生体液用回路
本発明は、2つの可撓性フィルム(145、146)および経路指定ネットワークコネクタを含むバッグ(111)と、フィルムの間にパイプ(104)を形成するためにバッグをクランプ締めする第一シェル(114)および第二シェル(113)を含む圧迫部(110)を含み、第一シェルは、可動部材(124)を含むアクチュエータ(121)を含むピンチ弁(120)を含み、可動部材と一致して、弁が開放位置にあるときに、パッドの第二面(33)が凹状であって成形チャネル(118)を局所的に区切る、静止形態を有するとともに、弁が閉鎖位置にあるときに、第二面(133)が凸状であって、パイプおよびパッドが成形チャネル(116)と可動部材との間に挟まれている、挟持形態を有する弾性圧縮性パッド(131)と、を含む回路に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的には、しかし限定的ではなく、モノクローナル抗体、ワクチン、または組み替えタンパク質などの生成物を得るために、生物薬剤液を純化するための、生体液用回路に関する。
【背景技術】
【0002】
生物薬剤液は一般的にバイオリアクタ内での培養によって得られること、およびこれらはその後、純度、濃度、ウイルスの不在などの必要とされる特性を実現するために処理されなければならないことは、公知である。
【0003】
これらの処理は従来、ステンレス鋼パイプ、およびタンクまたはフィルタ筐体などのその他の部品を含む、専用設備内で実行され、これは実際の処理の前後の作業を必要とし、特に使用後の洗浄作業が、比較的厄介である。
【0004】
ここ数年以内に、これらの処理は代わりに、液体と接触する部品が使い捨て部品となっている設備において実行されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような使い捨て部品は、洗浄作業を回避するという利点を有するが、しかし必要とされるレベルの安全性を提供するために、このような部品を備える設備の実現は、比較的複雑な選択、組立、および確認の作業を必要とする。
【0006】
これは、パイプおよびその他の回路部品、たとえばコネクタおよびピンチ弁の数が多い場合、および/または動作圧力が高い場合に、特に該当する。
【0007】
本発明は、単純で、経済的で、便利な方法で、高品質のピンチ弁の閉塞を有する回路を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のコネクタと、前記コネクタの間で液体を経路指定するためのネットワークとを含む、生体液用回路に関し、これは、
2つの可撓性フィルムおよび前記経路指定ネットワークコネクタを含むバッグと、
前記液体経路指定ネットワークのパイプが前記フィルムの間に形成されている状態で前記バッグをクランプ締めする第一シェルおよび第二シェルを含む圧迫部であって、前記第一シェルは各前記パイプのために成形チャネルを含み、前記第二シェルは各前記パイプのために第一シェルの対応する成形チャネルに対向する成形チャネルを含む、圧迫部とを含み、
前記第一シェルは前記パイプのために少なくとも1つのピンチ弁を含み、この弁は可動挟持部材を含むアクチュエータを含み、この弁は、可動部材がパイプを挟持しない後退位置にある開放位置を有するとともに、可動部材がパイプを挟持する延伸位置にある閉鎖位置を有し、
前記弁は、前記可動挟持部材と一致して、弾性圧縮性パッドを含み、このパッドは、可動部材に最も近い第一面と、挟持すべきパイプに最も近い第二面とを有し、このパッドは、弁が開放位置にあるときに、前記第二面が凹状であって、挟持すべきパイプの第一シェル成形チャネルを局所的に区切る、静止形態を有し、弁が閉鎖位置にあるときに、前記第二面が凸状であって、前記パイプおよび前記パッドが挟持すべきパイプの第二シェル成形チャネルと可動挟持部材との間に挟まれている、挟持形態を有することを、特徴とする。
【0009】
その圧縮性のため、本発明による弾性圧縮性パッドは、ピンチ弁アクチュエータの可動部材の遠位末端と第二シェル成形チャネルとの間の形状の違いが作り出されることを可能にする。
【0010】
このため、前記可動部材の遠位末端と前記第二シェル成形チャネルとの間で、形状が完全に一致する必要はない。
【0011】
正確には、本発明による回路において、挟まれるのはパイプの2つのフィルムだけではなく、むしろパイプの2つの前記フィルムおよび弾性圧縮性パッドである。
【0012】
このため、パイプの2つのフィルムは、互いに対して封止的に適用され、生体液はパイプの挟持部には流入することができない。
【0013】
好ましくは、前記挟持すべきパイプは、楕円形輪郭を有する。
【0014】
円形パイプと比較すると、この楕円形輪郭は、前記楕円形パイプ内の液体の同一の通過速度のため、パイプの高さ削減を提供する。
【0015】
単純で、便利で、経済的な、本発明の回路の好適な特徴によれば、
前記パッドは、いくつかのパイプを覆う共通シートの一部を形成し、
前記共通シートは、パッドの近くに少なくとも1つの硬化突起を含み、
前記パッドは、個別局所プレートの一部を形成し、
前記パッドは前記局所個別プレートの中心部を形成し、これは前記中心部を包囲する側壁および横断壁を含み、
前記第一シェルは、前記パッドを少なくとも部分的に受容するようになっている、凹状収容部を含み、
前記パッドは前記第一シェルに固定されており、
前記パッドは、前記第一シェルの対応する開口内に形状の補完性によって固定されている固定ラグを含み、
前記パッドは、一体に成型された弾性圧縮性可撓性プラスチックで形成されており、
前記パッドはシリコンでできており、
アクチュエータの可動部材は、前記パッドを第二シェル成形チャネルに向かって押すようになっている空気膜を含み、
アクチュエータの可動部材は、第二シェル成形チャネルのような形状の末端を有する指状部を含み、
少なくとも1つの前記シェルは、物理化学値の少なくとも1つのセンサを含み、
前記センサおよび前記パッドは前記第一シェル上に設けられている。
【0016】
ここで本発明の開示は、以下の添付図面を参照して、例示的だが非限定的な例によって以下に示される、例示的実施形態の説明を持って続けられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】弁が開放されていてパイプがまだ形成されていない、本発明の第一の実施形態による生体液用回路の断面図である。
【図2】弁が開放されていてパイプが形成されている、本発明の第一の実施形態による生体液用回路の断面図である。
【図3】弁が閉鎖されている、本発明の第一の実施形態による生体液用回路の断面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態による、図1と類似の断面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態による、図2と類似の断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態による、図3と類似の断面図である。
【図7】弾性圧縮性パッドのための収容部を有する、図4から図6の回路のシェルの1つの一部の斜視図である。
【図8】弾性圧縮性パッドのための収容部を有する、図4から図6の回路のシェルの1つの一部の立面図である。
【図9】図8のIX−IXに沿った断面図である。
【図10】前記弾性圧縮性パッドの斜視図である。
【図11】前記弾性圧縮性パッドの第一の側の図である。
【図12】前記弾性圧縮性パッドの立面図である。
【図13】前記弾性圧縮性パッドの第一の側に対して90°回転した別の側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1から図3は、複数の液体用コネクタ2およびこれらコネクタ2の間で液体を経路指定するためのネットワーク3を含む、生体液の処理のための回路1を得ることができるようにする圧迫部10およびバッグ11を示しており、そのパイプ4が見えている。
