説明

生体組織を清掃又は試料採取用ブラシ

本発明は、生体組織を清掃又は試料採取するブラシ(1)に関する。ブラシ(1)は、ブラシ毛(5)の少なくとも1つの列(3)と、ブラシ毛(6)の1つの第2の列(4)とを備えた支持体(2)を含む。第1及び第2の列は、互いに平行で、互いに隣り合って位置する。各ブラシ毛(5、6)は、支持体(2)を向く近位端(7)と、支持体(2)とは反対を向く遠位端(9)とを有する。ブラシ毛(5)の第1の列(3)は、第1の列(3)の長手方向に延びる、その長手方向側部(32)が支持体(2)に固定された、ストリップ(30)を含む。第1の列(3)内のブラシ毛(5)の近位端(7)は、ストリップ(30)の他の長手方向側部(34)に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に生体組織を清掃又は試料採取するようなブラシであって、ブラシ毛の少なくとも1つの第1の列とブラシ毛の少なくとも1つの第2の列とを備えた支持体を含んでおり、
ブラシ毛の前記第1及び第2の列が互いに隣り合って位置しており、
各ブラシ毛が、支持体を向く近位端と、支持体とは反対を向く遠位端とを有しており、
前記第1の列及び前記第2の列内のブラシ毛の遠位端が、前記列を横切る方向で見たときに、いずれの場合にも支持体からほぼ同一の距離のところに位置する、ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなブラシは、特許文献1に開示されている。このブラシは、スミア(smear)を作るのに適している。この公知のブラシは、ブラシ毛の、互いに平行で本質的に同一の列を有する。採取されるべき試料は、ブラシ毛の間で捉えることができる。ブラシ毛は、すべて同等に長い。この公知のブラシにおけるブラシ毛は、すべて、支持体自体の上に直接配置された、支持体を向く近位端を有する。
【特許文献1】オランダ国特許出願第1010709号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特に生体組織を清掃又は試料採取するようなブラシであって、組織など、その下に存在する構造を試料採取又は清掃するために除去できるよう、後で組織などの材料をブラシ内でより良好に保持するために、その材料を剥ぎ取る(free up)ことができるブラシを提供することである。この目的は、一般的な現況技術とは対照的であり、また前述の特許文献1とも対照的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の目的は、本発明によれば、特に生体組織を清掃又は試料採取するようなブラシであって、ブラシ毛の少なくとも1つの第1の列とブラシ毛の少なくとも1つの第2の列とを備えた支持体を含んでおり、
ブラシ毛の前記第1及び第2の列が、それらの間で組織材料を捉えることができるように互いに隣り合って位置しており、
各ブラシ毛が、支持体を向く近位端と、支持体とは反対を向く遠位端とを有しており、
ブラシ毛の第1の列が、第1の列の長手方向に延びる、その長手方向側部が支持体に固定された、ストリップを含んでおり、
前記第1の列内のブラシ毛の近位端がストリップの他の長手方向側部に固定された、ブラシを提供することによって達成される。
【0005】
ブラシ毛の第1の列と呼ばれる列のブラシ毛をストリップ上に設けることによって、一方では、ストリップが効果的に毛をより剛性の高いものにし、その結果、組織などの材料がより良好に剥ぎ取られるので、前記ストリップに固定されたブラシ毛の擦過動作が改善され、他方では、ストリップの高さと該ストリップ上に固定されたブラシ毛の長さとを加えたものに等しい長さを有する、ストリップ上に配置されていないブラシ毛を備えたブラシの場合とさほど異ならない、組織などの材料をブラシ内で保持する容量が達成される。試料採取又は清掃のために除去されるべき擦り取られた材料は、ブラシ毛間、及び/又はブラシ毛と1つ若しくは複数のストリップとの間、及び/又は隣接ストリップ間で保持される。
【0006】
本発明によれば、組織は、最も広い意味で、ヒト又は動物の身体から得られる材料であると理解される。この材料は、とりわけ、皮膚若しくは身体の空洞部又は他の身体内側に由来する細胞材料、粘液、流体、ならびに膿などの創傷からの屑(debris)とすることができる。
