説明

生体組織の刺激のための器具および方法

生体組織内に集中電流を生成するための器具を提供する。該器具は、組織領域にわたって電場を生成することが可能な電源と、該電場に対する該組織の誘電率を変化させる手段であって、それによって、変位電流が生成される手段とを備える。該誘電率を変化させるための該手段は、化学源、光源、機械源、熱源、または電磁波源であり得る。一実施形態では、器具は、組織の誘電率を変化させるための機械的手段として、超音波源を実装する。別の実施形態では、器具は、電場に対する組織の伝導率を変化させるための手段であって、それによって、オーム電流が変化する手段をさらに含む。例示的な一実施形態では、器具は、広範な組織領域または組織全体に、電場を生成することが可能な電源を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2006年6月19日に出願された米国仮特許出願第60/814,843号の利益を請求する。米国仮特許出願第60/814,843号の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、生体物質内の印加電場または印加電流源の存在下で、電流を変化させる分野に関し、より具体的には、生体組織を刺激するために、印加電場に対して、機械、電気、光、化学、および/または熱手段を介して、局部組織の誘電率を変化させることによって、生きた組織内に変位電流を生成するための方法と器具とに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術の情報)
多くの臨床的応用、ならびに臨床および一般生物学的研究に、ヒトおよび他の動物内の生きた組織の電気刺激を使用する。特に、パーキンソン病、うつ病、および難治性疼痛を含む様々な疾病の治療に、神経組織の電気組織を使用してきた。脳の集中刺激は、通常、頭がい骨の一部を切除するための手術の施術、および脳組織内の特定部位への電極の埋め込みを伴う。これらの処置の侵襲的性質は、それらの困難かつ費用のかかるものにし、またかなり高い罹患率の原因である。あるいは、経頭蓋直流刺激および経頭蓋磁気刺激等の非侵襲性刺激方法論は、埋め込みが容易であり、著しい罹患率を伴わないが、刺激される領域は大きく、一般的に十分に特徴付けられず、脳組織の生来の、または病理学的な特徴によって、著しい摂動を受け得る。近年、成果はわずかだが、脳組織の超音波刺激の研究が行われている。
【0004】
生体組織刺激のために電流を生成するための方法は、多く存在する。これらの方法は、組織内に電源を埋め込むステップから、時間的に変化する磁場を介して、組織内に電流を誘導的に生成するステップに及ぶ。組織内に電流を生成するための一般的な方法は、組織内に電流源を埋め込む方法である。この方法の実施例は、例えば、Barreras,Sr.らによる特許文献1、Riseによる特許文献2、Paltiによる特許文献3、およびBourgeoisらによる特許文献4に説明される。また、組織内に電流を誘導する外部磁場を介して等、組織の外部源によって組織内に電流を生成することも可能である。この方法は、例えば、Edrichらによる特許文献5、Chaneyによる特許文献6、Thomasらによる特許文献7に示される。電磁放射線を行う別の実施例は、Paltiによる特許文献8に示される。電流が、刺激される組織領域の表面にある他の組織を通じて減衰するような、組織と外部接触して配置される電源を介して生成される電流を用いる方法は、Rossenによる特許文献9、およびHyrmanによる特許文献10に説明される。これらの技術はどれも、印加電場の存在下での誘電率の摂動を介して、電流を生成しない。そのようなものとして、これらの技術は、侵襲性、局所性、浸透性、および/または費用のレベルの限界に悩まされる。
【0005】
生体組織刺激の領域において、変化した変位電流の生成のために場を組み合わせる概念は、比較的議論されていない。脳刺激の領域では、例えば、正および負イオンが、イオンが超音波の影響下で移動する直交磁場の領域で分離するように、「神経組織内のイオン化した粒子、特に電子が流動する」、Edrichらによる特許文献11にあるような「ホール効果刺激」の領域で、超音波技術を用いて磁場が研究されてきた。この方法は、組織の誘電率の修正によって、変位電流を生成しようとする試みはなく、むしろ、移動イオンへの磁場の印加を介した、局所的イオン分離に過ぎない。現代の医療処置に使用される磁場の力では、この技術は、刺激に対する効果がない。Rutten,et al.(1996)を参照。また、脳刺激の領域では、Yamashiroによる特許文献12が、組織に集中する光子場によって、磁場のエネルギー移動を増強するための方法を提案しているが、組織の誘電率の摂動を介して、変位電流を生成しようとする試みはない。さらに、脳刺激の領域では、Gluckによる特許文献13(以下、「Gluck」)が、ニューロンの膜電位を、細胞の静止電位とは著しく異なる静的値、および異なる能動的脱分極状態に変化させるために、超音波場および/またはマイクロ波場の組み合わせによる磁場の使用を提案している。Gluckは、磁場によって誘導される電流が、変化した伝導率の経路を流れ得るように、超音波を介した組織の伝導率の修正を提案している。また、Gluckは、磁場によって生成される場の内外に神経を押すために、超音波の使用も提案している。Gluckは、どの神経が磁場(または電流)に曝露されるかを変化させる方法を実行するため、Gluckの磁気による方法は、その結果生じる電流の減衰によって効率の低下に悩まされる。
【0006】
さらに、Gluckは、神経への非可逆性変化をもたらし得るように、マイクロ波および超音波場を組み合わせる方法を提案している。非特許文献1を参照。本開示は、これらの安全性に関する懸念に悩まされず、そのような高周波電場の使用を必要とすることによって、神経損傷を引き起こさない。さらに、本明細書に開示される発明は、休止および活性のはっきりと異なる状態を示す神経組織のみへの適用に制約されず、したがって、ほとんどすべての神経活動を特徴付ける活動電位を動的に変化させるために、また動的発火特性を有するニューロンに対して適切であろう。
【0007】
Mischeによる特許文献14、およびElstromらによる特許文献15等、電流フローを適合させるために、組織の伝導率を変化させるための他の方法が提案されてきたが、同様に、これらの方法は、組織の電磁特性の修正によって、新しい電流の構成要素を生成する方法を提供していない。
【0008】
他の研究は、複合場で神経刺激に影響を与えるための技術を提案してきたが、すべて、技術が刺激に対して変位電流を生成しようと試みず、他の手段によって刺激に影響を与えようと試みるという点において、固有の限界に悩まされる。非特許文献2(以下、「Rutten」);非特許文献3(以下、「Mihran」);および非特許文献4(以下、「Fry」)を参照。
【0009】
MihranおよびRuttenは、神経要素内でイオン伸張受容器を変化させることに重点を置いている。したがって、電場および機械場の適切な組み合わせによる、変位電流の生成に重点を置かないため、これらの研究は、適用性および有効性が制限されている。より具体的には、Mihranの研究は、神経上の伸張受容器の効果を検査するために、超音波を電気刺激と組み合わせる。Mihranは、刺激に対して新しい電流を生成しようという試みはない。Mihranは、電場および機械場を意図的に分離する。Ruttenが最も重点を置くことは、超音波および経頭蓋磁気刺激(TMS)を組み合わせることであるが、研究は、Mihranと同様に、伸張受容器の効果を分析するために、電気刺激および超音波を試みている。Ruttenは、新しい電流の構成要素の生成のために、効果を組み合わせるか、あるいは加圧刺激電流を何らかの方法で変化させる試みはない。
【0010】