【0019】
圧迫部10は、2つのシェル13および14を含む。
【0020】
シェル13および14は、各々が硬質材料の中実ブロックで形成されている。ここで、シェル13および14は、ステンレス鋼でできており、各々がおおむね平行六面体形状である。
【0021】
シェル13は、ここでは平坦な基準面15、および表面15内に凹んでいる複数の成形チャネル16を有する。
【0022】
シェル14は、表面39を有するシート30がその上に固定されている平面17、およびシート30の表面39に対して凹んでおり、各々が対応する成形チャネル16に対向している、成形チャネル18を有する。
【0023】
通常、表面15、17、および33は類似の寸法を有し、成形チャネル18の配置は成形チャネル16の配置の鏡像である。
【0024】
成形チャネル16および18は、半楕円形断面になっている。
【0025】
表面15および39は、各々がほぼ管状になっている空洞のネットワークを区切るために、互いに一致したチャネル16および18を備えて互いに対して適用されてもよい。
【0026】
シェル14は2つの開口35を含み、シート30は、シェル14の対応する開口35内に形状の補完性によって固定される2つの固定ラグ34を含む。
【0027】
シェル13および14に加えて、圧迫部10は、ここではシェル14に埋め込まれた状態で、パイプ4を挟持するためのアクチュエータ21を含むピンチ弁20と、たとえば圧力または温度などの物理化学値のセンサ22とを含む。
【0028】
アクチュエータ21は各々、シェル14に固定される本体23と、弁20が開放位置(図1および図2参照)にあるときに後退位置を有し、弁20が閉鎖位置(図3参照)にあるときに延伸位置を有する可動挟持膜24と、を含む。
【0029】
本体23は、シェル14の凹部25に収容されている。
【0030】
延伸位置において、可動膜24は、チャネル18のうちの1つの内部に向かって突起する。
【0031】
弁20は、可動膜24と一致して、弾性圧縮性パッド31をさらに含み、このパッド31は、一体成形されたシリコーンシート30の一部を形成し、これはいくつかのパイプ4を覆うように、シェル14の表面17の大部分を覆う。
【0032】
このパッド31は、可動膜24に最も近い第一面32、および挟持すべきパイプ4に最も近い第二面33を有する。
【0033】
パッドの第二面33は凹状であり、シェル14の成形チャネル18を局所的に区切る。
【0034】
共通シート30は、パッド31の付近に2つの硬化突起38を有する。
【0035】
各センサ22は、センサ22の遠位末端がそのチャネル18の内部に出現した状態で、実際には流体に接触する必要なく、チャネル18と一致してシェル14に固定されている。
【0036】
このようなセンサはよく知られており、たとえばバッグの外面を通じて圧力を測定する圧力センサを含む。
【0037】
各センサ22において、自身が所定位置に付けるようにするため、成形チャネル18は正確にはチャネル16の鏡像ではない。
【0038】
バッグ11は、閉鎖輪郭を区切るシールによって互いに取り付けられた、2つの可撓性フィルム45および46を含む。
【0039】
ここで、フィルム45および46の各々は、本出願人から発売されているPureFlex(TM)フィルムである。これは4つの層を含む同時押し出しフィルムであり、それぞれ内側から外側に向かって、液体と接触するために材料を形成する超低密度ポリエチレン(ULDPE)の層、ガスに対する障壁を形成するエチレンビニルアルコール(EVOH)の共重合体、エチレンビニルアセテート(EVA)の共重合体層、および外層を形成する超低密度ポリエチレン(ULDPE)の層である。
【0040】
シールは、フィルム45および46の周囲に形成された溶接ビードである。
【0041】
フィルム45および46ならびに液体用コネクタ2に加えて、バッグ11は、パイプ4を形成するための空気剤用コネクタ5を含む。
【0042】
バッグ11の寸法は、シェル13および14の表面15および17、ならびにシート30の表面39の寸法に対応する。
【0043】
バッグ11は、バッグ11の面のうちの1つがシェル13の面(この面は表面15およびチャネル16を有する)と接触し、バッグ11の別の面がシェルの面30(この面は表面39を呈する)と接触している状態で、シェル13および14によってクランプ締めされるように意図される。
【0044】
図1は、表面15および39がバッグ11と接触しているが、シェル13および14は互いにクランプ締めされていない(閉鎖前位置)状態で、シェル13および14の間の所定位置にあるバッグ11を示す。
【0045】
バッグ11はその後、膨張させられる。液体用コネクタ2は閉塞させられ、空気剤がその目的のために設けられたコネクタ5によって注入される。
【0046】
バッグ11の膨張の効果は、フィルム45および46が、表面15およびチャネル16を呈するシェル13の面、ならびに表面39およびチャネル18を呈するシート30の面と、それぞれ適合することである。
【0047】
圧迫部10はその後閉鎖され、これは言い換えると、シェル13および14が、バッグ11を間に挟みながら、互いに強く押しつけられるということである(バッグ11がシェル13および14の間でクランプ締めされる閉鎖位置)。
【0048】
フィルム45および46はその後、図2に示されるように、楕円形輪郭のパイプ4を形成するチャネル16および18に隣接して、表面15およびチャネル16を呈するシェル13の面、ならびに表面39およびチャネル18を呈するシート30の面に対して押しつけられる。
【0049】
圧迫部10およびバッグ11はその後、稼働のために配置される準備が整った生体液を処理するための回路1を形成する。
【0050】
図面を簡素化するために、シェル13および14が図1および図2に示されているが、しかし上述のように、図1に示される閉鎖前位置において、シェル13および14は互いにクランプ締めされていない。
【0051】
圧迫部10およびバッグ11によって形成された回路内で処理すべき生体液が汚染から保護されなければならないとき、バッグ11には、液体用コネクタおよび空気剤用コネクタの各々における所定位置に、閉塞栓が設けられ、これはたとえばガンマ線放射によって滅菌される。バッグ11内に注入される空気剤は、純化されている。
【0052】
たとえば、空気剤は、膨張しているコネクタ5に接続された、Millipore社より入手可能なAERVENT(R)などの疎水性フィルタによって純化された圧縮空気である。
【0053】
センサ22は、パイプ4と接触しているその遠位末端(感受性末端)を有する。各センサ22は、たとえばその温度またはその圧力など、その遠位末端が接触しているパイプ4内を流れる液体の物理化学特性を知ることができるようにする。
【0054】
各アクチュエータ21は、その位置での液体の通過を許容または妨害するために、パイプ4がその可動膜24とシェル13との間で挟持されることを可能にする。
【0055】
パイプ4を挟持するために、弁20は、可動膜24がパイプ4を挟持しない後退位置にある開放位置(図2に表示)から、可動膜24が、パイプ4を挟持する、前記膜24の空気膨張によって延伸した位置にある、その閉鎖位置(図3に表示)に、遷移する。
【0056】
膜24は、延伸したときに、シェル13の成形チャネル16に向かってパッド31を押す。
【0057】
このため、パッド31は、その第二面33が凹状であって、挟持すべきパイプ4のシェル14の成形チャネル18を局所的に区切る、その静止形態から、その第二面33が凸状であって、パイプ4およびパッド31の場所におけるバッグ11のフィルム45および46が挟持すべきパイプ4のシェル13の成形チャネル16と可動空気挟持膜24との間に挟まれている、挟持形態に、遷移する。