【0007】
より詳細な一実施形態によれば、前記第1の列及び前記第2の列内のブラシ毛の遠位端は、いずれの場合にも、支持体からほぼ同一の距離のところに位置する。この方法では、材料が収集されるときに、第1の列と第2の列との間の最適な相互作用が得られる。ゆえに、ここでの「ほぼ同一の距離のところ」は、距離の10〜30%又は1〜3mmの差であると少なくとも理解される。第1の列が第2の列よりもはるかに短すぎる場合、第1の列についてのストリップの補剛作用の効果は、急速に低下し始める。第1の列が第2の列よりもはるかに長すぎる場合、剥ぎ取られた材料は、もはやブラシ内に適切に収集されない。
【0008】
より詳細な一実施形態によれば、ブラシ毛の第1及び第2の列は、互いに平行である。この方法では、前記列間で組織材料を収集する能力は、ブラシ毛のこれらの列が互いに隣り合って位置する部分全体に沿って同一である。
【0009】
本発明によれば、前記列の横断方向で見たときに、ストリップの厚さは、前記ストリップに固定されたブラシ毛の近位端の厚さの50%から200%に等しい。例えば、前記ストリップに固定されたブラシ毛が約0.25mmの厚さを有する場合、ストリップの厚さは、0.125mmから0.5mmの範囲となる。
【0010】
本発明の他の有利な一実施形態によれば、ブラシ毛の少なくとも1つの第2の列は、ブラシ毛の少なくとも1つの第1の列と本質的に同一であり、かつ/又は、ブラシ毛のさらに別の第1の列が、ブラシ毛の第1の列のすぐ隣に位置する。ゆえに、本発明は、ブラシにおいて、ブラシ毛のすべての列を、ブラシ毛の第1の列と呼ばれる列として、すなわち、ブラシ毛がその上に据え付けられたストリップとして作製できることを、非常に明確に想定している。ただし、本発明は、ブラシ毛の第1の列(ストリップあり)を通常のブラシ毛(ストリップなし)の間に設けることができることを、非常に明確に想定している。
【0011】
特に、本発明は、また、ブラシが、互いに平行で、かつ互いに横に並んで位置する、ブラシ毛の2、3、若しくはそれ以上の前記第1の列を有することも想定している。
【0012】
本発明の他の一実施形態によれば、ブラシ毛の前記第1の列が互いにオフセットされた毛部材の2つの帯から構成され、それら2つの帯が互いに横に並んで接触して位置していれば有利であり、
各毛部材が遠位部分と近位部分とを有していれば有利であり、
毛部材の一方の帯からの各毛部材の近位部分が、いずれの場合にも毛部材の他方の帯からの隣接毛部材の近位部分に重複領域で重なり合っており、重複領域では、互いに横に並んで接触して位置する互いにオフセットされた毛部材帯の前記毛部材の近位部分が前記ストリップを形成するように、前記毛部材が単一体として接合されれば有利である。この配置によって、特に前記毛部材の遠位部分が、これで、ブラシ毛の前記第1の列のブラシ毛を形成することになる。重複領域内で毛部材を単一体として接合すること自体は、多種多様な方法で達成することができる。これは、糊で貼り合わせることによるものとすることができるが、また、非常に単純に、毛部材が相まって重複領域内で単一体を形成するような方法でプラスチックを射出成型することによってブラシ毛の前記第1の列を形成することにより、達成することもできる。
【0013】
この配置によって、本発明の他の一実施形態によれば、各毛部材が、底辺を備えた三角形の形態の断面を有していれば有利であり、また、互いに横に並んで位置する互いにオフセットされた毛部材帯の前記底辺が、互いに平行で向かい合っていれば有利である。この方法で達成されるのは、長手方向で見たときにストリップが波状経路を有することである。この波状経路は、ブラシが試料採取又は清掃のために除去されるべき材料をブラシ内で保持する能力を改善する。三角形の形状は、この場合、二等辺三角形の形状とすることができ、その場合、その底辺が、互いに離れる方向を向く等しい腕の端部間を延びる(ここでは、二等辺三角形は、2つの等しい辺をもつ三角形であると理解される)。三角形の辺は、各帯において、底面が向く方向に擦過するときの擦過動作改善のための補強をもたらす。一方の帯の底面が他方の帯の底面に対して反対方向を向くので、達成されるのは、ブラシが方向依存性ではなく、いずれにしても2つの反対方向で擦過できることである。擦過のために回転可能なブラシによって、ブラシは、両方の方向に回転可能である。このことは、ブラシの使いやすさを大きく向上させる。
