説明

生物学的および化学的分析のための集積センサアレイ

本発明は、分析のためにサンプル流体からの化学的または生物学的サンプル保持することが可能なサンプル保持領域のアレイを含む大規模化学電界効果トランジスタアレイを備える装置およびチップを対象とする。1つの態様では、かかるトランジスタアレイは、10μm以下のピッチを有し、各サンプル保持領域は、かかるサンプル保持領域内で化学的または生物学的サンプルの特性に関連する少なくとも1つの出力信号を生成するように構成される少なくとも1つの化学電界効果トランジスタ上に配置される。一実施形態では、前記化学的または生物学的サンプルの特性は、帯電した種の濃度であり、前記化学電界効果トランジスタはそれぞれ、浮遊ゲートを有し、浮遊ゲートの表面上に誘電体層を有するイオン感応性電界効果トランジスタであり、誘電体層は、前記サンプル流体に接触し、前記サンプル流体中の帯電した種の濃度に比例する電荷を蓄積することが可能である。一実施形態では、かかる帯電した種は、センサが、センサのサンプル保持領域内のまたはサンプル保持領域に隣接するサンプル流体のpHの変化を測定するように、水素イオンである。本発明の装置およびチップは、大規模pHベースDNAシークエンシングおよび他の生物科学および生物医学用途に適合してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全ての全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる、2008年10月22日、2008年11月4日、および2009年1月22日にそれぞれ出願された米国仮出願第61/196953号、第61/198222号、第61/205626号に対して米国特許法第119条(e)による、また、いずれも2009年5月29日に出願された米国非仮出願第12/474897号および第12/475311号に対して米国特許法第120条による優先権を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、化学測定を行う半導体チップを対象とし、より詳細には、1または2以上の分析物をモニタリングする単一チップISFETアレイ(および単一チップISFETアレイのアレイ)を対象とする。
【背景技術】
【0003】
生物学的および化学的分析物の迅速かつ正確な測定は、診断から、工業プロセス制御、環境モニタリング、科学研究にわたる多くの分野において重要である。化学感応性がある、特にイオン感応性がある電界効果トランジスタ(それぞれ「chemFET」および「ISFET」)は、長年、こうした測定のために使用されてきた。例えば、Bergvelt,Sensors and Actuators,88:1−20(2003)、Yuqing等,Biotechnology Advances,21:527−534(2003)など。より最近では、単一デバイスを使用して空間分布しかつ複数分析物の測定を得るために、集積回路技術を使用してこうしたセンサのアレイを作製する試みが行われている、例えば、Yeow等,Sensors and Actuators B 44:434−440(1997)、Martinonia等,Biosensors&Bioelectronics、16:1043−1050(2001)、Milgrew等,Sensors and Actuators B 103:37−42(2004)、Milgrew等,Sensors and Actuators B,111−112:347−353(2005)、Hizawa等,Sensors and Actuators B,117:509−515(2006)、Heer等,Biosensors and Bioelectronics,22:2546−2553(2007)など。こうした努力は、特にISFETセンサアレイが、センサ素子の何千を超えるスケールおよび何百センサ素子/mmを超える密度を有するときに、いくつかの異なる技術的難題に直面する。こうした難題は、アレイ内にセンサごとに均一な性能特性を有するセンサ素子を用いて大規模アレイを作ること、センサアレイ自体とサンプルを含む反応物または分析物をアレイに運ぶフルイディクスシステムの両方から、多くのノイズ源の背景に対して検出可能な信号を生成することが可能なミクロンオーダーの実装面積を有するセンサ素子を作ることを含む。浮遊ゲートなどの電荷感応性コンポーネントを有するセンサ素子を備えるISFETの場合、前者の難題は、半導体作製技術の一般的な副産物である、こうしたコンポーネント内へのまたはそれに隣接したトラップ電荷の蓄積によって悪化する。後者の難題は、ISFETセンサの電荷感応性コンポーネントにおいてまたはその上に蓄積する帯電した種を、対象となる分析物が直接的にまたは間接的に生成するという要件によって悪化する。非常に密度が高いアレイでは、拡散、分析物またはその代用物の反応性、隣接するセンサからの相互汚染、ならびに、サンプル流体中の電気ノイズは全て、測定に悪い影響を及ぼしうる。これらの難題を克服する大規模ISFETアレイの可用性は、上記分野で、特に、ゲノムの大規模遺伝子解析などにおいて益々高度な並列多重化学測定が必要とされる場合に有用であろう。
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様は、一部には、反応中に、存在するか、生成されるか、使用される分析物をモニタリングすることに基づいて、例えば核酸(例えば、DNA)シークエンシング反応を含む、反応をモニタリングするchemFET、またはより具体的にはISFETの大きなアレイに関する。より一般的には、chemFETの大きなアレイを含むアレイは、種々の化学的および/または生物学的プロセス(例えば、生物学的または化学的反応、細胞または組織培養またはモニタリング、神経活性、核酸シークエンシングなど)における種々の分析物(例えば、水素イオン、他のイオン、非イオン性分子または化合物など)の静的および/または動的な量または濃度を検出し測定するために使用されてもよく、こうしたプロセスでは、こうした分析物測定に基づいて価値ある情報が得られる可能性がある。こうしたアレイは、帯電した生成物の直接的な蓄積によって、または、対象の分析物の濃度または存在に関連する帯電した種の間接的な生成または捕捉によって、分析物を検出する方法および/またはアレイ内のセンサの表面の電荷の変化によって生物学的または化学的プロセスをモニタリングする方法において使用されてもよい。本発明は、多数の実施態様および適用態様において例示され、その一部が以下で要約される。
【0005】
一態様では、本発明は、回路支持基材(substrate)内に化学電界効果トランジスタアレイを備える装置を対象とし、かかるトランジスタアレイは、表面上に、サンプル流体からの化学的または生物学的サンプルを保持することが可能なサンプル保持領域を配設されており、かかるトランジスタアレイは、10μm以下のピッチを有し、各サンプル保持領域は、かかるサンプル保持領域における化学的または生物学的サンプルの特性に関連する少なくとも1つの出力信号を生成するように構成される少なくとも1つの化学電界効果トランジスタ上に配置される。一実施形態では、前記化学的または生物学的サンプルの特性は、帯電した種の濃度または量であり、前記化学電界効果トランジスタのそれぞれは、浮遊ゲートを有し、浮遊ゲートの表面上に誘電体層を有するイオン感応性電界効果トランジスタであり、誘電体層は、前記サンプル流体に接触し、前記サンプル流体中の帯電した種の濃度に比例する電荷を蓄積することが可能である。一実施形態では、かかる帯電した種は、センサが、センサのサンプル保持領域内のまたはサンプル保持領域に隣接するサンプル流体のpHの変化を測定するように、水素イオンである。かかる実施形態の一態様において、誘電体層は、他の要件に整合する、誘電体層の両端のキャパシタンス(capacitance thereacross)を最大にするように選択された厚さを有する。かかる厚さは、1〜1000ナノメートル(nm)の範囲、10〜500nmの範囲、または20〜100nmの範囲で選択されてもよい。
【0006】
別の態様において、本発明は集積センサアレイを対象とし、集積センサアレイは、回路支持基材内に形成された複数のセンサを備え、各センサは、化学電界効果トランジスタを備え、センサは、100センサ/mmより大きい密度の、256個より多いセンサの平面アレイであり、アレイの各センサは、センサに近接する化学的または生物学的サンプルの濃度または存在に関連する少なくとも1つの出力信号を提供するように構成され、かかる出力信号は、同じ化学的または生物学的サンプルの同じ濃度または存在に応答して、アレイの各センサについて実質的に同じである。この態様の一実施形態では、集積センサアレイはさらに、前記回路支持基材内に複数のサンプル保持領域をさらに含み、各サンプル保持領域は、前記センサの少なくとも1つの上に(または別法として、その下にまたはそのそばに)ありかつ前記センサの少なくとも1つに動作可能に連結される。別の実施形態では、かかるサンプル保持領域は、サンプル流体のある容積内にサンプルを保持するように構成された各マイクロウェルである。別の実施形態では、集積センサアレイのセンサは、帯電した種の濃度を検出し、測定し、センサはそれぞれ、浮遊ゲートを有し、浮遊ゲートの表面上に誘電体層を有するイオン感応性電界効果トランジスタであり、誘電体層は、前記化学的または生物学的サンプルを含有するサンプル流体に接触し、誘電体層に隣接する、サンプル流体中の帯電した種の濃度に比例する電荷を蓄積することが可能である。誘電体層は、他の要件に整合する、誘電体層の両端のキャパシタンスを最大にするように選択された厚さを有する。
【0007】
さらなる態様において、本発明は単一チップ化学アッセイデバイスを対象とし、単一チップ化学アッセイデバイスは、(a)回路支持基材内に形成されたセンサアレイであって、アレイの各センサは、化学電界効果トランジスタを備え、各センサに近接する化学的または生物学的サンプルの濃度または存在に関連する少なくとも1つの出力信号を提供するように構成され、かかる出力信号は、同じ化学的または生物学的サンプルの同じ濃度または存在に応答して、アレイの各センサについて実質的に同じである、センサアレイと、(b)回路支持基材内の複数のサンプル保持領域であって、少なくとも1つのセンサ上に配設される、複数のサンプル保持領域と、(c)少なくとも1フレーム/秒のレートで前記化学電界効果トランジスタから出力信号のサンプルを受信するための、センサアレイに結合した回路支持基材内の制御回路要素(circuitry)とを備える。
【0008】
なお別の態様では、本発明は、単一チップ核酸アッセイデバイスを対象とし、単一チップ核酸アッセイデバイスは、(a)回路支持基材内に形成されたセンサアレイであって、アレイの各センサは、化学電界効果トランジスタを備え、各センサに近接する化学的または生物学的サンプルの濃度または存在に関連する少なくとも1つの出力信号を提供するように構成され、かかる出力信号は、同じ化学的または生物学的サンプルの同じ濃度または存在に応答して、アレイの各センサについて実質的に同じである、センサアレイと、(b)回路支持基材内の複数のサンプル保持領域であって、各サンプル保持領域は少なくとも1つのセンサ上に配設される、複数のサンプル保持領域と、(c)サンプル保持領域上に配設された粒子固体支持体であって、各支持体は、支持体にコンカテマー化(concatemerized)テンプレートが付着されている、粒子固体支持体などの固体支持体を含む支持体と、(d)少なくとも1フレーム/秒のレートで前記化学電界効果トランジスタから出力信号のサンプルを受信するための、センサアレイに結合した回路支持基材内の制御回路要素とを備える。支持体は、固体または多孔質コアおよび/または固体または多孔質表面を有するビーズを含むビーズ、マイクロスフェア、マイクロ粒子、ゲルマイクロ液滴、および、DNAテンプレート、特にクローン集合体としてのものに付着するための他の分離可能粒子支持体を含んでもよい。かかる支持体は、用途に応じて、ミクロンまたはナノメートルのオーダーであってよい。例えば、ビーズは、マイクロビーズであってよく、または、ナノビーズであってよい。
【0009】
本発明のこれらの先に特徴付けられた態様ならびに他の態様は、多数の例証される実施態様および適用態様において例示され、その一部が、図で示され、下記の特許請求の範囲の節で特徴付けられる。しかし、上記概要は、本発明の例証される各実施形態または全ての実施態様を説明することを意図しない。
【0010】
図面において、同様の参照文字は、一般に、異なる図全体を通して同じ部品を指す。同様に、図面は、一定比例尺に必ずしも従っておらず、代わりに、本明細書で論じる種々の概念を一般的に示すことに重点が置かれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本開示の1つの発明の実施形態による、大規模chemFETアレイを備える核酸処理システムを一般的に示す図である。
【0012】
【図2】図2は、本開示の1つの発明の実施態様による、図1に示すアレイに類似のchemFETアレイの1つの列を示す図である。
【0013】
【図3】図3は、本開示の別の発明の実施態様によるピクセル作製の層ごとの図を示す、複数の近傍ピクセル(neighboring pixel)の複合断面図である。
【0014】
【図4】図4A〜Lは、図3に示すセンサの作製時に載置された(lay down)材料層に対応するパターンの上面図である。
【0015】
【図5A】図5Aは、センサ浮遊ゲート上に薄い誘電体層を有するアレイを作製するプロセスステップを示す図であり、誘電体層は、電荷感応性層および接着層を備える。
【図5B】図5Bは、センサ浮遊ゲート上に薄い誘電体層を有するアレイを作製するプロセスステップを示す図であり、誘電体層は、電荷感応性層および接着層を備える。
【0016】
【図6】図6は、本発明の一実施形態の電子コンポーネントの実施形態のブロック図である。
【0017】
【図7】図6に示すコンポーネントについての例示的なタイミング図である。
【0018】
【図8A】図8Aは、ISFETソースおよびドレイン上の電圧変化が分析物にノイズを注入し、検知された値に誤差が生じる、基本的な受動センサピクセルを示す、一部がハイレベルブロック図であり一部がハイレベル回路図である図である。
【0019】
【図8B】図8Bは、ISFETドレイン上の電圧変化が、ドレインをグラウンドに接続することによってなくなり、ピクセル出力が、列バッファを介して取得され、CDSが、相関ノイズを低減するために列バッファの出力に使用される、基本的な受動センサピクセルを示す、一部がハイレベルブロック図であり一部がハイレベル回路図である図である。
【0020】
【図8C】図8Cは、ISFETドレインおよびソース上の電圧変化が実質的になくなり、ピクセル出力が、バッファを介して取得され、CDSが、相関ノイズを低減するために列バッファの出力に使用される、2トランジスタ受動センサピクセルを示す、一部がハイレベルブロック図であり一部がハイレベル回路図である図である。
【0021】
【図9】図9は、フローセルの断面図である。
【0022】
【図10A】図10Aは、ISFETデバイスからのトレースを示すグラフである。
【図10B】図10Bは、23mer合成オリゴヌクレオチドのシークエンシング反応からのヌクレオチド読み出しを示すグラフである。
【0023】
【図11A】図11Aは、ISFETデバイスからのトレースを示すグラフである。
【図11B】図11Bは、25merPCR産物のシークエンシング反応からのヌクレオチド読み出し(B)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、種々の変更および代替形態に適応できるが、その具体像は、図面において例として示されており、詳細に述べられるであろう。しかし、その意図が、述べられる特定の実施形態に本発明を限定しないことであることが理解されるべきである。それとは反対に、その意図は、本発明の趣旨および範囲内に入る全ての変更物、等価物、および代替物をカバーすることである。例えば、装置およびアレイのマイクロエレクトロニクス部分は、例証のためにCMOS技術で実装される。しかし、他の半導体ベースの技術が明細書で論じるシステムのマイクロエレクトロニクス部分の種々の態様を実装するために利用されてもよいため、本開示が、この点で制限的であることを意図されないことが理解されるべきである。本発明のアレイを作製する指針は、その関連部分が参照により組み込まれる、Allen等,CMOS Analog Circuit Design(Oxford University Press,2ndEdition,2002)、Levinson,Principles of Lithography,Second Edition(SPIE Press,2005)、Doering and Nishi,Editors,Handbook of Semiconductor Manufacturing Technology,Second Edition(CRC Press,2007)、Baker,CMOS Circuit Design,Layout,and Simulation(IEEE Press,Wiley−Interscience,2008)、Veendrick,Deep−Submicron CMOS ICs(Kluwer−Deventer、1998)、Cao,Nanostructures&Nanomaterials(Imperial College Press,2004)などを含むが、それに限定されない、集積回路設計および製造および微細加工に関する多くの入手可能な参考文献および論文において見出される。