【0058】
その圧縮性の結果、パッド31は、膨張した膜24とシェル13の成形チャネル16との間の可能な形状の違いが作り出されることを可能にする。
【0059】
弾性圧縮性パッド31の結果、パイプ4の2つのフィルム45および46は、こうして互いに対して封止的に適用され、液体はもはやパイプ4内を流れることができない。
【0060】
図4から図13を用いて、ピンチ弁の第二の実施形態が以下に記載される。
【0061】
圧迫部10の場合と同じように、圧迫部110は、各々が剛性材料の中実ブロックで形成されている、2つの平行六面体シェル113および114を含む。
【0062】
シェル113および114は、その後回路100のパイプ104を形成するように各々がほぼ管状の、空洞のネットワーク103を区切るために、図1から図3のシェル13および14と類似の構成を有する。
【0063】
このために、シェル113は、ここでは平坦な、基準面115、および表面115内に凹んでいる複数の成形チャネル116を有する。
【0064】
シェル114は、基準面117、および表面117に対して凹んでおり、各々が対応する成形チャネル116に対向している、成形チャネル118を有する。
【0065】
通常、表面115および117は類似の寸法を有し、成形チャネル118の配置は成形チャネル116の配置の鏡像である。
【0066】
チャネル116および118は、半楕円形断面になっている。
【0067】
シェル113および114に加えて、圧迫部110は、シェル114上のピンチ弁120を含み、これはパイプ104を挟持するためのアクチュエータ121を含む。
【0068】
アクチュエータ121は各々、シェル114に固定される本体123と、弁120が開放位置にあるときに後退位置を有し、弁120が閉鎖位置にあるときに延伸位置を有する、可動挟持指状部124と、を含む。
【0069】
本体123は、空気室126、ピストン127、およびシェル内に収容されたバネ129が設けられた収容部128を含み、バネ129はピストン127および指状部124を連結するロッドを包囲している。
【0070】
空気室126は、圧力の下にあるときに、バネ129に対してピストン127を付勢する。ピストン127がそのストロークの末端にあるとき、指状部124は後退位置にある(図4および図5)。
【0071】
空気室126が大気圧にあるとき、バネ129はピストン127を、ストロークの末端の他方の位置に向かって付勢する。ここに到達したとき、可動指状部124は延伸位置にある(図6)。
【0072】
その遠位末端において、可動指状部124は、シェル113の成形チャネル116のプロファイルのような形状になっている。
【0073】
延伸位置において、可動指状部124は、チャネル118のうちの1つの内部に向かって突起する。
【0074】
弁120は、可動指状部124と一致して、弾性圧縮性パッド131をさらに含み、このパッド131は、一体成形されたシリコンの個別局所プレート130の一部(図10から図13に単独で示される)を形成する。
【0075】
パッド131は、可動指状部124に最も近い第一面132、および挟持すべきパイプ104に最も近い第二面133を有する。
【0076】
パッド131の第二面133は凹状であり、シェル114の成形チャネル118を局所的に区切る。
【0077】
図7から図9によりわかりやすく示されるように、シェル114は、湾曲中心部161および2つの平坦側方部162を有する、凹状収容部160を含む。
【0078】
湾曲中心部161は、可動挟持指状部124を通過させられるようになっている中心の切り取り部163と、中心部161の縁に位置する2つの同一の開口164とを有する。
【0079】
図10から図13によりわかりやすく示されるように、パッド131は、プレート130の弓状中心部を形成し、これは前記中心部を包囲する平坦側壁171および弓状横断壁172を含む。
【0080】
プレート130の各平坦側壁は、シェル114内の収容部160の平坦側方部162上に位置し、各弓状横断壁172は、シェル114内の収容部160の湾曲中心部161上に位置する。
【0081】
このため、パッド131もまた、シェル114の収容部160の湾曲中心部161上に位置する。
【0082】
これがシェル114上に固定されるために、プレート130は、各弓状横断壁172から表面117およびチャネル118を呈するシェル114の面に向かって延在する、固定ラグ173を含む。
【0083】
これらのラグ173は、シェル114の対応する開口164内に形状の補完性によって固定される。
【0084】
バッグ111は、閉鎖輪郭を区切るシールによって互いに取り付けられた、2つの可撓性フィルム145および146を含む。
【0085】
バッグ111ならびにフィルム145および146は、図1から図3のバッグ11ならびにフィルム45および46と同じタイプである。
【0086】
さらに、パイプ104は、図1から図3のパイプ4と同じように形成されている。
【0087】
バッグ111の寸法は、シェル113および114の基準面115および117の寸法に対応する。
【0088】
図4は、表面117がバッグ111と接触しているが、シェル113および114は互いにクランプ締めされていない状態で、シェル113および114の間の所定位置にあるバッグ11を示す。
【0089】
バッグ111はその後膨張させられるが、膨張の効果は、フィルム145および146が、表面115およびチャネル116を呈するシェル113の面、ならびにパッド131の第二面133と、それぞれ適合することである。
【0090】
圧迫部110は、シェル113および114が、バッグ111を間に挟みながら互いに強く押しつけられるように、その後閉鎖される。
【0091】
フィルム145および146はその後、図5に示されるように、楕円形輪郭のパイプ104を形成するチャネル116および118に隣接して、表面115およびチャネル116を呈するシェル113の面、ならびにパッド131の第二面133に対して押しつけられる。
【0092】
圧迫部110およびバッグ111はその後、稼働のために配置される準備が整った生体液を処理するための回路100を形成する。
【0093】
図面を簡素化するために、シェル113および114が図4および図5の同じ位置に示されているが、しかし上述のように、図4に示される閉鎖前位置において、シェル113および114は互いにクランプ締めされていない。
【0094】
アクチュエータ121は、その位置での液体の通過を許容または妨害するために、パイプ104がその可動指状部124とシェル113との間で挟持されることを可能にする。
【0095】
パイプ104を挟持するために、弁120は、可動指状部124がパイプ104を挟持しない後退位置にあるその開放位置(図5)から、可動指状部124がパイプ104を挟持する延伸位置にあるその閉鎖位置(図6)に、遷移する。
【0096】
指状部124は、延伸したときに、シェル113の成形チャネル116に向かってパッド131を押す。
【0097】
このため、パッド131は、その第二面133が凹状であって、挟持すべきパイプ104のシェル114の成形チャネル118を局所的に区切る、静止形態から、その第二面133が凸状であって、パイプ104およびパッド131が挟持すべきパイプ104のシェル113の成形チャネル116と可動挟持指状部124との間に挟まれている、挟持形態に、遷移する。
【0098】
図示されない変形例において、挟持すべきパイプは円形輪郭を有する。
【0099】
図4から図13に示される例において、アクチュエータ121の可動挟持部材124は、その末端に肥厚縁を有する。変形例として、アクチュエータの可動部材は、たとえば面取り末端による、薄縁を有する。
【0100】
図示されない変形例において、バッグの膨張は、バッグのクランプ締めの後、または部分的にバッグのクランプ締めの前および部分的にその後に、実行される。