【0014】
本発明によるブラシの擦過動作をさらに改善するために、本発明によれば、ブラシ毛が遠位方向にテーパし、遠位端のところで切頭されていれば有利である。ゆえに、このことは、前記ブラシ毛が、尖端(切頭なし)を有する代わりに遠位端のところに直線的な擦過表面を決定することを達成する。尖端は、比較的に、薄さの結果として非常に柔らかく、その結果、擦過動作があまり良好ではない。切頭は、遠位端のところにより高い剛性をもたらす。
【0015】
材料をブラシ内で保持する能力を改善するために、本発明によれば、ストリップの長手方向で見たときに前記ストリップが波状経路を有していれば有利である。
【0016】
本発明によれば、支持体と前記ブラシ毛の少なくとも1つの前記第1の列とが、特にプラスチック製の、一体型射出成型製品として作製されれば、さらに有利である。この方法では、ブラシを許容可能なコストで多数製造することができる。
【0017】
本発明の他の一実施形態によれば、支持体は、ブラシ毛の少なくとも1つの前記第1の列をその長手方向壁の少なくとも2つの対向するセクタ上に備えた細長い部材である。この方法では、2つの対向する長手方向側部上に擦過ゾーンを備えたブラシが得られる。
【0018】
本発明の他の一実施形態によれば、支持体は、周囲全体にブラシ毛のこれら複数の前記第1の列を備えた細長い部材を含む。この方法では、全体的に擦過動作が改善されたブラシが得られる。
【0019】
細長い支持体を備えた前述の諸実施形態では、ブラシ毛の前記第1の列が前記細長い部材の長手方向に延びれば、さらに有利である。この方法では、擦過効果は、細長い器具(organ)の、その長手軸周りでの回転によって達成することができる。
【0020】
細長い支持体を備えたブラシの他の一実施形態によれば、支持体の長手方向を横切って見たときに、ブラシの厚さは、約20mm未満、特に、約10mm以下など、15mm未満である。
【0021】
本発明の他の一実施形態によれば、ブラシは、支持体をそれによってハンドル上に嵌合できるハンドルアタッチメントを有しており、支持体は、ハンドルの軸方向に走るブラシ毛の少なくとも1つの前記第1の列を備える。
【0022】
本発明によるブラシのより詳細な一実施形態によれば、ブラシ毛の前記第1の列とブラシ毛の隣接列との間の中心間距離は、1.5mm未満など、約3mm未満であり、特に約1mm未満である。
【0023】
本発明のより詳細な他の一実施形態によれば、ブラシ毛は、約0.3mm未満など、約1mm未満、特に0.1mm未満の断面積を有する。ブラシ毛は、例えば、一般にそれらが最も厚い場所となる、それらの近位端のところで、約0.06mmの断面積を有することができる。
【0024】
他の一態様によれば、本発明は、生体組織を清掃又は試料採取するための、本発明によるブラシの使用に関する。
【0025】
特に、本発明は、流体の細胞学的検査用の試料を採取するための、本発明によるブラシの使用に関する。
【0026】
さらに、本発明によるブラシは、口若しくは咽頭から試料を採取するためにも、また子宮頚部スミアを採取するためにも、非常に容易に使用することができる。
【0027】
一般的な意味では、本発明によるブラシは、身体の空洞部を清掃かつ/又は試料採取するために使用することができ、その場合、収集される材料は、細胞学的/病理学的検査(細胞材料、バイオプシー)、細菌学的検査(例えば、膿の検査)、ウイルス検査、及び/又はDNA検査に使用することができる。
【0028】
以下で、本発明について、添付図面に即してより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明によるブラシ1の第1の実施形態を示す。このブラシ1は、その一部分だけが描かれた支持体2を含む。ブラシ毛の2つの列3、4が、この支持体2上に設けられる。列3は、ブラシ毛5の第1の列と呼ばれる列であり、列4は、ブラシ毛6の第2の列と呼ばれる列である。ブラシ毛5及び6は、それぞれ、支持体2とは反対を向く遠位端9と、支持体2を向く近位端7とを有する。第2の列4では、ブラシ毛6は、一般的であり当該技術分野で公知であるように、近位端7のところで支持体に固定される。
