生活習慣病治療装置
【課題】運動できない高齢者や身体障害者に対しても用いることができ、カロリーを特に制限することなく用いることができ、且つ、薬の弊害を生ずること無く、有効に糖尿病および高血圧症を抑制・改善・治療できるといった糖尿病治療装置および高血圧症治療装置としての機能を発揮する優れた生活習慣病治療装置を提供する。
【解決手段】人体を収容可能で糖尿病および高血圧症の抑制、改善または治療を行うための気密空間Sと、前記気密空間に対して、高濃度の酸素を含む気体を供給し該気密空間Sを略1.25気圧で、且つ、36.0%〜39.0%酸素濃度にさせる気体供給部5と、を具備してなるようにした。
【解決手段】人体を収容可能で糖尿病および高血圧症の抑制、改善または治療を行うための気密空間Sと、前記気密空間に対して、高濃度の酸素を含む気体を供給し該気密空間Sを略1.25気圧で、且つ、36.0%〜39.0%酸素濃度にさせる気体供給部5と、を具備してなるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密空間内を所定の高気圧高濃度酸素にすることで、糖尿病の抑制、改善または治療を行うようにした糖尿病治療装置、および、高血圧症の抑制、改善または治療を行うようにした高血圧症治療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、疲労回復、血流促進などの効果を向上させることができる高気圧式酸素供給装置が知られている。
【0003】
具体的にこの種の高気圧式酸素供給装置は、患者を収容するチャンバと、加圧ポンプにより前記チャンバ内に空気を送り込んでチャンバ内を加圧するための加圧機構とを具備し、前記加圧ポンプから前記チャンバ内に供給する空気流量を制御することにより、前記チャンバの内圧を第1圧力(例えば、1.4気圧程度)と、第2圧力(1.2気圧程度)に交互に切り替えられるようにしてある。
【0004】
このような高気圧式酸素供給装置によれば、チャンバ内を、例えば、酸素濃度を30%としながら加圧状態にすることによって周辺圧力環境下での酸素吸入量よりも多量の酸素を患者に取り込ませることに加えて、チャンバの内圧を第1圧力と第2圧力に交互に切り替えることにより、チャンバ内に収容された患者に、もみ効果を与えることができ、疲労回復、血流促進などの効果を向上させることができる。
【0005】
また、チャンバ内に供給する気体として、純酸素ガスや酸素濃度が90%以上の気体などを用いることで、例えば一酸化中毒の患者や潜水病の患者など、高濃度の酸素を必要とする患者を対象とすることができるようにされている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
そして、例えば、チャンバ内を、人間が耐えうる最大の気圧(2〜3気圧)と酸素濃度(純酸素)とし、かかる環境に患者を滞在させることで、心臓病、外傷、ガス中毒、高山病、潜水病といった、疾病・傷害に対する効果があることも明らかにされており、このような環境を維持できるものが、高気圧酸素治療装置として供給されている。
【特許文献1】特開2004−275706号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記の疾病・傷害の治療で使用されている気圧と酸素濃度との組み合わせでは、細胞の代謝を上昇させることにより血糖値や血圧を安定できるものではなく、糖尿病や高血圧症を抑制したり、改善、治療することはできない。したがって、糖尿病や高血圧症の治療としては、運動療法、食餌療法、薬の投与が用いられている。
【0008】
しかしながら、このような糖尿病や高血圧症の治療方法のうち運動療法は、運動できない高齢者や身体障害者に対して用いることができないといった問題点を有している。また、カロリーを制限する食餌療法では健康や体力を維持することが難しいといった問題点を有している。またさらに、薬は、副作用を伴うことが多いものであることに加え、薬に対する抵抗性が増えた場合には薬量も増やしていかなければならないといった問題点を有している。
【0009】
また、高気圧高酸素濃度にすれば、上述したように疾病・傷害に効果があるのだから、糖尿病や高血圧症といった生活習慣病にも効果があるだろうとして、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病に対して抑制・改善・治療効果があるとうたった装置も提供されているが、実際には、効果があるだろうといった域を決して出るものではなく、生活習慣病に効果があるとうたっていることは、なんらのデータに裏付けされたものではないし、単にその装置に対して需要者の気を引くためのものにすぎない。
【0010】
本発明は、永年に亘る研究の下、気圧と酸素濃度とをある条件下で併用すると、細胞の代謝を上昇させて血糖値と血圧とを安定させることができ、しかも、従来の療法の弊害を防止しながら、糖尿病や高血圧症の抑制・改善・治療を有効に行えるのではないかという独自の発想から生まれたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、従来の糖尿病療法や高血圧症療法の弊害を招くことなく、有効に糖尿病や高血圧症を抑制・改善・治療可能な糖尿病治療装置および高血圧症治療装置を提供することを、その所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち本発明にかかる糖尿病治療装置は、人体を収容可能で糖尿病の抑制、改善または治療を行うための気密空間と、前記気密空間に対して、高濃度の酸素を含む気体を供給し前記気密空間を略1.25気圧で、且つ、36.0%〜39.0%酸素濃度にさせる気体供給部と、を具備してなることを特徴とする。
【0013】
このようなものであれば、気密空間を、略1.25気圧で、36.0%〜39.0%酸素濃度の高気圧高濃度酸素とすることで、溶存酸素を効果的に増大させることができ、末梢の細胞へ効率よく酸素を運搬・供給することができるようになる。結果、細胞の代謝を上昇させることができ、血糖値や血圧を安定させて、有効に糖尿病を抑制・改善・治療することができる。
【0014】
すなわち、運動できない高齢者や身体障害者に対しても用いることができ、カロリーを特に制限することなく用いることができ、且つ、薬の弊害を生ずること無く、有効に糖尿病を抑制・改善・治療できるといった優れた糖尿病治療装置を提供することができる。
【0015】
また、本発明にかかる高血圧症治療装置は、人体を収容可能で高血圧症の抑制、改善または治療を行うための気密空間と、前記気密空間に対して、高濃度の酸素を含む気体を供給し前記気密空間を略1.25気圧で、且つ、36.0%〜39.0%酸素濃度にさせる気体供給部と、を具備してなることを特徴とする。
【0016】
このようなものであれば、気密空間を、略1.25気圧で、36.0%〜39.0%酸素濃度の高気圧高濃度酸素とすることで、溶存酸素を効果的に増大させることができ、末梢の細胞へ効率よく酸素を運搬・供給することができるようになる。結果、細胞の代謝を上昇させることができ、血糖値や血圧を安定させて、有効に高血圧症を抑制・改善・治療することができる。
【0017】
すなわち、運動できない高齢者や身体障害者に対しても用いることができ、カロリーを特に制限することなく用いることができ、且つ、薬の弊害を生ずること無く、有効に高血圧症を抑制・改善・治療できるといった優れた高血圧症治療装置を提供することができる。
【0018】