【0025】
一態様において、本発明は、化学感応性電界効果トランジスタ(chemFET)の集積センサアレイ(例えば、2次元アレイ)を対象とし、その集積センサアレイにおいて、アレイの個々のchemFETセンサ素子または「ピクセル(pixel)」は、サンプル流体中の分析物の存在(または非存在)、分析物レベル(または量)、および/または分析物濃度を検出するように構成される。「サンプル流体(sample fluid)」は、マルチステップ反応の洗浄流体などの、サンプルまたは試薬をサンプル保持領域に送出するか、または、生成物または反応物をサンプル保持領域から除去するために使用される流体を意味する。サンプル流体は、アレイ上で起こる1または2以上の分析プロセスの過程において同じままであってもよく、または、変化してもよい。本発明のアレイによって検出されるかまたはモニタリングされる分析プロセスは、アレイに近接して起こる化学的および/または生物学的プロセス(例えば、化学反応、細胞培養、神経活性、核酸シークエンシング反応など)を含む。以下でさらに詳細に論じられる種々の実施形態によって想定されるchemFETの例は、イオン感応性電界効果トランジスタ(ion-sensitive field effect transistor)(ISFET)および酵素感応性電界効果トランジスタ(enzyme-sensitive field effect transistor)(EnFET)を含むが、それに限定されない。1つの例示的な実施形態では、1または2以上のマイクロ流体構造は、生物学的または化学的反応の保持、封じ込め、および/または閉じ込めを実現するためにchemFETセンサアレイの上に作製され、マイクロ流体構造内で、対象となる分析物が、場合に応じて、捕捉、生成、または消費される可能性がある。かかる構造は、本明細書で「サンプル保持領域(sample-retaining region)」と呼ばれる領域をアレイ上に画定する。例えば、一実施態様において、1または2以上のマイクロ流体構造は、アレイの1または2以上のセンサ上に配設される1または2以上のウェル(または、用語が本明細書で交換可能に使用されるため、マイクロウェルか、反応チャンバか、または反応ウェル)として構成されてもよく、それにより、所与のウェルがそれを覆って配設される1または2以上のセンサが、所与のウェル内の分析物の存在、レベル、および/または濃度を検出し、測定する。好ましくは、ウェルとセンサの1:1の比が存在する。
【0026】
本開示の種々の本発明の実施形態によるchemFETは、種々の分析物のうちの任意の1または2以上の分析物に対して感応性を有するように構成されてもよい。一実施形態では、アレイの1または2以上のchemFETは、1または2以上の分析物に対して感応性を有するように特に構成されてもよく、他の実施形態では、所与のアレイの異なるchemFETが、異なる分析物に対して感応性を有するように構成されてもよい。例えば、一実施形態では、アレイの1または2以上のセンサ(ピクセル)は、第1の分析物に対して感応性を有するように構成された第1の型のchemFETを含んでもよく、アレイの1または2以上の他のセンサは、第1の分析物と異なる第2の分析物に対して感応性を有するように構成された第2の型のchemFETを含んでもよい。一実施形態では、第1および第2の分析物は、互いに関連してもよい。例として、第1および第2の分析物は、同じ生物学的または化学的反応/プロセスの副産物であってよく、したがって、反応の発生(または反応の欠如)を確認するために同時に検出されてもよい。かかる冗長性は、一部の分析物検出方法において好ましい。もちろん、2つの異なる型のchemFETが、任意の所与のアレイで使用されて、異なるタイプの分析物が検出されてもよく、かつ/または、測定されてもよく、また任意に、結合事象などの生物学的または化学的プロセスがモニタリングされてもよいことが理解されるべきである。一般に、所与のセンサアレイは、「均一(homogeneous)」であり、それにより、同じ分析物(例えば、pHまたは他のイオン濃度)を検出かつ/または測定する、実質的に類似のまたは同一の型のchemFETからなってもよく、あるいは、センサアレイは、「不均一(heterogeneous)」であり、異なる分析物を検出かつ/または測定するために、異なる型のchemFETを含んでもよいことが、本明細書で論じるセンサアレイの実施形態の任意の実施形態において理解されるべきである。別の実施形態では、アレイ内のセンサは、検出かつ/または測定されるそのタイプ(またはクラス)の種が、センサ間で異なっていても、単一のタイプ(またはクラス)の分析物を検出かつ/または測定するように構成されてもよい。例として、アレイ内の全てのセンサは、核酸を検出かつ/または測定するように構成されてもよいが、各センサは、異なる核酸を検出かつ/または測定する。
【0027】
本明細書で用いる場合、アレイは、センサまたはウェルなどの要素の平面的な配置である。1次元アレイは、第1の次元に要素の1つの列(または行)および第2の次元に複数の列(または行)を有するアレイである。1次元アレイの例は、1×5アレイである。2次元アレイは、第1と第2の両方の次元に複数の列(または行)を有するアレイである。第1と第2の次元の列(または行)の数は、同じであっても、同じでなくてもよい。2次元アレイの例は、5×10アレイである。
【0028】
したがって、一実施形態は、CMOS作製(CMOS-fabricated)センサのアレイを備える装置を対象とし、各センサは、1個の化学感応性電界効果トランジスタ(chemFET)を備え、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下、2μm以下の面積をアレイの表面上で占める。本発明の別の実施形態は、少なくとも100センサ/mm、少なくとも250センサ/mm、少なくとも1000センサ/mm、少なくとも5000センサ/mm、または少なくとも10000センサ/mmの密度のCMOS作製センサの平面アレイを備える装置を対象とする。
【0029】
別の実施形態は、CMOS作製センサのアレイを備える装置を対象とし、各センサは、1個の化学感応性電界効果トランジスタ(chemFET)を備える。CMOS作製センサのアレイは、256より多いセンサを含み、アレイの全てのchemFETからのchemFET出力信号の集合は、データフレームを構成する。装置はさらに、アレイに結合し、少なくとも1フレーム/秒のフレームレートでアレイから複数のデータフレームを提供するために、少なくとも1つのアレイ出力信号を生成するように構成された制御回路要素を備える。一態様において、フレームレートは少なくとも10フレーム/秒であってよい。別の態様では、フレームレートは少なくとも20フレーム/秒であってよい。さらに別の態様では、フレームレートは少なくとも30、40、50、70、または最高100フレーム/秒であってよい。センサによって測定される化学的または生物学的現象は、様々な継続時間および振幅を有する電気信号、通常、電流または電圧のレベル変化をもたらす可能性がある。一部の実施形態では、かかる信号は、数ミリ秒、例えば10ミリ秒〜数十秒、例えば10〜20秒の範囲の継続時間を有してもよい。アレイによってモニタリングされる周期的または逐次プロセスの場合、かかる信号は、数分、数時間、または数日の間隔にわたって実質的に繰返される可能性がある。さらに、信号は、アレイ自体からのフリッカノイズおよび特にサンプル流体からの熱ノイズを含む種々のタイプのノイズが重ね合わされている可能性がある。装置の制御回路要素は、完全なデータフレームについて、アレイ内の各センサから各信号をサンプリングするように構成される。かかるサンプリングは、先に挙げたフレーム/秒の値で読み出されるように、短い継続時間、例えば1〜100μsecなどのためのものであってよい。
【0030】
以下でより完全に説明されるように、本発明のアレイは、同じアレイ内のセンサによる、同じかまたは類似の検知条件に対するセンサごとの応答の安定性および均一性の欠如を含む、トラップ電荷の影響を低減するように作製されている。一実施形態では、かかる応答は、予め規定されたpHの変化にアレイのセンサを暴露することによって測定されてもよい。一実施形態では、アレイ内のセンサの少なくとも95%の応答は、7〜9の範囲のpHにわたって実質的に線形であり、それぞれ少なくとも40mV/pH単位の感度の電圧出力信号を有する。別の実施形態では、アレイのセンサの少なくとも98%は、かかる性能を有する。「実質的に線形(substantially linear)」は、かかるpH範囲にわたる測定pH値が、10%未満、5%未満、または2%未満の線形性からの偏差の変動係数を有することを意味する。別の実施形態では、かかるアレイのセンサの少なくとも95%はそれぞれ、200msec未満のpH変化に対する応答時間を有する。
【0031】
別の実施形態は、複数の行および複数の列に配列された複数の電子センサを備えるセンサアレイを対象にする。各センサは、アレイの表面に近接して分析物の存在および/または濃度を示す少なくとも1つの出力信号およびある例では少なくとも2つの出力信号を提供するように構成された1つの化学感応性電界効果トランジスタ(chemFET)を備える。複数の列の各列について、アレイはさらに、列内の各chemFETに一定のドレイン電流および一定のドレイン−ソース電圧を提供するように構成された列回路要素を備え、列回路要素は、一定のドレイン−ソース電圧を提供するために、各chemFETを用いてケルビンブリッジ構成で配列された2つの演算増幅器とダイオード接続FETを含む。
【0032】
別の実施形態は、複数の行および複数の列に配列された複数の電子センサを備えるセンサアレイを対象にする。各センサは、アレイの表面に近接して溶液内のイオン濃度を示す少なくとも1つの出力信号およびある例では少なくとも2つの出力信号を提供するように構成された1つの化学感応性電界効果トランジスタ(chemFET)を備える。アレイはさらに、複数の行の各行をイネーブルにする少なくとも1つの行選択シフトレジスタおよび複数の列の各列からchemFET信号を取得する少なくとも1つの列選択シフトレジスタを備える。
【0033】
本発明の装置およびデバイスは、種々のエンティティ間の相互作用を検出かつ/またはモニタリングするために使用されうる。これらの相互作用は、生物学的および化学的反応を含み、限定はしないが結合事象などの、酵素反応および/または非酵素相互作用を含む可能性がある。例として、本発明は、物質および/または試薬が消費される、かつ/または中間反応物、副産物、および/または生成物が生成される酵素反応をモニタリングすることを想定する。本発明に従ってモニタリングされうる反応の例は、核酸シークエンスに関する情報を提供する方法などの核酸合成方法である。この反応は、本明細書でより詳細に論じられるであろう。
【0034】
装置
本発明の装置は、検出される分析物、補助試薬とのアッセイ反応が必要とされるかどうか、逐次反応が必要とされるか周期的反応が必要とされるかに応じて、大幅に異なりうる。一態様において、本発明の装置は、センサアレイ、および、サンプル流体によって表面に送出される生物学的または化学的分析物を保持するための、センサアレイの表面上のサンプル保持領域のアレイを備える。一実施形態では、サンプル保持領域は、センサアレイと一体であり、いろいろな形式を有してもよい。かかる領域は、センサアレイの表面上の化学反応性基によって、所定の分析物にとって特異的であるセンサアレイの表面に付着した結合性化合物によって、疎水性または親水性領域によって、またはマイクロウェル、キャビティ、ウィヤ(weir)、ダム、リザーバなどのような空間的特徴部によって画定されてもよい。さらなる実施形態では、本発明の装置は、ビーズ、粒子、ゲルマイクロ液滴などの担体、あるいは、対象となる分析物を保持し、サンプル流体によってサンプル保持領域に送出される可能性がある他の支持体、構造、または物質を含んでもよい。かかるサンプル担体は、サンプル保持領域への付着を可能にするために結合部分または反応性基を含んでもよい。かかる付着は特異的であってもよく、かかる結合部分または反応性基は、相補的結合化合物または官能基だけとのリンケージを形成し、または、付着はランダムであってもよく、サンプル担体は、アレイの任意のサンプル保持領域内に保持される、実質的に同じ可能性を有する。以下でより完全に述べるように、サンプル保持領域は、マイクロウェルのアレイであり、マイクロウェルのアレイはそれぞれ、サンプル、分析物、および/または1または2以上のサンプル担体を物理的に保持するために壁および内部を有する。
【0035】
以下で例示するように、サンプル流体およびサンプルまたは分析物は、いくつかの方法でセンサアレイの保持領域に送出されてもよい。センサアレイが、プロセス、環境モニタリング、または細胞モニタリングなどを用いる、1回使用のサンプル特徴付けデバイスとして使用される場合、サンプルは、浸漬、ピペッティング、注入によって、または他の直接的方法によって送出されてもよい。センサアレイが、DNAシークエンシングなどの、遂次的または周期的反応において使用される場合、核酸テンプレート、試薬、洗浄溶液などを含むサンプル流体は、コンピュータ制御下の流体システムによって送出されてもよい。かかる後者の用途の場合、本発明の実施形態はさらに、サンプル保持領域およびセンサアレイと一体化されたフローセルを含んでもよい。以下でより完全に述べるように、一実施形態では、かかるフローセルは、制御された条件下でサンプル保持領域にサンプル流体(アッセイ反応物、緩衝液などを含む)を送出し、これは、層流、各サンプル保持領域における一定流量、制御された温度、気泡または他の流れの乱れの最小化などを含む可能性がある。一態様において、本発明の装置のフローセルは、入口、出口、および内部空間を備え、内部空間は、フローセルが、サンプル保持領域およびセンサのアレイに連通する、例えばそれに密閉的に結合すると、入口および出口を除いて閉じるチャンバを形成する。一部の実施形態では、デバイスは、フローセルおよび一方または両方のアレイが互いに一体になるように製造される。他の実施形態では、フローセルは、アレイに密閉的に結合される。いずれの実施形態も、考えられる他の有害要因の中でもとりわけ、サンプル流体に電気ノイズを導入すると思われる流体漏洩を防止することになる。一態様において、本発明の装置は、サンプル流体に流体接続状態の参照電極を含み、それにより、動作中に、参照電極とアレイのセンサとの間に電位差が確立される。
【0036】
核酸シークエンシングに適応する例示的な装置が図1に示される。以下の説明では、アレイのchemFETは、例証のために、限定はしないが水素イオン濃度を含む、静的および/または動的イオン濃度に対して感応性を有するように構成されたISFETとして述べられる。しかし、以下でさらに詳細に論じるように、本開示がこの点において限定されないこと、また、ISFETが例証的な例として使用される本明細書で論じられる実施形態の任意の実施形態において、他の型のchemFETが、代替の実施形態で、同様に使用されてもよいことが理解されるべきである。同様に、本発明の種々の態様および実施形態は、センサが水素イオンでない1または2以上のイオン種を検出するため、ISFETを使用する可能性があることが理解されるべきである。
【0037】
システム1000は、ISFETセンサアレイ100およびマイクロフルイディクスフローセル200を備える半導体/マイクロフルイディクスハイブリッド構造300を含む。一態様において、フローセル200は、ISFETアレイ100の対応するセンサの上に配設された、多数のウェル(図1には示さず)を備えてもよい。別の態様では、フローセル200は、多数のシークエンシング試薬272(例えば、dATP、dCTP、dGTP、dTTP(一般的に、本明細書でdNTPと呼ばれる)、限定はしないがMg2+などの二価カチオン、洗浄溶液など)のフローセルへの、制御され順序付けられた導入を介して、フローセル内に配設された1または2以上の同一のテンプレート核酸のシークエンシングを促進するように構成される。
【0038】
図1に示すように、フローセル200へのシークエンシング試薬の導入は、コンピュータ260によって制御される1または2以上の弁270および1または2以上のポンプ274を介して達成されてもよい。多数の技法が、かかるフローセルのウェル内に種々の処理材料(すなわち、溶液、サンプル、反応試薬、洗浄溶液など)を入れる(すなわち、導入する)ために使用されてもよい。図1に示すように、dNTPを含む試薬は、ウェル内にそこから拡散するフローセルに(例えば、コンピュータ制御式弁270およびポンプ274を介して)入れられてもよく、または、試薬は、インクジェットなどの他の手段によってフローセルに添加されてもよい。なお別の例では、フローセル200は、ウェルを全く含まなくてよく、試薬の拡散特性は、ISFETアレイ100の各センサ間のクロストークを制限するために利用されてもよく、または、核酸は、ISFETアレイ100のセンサの表面上で不動化されてもよい。
【0039】
