形成されている心拍検出部3と、これら装置本体2、及び心拍検出部3を使用者U(図1参照)の胸部に装着するための固定バンド4とを備えている。
【0021】
装置本体2は、外形状が略円板状に形成されているケース7と、このケース7内に設けられている不図示の検出回路基板とを備えたものである。なお、ケース7の外形状は実施形態の略円板状に限られることはなく、例えば矩形板状であってもよい。
不図示の検出回路基板は、無線送信部、及び送信回路(何れも不図示)を有しており、心拍検出部3によって検出された信号に基づいて、無線通信するようになっている。検出回路基板には、心拍検出部3が電気的接続されている。
【0022】
図3に示すように、心拍検出部3は、一対の電極6a,6bにより構成されている。電極6a,6bは、帯状の導電エラストマーからなり、長手方向一端が装置本体2を挟んで両側に連結されている。そして、電極6a,6bと装置本体2の不図示の検出回路基板とに設けられている電気的接続部25を介し、検出回路基板に電極6a,6bが電気的に接続された形になっている。
なお、導電エラストマーとしては、例えば、カーボンブラックを配合した導電シリコンゴム、カーボンブラックを配合した導電ゴム、カーボンブラックを配合した導電ポリウレタンゴム等を用いることができる。
【0023】
ケース7には、一対の電極6a,6bに対応した位置に、一対の連結部材5が設けられている。連結部材5は、ケース7の外周面からケース7の径方向外側に向かって帯状の電極6a,6bに沿うように延出された一対の腕部5aと、一対の腕部5aに跨るように延在する棒状の被係合部5bと、により構成されている。連結部材5の被係合部5bは、後述する伸縮ストラップ8に設けられたストラップ着脱具12のフック部12bと着脱可能に構成されている。
【0024】
(固定バンド)
固定バンド4は、使用者U(図1参照)の胸部の全周に亘って装着されるように略環状に形成されている。具体的には、固定バンド4は、帯状に形成され伸縮性を有する伸縮ストラップ8であり、伸縮ストラップ8の長手方向両端に跨るように装置本体2が連結されている。
伸縮ストラップ8の長手方向略中央には、伸縮ストラップ8の長さを調整するための長さ調整具24が設けられている。
【0025】
伸縮ストラップ8の長手方向両端には、伸縮ストラップ8と装置本体2とを着脱可能とするためのストラップ着脱具12が設けられている。ストラップ着脱具12は、長円環状の枠体12aと、枠体12aの長手方向に沿った領域から枠体12aの径方向外側に向かって湾曲形成されたフック部12bと、により構成されている。なお、枠体12aとフック部12bとは、一体に形成されていてもよいし、別体に形成した後に接合されていてもよい。
【0026】
図4は、図2のA−A線に沿った断面図である。
図4に示すように、ストラップ着脱具12と伸縮ストラップ8とは、枠体12aに伸縮ストラップ端部8aを挿通した後フック部12bとは反対側に折り返し、伸縮ストラップ本体8bと伸縮ストラップ端部8aとを固定することにより取り付けられる。伸縮ストラップ本体8bと伸縮ストラップ端部8aとは、縫製や綿ファスナー等により固定される。
【0027】
伸縮ストラップ8と装置本体2とは、連結部材5の被係合部5bに、ストラップ着脱具12のフック部12bを係合することにより、着脱可能に取り付けられている。すなわち、ストラップ着脱具12のフック部12bと、連結部材5の被係合部5bとは、伸縮ストラップ8と装置本体2との係合手段を構成している。これにより、心拍計測装置の装着時には固定バンド4からの装置本体2の脱落が確実に防止され、メンテナンス時には装置本体2と固定バンド4との着脱が容易に行える。
ここで、連結部材5の被係合部5bにストラップ着脱具12のフック部12bを係合する際、フック部12bの開口が電極6aとは反対側に配置されるようにするのが望ましい。これにより、フック部12bの先端で電極6aを損傷するのを防止するとともに、心拍検出部3を装着したときのフック部12bの離脱が防止される。
【0028】
このような構成のもと、以下の手順で使用者U(図1参照)の胸部に心拍計測装置1を装着している。
図2に示すように、固定バンド4の両端に設けられたストラップ着脱具12のうち、一方(例えば、図2における右側)のストラップ着脱具12のフック部12bと、装置本体2に設けられた一対の連結部材5のうち、一方の連結部材5の被係合部5bとを係合する。
続いて、一方のフック部12bと一方の被係合部5bとを係合した状態で、装置本体2を使用者Uの胸部の中心に配置しつつ、電極6a,6bを使用者Uの身体表面に接触させて固定バンド4を使用者Uの胸部に巻き付ける。そして、他方(例えば、図2における左側)のストラップ着脱具12のフック部12bと、他方の連結部材5の被係合部5bとを係合する。これにより、固定バンド4が使用者Uの胸部に取り付けられる。
【0029】
最後に、長さ調整具24により、固定バンド4の伸縮ストラップ8の長さを調整する。伸縮ストラップ8は伸縮性を有しているので、固定バンド4全体の長さを使用者Uの胸囲よりもやや短く設定することにより、伸縮ストラップ8が僅かに伸長し、使用者Uに対する固定バンド4及び電極6a,6bの密着性が高まる。
以上により、心拍計測装置1の使用者Uへの装着が完了する。すなわち、固定バンド4と心拍検出部3とを切り離した状態で、この心拍検出部3と装置本体2とが使用者Uに固定される。そして、一対の電極6a,6bによって心臓の鼓動に伴って発生する心電信号が検出される。装置本体2の不図示の検出回路基板は、一対の電極6a,6bによって検出された心電信号を無線通信する。
【0030】
(効果)
第1実施形態によれば、固定バンド4と電極6a,6bを有する心拍検出部3とを切り離した状態で、装置本体2、及び心拍検出部3を使用者Uに固定することができるので、電極6a,6bを有する心拍検出部3に外力が加わることを防止できる。また、装置本体2と心拍検出部3とを一体にしたままこれら装置本体2、及び心拍検出部3を、固定バンド4から切り離すことができるので、固定バンド4のみの洗浄を容易に行うことができる。このとき、従来のように、固定バンド4に電極6a,6bが設けられていないので、これら電極6a,6bや電気的接続部25等の電気部品に不具合が生じることを確実に防止できる。このように、心拍計測装置1は、良好なメンテナンス性を確保しつつ、固定バンド4単体で洗浄を行うことが可能になり、電極6a,6bや電気的接続部25等の電気部品に不具合が生じることを確実に防止できる。
さらに、固定バンド4の長手方向の両端がそれぞれ装置本体2に接続されているので、固定バンド4に対する装置本体2の位置決めを精度よく行うことができると共に、ズレを防止できる。このため、取付安定性のよい心拍計測装置1を提供できる。
【0031】
また、固定バンド4と装置本体2とは、固定バンド4に設けられたストラップ着脱具12のフック部12bと、装置本体2に設けられた連結部材5の被係合部5bとで構成される係合手段により着脱可能に取り付けられている。したがって、心拍計測装置1の装着時には固定バンド4からの装置本体2の脱落を確実に防止し、メンテナンス時には装置本体2と固定バンド4との着脱を容易に行うことができる。
【0032】
また、電極6a,6bは、導電エラストマーにより形成されているので軟らかく、固定バンド4に押圧されることにより、使用者Uの胸部に沿うように弾性変形する。このため、使用者Uの胸部に電極6a,6bが確実に密着する。したがって、心電信号をより高精度に検出することが可能になる。