【0101】
図示されない変形例において、流体を経路指定するためのネットワークのパイプは予備成形され、フィルムの溶接は、バッグが前記シェルの間にクランプ締めされる前に実行される。
【0102】
図示されない変形例において、同じシェル全体に分散されるよりむしろ、ある物理化学値の1つまたは複数のセンサおよびパッドは異なるシェル上に設けられる、および/またはセンサは設けられない。
【0103】
図示されない別の変形例において、
一体である代わりに、シェルは、回路の異なる部分を区切るために、互いに結合された1組のモジュール部材によって形成され、部材には、これらが互いに対して正確に配置されることを確実にするための記号または標識が設けられ、記号および標識は、たとえば参照番号またはコードを含み、可能であればRFIDタイプである。
シェルは、たとえばアルミニウム、特に高密度を有するプラスチック、セラミック、または木など、ステンレス鋼以外の材料でできており、
バッグのフィルムはPureFlex(TM)フィルム以外の材料、たとえばHyclone Industries社より入手可能なフィルムであるHyQ(R)CX5−14、またはロンザ(Lonza)社より入手可能なフィルムであるPlatinum UltraPacなど、生体液と適合性のあるいくつかの層を備える別のフィルムでできており、
124などの指状部を作動させるのに役立つ単動式空気ジャッキは複動式空気ジャッキに置き換えられ、および/またはジャッキはたとえば電気など、空気式以外のものであり、
パッドは一体成型品ではない。
【0104】
より一般的には、本発明は、記載され提示される例に限定されるものではないことは、特筆すべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的には、しかし限定的ではなく、モノクローナル抗体、ワクチン、または組み替えタンパク質などの生成物を得るために、生物薬剤液を純化するための、生体液用回路に関する。
【背景技術】
【0002】
生物薬剤液は一般的にバイオリアクタ内での培養によって得られること、およびこれらはその後、純度、濃度、ウイルスの不在などの必要とされる特性を実現するために処理されなければならないことは、公知である。
【0003】
これらの処理は従来、ステンレス鋼パイプ、およびタンクまたはフィルタ筐体などのその他の部品を含む、専用設備内で実行され、これは実際の処理の前後の作業を必要とし、特に使用後の洗浄作業が、比較的厄介である。
【0004】
ここ数年以内に、これらの処理は代わりに、液体と接触する部品が使い捨て部品となっている設備において実行されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような使い捨て部品は、洗浄作業を回避するという利点を有するが、しかし必要とされるレベルの安全性を提供するために、このような部品を備える設備の実現は、比較的複雑な選択、組立、および確認の作業を必要とする。
【0006】
これは、パイプおよびその他の回路部品、たとえばコネクタおよびピンチ弁の数が多い場合、および/または動作圧力が高い場合に、特に該当する。
【0007】
本発明は、単純で、経済的で、便利な方法で、高品質のピンチ弁の閉塞を有する回路を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のコネクタと、前記コネクタの間で液体を経路指定するためのネットワークとを含む、生体液用回路に関し、これは、
2つの可撓性フィルムおよび前記経路指定ネットワークコネクタを含むバッグと、
前記液体経路指定ネットワークのパイプが前記フィルムの間に形成されている状態で前記バッグをクランプ締めする第一シェルおよび第二シェルを含む圧迫部であって、前記第一シェルは各前記パイプのために成形チャネルを含み、前記第二シェルは各前記パイプのために第一シェルの対応する成形チャネルに対向する成形チャネルを含む、圧迫部とを含み、
前記第一シェルは前記パイプのために少なくとも1つのピンチ弁を含み、この弁は可動挟持部材を含むアクチュエータを含み、この弁は、可動部材がパイプを挟持しない後退位置にある開放位置を有するとともに、可動部材がパイプを挟持する延伸位置にある閉鎖位置を有し、
前記弁は、前記可動挟持部材と一致して、弾性圧縮性パッドを含み、このパッドは、可動部材に最も近い第一面と、挟持すべきパイプに最も近い第二面とを有し、このパッドは、弁が開放位置にあるときに、前記第二面が凹状であって、挟持すべきパイプの第一シェル成形チャネルを局所的に区切る、静止形態を有し、弁が閉鎖位置にあるときに、前記第二面が凸状であって、前記パイプおよび前記パッドが挟持すべきパイプの第二シェル成形チャネルと可動挟持部材との間に挟まれている、挟持形態を有することを、特徴とする。
【0009】
その圧縮性のため、本発明による弾性圧縮性パッドは、ピンチ弁アクチュエータの可動部材の遠位末端と第二シェル成形チャネルとの間の形状の違いが作り出されることを可能にする。
【0010】
このため、前記可動部材の遠位末端と前記第二シェル成形チャネルとの間で、形状が完全に一致する必要はない。
【0011】
正確には、本発明による回路において、挟まれるのはパイプの2つのフィルムだけではなく、むしろパイプの2つの前記フィルムおよび弾性圧縮性パッドである。
【0012】
このため、パイプの2つのフィルムは、互いに対して封止的に適用され、生体液はパイプの挟持部には流入することができない。
【0013】
好ましくは、前記挟持すべきパイプは、楕円形輪郭を有する。
【0014】
円形パイプと比較すると、この楕円形輪郭は、前記楕円形パイプ内の液体の同一の通過速度のため、パイプの高さ削減を提供する。
【0015】
単純で、便利で、経済的な、本発明の回路の好適な特徴によれば、
前記パッドは、いくつかのパイプを覆う共通シートの一部を形成し、
前記共通シートは、パッドの近くに少なくとも1つの硬化突起を含み、
前記パッドは、個別局所プレートの一部を形成し、
前記パッドは前記局所個別プレートの中心部を形成し、これは前記中心部を包囲する側壁および横断壁を含み、
前記第一シェルは、前記パッドを少なくとも部分的に受容するようになっている、凹状収容部を含み、
前記パッドは前記第一シェルに固定されており、
前記パッドは、前記第一シェルの対応する開口内に形状の補完性によって固定されている固定ラグを含み、
前記パッドは、一体に成型された弾性圧縮性可撓性プラスチックで形成されており、
前記パッドはシリコンでできており、
アクチュエータの可動部材は、前記パッドを第二シェル成形チャネルに向かって押すようになっている空気膜を含み、
アクチュエータの可動部材は、第二シェル成形チャネルのような形状の末端を有する指状部を含み、
少なくとも1つの前記シェルは、物理化学値の少なくとも1つのセンサを含み、
前記センサおよび前記パッドは前記第一シェル上に設けられている。
【0016】
ここで本発明の開示は、以下の添付図面を参照して、例示的だが非限定的な例によって以下に示される、例示的実施形態の説明を持って続けられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】弁が開放されていてパイプがまだ形成されていない、本発明の第一の実施形態による生体液用回路の断面図である。
【図2】弁が開放されていてパイプが形成されている、本発明の第一の実施形態による生体液用回路の断面図である。
【図3】弁が閉鎖されている、本発明の第一の実施形態による生体液用回路の断面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態による、図1と類似の断面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態による、図2と類似の断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態による、図3と類似の断面図である。