【0030】
第1の列3では、ブラシ毛5の近位端7自体は、支持体2に直接には固定されていない。この場所では、近位端7と支持体2との間にストリップ30が設けられている。このストリップ30は、第1の列3の長手方向に延び、長手方向側部32のところで支持体2に固定される。ブラシ毛5の近位端7は、ストリップ30の他の長手方向側部34に固定される。
【0031】
ストリップ30は、第1の列の毛5に追加の頑丈さを与える。ストリップ30自体が、長手方向のブラシ毛5よりも、その高さ方向でより剛性の高い構造を構成するので、ストリップは、毛5に言わば追加の剛性を与えるが、遠位端7から支持体2までの距離は、本質的に同一のままとすることができる。この追加の剛性は、ブラシの擦過動作を助ける。ブラシの収集容量(すなわち、ブラシ毛の間に材料を収集する容量)は、主にブラシ毛間のスペースによって決定される。ブラシ毛の遠位端から支持体までの距離Hは、この点で重要な因子である。これを本質的に同一のままとすることができるので、ブラシの収集容量は、損なわれずにあり、一方、擦過能力は、ブラシ毛の少なくとも一部を補剛することによって改善される。
【0032】
第2の列4内のブラシ毛6は、ここではすべて長さHを有する。第1の列の毛5は、ここではすべてH未満の長さを有する。第2の列では、ストリップ30の高さとブラシ毛5の長さとを加えると、Hに等しい。ゆえに、両方の列3及び4のブラシ毛5及び6の遠位端7は、支持体2の表面から距離H上方にある。列の長手方向Aで見たときに、ブラシ毛の長さが多様なものとなる可能性が非常に高いことが指摘される。ただし、前記列を横切る方向で見たとき、第1の列3及び第2の列4からの隣接ブラシ毛の遠位端は、いずれの場合にも支持体からほぼ同一の距離Hのところに位置することになる。「いずれの場合にもほぼ同一の距離のところ」によって、本発明が、また、両方の列内の隣接毛5、6間の前記「支持体から毛の遠位端9までの距離H」が30%異なる場合も意味することが指摘される。したがって、毛5の遠位端9が支持体2から約1cmのところに位置する場合、本発明によれば、毛6の遠位端9は、15%近く又は遠くにある、ゆえに支持体2から0.85若しくは1.15cmのところに位置する可能性が非常に高い。ここで関係があるのは、同一の列内及び隣接列内の隣接ブラシ毛が、組織材料を擦過/収集するときに互いに協働することである。
【0033】
図1は、単一の第1の列3と、単一の第2の列4とを示す。多くの変形形態が考えられることが明らかである。例えば、特許請求の範囲内で、
第2の列4が、第1の列3と同一にされる、ゆえにストリップ30を備えること、又は、
第1の列3の他の側に、別の第2の列4若しくはさらに別の第1の列3が設けられること、又は、
ブラシが、擦過能力を改善するために、いずれの場合にも、例えば1、2、3、4、若しくは5つの第2の列と呼ばれる普通の列ごとに第1の列と呼ばれる列を1つ備えた、ブラシ毛の複数の列を有することが確かに考えられる。
【0034】
図1による実施形態では、ストリップ30は、長手方向Aの平らな直線ストリップである。列が湾曲した経路をたどる場合、ストリップ30は、それに対応して湾曲した経路をたどり、それでも平らで本質的に直線的である。ただし、本発明によれば、ブラシ毛の列の長手方向(A)で見たときにストリップが波状経路を有していれば、きわめて有利である。その場合、ストリップは、言わば、主な延び方向のあたりを曲がりくねって進む。波状の形状は、ブラシが収集された材料をブラシ内で保持された状態に保つ能力を改善する。このような波状の形状は、材料の平らなストリップを波形にすることによって容易に実装することができる。他の実装形態が、図2A及び図2Bに関して示されている。さらに、ブラシ毛がそれによって効果的にさらに補剛されるので、そのような波状の形状は、擦過動作のさらなる改善に貢献する。波状のストリップは、その横断方向では、完全に平らなストリップよりも剛性が高い。
【0035】