【0033】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の心拍計測装置201の斜視図であり、図6は、第2実施形態の心拍計測装置201の分解斜視図である。
続いて、図5および図6を用いて第2実施形態の心拍計測装置201について説明する。
第1実施形態の心拍計測装置1は、固定バンド4が伸縮ストラップ8により形成されており、伸縮ストラップ8と装置本体2とが着脱可能に構成されていた。
これに対して、第2実施形態の心拍計測装置201は、固定バンド4が伸縮ストラップ8とベルト9,10とにより形成されており、ベルト9,10と装置本体2とが着脱可能に構成されている点で、第1実施形態の心拍計測装置1とは異なっている。
なお、心拍検出部3と固定バンド4とが切り離された状態である点等、第1実施形態と同様の構成の部分については、詳細な説明を省略する。
【0034】
図5に示すように、固定バンド4は、帯状に形成され伸縮性を有する伸縮ストラップ8と、帯状に形成され伸縮ストラップ8の長手方向両端に連結された一対の非伸縮性のベルト9,10とを有している。
一対のベルト9,10は、繊維素材により略帯状に形成されており、装置本体2を挟んで両側において心拍検出部3の電極6a,6bを外側から覆うように配置される。なお、電極6a側に配置されるベルト9と、電極6b側に配置されるベルト10とは同一の形状をしている。したがって、以下の説明では、電極6a側に配置されるベルト9について説明をし、電極6b側に配置されるベルト10については、説明を省略する。
【0035】
図6に示すように、ベルト9の長手方向における伸縮ストラップ8側には、ベルト9の端部9bを折り返すようにして形成されたリング部9dが設けられている。リング部9dには、伸縮ストラップ8と連結可能なストラップ連結具19が設けられている。ストラップ連結具19は、リング部9dに挿通されるシャフト21と、シャフト21の両端に跨るように設けられた連結具本体22とにより構成されている。
【0036】
シャフト21の先端は、出没自在に構成されており、不図示のスプリングによって先端側に向かって付勢された状態になっている。
連結具本体22は、平面視略コの字状に形成されており、シャフト部22aと、シャフト部22aの両端からシャフト21に向かって屈曲延出する一対のアーム部22b,22bとが一体成形されたものである。
一対のアーム部22b,22bの間にシャフト21を配置することにより、ストラップ連結具19が矩形枠状に形成されて、ベルト9の長手方向における伸縮ストラップ8側に取り付けられる。
【0037】
図7は、図5のB−B線に沿った断面図である。
図7に示すように、ベルト9の長手方向における装置本体2側は、装置本体2と連結部材5の被係合部5bとの間にベルト端部9aを挿通した後、装置本体2とは反対側に折り返して、ベルト本体9cとベルト端部9aとを固定することにより装置本体2に取り付けられる。
ここで、ベルト本体9cとベルト端部9aとの間には、ベルト本体9cおよびベルト端部9aにそれぞれ綿ファスナー33が設けられている。これにより、ベルト本体9cとベルト端部9aとは着脱自在に取り付けられ、さらにベルト9と装置本体2とが着脱自在に取り付けられる。すなわち、ベルト本体9cおよびベルト端部9aに設けられた綿ファスナー33は、ベルト9と装置本体2との係合手段を構成している。これにより、心拍計測装置201の装着時にはベルト9からの装置本体2の脱落が確実に防止され、メンテナンス時には装置本体2とベルト9との着脱が容易に行える。
【0038】
図5に示すように、一対のベルト9,10は、それぞれ伸縮ストラップ8の両端に連結される。伸縮ストラップ8の電極6a側には、ストラップ着脱具12が設けられており、ストラップ着脱具12のフック部12bとストラップ連結具19のシャフト部22aとが係合可能になっている。これにより、伸縮ストラップ8の電極6a側とベルト9とは、着脱可能に取り付けられる。
また、伸縮ストラップ8の電極6b側は、伸縮ストラップ端部8aをストラップ連結具19に挿通した後、ベルト9とは反対側に折り返して伸縮ストラップ本体8bに伸縮ストラップ端部8aを固定している。これにより、伸縮ストラップ8の電極6b側とベルト9とが連結される。
【0039】
なお、ベルト9,10のリング部9d,10dには、ストラップ着脱具12、及びストラップ連結具19の内面側への露出、つまり、使用者U(図1参照)の胸部側への露出を阻止するための帯状の人体保護部23a,23bが取り付けられている。これにより、ストラップ着脱具12、及びストラップ連結具19が直接使用者Uの胸部に接触してしまい、使用者Uが不快な思いをするということがない。
【0040】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態によれば、心拍計測装置1は、第1実施形態と同様に良好なメンテナンス性を確保しつつ、固定バンド4単体で洗浄を行うことができるので、電極6a,6bや電気的接続部25等の電気部品に不具合が生じることを確実に防止できる。さらに、ベルト9,10で心拍検出部3を覆うことにより、心拍検出部3の露出を防止し、衣類等を介して心拍検出部3の電極6a,6bが短絡するのを防止できるとともに、デザイン性を向上できる。また、ベルト9,10は非伸縮性であるため、固定バンド4に対する装置本体2の位置決めをさらに精度よく行うことができる。
【0041】
(第2実施形態の第1変形例)
図8は、第2実施形態の第1変形例における電極216a、216bの周囲の斜視図である。
図9は、第2実施形態の第1変形例における電極216a、216bの周囲の上面図である。
続いて、図8および図9を用いて、第2実施形態の第1変形例における心拍計測装置211について説明する。
第2実施形態の心拍計測装置201は、一対のベルト9,10が心拍検出部3の電極6a,6bを外側から覆うように配置されていた。これに対して、第2実施形態の第1変形例における心拍計測装置211は、一対のベルト9,10が心拍検出部310の電極216a,216bを外側から覆うように配置され、さらに電極216a,216bにガイド部41が形成されている点で異なっている。なお、第2実施形態と同様の構成の部分については、詳細な説明を省略する。
また、図8および図9では、ベルト10側のガイド部41が図示され、ベルト9側のガイド部41は図示が省略されているが、ベルト10側のガイド部41とベルト9側のガイド部41とは同一の構造である。以下の説明では、ベルト10側のガイド部41について説明をし、ベルト9側のガイド部41については説明を省略している。
【0042】
(ガイド部)
電極216bには、装置本体2とは反対側(図8、図9における右側)の端部に、ガイド部41が形成されている。ガイド部41は、電極216bの短手方向両側からベルト10側に向かって立ち上がり形成された2つの壁部41a,41bにより構成されている。そして、これら2つの壁部41a,41bと、電極216bとによりベルト10を収納可能な収納凹部43が形成される。
このような構成のもと、固定バンド4に装置本体2、及び電極216bを取り付けると、電極216bの収納凹部43にベルト10が収納される。すると、収納凹部43の壁部41a,41bによってベルト10に対する電極216bの幅方向の変位が規制される。このため、ベルト10と電極216bとの相対位置のズレが防止される。すなわち、収納凹部43は、ベルト10と心拍検出部310との相対位置のズレを規制するズレ規制手段を構成している。