【図7】弾性圧縮性パッドのための収容部を有する、図4から図6の回路のシェルの1つの一部の斜視図である。
【図8】弾性圧縮性パッドのための収容部を有する、図4から図6の回路のシェルの1つの一部の立面図である。
【図9】図8のIX−IXに沿った断面図である。
【図10】前記弾性圧縮性パッドの斜視図である。
【図11】前記弾性圧縮性パッドの第一の側の図である。
【図12】前記弾性圧縮性パッドの立面図である。
【図13】前記弾性圧縮性パッドの第一の側に対して90°回転した別の側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1から図3は、複数の液体用コネクタ2およびこれらコネクタ2の間で液体を経路指定するためのネットワーク3を含む、生体液の処理のための回路1を得ることができるようにする圧迫部10およびバッグ11を示しており、そのパイプ4が見えている。
【0019】
圧迫部10は、2つのシェル13および14を含む。
【0020】
シェル13および14は、各々が硬質材料の中実ブロックで形成されている。ここで、シェル13および14は、ステンレス鋼でできており、各々がおおむね平行六面体形状である。
【0021】
シェル13は、ここでは平坦な基準面15、および表面15内に凹んでいる複数の成形チャネル16を有する。
【0022】
シェル14は、表面39を有するシート30がその上に固定されている平面17、およびシート30の表面39に対して凹んでおり、各々が対応する成形チャネル16に対向している、成形チャネル18を有する。
【0023】
通常、表面15、17、および33は類似の寸法を有し、成形チャネル18の配置は成形チャネル16の配置の鏡像である。
【0024】
成形チャネル16および18は、半楕円形断面になっている。
【0025】
表面15および39は、各々がほぼ管状になっている空洞のネットワークを区切るために、互いに一致したチャネル16および18を備えて互いに対して適用されてもよい。
【0026】
シェル14は2つの開口35を含み、シート30は、シェル14の対応する開口35内に形状の補完性によって固定される2つの固定ラグ34を含む。
【0027】
シェル13および14に加えて、圧迫部10は、ここではシェル14に埋め込まれた状態で、パイプ4を挟持するためのアクチュエータ21を含むピンチ弁20と、たとえば圧力または温度などの物理化学値のセンサ22とを含む。
【0028】
アクチュエータ21は各々、シェル14に固定される本体23と、弁20が開放位置(図1および図2参照)にあるときに後退位置を有し、弁20が閉鎖位置(図3参照)にあるときに延伸位置を有する可動挟持膜24と、を含む。
【0029】
本体23は、シェル14の凹部25に収容されている。
【0030】
延伸位置において、可動膜24は、チャネル18のうちの1つの内部に向かって突起する。
【0031】
弁20は、可動膜24と一致して、弾性圧縮性パッド31をさらに含み、このパッド31は、一体成形されたシリコーンシート30の一部を形成し、これはいくつかのパイプ4を覆うように、シェル14の表面17の大部分を覆う。
【0032】
このパッド31は、可動膜24に最も近い第一面32、および挟持すべきパイプ4に最も近い第二面33を有する。
【0033】
パッドの第二面33は凹状であり、シェル14の成形チャネル18を局所的に区切る。
【0034】
共通シート30は、パッド31の付近に2つの硬化突起38を有する。
【0035】
各センサ22は、センサ22の遠位末端がそのチャネル18の内部に出現した状態で、実際には流体に接触する必要なく、チャネル18と一致してシェル14に固定されている。
【0036】
このようなセンサはよく知られており、たとえばバッグの外面を通じて圧力を測定する圧力センサを含む。
【0037】
各センサ22において、自身が所定位置に付けるようにするため、成形チャネル18は正確にはチャネル16の鏡像ではない。
【0038】
バッグ11は、閉鎖輪郭を区切るシールによって互いに取り付けられた、2つの可撓性フィルム45および46を含む。
【0039】
ここで、フィルム45および46の各々は、本出願人から発売されているPureFlex(TM)フィルムである。これは4つの層を含む同時押し出しフィルムであり、それぞれ内側から外側に向かって、液体と接触するために材料を形成する超低密度ポリエチレン(ULDPE)の層、ガスに対する障壁を形成するエチレンビニルアルコール(EVOH)の共重合体、エチレンビニルアセテート(EVA)の共重合体層、および外層を形成する超低密度ポリエチレン(ULDPE)の層である。
【0040】
シールは、フィルム45および46の周囲に形成された溶接ビードである。
【0041】
フィルム45および46ならびに液体用コネクタ2に加えて、バッグ11は、パイプ4を形成するための空気剤用コネクタ5を含む。
【0042】
バッグ11の寸法は、シェル13および14の表面15および17、ならびにシート30の表面39の寸法に対応する。
【0043】
バッグ11は、バッグ11の面のうちの1つがシェル13の面(この面は表面15およびチャネル16を有する)と接触し、バッグ11の別の面がシェルの面30(この面は表面39を呈する)と接触している状態で、シェル13および14によってクランプ締めされるように意図される。
【0044】
図1は、表面15および39がバッグ11と接触しているが、シェル13および14は互いにクランプ締めされていない(閉鎖前位置)状態で、シェル13および14の間の所定位置にあるバッグ11を示す。
【0045】
バッグ11はその後、膨張させられる。液体用コネクタ2は閉塞させられ、空気剤がその目的のために設けられたコネクタ5によって注入される。
【0046】
バッグ11の膨張の効果は、フィルム45および46が、表面15およびチャネル16を呈するシェル13の面、ならびに表面39およびチャネル18を呈するシート30の面と、それぞれ適合することである。
【0047】
圧迫部10はその後閉鎖され、これは言い換えると、シェル13および14が、バッグ11を間に挟みながら、互いに強く押しつけられるということである(バッグ11がシェル13および14の間でクランプ締めされる閉鎖位置)。
【0048】
フィルム45および46はその後、図2に示されるように、楕円形輪郭のパイプ4を形成するチャネル16および18に隣接して、表面15およびチャネル16を呈するシェル13の面、ならびに表面39およびチャネル18を呈するシート30の面に対して押しつけられる。
【0049】
圧迫部10およびバッグ11はその後、稼働のために配置される準備が整った生体液を処理するための回路1を形成する。
【0050】
図面を簡素化するために、シェル13および14が図1および図2に示されているが、しかし上述のように、図1に示される閉鎖前位置において、シェル13および14は互いにクランプ締めされていない。
【0051】
圧迫部10およびバッグ11によって形成された回路内で処理すべき生体液が汚染から保護されなければならないとき、バッグ11には、液体用コネクタおよび空気剤用コネクタの各々における所定位置に、閉塞栓が設けられ、これはたとえばガンマ線放射によって滅菌される。バッグ11内に注入される空気剤は、純化されている。
【0052】
たとえば、空気剤は、膨張しているコネクタ5に接続された、Millipore社より入手可能なAERVENT(R)などの疎水性フィルタによって純化された圧縮空気である。
【0053】
センサ22は、パイプ4と接触しているその遠位末端(感受性末端)を有する。各センサ22は、たとえばその温度またはその圧力など、その遠位末端が接触しているパイプ4内を流れる液体の物理化学特性を知ることができるようにする。