図1のシステムのフローセル200は、ISFETアレイ100に近接して1または2以上の分析物(あるいは1または2以上の反応溶液)を提供するために種々の方法で構成されてもよい。例えば、テンプレート核酸は、センサアレイ100の1または2以上のピクセルに適切に近接して、センサアレイの上であるが反応チャンバ内に位置する支持材料(例えば、1または2以上の「ビーズ(beads)」)内またはその上に、あるいは、センサ表面自体の上に直接付着されるかまたは適用されてもよい。処理試薬(例えば、ポリメラーゼなどの酵素)はまた、直接センサ上に、または、センサに近接して1または2以上の固体支持体上に(例えば、処理試薬は、捕捉ビーズまたは他のビーズに結合されてもよい)設置されうるか、あるいは、処理試薬は、溶液内にあるかまたは自由流動性であってもよい。デバイスはウェルまたはビーズなしで使用されてもよいことが理解される。
【0040】
図1のシステム1000では、一実施形態によれば、ISFETセンサアレイ100は、イオン種、特に、水素イオンを含むイオン種のレベル/量および/または濃度の変化をモニタリングする。重要な実施形態では、種は、核酸合成またはシークエンシング反応から得られる種である。
【0041】
(同様に、コンピュータ260の動作下で)アレイコントローラ250を介して、ISFETアレイは、分析物検出および/または測定に関連するデータ(例えば、アレイの各ISFETの出力信号)を取得するように制御されてもよく、収集データは、コンピュータ260によって処理されて、テンプレート核酸の処理(シークエンシングを含む)に関連する意味のある情報がもたらされてもよい。
【0042】
図1に示すシステム1000のISFETアレイ100に関し、一実施形態において、アレイ100は、標準的なCMOSプロセス(例えば、0.35マイクロメートルプロセス、0.18マイクロメートルプロセス)を使用して設計され作製される集積回路として実装され、1または2以上の分析物および/または反応物をモニタリング/測定するために必要とされる全てのセンサおよび電子部品を含む。やはり図1を参照して、ISFETアレイ100に関して使用される1または2以上の参照電極76は、アレイ100の各ISFETに近接する分析物濃度の変化がそれに対して比較されるベースラインを確立するために、フローセル200中に設置されてもよく(例えば、フローセルの「未使用(unused)」セル内に配設されてもよく)、またはその他の方法で参照(例えば、シークエンシング試薬172の1または2以上)に暴露されてもよい。1または2以上の参照電極76は、アレイ100から得られる電圧信号に基づいて分析物測定を容易にするために、アレイ100に、アレイコントローラ250に、または直接コンピュータ260に電気的に結合されてもよい。一部の実施態様では、以下にさらに論じるように、ISFET出力信号測定のための電気的参照を確立するために、1または2以上の参照電極が、電気接地または他の所定の電位に結合されてもよく、または、参照電極電圧が、接地に対して測定されてもよい。
【0043】
より一般的には、本開示の種々の実施形態によるchemFETアレイは、種々の分析物の任意の1または2以上の分析物に対して感応性を有するように構成されてもよい。一実施形態では、アレイの1または2以上のchemFETは、1または2以上の分析物および/または1または2以上の結合事象に対して感応性を有するように構成され、他の実施形態では、所与のアレイの異なるchemFETが、異なる分析物に対して感応性を有するように構成される。例えば、一実施形態では、アレイの1または2以上のセンサ(ピクセル)は、第1の分析物に対して感応性を有するように構成された第1の型のchemFETを含んでもよく、またアレイの1または2以上の他のセンサは、第1の分析物と異なる第2の分析物に対して感応性を有するように構成された第2の型のchemFETを含んでもよい。1つの例示的な実施態様では、第1および第2の分析物は共に、例えば合成によるシークエンシング(sequencing-by-synthesis)法においてヌクレオチド取込みなどの特定の反応を示す可能性がある。もちろん、3つ以上の異なる型のchemFETが、異なるタイプの分析物および/または他の反応物を検出かつ/または測定するために任意の所与のアレイで使用されてもよいことが理解されるべきである。一般に、所与のセンサアレイが、「均一」であり、同じタイプの分析物(例えば、水素イオン)を検出かつ/または測定するために、実質的に類似または同一の型のchemFETを含んでもよく、または、センサアレイが「不均一」であり、異なるタイプの分析物を検出かつ/または測定するために、異なる型のchemFETを含んでもよいことが、本明細書で論じるセンサアレイの実施形態の任意の実施形態において理解されるべきである。
【0044】
図1に示すシステムの他の態様では、1または2以上のアレイコントローラ250は、ISFETアレイ100を動作させるために使用されてもよい(例えば、分析物測定結果を示す出力信号を得るためにアレイの各ピクセルを選択すること/イネーブルにすること)。種々の実施態様では、1または2以上のアレイコントローラを構成する1または2以上のコンポーネントは、アレイ自体のピクセル要素と一緒に、アレイと同じ集積回路(IC)チップ上だがICチップの異なる部分に、またはオフチップで実装されてもよい。アレイ制御に関し、ISFET出力信号のアナログ−デジタル変換は、ISFETアレイと同じ集積回路チップ上に実装されるが、センサアレイ領域の外部に位置する回路要素によって実施されてもよい(センサアレイ領域の外部にアナログ−デジタル変換回路要素を配置することは、より小さいピッチ、したがってより多数のセンサを可能にすると共に、ノイズの低減も可能にする)。以下でさらに論じる種々の例示的な実施態様では、アナログ−デジタル変換は、必要とされる信号ダイナミックレンジに応じて、4ビット、8ビット、12ビット、16ビットまたは他のビット分解能でありうる。
【0045】
一般に、データは、直列か、並列か、またはその組合せでアレイから除去されてもよい。オンチップコントローラ(またはセンス増幅器)は、チップ全体またはチップの一部分を制御しうる。そのため、チップコントローラまたは信号増幅器は、用途の要求に従って必要に応じて複製されてもよい。アレイは、一様である必要はないが、一様であってよい。例えば、信号処理または他のある制約が、1つの大きなアレイの代わりに複数の小さなアレイを必要とし、それぞれのアレイが自分自身のセンス増幅器またはコントローラロジックを有する場合、それは、全く実行可能である。
【0046】
1または2以上の分析物を測定する例示的なシステム1000における、chemFET(例えば、ISFET)アレイ100の役割の一般的な概要が提供されたが、以下に述べるのは、種々の用途で使用されてもよい本開示の種々の本発明の実施形態による例示的なchemFETアレイのより詳細な説明である。やはり例証のために、本開示によるchemFETアレイは、ISFETアレイの特定の例を使用して以下で論じられるが、他の型のchemFETアレイが、代替の実施形態において使用されてもよい。同様にやはり、例証のために、chemFETアレイは、核酸シークエンシング用途の文脈で論じられる。しかし、本発明は、そのように制限されず、むしろ、本明細書で述べるchemFETアレイのための種々の用途を想定する。
【0047】
センサレイアウトおよびアレイ作製
センサレイアウト設計方法およびアレイ作製方法は、Rothberg他,米国特許公報第2009/0026082号および第2009/0127589号に記載される。特に、トラップ電荷を低減しうるかまたはなくす技法が開示され、したがって、これらの参考文献が参照により組み込まれる。一態様において、センサ設計および信号読み出し回路要素が、本発明において使用されてもよい。例えば、図2に示す一実施形態では、アレイの各chemFETは、浮遊ゲート構造、ならびに、第1の半導体型を有し、第2の半導体型を有する領域内に作製されたソースおよびドレインを備え、第2の半導体型を有する領域をソースまたはドレインに電気的に接続する電気導体は存在しない。各センサは、chemFETを含む3つの電界効果トランジスタ(FET)からなり、各センサは、3つのFETに電気的に接続される複数の電気導体を含む。3つのFETは、複数の電気導体が、各センサによって占められるエリアを横切りかつアレイの複数のセンサを相互接続するわずか4つの導体を含むように配列される。各センサ内のFETは全て、同じチャネル型であり、アレイ基板の単一半導体領域内に実装される。アレイの全てのchemFETからのchemFET出力信号の集合体は、データフレームを構成する。装置はさらに、アレイに結合され、少なくとも20フレーム/秒のフレームレートでアレイから複数のデータフレームを提供する少なくとも1つのアレイ出力信号を生成するように構成された制御回路要素を備える。
【0048】
マイクロウェルおよびセンサアレイの集積の例として、図3は、ピクセル作製の層ごとの図ならびに浮遊ゲートおよびマイクロウェルの相対位置を示す近傍ピクセルの複合断面図を示す。3つの隣接ピクセルが断面で示される。ピクセル105のFETコンポーネントは全て、単一n型ウェル154内でpチャネルFETとして作製される。さらに、図3の複合断面図では、高濃度ドープp型領域159もまた見ることができ、MOSFET Q2およびQ3の共有ドレイン(D)に対応している。例証のために、MOSFET Q3のポリシリコンゲート166もまた、図3で見ることができる。しかし、簡潔のために、図2に示すMOSFET Q2およびQ3の各ソースならびにQ2のゲートは、共有ドレインとして同じ(すなわち、図の平面に垂直な)軸に沿って存在するため、図3では見ることができない。最上部の金属層304は、ISFET感応性エリア178に対応し、感応性エリア178の上には分析物感応性パッシベーション層172が配設される。最上部の金属層304は、ISFETポリシリコンゲート164ならびに介在導体306、308、312、316、320、326および338と共にISFET浮遊ゲート構造170を形成する。しかし、ISFETドレインへの電気的な接続は、金属3層ではなく金属2層内に形成されるライン116に結合した導体340、328、および318によって提供される。さらに、ライン112および114もまた、金属3層ではなく金属2層内に形成されるものとして示される。これらのラインならびにライン118の構成はさらに、図4A〜図4Lの各画像から理解されてもよく、特に、ライン118が、金属導体322と共に、金属層内に形成されることが、図4Fで観察することができ、また、ライン112、114、および116が金属2層内に形成され、図4Jに示す金属3層内に浮遊ゲート構造170のジャンパ308だけを残すことを観察することができる。
【0049】
したがって、金属1層および金属2層に信号ライン112、114、116、および118を集め、それにより、これらの信号ラインと金属4層内の浮遊ゲート構造の最上部層304との間の距離を増加させることによって、ISFET内の寄生キャパシタンスが、少なくとも部分的に軽減される可能性がある。(例えば、信号ラインと浮遊ゲート構造の最上部層との間に1または2以上の介在金属層を含む)この一般的な概念が、多数の金属層を含む他の作製プロセスにおいて実施されてもよいことが理解されるべきである。例えば、ピクセル信号ラインと最上部金属層との間の距離は、さらなる金属層を付加する(全部で5つ以上の金属層)ことによって増大する可能性があり、最上部金属層へのジャンパだけが、さらなる金属層内に形成される。特に、6金属層作製プロセスが使用されてもよく、6金属層作製プロセスでは、信号ラインは金属1層および金属2層を使用して作製され、浮遊ゲート構造の最上部金属層は、金属6層内に形成され、最上部金属層へのジャンパは、(金属層間の関連するビアと共に)金属3層、金属4層、および金属5層内にそれぞれ形成される。
【0050】
キャパシタンス低減に関連するなお別の態様では、最上部金属304(したがって、ISFET感応性エリア178)の寸法「f」は、近傍ピクセル間の相互キャパシタンスを低減するために低減されてもよい。図4で観察されるように(また、ISFETアレイの上でのウェル作製を対象とした他の実施形態に関してさらに以下で論じるように)、ウェル725は、ウェルの上部の寸法「g」が、ピクセルピッチ「e」より小さいが、ウェルの底部の寸法「f」より大きくなるよう、テーパ付き形状を有するように作製されてもよい。かかるテーパリングに基づいて、最上部金属304は、近傍ピクセルの上部金属層間にさらなる空間を提供するために、寸法「g」ではなく寸法「f」を持つように設計されてもよい。一部の例証的で非限定的な実施態様では、9マイクロメートルのオーダーの寸法「e」を有するピクセルの場合、寸法「f」は、(先に論じたように、7マイクロメートルと対照的に)6マイクロメートルのオーダーであってよく、5マイクロメートルのオーダーの寸法「e」を有するピクセルの場合、寸法「f」は、3.5マイクロメートルのオーダーであってよい。
【0051】
本発明によって判定される水素イオンおよび他の分析物の検出は、窒化シリコン(Si)、酸窒化シリコン(SiO)、二酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、五酸化タンタル(Ta)、酸化錫または酸化第二錫(SnO)などでできたパッシベーション層を使用して実行されうる。
【0052】
誘電体層が、ISFETセンサ配置構成の浮遊ゲート構造を覆って付加されると、分析物からISFETまでの経路は、3つのキャパシタンスの直列接続としてモデル化されてもよい。3つのキャパシタンスとは、(1)分析物−誘電体層界面において上述した電気2重層に起因するキャパシタンス(CDLと表示される)、(2)浮遊ゲート誘電体層によるキャパシタンス(CFGDと表示される)、および(3)ゲート酸化物キャパシタンス(COX)である。(上記文章では、浮遊ゲート誘電体層は、「パッシベーション」層と呼ばれることがあることに留意されたい。ここで、その層の材料組成が、回路素子をコーティングし保護するためにCMOS処理で使用されることが多い、1または2以上のいわゆるパッシベーション材料(例えば、PECVD窒化シリコン)に必ず関連するという示唆を回避するために、本発明者等は、より具体的に浮遊ゲート誘電体層としてその層を参照する。)直列キャパシタンスストリングは、ウェル内の液体分析物とISFETゲートとの間に延在する。
【0053】
直列のキャパシタンスは、容量性電圧デバイダを形成することがよく知られている。その結果、分析物によってまたは分析物内で生成する信号電圧Vの一部だけが、ISFETを駆動する電圧Vとしてゲート酸化物に印加される。ゲート利得がV/Vとして規定される場合、理想的には、単位利得、すなわち3つのキャパシタンスのいずれの両端でも信号損失が全くないことを有することが好まれるであろう。CDLの値は、材料特性の関数であり、通常、約10〜40μF/cmのオーダーである。ゲート酸化物キャパシタンスは、通常、比較すると非常に小さな値である。そのため、CFGDを、COXとCDLの直列結合よりずっと大きくする(手短に言えば、CFGD>>COX)ことによって、ゲート利得は、実用的である程度に近く1に接近するようにさせられうる。
【0054】
関係CFGD>>COXを達成するために、COXが最小にされるか、CFGDが最大にされるか、または両方が行われうる。CFGDの最大化は、高誘電率材料の薄層を使用することによって、または、浮遊ゲート金属化の面積を増加させることによって達成されうる。キャパシタンスCFGDは、本質的に、その誘電体として浮遊ゲート誘電体層を有する平行板キャパシタによって形成される。その結果、所与の板(すなわち、浮遊ゲート金属化)面積について、CFGDの値を増加させるために主に利用可能なパラメータは、(1)誘電体層の厚さおよび(2)誘電体材料の選択、したがって、その誘電定数である。浮遊ゲート誘電体層のキャパシタンスは、その誘電定数に関して直接変動し、その厚さに関して逆に変動する。そのため、最大ゲート利得を得るという目的を満たすために、薄く高誘電定数の層が好ましいことになる。
【0055】
浮遊ゲート誘電体層材料についての1つの候補は、標準的なCMOSファウンドリプロセスによって使用されるパッシベーション材料である。標準的な(通常、PECVD窒化物、より厳密には、酸窒化シリコンを覆う窒化シリコン)パッシベーション層は、形成されると比較的薄く(例えば、約1.3μm)、典型的なパッシベーション材料は、制限された誘電定数を有する。第1の改善は、形成後にパッシベーション層を薄化することによって達成されうる。これは、窒化物パッシベーション層内にエッチングし、その多くを消費し、わずか約200〜600オングストローム厚の層などの薄層を残すために、マイクロウェル形成中に、オーバエッチステップを使用することなどによって、CMOSパッシベーション層をエッチバックすることによって達成されうる。
【0056】
酸窒化シリコンを覆って堆積した窒化シリコンの標準的なCMOSパッシベーション層をエッチングするために、2つの手法が使用されている。第1の手法は、「部分エッチ(partial etch)」技法と呼ばれ、薄膜金属酸化物検知層を堆積する前に、窒化シリコン層と酸窒化シリコン層の約半分を足したものをエッチング除去することを含む。第2の手法は、「エッチ−金属(etch-to-metal)」技法と呼ばれ、薄膜金属酸化物検知層を堆積する前に、窒化シリコン層および酸窒化シリコン層の全てをエッチング除去することを含む。ALD Ta薄膜検知層が「部分エッチ」を覆って堆積した状態で、約0.37〜約0.43のISFET利得が、約15.02〜17.08mV/pHのセンサ感度と共に経験的に得られている。