本発明の糖尿病治療装置および高血圧症治療装置の望ましい態様としては、剛体の本体と、この本体に対して開閉可能な剛体の蓋体と、前記蓋体を閉塞状態にした際に前記本体および前記蓋体の各縁部間で弾性変形しながら保持されるシール部材とを具備し、前記気密空間が、前記蓋体を閉塞状態にした際に、前記本体と前記蓋体とで囲まれる内部空間に形成されるものが挙げられる。このようなものであれば、気体がシール部材のところから漏れるのを防止して、気密空間を、略1.25気圧で、36.0%〜39.0%酸素濃度に好適に保つことができる。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明に係る糖尿病治療装置は、気密空間を、略1.25気圧で、36.0%〜39.0%酸素濃度の高気圧高濃度酸素とすることで、溶存酸素を効果的に増大させることができ、末梢の細胞へ効率よく酸素を運搬・供給することができるようになる。結果、細胞の代謝を上昇させることができ、血糖値や血圧を安定させて、有効に糖尿病を抑制・改善・治療することができる。
【0020】
すなわち、運動できない高齢者や身体障害者に対しても用いることができ、カロリーを特に制限することなく用いることができ、且つ、薬の弊害を生ずること無く、有効に糖尿病を抑制・改善・治療できるといった優れた糖尿病治療装置を提供することができる。
【0021】
また、本発明に係る高血圧症治療装置は、気密空間を、略1.25気圧で、36.0%〜39.0%酸素濃度の高気圧高濃度酸素とすることで、溶存酸素を効果的に増大させることができ、末梢の細胞へ効率よく酸素を運搬・供給することができるようになる。結果、細胞の代謝を上昇させることができ、血糖値や血圧を安定させて、有効に高血圧症を抑制・改善・治療することができる。
【0022】
すなわち、運動できない高齢者や身体障害者に対しても用いることができ、カロリーを特に制限することなく用いることができ、且つ、薬の弊害を生ずること無く、有効に高血圧症を抑制・改善・治療できるといった優れた高血圧症治療装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
本実施形態に係る生活習慣病治療装置Aは、糖尿病治療装置としての機能および高血圧症治療装置としての機能を発揮するものであって、図1、図2、図3、図4に示すように、略箱体状で人体を載置可能な載置部11を有するカプセル本体1(本発明の「本体」に相当)と、このカプセル本体1の反使用端側にヒンジ(図示せず)を介して取り付けられ且つカプセル本体1に対して開成する開成位置(P1)または閉塞する閉塞位置(P2)に操作される外観視略部分円柱状(換言すると略かまぼこ状)の蓋体2と、カプセル本体1の縁部と蓋体2の縁部との間に配される弾性変形可能なシール部材3と、カプセル本体1及び蓋体2の使用端側に設けて成り、蓋体2を開成位置(P1)又は閉塞位置(P2)に位置付けるための4つの開閉操作部4(図1では略)と、カプセル本体1と蓋体2との間に設けられ蓋体2を開成させる方向に付勢するダンパ(図示せず)と、蓋体2を閉塞位置(P2)にした際にカプセル本体1と蓋体2とが形成する気密空間Sに対して高気圧で高濃度の酸素を含有した高気圧高濃度酸素含有空気(本発明の「気体」に相当)の供給する酸素供給部5(本発明の「気体供給部」に相当)と、を具備するものである。
【0025】
そして、本実施形態では、酸素供給部5から高気圧高濃度酸素含有空気の供給を受けるために、蓋体2に空気供給口a1を設けるとともに、空気排出口b1、b2を設けているに加え、空気排出口b2については、内部気圧が1.27気圧以上となった場合に、内部気圧を減圧し得るリリーフバルブLVを設けている。しかして、蓋体2を閉塞位置(P2)にした際にカプセル本体1と蓋体2との間に形成される気密空間Sが、略1.25気圧で、且つ、36.0%〜39.0%酸素濃度に維持されるようにしている。
【0026】
なお、本実施形態では、後述の実験等のために、気圧および酸素濃度を適宜調整して、糖尿病治療装置や高血圧症治療装置以外の用途としても使用できるようにしている。
【0027】
以下、各部を具体的に説明する。
【0028】
カプセル本体1は、図3、図4などに示すように、平面視略矩形状の載置部11と、この載置部11の四辺をそれぞれ支持する周壁部12とを具備し、これら各部をFRP(Fiberglass Reinforced Plastics)により一体に形成して成る。より具体的に載置部11は、平面視略矩形状で薄板状の載置板111と、この載置板111の各端縁から内側に変位させた位置において上方へ数cm程度膨出させた厚肉部112とを具備している。そして、厚肉部112の奥行き寸法と載置板111の奥行き寸法とを略一致させるとともに、この厚肉部112の上端縁を概観視略部分円弧状に形成することで、人体を載置した際の載置板111の撓みを防止するようにしている。また、載置板111の縁部と厚肉部112との間で後述するダンパの基端部を支持するように構成している。また、載置部11には、使用者がカプセル内で快適に横になることができるように、マット1Mを載置させている。このマット1Mは、例えば、弾力性を有するウレタンを主体としたもの等、実施態様に応じて適宜なものを用いることができる。また、マット1Mを用いなくてもよい。加えて、載置板111の裏面には、剛性を確保するためのリブ(図示せず)を適宜設けている。一方、周壁部12の上端側の縁部には、シール部材3を保持する嵌合凹部121と、この嵌合凹部121の内側に、該嵌合凹部121の底面121aよりもさらに下方へ窪ませた内側窪部122とを形成している。
【0029】
蓋体2は、図3、図5などに示すように、平面視略矩形状の開口部を有し且つ長手方向に沿って各部等断面略部分円弧状を成す蓋側胴部21と、この蓋側胴部21を補強する複数の補強リブ22とを具備し、これら各部をFRPにより一体に形成して成る。そして、この蓋側胴部21の縁部には、嵌合凹部121の幅方向へがたつくことを規制されながらその嵌合凹部121に嵌まり込み得る嵌合凸部211と、この嵌合凸部211の内側に、該嵌合凸部211の先端211aよりもさらに膨出させてなり且つ内側窪部122に沿って配され得る内側膨出部212とを形成している。また、蓋側胴部21の一端側(カプセル本体1内で横たわる使用者の頭部と対応する位置)には、覗き窓213を設けている。この覗き窓213は、略透明なアクリル板を用いて形成しているが、使用する材料等は適宜変更可能である。また、覗き窓213を設けなくても良い。また、この蓋体2の外側の使用側縁に沿って、ハンドル2H(図2では略)を設けているが、取付位置などは実施態様に応じて適宜変更可能である。加えて、この蓋体2の内側には、外部のオペレータと通話するための電話機と、制御回路の制御を緊急停止するための緊急停止ボタン(ともに図示せず)とを設けているが、これらをカプセル本体1側に設けることを妨げない。
【0030】
シール部材3は、図4、図6、図7に示すように、略円環状を成し、カプセル本体1の縁部と蓋体2の縁部との間に配される弾性変形可能なものである。本実施形態では、チューブ状でゴム製のものを用いている。なお、このシール部材3は、例えば、中実状のものを用いたりする等、断面形状は実施態様に応じて適宜変更可能である。また、材質も例えばシリコン製のものとするなど適宜で構わない。
【0031】
開閉操作部4は、図3、図6、図7に示すように、金属製のフック41と、このフック41に係止され得る金属製のアーム42と、このアーム42を前記フック41に係止される係止位置(Q1)または係止解除され得る係止解除可能位置(Q2)または完全に係止解除される係止解除位置(Q3)(図示せず)に操作するための金属製の操作レバー43と、この操作レバー43を支持する金属製のベース44とを備える一般にキャッチクリップと呼ばれるものであって、本実施形態では、ベース44をカプセル本体1に設け、フック41を蓋体2に設けている。また、これらベース44とフック41との取付位置は、操作レバー43を操作して、アーム42をフック41側に引き寄せて係止位置(Q1)に位置付けたときに、カプセル本体1に設けた嵌合凹部121と、蓋体2に設けた嵌合凸部211とが、嵌り合う所定の位置となるように、各取付位置を設定している。