【0043】
なお、2つの壁部41a,41bは、固定バンド4に装置本体2、及び電極216a,216bを取り付けた状態で、ベルト9,10の短手方向両側から露出することになる。このため、衣類等を介して一対の電極216a,216bが短絡してしまうことを防止するために、壁部41a,41bに絶縁塗装を塗布するなど、絶縁処理を施すことが望ましい。ここで、絶縁処理の方法としては、絶縁塗装に限られるものではない。
【0044】
したがって、第2実施形態の第1変形例によれば、第1実施形態および第2実施形態と同様の効果に加え、確実に電極216a,216bを使用者Uの胸部に密着させることができるので、心拍計測装置211の計測精度を向上させることができる。また、ベルト9,10と心拍検出部310とのズレを防止できるので、心拍検出部310がベルトから露出し、衣類等を介して心拍検出部310の電極216a,216bが短絡するのを確実に防止できる。
【0045】
(第2実施形態の第2変形例)
図10は、第2実施形態の第2変形例における電極226a,226bの周囲の斜視図である。
図11は、第2実施形態の第2変形例における電極226a,226bの周囲の上面図である。
続いて、図10および図11を用いて、第2実施形態の第2変形例における心拍計測装置221について説明する。
第2実施形態の心拍計測装置201は、一対のベルト9,10が心拍検出部3の電極6a,6bを外側から覆うように配置されていた。これに対して、第2実施形態の第2変形例における心拍計測装置221は、一対のベルト209,210が心拍検出部320の電極226a,226bを外側から覆うように配置され、さらに一対のベルト209,210及び電極226a,226bにはズレ防止部53が形成されている点で異なっている。なお、第2実施形態と同様の構成の部分については、詳細な説明を省略する。
また、第2実施形態の第1変形例と同様に、以下の説明では、ベルト210側のズレ防止部53について説明をし、ベルト209側のズレ防止部53については説明を省略している。
【0046】
(ズレ防止部)
電極226bには、装置本体2とは反対側(図8、図9における右側)の端部に、凸部51がベルト210側に向かって突出形成されている。一方、ベルト210には、凸部51に対応する箇所に、この凸部51を挿通可能な長孔部52が形成されている。長孔部52は、ベルト210の長手方向に沿って長円形状に形成されている。
【0047】
このような構成のもと、ベルト210に装置本体2、及び電極226bを取り付けると、ベルト210の長孔部52に電極226bの凸部51が挿通される。これにより、ベルト210に対する電極226bの幅方向の変位が規制される、つまり、ベルト210と電極226bとの相対位置のズレが防止される。すなわち、ズレ防止部53は、ベルト210と心拍検出部320との相対位置のズレを規制するズレ規制手段を構成している。
したがって、第2実施形態の第2変形例によれば、第2実施形態の第1変形例と同様の効果を奏することができる。
【0048】
なお、電極226a,226bの凸部51は、固定バンド204に装置本体2、及び電極226a,226bを取り付けた状態で、ベルト209,210の長孔部52を介して外部に露出することになる。このため、衣類等を介して一対の電極226a,226bが短絡してしまうことを防止するために、凸部51に絶縁塗装を塗布するなど、絶縁処理を施すことが望ましい。ここで、絶縁処理の方法としては、絶縁塗装に限られるものではない。例えば、凸部51を電極226a,226bとは別部材、つまり絶縁性を有する部材により形成し、電極226a,226bに取り付けるように構成してもよい。また、二色成形により電極226a,226bと凸部51を形成することも可能である。
【0049】
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
第1実施形態では、ストラップ着脱具12のフック部12bと、連結部材5の被係合部5bとにより、伸縮ストラップ8(固定バンド4)と装置本体2との係合手段を構成していた。また、第2実施形態では、ベルト本体9c,10cおよびベルト端部9a,10aに設けられた綿ファスナー33により、ベルト9,10(固定バンド4)と装置本体2との係合手段を構成していた。
しかし、固定バンド4と装置本体2との間に設けられる係合手段は、上述した実施形態に限られることはない。
図12は、他の係合手段の説明図である。
図12に示すように、装置本体2の連結部材5には、固定バンド4の幅方向(図12における紙面表裏方向)に沿って蟻溝状のスロット5cが形成されている。また、ストラップ着脱具12には、スロット5cの形状に対応したレール12cが形成されている。そして、蟻溝状のスロット5c内にレール12cを固定バンド4の幅方向から挿抜することで、固定バンド4と装置本体2とが着脱可能に取り付けられている。このように、装置本体2の連結部材5に形成されたスロット5cと、ストラップ着脱具12に形成されたレール12cとで、固定バンド4と装置本体2との係合手段を構成してもよい。
このように、固定バンド4,204と装置本体2との係合手段は、上述の実施形態に限定されることがなく、様々な係合手段を採用できる。
【0050】
上述の第2実施形態の第1変形例では、電極216a,216bにガイド部41を設けた。このガイド部41を第1実施形態に適用してもよい。これにより、伸縮ストラップ8のズレを規制できる。
【0051】
また、上述の第2実施形態の第1変形例では、電極216a,216bにガイド部41を設け、ベルト9,10と電極216a,216bとの相対位置のズレを防止するズレ規制手段について説明した。上述の第2実施形態の第2変形例では、電極226a,226bに凸部51を突出形成すると共に、ベルト209,210に凸部51を挿通可能な長孔部52を形成し、ベルト209,210と電極226a,226bとの相対位置のズレを防止するズレ規制手段について説明した。しかしながら、ズレ規制手段はこれらに限られるものではなく、ベルト9,10と電極216a,216bとの相対位置のズレや、ベルト209,210と電極226a,226bとの相対位置のズレを阻止可能な構造であればよい。
例えば、第2実施形態におけるベルト9,10と電極6a,6bとにそれぞれ綿ファスナーを設け、それぞれの相対位置のズレを防止するように構成してもよい。
【0052】
また、上述の各実施形態および各変形例では、生体情報検出装置として使用者Uの心拍数を計測する心拍計測装置1,201,211,221に、装置本体2と心拍検出部3,310,320とを一体的に構成し、これら装置本体2、及び心拍検出部3を固定バンド4,204を用いて使用者Uの胸部に取り付ける場合について説明した。しかしながら、この構成は、心拍計測装置1,201,211,221に適用する場合に限られるものではなく、さまざまな生体情報検出装置に適用することが可能である。例えば、生体情報検出装置として、血圧、体温、筋電位等を計測する装置に上述の実施形態の構成を適用することが可能である。
【0053】
上述の各実施形態および各変形例では、伸縮ストラップ8に伸縮性を有する素材を採用し、ベルト9,10,209,210に非伸縮性の素材を採用していた。しかし、伸縮ストラップ8およびベルト9,10,209,210には、さらに保湿性を備えた素材を採用してもよい。具体的には、伸縮ストラップ8およびベルト9,10,209,210には、ポリエステルやナイロン等を主成分とする素材を採用してもよい。また、PVAスポンジ等の吸湿部材を伸縮ストラップ8やベルト9,10,209,210の内面側に設けてもよい。これにより、心拍検出部3,310,320周辺の保湿が可能となり、心拍計測装置1,201,211,221の検出性能を向上できる。
