説明

生体情報測定装置

【課題】様々な環境それぞれに適応的な、あるいは時宜に応じた外観意匠を呈することが可能な生体情報測定装置を提供する。
【解決手段】 生体情報測定装置100は、筐体1と、その内部に注入された着色媒体を前記筐体の外部から視認可能であるように、当該筐体の外部又は内部に装着される媒体封入体200と、前記媒体封入体に備えられ、前記着色媒体を該媒体封入体の外部から内部に注入し又はその内部から外部へと排出することが可能な注入口250と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体等の体重を測定する体重測定装置が提供されている。あるいは、この体重測定の機能を含み、当該機能によって測定された体重値等を基礎データとしながら、体脂肪、内臓脂肪、体水分量、筋肉量、骨量、基礎代謝量等といった体組成に関する指標を、測定し、あるいは前記基礎データに基づいて推定ないし演算する、体組成測定装置が提供されている。
このような生体に関する各種の情報を測定するための生体情報測定装置(以下、便宜上、「体重計等」と称することがある。)としては、例えば特許文献1に開示されているようなものが知られている(なお、特許文献2及び3については、後の説明で言及する。)。
【特許文献1】特開平10−192258号公報
【特許文献2】特開2004−226628号公報
【特許文献3】特開2006−130684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前述の体重計等は、様々な環境において利用されている。例えば、一般の家庭内、学校等の教育機関、スポーツジム、あるいは医療機関等々である。このような様々な利用環境の相違に鑑みると、体重計等も、それが置かれた環境に応じて、適切な外観意匠を纏っていることが望ましい。すなわち、各環境の相違に応ずるための外観意匠に対する配慮があってしかるべきである。
【0004】
ところが、従来の体重計等においては、そのような外観意匠への配慮が十分になされているとはいえない。一般に、外観意匠に関し、最も人の注意を引くものの一つは外装色であろうが、従来の体重計等では、いったん着色された外装色は、製造時から廃棄時に至るまで、そのままである。これでは、例えば、スポーツジム等で利用されて好適な比較的活発な色合いの外装色を纏った体重計等を、より落ち着いた外装色が適している医療機関等に転用する、等といったことは困難となる。また、一般の家庭内では、部屋の模様替えが比較的頻繁に行われることが考えられるが、それに応じた外装色の変更も当然不可能である。
【0005】
前述の特許文献1に記載の「体脂肪計」は、「色」それ自体を変化させることに関する記載はあるが、それは、測定結果たる体脂肪率を表示するための「表示色」に関するものであり(例えば、特許文献1の〔請求項2〕等参照)、前述したような外観意匠に対する配慮がなされているわけではない。概ね、体重計等における「色」の変更というと、この特許文献1の開示のように、表示部における表示色のみに感心が払われているのが現状のようである(特許文献1の他に、例えば、特開2001−228013号公報、特開2002−177223号公報等参照)。
また、体重計等を離れて、色彩の変化それ自体に着目した従来技術をみると、例えば、前記特許文献2及び3に開示されているようなものが知られている。しかしながら、これらの技術は、まさに「体重計等を離れて」いるのであって、前述したような課題に応え得るような解決策を提示しているわけではない。
【0006】
また、体重計等が、上述したような様々な環境において利用されるということは、別の問題を提起する。
すなわち、一般に、体重計等による体重測定は、当該体重計等を水平に設置する等一定の望ましい姿勢に維持した上で行われるべきである。しかし、医療機関等のように、比較的体重測定等に適した状況を作出可能、あるいは、それに対する配慮がなされてしかるべき環境ならともかく、一般の家庭や学校等の教育機関等では、そのような状況が作出されること自体稀と考えるべきである。とするなら、同じ体重計等を用いたとしても、環境の相違に応じて異なる体重値が測定されてしまう等の不具合が生じ得る。
このように、体重計等が利用される環境の相違は、測定値それ自体に対する信頼性の問題としても現れ得るのである。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、様々な環境に好適に適応しうる生体情報測定装置を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記課題をよりよく解決するために、様々な環境それぞれに適応的な、あるいは時宜に応じた外観意匠を呈することが可能な生体情報測定装置を提供することを他の課題とする。