【0057】
代替法は、従来のCMOSパッシベーションプロセスの1.3μmの代わりに指示される200〜600オングストロームなどの、誘電体(パッシベーション)材料の薄層をまず単に堆積させることである。浮遊ゲート誘電体層について有用な材料は、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化アルミニウム、および酸化ハフニウムなどの金属酸化物であるが、通常の窒化シリコンパッシベーション材料の誘電定数より大きい誘電定数の他の材料で置換されてもよい。ただし、かかる材料は、対象となるイオンに対して感応性があるか、または、感応性があるようにさせられうるものとする。エッチ−金属手法が好ましく、CMOSプロセスの浮遊ゲート上のパッシベーション酸化物は、浮遊ゲート誘電体材料層を堆積する前に、完全にエッチング除去される。その誘電体層は、金属延伸ISFET浮遊ゲート電極上に直接塗布されてもよい。これは、キャパシタンスCFGDの値を最大にするのに役立つことになる。図5Aおよび5Bは、アレイセンサ板に対する高い容量性結合用の誘電体層を生成する、容易に利用可能な作製技法を使用するステップを示す。プロセスステップはさらに、オフチップ通信用のボンドパッド構造に対する電気的アクセスを提供する。最初に、半導体製造業者からのウェハ(500)は、マイクロウェルがそこから形成される材料層(502)(この例では、TEOS)を塗布するために処理され、その後、マイクロウェル(504)が、センサ板の金属に対してエッチングすることによって形成される。誘電体層(506)は、例えば原子層堆積によって付加される。一実施形態では、図5Bに示すように、誘電体層(506)は、電荷感応性層(512)および接着層(514)を備える。代替の技法および材料を使用して、単一または複数コンポーネント誘電体層が形成されてもよい。酸化タンタルおよびアルミニウムは、誘電体層(506)の例示的な電荷感応性層および接着層である。先に述べたように、誘電体層(506)がそこから形成されてもよい他の材料は、Ta、Al、HfO、またはWOを含む。特に、かかる材料は、サンプル流体中のpH変化に応答して大きな信号をもたらす。例えば、D.O.Wipf等「Microscopic Measurement of pH with Iridium Oxide Microelectrodes」Anal.Chem.2000,72,4921−4927およびY.J.Kim等「Configuration for Micro pH Sensor」Electronics Letters,Vol.39,No.21(Oct.16,2003)に記載されるように、酸化イリジウム酸化が使用されてもよい。
【0058】
チップ制御および読み出し(readout)回路要素
いろいろなオンチップアーキテクチャおよび回路設計が、本発明のアレイ内のセンサによって生成される出力信号を取得し処理するために使用されてもよい。いくつかの手法がRothberg他の米国特許公報第2009/0026082号および第2009/0127589号に開示され、これらを本発明のアレイに関して使用してもよい。例えば、図6は、本開示の1つの発明の実施形態による、アレイコントローラ250に結合するセンサアレイ100のブロック図を示す。種々の例示的な実施態様では、アレイコントローラ250は、「独立型」コントローラとして、または、コンピュータ260の一部を形成する1または2以上のコンピュータと互換性のある「カード」として作製されてもよい。一態様において、アレイコントローラ250の機能は、インタフェースブロック252(例えば、USBポートまたはPCIバスを介したシリアルインタフェース、インターネット接続など)を通してコンピュータ260によって制御されてもよい。一実施形態では、アレイコントローラの全てまたは一部分は、1または2以上のプリント回路板として作製され、アレイ100は、従来のICチップと同様に、プリント回路板の1つに差し込まれるように構成される(例えば、アレイ100はゼロ挿入力(zero-insertion-force)「ZIF」ソケットなどのチップソケットに差し込まれるASICとして構成される)。かかる実施形態の一態様において、ASICとして構成されるアレイ100は、アレイコントローラ250によってアクセスされる/読取られる、かつ/または、コンピュータ260上に渡されてもよい識別コードを提供することに専用の1または2以上のピン/端子接続を含んでもよい。かかる識別コードは、アレイ100の種々の属性(例えば、ピクセルのサイズ、数、出力信号の数、電源電圧および/またはバイアス電圧などの種々の動作パラメータなど)を示してもよく、また、多数の異なるタイプのアレイ100の任意のアレイに関して適切な動作を保証するため、アレイコントローラ250によって提供される対応する動作モード、パラメータ、および/または信号を確定するために処理されてもよい。1つの例示的な実施態様では、ASICとして構成されるアレイ100は、識別コードに専用の3つのピンを備えてもよく、また、製造プロセス中に、ASICは、アレイコントローラ250によって読み取られる、考えられる3つの電圧状態の1つをこれらの3つのピンのそれぞれに提供するために符号化されてもよい(すなわち、3状態ピンコーディングスキーム)。この実施形態の別の態様では、アレイコントローラ250の全てまたは所定部分は、以下でさらに詳細に述べる種々のアレイコントローラの機能を実行するように構成されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として実装されてもよい。
【0059】
一般的に、アレイコントローラ250は、アレイ100に対する種々の電源電圧およびバイアス電圧、ならびに、行および列選択に関連する種々の信号、ピクセル出力のサンプリングおよびデータ取得を提供する。特に、アレイコントローラ250は、アレイ100からの多重化された各ピクセル電圧信号を含む1または2以上のアナログ出力信号(例えば、Vout1およびVout2)を読み取り、その後、これらの各ピクセル信号をデジタル化して、測定データがコンピュータ260に提供され、コンピュータ260は、次に、データを格納してもよく、かつ/または、処理してもよい。一部の実施態様では、アレイコントローラ250はまた、種々のアレイ較正および機能診断を実施するかまたは容易にするように構成されてもよい。アレイコントローラ250は一般に、アレイ100に、アナログ電源電圧およびグラウンド(VDDA、VSSA)、デジタル電源電圧およびグラウンド(VDDD、VSSD)、ならびにバッファ出力電源電圧およびグラウンド(VDDO、VSSO)を提供する。1つの例示的な実施態様では、電源電圧VDDA、VDDDおよびVDDOはそれぞれ、約3.3ボルトである。別の実施態様では、電源電圧VDDA、VDDDおよびVDDOは、約1.8ボルト程度に低くてもよい。先に論じたように、一態様において、これらの電源電圧はそれぞれ、ノイズ分離を容易にするために別個の導電性経路を介してアレイ100に提供される。別の態様では、これらの電源電圧は、各電源/レギュレータから発生するか、または、これらの電源電圧の1または2以上は、アレイコントローラ250の電源258内の共通供給源から発生してもよい。電源258はまた、アレイ動作に必要とされる種々のバイアス電圧(例えば、VB1、VB2、VB3、VB4、VBO0、VBODY)、およびアレイ診断および較正に使用される参照電圧VREFを提供してもよい。
【0060】
別の態様では、電源258は、バイアス電圧、参照電圧、および電源電圧のいずれかまたは全てをソフトウェア制御下で変更されることを可能にする(すなわち、プログラム可能なバイアス設定)、コンピュータ260によって制御されてもよい1または2以上のデジタル−アナログ変換器(DAC)を含む。例えば、(例えば、ソフトウェア実行による)コンピュータ制御に応答する電源258は、電源電圧の1または2以上の調整(例えば、識別コードによって示されるチップタイプに応じた3.3ボルトと1.8ボルトとの間の切換え)、ならびに/または、ピクセルドレイン電流用のバイアス電圧VB1およびVB2、列バスドライブ用のバイアス電圧VB3、列増幅器帯域用のバイアス電圧VB4、および列出力バッファ電流ドライブ用のバイアス電圧VBO0の調整を容易にしてもよい。一部の態様では、1または2以上のバイアス電圧は、イネーブルされたピクセルからの信号のセトリングタイムを最適化するために調整されてもよい。さらに、アレイの全てのISFETについての共通ボディ電圧VBODYは、トラップ電荷を低減するためにオプションの作製後UV照射処理中に接地され、その後、診断解析、較正、および測定/データ取得のためのアレイの通常動作中に、高電圧(例えば、VDDA)に結合されてもよい。同様に参照電圧VREFは、種々の診断および較正機能を容易にするために変更されてもよい。
【0061】
図6に示すように、アレイ100によって測定される分析溶液に関連して通常使用される参照電極76は、ピクセル出力電圧用の参照電位を提供する電源258に結合されてもよい。例えば、一実施態様において、参照電極76は、ピクセル出力電圧用のリファレンスを提供するために、電源グラウンド(例えば、アナロググラウンドVSSA)に結合されてもよい。他の例示的な実施態様では、参照電極電圧は、既知のpHレベルを有する対象となる溶液/サンプルをセンサアレイ100に近接して設置し、アレイ出力信号Vout1およびVout2が所望の参照レベルのピクセル電圧を提供するまで参照電極電圧を調整することによって設定されてもよく、それにより、後続のピクセル電圧の変化は、既知の参照pHレベルに対してpHの局所変化を反映する。一般に、一部の実施態様では、電源258によって提供される参照電圧VREFは参照電極76の電圧を設定するために使用されるが、参照電極76に関連する電圧は、先に論じた参照電圧VREF(種々のアレイ診断および較正機能のために使用されてもよい)と必ずしも同一である必要はないことが理解されるべきである。
【0062】
アレイ100からのデータ取得に関して、一実施形態では、図6のアレイコントローラ250は、センサアレイからの1または2以上の出力信号(例えば、Vout1およびVout2)をさらにバッファリングし、選択可能な利得を提供する1または2以上の前置増幅器253を含んでもよい。一態様において、アレイコントローラ250は、各出力信号について1つの前置増幅器(例えば、2つのアナログ出力信号について2つの前置増幅器)を含んでもよい。他の態様では、前置増幅器は、0.0〜1.8ボルト、または0.0〜3.3ボルトの入力電圧を受容するように構成されてもよく、プログラム可能な/コンピュータ選択可能な利得(例えば、1、2、5、10、および20)ならびに低ノイズ出力(例えば、<10nV/sqrtHz)を有してもよく、ローパスフィルタリング(例えば、5MHzおよび25MHzの帯域幅)を提供してもよい。ノイズ低減および信号対雑音比の増加に関して、アレイ100が、アレイコントローラ250の全てまたは一部分を収容するプリント回路板のチップソケット内に設置されるASICとして構成される一実施態様において、フィルタリングキャパシタは、ノイズ低減を容易にするために、チップソケットに近接して(例えば、ZIFソケットの下側で)使用されてもよい。さらに別の態様では、前置増幅器は、入力電圧信号および/または出力電圧信号のために、電圧信号用の基準レベルを所望の範囲に設定するためのプログラム可能な/コンピュータ選択可能なオフセットを有してもよい。
【0063】
図6のアレイコントローラ250はまた、コンピュータ260にデータを提供するために、センサアレイ出力信号Vout1およびVout2をデジタル出力(例えば、10ビットまたは12ビット)に変換する1または2以上のアナログ−デジタル変換器(ADC)254を含んでもよい。一態様において、1つのADCがセンサアレイの各アナログ出力について使用されてもよく、各ADCは、(前置増幅器が所与の実施態様において用いられる場合)対応する前置増幅器の出力に結合されてもよい。別の態様では、1または2以上のADCは、異なる範囲のアレイ出力信号および/または前置増幅器パラメータとの整合性を容易にするためのコンピュータ選択可能な入力範囲(例えば、50mV、200mV、500mV、1V)を有してもよい。なお他の態様では、1または2以上のADCの帯域幅は60MHzより大きくてもよく、データ取得/変換レートは25MHzより大きくてもよい(例えば、100MHz以上ほどに高い)。
【0064】
図6の実施形態では、ADC取得タイミングならびにアレイの行および列の選択はタイミング発生器256によって制御されてもよい。特に、タイミング発生器は、行選択を制御するデジタル垂直データおよびクロック信号(DV、CV)、列選択を制御するデジタル水平データおよびクロック信号(DH、CH)、ならびに、イネーブルされた行について各ピクセル電圧をサンプリングする列サンプルおよびホールド信号COL SHを提供する。タイミング発生器はまた、図7に関連して以下でさらに論じるように、所与のアレイアナログ出力信号(例えば、Vout1およびVout2)のデータストリーム内の連続するピクセル値を適切にサンプリングしデジタル化するために、1または2以上のADC254にサンプリングクロック信号CSを提供する。一部の実施態様では、タイミング発生器256は、マイクロプロセッサ実行コードによって実装され、適切に時間制御された信号を提供するマルチチャネルデジタルパターン発生器として構成されてもよい。1つの例示的な実施態様では、タイミング発生器256はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として実装されてもよい。
【0065】
図7は、センサアレイ100からのピクセルデータを取得するために、タイミング発生器256によって提供される種々のアレイ制御信号の例示的なタイミング図を示す。以下説明のために、「フレーム(frame)」は、アレイ内の各ピクセルについての値(例えば、ピクセル出力信号または電圧V)を含むデータセットとして規定され、「フレームレート(frame rate)」は、連続するフレームがアレイから取得されてもよいレートとして規定される。そのため、フレームレートは、任意の所与のピクセルからのデータがそのフレームレートで得られるため、アレイの各ピクセルについての「ピクセルサンプリングレート(pixel sampling rate)」に本質的に対応する。
【0066】
図7の例では、20フレーム/秒の例示的なフレームレートが、アレイの動作(すなわち、行および列選択および信号取得)を示すために選択される。しかし、より低いフレームレート(例えば1〜10フレーム/秒)またはより高いフレームレート(例えば、25、30、40、50、60、70〜100フレームレート/秒など)を含む異なるフレームレートが、同じ数かまたはそれより多い数のピクセルを有するアレイによって可能であるため、本開示によるアレイおよびアレイコントローラがこの点に限定されないことが理解されるべきである。一部の例示的な適用形態では、1または2以上の所与の分析物に関する実験を行うために、数秒にわたって多くのフレームを含むデータセットが取得されてもよい。いくつかのかかる実験は、連続して行われてもよく、ある場合には、データ転送/処理および/またはセンサアレイASICの洗浄および後続の実験のための試薬の調製を可能にするための休止を伴って行われてもよい。
【0067】
例えば、核酸取込みを検出する方法に関して、適切なフレームレートが、ISFETの出力信号を十分にサンプリングするために選択されてもよい。一部の例示的な実施態様では、水素イオン信号は、核酸取込み事象の数に応じて、約1秒〜約2.5秒のオーダーの半値全幅(full-width at half-maximum)(FWHM)を有してもよい。これらの例示的な値が与えられると、20Hzのフレームレート(または、ピクセルサンプリングレート)は、所与のピクセル出力信号内の信号を確実に分解するのに十分である。やはり、この例で与えられるフレームレートは、主に例証のために提供され、異なるフレームレートが、他の実施態様に含まれてもよい。
【0068】
一実施態様において、アレイコントローラ250は、行を連続的に、1度に1回イネーブルするようにアレイ100を制御する。例えば、ピクセルの第1の行は、行選択信号
【数1】

によってイネーブルされる。イネーブルされたピクセルは、ある期間の間、セトリングされることを許容され、その後、COL SH信号が、一時的にアサートされて、各列内のサンプル/ホールドスイッチが閉じられ、列のサンプル/ホールドキャパシタCsh上に、列内の第1のピクセルによって出力される電圧値が格納される。この電圧は、その後、2つ(奇数列および偶数列)のアレイ出力ドライバ198および198の一方に印加される列出力電圧VCOLjとして利用可能である(例えば、図16参照)。COL SH信号は、その後デアサートされ、それにより、各列内のサンプル/ホールドスイッチが開放され、列増幅器107Aおよび107Bから、列出力バッファ111が切離される。その後すぐに、ピクセルの第2の行は、行選択信号
【数2】