図2A及び図2Bは、それぞれ、図3及び図4に示されるブラシの列13、14、15、16、及び17がどのように構成されるかを概略的に側面及び断面で示す。
【0036】
特に図2Bを見るとわかるように、列13、14、15、16、17は、毛部材の2つの帯から構成されており、2つの帯は、互いに横に並んで接触して位置する。この実施例では、毛部材は、三角形断面を有する。図2Bの上側の帯41からの2つの毛部材が示されており、図2Bの下側の帯42からの3つの毛部材が示されている。さらに、図2A及び図2Bを見ると、一方の帯41からの毛部材が他方の帯42からの毛部材に対してオフセットして配置されることがわかる。一方の帯41及び他方の帯42からの毛部材は、重複領域45で互いに重なり合う。この地点で、一方の帯からの毛部材と他方の帯からの毛部材とが、この方法で図1のストリップ30に匹敵するストリップ31を形成するように互いに接合される、すなわち、互いに固定される。毛部材の三角形の断面形状の結果、このストリップ30は、波状経路を有する。以上で説明したように、この波状経路は、ブラシが収集された組織を保持された状態に保つ能力に関しても、また追加的な補剛によって擦過動作を改善することに関しても、利点を有する。
【0037】
ストリップ30は、毛部材/ストリップ30がそれによって支持体12に固定される、下側の長手方向側部33(図2A参照)と、毛部材がそこから互いに別々に立ち上がる、上側の長手方向側部35とを有する。ゆえに、列13、14、15、16、17内のブラシ毛18は、毛部材の遠位部分44によって形成される。毛部材の近位部分43は、相まってストリップ31を形成する。ブラシ毛18の近位端19は、ストリップ31に固定される。毛部材が本質的に1部品であるので、この固定は、接合部というよりもむしろ本質的に移行部となる。
【0038】
図2Bに関して、各毛部材は、三角形断面を有しており、三角形の形状は、二等辺三角形の形態である。この場合、毛部材ごとに2本の等しい腕47と底辺46とが関係する。
【0039】
図2Aに関して、毛部材が遠位方向にテーパし、切頭遠位端20を有することがわかる。この切頭遠位端20は、ブラシ毛18の擦過動作を改善する。毛が頂点まで完全にテーパするなら、毛は、遠位端のところで非常に柔らかいものとなる。
【0040】
図2Bでは、ストリップの厚さは、さらにZによって示される。この厚さは、ここでは、ブラシ毛18の近位端19の厚さにほぼ等しい。毛部材43、44が遠位方向にテーパしている結果、厚さZは、結局のところ、ブラシ毛の近位端の厚さよりもいくらか大きくなる。波状のストリップ31の代わりに平らなストリップを作製し、それでもなおブラシ毛の2つの帯41及び42を保持するように選択がなされる場合、ストリップの厚さは、毛部材の近位端19の厚さの2倍にほぼ等しくなる。
【0041】
図3及び図4は、図2A及び図2Bに即して前述のように構成された、ブラシ毛の列13、14、15、16、及び17を備えるブラシを示す。
【0042】
図3及び図4のブラシは、その全体を11によって示されている。ブラシは、ハンドル上に固定するためのハンドルアタッチメント50を有する。ハンドルをこのハンドルアタッチメント50に挿入することもでき、又はハンドルアタッチメント50をハンドルの中空端に挿入することもできる。
【0043】
細長い支持体12が、ハンドルアタッチメント50から延びる。この支持体は、言わば、長手軸50の周りに別々に位置する4つの90°セクタを有する。対向するセクタのうちの2つが、49によって示されている。これらのセクタそれぞれが、4つの列13を有しており、各セクタには、両側に列58が配置される。列58は、本質的に単一の帯41又は42から成る(図2A及び図2B参照)。いずれの場合にも、列14がセクタ間の中央に設けられる。両方の列13及び14が、図2A及び図2Bにしたがって構成される。列13、14、及び58は、すべて支持体/ハンドルの長手軸51に平行に延びる。ブラシ毛は、支持体に対して径方向又は概ね径方向に向けられている。
【0044】
支持体の前端のところには、放射状列15と、1つの円形列16と、まっすぐな1つの中央列17とが設けられる。これらすべての列内の毛が、支持体/ハンドルに対して本質的に軸方向に向けられている。放射状列15は、互いに本質的に平行に走る。列15、16、及び17は、すべて図2A及び図2Bにしたがって構成される。