Fryは、超音波を介して組織の伝導率を修正することによって、脳内の電流変化を生成する、したがって、伝導率の変化によってのみ神経刺激を促進する方法に関する考えを示している。Fryは、脳表面に配置される超音波および電極の使用に基づいた、理論的、擬似侵襲的方法を提案している。方法は、脳表面の電極によって生成される電流を変化させるために、超音波から生成される温度/圧力変化を介した、組織の伝導率の変化に基づく。恐らく理論が多くの制約によって制限されるため、方法は、神経刺激に有効であると示されたことが一度もない。より高い周波数の電場で生成される電流を変化させるために、組織の伝導率のみを修正することに重点を置くため、刺激に対して必要とされる電源強度は、尋常ではない。したがって、方法は、曝露された脳表面上に配置されなければならない電極、または頭皮表面に配置された場合、経頭蓋電気刺激(TES)および電気けいれん療法(ECT)の限界に悩まされるであろう、はるかに強い電流源、すなわち、頭皮表面上の疼痛受容器を活性化する電流強度、または頭皮のやけどを引き起こす恐れのある、刺激に対して必要な強度を有する電流強度を必要とする。また、この理論上の刺激に対して必要な超音波強度は、組織内の温度上昇、組織の空洞化、および組織切除の可能性を含む懸念が生じるほど、振幅が大きい。したがって、これらの安全性の限界は、頭皮または脳の表面上の電極のいずれかを用いて、任意の時間この種の刺激を印加することを不可能にする。
【0011】
生体組織内で相互に関係する機械場および電場の概念は、電気音響、熱音響、およびホール効果を用いた、Wen,et al.による特許文献16、およびWenによる特許文献17に説明されるような画像化を求めて、研究されてきた。これらの方法は、生体組織刺激に対して組み合わせた方法ではなく、他の情報を収集するために1つの物理場を使用することに重点が置かれる。
【0012】
従来技術は、生体組織刺激のために、印加電場に対する誘電率の摂動を介して、容量性電流、すなわち、変位電流を生成しようとする試みはない。したがって、生体組織を刺激するために、印加電場に対する機械的手段を介して、局部組織の誘電率特性を変化させることによって、生きた組織内に変位電流を生成させるための、改善された器具および方法が必要であることは、上記から明らかである。侵襲性がより少なく、改善された局所性を有する局部組織の誘電率を変化させることによって、生体組織を刺激するための改善された方法が必要であることは、明らかである。さらに、電流が、経路内で変化される方法、またはどの神経が磁場に曝露されるかを変化させる方法とは対照的に、実電流が生成される器具および方法が必要であることも、明らかである。また、磁気および電気による方法を用いて行われる間、その結果生じた電流減衰および効率の低下なしに、組織境界の下に電流を生成する必要があることも、明らかである。高周波電磁場、高強度電磁場、および/または高強度超音波場の使用を必要とすることによって、神経または組織の損傷を引き起こさない安全な方法が必要であることは、明らかである。また、刺激中に疼痛受容器を活性化する場強度を必要としない、耐えられる方法が必要であることも、明らかである。さらに、休止および活性のはっきりと異なる状態を示す神経組織にのみへの適用に制約されず、したがって、ほとんどすべての神経活動を特徴付ける活動電位を動的に変化させるために、また動的発火特性を有するニューロンに対して、適切となるであろう器具および方法が必要であることも、明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,895,416号明細書
【特許文献2】米国特許第6,128,537号明細書
【特許文献3】米国特許第7,146,210号明細書
【特許文献4】米国特許第6,091,992号明細書
【特許文献5】米国特許第6,066,084号明細書
【特許文献6】米国特許第5,061,234号明細書
【特許文献7】米国特許第6,234,953号明細書
【特許文献8】米国特許第7,146,210号明細書
【特許文献9】米国特許第4,989,605号明細書
【特許文献10】米国特許第4,709,700号明細書
【特許文献11】米国特許第5,476,438号明細書
【特許文献12】米国特許第6,520,903号明細書
【特許文献13】米国特許第5,738,625号明細書
【特許文献14】米国特許第6,764,498号明細書
【特許文献15】米国特許第6,887,239号明細書
【特許文献16】米国特許第6,645,144号明細書
【特許文献17】米国特許第6,520,911号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Donald I.McRee,Howard Wachtel,Pulse Microwave Effects on Nerve Vitality,Radiation Research,Vol.91,No.1(Jul.,1982)
【非特許文献2】Rutten,W.L.C,E.Droog et al.;The influence of ultrasound and ultrasonic focusing on magnetic and electric peripheral nerve stimulation,J.Nilsson,M.Panizza and F.Grandori;Pavia Advances in Magnetic Stimulation,Mathematical Modeling and Clinical Applications.,Italy.2:152.(1996)
【非特許文献3】Mihran,R.T.,F.S.Barnes et al.,Temporally−Specific Modification of Myelinated Axon Excitability in Vitro Following a Single Ultrasound Pulse. Ultrasound Med Biol 16(3):297−309.(1990)
【非特許文献4】Fry,W.J.,Electrical Stimulation of Brain Localized Without Probes−Theoretical Analysis of a Proposed Method,J Acoust Soc Am 44(4):919−31.(1968)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
したがって、本発明は、生体組織内に電流を生成するための器具を提供する。本開示に従った器具は、組織領域にわたって電場を生成することが可能な電源と、電場に対する組織の誘電率を変化させるための手段であって、それによって、電場に対する組織の誘電率の変化が、組織内に変位電流を生成する手段とを含む。誘電率を変化させるための手段は、化学源、光源、機械源、熱源、または電磁波源を含み得る。一実施形態では、器具は、組織の誘電率を変化させるための機械的手段として、超音波源を実装する。別の実施形態では、器具は、電場に対する組織の伝導率を変化させるための手段であって、それによって、オーム電流が変化する手段をさらに含む。
【0016】
例示的な一実施形態では、器具は、広範な組織領域または組織全体に、電場を生成することが可能な電源を含む。また、器具は、組織の小領域に集中する機械場を生成する超音波装置も含み、それによって、電場と機械場との複合効果は、組織の電磁特性の変化を介して、組織の小領域内に新しく生成された変位電流で、変化した電流を生成する。
【0017】
特定の結果を得るために、本開示に従った電源を様々な方法で印加し得る。例えば、電源は、パルス場、時間的に変化する場、時間的に変化するパルスシーケンス場、または時間的に変わらない場を生成し得る。さらに、誘電率を変化させるための手段は、パルス信号、時間的に変化する信号、または時間的に変化するパルスシーケンス信号であり得る。組織の誘電率を変化させるための電源および/または手段は、非侵襲的に印加し得る。例えば、特定の組織、組織、または隣接した組織に印加されるように、電極を構成し得る。一代替方法として、特定の組織、組織、または隣接した組織内に、電源を埋め込み得る。概して、電源は、約DCから約100,000Hzの周波数を有する電流である。