によってイネーブルされる。ピクセルの第2の行がセトリングすることを許容される期間中に、行選択信号は、一度に2回(1つの奇数および1つの偶数;奇数列選択信号は連続して奇数出力ドライバに印加され、偶数列選択信号は連続して偶数出力ドライバに印加される)生成されて、第1の行に関連する列出力電圧が読み取られる。こうして、アレイ内の所与の行がイネーブルされセトリングする間に、前の行が、一度に2つの列だけ読み出される。行選択およびサンプリング/読出しを交互に行うことによって、また、所与の行について一度に複数の列を読み取ることによって、データフレームは、かなり能率化された方法でアレイから取得されてもよい。
【0069】
図7は、20フレーム/秒の例示的なフレームレートについて先のプロセスのタイミングの詳細を示す。512×512アレイでは、各行は、図7の垂直の描写によって示すように、約98マイクロ秒で読み出されなければならない。したがって、垂直クロック信号CVは98マイクロ秒の周期を有し(すなわち、10kHzを超えるクロック周波数)、新しい行は、CV信号の前方エッジ(trailing edge)(負の遷移)でイネーブルされる。図7の左側は、新しいフレームサイクルの始まりを反映し、その時点で、垂直データ信号DVは、CV信号の第1の前方エッジの前にアサートされ、CV信号の次の前方エッジの前にデアサートされる。同様に、CV信号の各前方エッジの(すなわち、新しい行がイネーブルされる)直前に、COL SH信号は、2マイクロ秒間アサートされ、CV信号の前方エッジ前に50ナノ秒が残る。
【0070】
図7では、COL SH信号の第1の発生は、512×512アレイの行512のピクセル値を実際にサンプリングしている。こうして、CV信号の第1の前方エッジが生じると、第1の行はイネーブルされ、COL SH信号の第2の発生まで(約96マイクロ秒間)セトリングすることを許容される。第1の行についてのセトリング時間中、行512のピクセル値は、列選択信号を介して読み出される。512列を読み取るために、2つの列選択信号が同時に生成されるため、水平クロック信号CHは、この期間内に256サイクル生成しなければならず、CH信号の各前方エッジは、1つの奇数および1つの偶数列選択信号を生成する。図7に示すように、所与の行内のCH信号の第1の前方エッジは、サンプル/ホールドキャパシタCsh上に格納され、列出力バッファによって提供される電圧値のセトリングを可能にするために、行の選択後(COL SH信号の不活性化後)2マイクロ秒経って発生するように時間制御される。しかし、他の実施態様では、CH信号の第1の前方エッジとCOL SH信号の前方エッジ(すなわち、不活性化)との間の期間は、2マイクロ秒より著しく小さく、ある場合には、丁度50ナノ秒を超える程度に小さい可能性がある。同様に、各行について、水平データ信号DHは、CH信号の第1の前方エッジの前にアサートされ、CH信号の次の前方エッジの前にデアサートされる。最後の2列は、先に論じたように、次の行がイネーブルされる約2マイクロ秒前に発生するCOL SH信号の発生前に選択される。こうして、先の例では、列は、約94マイクロ秒(すなわち、1行当たり98マイクロ秒から、各行の最初と最後の2マイクロ秒を引く)の期間内に、一度に2回読み取られる。これは、約2.7MHzの各アレイ出力信号Vout1およびVout2についてのデータレートをもたらす。
【0071】
アレイの全ての列内のセンサによってサンプル流体中に結合されるノイズは、センサの出力信号内に存在する可能性がある。行がアレイ内で選択されるとき、列内のISFETの全ての間で共有されるドレイン端子電圧が、(ソース−ドレインフォロワの必要な要件として)上昇または下降する。これは、列内の未選択ISFETの全てのゲート−ドレインキャパシタンスを変化させる。次に、このキャパシタンスの変化は、全ての未選択ISFETのゲートから流体中に結合し、最終的に、流体中のノイズ(すなわち、不正確な電荷、モニタリングされる化学反応によらない電荷)として現れる。すなわち、共有されるドレイン端子電圧の任意の変化は、列内のそれぞれのまたは全ての未選択ISFETによって流体中にノイズを注入することと見なされうる。したがって、アレイ内の行を選択するときに、未選択ISFETの共有されるドレイン端子電圧が一定に維持されうる場合、流体中にノイズを結合するというこのメカニズムが、低減されるかまたはさらに効果的になくされうる。行がアレイ内で選択されるとき、列内の未選択ISFETの全てのソース端子電圧もまた変化する。次に、それは、列内のこれらのISFETの全てのゲート−ソースキャパシタンスを変化させる。このキャパシタンスの変化は、全ての未選択ISFETのゲートから流体中に結合し、やはり最終的に、流体中のノイズとして現れる。すなわち、列内の未選択ISFETの端子電圧の任意の変化は、流体中へのノイズの注入と見なされうる。したがって、アレイ内の行を選択するときに、未選択ISFETのソース端子電圧が一定に維持されうる場合、流体中にノイズを結合するというこのメカニズムが、低減されるかまたはさらに効果的になくされうる。
【0072】
列バッファが、ISFETのソースの問題ではなく、ISFETのドレインの問題を軽減するために、一部の受動ピクセル設計に関して使用されうる。こうして、列バッファが、先に示したソース−ドレインフォロワにとって好ましい可能性が最も高い。ソース−ドレインフォロワ配置構成を使用する3トランジスタ受動ピクセルを用いて、2つのセンスノード、ISFETソースおよびドレイン端子が本質的に存在する。ピクセルを列バッファに接続し、ISFETのドレイン端子を接地することによって、1つだけのセンスノード、ISFETソース端子が存在することになる。こうしてドレインの問題がなくされる。
【0073】
サンプルアンドホールドブロックとマルチプレクサブロックの両方を備える上述した読み出し回路はまた、1の理想値より小さい利得を有する。さらに、サンプルアンドホールドブロックは、かなりのパーセンテージ、おそらく25%を超える総合チップノイズに寄与する。スイッチドキャパシタ理論から、サンプルアンドホールド「kT/C」ノイズは、キャパシタンスに反比例する。したがって、より大きなキャパシタを選択することによって、サンプルアンドホールドノイズは低減されうる。ノイズを低減する別の手法は、相関2重サンプリング(Correlated double Sampling)(CDS)を使用することであり、第2のサンプルアンドホールドおよび差回路が、ノイズを相殺するために使用される。この手法は、以下でより詳細に論じられる。
【0074】
相関2重サンプリング(CDS)は、望ましくないオフセットの除去を可能にする、電圧または電流などの電気的値を測定する、知られている技法である。センサの出力は、2回、すなわち、既知の条件下で1回と未知の条件下で1回測定される。既知の条件から測定される値は、その後、未知の条件から減算されて、測定される物理量に対して既知の関係を有する値が生成される。ここでの難題は、CDSを実装するときに効率的である方法および相関ノイズと分析物流体中へのノイズ注入の最小化の両方に対処する方法である。
【0075】
出発点は、本出願の始めの部分で示されるセンサピクセルおよびその読出し構成である。図8Aを参照して、基本的な受動センサピクセル77A1は、ISFET77A2ならびにISFETソースに接続された一対の行選択トランジスタ77A3および77Aの3トランジスタ配置構成である。トランジスタ77A3は、次に、電流源またはシンク77A5に接続される。読出しは、センス増幅器77A6の入力に接続されるトランジスタ77A4によって得られる。別の増幅器77A8と直列接続したダイオード接続トランジスタ77A7は、センス増幅器の出力からISFETのドレインまでフィードバックループで接続する。センス増幅器出力は、出力増幅器77A10に給電するサンプルアンドホールド回路77A9によって取り込まれる。
【0076】
先に論じたように、ISFETのソースおよびドレイン上での電圧変化は、分析物内にノイズを注入し、検知される値に誤差をもたらす。2つの建設的な変更は、図8Bに示すように、ノイズレベルをかなり低減しうる。
【0077】
第1の変更は、ISFET上の信号を変えることである。ISFETのドレインへのフィードバックループがなくされ、ドレインは、グラウンドなどの安定した電圧に接続される。列バッファ77Bは、トランジスタのエミッタに接続される。
【0078】
第2の変更は、列バッファの出力に対してCDSを実施する回路を含むことである。先に述べたように、CDSは、第1の参照値を必要とする。これは、「SH」フェーズとして示すクロックの第1のまたは参照フェーズ中に、スイッチ77B2を介して参照電圧に列バッファ77B1の入力を接続することによって得られる。CDSとサンプルアンドホールドの結合回路は、その後、参照サンプルおよび検知された値を得る列バッファの出力を2重サンプリングし、減算を実施し、結果として得られるノイズ低減された出力値を供給する。その理由は、同じ相関ノイズが参照サンプル内とセンサ出力内に現れるからである。
【0079】
CDSおよびサンプルアンドホールド回路の動作は簡単である。回路は、2フェーズクロックで動作し、第1のフェーズはSHフェーズであり、第2のフェーズはSHbフェーズである。通常、フェーズは、対称であり、したがって、互いの反転値であることになる。参照サンプルは、SHフェーズで得られ、キャパシタCin上に電荷(したがって、電圧)を配置し、その電荷は、クロックフェーズが変化するときに、列バッファの出力から減算される。
【0080】
依然として受動センサピクセルを用いる代替の実施形態が図8Cに示される。センサピクセルは、この実施形態では、そのドレインが一定電源電圧VSSAに接続されるISFETを備える2トランジスタ回路である。77A4と同等のトランジスタは存在せず、ピクセル出力は、代わりに、トランジスタ77A3のエミッタから得られる。CDSおよびサンプルアンドホールド回路は、フィードバックループの削除によって少し簡略化されているが、センサピクセルによって供給される信号からキャパシタCin上の参照値を減算するという同じ機能を、キャパシタCbl上に貯蔵される電荷(電圧)と連携して果たす。
【0081】
マイクロウェルアレイ
他所で論じたように、DNAシークエンシングなどにおける多くの使用の場合、半導体センサのアレイを覆って、対応するマイクロウェルのアレイを設けることが望ましく、各マイクロウェルは、好ましくは1つだけのDNA負荷ビーズ(DNA-loaded bead)を受取るのに十分小さく、これに関連して、アレイの下にあるピクセルは、対応する出力信号を提供することになる。
【0082】
かかるマイクロウェルアレイの使用は、それぞれが別々に論じられる作製および調製の3つのステージを含む。3つのステージとは、(1)マイクロウェルアレイ層を含むコートを有するチップをもたらすようにマイクロウェルのアレイを生成すること、(2)流体インタフェースにコーティングされたチップを搭載すること、およびDNAシークエンシングの場合、(3)1または2以上のDNA負荷ビーズをウェル内にロードすることである。もちろん、他の用途では、ビーズは不要であってもよく、または、異なる特性を有するビーズが使用されてもよいことが理解される。
【0083】
本明細書で述べるシステムは、chemFETのアレイを備える半導体と一体化されたマイクロ流体反応チャンバのアレイを含みうる。一部の実施形態では、本発明はかかるアレイを包含する。反応チャンバは、例えば、ガラス、誘電体材料、感光性材料、またはエッチング可能材料で形成されてもよい。
【0084】
本発明の種々の態様または実施形態は、反応チャンバのアレイで覆われたchemFETセンサのアレイを備える装置を含み、反応チャンバの底部はchemFETセンサに接触する(または、容量的に結合する)。一部の実施形態では、各反応チャンバ底部が、chemFETセンサに、好ましくは別個のchemFETセンサに接触する。一部の実施形態では、全てより少ない数の反応チャンバ底部がchemFETセンサに接触する。一部の実施形態では、アレイ内の各センサが反応チャンバに接触する。他の実施形態では、全てより少ない数のセンサが反応チャンバに接触する。センサ(および/または反応チャンバ)アレイは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、1000、10、10、10、10、10、またはそれより多いchemFETセンサ(および/または反応チャンバ)からなってもよい。本明細書で用いる場合、例として256センサまたは反応チャンバを備えるアレイは、256以上の(すなわち、少なくとも256の)センサまたは反応チャンバを含むことになることが意図される。要素および/またはステップを「備える(comprise)」、本明細書で述べる態様および実施形態はまた、かかる要素および/またはステップ「からなる(consist of)」または「から本質的になる(consist essentially of)」態様および実施形態を完全にサポートし包含することがさらに意図される。
【0085】
本発明の種々の態様および実施形態は、中心間距離または間隔(または、本明細書で用語が交換可能に使用されるため、「ピッチ(pitch)」)で互いから離間するアレイ内のセンサ(および/または反応チャンバ)を含み、その中心間距離または間隔は、1〜50ミクロン、1〜40ミクロン、1〜30ミクロン、1〜20ミクロン、または、約9ミクロン以下または約5.1ミクロン以下を含む5〜10ミクロン、または、約2.8ミクロン以下を含む1〜5ミクロンの範囲内にある。反応チャンバアレイ内の隣接する反応チャンバ間の中心間距離は、約1〜9ミクロンか、約2〜9ミクロン、または約1〜9ミクロン、あるいは、約1ミクロン、約2ミクロン、約3ミクロン、約4ミクロン、約5ミクロン、約6ミクロン、約7ミクロン、約8ミクロン、または約9ミクロンであってよい。
【0086】
一部の実施形態では、反応チャンバは、0.5pL未満、0.1pL未満、0.05pL未満、0.01pL未満、0.005pL未満を含む約1ピコリットル(pL)以下の容積を有する。
【0087】
反応チャンバは、例えばそのベースまたは底部において正方形断面を有してもよい。例は、8μm×8μm断面、4μm×4μm断面、または1.5μm×1.5μm断面を含む。あるいは、反応チャンバは、例えばそのベースまたは底部において長方形断面を有してもよい。例は、8μm×12μm断面、4μm×6μm断面、または1.5μm×2.25μm断面を含む。
【0088】
別の例示的な実施態様では、本発明は、少なくとも1つの反応チャンバの2次元アレイを備えるシステムを包含し、各反応チャンバは、化学感応性電界効果トランジスタ(「chemFET」)に結合され、各反応チャンバは、容積がわずか10μm(すなわち、1pL)である。好ましくは、各反応チャンバは、容積が、わずか0.34pLであり、より好ましくはわずか0.096pLまたはさらに0.012pLである。反応チャンバは、任意に、上部における断面積が、2、3、4、5、6、7、8、9、または10平方ミクロンでありうる。好ましくは、アレイは、少なくとも、10、10、10、10、10、10、10、10、またはそれより多い反応チャンバを有する。反応チャンバは、chemFETに容量的に結合されてもよく、また、好ましくは、chemFETに容量的に結合される。かかるシステムは、核酸ハイ高スループットシークエンシングのために使用されてもよい。
【0089】
一部の実施形態では、反応チャンバアレイ(または等価的に、マイクロウェルアレイ)は、10、10、10、10、10、または10のマイクロウェルアレイまたは反応チャンバを備える。一部の実施形態では、反応チャンバアレイ内の個々の反応チャンバは、少なくとも1つのchemFETに接触するかまたは容量的に結合される。一実施形態では、アレイの反応チャンバは、1つのchemFETまたは1つのISFETに接触するかまたは容量的に結合される。一部の実施形態では、chemFETアレイは、任意に、10、10、10、10、10、または10のchemFETを備えてもよい。
【0090】
これらのまた他の態様および実施形態では、chemFETまたはISFETアレイは、256以上のchemFETまたはISFETを備えてもよい。かかるアレイのchemFETまたはISFETは、1〜10ミクロンの(隣接するchemFETまたはISFET間の)中心間間隔を有してもよい。一部の実施形態では、中心間間隔は、約9ミクロン、約8ミクロン、約7ミクロン、約6ミクロン、約5ミクロン、約4ミクロン、約3ミクロン、約2ミクロン、または約1ミクロンである。特定の実施形態では、中心間間隔は、約5.1ミクロンまたは約2.8ミクロンである。
【0091】
一部の実施形態では、ビーズは反応チャンバ内にあり、任意に、1つだけのビーズが反応チャンバ内にある。一部の実施形態では、反応チャンバは、ISFETに接触するかまたは容量的に結合する。一部の実施形態では、ISFETはISFETアレイ内にある。一部の実施形態では、ビーズは、6ミクロン未満、3ミクロン未満、または1ミクロン未満の直径を有する。ビーズは、約1ミクロンから約7ミクロンまで、または約1ミクロンから約3ミクロンまでの直径を有してもよい。
【0092】
一部の実施形態では、反応チャンバは、約1ミクロンから約10ミクロンの中心間距離を有する。一部の実施形態では、反応チャンバアレイは、10、10、10、10、10、または10の反応チャンバを備える。
【0093】