【0045】
図3及び図4に示されるブラシの場合、とりわけ、
軸方向の毛の列15、16、及び17を完全に省略でき、一方、径方向の毛の列13及び/若しくは14及び/若しくは58が普通に存在する形態、又は、
径方向の毛の列13、14、及び58を完全に省略でき、一方、軸方向の毛の列15、16、及び17が存在する形態、ならびに/又は、
列13及び/若しくは15及び/若しくは14の数を変えることができる形態、ならびに/又は、
列58及び/若しくは16及び/若しくは17を省略できる形態、ならびに/又は、
列15を同心の円形列16によって置き換えることができる形態など、特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲内に入る多くの変形形態が考えられることが指摘される。
【0046】
本発明によるブラシは、様々な用途に適している。これらの用途は、また、「生体組織を清掃又は試料採取する」領域から外れることもできる。以下は、とりわけ、生体組織を清掃又は試料採取する分野における用途として言及することができる:
口腔の試料採取:この場合、より深部に位置する細胞も収集/試料採取しなければならないので、ブラシ毛の正しい剛性が重要である。また、幾何学形状も重要である。時には、ブラシの側部だけが使用され、また時には、特に前面が使用される(例えば、頬の特定の部分の場合)。
子宮頚部、腟、肛門、又は腸の試料採取:本発明によるブラシは、基本的に身体のすべての空洞部に使用することができる。ブラシのサイズ及び形状は、適用領域ごとに変えることができ、したがって、サイズ及び形状は、それぞれ、身体の関係する空洞部に適合される。
細胞学的、病理学的(細胞材料、バイオプシー)検査、細菌学的検査、ウイルス検査、DNA検査。
【0047】
医学研究のための本発明によるブラシの使用に関しては、試料の採取が医療従事者だけの活動ではないことが指摘される。患者は、通常、とりわけ子宮頚部スミア、肛門スミア、DNAスミアなどで知られているように、彼/彼女自身で試料を採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態によるブラシを非常に図式的に示す斜視図である。
【図2A】図3及び図4によるブラシの、ブラシ毛の第1の列と呼ばれる列の一部分の構成を非常に図式的に示す側面図である。
【図2B】図3及び図4によるブラシの、ブラシ毛の第1の列と呼ばれる列の一部分の構成を非常に図式的に示す、図2Aの矢印II−IIによる断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態によるブラシの斜視図である。
【図4】図3に示されるブラシの、図3の矢印IVによる前面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ブラシ
2 支持体
3 ブラシ毛の列
4 ブラシ毛の列
5 ブラシ毛
6 ブラシ毛
7 近位端
9 遠位端
11 ブラシ
12 支持体
13、14 列
15 放射状列
16 円形列
17 中央列
18 ブラシ毛
19 近位端
20 切頭遠位端
22 近位端
23 遠位端
24 ブラシ毛
30 ストリップ
31 ストリップ
32、33、34、35 長手方向側部
41、42 帯
43 近位部分
44 遠位部分
45 重複領域
46 底辺
47 腕
48 細長い部材
49 セクタ
50 ハンドルアタッチメント
51 長手軸
58 列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織を特に清掃又は試料採取するようなブラシ(1;11)であって、ブラシ毛(5;18)の少なくとも1つの第1の列(3;13、14、15、16、17)とブラシ毛(6;18、24)の少なくとも1つの第2の列(4;13、14、15、17、58)とを備えた支持体(2;12)を含んでおり、
ブラシ毛(6;18、24)の前記第1の列(3;13、14、15、16、17)及び前記第2の列(4;13、14、15、17、58)が、互いに隣り合って位置しており、