【0054】
各アクチュエータ21は、その位置での液体の通過を許容または妨害するために、パイプ4がその可動膜24とシェル13との間で挟持されることを可能にする。
【0055】
パイプ4を挟持するために、弁20は、可動膜24がパイプ4を挟持しない後退位置にある開放位置(図2に表示)から、可動膜24が、パイプ4を挟持する、前記膜24の空気膨張によって延伸した位置にある、その閉鎖位置(図3に表示)に、遷移する。
【0056】
膜24は、延伸したときに、シェル13の成形チャネル16に向かってパッド31を押す。
【0057】
このため、パッド31は、その第二面33が凹状であって、挟持すべきパイプ4のシェル14の成形チャネル18を局所的に区切る、その静止形態から、その第二面33が凸状であって、パイプ4およびパッド31の場所におけるバッグ11のフィルム45および46が挟持すべきパイプ4のシェル13の成形チャネル16と可動空気挟持膜24との間に挟まれている、挟持形態に、遷移する。
【0058】
その圧縮性の結果、パッド31は、膨張した膜24とシェル13の成形チャネル16との間の可能な形状の違いが作り出されることを可能にする。
【0059】
弾性圧縮性パッド31の結果、パイプ4の2つのフィルム45および46は、こうして互いに対して封止的に適用され、液体はもはやパイプ4内を流れることができない。
【0060】
図4から図13を用いて、ピンチ弁の第二の実施形態が以下に記載される。
【0061】
圧迫部10の場合と同じように、圧迫部110は、各々が剛性材料の中実ブロックで形成されている、2つの平行六面体シェル113および114を含む。
【0062】
シェル113および114は、その後回路100のパイプ104を形成するように各々がほぼ管状の、空洞のネットワーク103を区切るために、図1から図3のシェル13および14と類似の構成を有する。
【0063】
このために、シェル113は、ここでは平坦な、基準面115、および表面115内に凹んでいる複数の成形チャネル116を有する。
【0064】
シェル114は、基準面117、および表面117に対して凹んでおり、各々が対応する成形チャネル116に対向している、成形チャネル118を有する。
【0065】
通常、表面115および117は類似の寸法を有し、成形チャネル118の配置は成形チャネル116の配置の鏡像である。
【0066】
チャネル116および118は、半楕円形断面になっている。
【0067】
シェル113および114に加えて、圧迫部110は、シェル114上のピンチ弁120を含み、これはパイプ104を挟持するためのアクチュエータ121を含む。
【0068】
アクチュエータ121は各々、シェル114に固定される本体123と、弁120が開放位置にあるときに後退位置を有し、弁120が閉鎖位置にあるときに延伸位置を有する、可動挟持指状部124と、を含む。
【0069】
本体123は、空気室126、ピストン127、およびシェル内に収容されたバネ129が設けられた収容部128を含み、バネ129はピストン127および指状部124を連結するロッドを包囲している。
【0070】
空気室126は、圧力の下にあるときに、バネ129に対してピストン127を付勢する。ピストン127がそのストロークの末端にあるとき、指状部124は後退位置にある(図4および図5)。
【0071】
空気室126が大気圧にあるとき、バネ129はピストン127を、ストロークの末端の他方の位置に向かって付勢する。ここに到達したとき、可動指状部124は延伸位置にある(図6)。
【0072】
その遠位末端において、可動指状部124は、シェル113の成形チャネル116のプロファイルのような形状になっている。
【0073】
延伸位置において、可動指状部124は、チャネル118のうちの1つの内部に向かって突起する。
【0074】
弁120は、可動指状部124と一致して、弾性圧縮性パッド131をさらに含み、このパッド131は、一体成形されたシリコンの個別局所プレート130の一部(図10から図13に単独で示される)を形成する。
【0075】
パッド131は、可動指状部124に最も近い第一面132、および挟持すべきパイプ104に最も近い第二面133を有する。
【0076】
パッド131の第二面133は凹状であり、シェル114の成形チャネル118を局所的に区切る。
【0077】
図7から図9によりわかりやすく示されるように、シェル114は、湾曲中心部161および2つの平坦側方部162を有する、凹状収容部160を含む。
【0078】
湾曲中心部161は、可動挟持指状部124を通過させられるようになっている中心の切り取り部163と、中心部161の縁に位置する2つの同一の開口164とを有する。
【0079】
図10から図13によりわかりやすく示されるように、パッド131は、プレート130の弓状中心部を形成し、これは前記中心部を包囲する平坦側壁171および弓状横断壁172を含む。
【0080】
プレート130の各平坦側壁は、シェル114内の収容部160の平坦側方部162上に位置し、各弓状横断壁172は、シェル114内の収容部160の湾曲中心部161上に位置する。
【0081】
このため、パッド131もまた、シェル114の収容部160の湾曲中心部161上に位置する。
【0082】
これがシェル114上に固定されるために、プレート130は、各弓状横断壁172から表面117およびチャネル118を呈するシェル114の面に向かって延在する、固定ラグ173を含む。
【0083】
これらのラグ173は、シェル114の対応する開口164内に形状の補完性によって固定される。
【0084】
バッグ111は、閉鎖輪郭を区切るシールによって互いに取り付けられた、2つの可撓性フィルム145および146を含む。
【0085】
バッグ111ならびにフィルム145および146は、図1から図3のバッグ11ならびにフィルム45および46と同じタイプである。
【0086】
さらに、パイプ104は、図1から図3のパイプ4と同じように形成されている。
【0087】
バッグ111の寸法は、シェル113および114の基準面115および117の寸法に対応する。
【0088】
図4は、表面117がバッグ111と接触しているが、シェル113および114は互いにクランプ締めされていない状態で、シェル113および114の間の所定位置にあるバッグ11を示す。
【0089】
バッグ111はその後膨張させられるが、膨張の効果は、フィルム145および146が、表面115およびチャネル116を呈するシェル113の面、ならびにパッド131の第二面133と、それぞれ適合することである。
【0090】
圧迫部110は、シェル113および114が、バッグ111を間に挟みながら互いに強く押しつけられるように、その後閉鎖される。
【0091】
フィルム145および146はその後、図5に示されるように、楕円形輪郭のパイプ104を形成するチャネル116および118に隣接して、表面115およびチャネル116を呈するシェル113の面、ならびにパッド131の第二面133に対して押しつけられる。
【0092】
圧迫部110およびバッグ111はその後、稼働のために配置される準備が整った生体液を処理するための回路100を形成する。
【0093】
図面を簡素化するために、シェル113および114が図4および図5の同じ位置に示されているが、しかし上述のように、図4に示される閉鎖前位置において、シェル113および114は互いにクランプ締めされていない。
【0094】
アクチュエータ121は、その位置での液体の通過を許容または妨害するために、パイプ104がその可動指状部124とシェル113との間で挟持されることを可能にする。
【0095】
パイプ104を挟持するために、弁120は、可動指状部124がパイプ104を挟持しない後退位置にあるその開放位置(図5)から、可動指状部124がパイプ104を挟持する延伸位置にあるその閉鎖位置(図6)に、遷移する。