本発明によれば、ISFETのゲート上の誘電体層は、ISFETの一部である。反応チャンバ内の電荷は誘電体の一方の面上に蓄積し、その第2の板として浮遊ゲート金属層を有するキャパシタの一方の板を形成することが認識され、したがって、反応チャンバは、ISFETに容量的に結合していると呼ばれる。
【0094】
一部の実施形態では、ISFETはISFETアレイ内にある。ISFETアレイは、10、10、10、10、10、または10の反応チャンバを備える。
【0095】
一部の実施形態では、テンプレート核酸は、ISFETに接触するかまたは容量的に結合する反応チャンバ内にある。一部の実施形態では、反応チャンバは、反応チャンバアレイ内にある。一部の実施形態では、反応チャンバアレイは、10、10、10、10、10、または10の反応チャンバを備える。
【0096】
マイクロウェルは、アレイ間でサイズが異なっていてもよい。これらのマイクロウェルのサイズは、幅(または直径)と高さの比によって記述されてもよい。一部の実施形態では、この比は、1:1〜1:1.5である。ビーズ対ウェルサイズ(例えば、ビーズ直径対ウェル幅、直径、または高さ)は、好ましくは、0.6〜0.8の範囲にある。
【0097】
マイクロウェルサイズは、断面によって記述されてもよい。断面は、ウェルの深さ(または高さ)に平行な「スライス」を指してもよく、または、断面は、ウェルの深さ(または高さ)に垂直な「スライス」であってよい。マイクロウェルは、断面が正方形であってよいが、そのように制限されない。マイクロウェルの底部の(すなわち、ウェルの深さに垂直である断面における)寸法は、1.5μm×1.5μmであってよく、または、1.5μm×2μmであってよい。適した直径は、丁度または約100μm、95μm、90μm、85μm、80μm、75μm、70μm、65μm、60μm、55μm、50μm、45μm、40μm、35μm、30μm、25μm、20μm、15μm、10μm、9μm、8μm、7μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、1μm、またはそれより小さい値を含むが、それに限定されない。一部の特定の実施形態では、直径は、丁度または約44μm、32μm、8μm、4μm、または1.5μmであってよい。適した高さは、丁度または約100μm、95μm、90μm、85μm、80μm、75μm、70μm、65μm、60μm、55μm、50μm、45μm、40μm、35μm、30μm、25μm、20μm、15μm、10μm、9μm、8μm、7μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、1μm、またはそれより小さい値を含むが、それに限定されない。一部の特定の実施形態では、高さは、丁度または約55μm、48μm、32μm、12μm、8μm、6μm、4μm、2.25μm、1.5μm、またはそれより小さい値であってよい。本発明の種々の実施形態は、これらの高さの任意の高さと共に、これらの直径の任意の直径の組合せを想定する。なお他の実施形態では、反応ウェルの寸法は、(μm単位の直径×μm単位の高さ)44×55、32×32、32×48、8×8、8×12、4×4、4×6、1.5×1.5、または1.5×2.25であってよい。
【0098】
反応ウェル容積は、ウェル寸法に基づく(アレイ間の、好ましくは、単一アレイ内でない)範囲にあってよい。この容積は、丁度または約100ピコリットル(picoliter)(pL)、90、80、70、60、50、40、30、20、10、またはそれより少ないpLであってよい。重要な実施形態では、ウェル容積は、0.5pL以下、0.1pL以下、0.05pL以下、0.01pL以下、0.005pL以下、または0.001pL以下を含む1pL未満である、容積は、0.001〜0.9pL、0.001〜0.5pL、0.001〜0.1pL、0.001〜0.05pL、または0.005〜0.05pLであってよい。特定の実施形態では、ウェル容積は、75pL、34pL、23pL、0.54pL、0.36pL、0.07pL、0.045pL、0.0024pL、または0.004pLである。一部の実施形態では、各反応チャンバは、わずか約0.39pLの容積および約49μm表面開口部を有し、より好ましくは、わずか約16μmの開口部およびわずか約0.064pLの容積を有する。
【0099】
そのため、本発明の種々の態様および実施形態は、一般に、1または2以上の分析物を測定するか、または、chemFET表面に結合した電荷を測定するための大規模FETアレイに関することが理解される。chemFETおよびより詳細にはISFETは、分析物および/または電荷を検出するために使用されてもよいことが理解されるであろう。ISFETは、先に論じたように、水素イオン(または陽子)検出などのイオン検出のために構成される特定の型のchemFETである。本開示によって想定される他の型のchemFETは、分析物を検出するために酵素を使用する酵素FET(EnFET)を含む。しかし、本開示は、ISFETおよびEnFETに限定されるのではなく、より一般に、あるタイプの化学的感応性のために構成される任意のFETに関することが理解されるべきである。本明細書で用いる場合、化学的感応性は、限定することなく、有機の、無機の、自然に発生する、自然に発生しない、イオンなどの化学的および生物学的化合物、小分子、核酸などのポリマー、タンパク質、ペプチド、多糖類などを含む、対象となる任意の分子に対する感応性を広く包含する。
【0100】
一部の実施形態では、本発明は、chemFETを覆う(overlying)誘電体層を備えるシークエンシング装置を包含し、誘電体層は、chemFETの最上部で側方に中心を持つ凹所を有する。好ましくは、誘電体層は、二酸化シリコンで形成される。
【0101】
半導体構造が、図示するように形成された後、マイクロウェル構造がダイに塗布される。すなわち、マイクロウェル構造は、ダイ上に直接形成されうるか、または、マイクロウェル構造は、別々に形成され、その後、ダイ上に搭載されてもよく、いずれの手法も許容可能である。ダイ上にマイクロウェルを形成するために、種々のプロセスが使用されてもよい。例えば、ダイ全体が、例えばMicrochem SU−8 2015などのネガ型フォトレジストまたはHD Microsystems HD8820などのポジ型レジスト/ポリイミドを用いて、マイクロウェルの所望の高さまでスピンコーティングされてもよい。1または2以上のフォトレジスト層内のウェルの所望の高さ(例えば、1ウェル当たり1ピクセルの例では約4〜12μmであるが、一般事項としてそのように制限されない)は、1または2以上の層内で、所定のレート(文献および製造業者の仕様を参照することによって、または、実験的に見出されうる)で適切なレジストを回転させることによって達成されうる。(ウェルの高さは、通常、センサピクセルの横方向寸法に対応して、好ましくは公称1:1〜1.5:1のアスペクト比(高さ:幅または直径)のために選択されてもよい。信号対雑音の検討に基づいて、所望のレベルの性能を達成するための、寸法と必要とされるデータサンプリングレートとの間の関係が存在する。そのため、所与の用途について最適パラメータを選択するときに考慮されることになる多数のパラメータが存在する。)あるいは、複数層の異なるフォトレジストが塗布されてもよく、または、別の形態の誘電体層が堆積されてもよい。種々のタイプの化学気相堆積が、材料層内でのマイクロウェル形成に適した材料層を堆積するために使用されてもよい。
【0102】
フォトレジスト層(単数形の「層(layer)」は、同様に、集合体の複数の層を包含するために使用される)が所定場所に置かれると、個々のウェル(通常、1ウェル当たり1個または4個のISFETセンサを有するようにマッピングされる)は、レジストコーティングされたダイを覆って(例えば、クロムの)マスクを配置し、架橋(通常、UV)照射にレジストを露光することによって生成されてもよい。照射に露光された全てのレジスト(すなわち、マスクが照射をブロックしない場所)は架橋結合し、結果として、チップ(ダイ)の表面に結合した永久プラスチック層を形成することになる。未反応レジスト(すなわち、光がレジストに達することをマスクが阻止し、架橋結合が防止されるため、露光されていないエリア内のレジスト)は、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)または他の好適な溶媒などの適した溶媒(すなわち現像剤)中でチップを洗浄することによって除去される。結果として得られる構造は、マイクロウェルアレイの壁を画定する。
【0103】
例えば、種々の分解能の、また、種々のエッチャントおよび現像剤の接触リソグラフィが使用されてもよい。マイクロウェルが形成される1または2以上の層のために、有機および無機材料が共に使用されてもよい。1または2以上の層は、パッシベーション層などの、センサアレイ内のピクセル構造を覆う誘電体層を有するチップ上にエッチングされてもよく、または、1または2以上の層は、別々に形成され、その後、センサアレイを覆って塗布されてもよい。特定の選択またはプロセスは、アレイサイズ、ウェルサイズ、利用可能な作製施設、許容可能なコストなどの要因に依存することになる。
【0104】
1または2以上のマイクロウェル層を形成するために、一部の実施形態で使用されてもよい、種々の有機材料の中に、上述したSU−8型ネガ作用型フォトレジスト、従来のポジ作用型フォトレジスト、およびポジ作用型感光性ポリイミドが存在する。有機材料はそれぞれ、フォトリソグラフィ分野の当業者によく知られている長所および短所を有する。
【0105】
当然、製造環境において、変更は適切である。
【0106】
接触リソグラフィは、制限を有し、最高密度のウェルを製造するために選択される製造方法ではない可能性がある。すなわち、接触リソグラフィは、横方向に、所望より大きな最小ピッチ限界を課す可能性がある。遠紫外線ステップアンドリピートなどの他の技法は、高分解能リソグラフィを提供することが可能で、小さなピッチおよびおそらくより小さなウェル直径を生成するために使用されうる。もちろん、異なる所望の仕様(例えばチップ当たりのセンサおよびウェルの数)について、異なる技法が最適であるとわかる可能性がある。また、製造業者に利用可能な作製プロセスなどの実際的な要因が、特定の作製方法の使用を動機付ける可能性がある。新規な方法が論じられるが、本発明の種々の態様は、これらの新規な方法の使用に限定される。
【0107】
好ましくは、ISFETアレイを有するCMOSウェハは、最終金属化プロセス後に平坦化されることになる。窒化シリコンパッシベーションの前の、化学機械誘電平坦化が適する。これは、後続のリソグラフィステップを、バックエンドCMOSトポグラフィのない非常に平坦な表面上で行うことを可能にすることになる。
【0108】
遠紫外線ステップアンドリピート・リソグラフィシステムを利用することによって、優れた分解能、レジストレーション、および再現性を有する小さなフィーチャを分解することが可能である。しかし、これらのシステムの高分解能および大きな開口数(NA)は、これらが大きな焦点深度を有することを妨害する。したがって、かかる作製システムを使用するとき、パターン転写し、次に下にある1または2以上の層にマイクロウェルフィーチャをエッチングするために、より薄い感光性スピンオン層(すなわち、接触リソグラフィで使用される厚い層ではなく、1〜2μmオーダーのレジスト)を使用することが必要となる場合がある。高分解能リソグラフィは、その後、マイクロウェルフィーチャをパターニングするために使用され、選択性エッチストップを有する従来のSiOエッチ化学物質(それぞれ、ボンドパッドエリア用の化学物質と、次に、マイクロウェル用の化学物質)が使用されうる。エッチストップは、その後、アルミニウムボンドパッドおよび窒化シリコンパッシベーション(または類似のもの)上にそれぞれ存在しうる。あるいは、他の適した代用パターン転写およびエッチ方法が使用されて、無機材料のマイクロウェルがもたらされうる。
【0109】
他の手法は、有機材料でマイクロウェル構造を形成することである。例えば、二重レジスト「ソフトマスク(soft-mask)」プロセスが使用されてもよく、それにより、薄い高分解能遠紫外線レジストが、厚い有機材料(例えば、硬化ポリイミドまたは逆作用型(opposite-acting)レジスト)の上部で使用される。上部レジスト層がパターニングされる。パターンは、酸素プラズマ反応性イオンエッチプロセスを使用して転写されうる。このプロセスシークエンスは、「ポータブルコンフォーマブルマスク(portable comformable mask)」(PCM)技法と呼ばれることがある。B.J.Lin等「Practicing the Novolac deep−UV portable conformable masking technique」Journal of Vacuum Science and Technology 19,No.4,1313−1319(1981)およびA.Cooper等「Optimization of a photosensitive spin−on dielectric process for copper inductor coil and interconnect protection in RF SoC devulises」を参照されたい。
【0110】
あるいは、「ドリルフォーカス(drill-focusing)」技法が使用されてもよく、それにより厚いレジスト層をパターニングするときの高分解能ステッパの制限された焦点深度(DOF)を補償するために、数回のステップアンドリピート露光が、異なる焦点深度で行われる。この技法は、ステッパのNAおよびDOFならびにレジスト材料のコントラスト特性に依存する。
【0111】
そのため、マイクロウェルは、必要な厚さ(例えば、約4〜10μm)を提供しうる、任意の高アスペクト比で感光性のまたはエッチング可能な薄膜プロセスによって作製されうる。適すると思われる材料の中に、光感応性ポリマー、二酸化シリコン、例えばプラズマエッチングプロセスを使用してエッチングされうる非光感応性ポリマーなどが存在する。二酸化シリコンのファミリにおいて、TEOSおよびシラン窒素酸化物(silane nitrous oxide)(SILOX)が適しているように見える。最終的な構造は同じであるが、種々の材料は、標的生物学的物質または化学的物質に、異なるように反応させる可能性がある異なる表面組成を呈する。
【0112】
マイクロウェル層が形成されると、エッチングプロセスが、所望されるより先に進まないように、エッチストップ層を設けることが必要である場合がある。例えば、低K誘電体などの、保存される下地層が存在する可能性がある。エッチストップ材料は、用途に応じて選択されるべきである。SiCおよびSiN材料が適するが、そのことは、代わりに他の材料が使用される可能性がないことを示すことを意図しない。これらのエッチストップ材料はまた、適切なゼロ電荷点(point of zero charge)(PZC)を有するようにエッチストップ材料を選択することによって、ISFETセンサ感度を向上させる(drive)表面化学を増強するのに役立ちうる。種々の金属酸化物が、二酸化シリコンおよび窒化シリコン以外に適する可能性がある。
【0113】
種々の金属酸化物についてのPZCは、J.Fierroによる「Metal Oxides−Chemistry and Applications」などの種々のテキストに見出される可能性がある。本発明者等は、AlのPZCが、まさに(right)使用されるpH(すなわち、約8.8)にあり、したがって、まさにゼロ電荷点にあるため、Alを覆うエッチストップとして、Taが好ましい可能性があることを見出した。さらに、Taは、センサ性能における別の重要な因子である、pHに対する高い感応性(すなわち、mV/pH)を有する。これらのパラメータを最適化することは、パッシベーション表面材料の賢明な選択を必要とする可能性がある。
【0114】
このために(すなわち、エッチストップ層として)薄い金属酸化物を使用することは、これらがあまりに薄く(通常、200〜500Å)堆積されている事実から難しい。マイクロウェル作製後金属酸化物堆積技法は、高アスペクト比のマイクロウェルの底部に適切なPZC金属酸化物膜の配置を可能にする可能性がある。
【0115】
(a)反応性スパッタによる酸化タンタル、(b)非反応性化学量論的酸化タンタル、(c)酸化タングステン、または(d)酸化バナジウムの電子ビーム堆積は、堆積プロセスの優れた指向性によって、優れた「ダウンインウェル(down-in-well)」カバレッジを有することを証明する可能性がある。
【0116】
アレイは、通常、少なくとも100個のマイクロ流体ウェルを備え、マイクロ流体ウェルはそれぞれ、1または2以上のchemFETセンサに結合する。好ましくは、ウェルは、ガラス(例えば、SiO)、ポリマー材料、感光性材料、または反応性イオンエッチング可能な薄膜材料の少なくとも1つで形成される。好ましくは、ウェルは、約1:1より小さい幅対高さ比を有する。好ましくは、センサは、電界効果トランジスタであり、より好ましくはchemFETである。chemFETは、任意に、PPi受容器に結合されてもよい。好ましくは、chemFETはそれぞれ、10ミクロン以下であるアレイのエリアを占める。
【0117】