各ブラシ毛(5、6;18、24)が、前記支持体(2;12)を向く近位端(7;19、22)と、前記支持体(2;12)とは反対を向く遠位端(9;20、23)とを有しており、
ブラシ毛(5;18)の第1の列(3;13、14、15、16、17)が、前記第1の列(3;13、14、15、16、17)の長手方向(両方向矢印A)に延びる、その長手方向側部(32;33)が前記支持体(2;12)に固定された、ストリップ(30;31)を含んでおり、
前記第1の列(3;13、14、15、16、17)内の前記ブラシ毛(5;18)の前記近位端(7;19)が、前記ストリップ(30;31)の他の長手方向側部(34;35)に固定されることを特徴とするブラシ。
【請求項2】
前記第1の列(3;13、14、15、16、17)及び前記第2の列(4;13、14、15、17、58)内の前記ブラシ毛(5;18)の前記遠位端(9;20)が、前記列を横切る方向(両方向矢印B)で見たときに、いずれの場合にも前記支持体(2;12)からほぼ同一の距離(H)のところに位置することを特徴とする請求項1に記載のブラシ。
【請求項3】
ブラシ毛(6;18、24)の前記第1の列(3;13、14、15)及び前記第2の列(4;13、14、15、17、58)が互いに平行であることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラシ(1;11)。
【請求項4】
ブラシ毛(18)の少なくとも1つの前記第2の列(13、15、16、17)が、ブラシ毛(18)の少なくとも1つの前記第1の列(13、15、16、17)と本質的に同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のブラシ(11)。
【請求項5】
互いに平行で、かつ互いに横に並んで位置するブラシ毛(18)の、2、3、若しくはそれ以上の前記第1の列(13、15)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のブラシ(11)。
【請求項6】
ブラシ毛(18)の前記第1の列(13、14、15、16、17)が、互いにオフセットされた毛部材の2つの帯(41、42)から構成され、前記2つの帯が互いに横に並んで接触して位置しており、
各毛部材が遠位部分(44)と近位部分(43)とを有しており、
毛部材の一方の帯(41)からの各毛部材の前記近位部分(43)が、いずれの場合にも毛部材の他方の帯(42)からの隣接毛部材の前記近位部分(43)に重複領域(45)で重なり合っており、前記重複領域(45)では、互いに横に並んで接触して位置する前記互いにオフセットされた毛部材帯(41、42)の前記毛部材の前記近位部分(43)が前記ストリップ(31)を形成するように、前記毛部材が単一体として接合されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のブラシ(11)。
【請求項7】
前記毛部材の前記遠位部分(44)が、ブラシ毛の前記第1の列(13、14、15、16、17)の前記ブラシ毛(18)を形成することを特徴とする請求項6に記載のブラシ(11)。
【請求項8】
各毛部材が、底辺(46)を備えた三角形の形態の断面を有しており、互いに横に並んで接触して位置する前記互いにオフセットされた毛部材帯(41、42)の前記底辺(46)が、互いに平行で向かい合うことを特徴とする請求項6又は7に記載のブラシ(11)。
【請求項9】
前記三角形が二等辺三角形であり、その前記底辺(46)が、互いに離れる方向を向く等しい腕(47)の端部間を延びることを特徴とする請求項8に記載のブラシ(11)。
【請求項10】
ブラシ毛(18;58)が遠位方向にテーパし、前記遠位端(20;23)のところで切頭されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のブラシ(11)。
【請求項11】
前記ストリップ(31)が、前記列(13、14、15、16、17)の長手方向で見たときに波状経路を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のブラシ(11)。
【請求項12】