【0018】
例示的な一実施形態では、治療目的で、電場は広範に印加され、手段は、特定の脳構造または複数の構造に集中される。電場は、広範に印加され得て、背外側前頭前皮質、大脳基底核のいかなる構成要素、側坐核、腹部核、脳幹、視床、下丘、上丘、中脳水道周囲灰白質、一次運動野、補足運動野、後頭葉、ブロードマン領野1〜48、一次感覚野、一次視覚野、一次聴覚野、へんとう体、海馬、蝸牛、脳神経、小脳、前頭葉、後頭葉、側頭葉、頭頂葉、皮質下構造、末梢神経、および/または脊髄を含む、脳または神経組織等の、1つの構造、または複数の構造に集中され得る。
【0019】
器具および方法は、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、失調、チック、脊髄損傷、外傷性脳損傷、薬物渇望、食品渇望、アルコール渇望、ニコチン渇望、吃音、耳鳴、痙性、パーキンソン病、パーキンソニズム、うつ病、強迫観念、精神分裂病、双極性障害、急性躁病、緊張病、心的外傷後ストレス障害、自閉症、慢性疼痛症候群、幻肢痛、てんかん、発作、幻覚、運動障害、神経変性障害、疼痛性障害、代謝性障害、嗜癖障害、精神障害、外傷性神経損傷、および感覚障害を含む様々な病気の治療に役立ち得る。同様に、電場および誘電率を変化させるための手段は、感覚増強、感覚変化、麻酔導入および維持、脳マッピング、てんかんマッピング、術前計画、神経プロテーゼの神経系との相互作用または制御、発作および外傷の神経リハビリテーション、膀胱制御、呼吸補助、心臓ペーシング、筋刺激、ならびに片頭痛、ニューロパシー、および下背部痛に起因するもの等の疼痛症候群、または慢性膵炎もしくは癌等の内臓疾病の治療等の処置を実行するために、特定の脳構造に集中され得る。
【0020】
別の実施形態では、本開示に従った器具は、組織領域にわたって電場を生成することが可能な電源と、電場に対する組織の誘電率を変化させるための手段であって、それによって、変位電流が生成される手段とを含む。器具は、電場に対する組織の伝導率を変化させるための手段であって、それによって、オーム電流が変化する手段をさらに含む。
【0021】
生体組織を刺激するための方法も提供する。方法は、生体組織に電源を印加するステップと、電場に対する組織の誘電率を変化させるための手段を印加することによって、電源に対する組織の誘電率を変化させるステップとを含む。電場に対する組織の誘電率の変化は、組織内に変位電流を生成する。誘電率を変化させるための手段は、化学源、光源、機械源、熱源、または電磁波源を含む様々な電源であり得る。例えば、組織を機械で変化させるために、超音波源等の機械源を印加し得る。組織は、神経組織、内分泌組織、電気的受容組織、筋肉組織、結合組織、または骨格組織であり得る。さらなる実施形態では、器具は、電場に対する組織の伝導率を変化させるための手段であって、それによって、オーム電流が変化する手段をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
添付の図面と合わせて、本発明の実施形態の説明を参照することによって、本発明の上述および他の特性および目的、ならびにそれらを実現する方法は、より明らかとなり、本発明自体も、よりよく理解されるであろう。
【図1】本開示の原理に従って構成された、生体組織を刺激するための器具の一実施形態の平面図である。
【図2】本開示の原理に従って構成された、生体組織を刺激するための器具の例示的な実施形態の上面図である。
【図3】本開示の原理に従って構成された、誘電率を変化させるための化学源を実装する、生体組織を刺激するための器具の、例示的な実施形態の上面図である。
【図4】本開示の原理に従って構成された、誘電率を変化させるための放射源を実装する、生体組織を刺激するための器具の、例示的な実施形態の上面図である。
【図5】本開示の原理に従って構成された、誘電率を変化させるための光ビームを実装する、生体組織を刺激するための器具の、別の例示的な実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(発明の実施形態の詳細な説明)
生体組織を生体内で刺激するために、電場を生成するために身体上に配置される電源と電場に対する組織の誘電率を変化させるための手段であって、それによって、電場に対する組織の誘電率の変化が、組織内に変位電流を生成する手段とを備える本開示を使用し得ることが、想定される。神経刺激の領域に、開示される器具および方法の例示的な実施形態を用いることができ、増幅された電流、集中した電流、方向が変化した電流、および/または減衰した電流を、ニューロンの直接刺激、ニューロンの脱分極、ニューロンの過分極、神経膜電位の修正、神経細胞の興奮性レベルの変化、および/または神経細胞発火の可能性の変化を介して、神経活動を変化させるために使用し得る。同様に、心刺激を含む筋肉刺激の領域にも、生体組織を刺激するための方法を用いることができ、増幅された電流、集中した電流、方向が変化した電流、および/または減衰した電流を、直接刺激、筋細胞の脱分極、筋細胞の過分極、膜電位の修正、筋細胞の興奮性レベルの変化、および/または細胞発火の可能性の変化を介して、筋肉活動を変化させるために使用し得る。同様に、細胞代謝、理学療法、薬物送達、および遺伝子治療の領域に、本開示を用いることができることが想定される。
【0024】
本開示の詳細な実施形態が本明細書に開示されるが、当然のことながら、記載される実施形態は、本開示の例に過ぎず、様々な形で具体化し得る。したがって、本明細書に開示される具体的な機能の詳細は、限定するとして解釈されるものではなく、特許請求の範囲の基準として、かつ事実上すべての適切に詳述される実施形態において、本開示を様々に用いるようにと、当業者へ指導するための代表的な基準として、解釈されるものとする。
【0025】
特定の用途および/または選択に応じて、例えば、ポリマー、ゲル、フィルム、および/または金属等、様々な医療用途に好適な材料から、本開示に従った組織刺激方法の構成要素を製造する。半硬質および硬質ポリマー、さらに医療グレードの成形ポリウレタン等の弾力性材料、および可撓性または可鍛性材料を、製造に対して考慮する。様々な医療用途に好適な材料から、方法のモーター、歯車装置、電子装置、電極、および変換器を製造し得る。また、本開示に従った方法は、コンピュータ制御のための回路基板、電気回路、処理装置コンポーネント等も含み得る。しかしながら、当業者は、本開示に従った、アセンブリおよび製造に好適な他の材料および製造方法も、適切になり得ることを理解するであろう。
【0026】
以下の考察は、本開示の原理に従って、生体組織内に電流を生成するための構成要素および例示的な方法の説明を含む。代替実施形態も開示する。ここで、添付の図面に図解される本開示の例示的な実施形態を、詳細に参照し、ここで、同様の参照番号は、全図面にわたって同様の部分を示す。
【0027】
ここで図1を見ると、本開示に従って生体細胞および/または組織を刺激するために、電流を変化させる、例えば、生体物質内での機械場の複合印加によって、印加電場または印加電流源の存在下で、増幅、集中、方向変化、および/または減衰するための、器具10の例示的な実施形態を図解する。例えば、本開示に従った、図1に図解される器具10を、神経刺激の領域に適用し得る。初期電源の電場14は、組織内に電流をもたらす。電源、電流、または電圧源によって、電場14を生成する。以下にさらに詳細に記載するように、例えば機械場によって、電場に対する組織の誘電率を変化させ、それによって、さらなる変位電流を生成する。
【0028】
電極12は頭皮に印加され、大きい脳領域にわたって低振幅の電場14を生成する。この例示的な実施形態において、電極12を頭皮に使用および印加する間、頭皮周囲の領域を含む身体上の多数の異なる領域に、電極を印加し得ることが想定される。また、1つの電極を頭皮上に、1つを胸部上に等、1つの電極を刺激される組織の近位に配置し、他方を遠位に配置し得ることも想定される。さらに、電源は、1つだけの電極を有する単極、または複数の電極を有する多極であり得ることも想定される。同様に、医療的に許容できるあらゆる媒体を介して、電源を組織に印加し得る。また、例えば誘導磁気源等の電源が、組織と直接接触する必要がなく、全組織領域が、磁場を生成する大きいソレノイド内、または磁場を生成するコイル付近に配置され、磁場が組織内に電流を誘導する手段を使用し得ることも想定される。