【0032】
酸素供給部5は、図1に示すように、酸素ボンベ51と、この酸素ボンベ51内の酸素の気密空間Sへの供給を制御する制御装置52等とを備えるものである。
【0033】
より具体的に制御装置52は、排気により気密空間S内の気圧を制御する制御弁520と、制御弁520の開閉状態を制御する制御回路521と、操作用のコントロールパネル522とを具備するものである。
【0034】
制御回路521は、気密空間S内に設けた酸素センサおよび圧力センサからの信号を受信し、気密空間S内が所定の状態(略1.25気圧で、且つ、36.0vol%〜39.0vol%酸素濃度)となるように、制御弁520に対して、その開閉状態を制御する信号を出力するものである。
【0035】
コントロールパネル522は、図8に示すように、気密空間S内への酸素供給を開始するための酸素供給用スタートボタンB11、気密空間Sの圧力を設定するための圧力設定ダイヤルB12、気密空間S内の圧力を表示するためのカプセル内圧力表示部B13、気密空間S内の酸素濃度を表示するための酸素濃度表示部B14、気密空間S内の圧力を減圧するためのエア抜きボタンB15、制御回路の制御を緊急停止するための緊急停止ボタンB16を有するに加え、気密空間S内の使用者と通話するための電話機B17と、時間を計測するためのタイマB18とをさらに有している。
【0036】
なお、酸素ボンベと、制御装置と、カプセル本体1及び蓋体2などとを、別体にしているが、これらを一体に組み付けることを妨げない。
【0037】
以上のように構成される生活習慣病治療装置Aについて、糖尿病および高血圧症に対する有効性を検証するために、以下の実験を行った。
【0038】
(1)糖尿病に対する有効性について
【0039】
(1−1)実験目的
【0040】
生活習慣病治療装置Aを使用して、高気圧・高濃度酸素への滞在が血糖の上昇にどのような影響を及ぼすのかを、糖尿病を発症するモデル動物(Goto−Kakizaki(GK)ラット)から明らかにする。
【0041】
(1−2)実験方法
【0042】
生後5週齢の雄GKラットを、下記の6群に分けて生後5週齢から4週間にわたり飼育した。
【0043】
A:1気圧で20.9%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):対照群
B:1気圧で36.0%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):酸素濃度を増大させた群
C:1気圧で40.0%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):酸素濃度を増大させた群
D:1.25気圧の環境で飼育(8匹):気圧を上昇させた群
E:1.30気圧の環境で飼育(8匹):気圧を上昇させた群
F:1.25気圧で36.0%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):気圧を上昇させて、さらに酸素濃度を増大させた群
【0044】
BからFの群を1日1回、6時間(午前10時から午後4時)にわたってそれぞれの環境に滞在させた。すべての群は、水と餌を自由に摂取させた。血糖は、実験開始時(生後5週齢)、2週間後(生後7週齢)、4週間後(生後9週齢)にラットの空腹時に尾部の静脈から採取した血液で測定した。測定にはARKRAY社の血糖測定機(グルコカードダイアメーター GT−1641)を使用した。
【0045】
(1−3)実験結果
【0046】
実験結果を図9に示す。
【0047】
生後5週齢から生後9週齢までの4週間で、GKラットの血糖値は123.9±6.9mg/dlから208.8±8.9mg/dlまで上昇した。
【0048】
1日6時間にわたり酸素濃度を増大させた環境(B群(36.0%)またはC群(40.0%)で飼育したところ、血糖値の上昇には影響が認められなかった。
【0049】
1日6時間にわたり気圧を上昇させた環境(D群(1.25気圧)またはE群(1.30気圧))で飼育したところ、2週間目では血糖値の上昇に影響が認められなかったが、4週間目では対照群(A群)や酸素濃度を増大させた群(B群(36.0%)またはC群(40.0%)に対して低い血糖値を示した。
【0050】
1日6時間にわたり気圧を上昇させて、さらに酸素濃度を増大させた環境(F群(1.25気圧で酸素濃度36.0%))で飼育したところ、2週間目および4週間目において、同週齢の他のすべての群に対して低い血糖値を示した。
【0051】
(1−4)結論
【0052】
糖尿病を発症するラットを1.25気圧で36.0%の酸素濃度の環境に1日1時間にわたって滞在させたところ、血糖値の上昇を完全に抑制できた。このような環境での血糖値の上昇の抑制は、気圧だけを上昇(1.25気圧または1.30気圧)させて認められるものよりも早期に、さらに顕著であった。
【0053】
(2)高血圧症に対する有効性について
【0054】
(2−1)実験目的
【0055】
生活習慣病治療装置Aを使用して、高気圧・高濃度酸素への滞在が血圧の上昇にどのような影響を及ぼすのかを、高血圧症を発症するモデル動物(Spontaneously Hypertensive Rat(SHR))から明らかにする。
【0056】
(2−2)実験方法
【0057】
生後5週齢の雄SHRを、下記の6群に分けて生後5週齢から8週間にわたり飼育した。
【0058】
A:1気圧で20.9%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):対照群
B:1気圧で36.0%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):酸素濃度を増大させた群
C:1気圧で40.0%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):酸素濃度を増大させた群
D:1.25気圧の環境で飼育(8匹):気圧を上昇させた群
E:1.30気圧の環境で飼育(8匹):気圧を上昇させた群
F:1.25気圧で36.0%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):気圧を上昇させて、さらに酸素濃度を増大させた群
【0059】
BからFの群を1日1回、6時間 (午前10時から午後4時) にわたってそれぞれの環境に滞在させた。すべての群は、水と餌を自由に摂取させた。血圧は、実験開始時(生後5週齢)、4週間後(生後9週齢)、8週間後(生後13週齢)にラットの尾部を使用して測定した。測定には、Softron社の実験動物用血圧測定装置(BP−98A)を使用した。
【0060】
(2−3)実験結果
【0061】
実験結果を図10、図11に示す。
【0062】
生後5週齢から生後13週齢までの8週間で、SHRの収縮期血圧は、155.1±10.4 mmHgから195.8±17.3mmHgまで上昇した。同様に、拡張期血圧は、120.8±8.5 mmHgから155.6±12.0 mmHgまで上昇した。
【0063】
1日6時間にわたり濃度を増大させたり(B群(36.0%)またはC群(40.0%))、気圧を上昇させた環境(D群(1.25気圧)またはE群(1.30気圧))で飼育したところ、収縮期および拡張期の血圧の上昇には影響が認められなかった。
【0064】
1日6時間にわたり気圧を上昇させて、さらに酸素濃度を増大させた環境(F群(1.25気圧で酸素濃度36.0%))で飼育したところ、4週間目の収縮期の血圧、8週間目の収縮期および拡張期の血圧において、同週齢の他のすべての群に対して低い収縮期および拡張期の血圧を示した。
【0065】
(2−4)結論
【0066】