さらに、本発明は、上記課題をよりよく解決するために、どのような環境で利用されても、殆ど常に正確な測定値を測定することが可能な生体情報測定装置を提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る生体情報測定装置は、上述した課題を解決するため、少なくとも生体の重量を測定する機能を備える生体情報測定装置であって、筐体と、その内部に注入された着色媒体を前記筐体の外部から視認可能であるように、当該筐体の外部又は内部に装着される媒体封入体と、前記媒体封入体に備えられ、前記着色媒体を該媒体封入体の外部から内部に注入し又はその内部から外部へと排出することが可能な注入口と、を備える。
【0009】
本発明によれば、媒体封入体内の着色媒体を交換することが可能である。これにより、例えば、媒体封入体内部の赤色の着色媒体を注入口から排出した後、青色の着色媒体を当該注入口から注入する等により、着色媒体が呈する色の変更(いま述べた例の場合、赤から青へ)を行うことが可能となる。そして、媒体封入体に注入された着色媒体は、生体情報測定装置を構成する筐体の外部から視認可能であるように、当該筐体に装着されることから、結局、本発明によれば、当該生体情報測定装置の外装色を変化させることが可能となるのである。
このようにして、本発明に係る生体情報測定装置は、様々な環境それぞれに適応的な、あるいは時宜に応じた、外観意匠を呈することが可能になる。
なお、本発明にいう「着色媒体」とは、取扱いの容易さ等の観点から、着色液体であるのが好ましいが、それに限らず、例えば着色された微小粉粒体の集合等が、それに該当すると考えることもできる。
【0010】
この発明の生体情報測定装置では、前記着色媒体は着色液体であり、前記媒体封入体は、前記着色液体の内部の気泡が集まってくる気泡集中部を備えている、ように構成してもよい。
この態様によれば、気泡集中部が備えられているので、これを水平儀として利用することが可能となる。すなわち、気泡集中部内の気泡が、該集中部内の特定箇所に偏って存在する場合には、当該生体情報測定装置が一定の傾きをもって設置されている、ということを表現するように、当該気泡集中部の構造、配置及び大きさ等を適当に定めるならば、ユーザは、この気泡集中部内の気泡の動向を観察することで、当該生体情報測定装置を正確に水平に設置することが可能となるのである。
したがって、かかる発明によれば、どのような環境で利用されても、殆ど常に正確な測定値を測定することが可能となる。
【0011】
この態様では、前記媒体封入体は、当該媒体封入体の内部の前記着色液体の量を指示する液量指示部を備えている、ように構成してもよい。
この構成によれば、液晶指示部により、媒体封入体内の着色液体の量を把握することが可能となるので、前述の気泡の量が好適となるように、着色液体の封入量を調整することが可能となる。したがって、前述した、水平儀としての機能を、より高めることが可能となる。
【0012】
あるいは、本発明の生体情報測定装置では、前記媒体封入体は、前記筐体に対して着脱可能である、ように構成してもよい。
この態様によれば、媒体封入体が筐体に対して着脱可能であるので、媒体封入体に対する着色媒体の入れ替え作業等を、より容易に行うことができる。
あるいは、同じ理由により、当該生体情報測定装置の外装色を変更するために、それぞれ異なった色の着色媒体が予め封入された媒体封入体間に亘る変更を行う、等といったことも可能になる。
いずれにせよ、かかる構成によれば、ユーザに、よりフレンドリーな生体情報測定装置が提供される。
【0013】
あるいは、本発明の生体情報測定装置では、前記媒体封入体は、前記筐体の外形を形作る外表面の全部又は一部と略同一形状の内側面をもち、当該内側面で前記外表面を覆うように、装着可能である、ように構成してもよい。
この態様では、典型的には例えば、次のような具体例が想定される。
すなわち、筐体が略直方体形状をもつ一方、媒体封入体は、この筐体をすっぽり収納することの可能な箱型形状(ここでは、略直方体形状から、その一面が取り除かれた五面からなる形状が想定されている。)をもつ。この場合、かかる媒体封入体における、着色媒体が封入されるべき場所は、当該箱型形状を形作る壁の内部が該当する。
このような形態によれば、媒体封入体が、生体情報測定装置の外表面の殆どを覆っているような状態を実現することが可能となるから、生体情報測定装置の外装色の変更が、より効果的に行われることになる。