【0096】
指状部124は、延伸したときに、シェル113の成形チャネル116に向かってパッド131を押す。
【0097】
このため、パッド131は、その第二面133が凹状であって、挟持すべきパイプ104のシェル114の成形チャネル118を局所的に区切る、静止形態から、その第二面133が凸状であって、パイプ104およびパッド131が挟持すべきパイプ104のシェル113の成形チャネル116と可動挟持指状部124との間に挟まれている、挟持形態に、遷移する。
【0098】
図示されない変形例において、挟持すべきパイプは円形輪郭を有する。
【0099】
図4から図13に示される例において、アクチュエータ121の可動挟持部材124は、その末端に肥厚縁を有する。変形例として、アクチュエータの可動部材は、たとえば面取り末端による、薄縁を有する。
【0100】
図示されない変形例において、バッグの膨張は、バッグのクランプ締めの後、または部分的にバッグのクランプ締めの前および部分的にその後に、実行される。
【0101】
図示されない変形例において、流体を経路指定するためのネットワークのパイプは予備成形され、フィルムの溶接は、バッグが前記シェルの間にクランプ締めされる前に実行される。
【0102】
図示されない変形例において、同じシェル全体に分散されるよりむしろ、ある物理化学値の1つまたは複数のセンサおよびパッドは異なるシェル上に設けられる、および/またはセンサは設けられない。
【0103】
図示されない別の変形例において、
一体である代わりに、シェルは、回路の異なる部分を区切るために、互いに結合された1組のモジュール部材によって形成され、部材には、これらが互いに対して正確に配置されることを確実にするための記号または標識が設けられ、記号および標識は、たとえば参照番号またはコードを含み、可能であればRFIDタイプである。
シェルは、たとえばアルミニウム、特に高密度を有するプラスチック、セラミック、または木など、ステンレス鋼以外の材料でできており、
バッグのフィルムはPureFlex(TM)フィルム以外の材料、たとえばHyclone Industries社より入手可能なフィルムであるHyQ(R)CX5−14、またはロンザ(Lonza)社より入手可能なフィルムであるPlatinum UltraPacなど、生体液と適合性のあるいくつかの層を備える別のフィルムでできており、
124などの指状部を作動させるのに役立つ単動式空気ジャッキは複動式空気ジャッキに置き換えられ、および/またはジャッキはたとえば電気など、空気式以外のものであり、
パッドは一体成型品ではない。
【0104】
より一般的には、本発明は、記載され提示される例に限定されるものではないことは、特筆すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコネクタ(2)と、前記コネクタの間で液体を経路指定するためのネットワーク(3;103)とを含む生体液用回路であって、
2つの可撓性フィルム(45、46;145、146)および前記経路指定ネットワークコネクタ(2)を含むバッグ(11;111)と、
前記液体経路指定ネットワーク(3;103)のパイプ(4;104)が前記フィルム(45、46;145、146)の間に形成されている状態で前記バッグ(11;111)をクランプ締めする第一シェル(14;114)および第二シェル(13;113)を含む圧迫部(10;110)であって、前記第一シェル(14;114)は各前記パイプ(4;104)のために成形チャネル(18;118)を含み、前記第二シェル(13;113)は各前記パイプ(4;104)のために第一シェル(14;114)の対応する成形チャネル(18;118)に対向する成形チャネル(16;116)を含む、圧迫部(10;110)とを含み、
前記第一シェル(14;114)は前記パイプ(4;104)のために少なくとも1つのピンチ弁(20;120)を含み、この弁(20;120)は可動挟持部材(24;124)を含むアクチュエータ(21;121)を含み、この弁(20;120)は、可動部材(24;124)がパイプ(4;104)を挟持しない後退位置にある開放位置を有するとともに、可動部材(24;124)がパイプ(4;104)を挟持する延伸位置にある閉鎖位置を有し、
前記弁(20;120)は、前記可動挟持部材(24;124)と一致して、弾性圧縮性パッド(31;131)をさらに含み、このパッド(31;131)は可動部材(24;124)に最も近い第一面(32;132)と、挟持すべきパイプ(4;104)に最も近い第二面(33;133)とを有し、このパッド(31;131)は、弁(20;120)が開放位置にあるときに、前記第二面(33;133)が凹状であって、挟持すべきパイプ(4;104)の第一シェル成形チャネル(18;118)を局所的に区切る、静止形態を有し、弁(20;120)が閉鎖位置にあるときに、前記第二面(33;133)が凸状であって、前記パイプ(4;104)および前記パッド(31;131)が挟持すべきパイプ(4;104)の第二シェル成形チャネル(16;116)と可動挟持部材(24;124)との間に挟まれている、挟持形態を有することを特徴とする、回路。
【請求項2】
前記挟持すべきパイプ(4;104)が、楕円形輪郭を有することを特徴とする、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記パッド(31)が、いくつかのパイプ(4)を覆う共通シート(30)の一部を形成することを特徴とする、請求項1および2のいずれか一項に記載の回路。
【請求項4】
前記共通シート(30)が、パッド(31)の近くに少なくとも1つの硬化突起(38)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の回路。
【請求項5】
前記パッド(131)が、個別局所プレート130の一部を形成することを特徴とする、請求項1および2のいずれか一項に記載の回路。
【請求項6】
前記パッド(131)が前記局所個別プレート(130)の中心部を形成し、これは前記中心部を包囲する側壁(171)および横断壁(172)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の回路。
【請求項7】
前記第一シェル(114)が、前記パッド(131)を少なくとも部分的に受容するようになっている、凹状収容部(160)を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の回路。
【請求項8】
前記パッド(31;131)が、前記第一シェル(14;114)に固定されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の回路。
【請求項9】
前記パッド(31;131)が、前記第一シェル(14;114)の対応する開口(36、37;164)内に形状の補完性によって固定されている固定ラグ(34、35;173)を含むことを特徴とする、請求項8に記載の回路。
【請求項10】
前記パッド(31;131)が、一体に成型された弾性圧縮性可撓性プラスチックで形成されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の回路。
【請求項11】
前記パッド(31;131)がシリコンでできていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の回路。
【請求項12】
アクチュエータ(21)の可動部材が、前記パッド(31)を第二シェル成形チャネル(16)に向かって押すようになっている空気膜(24)を含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の回路。
【請求項13】