高血圧症を発症するラットを1.25気圧で36.0%の酸素濃度の環境に1日1時間にわたって滞在させたところ、収縮期および拡張期の血圧の上昇を抑制できた。このような環境での血圧の上昇の抑制は、気圧だけを上昇(1.25気圧または1.30気圧)させても酸素濃度だけを増大させても(36.0%または40.0%)認められなかった。
【0067】
(3)まとめ
【0068】
現代人は、糖尿病や高血圧症の罹患率が極めて高い。本実験では、糖尿病と高血圧症のモデル動物を使用して、高気圧・高濃度酸素への曝露が血糖や血圧の上昇を抑制できるかどうかを検討した。糖尿病のモデル動物としてはGKラットを、高血圧症モデル動物としてはSHRを使用した。これらのモデル動物は、いずも系統が確立されており、糖尿病や高血圧症の病態の解明のために頻繁に使用されている。
【0069】
本実験では、気圧だけを上昇させた2群(1.25気圧または1.30気圧)と酸素濃度だけを増大させた2群(36.0%または40.0%)、さらに気圧を上昇させて酸素濃度を増大させた1群(1.25気圧で36.0%)を設定した。
【0070】
血中酸素含有量についての理論値は下記の通りである。
【0071】
1.0気圧で21.0%の酸素濃度:結合酸素は20.4vol%/100ml、溶存酸素は0.31vol%/100ml
1.0気圧で30.0%の酸素濃度:結合酸素は20.4vol%/100ml、溶存酸素は0.47vol%/100ml
1.0気圧で50.0%の酸素濃度:結合酸素は20.4vol%/100ml、溶存酸素は0.64vol%/100ml
1.3気圧で21.0%の酸素濃度:結合酸素は20.4vol%/100ml、溶存酸素は0.39vol%/100ml
1.3気圧で30.0%の酸素濃度:結合酸素は20.4vol%/100ml、溶存酸素は0.61vol%/100ml
1.3気圧で50.0%の酸素濃度:結合酸素は20.9vol%/100ml、溶存酸素は1.09vol%/100ml
【0072】
気圧を1.3まで上昇させて、さらに酸素濃度を50.0%に増大させても血中酸素含有量としては1.20vol%/100mlの増大に過ぎない。一方、溶存酸素量についてみると、酸素濃度を50.0%に増大させると血中含有量は2.1倍に増大、さらに、酸素濃度を50%に増大させて気圧を1.3まで上昇すると血中含有量は3.5倍に増大する。したがって、気圧を上昇させて、さらに酸素濃度を増大させることにより溶存酸素量を増大できることになる。溶存酸素は、体液中に遊離して存在しているので、末梢の毛細血管(直径は約10μm)内を容易に通過できる。一方、結合酸素は、赤血球(直径は約10μm)内のヘモグロビンに結合しているために直径10μm以下の毛細血管内を流れることは難しい。高気圧と高濃度酸素を併用することにより溶存酸素を増大させることができ、末梢の細胞へ効率よく酸素を運搬・供給できる。
【0073】
また、気圧の上昇は酸素分圧を増大させる。組織内酸素分圧についての理論値は下記の通りである。
【0074】
1.0気圧で21.0vol%の酸素濃度:90mmHg
1.3気圧で21.0vol%の酸素濃度:165mmHg
1.3気圧で30.0vol%の酸素濃度:210mmHg
【0075】
気圧の上昇は組織内酸素分圧を上昇させる。組織内酸素分圧の上昇によって、ヘモグロビンは末梢で酸素を遊離しやすくなる。これにより末梢の細胞へより多くの酸素を供給できる。
【0076】
理論的には、気圧を上昇させて、さらに酸素濃度を増大させることによって溶存酸素を増大させることができ、組織内酸素分圧を上昇させることができる。事実、糖尿病または高血圧ラットを1.25気圧で36.0%の酸素濃度の環境に滞在させることによって、血糖値や血圧の上昇を抑制できた。
【0077】
以上の結果から、高気圧(1.25気圧)・高濃度酸素(36.0%)への曝露は、血糖値や血圧の上昇を抑制できることが明らかになった。
【0078】
このように本実施形態にかかる生活習慣病治療装置Aによれば、気密空間Sを、略1.25気圧で、36.0%〜39.0%酸素濃度の高気圧高濃度酸素とすることで、溶存酸素を効果的に増大させることができ、末梢の細胞へ効率よく酸素を運搬・供給することができるようになる。結果、細胞の代謝を上昇させることができ、血糖値や血圧を安定させて、有効に糖尿病および高血圧症を抑制・改善・治療することができる。
【0079】
すなわち、運動できない高齢者や身体障害者に対しても用いることができ、カロリーを特に制限することなく用いることができ、且つ、薬の弊害を生ずること無く、有効に糖尿病および高血圧症を抑制・改善・治療できるといった優れた生活習慣病治療装置Aを提供することができる。
【0080】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0081】
例えば、カプセル本体1と蓋体2とで形成される内部の気密空間Sが、横たわった成人を1人収容し得る程度の大きさの空間となるように、カプセル本体1及び蓋体2の寸法を設定してるが、例えば、椅子に腰掛けた成人を複数人収容する程度の空間とするなど、適宜変更可能である。
【0082】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施形態における生活習慣病治療装置の構成図。
【図2】同実施形態におけるカプセル本体及び蓋体を示す斜視図。
【図3】同実施形態におけるカプセル本体及び蓋体を示す正面図、平面図及び側面図。
【図4】同実施形態におけるカプセル本体の平面図及び縦断面図。
【図5】同実施形態における蓋体の断面図(図3におけるX1−X2断面)。
【図6】同実施形態における開閉操作部の作用を説明するための作用説明図。
【図7】同実施形態における開閉操作部の作用を説明するための作用説明図。
【図8】同実施形態における酸素供給装置の操作パネルを示す図。
【図9】同実施形態における糖尿病に対する有効性についての実験結果を示す図。
【図10】同実施形態における高血圧症に対する有効性についての実験結果を示す図。
【図11】同実施形態における高血圧症に対する有効性についての実験結果を示す図。
【符号の説明】
【0084】
A・・・糖尿病治療装置及び高血圧症治療装置(生活習慣病治療装置)
S・・・気密空間
1・・・本体(カプセル本体)
2・・・蓋体
3・・・シール部材
5・・・酸素供給部(気体供給部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密空間内を所定の高気圧高濃度酸素にすることで、糖尿病の抑制、改善または治療を行うようにした糖尿病治療装置、および、高血圧症の抑制、改善または治療を行うようにした高血圧症治療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、疲労回復、血流促進などの効果を向上させることができる高気圧式酸素供給装置が知られている。
【0003】
具体的にこの種の高気圧式酸素供給装置は、患者を収容するチャンバと、加圧ポンプにより前記チャンバ内に空気を送り込んでチャンバ内を加圧するための加圧機構とを具備し、前記加圧ポンプから前記チャンバ内に供給する空気流量を制御することにより、前記チャンバの内圧を第1圧力(例えば、1.4気圧程度)と、第2圧力(1.2気圧程度)に交互に切り替えられるようにしてある。
【0004】
このような高気圧式酸素供給装置によれば、チャンバ内を、例えば、酸素濃度を30%としながら加圧状態にすることによって周辺圧力環境下での酸素吸入量よりも多量の酸素を患者に取り込ませることに加えて、チャンバの内圧を第1圧力と第2圧力に交互に切り替えることにより、チャンバ内に収容された患者に、もみ効果を与えることができ、疲労回復、血流促進などの効果を向上させることができる。
【0005】