なお、前記具体例は、まさに単なる一具体例であるに過ぎないことを注記しておく。
【0014】
この態様では、前記筐体の前記外表面に、体重測定値を表示するための表示部が備えられ、前記媒体封入体は、当該媒体封入体が前記筐体を覆う場合において、前記表示部の位置に対応する当該媒体封入体の位置に開口部をもつ、ように構成してもよい。
これによれば、前述のように、媒体封入体が生体情報測定装置の外表面を殆ど覆う場合があるにもかかわらず、体重測定値の読み取りに必要な表示部は、開口部によって、外界に露出することになる。このように、この構成によると、その外装色の変更が効果的に行われるにもかかわらず、生体情報測定装置本来の機能を阻害することがない。
【0015】
さらに、この態様では、前記表示部は、前記開口部に嵌まり込むことが可能であるように、前記外表面から外方に突出している、ように構成してもよい。
これによれば、表示部が突出していて、前記の開口部に嵌まり込むことが可能であるから、前述の効果がより実効的に奏される。
また、この構成によれば、前述の表示部及び開口部間の嵌合によって、筐体に対する媒体封入体の位置決めが正確に行われ得ることになるから、後者の前者に対する装着をより容易に、かつ、より正確に行うことができる。
【0016】
また、媒体封入体が筐体を覆うように装着可能である態様では、前記筐体の前記外表面に、生体に電流を印加するための第1電極、及び、前記電流の印加を原因として生体内に生じる電位差を測定するための第2電極が備えられ、前記媒体封入体は、当該媒体封入体が前記筐体を覆う場合において、前記第1電極及び前記第2電極の位置に対応する当該媒体封入体の位置に開口部をもつ、ように構成してもよい。
これによれば、まず、第1電極及び第2電極の存在により、生体電気インピーダンスを測定することが可能である。そして、本態様では、前述のように、媒体封入体が生体情報測定装置の外表面を殆ど覆う場合があるにもかかわらず、生体への電流印加あるいは生体内電位差測定に必要な第1及び第2電極は、開口部によって、外界に露出することになる。このように、この構成によると、その外装色の変更が効果的に行われるにもかかわらず、生体情報測定装置本来の機能を阻害することがない。
【0017】
さらに、この態様では、前記電極は、前記開口部に嵌まり込むことが可能であるように、かつ、該開口部の深さ以上の高さをもって、前記外表面から外方に突出している、ように構成してもよい。
これによれば、第1及び第2電極が突出していて、前記の開口部に嵌まり込むことが可能であり、更には、これら第1及び第2電極の高さが当該開口部の深さ以上とされていることから、電極の生体への接触をより確実に確保することができる。
【0018】
なお、このような第1及び第2電極の開口部への嵌まり込み、あるいは該開口部からの突出、更には、前述した表示部の開口部への嵌まり込み等に係る考え方は、生体情報測定装置の筐体の外表面に備えられるその他の各種装備(例えば、操作スイッチ等)に関して、同様に適用することが可能であることは言うまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下では、本発明に係る実施の形態について図1乃至図4を参照しながら説明する。なお、図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
本実施形態に係る生体情報測定装置100は、図1に示すように、表示部120、操作入力装置130、電流印加電極1a及び2a、電圧測定電極1b及び2b、並びに筐体1、そして媒体封入体200を備えている。
【0020】
このうち表示部120は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置であり、生体情報測定装置100によって測定された生体に関するデータ(生体情報)、あるいは測定日時等の各種データを表示する。
操作入力装置130は、メニューキーやアップキー、ダウンキーなどを有する。生体情報測定装置100のユーザは、このような操作入力装置130を用いて、身長、年齢、性別などの個人データを入力することが可能であるとともに、日付設定や機能選択など各種設定入力を行うことが可能である。
【0021】