前記支持体(2;12)とブラシ毛(5;18)の少なくとも1つの前記第1の列(3;13、14、15、16、17)とが、特にプラスチック製の、一体型射出成型製品として作製されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のブラシ(1;11)。
【請求項13】
前記支持体(12)が、ブラシ毛(18)の少なくとも1つの前記第1の列(13、14)をその長手方向壁の少なくとも2つの対向するセクタ(49)上に備えた細長い部材(48)を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のブラシ(11)。
【請求項14】
前記支持体(12)が、周囲全体にブラシ毛(18)のこれら複数の前記第1の列(13、14)を備えた細長い部材(48)を含むことを特徴とする請求項1〜13の一項に記載のブラシ(11)。
【請求項15】
ブラシ毛(18)の前記第1の列(13、14)が、前記細長い部材(48)の長手方向に延びることを特徴とする請求項13又は14に記載のブラシ(11)。
【請求項16】
前記支持体(12)の長手方向を横切って見たときに、前記ブラシ(11)の厚さ(D)が、約10mm以下など、約20mm未満であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載のブラシ(11)。
【請求項17】
前記支持体(12)をそれによってハンドル(51)上に嵌合できるハンドルアタッチメント(50)を有しており、前記支持体(12)が、前記ハンドル(51)の長手方向に走るブラシ毛の少なくとも1つの前記第1の列(15、16、17)を備えることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のブラシ(11)。
【請求項18】
ブラシ毛の前記第1の列(3;13)とブラシ毛の隣接列(4;13、18)との間の中心間距離(X)が、1.5mm未満など、約3mm未満であり、特に約1mm未満であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のブラシ(1;11)。
【請求項19】
前記ブラシ毛(5、18)の断面積が、約0.3mm未満など、約1mm未満、特に0.1mm未満であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載のブラシ(1;11)。
【請求項20】
前記ストリップ(30;31)の厚さ(Z1、Z2)が、前記ストリップ(30;31)に固定された前記ブラシ毛の前記近位端(7;19)の厚さの50%〜200%に等しいことを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項21】
生体組織を清掃又は試料採取するために、請求項1〜20のいずれか一項に記載のブラシ(1;11)を利用することを特徴とする方法。
【請求項22】
流体の細胞学的検査用、及び/又は細菌学的検査用、及び/又はウイルス検査用、及び/又はDNA検査用の試料を採取するために、請求項1〜20のいずれか一項に記載のブラシ(1;11)を利用することを特徴とする方法。
【請求項23】
口若しくは咽頭から試料を採取するために、請求項1〜20のいずれか一項に記載のブラシ(1;11)を利用することを特徴とする方法。
【請求項24】
子宮頚部スミアを採取するために、請求項1〜20のいずれか一項に記載のブラシ(1;11)を利用することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−520567(P2009−520567A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547122(P2008−547122)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/NL2005/050092
【国際公開番号】WO2007/073152
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(508186705)
【Fターム(参考)】