【符号の説明】
【0054】
1,201,211,221・・・心拍計測装置(生体情報検出装置) 2・・・装置本体 3,310,320・・・心拍検出部(生体信号検出部) 4,204・・・固定バンド(固定手段) 5b・・・被係合部(係合手段) 5c・・・スロット(係合手段) 6a,6b,216a,216b,226a,226b・・・電極 8・・・伸縮ストラップ(ストラップ) 9,10,209,210・・・ベルト 12b・・・フック部(係合手段) 12c・・・レール(係合手段) 43・・・収容凹部(ズレ規制手段) 53・・・ズレ防止部(ズレ規制手段)
【技術分野】
【0001】
この発明は、身体の生体表面に電極を取り付け、生体信号を検出する生体情報検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の生体情報検出装置の中には、例えば、心臓の鼓動に伴って発生する心電信号を検出し、生体表面から心拍数を計測するものがある。このような生体情報検出装置としては、例えば、検出回路基板等が内蔵された本体部と、この本体部を身体に装着するためのストラップとを有し、このストラップに一対の電極が設けられているものがある。そして、本体部、及びストラップには、それぞれ本体部の検出回路基板と、ストラップの電極とを電気的に接続するための電気的接続部が設けられている。
【0003】
このような構成のもと、一対の電極を身体の胸部(生体表面)に接触させることにより、心臓の鼓動に伴って発生する心電信号を検出し、この検出した心電信号に基づいて本体部が心拍数を導き出す。
さらに、生体情報検出装置の中には、例えば、ストラップの洗浄等のメンテナンス性の観点から、ストラップに本体部が着脱自在に設けられているものがある。そして、ストラップに本体部を装着するとストラップに設けられている電気的接続部と、本体部に設けられている電気的接続部とが機械的に接続され、検出回路基板と電極とが電気的に接続される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7526840号明細書
【特許文献2】米国意匠登録第603521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、本体部と電極とを着脱自在に構成しているので、電気的接続部の取り付け具合によって心拍計測装置の検出性能が不安定になるという課題がある。また、本体部と電極との着脱動作を繰り返すことにより、電気的接続部が損傷してしまう虞があるという課題がある。
さらに、ストラップに電極が設けられているので、心拍計測装置を身体に取り付けた状態にあっては、電極、及び電気的接続部に常時引張方向の外力が加わることになる。このため、ストラップに設けられている電気的接続部と、本体部に設けられている電気的接続部とが機械的に離間され、検出回路基板と電極との電気的接続が遮断されてしまう虞があるという課題がある。これに加え、メンテナンス時のストラップの洗浄に伴い、電極部分が洗浄液に晒され、電極や電気的接続部等の電気部品が損傷してしまう虞があるという課題がある。
【0006】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、良好なメンテナンス性を確保しつつ、電極や電気的接続部等の電気部品に不具合が生じることを防止すると共に、検出性能が不安定になることを防止することができる心拍計測装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る生体情報検出装置は、装置本体と、前記装置本体と一体的に形成され、生体表面に接触する電極を有する生体信号検出部と、帯状に形成され、前記装置本体、及び前記生体信号検出部を身体に固定するための固定手段と、を備え、前記固定手段の長手方向の両端は、それぞれ前記装置本体に係合手段を介して着脱可能に取り付けられていることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、固定手段と電極を有する生体信号検出部とを切り離した状態で、装置本体、及び生体信号検出部を身体に固定することができるので、生体信号検出部に外力が加わることを防止できる。また、装置本体と生体信号検出部とを一体にしたままこれら装置本体、及び生体信号検出部を、固定手段から切り離すことができる。このため、良好なメンテナンス性を確保しつつ、固定手段単体で洗浄を行うことが可能になり、電極や電気的接続部等の電気部品に不具合が生じることを確実に防止できる。
さらに、固定手段の長手方向の両端がそれぞれ装置本体に接続されているので、固定手段に対する装置本体の位置決めを精度よく行うことができると共に、ズレを防止できる。このため、取付安定性のよい生体情報検出装置を提供できる。
【0009】
また、前記固定手段は、少なくとも伸縮性のストラップと、前記ストラップの長手方向における一端及び他端の少なくとも一方に連結される非伸縮性のベルトと、を備え、前記ベルトは、前記生体信号検出部を覆うように形成され、前記装置本体に前記係合手段を介して着脱可能に取り付けられていることを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、ベルトで生体信号検出部を覆うことにより、生体信号検出部の露出を防止し、衣類等を介して生体信号検出部の電極が短絡するのを防止できるとともに、デザイン性を向上できる。また、ベルトは非伸縮性であるため、固定手段に対する装置本体の位置決めをさらに精度よく行うことができる。
【0011】
また、前記ベルトと前記生体信号検出部との間には、相対位置のズレを規制するズレ規制手段が設けられていることを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、確実に電極を使用者の胸部に密着させることができるので、生体情報検出装置の検出精度を向上させることができる。また、ベルトと生体信号検出部とのズレを防止できるので、生体信号検出部がベルトから露出し、衣類等を介して生体信号検出部の電極が短絡するのを確実に防止できる。
【0013】
また、前記係合手段は、前記装置本体及び前記固定手段のいずれか一方に設けられたフック部と、前記装置本体及び前記固定手段のいずれか他方に設けられ前記フック部に係合される被係合部と、により構成されていることを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、生体情報検出装置の装着時には固定手段からの装置本体の脱落を確実に防止し、メンテナンス時には装置本体と固定手段との着脱を容易に行うことができる。
【0015】
また、前記生体信号検出部は導電エラストマーにより形成され、前記導電エラストマーが前記電極を兼ねていることを特徴としている。
【0016】
本発明によれば、生体信号検出部を弾性変形し易くすることができ、電極の生体表面に対する密着性を高めることができる。このため、生体信号を、より高精度に検出することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、固定手段と電極を有する生体信号検出部とを切り離した状態で、装置本体、及び生体信号検出部を身体に固定することができるので、生体信号検出部に外力が加わることを防止できる。また、装置本体と生体信号検出部とを一体にしたままこれら装置本体、及び生体信号検出部を、固定手段から切り離すことができる。このため、良好なメンテナンス性を確保しつつ、固定手段単体で洗浄を行うことが可能になり、電極や電気的接続部等の電気部品に不具合が生じることを確実に防止できる。