電流印加電極1a及び2aは、生体に高周波の微弱な定電流を印加するための電極である。また、電圧測定電極1b及び2bは、そのようにして生体に印加された電流に起因して、当該生体内に生じる電位差を測定するための電極である。これら電流印加電極1a及び2a、並びに、電圧測定電極1b及び2b(以下、簡単のため、これらをまとめて「電極群1a乃至2b」と呼称することがある。)は、図1に示すところからも明らかなように、前者が生体の足裏に接触し、後者が踵に接触する。
本実施形態の生体情報測定装置100では、これら電極群1a乃至2bによる印加電流値、あるいは測定電圧値等に基づいて、生体電気インピーダンスを演算することが可能である。
【0022】
また、本実施形態においては、これら電極群1a乃至2bは体重測定部を兼ねている。すなわち、これら電極群1a乃至2bの図1中下方には、体重測定装置(不図示)が備えられており、生体がこれら電極群1a乃至2bの上に乗ったときには、当該体重測定装置が、当該生体の重量を測定するようになっている。
【0023】
上記のうち、表示部120及び電極群1a乃至2bは、図1に示すように、筐体1の外表面から一定の高さをもって、外方に向かって突出している。この突出が、どのような意味をもつかについては、後に改めて説明することとする。
【0024】
筐体1は、当該生体情報測定装置100の外形を形作る。本実施形態において、この筐体1は、図1に示すように、略直方体形状、あるいは換言すれば、その底面が概ね正方形状であってその高さが比較的低い柱体と呼び得る形状をもつ。筐体1の外表面には、前述の表示部120、操作入力装置130及び電極群1a乃至2bが、所定の位置に配置されている。
【0025】
また、筐体1の内部は空洞となっており、この内部には、これら各種要素(120,130,1a,2a,1b,2b)に関する制御を行う制御部(不図示)等必要な内部要素が備えられている。この内部要素の詳細は、本発明の本質に直接的には関係しないので、簡単に説明しておくと、当該内部要素としては、前述の制御部のほか、この制御部や表示部120に供給する電源や、電極群1a乃至2bに接続されるリード線、あるいは前述した操作入力装置130を介して入力された個人データや、測定体重値、生体電気ピーダンス値等の各種情報を記憶する記憶装置(いずれも不図示)等が、この筐体1の内部に設置される。なお、前述した体重測定装置もまた、この筐体1の内部に設置されることは言うまでもない。
なお、上述の制御部や記憶装置等を利用することにより、本実施形態の生体情報測定装置100は、体重値、生体電気インピーダンス値等を基礎データとしながら、体脂肪、内臓脂肪、体水分量、筋肉量、骨量、基礎代謝量等といった体組成に関する指標を、測定し、あるいは前記基礎データに基づいて推定ないし演算することが可能である。
【0026】
本実施形態に係る生体情報測定装置100は、上述の各種要素のほか、媒体封入体200を備えている。この媒体封入体200は、その全体が、例えば透明なプラスチック材料から作られて好適である。
【0027】
媒体封入体200は、図1乃至図3に示すように、筐体1の外形を形作る外表面の一部と略同一形状の内側面291をもつ。この内側面291は、筐体1が前述のように略直方体形状をもつのに対応した形状をもつ。すなわち、この内側面291だけで構成される立体形状に着目すると、それは、略直方体形状から、その一面が取り除かれた五面からなる形状となる。
【0028】
媒体封入体200は、このような内側面291のほか、この内側面291を構成する各面と平行な各面をもつ外側面292をも持つ。つまり、この外側面292は、内側面291を構成する前述の五面によって囲われる容積よりも、一回り大きな容積を囲う五面から構成される。なお、以下では、説明の便宜上、この外側面292あるいは内側面291を構成する「五面」のうち、図1又は図2中上方に示される面については「天井面」と、残る四面については各々「側面」と呼ぶことがある。
【0029】
そして、媒体封入体200は、図2、あるいは図3に示すように、この外側面292と内側面291との間に挟まれた空洞部たる媒体収納空間293をもつ。媒体収納空間293は、後述する注入口250の形成部位を除いて、密閉された空間である。このような媒体収納空間293に、着色液体Lは封入される(図4参照。これも後述する。)。
【0030】
以上のように、媒体封入体200は、全体的に見ると、いわば蓋のない箱型形状を持ち、かつ、その箱型形状を形作る壁の内部に空洞部(即ち、媒体収納部293)が形成されたかの如き構造をもっている、ということができる。
【0031】
媒体封入体200は更に、注入口250、気泡集中部260、目盛り270、並びに開口部201a,201b,202a,202b,220及び230を備えている。