【0029】
電源は、直流(DC)または交流(AC)であり得て、対象となる組織の内外に印加され得る。さらに、電源は時間的に変化し得る。同様に、電源はパルス状であり得て、時間的に変化するパルスの形態からなり得る。電源は、インパルスであり得る。また、本開示に従ったに従った電源は、断続的であり得る。
【0030】
超音波源16等の機械源は、頭皮上に印加され、集中音響エネルギー18、すなわち機械場を、神経組織の集中領域に提供し、印加電場14に対する組織の誘電率を変化させる機械場18によって、電場14の影響を受けるよりも少数のニューロン22に影響を与え、それによって、変化した電流20を生成する。機械源は、超音波装置等のいかなる音源であり得る。概して、そのような装置は、電気信号を、圧電材料を含む機械エネルギー等の機械エネルギーに変換することが可能な、電気機械変換器から成る装置、電気信号を、電磁石を実装する音響スピーカー中の機械エネルギー等の機械エネルギーに変換することが可能な、電気機械変換器から成る装置、機械源が、システムを駆動する別個の機械装置に連結する装置、または化学、プラズマ、電気、核、または熱エネルギーを、機械エネルギーに変換し、機械場を生成することが可能な、いかなる同様の装置であり得る。
【0031】
さらに、組織を撮像するために使用し得る超音波変換器を介して、機械場を生成し得る。集束に役立つ食塩水の容器等の架橋媒体を介して、または機械源と組織との間の音響インピーダンスを変化させる、ゲルおよび/またはペーストを通じて、機械場を組織に連結し得る。機械場は、時間的に変化する機械場、パルス機械場、インパルスであり得るか、あるいは時間的に変化するパルスの形態から成り得る。機械源を対象となる組織の内外に印加し得ることが、想定される。機械源を介し印加され得る周波数に関して限界はないが、例示的な機械場の周波数は、サブkHZから1000MHzに及ぶ。さらに、集束超音波アレイに使用される電源アレイ等の電源アレイにおいて等、同様もしくは異なる周波数、および/または同様もしくは異なる機械場波形を有する、複数の機械場を提供する、複数の変換機を使用し得る。同様に、複数の異なる電場も印加し得る。特定のパターンのスパイク活性、または神経興奮性の変化を引き起こすために、電気と機械の複合場を断続的に制御し得る。例えば、装置は、多数の病状の治療に有効であることが示されるパルス周波数で、刺激を引き起こすために、固定周波数で周期信号を、またはパルス周波数で高周波信号を生成し得る。そのような刺激波形は、高頻度またはシータバーストTMS治療、脳深部刺激治療、硬膜外脳刺激治療、脊髄刺激治療のために、または末梢部電気刺激による神経治療のために実装される刺激波形であり得る。電場と機械場との構成要素が、同領域内にある限り、電極位置と相対的ないかなる位置で、すなわち電極と同位置の中、上、下、または外に超音波源を配置し得る。電源位置は、場が、刺激される組織および細胞に対して交差するように、または刺激されている細胞の構成要素に対して電流変化を方向付けるために、互いに関連しなければならない。
【0032】
本開示に従った器具および方法は、誘電率の変化を介して容量性電流を生成し、特に、低周波印加電場の存在下で、振幅が著しくあり得る。生体組織内の組織の誘電率は、特に、電場の浸透深さが最も高い低周波印加電場に対して、他のほとんどの非生体物質よりもはるかに高い。これは、組織の誘電率の振幅が、低周波数でより高くなるように、誘電率が印加電場の周波数に比例するためである。例えば、100,000Hz未満の電場周波数に対して、脳組織は、自由空間の誘電率(8.854*10^−12ファラッド毎メートル)よりも、10^8(100,000,000)倍以上の誘電率の振幅を有し、そのようなものとして、相対振幅の最小局所摂動は、著しい変位電流生成をもたらし得る。電場の周波数が増加するにつれて、相対誘電率は、桁違いに減少し、約100,000Hzの電場周波数に対して、自由空間の誘電率(8.854*10^−12ファラッド毎メートル)の約10^3倍の振幅まで落ちる。さらに、より高い電場周波数に制限されないため、本開示に従った方法は、浸透深さの制限の低減、したがって、場強度要件の低減によって、生体組織を刺激するための有利な方法である。さらに、誘電率変化の領域に、変位電流が生成されるため、超音波のみを介して集束を達成し得る。例えば、上述のように、印加電場に対する誘電率の摂動を介して容量性電流を生成するために、細胞刺激閾値をはるかに下回る広帯域DCまたは低周波電場を、脳領域に印加するが、刺激効果は、超音波源等の機械源によって生成される機械場の集中領域で、組織の誘電率を変化させることによって、より小さい領域に局所的に集中する。これは、場が、脳領域周囲の組織に浸透し、標的となる脳の部位で交差するように、両方頭皮表面に設置される電極と超音波装置とで、または場が標的領域で交差するように、頭皮表面下(脳、またはいかなる周囲組織内)に埋め込まれる電極および/または超音波装置の1つまたは両方で、非侵襲的に行われる。
【0033】
変位電流は、閾値以下の電場の存在下で、誘電率の修正によって生成され、刺激信号を提供する。刺激の原因である、組織内に生じる主な誘電率の変化(すなわち、刺激に対する変化した電流の生成)に加えて、伝導率もまた組織内で生じ得て、電流のオーム構成要素を副次的に変化させる。さらなる実施形態では、変位電流の生成および変化したオーム電流の構成要素は、刺激のために組み合わされる。概して、組織の伝導率は、誘電率と同程度にではなく、DCから100,000Hzの周波数範囲にわたって、印加電場周波数の関数としてわずかに変化し、印加電場の増加する周波数とともに増加する。さらに、生体組織では、他の材料とは異なり、伝導率と誘電率とは、印加電場周波数の関数として、単純な1対1の関係を示さない。誘電率範囲は、上述の通りである。
【0034】
印加電場のいかなる周波数でも、記載されるプロセスを達成し得るが、組織の誘電率の振幅が、自由空間の誘電率の10^8倍以上であり、電場の浸透深さが低周波印加電場に対して最も高いという事実から、例示的な実施形態における方法を、低周波印加電場を用いて適用する。より高い周波数の印加電場は、組織に浸透するより大きい放射電力、および/または組織の同じ相対誘電率を達成するために、誘電率の変化に対してより強力な機械源を必要とするため、すなわち、より高い印加電場周波数で、組織の誘電率はより低く、それ自体は、より低い周波数で組織の誘電率の同じ全体的変化を有するために、より大きい全体的摂動を必要とするため、それほど望ましくない場合がある。DCから約100,000Hzの周波数範囲内の印加電場周波数は、この周波数帯域での組織の高い誘電率と、これらの周波数での生体組織に対する高い浸透深さとによって、有利である。この帯域では、組織の相対誘電率の振幅が最大限に上昇する(すなわち、自由空間の誘電率の10^8倍以上)、いわゆる「アルファ分散帯域」内に、組織がある。印加電場に対する約100,000以上から1,000,000Hzの周波数は、生体細胞および組織の刺激に対する変位電流の生成において、記載される方法になお適用可能である。しかしながら、組織の誘電率および浸透深さの両方は、先の帯域と比較してこの帯域において、生体組織に対して制限されるが、一部の用途に対しては、十分な振幅の変位電流をなお生成し得る。この範囲において、印加電場の振幅は、恐らく増加する必要があるか、あるいは印加電場に対する誘電率を変化させるために使用される方法は、印加電場周波数に対する組織の誘電率の振幅に対して、より大きい誘電率の変化をもたらすために増加する。さらに、一部の用途に対しては潜在的な安全性に関する懸念があるため、先の帯域では可能な連続印加とは対照的に、場の印加時間を制限するか、あるいは場をパルスする必要がある場合がある。安全性に関する懸念が、深部組織における技術を不可能にする場合の組織または用途に対して、非侵襲的方法で、または侵襲的方法を介して、技術はより表面上への用途になお適用し得る。生体細胞および組織の刺激に対する変位電流の生成に、1,000,000以上から100,000,000Hzのより高い周波数の印加電場を使用し得る。しかしながら、これは、より十分な誘電率の変化または電磁放射線を必要とし得て、それ自体は、安全性に関して先の帯域ほど理想的ではない。100,000,000Hz以上の印加電場周波数に対して、生体細胞および組織の刺激は、なお可能であり得るが、それほど大幅ではない変位電流を必要とする特定用途に限定され得る。