さらに、固定手段の長手方向の両端がそれぞれ装置本体に接続されているので、固定手段に対する装置本体の位置決めを精度よく行うことができると共に、ズレを防止できる。このため、取付安定性のよい生体情報検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態における心拍計測装置を、使用者に取り付けた状態を示す説明図である。
【図2】第1実施形態の心拍計測装置の斜視図である。
【図3】第1実施形態の心拍計測装置の分解斜視図である。
【図4】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図5】第2実施形態の心拍計測装置の斜視図である。
【図6】第2実施形態の心拍計測装置の分解斜視図である。
【図7】図5のB−B線に沿った断面図である。
【図8】第2実施形態の第1変形例における電極の周囲の斜視図である。
【図9】第2実施形態の第1変形例における電極の周囲の上面図である。
【図10】第2実施形態の第2変形例における電極の周囲の斜視図である。
【図11】第2実施形態の第2変形例における電極の周囲の上面図である。
【図12】他の係合手段の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
(心拍計測装置)
次に、この発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る生体情報検出装置である心拍計測装置1を、使用者Uに取り付けた状態を示す説明図、図2は、心拍計測装置1の斜視図、図3は、心拍計測装置1の分解斜視図である。
【0020】
図1に示すように、心拍計測装置1は、使用者Uの生体表面である胸部に装着して心臓の鼓動に伴って発生する心電信号を検出し、この検出した心電信号を無線通信するものである。図2に示すように、心拍計測装置1は、装置本体2と、装置本体2と一体的に形成されている心拍検出部3と、これら装置本体2、及び心拍検出部3を使用者U(図1参照)の胸部に装着するための固定バンド4とを備えている。
【0021】
装置本体2は、外形状が略円板状に形成されているケース7と、このケース7内に設けられている不図示の検出回路基板とを備えたものである。なお、ケース7の外形状は実施形態の略円板状に限られることはなく、例えば矩形板状であってもよい。
不図示の検出回路基板は、無線送信部、及び送信回路(何れも不図示)を有しており、心拍検出部3によって検出された信号に基づいて、無線通信するようになっている。検出回路基板には、心拍検出部3が電気的接続されている。
【0022】
図3に示すように、心拍検出部3は、一対の電極6a,6bにより構成されている。電極6a,6bは、帯状の導電エラストマーからなり、長手方向一端が装置本体2を挟んで両側に連結されている。そして、電極6a,6bと装置本体2の不図示の検出回路基板とに設けられている電気的接続部25を介し、検出回路基板に電極6a,6bが電気的に接続された形になっている。
なお、導電エラストマーとしては、例えば、カーボンブラックを配合した導電シリコンゴム、カーボンブラックを配合した導電ゴム、カーボンブラックを配合した導電ポリウレタンゴム等を用いることができる。
【0023】
ケース7には、一対の電極6a,6bに対応した位置に、一対の連結部材5が設けられている。連結部材5は、ケース7の外周面からケース7の径方向外側に向かって帯状の電極6a,6bに沿うように延出された一対の腕部5aと、一対の腕部5aに跨るように延在する棒状の被係合部5bと、により構成されている。連結部材5の被係合部5bは、後述する伸縮ストラップ8に設けられたストラップ着脱具12のフック部12bと着脱可能に構成されている。
【0024】
(固定バンド)
固定バンド4は、使用者U(図1参照)の胸部の全周に亘って装着されるように略環状に形成されている。具体的には、固定バンド4は、帯状に形成され伸縮性を有する伸縮ストラップ8であり、伸縮ストラップ8の長手方向両端に跨るように装置本体2が連結されている。
伸縮ストラップ8の長手方向略中央には、伸縮ストラップ8の長さを調整するための長さ調整具24が設けられている。
【0025】
伸縮ストラップ8の長手方向両端には、伸縮ストラップ8と装置本体2とを着脱可能とするためのストラップ着脱具12が設けられている。ストラップ着脱具12は、長円環状の枠体12aと、枠体12aの長手方向に沿った領域から枠体12aの径方向外側に向かって湾曲形成されたフック部12bと、により構成されている。なお、枠体12aとフック部12bとは、一体に形成されていてもよいし、別体に形成した後に接合されていてもよい。
【0026】
図4は、図2のA−A線に沿った断面図である。
図4に示すように、ストラップ着脱具12と伸縮ストラップ8とは、枠体12aに伸縮ストラップ端部8aを挿通した後フック部12bとは反対側に折り返し、伸縮ストラップ本体8bと伸縮ストラップ端部8aとを固定することにより取り付けられる。伸縮ストラップ本体8bと伸縮ストラップ端部8aとは、縫製や綿ファスナー等により固定される。
【0027】
伸縮ストラップ8と装置本体2とは、連結部材5の被係合部5bに、ストラップ着脱具12のフック部12bを係合することにより、着脱可能に取り付けられている。すなわち、ストラップ着脱具12のフック部12bと、連結部材5の被係合部5bとは、伸縮ストラップ8と装置本体2との係合手段を構成している。これにより、心拍計測装置の装着時には固定バンド4からの装置本体2の脱落が確実に防止され、メンテナンス時には装置本体2と固定バンド4との着脱が容易に行える。
ここで、連結部材5の被係合部5bにストラップ着脱具12のフック部12bを係合する際、フック部12bの開口が電極6aとは反対側に配置されるようにするのが望ましい。これにより、フック部12bの先端で電極6aを損傷するのを防止するとともに、心拍検出部3を装着したときのフック部12bの離脱が防止される。
【0028】
このような構成のもと、以下の手順で使用者U(図1参照)の胸部に心拍計測装置1を装着している。
図2に示すように、固定バンド4の両端に設けられたストラップ着脱具12のうち、一方(例えば、図2における右側)のストラップ着脱具12のフック部12bと、装置本体2に設けられた一対の連結部材5のうち、一方の連結部材5の被係合部5bとを係合する。
続いて、一方のフック部12bと一方の被係合部5bとを係合した状態で、装置本体2を使用者Uの胸部の中心に配置しつつ、電極6a,6bを使用者Uの身体表面に接触させて固定バンド4を使用者Uの胸部に巻き付ける。そして、他方(例えば、図2における左側)のストラップ着脱具12のフック部12bと、他方の連結部材5の被係合部5bとを係合する。これにより、固定バンド4が使用者Uの胸部に取り付けられる。
【0029】
最後に、長さ調整具24により、固定バンド4の伸縮ストラップ8の長さを調整する。伸縮ストラップ8は伸縮性を有しているので、固定バンド4全体の長さを使用者Uの胸囲よりもやや短く設定することにより、伸縮ストラップ8が僅かに伸長し、使用者Uに対する固定バンド4及び電極6a,6bの密着性が高まる。