まず、注入口250は、図1あるいは図3に示すように、外側面292を構成する一側面に備えられている。より詳細には、この注入口250は、略円筒形状をもち、その一方の端部が前記一側面に接続され、他方の端部が外方に向けて突き出されている。この円筒形状内部の空洞は、前記媒体収納空間293に連通している。また、注入口250の前記他方の端部には、図3に示すように、蓋251が備えられている。
この注入口250は、図4に示すように、着色液体Lを、媒体封入体200の外部から内部に注入し、又は、その内部から外部へと排出するために設けられている。
また、前記の蓋251は、注入後の着色液体Lが媒体封入体200から漏出しないために設けられている。この蓋251の具体的態様に関し、本発明は特に拘りをもたないが、前述した各機能、即ち着色液体Lの注入及び排出の両作業をより容易に行うことができ、かつ、注入後は確実に着色液体Lを媒体封入体200内部に確保することができる構造を備えたものであることが好ましい。具体的には例えば、蓋251の一部に雄ねじ、注入口250の円筒内壁に雌ねじを形成し、蓋251が、注入口250にねじ止めされるような構造を採用するのが、最も好適な態様の一つである。
【0032】
次に、気泡集中部260は、図1あるいは図2に示すように、外側面292を構成する天井面のほぼ中央に備えられている。より詳細には、この気泡集中部260は、その底面が長円形状であるドーム形状をもっている。図から明らかなように、気泡集中部260は、前記天井面から更に図中上方に突出している。また、気泡集中部260の前記底面は、天井面と同一面に乗るようになっているが(図2参照)、当該底面に、蓋等の部材が別途設けられているわけではない。つまり、ドーム形状となる気泡集中部260の内部の空洞部は、前記媒体収納空間293に連通している、あるいは、当該媒体収納空間293の一部を構成しているのである。
【0033】
この気泡集中部260に関連して、後にも改めて触れるように、媒体封入体200には、図4に示すように、目盛り270が設けられている。この目盛り270は、媒体封入体200の内部にどの程度の着色液体Lが注入されているかをユーザに知らせる機能をもつ。
そして、この機能を利用すれば、前述の気泡集中部260に集中させるべき気泡の発生ないしその好適な量を確保することができる。これは、媒体収納空間293に着色液体Lを注入する際に、前記目盛り270を見ながら、その注入量を正確に調整するならば、気泡の量も同時に好適に調整することが可能となるからである。
【0034】
次に、開口部201a,201b,202a,202b,220及び230(以下、簡単のため、これらをまとめて「開口部201a乃至230」と呼称することがある。)は、図1あるいは図2に示すように、そのそれぞれが外側面292を構成する天井面の所定の位置に配置されるように、形成されている。これらのうち、開口部201a及び202aは、前記電流印加電極1a及び2aの筐体1上における位置に対応する、媒体封入体200の天井面上の所定位置に配置されている。また、その形状も、電流印加電極1a及び2aの形状と対応している。図1では、両者とも、平面視して長円形状である。本実施形態において、両形状はほぼ同一の面積をもつが、開口部201a及び202aの面積の方が、電流印加電極1a及び2aの面積よりも、若干大きめとなっている。
【0035】
このような関係は、残る開口部についても全く同じくあてはまる。ただし、開口部201b及び202bは前記電圧測定電極1b及び2bに、開口部220は前記表示部120に、開口部230は前記操作入力装置130に、それぞれ対応している。
【0036】
このような開口部201a乃至230の存在により、媒体封入体200を筐体1の装着した際には、そのそれぞれの開口部201a乃至230に対応する各要素(即ち、電流印加電極1a及び2a等)は、媒体封入体200に完全に覆われてしまうのではなく、外界に露出される。
【0037】
また、開口部201a乃至230のそれぞれは、図2において開口部201a及び202bが代表して示しているように、一定の深さDをもつ。この深さDは、本実施形態では、開口部201a乃至230が内側面291から前記天井面まで貫通する開口部であるので、媒体封入体200の「厚さ」に等しい、ということもできる。
このように、開口部201a乃至230それぞれが深さDをもつことが、前に保留しておいた、表示部120及び電極群1a乃至2bの筐体1の外表面から突出していることの意味を明らかにする。すなわち、図2によく示されているように、電流印加電極1a及び2aが一定の高さHをもっているので、媒体封入対200の筐体1への装着の際、これら電流印加電極1a及び2aは、深さDをもつ開口部201a及び202aに好適に嵌め込まれるようになっているのである。