一部の実施形態では、本発明は、反応チャンバがその中に形成される、ガラス(例えば、SiO)、ポリマー材料、感光性材料、または反応性イオンエッチング可能材料などの誘電体層に結合した半導体ウェハデバイスを備えるシークエンシングデバイスを包含する。通常、ガラス、誘電体材料、ポリマー材料、感光性材料、または反応性イオンエッチング可能材料は、半導体ウェハ層に一体化される。一部の事例では、ガラス層、ポリマー層、感光性層、または反応性イオンエッチング可能層は非結晶性である。一部の事例では、ガラスはSiOであってよい。デバイスは、任意にさらに、ポリマー材料、好ましくは射出成形材料などの適した材料の流体送出モジュールを備えうる。
【0118】
一部の実施形態では、本発明は、フォトリソグラフィを使用して、トランジスタのアレイの上部に、ガラス、誘電体材料、感光性材料、または反応性イオンエッチング可能材料内にウェルを生成することを含む、シークエンシングデバイスを製造する方法を包含する。
【0119】
アレイ作製のためにCMOSまたは類似の作製プロセスが使用されるときの、なお別の代替法は、CMOS材料を使用して直接マイクロウェルを形成することである。すなわち、ISFETアレイの浮遊ゲートを形成するCMOS上部金属化層は、通常、約1.3μm厚であるパッシベーション層でコーティングされる。1.3μmの深さのマイクロウェルが、パッシベーション材料をエッチング除去することによって形成されうる。例えば、1:1のアスペクト比、その上部において深さ1.3μmおよび幅1.3μmを有するマイクロウェルが形成されてもよい。ウェルサイズが減少するにつれて、実際には、DNA濃度、したがって、SNRが増加することを、モデル化が示す。そのため、他の要因が同一である場合、かかる小さなウェルが望ましいことがわかる可能性がある。
【0120】
フローセルおよびフルイディクスシステム
センサアレイを使用するための完全なシステムは、用途に応じて、適した流体源、バルビング、および、マイクロアレイまたはセンサアレイ上の低い試薬および洗浄液に対してバルビングを動作させるコントローラを含むであろう。これらの要素は、既製のコンポーネントから容易に組み立られ、コントローラは、所望の実験を実施するために容易にプログラムできる。
【0121】
chemFETにおける読出し情報は、電流または電圧(およびその変化)であってよいこと、また、いずれの読出し情報に対する任意の特定の参照は、簡潔であることを目的とし、他の読出し情報の排除を意図するものではないことが理解されるべきである。したがって、chemFETにおける電流検出または電圧検出に対する以下のテキストでの任意の参照は、他の読出し情報を想定し、他の読出し情報にも同様に適用されることが理解されるべきである。重要な実施形態では、読出しは、分析物濃度の急速で一過性の変化を反映する。2つ以上の分析物の濃度は、異なる時間に検出されてもよい。一部の事例では、かかる測定は、定常状態濃度測定に重点を置く方法と対照をなす。
【0122】
サンプル中のDNAのシークエンシングを行うために、マイクロウェルのアレイと組み合わせて、チップ上のセンサアレイの組立体(assembly)を使用するプロセスは、「実験(experiment)」と呼ばれる。実験を実行することは、ウェルにDNA結合ビーズをロードすること、および、ウェルにわたっていくつかの異なる流体溶液(すなわち、試薬および洗浄液)を流すことを必要とする。流体インタフェースに結合する液体送出システム(例えば、弁、導管、1または2以上の圧力源など)が必要とされ、液体送出システムは、死容積および逐次溶液(sequential solutions)間の相互汚染が許容可能なほどに小さい状態で、制御された均一流でウェルにわたって種々の溶液を流す。理想的には、チップに対する流体インタフェース(「フローセル(flow cell)」と呼ばれることがある)は、流体が全てのマイクロセルに同時に達するようにさせる。アレイ速度を最大にするために、同じ時間のできる限り近くでアレイ出力が利用可能であることが必要である。理想は、明らかに可能でないが、アレイからの全ての信号の総合取得速度を最大にするために、種々のウェルにおいて、導入される流体の到着時間の差またはスキューを最小にすることが望ましい。
【0123】
多くの構成のフローセル設計が可能であり、したがって、本明細書で提示するシステムおよび方法は、特定のフローセル構成の使用に依存しない。しかし、適したフローセルは、以下の一連の目的に実質的に適合する。目的とは、
・フルイディクス送出システムと相互接続するのに適した接続を有すること−例えば、適切なサイズにされた配管による、
・ウェルの上に適切なヘッドスペースを有すること、
・流体が遭遇する死容積を最小にすること、
・(相互汚染を最小化するために)液体に接触するが、フローセルを通る洗浄流体流によって迅速に押し流されない小さな空間を最小にすること、
・ウェルにわたる流れの均一な通過時間を達成するように構成されること、
・ウェルにわたる流れの中で最小の気泡を生成するかまたは伝搬させること、
・フローチャンバ内部にまたはフローチャンバのできる限り近くに、取外し可能な参照電極を配置するようになっていること、
・ビーズの容易なローディングを容易にすること、
・許容可能なコストで製造可能であること、および、
・容易に、組立てられ、チップパッケージに取付けられること
である。
【0124】
これらの基準をできる限り満たすことは、システム性能にポジティブに寄与することになる。例えば、気泡の最小化は、アレイからの信号が、スプリアスノイズであるのではなく、ウェル内の反応を真に示すために重要である。
【0125】
異なる方法でまた異なる程度にこれらの基準を満たすいくつかの例示的な設計がそれぞれ論じられる。各事例において、典型的には、2つの方法の一方で設計を実施することを選択することができる。2つの方法とは、フローセルをフレームに取り付け、チップにフレームを接着する(またはその他の方法でフレーム取り付ける)ことによる方法、または、フレームをフローセル構造内に一体化し、この統合型組立体をチップに取り付けることによる方法である。さらに、設計は、参照電極が配置構成内に一体化される方法によって分類されてもよい。設計に応じて、参照電極は、フローセル内に一体化されてもよく(例えば、フローチャンバの天井の一部を形成してもよく)、または流路内に(通常、センサアレイ後の、流路の出口または下流側に)存在してもよい。
【0126】
かかる流体インタフェースを組み込む、適した実験装置3410の例が、図9に示され、その製造および構成が、以下でさらに詳細に論じられる。装置は、その上またはその中にウェルおよびセンサのアレイが形成される半導体チップ3412(隠れているが、全体的に示される)、および、チップの上部にあり、読取りのためにチップにサンプルを送出するフルイディクス組立体3414を備える。フルイディクス組立体は、サンプルを含む流体を導入する部分3416、流体が管によって排出されることを可能にする部分3418、および流体が入口から出口まで流れ、その途中でウェル内の材料と相互作用することを可能にするフローチャンバ部分3420を含む。これら3つの部分は、ガラススライド3422(例えば、3分の1に切断され、それぞれが約25mm×25mmのサイズであるErie Scientific Company(ニューハンプシャー州ポーツマス(Portsmouth, NH)所在)からのErie Microarray Cat #C22−5128−M20)を備えるインタフェースにより統合される。
【0127】
ガラススライドの上部面には、ワシントン州オークハーバ(Oak Harbor, WA)のUpchurch Scientificからのナノポート取付け具Part # n−333などの2つの取付け具3424および3426が搭載される。1つのポート(例えば3424)は、以下で述べるがここでは図示されないポンピング/バルビングシステムから液体を送出する入口として役立つ。第2のポート(例えば3426)は、液体を管で流して廃棄する出口である。各ポートは、適切な内径の可撓性の配管などの導管3428、3432に接続される。ナノポートは、配管がガラススライドの対応する穴を貫通できるように搭載される。管の開口部は、スライドの底部表面と同一平面上にあるべきである。
【0128】
ガラススライドの底部において、フローチャンバ3420は、マイクロウェルアレイにわたって実質的に層状の流れを促進する種々の構造を備えてもよい。例えば、フローチャンバの入口管から縁部までファンアウトする一連のマイクロ流体チャネルは、マサチューセッツ州ニュートン(Newton, MA)のMicroChem Corp.からのSU−8フォトレジストなどのポジ型フォトレジストを使用する接触リソグラフィによってパターニングされてもよい。他の構造が、以下で論じられる。
【0129】
チップ3412は、次に、パッケージングおよびコネクタピン3432への接続のために、キャリア3430に搭載される。
【0130】
一様なフローフロントを達成し、問題となる流路エリアをなくすことは、いくつかの理由で望ましい。1つの理由は、システムのフローセル内での流体インタフェースの非常に速い遷移が、多くの用途、特に遺伝子シークエンシングについて望ましいことである。換言すれば、入って来る流体は、短期間で以前の流体を完全に置換しなければならない。フローセル内の不均等な流体速度および拡散ならびに問題となる流路は、この要件と競合しうる。長方形断面の導管を通る単純なフローは、フロー容積の中心に近い領域から側壁に隣接する領域まで、流体速度のかなりの相違を示す可能性があり、1つの側壁は、マイクロウェル層およびウェル内の流体の上部表面である。かかる相違は、移動する2つの流体間に空間的および時間的な大きな濃度勾配をもたらす。さらに、気泡は、フローセル内部の鋭い角部のような停滞したエリア内にトラップされるかまたはそこで生成される可能性がある。(表面エネルギー(親水性対疎水性)は、気泡保持に著しく影響を及ぼしうる。成形時の表面が、疎水性が強過ぎる場合、処理中の表面汚染の回避およびより親水性の強い表面を生成するための表面処理の使用が考えられるべきである。)もちろん、フローチャンバの物理的配置構成は、おそらく、フローフロントについて達成可能な一様性の程度に最も影響を及ぼす要因である。
【0131】
全ての場合に、試薬サイクルと試薬サイクルとの間に、マイクロウェルと共に、フローチャンバ全体の完全な洗浄を保証することに対して注意が払われるべきである。流れの乱れは、フローチャンバを完全にクリーニングするという難題を悪化させる可能性がある。
【0132】
流れの乱れはまた、流体中で気泡を誘発するかまたは倍増させる可能性がある。気泡は、流体がマイクロウェルに達するのを妨げるか、または、マイクロウェルへの流体の導入を遅延させる可能性があり、マイクロウェルの読取りにエラーをもたらすか、または、アレイからの出力の処理時にそのマイクロウェルからの出力を使い物にならなくさせる。そのため、考えられる有害な要因を管理するために、流れかく乱要素についての構成および寸法を選択するときに注意が払われるべきである。例えば、かく乱要素の高さと所望される速度プロファイル変化との間にトレードオフが行われてもよい。
【0133】
フローセルは、他所で述べたように、多くの異なる材料から作製されてもよい。射出成形されるポリカーボネートは、極めて適しているようである。導電性金属(例えば金)は、フローセル屋根の下側(フローチャンバの天井)に接着層(例えばクロム)を使用して堆積されてもよい。材料(例えばポリカーボネート)および流体セルの底部側における大きな段差被覆トポグラフィ(すなわちISFETアレイのフレーム包囲部)のため、適切な低温薄膜堆積技法が、好ましくは金属参照電極の堆積において使用される。考えられる1つの手法は、遊星システムにおいて電子ビーム蒸着を使用することであると思われる。
【0134】
組立体が完成すると−導電性エポキシ(例えばEpo−Tek H20Eなど)が、シールリング上に分注され、フローセルが整列され、配置され、圧迫され、硬化されてもよい−ISFETフローセルは、パッケージの割り当てられたピンに参照電位が印加されることによって、いつでも動作できる状態になる。
【0135】
一部の実施形態では、本発明は、層状の流体流システムを備える、pHの検出装置を包含する。好ましくは、装置は、アレイ内に存在する複数の核酸テンプレートのシークエンシングを行うために使用される。
【0136】
装置は、通常、流体がマイクロ流体反応チャンバの全てに同時にまたは実質的に同時に達するように、少なくとも100K(10万)、500K(50万)、または1M(100万)のマイクロ流体反応チャンバのアレイに流体流を非機械的に誘導する1または2以上の開口部を備える膜を含むフルイディクス組立体を含む。通常、流体流は、センサ表面に平行である。通常、組立体は、1000、500、200、100、50、20、または10未満のレイノルズ数を有する。好ましくは、膜はさらに、センサアレイに向かって流体を誘導する第1の開口部およびセンサアレイから遠くに流体を誘導する第2の開口部を備える。
【0137】
一部の実施形態では、本発明は、センサアレイに流体を誘導する方法を包含し、該方法は、流体源をセンサアレイに流体的に結合する開口部を備えるフルイディクス組立体を設けること、および、センサアレイに流体を非機械的に誘導することを含む。「非機械的に(non-mechanically)」は、機械式ポンプと対照的に、気体圧力源からの圧力下で流体が移動することを意味する。
【0138】
一部の実施形態では、本発明は、ウェルのアレイを包含し、そのそれぞれは、入口ポートおよび出口ポートならびに前記入口および出口ポートから流体を非機械的に送出し除去する流体送出システムを有する蓋に結合する。
【0139】
一部の実施形態では、本発明は、上述した装置を利用して、核酸などの生物学的ポリマーのシークエンシングを行う方法を包含し、該方法は、反応チャンバのアレイにモノマーを含む流体を誘導することを含み、流体は最大で2000、1000、200、100、50、または20の流体流レイノルズ数を有する。該方法は、任意にさらに、各前記反応チャンバからpHまたはpHの変化を検出することを含んでもよい。これは、通常、センサ表面へのイオン拡散によって検出される。マイクロウェルおよびセンサアレイ組立体にわたって適切な流体流を送出するフルイディクス組立体を設ける種々の他の方法が存在し、したがって、先の例は、網羅的であることを意図しない。
【0140】
pHベース核酸シークエンシング
本発明の装置は、核酸取込みによって放出される水素イオンを検出するように適合していてもよく、その検出プロセスは、Rothberg等の米国特許公報第2009/0026082号および第2009/0127589号においてDNAシークエンシング法として開示される。これらの、および種々の他の態様において、できる限り高い信号(および/または信号対雑音比)を達成するために、できる限り多くの放出水素イオンを検出することが重要である。chemFET表面によって最終的に検出される放出陽子の数を増加させる方策は、とりわけ、ウェル内で反応基との放出陽子の相互作用を制限すること、陽子に対して比較的不活性である、ウェルを製造する材料を最初に選択すること、chemFETで検出される前に放出陽子がウェルを出ることを防止すること、および(各ヌクレオチド取込みからの信号を増幅するために)ウェル当たりのテンプレートのコピー数を増加させることを含むが、それに限定されない。
【0141】
一態様において、本発明は、水素イオン変化(またはpH変化)をより正確にモニタリングおよび/または測定するための、緩衝能力が低減したアレイおよびデバイスを提供する。例として、本発明は、緩衝能力が全くないかまたは制限された環境でポリメラーゼ伸長反応におけるpH変化をモニタリングする装置およびデバイスを提供する。低い緩衝環境の例は、サンプル流体および/または反応混合物内でpH緩衝成分を欠く環境、サンプル流体および/または反応混合物に接触するアレイ成分の表面が、緩衝能力をほとんど持たないかまたは全く持たない環境、および、本明細書で述べるように、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1.0pH単位のオーダーのpH変化が、例えばchemFET、より詳細にはISFETによって検出可能である環境を含む。
【0142】
緩衝抑制剤はまた、リン脂質であってもよい。リン脂質は、天然に存在するリン脂質であっても、天然に存在しないリン脂質であってもよい。緩衝抑制剤として使用されるリン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、およびホスファチジルセリンを含むが、それに限定されない。一部の実施形態では、リン脂質は、chemFET表面(または反応チャンバ表面)上にコーティングされてもよい。かかるコーティングは、共有結合性であっても、非共有結合性であってもよい。他の実施形態では、リン脂質は液内に存在する。
【0143】