以上により、心拍計測装置1の使用者Uへの装着が完了する。すなわち、固定バンド4と心拍検出部3とを切り離した状態で、この心拍検出部3と装置本体2とが使用者Uに固定される。そして、一対の電極6a,6bによって心臓の鼓動に伴って発生する心電信号が検出される。装置本体2の不図示の検出回路基板は、一対の電極6a,6bによって検出された心電信号を無線通信する。
【0030】
(効果)
第1実施形態によれば、固定バンド4と電極6a,6bを有する心拍検出部3とを切り離した状態で、装置本体2、及び心拍検出部3を使用者Uに固定することができるので、電極6a,6bを有する心拍検出部3に外力が加わることを防止できる。また、装置本体2と心拍検出部3とを一体にしたままこれら装置本体2、及び心拍検出部3を、固定バンド4から切り離すことができるので、固定バンド4のみの洗浄を容易に行うことができる。このとき、従来のように、固定バンド4に電極6a,6bが設けられていないので、これら電極6a,6bや電気的接続部25等の電気部品に不具合が生じることを確実に防止できる。このように、心拍計測装置1は、良好なメンテナンス性を確保しつつ、固定バンド4単体で洗浄を行うことが可能になり、電極6a,6bや電気的接続部25等の電気部品に不具合が生じることを確実に防止できる。
さらに、固定バンド4の長手方向の両端がそれぞれ装置本体2に接続されているので、固定バンド4に対する装置本体2の位置決めを精度よく行うことができると共に、ズレを防止できる。このため、取付安定性のよい心拍計測装置1を提供できる。
【0031】
また、固定バンド4と装置本体2とは、固定バンド4に設けられたストラップ着脱具12のフック部12bと、装置本体2に設けられた連結部材5の被係合部5bとで構成される係合手段により着脱可能に取り付けられている。したがって、心拍計測装置1の装着時には固定バンド4からの装置本体2の脱落を確実に防止し、メンテナンス時には装置本体2と固定バンド4との着脱を容易に行うことができる。
【0032】
また、電極6a,6bは、導電エラストマーにより形成されているので軟らかく、固定バンド4に押圧されることにより、使用者Uの胸部に沿うように弾性変形する。このため、使用者Uの胸部に電極6a,6bが確実に密着する。したがって、心電信号をより高精度に検出することが可能になる。
【0033】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の心拍計測装置201の斜視図であり、図6は、第2実施形態の心拍計測装置201の分解斜視図である。
続いて、図5および図6を用いて第2実施形態の心拍計測装置201について説明する。
第1実施形態の心拍計測装置1は、固定バンド4が伸縮ストラップ8により形成されており、伸縮ストラップ8と装置本体2とが着脱可能に構成されていた。
これに対して、第2実施形態の心拍計測装置201は、固定バンド4が伸縮ストラップ8とベルト9,10とにより形成されており、ベルト9,10と装置本体2とが着脱可能に構成されている点で、第1実施形態の心拍計測装置1とは異なっている。
なお、心拍検出部3と固定バンド4とが切り離された状態である点等、第1実施形態と同様の構成の部分については、詳細な説明を省略する。
【0034】
図5に示すように、固定バンド4は、帯状に形成され伸縮性を有する伸縮ストラップ8と、帯状に形成され伸縮ストラップ8の長手方向両端に連結された一対の非伸縮性のベルト9,10とを有している。
一対のベルト9,10は、繊維素材により略帯状に形成されており、装置本体2を挟んで両側において心拍検出部3の電極6a,6bを外側から覆うように配置される。なお、電極6a側に配置されるベルト9と、電極6b側に配置されるベルト10とは同一の形状をしている。したがって、以下の説明では、電極6a側に配置されるベルト9について説明をし、電極6b側に配置されるベルト10については、説明を省略する。
【0035】
図6に示すように、ベルト9の長手方向における伸縮ストラップ8側には、ベルト9の端部9bを折り返すようにして形成されたリング部9dが設けられている。リング部9dには、伸縮ストラップ8と連結可能なストラップ連結具19が設けられている。ストラップ連結具19は、リング部9dに挿通されるシャフト21と、シャフト21の両端に跨るように設けられた連結具本体22とにより構成されている。
【0036】
シャフト21の先端は、出没自在に構成されており、不図示のスプリングによって先端側に向かって付勢された状態になっている。
連結具本体22は、平面視略コの字状に形成されており、シャフト部22aと、シャフト部22aの両端からシャフト21に向かって屈曲延出する一対のアーム部22b,22bとが一体成形されたものである。
一対のアーム部22b,22bの間にシャフト21を配置することにより、ストラップ連結具19が矩形枠状に形成されて、ベルト9の長手方向における伸縮ストラップ8側に取り付けられる。
【0037】
図7は、図5のB−B線に沿った断面図である。
図7に示すように、ベルト9の長手方向における装置本体2側は、装置本体2と連結部材5の被係合部5bとの間にベルト端部9aを挿通した後、装置本体2とは反対側に折り返して、ベルト本体9cとベルト端部9aとを固定することにより装置本体2に取り付けられる。
ここで、ベルト本体9cとベルト端部9aとの間には、ベルト本体9cおよびベルト端部9aにそれぞれ綿ファスナー33が設けられている。これにより、ベルト本体9cとベルト端部9aとは着脱自在に取り付けられ、さらにベルト9と装置本体2とが着脱自在に取り付けられる。すなわち、ベルト本体9cおよびベルト端部9aに設けられた綿ファスナー33は、ベルト9と装置本体2との係合手段を構成している。これにより、心拍計測装置201の装着時にはベルト9からの装置本体2の脱落が確実に防止され、メンテナンス時には装置本体2とベルト9との着脱が容易に行える。
【0038】
図5に示すように、一対のベルト9,10は、それぞれ伸縮ストラップ8の両端に連結される。伸縮ストラップ8の電極6a側には、ストラップ着脱具12が設けられており、ストラップ着脱具12のフック部12bとストラップ連結具19のシャフト部22aとが係合可能になっている。これにより、伸縮ストラップ8の電極6a側とベルト9とは、着脱可能に取り付けられる。
また、伸縮ストラップ8の電極6b側は、伸縮ストラップ端部8aをストラップ連結具19に挿通した後、ベルト9とは反対側に折り返して伸縮ストラップ本体8bに伸縮ストラップ端部8aを固定している。これにより、伸縮ストラップ8の電極6b側とベルト9とが連結される。
【0039】
なお、ベルト9,10のリング部9d,10dには、ストラップ着脱具12、及びストラップ連結具19の内面側への露出、つまり、使用者U(図1参照)の胸部側への露出を阻止するための帯状の人体保護部23a,23bが取り付けられている。これにより、ストラップ着脱具12、及びストラップ連結具19が直接使用者Uの胸部に接触してしまい、使用者Uが不快な思いをするということがない。
【0040】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態によれば、心拍計測装置1は、第1実施形態と同様に良好なメンテナンス性を確保しつつ、固定バンド4単体で洗浄を行うことができるので、電極6a,6bや電気的接続部25等の電気部品に不具合が生じることを確実に防止できる。さらに、ベルト9,10で心拍検出部3を覆うことにより、心拍検出部3の露出を防止し、衣類等を介して心拍検出部3の電極6a,6bが短絡するのを防止できるとともに、デザイン性を向上できる。また、ベルト9,10は非伸縮性であるため、固定バンド4に対する装置本体2の位置決めをさらに精度よく行うことができる。