また、それに加えて、もしH≧Dが成立するように、これらの高さ及び深さを調整しておくのであれば、単に電流印加電極1a及び2aを開口部201a及び202aを通じて外界に露出させるというだけでなく、図2に示すように、これら電流印加電極1a及び2aを、媒体封入体200の天井面からも突出させることが可能となる。
電極群1a乃至2bは生体に直接的に接触する必要があることを考えると、このような「突出」が実現されることの意義は大きい。
【0038】
以下では、以上のような構成を備える生体情報測定装置100の作用効果について、既に参照した図1乃至図4に加えて、図5をも参照しながら説明する。
(1) まず、本実施形態に係る体制情報測定装置100では、媒体封入体200内に、様々な色を発色する着色液体Lを注入することが可能である。例えば、図4に示すように、もともと空っぽの状態にあった媒体封入体200に対しては、その注入口250を介して、所定の色をもつ着色液体Lを注入することが可能である。図4では、ボトルLBの口と注入口250とを会合させた上で、前者から後者(及びそれに接続された媒体収納空間293)に、着色液体Lが注ぎ込まれている様子が描かれている。
【0039】
なお、この際、着色液体Lの注入量は、目盛り270を参照しながら、好適に調整することが可能である。これにより、既述のように、気泡Bの量が同時に調整されることになる。
また、媒体封入体200に着色液体Lを所定量注ぎ終えたら、注入口250に蓋251が装着されることで、その内部から当該着色液体Lが漏出することは防止される。
【0040】
続いて、所定量の着色液体Lが蓄えられた媒体封入体200が、図1に示すように、筐体1に装着される。この場合、開口部201a乃至230と、そのそれぞれに対応する表示部120等の各要素との間の嵌め合いが可能となっていることから、両者の位置決めは、より容易に行われる。
もっとも、本実施形態では、そのような嵌合の助けを借りなくとも、媒体封入体200が前述のような箱型形状という特徴的な形状(特に、前述した4つの「側面」)をもっているので、媒体封入体200と筐体1との位置合わせを行うことはさほど困難ではない(逆に言えば、そのような形態を備えない媒体封入体の場合、開口部及び対応する要素間の嵌合の作用効果は最大限発揮される、ということができる。)。
【0041】
以上のような非常に簡単な2つの作業が完了すれば、既に、生体情報測定装置100は、媒体封入体200に蓄えられた着色液体Lのもつ色と同じ外装色を纏っていることになる。これは、本実施形態において、媒体封入体200が透明なプラスチック材料によって作られているからであり、かつ、図1に示すように、着色液体Lが筐体1の外部から視認可能であることは明らかだからである。
しかも、本実施形態の場合、媒体封入体200が、前述のように特徴的な箱型形状をもっているので、筐体1の床面(図1中不図示の下面)を除いて、その殆どの外表面を覆うことになる。したがって、外装色変更効果が、より実効的に奏されるようになっているのである。
【0042】
本実施形態ではまた、このような一定の外装色を纏った状態にある生体情報測定装置100を、別の外装色をもつ状態に変更することが極めて容易である。その場合は、筐体1から媒体封入体200をいったん離脱させて、注入口250から蓋251をはずし、そこから着色液体Lを当該媒体封入体200から外部へと排出した後、改めて、従前の色とは異なる色をもつ着色液体Lを注入すればよいのである。
【0043】
以上述べたように、本実施形態に係る生体情報測定装置100によれば、様々な環境それぞれに適応的な、あるいは時宜に応じた、外観意匠を呈することが可能になる。
【0044】
(2) 本実施形態では、前述したような、媒体封入体200の筐体1への装着後、気泡注入部260を利用することで、測定値の信頼性向上を図ることができる。
すなわち、気泡集中部260は、前述のように、筐体1の外側面292を構成する天井面に備えられていることから、媒体封入体200が装着済みの生体上方測定装置100を、通常状態で床面に設置すると、当該気泡集中部260には、着色液体Lの内部の気泡Bが、無理なく集まってくる。この気泡Bの集中には、気泡集中部260がドーム形状をもっており、前記天井面よりも更に高い位置に位置付けられるようになっていることも、貢献する。
【0045】