また、チャンバ内に供給する気体として、純酸素ガスや酸素濃度が90%以上の気体などを用いることで、例えば一酸化中毒の患者や潜水病の患者など、高濃度の酸素を必要とする患者を対象とすることができるようにされている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
そして、例えば、チャンバ内を、人間が耐えうる最大の気圧(2〜3気圧)と酸素濃度(純酸素)とし、かかる環境に患者を滞在させることで、心臓病、外傷、ガス中毒、高山病、潜水病といった、疾病・傷害に対する効果があることも明らかにされており、このような環境を維持できるものが、高気圧酸素治療装置として供給されている。
【特許文献1】特開2004−275706号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記の疾病・傷害の治療で使用されている気圧と酸素濃度との組み合わせでは、細胞の代謝を上昇させることにより血糖値や血圧を安定できるものではなく、糖尿病や高血圧症を抑制したり、改善、治療することはできない。したがって、糖尿病や高血圧症の治療としては、運動療法、食餌療法、薬の投与が用いられている。
【0008】
しかしながら、このような糖尿病や高血圧症の治療方法のうち運動療法は、運動できない高齢者や身体障害者に対して用いることができないといった問題点を有している。また、カロリーを制限する食餌療法では健康や体力を維持することが難しいといった問題点を有している。またさらに、薬は、副作用を伴うことが多いものであることに加え、薬に対する抵抗性が増えた場合には薬量も増やしていかなければならないといった問題点を有している。
【0009】
また、高気圧高酸素濃度にすれば、上述したように疾病・傷害に効果があるのだから、糖尿病や高血圧症といった生活習慣病にも効果があるだろうとして、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病に対して抑制・改善・治療効果があるとうたった装置も提供されているが、実際には、効果があるだろうといった域を決して出るものではなく、生活習慣病に効果があるとうたっていることは、なんらのデータに裏付けされたものではないし、単にその装置に対して需要者の気を引くためのものにすぎない。
【0010】
本発明は、永年に亘る研究の下、気圧と酸素濃度とをある条件下で併用すると、細胞の代謝を上昇させて血糖値と血圧とを安定させることができ、しかも、従来の療法の弊害を防止しながら、糖尿病や高血圧症の抑制・改善・治療を有効に行えるのではないかという独自の発想から生まれたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、従来の糖尿病療法や高血圧症療法の弊害を招くことなく、有効に糖尿病や高血圧症を抑制・改善・治療可能な糖尿病治療装置および高血圧症治療装置を提供することを、その所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち本発明にかかる糖尿病治療装置は、人体を収容可能で糖尿病の抑制、改善または治療を行うための気密空間と、前記気密空間に対して、高濃度の酸素を含む気体を供給し前記気密空間を略1.25気圧で、且つ、36.0%〜39.0%酸素濃度にさせる気体供給部と、を具備してなることを特徴とする。
【0013】
このようなものであれば、気密空間を、略1.25気圧で、36.0%〜39.0%酸素濃度の高気圧高濃度酸素とすることで、溶存酸素を効果的に増大させることができ、末梢の細胞へ効率よく酸素を運搬・供給することができるようになる。結果、細胞の代謝を上昇させることができ、血糖値や血圧を安定させて、有効に糖尿病を抑制・改善・治療することができる。
【0014】
すなわち、運動できない高齢者や身体障害者に対しても用いることができ、カロリーを特に制限することなく用いることができ、且つ、薬の弊害を生ずること無く、有効に糖尿病を抑制・改善・治療できるといった優れた糖尿病治療装置を提供することができる。
【0015】
また、本発明にかかる高血圧症治療装置は、人体を収容可能で高血圧症の抑制、改善または治療を行うための気密空間と、前記気密空間に対して、高濃度の酸素を含む気体を供給し前記気密空間を略1.25気圧で、且つ、36.0%〜39.0%酸素濃度にさせる気体供給部と、を具備してなることを特徴とする。
【0016】
このようなものであれば、気密空間を、略1.25気圧で、36.0%〜39.0%酸素濃度の高気圧高濃度酸素とすることで、溶存酸素を効果的に増大させることができ、末梢の細胞へ効率よく酸素を運搬・供給することができるようになる。結果、細胞の代謝を上昇させることができ、血糖値や血圧を安定させて、有効に高血圧症を抑制・改善・治療することができる。
【0017】
すなわち、運動できない高齢者や身体障害者に対しても用いることができ、カロリーを特に制限することなく用いることができ、且つ、薬の弊害を生ずること無く、有効に高血圧症を抑制・改善・治療できるといった優れた高血圧症治療装置を提供することができる。
【0018】
本発明の糖尿病治療装置および高血圧症治療装置の望ましい態様としては、剛体の本体と、この本体に対して開閉可能な剛体の蓋体と、前記蓋体を閉塞状態にした際に前記本体および前記蓋体の各縁部間で弾性変形しながら保持されるシール部材とを具備し、前記気密空間が、前記蓋体を閉塞状態にした際に、前記本体と前記蓋体とで囲まれる内部空間に形成されるものが挙げられる。このようなものであれば、気体がシール部材のところから漏れるのを防止して、気密空間を、略1.25気圧で、36.0%〜39.0%酸素濃度に好適に保つことができる。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明に係る糖尿病治療装置は、気密空間を、略1.25気圧で、36.0%〜39.0%酸素濃度の高気圧高濃度酸素とすることで、溶存酸素を効果的に増大させることができ、末梢の細胞へ効率よく酸素を運搬・供給することができるようになる。結果、細胞の代謝を上昇させることができ、血糖値や血圧を安定させて、有効に糖尿病を抑制・改善・治療することができる。
【0020】
すなわち、運動できない高齢者や身体障害者に対しても用いることができ、カロリーを特に制限することなく用いることができ、且つ、薬の弊害を生ずること無く、有効に糖尿病を抑制・改善・治療できるといった優れた糖尿病治療装置を提供することができる。
【0021】
また、本発明に係る高血圧症治療装置は、気密空間を、略1.25気圧で、36.0%〜39.0%酸素濃度の高気圧高濃度酸素とすることで、溶存酸素を効果的に増大させることができ、末梢の細胞へ効率よく酸素を運搬・供給することができるようになる。結果、細胞の代謝を上昇させることができ、血糖値や血圧を安定させて、有効に高血圧症を抑制・改善・治療することができる。
【0022】
すなわち、運動できない高齢者や身体障害者に対しても用いることができ、カロリーを特に制限することなく用いることができ、且つ、薬の弊害を生ずること無く、有効に高血圧症を抑制・改善・治療できるといった優れた高血圧症治療装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
本実施形態に係る生活習慣病治療装置Aは、糖尿病治療装置としての機能および高血圧症治療装置としての機能を発揮するものであって、図1、図2、図3、図4に示すように、略箱体状で人体を載置可能な載置部11を有するカプセル本体1(本発明の「本体」に相当)と、このカプセル本体1の反使用端側にヒンジ(図示せず)を介して取り付けられ且つカプセル本体1に対して開成する開成位置(P1)または閉塞する閉塞位置(P2)に操作される外観視略部分円柱状(換言すると略かまぼこ状)の蓋体2と、カプセル本体1の縁部と蓋体2の縁部との間に配される弾性変形可能なシール部材3と、カプセル本体1及び蓋体2の使用端側に設けて成り、蓋体2を開成位置(P1)又は閉塞位置(P2)に位置付けるための4つの開閉操作部4(図1では略)と、カプセル本体1と蓋体2との間に設けられ蓋体2を開成させる方向に付勢するダンパ(図示せず)と、蓋体2を閉塞位置(P2)にした際にカプセル本体1と蓋体2とが形成する気密空間Sに対して高気圧で高濃度の酸素を含有した高気圧高濃度酸素含有空気(本発明の「気体」に相当)の供給する酸素供給部5(本発明の「気体供給部」に相当)と、を具備するものである。