【0041】
(第2実施形態の第1変形例)
図8は、第2実施形態の第1変形例における電極216a、216bの周囲の斜視図である。
図9は、第2実施形態の第1変形例における電極216a、216bの周囲の上面図である。
続いて、図8および図9を用いて、第2実施形態の第1変形例における心拍計測装置211について説明する。
第2実施形態の心拍計測装置201は、一対のベルト9,10が心拍検出部3の電極6a,6bを外側から覆うように配置されていた。これに対して、第2実施形態の第1変形例における心拍計測装置211は、一対のベルト9,10が心拍検出部310の電極216a,216bを外側から覆うように配置され、さらに電極216a,216bにガイド部41が形成されている点で異なっている。なお、第2実施形態と同様の構成の部分については、詳細な説明を省略する。
また、図8および図9では、ベルト10側のガイド部41が図示され、ベルト9側のガイド部41は図示が省略されているが、ベルト10側のガイド部41とベルト9側のガイド部41とは同一の構造である。以下の説明では、ベルト10側のガイド部41について説明をし、ベルト9側のガイド部41については説明を省略している。
【0042】
(ガイド部)
電極216bには、装置本体2とは反対側(図8、図9における右側)の端部に、ガイド部41が形成されている。ガイド部41は、電極216bの短手方向両側からベルト10側に向かって立ち上がり形成された2つの壁部41a,41bにより構成されている。そして、これら2つの壁部41a,41bと、電極216bとによりベルト10を収納可能な収納凹部43が形成される。
このような構成のもと、固定バンド4に装置本体2、及び電極216bを取り付けると、電極216bの収納凹部43にベルト10が収納される。すると、収納凹部43の壁部41a,41bによってベルト10に対する電極216bの幅方向の変位が規制される。このため、ベルト10と電極216bとの相対位置のズレが防止される。すなわち、収納凹部43は、ベルト10と心拍検出部310との相対位置のズレを規制するズレ規制手段を構成している。
【0043】
なお、2つの壁部41a,41bは、固定バンド4に装置本体2、及び電極216a,216bを取り付けた状態で、ベルト9,10の短手方向両側から露出することになる。このため、衣類等を介して一対の電極216a,216bが短絡してしまうことを防止するために、壁部41a,41bに絶縁塗装を塗布するなど、絶縁処理を施すことが望ましい。ここで、絶縁処理の方法としては、絶縁塗装に限られるものではない。
【0044】
したがって、第2実施形態の第1変形例によれば、第1実施形態および第2実施形態と同様の効果に加え、確実に電極216a,216bを使用者Uの胸部に密着させることができるので、心拍計測装置211の計測精度を向上させることができる。また、ベルト9,10と心拍検出部310とのズレを防止できるので、心拍検出部310がベルトから露出し、衣類等を介して心拍検出部310の電極216a,216bが短絡するのを確実に防止できる。
【0045】
(第2実施形態の第2変形例)
図10は、第2実施形態の第2変形例における電極226a,226bの周囲の斜視図である。
図11は、第2実施形態の第2変形例における電極226a,226bの周囲の上面図である。
続いて、図10および図11を用いて、第2実施形態の第2変形例における心拍計測装置221について説明する。
第2実施形態の心拍計測装置201は、一対のベルト9,10が心拍検出部3の電極6a,6bを外側から覆うように配置されていた。これに対して、第2実施形態の第2変形例における心拍計測装置221は、一対のベルト209,210が心拍検出部320の電極226a,226bを外側から覆うように配置され、さらに一対のベルト209,210及び電極226a,226bにはズレ防止部53が形成されている点で異なっている。なお、第2実施形態と同様の構成の部分については、詳細な説明を省略する。
また、第2実施形態の第1変形例と同様に、以下の説明では、ベルト210側のズレ防止部53について説明をし、ベルト209側のズレ防止部53については説明を省略している。
【0046】
(ズレ防止部)
電極226bには、装置本体2とは反対側(図8、図9における右側)の端部に、凸部51がベルト210側に向かって突出形成されている。一方、ベルト210には、凸部51に対応する箇所に、この凸部51を挿通可能な長孔部52が形成されている。長孔部52は、ベルト210の長手方向に沿って長円形状に形成されている。
【0047】
このような構成のもと、ベルト210に装置本体2、及び電極226bを取り付けると、ベルト210の長孔部52に電極226bの凸部51が挿通される。これにより、ベルト210に対する電極226bの幅方向の変位が規制される、つまり、ベルト210と電極226bとの相対位置のズレが防止される。すなわち、ズレ防止部53は、ベルト210と心拍検出部320との相対位置のズレを規制するズレ規制手段を構成している。
したがって、第2実施形態の第2変形例によれば、第2実施形態の第1変形例と同様の効果を奏することができる。
【0048】
なお、電極226a,226bの凸部51は、固定バンド204に装置本体2、及び電極226a,226bを取り付けた状態で、ベルト209,210の長孔部52を介して外部に露出することになる。このため、衣類等を介して一対の電極226a,226bが短絡してしまうことを防止するために、凸部51に絶縁塗装を塗布するなど、絶縁処理を施すことが望ましい。ここで、絶縁処理の方法としては、絶縁塗装に限られるものではない。例えば、凸部51を電極226a,226bとは別部材、つまり絶縁性を有する部材により形成し、電極226a,226bに取り付けるように構成してもよい。また、二色成形により電極226a,226bと凸部51を形成することも可能である。
【0049】
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
第1実施形態では、ストラップ着脱具12のフック部12bと、連結部材5の被係合部5bとにより、伸縮ストラップ8(固定バンド4)と装置本体2との係合手段を構成していた。また、第2実施形態では、ベルト本体9c,10cおよびベルト端部9a,10aに設けられた綿ファスナー33により、ベルト9,10(固定バンド4)と装置本体2との係合手段を構成していた。
しかし、固定バンド4と装置本体2との間に設けられる係合手段は、上述した実施形態に限られることはない。
図12は、他の係合手段の説明図である。
図12に示すように、装置本体2の連結部材5には、固定バンド4の幅方向(図12における紙面表裏方向)に沿って蟻溝状のスロット5cが形成されている。また、ストラップ着脱具12には、スロット5cの形状に対応したレール12cが形成されている。そして、蟻溝状のスロット5c内にレール12cを固定バンド4の幅方向から挿抜することで、固定バンド4と装置本体2とが着脱可能に取り付けられている。このように、装置本体2の連結部材5に形成されたスロット5cと、ストラップ着脱具12に形成されたレール12cとで、固定バンド4と装置本体2との係合手段を構成してもよい。
このように、固定バンド4,204と装置本体2との係合手段は、上述の実施形態に限定されることがなく、様々な係合手段を採用できる。