【0035】
本開示に従った、変化した電流を生成するための電場および機械場の集中を、背外側前頭前皮質、大脳基底核のいかなる構成要素、側坐核、腹部核、脳幹、視床、下丘、上丘、中脳水道周囲灰白質、一次運動野、補足運動野、後頭葉、ブロードマン領野1〜48、一次感覚野、一次視覚野、一次聴覚野、へんとう体、海馬、蝸牛、脳神経、小脳、前頭葉、後頭葉、側頭葉、頭頂葉、皮質下構造、脊髄、神経根、感覚器官、および末梢神経を含むがこれらに限定されない、脳または神経系内の様々な構造に向け得る。
【0036】
幅広い種類の病状が治療され得るように、集中する組織を選択し得る。治療され得るそのような病状は、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、失調、チック、脊髄損傷、外傷性脳損傷、薬物渇望、食品渇望、アルコール渇望、ニコチン渇望、吃音、耳鳴、痙性、パーキンソン病、パーキンソニズム、強迫観念、うつ病、精神分裂病、双極性障害、急性躁病、緊張病、心的外傷後ストレス障害、自閉症、慢性疼痛症候群、幻肢痛、てんかん、発作、聴覚性幻覚、運動障害、神経変性障害、疼痛性障害、代謝性障害、嗜癖障害、精神障害、外傷性神経損傷、および感覚障害を含むが、これらに限定されない。さらに、変化した電流を生成するための電場および機械場は、感覚増強、感覚変化、麻酔導入および維持、脳マッピング、てんかんマッピング、神経萎縮減少、神経プロテーゼの神経系との相互作用または制御、発作および外傷の神経リハビリテーション、膀胱制御、呼吸補助、心臓ペーシング、筋刺激、ならびに片頭痛、ニューロパシー、および下背部痛に起因するもの等の疼痛症候群、または慢性膵炎もしくは癌等の内臓疾病の治療を含む処置を実行するために、特定の脳または神経構造に集中し得る。
【0037】
機械場が送達される、集中する組織領域において、ニューロンが複合場によって刺激され得るレベルまで、個々のニューロンの興奮性を増大し得るか、あるいはニューロンの興奮性の増加または減少のいずれかによって、変化した電流に起因する神経興奮性の変化を引き起こすか、もしくは増幅するために、個々のニューロンの興奮性に影響を与え得る。神経興奮性のこの変化は、刺激時間を過ぎても持続し得て、したがって、持続的治療を提供するための基礎として使用され得る。さらに、細胞および組織の興奮性への積算または持ち越し効果を有するために、複数であるが異なる期間に複合場を提供し得る。代替、追加形態の刺激の影響を多かれ少なかれ受けやすくするように、組織を準備するために、別形態の刺激の前に複合場を提供し得る。さらに、代替形態の刺激の後に、複合場を提供し得て、本明細書に開示される形態の刺激の影響を、多かれ少なかれ受けやすくするように、組織を準備するために、代替形態の刺激を使用する。さらに、慢性の期間、複合場を印加し得る。
【0038】
図2は、電場36と機械場38との複合効果によって、生体組織34内に、刺激のための新しく生成された変位電流32で、変化した電流を生成するための方法を実行するための、設定30を図解する。組織または組織の複合体34を、電場36を生成する電源40の陽極と陰極とに隣接して配置する。電場36を、組織34に集中し得る機械場、例えば、超音波場38と組み合わせて、超音波変換器42を介して生成する。機械場38が集中し、電場36と交差する組織の小領域44では、変位電流32が生成される。組織の小領域44を振動させる、および/または機械で摂動することによって、電源の電場36によって存在し、機械的摂動に起因する組織の伝導率の変化によって変化し得る電流に加えて、組織44の誘電率は、変位電流32を生成するために、印加電場36に対して変化し得る。
【0039】
組織の小領域44に機械場38を提供することによって、組織の連続的誘電率が電場36に対して変化するように、または組織の小領域44および誘電率のバルク特性、または組織の静電容量が、機械的摂動によって変化するように、電場の内外で振動する組織の小領域44のいずれかの新しい要素によって、電場36内で誘電率は変化し得る。電場内で誘電率を変化させる一実施例は、両方異なる誘電率の細胞膜と細胞外液とが、機械場によって電場に対する位置を変化するとき、起こり得る。電場に対する異なる誘電率を有する組織のこの移動は、新しい変位電流を生成する。組織は、自由空間の誘電率の10^8倍以上の誘電率値を有し得て、桁違いに異なり、かつ/または組織自体が印加電場の相対方向に応じて、異なる誘電率の振幅を示すように、異方特性を有し得る。バルク組織の誘電率を変化させる一実施例は、バルク組織の相対誘電率が、電場の存在下で機械的摂動によって直接変化する場合に起こる。機械源、すなわち、超音波源を、電場と機械場との構成要素が同領域内にある限り、電極位置と相対的ないかなる位置、すなわち、電極と同位置の中または外に配置し得る。
【0040】
多数の方法によって、印加電場に対する組織の誘電率は変化し得る。印加電場に対する組織のバルク誘電率を変化させるか、あるいは印加電場に対する異なる誘電率の組織構成要素を移動させるか、いずれかのために機械技術を使用し得る。前述の通り、印加する機械場の周波数に特定の限界はないが、例示的な周波数は、サブkHZから1000MHzに及ぶ。初期の印加電場の周波数依存箇所で、組織の誘電率を変化させるように、印加電磁場の初期の周波数とは異なる周波数で、第2の電磁場を組織に印加し得る。光信号もまた、印加電場に対する組織の誘電率を変化させるために、組織に集中し得る。化学物質または温度場もまた、印加電場に対する組織の誘電率を変化させるために、組織に印加し得る。侵襲的または非侵襲的方法によって、印加電場に対する組織の誘電率を変化させるために、これらの方法を組み合わせて使用し得る。
【0041】
例えば、図3は、電場54と化学物質56との複合効果によって、新しく生成された変位電流52で変化した電流を生成するための、設定50を示す。組織または組織の複合体58を、電場54を生成する電源60内に配置し、組織58に集中し得る化学物質56を放出する化学源62と組み合わせる。化学物質56を組織64内に放出する領域では、電場54は、組織の小領域64を横断し、化学物質56は、印加電場54に対する組織の相対誘電率を変化させるために、組織の小領域64と反応する。これは、電源の電場54によって存在し得る電流に加えて、変位電流52を生成する。化学物質56は、組織または組織64の細胞構成要素と反応し得る、いかなる作用物質であり得て、電場54に対するその誘電率を変化させる。これは、組織64の温度を上昇または低下させるための熱反応プロセスによるか、あるいは例えば、組織64内の細胞壁でイオン二重層に沿って、細胞および細胞外媒体内でイオン分布を変化させる化学変化による場合がある。同様に、組織の誘電率が、低周波電場54に対して変化するように、組織64内のたんぱく質および他の荷電構成要素の構造は、変化し得る。作用物質はまた、組織64内のいかなる分子または化合物の永久双極子モーメントを、低周波電場54に一時的または永久的に適合させる、いかなる作用物質であり得る。化学物質56による化学反応は、変位電流52を生成するために、組織の誘電率が、電場54の存在下で急速に変化するのに十分急速に、作用しなければならない。また、反応は、誘電率が変化し続けると、変位電流が生成され続けるように、誘電率を変動させるような反応であり得る。組織内に生じる主な誘電率の変化に加えて、伝導率の変化も組織内で生じ得て、電流のオーム構成要素を副次的に変化させる。化学物質56の変わりに、あるいは化学物質56に加えて、生物学的作用物質を使用し得る。この実施形態は、追加の化学または生物学的作用物質を組織の治療に役立つために含む、または変化した電流が、治療のための追加の電気化学反応を促進し得る、集中した薬物送達のための特定の用途を有し得る。例えば、これを、集中遺伝子治療または集中化学療法等の領域に使用し得る。