このように、気泡集中部260には、図5に示すような気泡Bが集中する。これにより、当該気泡集中部260は、水平儀として機能しうることになる。すなわち、本実施形態において、気泡Bが、図5(b)に示すように気泡集中部260内の特定箇所に偏って存在する場合、当該気泡集中部260は、生体情報測定装置100それ自体が一定の傾きをもって設置されている、ということを表現する水平儀として機能するのである。これは、本実施形態に係る気泡集中部260が、前記天井面のほぼ中央に配置されていること、また、底面が長円形状であるドーム形状をもっていること等、その構造、配置及び大きさ等が適当に設定されていることによる。
【0046】
これにより、図5(b)に示すユーザUは、例えば筐体1の下面と設置面との間に適当なスペーサを設置するとか、あるいは、設置場所を変更すること等により、図5(a)に示すように、生体情報測定装置100のほぼ厳密な水平設置を実現することが可能になる。なお、本実施形態において、気泡Bの量は、既に述べたように好適に調整され得るようになっているので、前記気泡集中部260は、水平儀としての機能をよりよく発揮しうる。
このように、本実施形態に係る生体情報測定装置100によれば、どのような環境で利用されても、殆ど常に正確な測定値を測定することが可能となるのである。
【0047】
以上のようにして、本実施形態の生体情報測定装置100は、環境フレンドリーな外装色を纏い、かつ、測定値の信頼性向上という特徴を備えた上で、生体の体重、あるいはその他の情報を高精度に測定する。
ちなみに、生体電気インピーダンスを測定する場合、被験者は、電極群1a乃至2bの上に自らの足を乗せることになり、また、体重値等の測定結果は表示部120に表示されることになるが、前記開口部201a,202a,201b,202b及び220は、これら電極群1a乃至2bへの足裏及び踵の接触、そして表示部120に表示された測定結果の読み取りを何ら阻害することがない。これは、開口部201a乃至230に関して前述した「位置決め」に係る作用効果とは別の、当該開口部201a,202a,201b,202b及び220によって発揮されるいま一つの作用効果である。なお、開口部230の存在によって、操作入力装置130に対する入力操作が阻害されることもない。
【0048】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明に係る生体情報測定装置は、上述した形態に限定されることはなく、各種の変形が可能である。
(1) 上記実施形態では、本発明に係る「媒体封入体」として、箱型形状をもつ媒体封入体200を一具体例として説明しているが、本発明は、かかる形態に限定されるわけではない。例えば、本発明に係る「媒体封入体」は、より単純に、円筒形状をもっていたり、あるいは、その内部が空洞となっているシート形状をもっていたりしてよい。
ただし、この場合、後者のシート形状はともかく、前者の円筒形状等、いわば一定の「嵩」を持つような形状の場合には、当該媒体封入体を筐体1の「外部」へと装着することは、むしろ意匠上不自然な感じを作出する結果となる等、一定の困難さを生じさせることもあり得る。
そこで、このような場合においては、筐体1の「内部」に当該媒体封入体を挿脱するための空間を備えるとともに、筐体1の外表面に前記空間内部を透視可能な窓を備える、等すれば、前述した実施形態と略同様の作用効果を享受することが可能である。
本発明にいう、媒体封入体が、「外部から視認可能であるように…装着される」という概念には、上述のような形態もまた含まれている。
【0049】
(2) 上記実施形態では、透明なプラスチック材料から作られた媒体封入体200を例に説明しているが、本発明はかかる形態に限定されない。例えば、媒体封入体の一部だけ透明で、他の部分は金属等不透明な材料から作る、等の態様もあり得てよい。更に、媒体封入体の全体を半透明な材料から作る、といった態様であってもよい。
【0050】
(3) 上記実施形態では、電極群1a乃至2bは、生体の足に接触するものとして説明しているが、電極一般としては、生体の他の部位(例えば、掌)に接触させるものであってもよい。あるいは、場合によっては、「電極」を用いずに、生体の状態を測定するその他の各種の測定手段が用いられてもよい。このような場合であっても、上記実施形態において、表示部及び電極以外の操作入力部130について、対応する開口部230が設けられていたように、「開口部」に係る本発明の技術的思想の適用を考えることは可能である。すなわち、当該他の測定手段が、外界に曝される必要があり、かつ、媒体封入体が筐体の殆ど全部を覆うような形状を持っているのならば、当該他の測定手段に対しても、「開口部」に係る本発明の技術的思想を適用することは容易に可能ということである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係る生体情報測定装置の概観を示す図である。