アクチュエータ(121)の可動部材が、第二シェル成形チャネル(116)のような形状の末端を有する指状部(124)を含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の回路。
【請求項14】
少なくとも1つの前記シェル(14)が、物理化学量の少なくとも1つのセンサ(22)を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の回路。
【請求項15】
前記センサ(22)および前記パッド(31)が前記第一シェル(14)上に設けられていることを特徴とする、請求項14に記載の回路。
【請求項1】
複数のコネクタ(2)と、前記コネクタの間で液体を経路指定するためのネットワーク(3;103)とを含む生体液用回路であって、
2つの可撓性フィルム(45、46;145、146)および前記経路指定ネットワークコネクタ(2)を含むバッグ(11;111)と、
前記液体経路指定ネットワーク(3;103)のパイプ(4;104)が前記フィルム(45、46;145、146)の間に形成されている状態で前記バッグ(11;111)をクランプ締めする第一シェル(14;114)および第二シェル(13;113)を含む圧迫部(10;110)であって、前記第一シェル(14;114)は各前記パイプ(4;104)のために成形チャネル(18;118)を含み、前記第二シェル(13;113)は各前記パイプ(4;104)のために第一シェル(14;114)の対応する成形チャネル(18;118)に対向する成形チャネル(16;116)を含む、圧迫部(10;110)とを含み、
前記第一シェル(14;114)は前記パイプ(4;104)のために少なくとも1つのピンチ弁(20;120)を含み、この弁(20;120)は可動挟持部材(24;124)を含むアクチュエータ(21;121)を含み、この弁(20;120)は、可動部材(24;124)がパイプ(4;104)を挟持しない後退位置にある開放位置を有するとともに、可動部材(24;124)がパイプ(4;104)を挟持する延伸位置にある閉鎖位置を有し、
前記弁(20;120)は、前記可動挟持部材(24;124)と一致して、弾性圧縮性パッド(31;131)をさらに含み、このパッド(31;131)は可動部材(24;124)に最も近い第一面(32;132)と、挟持すべきパイプ(4;104)に最も近い第二面(33;133)とを有し、このパッド(31;131)は、弁(20;120)が開放位置にあるときに、前記第二面(33;133)が凹状であって、挟持すべきパイプ(4;104)の第一シェル成形チャネル(18;118)を局所的に区切る、静止形態を有し、弁(20;120)が閉鎖位置にあるときに、前記第二面(33;133)が凸状であって、前記パイプ(4;104)および前記パッド(31;131)が挟持すべきパイプ(4;104)の第二シェル成形チャネル(16;116)と可動挟持部材(24;124)との間に挟まれている、挟持形態を有することを特徴とする、回路。
【請求項2】
前記挟持すべきパイプ(4;104)が、楕円形輪郭を有することを特徴とする、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記パッド(31)が、いくつかのパイプ(4)を覆う共通シート(30)の一部を形成することを特徴とする、請求項1および2のいずれか一項に記載の回路。
【請求項4】
前記共通シート(30)が、パッド(31)の近くに少なくとも1つの硬化突起(38)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の回路。
【請求項5】
前記パッド(131)が、個別局所プレート130の一部を形成することを特徴とする、請求項1および2のいずれか一項に記載の回路。
【請求項6】
前記パッド(131)が前記局所個別プレート(130)の中心部を形成し、これは前記中心部を包囲する側壁(171)および横断壁(172)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の回路。
【請求項7】
前記第一シェル(114)が、前記パッド(131)を少なくとも部分的に受容するようになっている、凹状収容部(160)を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の回路。
【請求項8】
前記パッド(31;131)が、前記第一シェル(14;114)に固定されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の回路。
【請求項9】
前記パッド(31;131)が、前記第一シェル(14;114)の対応する開口(36、37;164)内に形状の補完性によって固定されている固定ラグ(34、35;173)を含むことを特徴とする、請求項8に記載の回路。
【請求項10】
前記パッド(31;131)が、一体に成型された弾性圧縮性可撓性プラスチックで形成されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の回路。
【請求項11】
前記パッド(31;131)がシリコンでできていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の回路。
【請求項12】
アクチュエータ(21)の可動部材が、前記パッド(31)を第二シェル成形チャネル(16)に向かって押すようになっている空気膜(24)を含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の回路。
【請求項13】
アクチュエータ(121)の可動部材が、第二シェル成形チャネル(116)のような形状の末端を有する指状部(124)を含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の回路。
【請求項14】
少なくとも1つの前記シェル(14)が、物理化学量の少なくとも1つのセンサ(22)を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の回路。
【請求項15】
前記センサ(22)および前記パッド(31)が前記第一シェル(14)上に設けられていることを特徴とする、請求項14に記載の回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−516974(P2013−516974A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548506(P2012−548506)
【出願日】平成23年1月10日(2011.1.10)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050089
【国際公開番号】WO2011/086488
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(504115013)イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン (33)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月10日(2011.1.10)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050089
【国際公開番号】WO2011/086488
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(504115013)イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン (33)
【Fターム(参考)】
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