【0025】
そして、本実施形態では、酸素供給部5から高気圧高濃度酸素含有空気の供給を受けるために、蓋体2に空気供給口a1を設けるとともに、空気排出口b1、b2を設けているに加え、空気排出口b2については、内部気圧が1.27気圧以上となった場合に、内部気圧を減圧し得るリリーフバルブLVを設けている。しかして、蓋体2を閉塞位置(P2)にした際にカプセル本体1と蓋体2との間に形成される気密空間Sが、略1.25気圧で、且つ、36.0%〜39.0%酸素濃度に維持されるようにしている。
【0026】
なお、本実施形態では、後述の実験等のために、気圧および酸素濃度を適宜調整して、糖尿病治療装置や高血圧症治療装置以外の用途としても使用できるようにしている。
【0027】
以下、各部を具体的に説明する。
【0028】
カプセル本体1は、図3、図4などに示すように、平面視略矩形状の載置部11と、この載置部11の四辺をそれぞれ支持する周壁部12とを具備し、これら各部をFRP(Fiberglass Reinforced Plastics)により一体に形成して成る。より具体的に載置部11は、平面視略矩形状で薄板状の載置板111と、この載置板111の各端縁から内側に変位させた位置において上方へ数cm程度膨出させた厚肉部112とを具備している。そして、厚肉部112の奥行き寸法と載置板111の奥行き寸法とを略一致させるとともに、この厚肉部112の上端縁を概観視略部分円弧状に形成することで、人体を載置した際の載置板111の撓みを防止するようにしている。また、載置板111の縁部と厚肉部112との間で後述するダンパの基端部を支持するように構成している。また、載置部11には、使用者がカプセル内で快適に横になることができるように、マット1Mを載置させている。このマット1Mは、例えば、弾力性を有するウレタンを主体としたもの等、実施態様に応じて適宜なものを用いることができる。また、マット1Mを用いなくてもよい。加えて、載置板111の裏面には、剛性を確保するためのリブ(図示せず)を適宜設けている。一方、周壁部12の上端側の縁部には、シール部材3を保持する嵌合凹部121と、この嵌合凹部121の内側に、該嵌合凹部121の底面121aよりもさらに下方へ窪ませた内側窪部122とを形成している。
【0029】
蓋体2は、図3、図5などに示すように、平面視略矩形状の開口部を有し且つ長手方向に沿って各部等断面略部分円弧状を成す蓋側胴部21と、この蓋側胴部21を補強する複数の補強リブ22とを具備し、これら各部をFRPにより一体に形成して成る。そして、この蓋側胴部21の縁部には、嵌合凹部121の幅方向へがたつくことを規制されながらその嵌合凹部121に嵌まり込み得る嵌合凸部211と、この嵌合凸部211の内側に、該嵌合凸部211の先端211aよりもさらに膨出させてなり且つ内側窪部122に沿って配され得る内側膨出部212とを形成している。また、蓋側胴部21の一端側(カプセル本体1内で横たわる使用者の頭部と対応する位置)には、覗き窓213を設けている。この覗き窓213は、略透明なアクリル板を用いて形成しているが、使用する材料等は適宜変更可能である。また、覗き窓213を設けなくても良い。また、この蓋体2の外側の使用側縁に沿って、ハンドル2H(図2では略)を設けているが、取付位置などは実施態様に応じて適宜変更可能である。加えて、この蓋体2の内側には、外部のオペレータと通話するための電話機と、制御回路の制御を緊急停止するための緊急停止ボタン(ともに図示せず)とを設けているが、これらをカプセル本体1側に設けることを妨げない。
【0030】
シール部材3は、図4、図6、図7に示すように、略円環状を成し、カプセル本体1の縁部と蓋体2の縁部との間に配される弾性変形可能なものである。本実施形態では、チューブ状でゴム製のものを用いている。なお、このシール部材3は、例えば、中実状のものを用いたりする等、断面形状は実施態様に応じて適宜変更可能である。また、材質も例えばシリコン製のものとするなど適宜で構わない。
【0031】
開閉操作部4は、図3、図6、図7に示すように、金属製のフック41と、このフック41に係止され得る金属製のアーム42と、このアーム42を前記フック41に係止される係止位置(Q1)または係止解除され得る係止解除可能位置(Q2)または完全に係止解除される係止解除位置(Q3)(図示せず)に操作するための金属製の操作レバー43と、この操作レバー43を支持する金属製のベース44とを備える一般にキャッチクリップと呼ばれるものであって、本実施形態では、ベース44をカプセル本体1に設け、フック41を蓋体2に設けている。また、これらベース44とフック41との取付位置は、操作レバー43を操作して、アーム42をフック41側に引き寄せて係止位置(Q1)に位置付けたときに、カプセル本体1に設けた嵌合凹部121と、蓋体2に設けた嵌合凸部211とが、嵌り合う所定の位置となるように、各取付位置を設定している。
【0032】
酸素供給部5は、図1に示すように、酸素ボンベ51と、この酸素ボンベ51内の酸素の気密空間Sへの供給を制御する制御装置52等とを備えるものである。
【0033】
より具体的に制御装置52は、排気により気密空間S内の気圧を制御する制御弁520と、制御弁520の開閉状態を制御する制御回路521と、操作用のコントロールパネル522とを具備するものである。
【0034】
制御回路521は、気密空間S内に設けた酸素センサおよび圧力センサからの信号を受信し、気密空間S内が所定の状態(略1.25気圧で、且つ、36.0vol%〜39.0vol%酸素濃度)となるように、制御弁520に対して、その開閉状態を制御する信号を出力するものである。
【0035】
コントロールパネル522は、図8に示すように、気密空間S内への酸素供給を開始するための酸素供給用スタートボタンB11、気密空間Sの圧力を設定するための圧力設定ダイヤルB12、気密空間S内の圧力を表示するためのカプセル内圧力表示部B13、気密空間S内の酸素濃度を表示するための酸素濃度表示部B14、気密空間S内の圧力を減圧するためのエア抜きボタンB15、制御回路の制御を緊急停止するための緊急停止ボタンB16を有するに加え、気密空間S内の使用者と通話するための電話機B17と、時間を計測するためのタイマB18とをさらに有している。
【0036】
なお、酸素ボンベと、制御装置と、カプセル本体1及び蓋体2などとを、別体にしているが、これらを一体に組み付けることを妨げない。
【0037】
以上のように構成される生活習慣病治療装置Aについて、糖尿病および高血圧症に対する有効性を検証するために、以下の実験を行った。
【0038】
(1)糖尿病に対する有効性について
【0039】
(1−1)実験目的
【0040】
生活習慣病治療装置Aを使用して、高気圧・高濃度酸素への滞在が血糖の上昇にどのような影響を及ぼすのかを、糖尿病を発症するモデル動物(Goto−Kakizaki(GK)ラット)から明らかにする。
【0041】
(1−2)実験方法
【0042】
生後5週齢の雄GKラットを、下記の6群に分けて生後5週齢から4週間にわたり飼育した。
【0043】
A:1気圧で20.9%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):対照群