【図2】図1のXX線断面図である。
【図3】図1のYY線断面図である。
【図4】媒体封入体に着色液体を注入する様子を示す図である。
【図5】気泡集中部の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
100……生体情報測定装置、1……筐体、1a,2a……電流印加電極,1b,2b……電圧測定電極、120……表示部、130……操作入力装置、200……媒体封入体、291……内側面、292……外側面、293……媒体収納空間、250……注入口、251……蓋、260……気泡集中部、270……目盛り、201a,202a……開口部(電流印加電極用)、201b,202b……開口部(電圧測定電極用),220……開口部(表示部用),230……開口部(操作入力装置用)、L……着色液体、D……(開口部の)深さ、H……(電流印加電極等の突出)高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも生体の重量を測定する機能を備える生体情報測定装置であって、
筐体と、
その内部に注入された着色媒体を前記筐体の外部から視認可能であるように、当該筐体の外部又は内部に装着される媒体封入体と、
前記媒体封入体に備えられ、前記着色媒体を該媒体封入体の外部から内部に注入し又はその内部から外部へと排出することが可能な注入口と、
を備えることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項2】
前記着色媒体は着色液体であり、
前記媒体封入体は、
前記着色液体の内部の気泡が集まってくる気泡集中部を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記媒体封入体は、
当該媒体封入体の内部の前記着色液体の量を指示する液量指示部を備えている、
ことを特徴とする請求項2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記媒体封入体は、前記筐体に対して着脱可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記媒体封入体は、
前記筐体の外形を形作る外表面の全部又は一部と略同一形状の内側面をもち、当該内側面で前記外表面を覆うように、装着可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記筐体の前記外表面に、体重測定値を表示するための表示部が備えられ、
前記媒体封入体は、
当該媒体封入体が前記筐体を覆う場合において、前記表示部の位置に対応する当該媒体封入体の位置に開口部をもつ、
ことを特徴とする請求項5に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記表示部は、
前記開口部に嵌まり込むことが可能であるように、前記外表面から外方に突出している、
ことを特徴とする請求項6に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記筐体の前記外表面に、生体に電流を印加するための第1電極、及び、前記電流の印加を原因として生体内に生じる電位差を測定するための第2電極が備えられ、
前記媒体封入体は、
当該媒体封入体が前記筐体を覆う場合において、前記第1電極及び前記第2電極の位置に対応する当該媒体封入体の位置に開口部をもつ、
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の体組成測定装置。
【請求項9】
前記電極は、
前記開口部に嵌まり込むことが可能であるように、かつ、該開口部の深さ以上の高さをもって、前記外表面から外方に突出している、
ことを特徴とする請求項8に記載の体組成測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−60950(P2009−60950A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228895(P2007−228895)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】