【0042】
図4に別の実施例を示し、低周波電場74と電磁放射場76との複合効果によって、新しく生成された変位電流72で、変化した電流を生成させるための方法を適用するための、設定70を図解する。組織または組織の複合体78を、電源80によって生成される低周波電場74内に配置し、組織78に集中し得る放射場76を生成する放射源82と組み合わせる。放射場76が組織78内に集中する領域において、電場74は、組織84の副構成要素を横断し、印加電場74に対する組織の相対誘電率を変化させるために、放射場76は、組織84の副構成要素と相互作用し、それ自体は、電源の電場74、または放射場76のみによって存在し得る電流に加えて、変位電流72を生成する。電磁放射場76は、例えば、抵抗プロセスによってその温度を変化させることによって、組織84と相互作用し得るか、イオンにかかる電気力によって、例えば細胞壁に沿ったイオン二重層に沿って、細胞および細胞外媒体内のイオン分布を変化させ得るか、もしくは組織の誘電率が、低周波電場74に対して変化するように、電気力によって、組織内のたんぱく質および他の荷電構成要素の構造を変化させ得る。さらに、低周波電場74に対する組織の連続誘電率を変化させるために、電磁場76は、異方性組織内に見られるように、電歪力を介して組織の構成要素を移動させることによって、組織84と相互作用し得る。組織内に生じる主な誘電率の変化に加えて、伝導率の変化も、組織内で生じ得て、電流のオーム構成要素を副次的に変化させる。
【0043】
図5は、電場94と光ビーム96との複合効果によって、新しく生成された変位電流92で、変化した電流を生成するための方法を適用するための設定90を示す。組織または組織の複合体98を、電源100によって生成される電場94内に配置し、組織98に集中し得る光ビーム96を生成する光源102と組み合わせる。光ビーム96が組織に集中する領域において、電場94は、組織104の副構成要素を横断し、光ビーム96は、印加電場94に対する組織の相対誘電率を変化させるために、組織と反応し、それ自体は、電源の電場94によって存在し得る電流に加えて、変位電流92を生成する。光ビーム96は、例えば、光熱効果および/または粒子励起によってその温度を変化させることによって、組織と相互作用し得るか、イオンの移動を光学的に励起することによって、例えば細胞壁に沿ったイオン二重層に沿って、細胞および細胞外媒体内のイオン分布を変化させ、組織とのレーザー相互作用を介して、組織をイオン化し得るか、もしくは組織の誘電率が、低周波電場94に対して変化するように、組織内のたんぱく質および他の荷電構成要素の構造を変化させ得る。組織内に生じる主な誘電率の変化に加えて、伝導率の変化も、組織内で生じ得て、電流のオーム構成要素を副次的に変化させる。
【0044】
別の実施形態では、組織の誘電率を変化させるために熱源を使用し得る。そのような実施形態では、加熱プローブ、冷却プローブ、またはハイブリッドプローブ等の熱源を、刺激される組織の外部または内部に配置し得る。熱源は、組織の誘電率が印加電場に対して変化するように、組織温度に依存する直接誘電率、温度変化に反応した機械的組織拡大によって、または温度変化に反応した、変化した粒子およびイオン撹拌によって生じる機械力によって、組織の誘電率を変化させ得る。組織内に生じる主な誘電率の変化に加えて、伝導率の変化も、組織内で生じ得て、電流のオーム構成要素を副次的に変化させる。この実施形態は、組織への急性損傷の存在下で、刺激に有用であり得て、例えば、外傷性脳損傷または心臓等のいかなる器官の梗塞等、組織損傷の治療にさらに役立つために、熱源を使用し得る。組織を冷却または加熱し得ると同時に、損傷の影響を緩和するために、刺激を提供する。
【0045】
さらなる実施形態では、本開示に従った方法を筋肉刺激の領域に適用し、増幅された電流、集中した電流、方向が変化した電流、および/または減衰した電流を、直接刺激、筋肉細胞の脱分極、筋肉細胞の過分極、膜電位の修正、および/または筋細胞の興奮性の増加もしくは減少を介して、筋肉活動を変化させるために使用し得る。興奮性または発火パターンのこの変化は、刺激時間を過ぎても持続し得て、したがって、持続的治療を提供するための基礎として使用され得る。さらに、細胞および組織の興奮性への積算または持ち越し効果を有するために、複数であるが異なる期間に刺激を提供し得る。さらに、筋細胞の興奮性を、代替、追加形態の刺激の影響を多かれ少なかれ受けやすくするように、調整することによって、組織を準備するために刺激を提供し得る。別の形態の刺激の組織を準備するために使用した後、刺激を使用し得る。さらに、慢性の期間、刺激を印加し得る。この実施形態は、心臓ペーシングもしくは機能の補助、呼吸補助、リハビリテーション用の筋刺激、萎縮を防止するために、あるいは運動に役立つための、または運動の代わりとしての、神経または脊髄損傷の存在下での筋刺激に有用であり得る。
【0046】
さらに別の実施形態では、本開示に従った方法を理学療法の領域に適用し得て、理学療法を必要とする影響を受けた領域に、集中した生成電流を印加することによって、血流を刺激し、神経筋反応を変化させ、炎症を制限し、瘢痕組織の破壊を促進し、かつリハビリテーションを促進するために、増幅された電流、集中した電流、方向が変化した電流、および/または減衰した電流を使用し得る。本開示に従った方法は、理学療法の領域において、外傷、スポーツ損傷の治療またはリハビリテーション、外科的リハビリテーション、作業療法、および神経または筋損傷後の補助装置を用いたリハビリテーションを含む、様々な種類を有し得ることが想定される。例えば、関節または筋肉の損傷後、領域内の炎症および瘢痕組織の増加、および神経および筋反応の低下があることが多い。典型的に、領域への血流を増加させ、瘢痕組織の代謝再吸収を増加させるために、影響を受けた領域に超音波を提供しながら、神経および筋肉に電気刺激を別々に提供する。しかしながら、それらを一緒に提供することによって、個人は、それぞれ個々の効果の利益を受け得るが、さらに、変化した電流によって増幅された刺激および代謝効果の利益を受け得る。考察される変化した電流を生成するための他の方法も、生成される変位電流を介して、理学療法に役立つために使用し得る。
【0047】
さらに、本開示に従った方法を細胞代謝の領域に適用し得て、組織または細胞動力を変化させるために、電流を、電気的受容細胞または荷電膜と相互作用するために使用し得る。この実施形態は、様々な疾病のための治療を提供し得て、電気的受容細胞が、新しく生成された変位電流および変化した電流分布に反応することが想定される。
【0048】
さらに、遺伝子治療の領域に、本開示に従った方法を適用し得る。たんぱく質の転写プロセスに影響を与え、細胞の遺伝的内容を変化させるために、細胞内の電気的受容細胞または受容器と相互作用するために、増幅された電流、集中した電流、方向が変化した電流、および/または減衰した電流を使用し得る。組織内の変化した電流の密度は、この変化した遺伝子調節を刺激するために、組織と相互作用し得る。さらに、薬剤送達への変化した電流の影響によって、薬物送達および/または遺伝子治療に役立つために、方法によって生成された変位電流をさらに使用し得る。
【0049】
本発明が、図面および上記の説明で詳細に図解および記載されてきたが、本発明は、特性を制限するものではなく、説明的なものとして見なされるものとし、実施形態が示され記載されてきたこと、またこれらの発明の精神内に入るすべての変更および修正が、保護されるべきであることは、理解されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織に電流を生成するための器具であって、