【0050】
上述の第2実施形態の第1変形例では、電極216a,216bにガイド部41を設けた。このガイド部41を第1実施形態に適用してもよい。これにより、伸縮ストラップ8のズレを規制できる。
【0051】
また、上述の第2実施形態の第1変形例では、電極216a,216bにガイド部41を設け、ベルト9,10と電極216a,216bとの相対位置のズレを防止するズレ規制手段について説明した。上述の第2実施形態の第2変形例では、電極226a,226bに凸部51を突出形成すると共に、ベルト209,210に凸部51を挿通可能な長孔部52を形成し、ベルト209,210と電極226a,226bとの相対位置のズレを防止するズレ規制手段について説明した。しかしながら、ズレ規制手段はこれらに限られるものではなく、ベルト9,10と電極216a,216bとの相対位置のズレや、ベルト209,210と電極226a,226bとの相対位置のズレを阻止可能な構造であればよい。
例えば、第2実施形態におけるベルト9,10と電極6a,6bとにそれぞれ綿ファスナーを設け、それぞれの相対位置のズレを防止するように構成してもよい。
【0052】
また、上述の各実施形態および各変形例では、生体情報検出装置として使用者Uの心拍数を計測する心拍計測装置1,201,211,221に、装置本体2と心拍検出部3,310,320とを一体的に構成し、これら装置本体2、及び心拍検出部3を固定バンド4,204を用いて使用者Uの胸部に取り付ける場合について説明した。しかしながら、この構成は、心拍計測装置1,201,211,221に適用する場合に限られるものではなく、さまざまな生体情報検出装置に適用することが可能である。例えば、生体情報検出装置として、血圧、体温、筋電位等を計測する装置に上述の実施形態の構成を適用することが可能である。
【0053】
上述の各実施形態および各変形例では、伸縮ストラップ8に伸縮性を有する素材を採用し、ベルト9,10,209,210に非伸縮性の素材を採用していた。しかし、伸縮ストラップ8およびベルト9,10,209,210には、さらに保湿性を備えた素材を採用してもよい。具体的には、伸縮ストラップ8およびベルト9,10,209,210には、ポリエステルやナイロン等を主成分とする素材を採用してもよい。また、PVAスポンジ等の吸湿部材を伸縮ストラップ8やベルト9,10,209,210の内面側に設けてもよい。これにより、心拍検出部3,310,320周辺の保湿が可能となり、心拍計測装置1,201,211,221の検出性能を向上できる。
【符号の説明】
【0054】
1,201,211,221・・・心拍計測装置(生体情報検出装置) 2・・・装置本体 3,310,320・・・心拍検出部(生体信号検出部) 4,204・・・固定バンド(固定手段) 5b・・・被係合部(係合手段) 5c・・・スロット(係合手段) 6a,6b,216a,216b,226a,226b・・・電極 8・・・伸縮ストラップ(ストラップ) 9,10,209,210・・・ベルト 12b・・・フック部(係合手段) 12c・・・レール(係合手段) 43・・・収容凹部(ズレ規制手段) 53・・・ズレ防止部(ズレ規制手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体と一体的に形成され、生体表面に接触する電極を有する生体信号検出部と、
帯状に形成され、前記装置本体、及び前記生体信号検出部を身体に固定するための固定手段と、
を備え、
前記固定手段の長手方向の両端は、それぞれ前記装置本体に係合手段を介して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする生体情報検出装置。
【請求項2】
前記固定手段は、
少なくとも伸縮性のストラップと、
前記ストラップの長手方向における一端及び他端の少なくとも一方に連結される非伸 縮性のベルトと、
を備え、
前記ベルトは、前記生体信号検出部を覆うように形成され、前記装置本体に前記係合手段を介して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする生体情報検出装置。
【請求項3】
前記ベルトと前記生体信号検出部との間には、相対位置のズレを規制するズレ規制手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の生体情報検出装置。
【請求項4】
前記係合手段は、前記装置本体及び前記固定手段のいずれか一方に設けられたフック部と、前記装置本体及び前記固定手段のいずれか他方に設けられ前記フック部に係合される被係合部と、により構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生体情報検出装置。
【請求項5】
前記生体信号検出部は導電エラストマーにより形成され、前記導電エラストマーが前記電極を兼ねていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の生体情報検出装置。
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体と一体的に形成され、生体表面に接触する電極を有する生体信号検出部と、
帯状に形成され、前記装置本体、及び前記生体信号検出部を身体に固定するための固定手段と、
を備え、
前記固定手段の長手方向の両端は、それぞれ前記装置本体に係合手段を介して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする生体情報検出装置。
【請求項2】
前記固定手段は、
少なくとも伸縮性のストラップと、
前記ストラップの長手方向における一端及び他端の少なくとも一方に連結される非伸 縮性のベルトと、
を備え、
前記ベルトは、前記生体信号検出部を覆うように形成され、前記装置本体に前記係合手段を介して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする生体情報検出装置。
【請求項3】
前記ベルトと前記生体信号検出部との間には、相対位置のズレを規制するズレ規制手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の生体情報検出装置。
【請求項4】
前記係合手段は、前記装置本体及び前記固定手段のいずれか一方に設けられたフック部と、前記装置本体及び前記固定手段のいずれか他方に設けられ前記フック部に係合される被係合部と、により構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生体情報検出装置。
【請求項5】
前記生体信号検出部は導電エラストマーにより形成され、前記導電エラストマーが前記電極を兼ねていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の生体情報検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−85575(P2013−85575A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225979(P2011−225979)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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