B:1気圧で36.0%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):酸素濃度を増大させた群
C:1気圧で40.0%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):酸素濃度を増大させた群
D:1.25気圧の環境で飼育(8匹):気圧を上昇させた群
E:1.30気圧の環境で飼育(8匹):気圧を上昇させた群
F:1.25気圧で36.0%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):気圧を上昇させて、さらに酸素濃度を増大させた群
【0044】
BからFの群を1日1回、6時間(午前10時から午後4時)にわたってそれぞれの環境に滞在させた。すべての群は、水と餌を自由に摂取させた。血糖は、実験開始時(生後5週齢)、2週間後(生後7週齢)、4週間後(生後9週齢)にラットの空腹時に尾部の静脈から採取した血液で測定した。測定にはARKRAY社の血糖測定機(グルコカードダイアメーター GT−1641)を使用した。
【0045】
(1−3)実験結果
【0046】
実験結果を図9に示す。
【0047】
生後5週齢から生後9週齢までの4週間で、GKラットの血糖値は123.9±6.9mg/dlから208.8±8.9mg/dlまで上昇した。
【0048】
1日6時間にわたり酸素濃度を増大させた環境(B群(36.0%)またはC群(40.0%)で飼育したところ、血糖値の上昇には影響が認められなかった。
【0049】
1日6時間にわたり気圧を上昇させた環境(D群(1.25気圧)またはE群(1.30気圧))で飼育したところ、2週間目では血糖値の上昇に影響が認められなかったが、4週間目では対照群(A群)や酸素濃度を増大させた群(B群(36.0%)またはC群(40.0%)に対して低い血糖値を示した。
【0050】
1日6時間にわたり気圧を上昇させて、さらに酸素濃度を増大させた環境(F群(1.25気圧で酸素濃度36.0%))で飼育したところ、2週間目および4週間目において、同週齢の他のすべての群に対して低い血糖値を示した。
【0051】
(1−4)結論
【0052】
糖尿病を発症するラットを1.25気圧で36.0%の酸素濃度の環境に1日1時間にわたって滞在させたところ、血糖値の上昇を完全に抑制できた。このような環境での血糖値の上昇の抑制は、気圧だけを上昇(1.25気圧または1.30気圧)させて認められるものよりも早期に、さらに顕著であった。
【0053】
(2)高血圧症に対する有効性について
【0054】
(2−1)実験目的
【0055】
生活習慣病治療装置Aを使用して、高気圧・高濃度酸素への滞在が血圧の上昇にどのような影響を及ぼすのかを、高血圧症を発症するモデル動物(Spontaneously Hypertensive Rat(SHR))から明らかにする。
【0056】
(2−2)実験方法
【0057】
生後5週齢の雄SHRを、下記の6群に分けて生後5週齢から8週間にわたり飼育した。
【0058】
A:1気圧で20.9%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):対照群
B:1気圧で36.0%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):酸素濃度を増大させた群
C:1気圧で40.0%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):酸素濃度を増大させた群
D:1.25気圧の環境で飼育(8匹):気圧を上昇させた群
E:1.30気圧の環境で飼育(8匹):気圧を上昇させた群
F:1.25気圧で36.0%の酸素を含んだ空気の環境で飼育(8匹):気圧を上昇させて、さらに酸素濃度を増大させた群
【0059】
BからFの群を1日1回、6時間 (午前10時から午後4時) にわたってそれぞれの環境に滞在させた。すべての群は、水と餌を自由に摂取させた。血圧は、実験開始時(生後5週齢)、4週間後(生後9週齢)、8週間後(生後13週齢)にラットの尾部を使用して測定した。測定には、Softron社の実験動物用血圧測定装置(BP−98A)を使用した。
【0060】
(2−3)実験結果
【0061】
実験結果を図10、図11に示す。
【0062】
生後5週齢から生後13週齢までの8週間で、SHRの収縮期血圧は、155.1±10.4 mmHgから195.8±17.3mmHgまで上昇した。同様に、拡張期血圧は、120.8±8.5 mmHgから155.6±12.0 mmHgまで上昇した。
【0063】
1日6時間にわたり濃度を増大させたり(B群(36.0%)またはC群(40.0%))、気圧を上昇させた環境(D群(1.25気圧)またはE群(1.30気圧))で飼育したところ、収縮期および拡張期の血圧の上昇には影響が認められなかった。
【0064】
1日6時間にわたり気圧を上昇させて、さらに酸素濃度を増大させた環境(F群(1.25気圧で酸素濃度36.0%))で飼育したところ、4週間目の収縮期の血圧、8週間目の収縮期および拡張期の血圧において、同週齢の他のすべての群に対して低い収縮期および拡張期の血圧を示した。
【0065】
(2−4)結論
【0066】
高血圧症を発症するラットを1.25気圧で36.0%の酸素濃度の環境に1日1時間にわたって滞在させたところ、収縮期および拡張期の血圧の上昇を抑制できた。このような環境での血圧の上昇の抑制は、気圧だけを上昇(1.25気圧または1.30気圧)させても酸素濃度だけを増大させても(36.0%または40.0%)認められなかった。
【0067】
(3)まとめ
【0068】
現代人は、糖尿病や高血圧症の罹患率が極めて高い。本実験では、糖尿病と高血圧症のモデル動物を使用して、高気圧・高濃度酸素への曝露が血糖や血圧の上昇を抑制できるかどうかを検討した。糖尿病のモデル動物としてはGKラットを、高血圧症モデル動物としてはSHRを使用した。これらのモデル動物は、いずも系統が確立されており、糖尿病や高血圧症の病態の解明のために頻繁に使用されている。
【0069】
本実験では、気圧だけを上昇させた2群(1.25気圧または1.30気圧)と酸素濃度だけを増大させた2群(36.0%または40.0%)、さらに気圧を上昇させて酸素濃度を増大させた1群(1.25気圧で36.0%)を設定した。
【0070】
血中酸素含有量についての理論値は下記の通りである。
【0071】
1.0気圧で21.0%の酸素濃度:結合酸素は20.4vol%/100ml、溶存酸素は0.31vol%/100ml
1.0気圧で30.0%の酸素濃度:結合酸素は20.4vol%/100ml、溶存酸素は0.47vol%/100ml
1.0気圧で50.0%の酸素濃度:結合酸素は20.4vol%/100ml、溶存酸素は0.64vol%/100ml
1.3気圧で21.0%の酸素濃度:結合酸素は20.4vol%/100ml、溶存酸素は0.39vol%/100ml
1.3気圧で30.0%の酸素濃度:結合酸素は20.4vol%/100ml、溶存酸素は0.61vol%/100ml
1.3気圧で50.0%の酸素濃度:結合酸素は20.9vol%/100ml、溶存酸素は1.09vol%/100ml
【0072】
気圧を1.3まで上昇させて、さらに酸素濃度を50.0%に増大させても血中酸素含有量としては1.20vol%/100mlの増大に過ぎない。一方、溶存酸素量についてみると、酸素濃度を50.0%に増大させると血中含有量は2.1倍に増大、さらに、酸素濃度を50%に増大させて気圧を1.3まで上昇すると血中含有量は3.5倍に増大する。したがって、気圧を上昇させて、さらに酸素濃度を増大させることにより溶存酸素量を増大できることになる。溶存酸素は、体液中に遊離して存在しているので、末梢の毛細血管(直径は約10μm)内を容易に通過できる。一方、結合酸素は、赤血球(直径は約10μm)内のヘモグロビンに結合しているために直径10μm以下の毛細血管内を流れることは難しい。高気圧と高濃度酸素を併用することにより溶存酸素を増大させることができ、末梢の細胞へ効率よく酸素を運搬・供給できる。