組織領域にわたって電場を生成することが可能な電源と、
前記電場に対する前記組織の誘電率を変化させるための手段であって、それによって、前記電場に対する前記組織の誘電率の前記変化は、前記組織内に変位電流を生成する、手段と、
を備える、器具。
【請求項2】
誘電率を変化させるための前記手段は、化学源、光源、機械源、熱源、または電磁波源から選択される、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
誘電率を変化させるための前記手段は、機械であり、超音波源である、請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記電場は、パルス状である、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記電場は、時間的に変化する、請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記電場は、時間的に変化するパルスシーケンスである、請求項1に記載の器具。
【請求項7】
前記電場は、時間的に変わらない、請求項1に記載の器具。
【請求項8】
誘電率を変化させるための前記手段は、パルス信号である、請求項1に記載の器具。
【請求項9】
誘電率を変化させるための前記手段は、時変信号である、請求項1に記載の器具。
【請求項10】
誘電率を変化させるための前記手段は、時間的に変化するパルスシーケンスから成る信号である、請求項1に記載の器具。
【請求項11】
前記組織は、神経組織である、請求項1に記載の器具。
【請求項12】
組織に印加されるように構成される、少なくとも1つの電極をさらに備える、請求項1に記載の器具。
【請求項13】
前記組織に隣接した、または前記組織外部の組織に印加されるように構成される、少なくとも1つの電極をさらに備える、請求項1に記載の器具。
【請求項14】
前記電源は、前記組織内に埋め込まれる、請求項1に記載の器具。
【請求項15】
前記電源は、前記組織に隣接した、前記組織外部の、または前記組織内部の組織に埋め込まれる、請求項1に記載の器具。
【請求項16】
誘電率を変化させるための前記手段は、前記組織内に埋め込まれる、請求項1に記載の器具。
【請求項17】
誘電率を変化させるための前記手段は、前記組織に隣接した、前記組織外部の、または前記組織内部の組織に埋め込まれる、請求項1に記載の器具。
【請求項18】
前記電源は、非侵襲的に印加される、請求項1に記載の器具。
【請求項19】
誘電率を変化させるための前記手段は、非侵襲的に印加される、請求項1に記載の器具。
【請求項20】
前記電源は、外部電源から生成される、時間的に変化する誘導磁場である、請求項1に記載の器具。
【請求項21】
治療目的で、前記電場は、神経組織の広範な領域に広く印加され、前記手段は、神経組織の特定の領域に集中される、請求項1に記載の器具。
【請求項22】
治療目的で、前記電場は、神経組織の広範な領域に広く印加され、前記手段は、神経組織の広範な領域に広く印加される、請求項1に記載の器具。
【請求項23】
治療目的で、前記電場と前記手段とは、神経組織の特定の領域に集中される、請求項1に記載の器具。
【請求項24】
治療目的で、前記電場は、神経組織の特定の領域に集中され、前記手段は、神経組織の広範な領域に広く印加される、請求項1に記載の器具。
【請求項25】
前記電場は、約DCから100,000,000Hzの範囲内の、周波数成分または複数成分を有する、請求項1に記載の器具。
【請求項26】
多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、失調、チック、脊髄損傷、外傷性脳損傷、薬物渇望、食品渇望、アルコール渇望、ニコチン渇望、吃音、耳鳴、痙性、パーキンソン病、パーキンソニズム、強迫観念、うつ病、精神分裂病、双極性障害、急性躁病、緊張病、心的外傷後ストレス障害、自閉症、慢性疼痛症候群、幻肢痛、てんかん、発作、聴覚性幻覚、運動障害、神経変性障害、疼痛性障害、代謝性障害、嗜癖障害、精神障害、外傷性神経損傷、および感覚障害から選択される病気の治療に役立つために、前記電場は、広範に印加され、そして誘電率を変化させるための前記手段は集中され、神経組織に印加され得る、請求項1に記載の器具。
【請求項27】
多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、失調、チック、脊髄損傷、外傷性脳損傷、薬物渇望、食品渇望、アルコール渇望、ニコチン渇望、吃音、耳鳴、痙性、パーキンソン病、パーキンソニズム、強迫観念、うつ病、精神分裂病、双極性障害、急性躁病、緊張病、心的外傷後ストレス障害、自閉症、慢性疼痛症候群、幻肢痛、てんかん、発作、聴覚性幻覚、運動障害、神経変性障害、疼痛性障害、代謝性障害、嗜癖障害、精神障害、外傷性神経損傷、および感覚障害から選択される病気の治療に役立つために、前記電場と、誘電率を変化させるための前記手段とは、集中され、神経組織に印加され得る、請求項1に記載の器具。
【請求項28】
多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、失調、チック、脊髄損傷、外傷性脳損傷、薬物渇望、食品渇望、アルコール渇望、ニコチン渇望、吃音、耳鳴、痙性、パーキンソン病、パーキンソニズム、強迫観念、うつ病、精神分裂病、双極性障害、急性躁病、緊張病、心的外傷後ストレス障害、自閉症、慢性疼痛症候群、幻肢痛、てんかん、発作、聴覚性幻覚、運動障害、神経変性障害、疼痛性障害、代謝性障害、嗜癖障害、精神障害、外傷性神経損傷、および感覚障害から選択される病気の治療に役立つために、前記電場は、集中され、そして誘電率を変化させるための前記手段は、広範に印加され、神経組織に印加され得る、請求項1に記載の器具。
【請求項29】
多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、失調、チック、脊髄損傷、外傷性脳損傷、薬物渇望、食品渇望、アルコール渇望、ニコチン渇望、吃音、耳鳴、痙性、パーキンソン病、パーキンソニズム、強迫観念、うつ病、精神分裂病、双極性障害、急性躁病、緊張病、心的外傷後ストレス障害、自閉症、慢性疼痛症候群、幻肢痛、てんかん、発作、聴覚性幻覚、運動障害、神経変性障害、疼痛性障害、代謝性障害、嗜癖障害、精神障害、外傷性神経損傷、および感覚障害から選択される病気の治療に役立つために、前記電場と、誘電率を変化させるための前記手段とは、広範に印加され、神経組織に印加され得る、請求項1に記載の器具。
【請求項30】
背外側前頭前皮質、大脳基底核のいかなる構成要素、側坐核、腹部核、脳幹、視床、下丘、上丘、中脳水道周囲灰白質、一次運動野、補足運動野、後頭葉、ブロードマン領野1〜48、一次感覚野、一次視覚野、一次聴覚野、へんとう体、海馬、蝸牛、脳神経、小脳、前頭葉、後頭葉、側頭葉、頭頂葉、皮質下構造、末梢神経、および脊髄から選択される脳または神経系内の1つの構造または複数の構造に対して、前記電場は広範に印加され、誘電率を変化させるための前記手段は、集中される、請求項1に記載の器具。
【請求項31】
背外側前頭前皮質、大脳基底核のいかなる構成要素、側坐核、腹部核、脳幹、視床、下丘、上丘、中脳水道周囲灰白質、一次運動野、補足運動野、後頭葉、ブロードマン領野1〜48、一次感覚野、一次視覚野、一次聴覚野、へんとう体、海馬、蝸牛、脳神経、小脳、前頭葉、後頭葉、側頭葉、頭頂葉、皮質下構造、末梢神経、および脊髄から選択される脳または神経系内の1つの構造または複数の構造に対して、前記電場と、誘電率を変化させるための前記手段とは集中する、請求項1に記載の器具。

【請求項32】
背外側前頭前皮質、大脳基底核のいかなる構成要素、側坐核、腹部核、脳幹、視床、下丘、上丘、中脳水道周囲灰白質、一次運動野、補足運動野、後頭葉、ブロードマン領野1〜48、一次感覚野、一次視覚野、一次聴覚野、へんとう体、海馬、蝸牛、脳神経、小脳、前頭葉、後頭葉、側頭葉、頭頂葉、皮質下構造、末梢神経、および脊髄から選択される脳または神経系内の1つの構造または複数の構造に対して、前記電場は、集中され、誘電率を変化させるための前記手段は、広範に印加される、請求項1に記載の器具。
【請求項33】
背外側前頭前皮質、大脳基底核のいかなる構成要素、側坐核、腹部核、脳幹、視床、下丘、上丘、中脳水道周囲灰白質、一次運動野、補足運動野、後頭葉、ブロードマン領野1〜48、一次感覚野、一次視覚野、一次聴覚野、へんとう体、海馬、蝸牛、脳神経、小脳、前頭葉、後頭葉、側頭葉、頭頂葉、皮質下構造、末梢神経、および脊髄から選択される神経系内の1つの構造または複数の構造に対して、前記電場と、誘電率を変化させるための前記手段とは、広範に印加される、請求項1に記載の器具。
【請求項34】
感覚増強、感覚変化、麻酔導入および維持、脳マッピング、てんかんマッピング、術前計画、神経萎縮減少、神経プロテーゼの神経系との相互作用または制御、発作および外傷の神経リハビリテーション、膀胱制御、呼吸補助、心臓ペーシング、筋刺激、ならびに片頭痛、ニューロパシー、および下背部痛に起因するもの等の疼痛症候群、または慢性膵炎もしくは癌等の内臓疾病の治療から選択される処置を実行するために、神経組織に対して、前記電場は、広範に印加され、誘電率を変化させるための前記手段は、集中する、請求項1に記載の器具。
【請求項35】
感覚増強、感覚変化、麻酔導入および維持、脳マッピング、てんかんマッピング、術前計画、神経萎縮減少、神経プロテーゼの神経系との相互作用または制御、発作および外傷の神経リハビリテーション、膀胱制御、呼吸補助、心臓ペーシング、筋刺激、ならびに片頭痛、ニューロパシー、および下背部痛に起因するもの等の疼痛症候群、または慢性膵炎もしくは癌等の内臓疾病の治療から選択される処置を実行するために、前記電場と、誘電率を変化させるための前記手段は、神経組織に集中される、請求項1に記載の器具。
【請求項36】
感覚増強、感覚変化、麻酔導入および維持、脳マッピング、てんかんマッピング、術前計画、神経萎縮減少、神経プロテーゼの神経系との相互作用または制御、発作および外傷の神経リハビリテーション、膀胱制御、呼吸補助、心臓ペーシング、筋刺激、ならびに片頭痛、ニューロパシー、および下背部痛に起因するもの等の疼痛症候群、または慢性膵炎もしくは癌等の内臓疾病の治療から選択される処置を実行するために、神経組織に対して、前記電場は、集中され、誘電率を変化させるための前記手段は、広範に印加される、請求項1に記載の器具。
【請求項37】
感覚増強、感覚変化、麻酔導入および維持、脳マッピング、てんかんマッピング、術前計画、神経萎縮減少、神経プロテーゼの神経系との相互作用または制御、発作および外傷の神経リハビリテーション、膀胱制御、呼吸補助、心臓ペーシング、筋刺激、ならびに片頭痛、ニューロパシー、および下背部痛に起因するもの等の疼痛症候群、または慢性膵炎もしくは癌等の内臓疾病の治療から選択される処置を実行するために、前記電場と、誘電率を変化させるための前記手段とは、神経組織に広範に印加される、請求項1に記載の器具。
【請求項38】
生体組織を刺激するための方法であって、
生体組織の領域に電源を印加し、前記組織内に電場を生成するステップと、
前記電場に対する前記組織の誘電率を変化させるための手段を印加することによって、前記電源に対する前記組織の誘電率を変化させるステップであって、それによって、前記電源に対する前記組織の誘電率の変化は、前記組織内に変位電流を生成する、ステップと、
を含む、方法。
【請求項39】
誘電率を変化させるための前記手段は、化学源、光源、機械源、熱源、または電磁波源から選択される、請求項38に記載の器具。
【請求項40】
組織の誘電率を変化させるステップは、組織の誘電率を機械で変化させるために、機械源を印加するステップを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
誘電率を変化させるための前記手段は、超音波源である、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記組織は、神経組織である、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記組織は、内分泌組織である、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記組織は、電気的受容組織である、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記組織は、筋肉組織である、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記組織は、結合組織である、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記組織は、骨格組織である、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
前記方法は、前記組織の前記領域の理学療法のために適用される、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記変位電流は、前記組織の前記領域内の血流を刺激する、請求項38に記載の方法。
【請求項50】
誘電率を変化させるための前記手段は、超音波源であり、前記組織の領域に超音波を印加する、請求項38に記載の方法。
【請求項51】
生体組織内に電流を生成するための器具であって、
組織領域にわたって電場を生成することが可能な電源であって、前記電源は、周囲組織の領域の外面に取り付けられる、少なくとも1つの電極である、電源と、
組織の小領域に集中される機械場を生成する超音波装置であって、それによって、前記電場と前記機械場との複合効果が、前記組織領域内に新しく生成された変位電流で、変化した電流を生成する、超音波装置と、
を備える、器具。
【請求項52】
生体組織を刺激するための方法であって、
生体組織の領域に電源を印加し、前記組織内に電場を生成するステップと、
前記電場に対する前記組織の誘電率を変化させる手段であって、それによって、変位電流が生成される、手段と、
前記電場に対する前記組織の伝導率を変化させる手段であって、それによって、オーム電流が変化する、手段と、
を含む、方法。
【請求項53】
生体組織内で電流を変化させるための器具であって、
組織領域にわたって電場を生成することが可能な電源と、
前記電場に対する前記組織の誘電率を変化させるための手段であって、それによって、変位電流が生成される、手段と、
前記電場に対する前記組織の伝導率を変化させるための手段であって、それによって、オーム電流が変化する、手段と、
を備える、器具。
【請求項54】
生体組織内に電流を生成するための器具であって、
組織領域にわたって電場を生成することが可能な電源と、
組織の小領域に集中する機械場を生成する超音波装置であって、それによって、前記電場と前記機械場との複合効果が、前記組織領域内に新しく生成された変位電流で、変化した電流を生成する、超音波装置と、
を備える、器具。
【請求項55】
生体組織で電流を変化させるための器具であって、
組織領域にわたって電場を生成することが可能な電源と、
前記電場に対する前記組織の電磁特性を変化させるための手段と、
を備える、器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2009−540947(P2009−540947A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516657(P2009−516657)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/071459
【国際公開番号】WO2007/149811
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(508371769)ハイランド インストゥルメンツ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】