【0073】
また、気圧の上昇は酸素分圧を増大させる。組織内酸素分圧についての理論値は下記の通りである。
【0074】
1.0気圧で21.0vol%の酸素濃度:90mmHg
1.3気圧で21.0vol%の酸素濃度:165mmHg
1.3気圧で30.0vol%の酸素濃度:210mmHg
【0075】
気圧の上昇は組織内酸素分圧を上昇させる。組織内酸素分圧の上昇によって、ヘモグロビンは末梢で酸素を遊離しやすくなる。これにより末梢の細胞へより多くの酸素を供給できる。
【0076】
理論的には、気圧を上昇させて、さらに酸素濃度を増大させることによって溶存酸素を増大させることができ、組織内酸素分圧を上昇させることができる。事実、糖尿病または高血圧ラットを1.25気圧で36.0%の酸素濃度の環境に滞在させることによって、血糖値や血圧の上昇を抑制できた。
【0077】
以上の結果から、高気圧(1.25気圧)・高濃度酸素(36.0%)への曝露は、血糖値や血圧の上昇を抑制できることが明らかになった。
【0078】
このように本実施形態にかかる生活習慣病治療装置Aによれば、気密空間Sを、略1.25気圧で、36.0%〜39.0%酸素濃度の高気圧高濃度酸素とすることで、溶存酸素を効果的に増大させることができ、末梢の細胞へ効率よく酸素を運搬・供給することができるようになる。結果、細胞の代謝を上昇させることができ、血糖値や血圧を安定させて、有効に糖尿病および高血圧症を抑制・改善・治療することができる。
【0079】
すなわち、運動できない高齢者や身体障害者に対しても用いることができ、カロリーを特に制限することなく用いることができ、且つ、薬の弊害を生ずること無く、有効に糖尿病および高血圧症を抑制・改善・治療できるといった優れた生活習慣病治療装置Aを提供することができる。
【0080】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0081】
例えば、カプセル本体1と蓋体2とで形成される内部の気密空間Sが、横たわった成人を1人収容し得る程度の大きさの空間となるように、カプセル本体1及び蓋体2の寸法を設定してるが、例えば、椅子に腰掛けた成人を複数人収容する程度の空間とするなど、適宜変更可能である。
【0082】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施形態における生活習慣病治療装置の構成図。
【図2】同実施形態におけるカプセル本体及び蓋体を示す斜視図。
【図3】同実施形態におけるカプセル本体及び蓋体を示す正面図、平面図及び側面図。
【図4】同実施形態におけるカプセル本体の平面図及び縦断面図。
【図5】同実施形態における蓋体の断面図(図3におけるX1−X2断面)。
【図6】同実施形態における開閉操作部の作用を説明するための作用説明図。
【図7】同実施形態における開閉操作部の作用を説明するための作用説明図。
【図8】同実施形態における酸素供給装置の操作パネルを示す図。
【図9】同実施形態における糖尿病に対する有効性についての実験結果を示す図。
【図10】同実施形態における高血圧症に対する有効性についての実験結果を示す図。
【図11】同実施形態における高血圧症に対する有効性についての実験結果を示す図。
【符号の説明】
【0084】
A・・・糖尿病治療装置及び高血圧症治療装置(生活習慣病治療装置)
S・・・気密空間
1・・・本体(カプセル本体)
2・・・蓋体
3・・・シール部材
5・・・酸素供給部(気体供給部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を収容可能で糖尿病の抑制、改善または治療を行うための気密空間と、
前記気密空間に対して、高濃度の酸素を含む気体を供給し該気密空間を略1.25気圧で、且つ、36.0%〜39.0%酸素濃度にさせる気体供給部と、を具備してなることを特徴とする糖尿病治療装置。
【請求項2】
剛体の本体と、この本体に対して開閉可能な剛体の蓋体と、前記蓋体を閉塞状態にした際に前記本体および前記蓋体の各縁部間で弾性変形しながら保持されるシール部材とを具備し、
前記気密空間が、前記蓋体を閉塞状態にした際に、前記本体と前記蓋体とで囲まれる内部空間に形成されるものであることを特徴とする請求項1記載の糖尿病治療装置。
【請求項3】
人体を収容可能で高血圧症の抑制、改善または治療を行うための気密空間と、
前記気密空間に対して、高濃度の酸素を含む気体を供給し該気密空間を略1.25気圧で、且つ、36.0%〜39.0%酸素濃度にさせる気体供給部と、を具備してなることを特徴とする高血圧症治療装置。
【請求項4】
剛体の本体と、この本体に対して開閉可能な剛体の蓋体と、前記蓋体を閉塞状態にした際に前記本体および前記蓋体の各縁部間で弾性変形しながら保持されるシール部材とを具備し、
前記気密空間が、前記蓋体を閉塞状態にした際に、前記本体と前記蓋体とで囲まれる内部空間に形成されるものであることを特徴とする請求項3記載の高血圧症治療装置。
【請求項1】
人体を収容可能で糖尿病の抑制、改善または治療を行うための気密空間と、
前記気密空間に対して、高濃度の酸素を含む気体を供給し該気密空間を略1.25気圧で、且つ、36.0%〜39.0%酸素濃度にさせる気体供給部と、を具備してなることを特徴とする糖尿病治療装置。
【請求項2】
剛体の本体と、この本体に対して開閉可能な剛体の蓋体と、前記蓋体を閉塞状態にした際に前記本体および前記蓋体の各縁部間で弾性変形しながら保持されるシール部材とを具備し、
前記気密空間が、前記蓋体を閉塞状態にした際に、前記本体と前記蓋体とで囲まれる内部空間に形成されるものであることを特徴とする請求項1記載の糖尿病治療装置。
【請求項3】
人体を収容可能で高血圧症の抑制、改善または治療を行うための気密空間と、
前記気密空間に対して、高濃度の酸素を含む気体を供給し該気密空間を略1.25気圧で、且つ、36.0%〜39.0%酸素濃度にさせる気体供給部と、を具備してなることを特徴とする高血圧症治療装置。
【請求項4】
剛体の本体と、この本体に対して開閉可能な剛体の蓋体と、前記蓋体を閉塞状態にした際に前記本体および前記蓋体の各縁部間で弾性変形しながら保持されるシール部材とを具備し、
前記気密空間が、前記蓋体を閉塞状態にした際に、前記本体と前記蓋体とで囲まれる内部空間に形成されるものであることを特徴とする請求項3記載の高血圧症治療装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−307071(P2007−307071A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138124(P2006−138124)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年4月4日 http://www.blackwell−synergy.com/doi/pdf/10.1111/j.1463−1326.2006.00555.x
【出願人】(505356273)株式会社サイシス (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年4月4日 http://www.blackwell−synergy.com/doi/pdf/10.1111/j.1463−1326.2006.00555.x
【出願人】(505356273)株式会社サイシス (3)
【Fターム(参考)】
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