本発明の一部の事例は、たとえ緩衝されていたとしても、最小限に緩衝された反応溶液を含む環境を使用する。緩衝は、溶液の成分によって、または、かかる溶液と接触する固体支持体によって提供されうる。緩衝能力(または活性)が全くないかまたは低い溶液は、少なくとも約+/−0.005pH単位、少なくとも約+/−0.01、少なくとも約+/−0.015、少なくとも約+/−0.02、少なくとも約+/−0.03、少なくとも約+/−0.04、少なくとも約+/−0.05、少なくとも約+/−0.10、少なくとも約+/−0.15、少なくとも約+/−0.20、少なくとも約+/−0.25、少なくとも約+/−0.30、少なくとも約+/−0.35、少なくとも約+/−0.45、少なくとも約+/−0.50、またはそれより大きな値のオーダーの水素イオン濃度の変化が、(例えば、本明細書で述べるchemFETセンサを使用して)検出可能である溶液である。一部の実施形態では、1ヌクレオチド取込み当たりのpH変化は、約0.005のオーダーである。一部の実施形態では、1ヌクレオチド取込み当たりのpH変化は、pHの減少である。緩衝能力が全くないかまたは低い反応溶液は、緩衝液を全く含まないか、緩衝液の濃度が非常に低いか、または、弱い緩衝液を使用する可能性がある。
【0144】
コンカテマー化テンプレート
テンプレートまたはプライマーの数(すなわちコピー数)の増加は、センサ当たりの、かつ/または、反応チャンバ当たりのより多くの数のヌクレオチド取込みをもたらし、それにより、より高い信号、したがって、より高い信号対雑音比がもたらされる。コピー数は、とりわけ、例えば、コンカテマー(すなわち、シークエンシングされる核酸の、複数のタンデムに配置されたコピーを含む核酸)であるテンプレートを使用することによって、ビーズ上のまたはビーズ内の核酸の数を、かかるビーズが飽和するまで増加させることによって、また、立体障害を減少させ、かつ/または、(例えば、テンプレートを共有結合で付着させることによる)テンプレート付着を保証する方法で、ビーズまたはセンサ表面にテンプレートまたはプライマーを付着させることによって増加させることができる。コンカテマーテンプレートは、ビーズ上でまたはビーズ内で、あるいは、センサ表面などの他の固体支持体上で不動化されてもよいが、一部の実施形態では、コンカテマーテンプレートは、不動化なしで反応チャンバ内に存在してもよい。例えば、テンプレート(または、テンプレートおよびプライマーを含む複合体)は、chemFET表面に共有結合でまたは非共有結合で付着されてもよく、そのシークエンシングは、放出水素イオンの検出、および/または、ヌクレオチオド取込み事象によるchemFET表面への負電荷の付加を含んでもよい。後者の検出スキームは、緩衝環境または緩衝溶液内で実施されてもよい(すなわち、pHの変化は、chemFETによって全く検出されず、したがって、かかる変化は、chemFET表面への負電荷付加の検出に干渉しないであろう)。
【0145】
RCAまたはCCR増幅法は、何十、何百、何千、またはそれより多いタンデムに配列されたテンプレートのコピーを含むテンプレート核酸のコンカテマーを生成する。かかるコンカテマーは、依然として本明細書でテンプレート核酸と呼ばれてもよいが、スターティングテンプレート核酸の複数のコピーを含んでもよい。一部の実施形態では、かかるコンカテマーはまた、増幅されたテンプレート核酸と呼ばれてもよい。あるいは、それらは、標的核酸フラグメントの複数のコピーを含むものとして本明細書で言及されてもよい。コンカテマーは、スターティング核酸の、2つの、3つの、4つの、5つの、6つの、7つの、8つの、9つの、10の、20の、30の、40の、50の、60の、70の、80の、90の、100の、500の、1000の、またはそれより多いコピーを含んでもよい。コンカテマーは、スターティング核酸の、10〜10の、10〜10の、10〜10の、10〜10の、またはそれより多いコピーを含んでもよい。これらのまた他の方法(例えばDNAナノボールなど)を使用して生成されるコンカテマーは、本明細書で述べる合成によるシークエンシングで使用されうる。コンカテマーは、アレイとは別にインビトロで生成され、その後、アレイの反応チャンバ内に配置されてもよく、または、コンカテマーは、反応チャンバ内で生成されてもよい。反応チャンバの1または2以上の内側壁は、コンカテマーの付着および保持を増大させるために処理されてもよいが、これは必要とされない。本発明の一部の実施形態では、コンカテマーが、chemFET表面などの反応チャンバの内部壁に付着する場合、本明細書で論じた放出水素イオンの検出の代替法としてまたはそれに加えて、ヌクレオチド取込みは、少なくとも合成によるシークエンシング反応において、chemFET表面における電荷の変化によって検出されてもよい。コンカテマーがchemFET表面上にかつ/または反応チャンバ内に堆積される場合、合成によるシークエンシングは、本明細書で論じた放出水素イオンの検出を通して起こりうる。本発明は、コンカテマー化テンプレートを生成する他の手法の使用を包含する。1つのかかる手法は、米国特許第5834252号でStemmer他によって述べられるPCRであり、この手法の説明は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0146】
本発明の重要な態様は、複数の異なるテンプレート核酸のシークエンシングを同時に行うことを想定する。これは、本明細書で述べるセンサアレイを使用して達成することができる。一実施形態では、1マイクロウェル当たり少なくとも1つのセンサが存在するという条件で、センサアレイは、マイクロウェル(あるいは、これらの用語が交換可能に使用されるため、反応チャンバまたはウェル)で覆われる(かつ/または、それと一体化される)。複数のマイクロウェル内には、テンプレート核酸の同一コピーの集合体が存在する。いずれか2つのマイクロウェルが同一のテンプレート核酸を保持する必要性はないが、一部の事例では、かかるテンプレートは、オーバラップシークエンスを共有してもよい。そのため、各マイクロウェルは、テンプレート核酸の複数の同一コピーを含み、マイクロウェル間のテンプレートが異なってもよい。
【0147】
したがって、本発明は、光学検出なしで、任意に非標識ヌクレオチドを使用して、非標識核酸のシークエンシングを行い、少なくとも100の反応チャンバのアレイを備えるシークエンシング装置を想定することが理解される。一部の実施形態では、アレイは、10、10、10、10、10、またはそれより多い反応チャンバを備える。ピッチ(または、隣接する反応チャンバ間の中心間距離)は、1〜9ミクロン、1〜8ミクロン、1〜7ミクロン、1〜6ミクロン、1〜5ミクロン、1〜4ミクロン、1〜3ミクロン、または1〜2ミクロンを含む約1〜10ミクロンのオーダーである。
【0148】
本発明の種々の態様および実施形態において、それの何十、何百、何千、またはそれより多い数が存在する可能性がある核酸負荷ビーズは、まずフローセルに入り、次に、個々のビーズが個々のウェルに入る。ビーズは、受動的にまたはその他の方法でウェルに入ってよい。例えば、ビーズは、外部力を加えられることなく重量によってウェルに入ってもよい。ビーズは、限定はしないが磁気力または遠心力を含む外部力を加えることによってウェルに入ってもよい。一部の実施形態では、目的が、できる限り多くのビーズを「捕捉する(capture)」ことであるため、外部力は、加えられる場合、ウェルの高さ/深さを横切るのではなく、ウェルの高さ/深さに平行である方向に加えられる。好ましくは、ウェル(または、ウェルアレイ)は、例えばウェルの高さ/深さに垂直である外部力が加えられることによって起こるように、撹拌されない。さらに、ウェルは、一度そのようにロードされると、ビーズをウェルから除去しうる任意の他の力を受けない。
【0149】
例は、磁気ビーズにおける例示的なビーズローディングプロトコルの簡潔な説明を提供する。他のビーズタイプをロードするために、類似の手法が使用されうることが理解される。プロトコルは、フローチャンバのウェル内への空気のトラップの可能性または発生率を減少させ、フローチャンバのウェルの全体の中に核酸負荷ビーズを一様に分配し、フローチャンバ内での過剰のビーズの存在および/または蓄積を回避することを立証した。
【0150】
種々の事例において、本発明は、フローチャンバ内の各ウェルが1つの核酸負荷ビーズだけを含むことを想定する。これは、1ウェル当たり2つのビーズの存在が、2つの異なるテンプレート核酸に由来する使用できないシークエンシング情報をもたらすことになるからである。
【0151】
シークエンシング反応の一部として、dNTPは、その相補的なヌクレオチドがテンプレート核酸上の同じ場所に存在する場合、新しく合成されたストランドの3’末端(または、最初に取り込まれるdNTPの場合、シークエンシングプライマーの3’末端)に結合される(または、本明細書で用いる場合「取り込まれる(incorporated into)」)ことになる。したがって、導入されたdNTPの取込み(およびPPiの付随的放出)は、テンプレート核酸内の対応するヌクレオチドの同一性(identity)を示す。dNTPが取込まれない場合、水素は放出されず、chemFET表面において信号は検出されない。したがって、相補的ヌクレオチドがその場所のテンプレート内に存在しなかったことを結論付けることができる。導入されたdNTPが新しく合成されたストランドに取り込まれた場合、chemFETは信号を検出することになる。信号強度および/または曲線下面積は、取り込まれたヌクレオチドの数の関数である(例えば、テンプレート内のホモポリマーストレッチで起こる可能性がある)。結果として、配列情報は、テンプレート内のホモポリマーストレッチ(例えば、ポリA、ポリT、ポリC、またはポリG)のシークエンシングを通して失われない。
【0152】
例1
ISFETアレイ上のpHシフトによって検出されるオンチップポリメラーゼ伸長
シークエンシングプライマーおよびT4 DNAポリメラーゼが結合されるビオチン化合成テンプレートを担持するストレプトアビジン被覆2.8ミクロンビーズを、4つのヌクレオチドのそれぞれの3つの逐次的なフローに供した。各ヌクレオチドサイクルは、dATP、dCTP、dGTP、およびdTTPのフローからなり、それぞれの間に、緩衝液のみの洗浄流を流した。第1のサイクルからのフローは青で示され、第2のサイクルからのフローは赤で示され、第3のサイクルからのフローは黄で示される。図10Aに示すように、2つのdATPフローの両方について生成される信号は、非常によく似ていた。図10Bは、dCTPの第1(青)のトレースが、後続のサイクルからのdCTPフローより高く、ポリメラーゼが、1テンプレート分子当たり単一のヌクレオチドを取り込ませたであろうフローに対応することを示す。図10Cは、dGTPの第1(青)のトレースが、後続のサイクルからのdGTPフローより約6カウント高く(ピーク−ピーク)、ポリメラーゼが、1テンプレート分子当たり10のヌクレオチドのストリングを取込むべきであるフローに対応することを示す。図10Dは、dTTPの第1(青)のトレースが、後続のサイクルからのdTTPフローより同様に約6カウント高く(ピーク−ピーク)、ポリメラーゼが、1テンプレート分子当たり10ヌクレオチドのストリングを取り込ませたであろうフローに対応することを示す。
【0153】
例2
閉じたシステムにおけるシークエンシングおよびデータ操作
配列は、23merの合成オリゴヌクレオチドおよび25merのPCR産物オリゴヌクレオチドから得た。オリゴヌクレオチドは、ビーズに付着され、ビーズは、その後、5.1ミクロンピッチを有する1348×1152のアレイで155万のセンサ(38400センサ/mm)を有するチップ上の個々のウェル内にロードされた。1ビーズ当たり合成オリゴヌクレオチドの約百万のコピーが負荷され、1ビーズ当たりPCR産物の約300000〜600000のコピー負荷された。アレイを通しかつアレイにわたる4ヌクレオチドのサイクルは、2分の長さであった。ヌクレオチオドは、それぞれ50マイクロモルの濃度で使用した。ポリメラーゼは、当該プロセスで使用した唯一の酵素であった。データは、32フレーム/秒で収集した。
【0154】
図11Aは、合成オリゴヌクレオチドについてISFETから直接測定された未加工(raw)データを示す。1ミリボルトは68カウントに匹敵する。データは、1秒当たり多数回、チップ上の各センサ(314チップ上の1550200センサ)でサンプリングされた。図は、各ヌクレオチドフローについて色分けされている。各ヌクレオチドフローについて、数秒のイメージングが起こる。グラフは、各フロー中に行われた個々の測定の連続(concatenation)を示す。Y軸は未加工カウント表示であり、X軸は秒表示である。X軸の真上に重ね合せて示したのは、各フローにおける予想される取込みである。
【0155】
図11Bは、シークエンシングが行われるテンプレートに対して正規化された、各ヌクレオチドフローについての積分値を示す。積分値は、図11Aに示す未加工トレース測定値から得られ、積分限界は、信号対雑音比を最大にするように選択された。結果は、ベース取込み当たりの信号に対して正規化され、ヌクレオチドフローごとにグラフ化された。Y軸は取込み数であり、X軸は、TACGの順で行われるヌクレオチドフロー番号である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路支持基材内に化学電界効果トランジスタアレイを備える装置であって、前記トランジスタアレイは、その表面上に、サンプル流体からの化学的または生物学的サンプルを保持することが可能なサンプル保持領域を配設されており、前記トランジスタアレイは、10μm以下のピッチを有し、各サンプル保持領域は、前記サンプル保持領域における化学的または生物学的サンプルの特性に関連する少なくとも1つの出力信号を生成するように構成される少なくとも1つの化学電界効果トランジスタ上に配置される、前記装置。
【請求項2】
化学的または生物学的サンプルの特性が、帯電した種の濃度であり、化学電界効果トランジスタがそれぞれ、浮遊ゲートを有し、前記浮遊ゲートの表面上に誘電体層を有するイオン感応性電界効果トランジスタであり、前記誘電体層は、サンプル流体に接触し、前記サンプル流体中の前記帯電した種の濃度に比例する電荷を蓄積することが可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
誘電体層が、前記誘電体層の両端のキャパシタンスを最大にするように選択された厚さを有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
誘電体層の厚さが、1〜1000ナノメートルである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
誘電体層が金属酸化物を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
金属酸化物が、酸化アルミニウム、酸化タンタル、窒化シリコン、酸窒化シリコン、五酸化タンタル、酸化錫、および酸化第二錫からなる群から選択される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
誘電体層が、サンプル流体と流体接触状態にある電荷感応性層と、前記電荷感応性層を浮遊ゲートに接合するために前記浮遊ゲート上に配設された接着層とからなる2層を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
電荷感応性層が酸化タンタルであり、接着層が二酸化アルミニウムである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
サンプル保持領域のアレイが、化学電界効果トランジスタアレイ上で形成され、前記化学電界効果トランジスタアレイと一体であるマイクロウェルのアレイであり、前記アレイの各マイクロウェルは、マイクロウェル容積を閉囲する壁を有し、各マイクロウェル容積は、化学的または生物学的サンプルを収容することが可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
マイクロウェルのアレイは、化学電界効果トランジスタアレイに密閉的に付着したフローセルによって閉囲され、前記フローセルは、前記マイクロウェルに試薬を送出するように構成され、前記フローセルは、入口、出口を有し、前記アレイとともに前記試薬用の流路を画定するチャンバを形成し、それにより、各マイクロウェルは前記チャンバに流体連通する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
チャンバが、マイクロウェルのそれぞれにおいて実質的に等しい試薬の流量を提供するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記回路支持基材が、少なくとも1フレーム/秒のレートで化学電界効果トランジスタから出力信号のサンプルを受信するための、前記化学電界効果トランジスタアレイに結合された制御回路要素をさらに含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
集積センサアレイであって、
回路支持基材内に形成された複数のセンサを備え、各センサは、化学電界効果トランジスタを備え、前記センサは、100センサ/mmより大きい密度の、256個より多いセンサの平面アレイであり、前記アレイの各センサは、前記センサに近接する化学的または生物学的サンプルの濃度または存在に関連する少なくとも1つの出力信号を提供するように構成され、前記出力信号は、同じ化学的または生物学的サンプルの同じ濃度または存在に応答して、前記アレイの各センサについて実質的に同じである、前記集積センサアレイ。
【請求項14】
回路支持基材内に複数のサンプル保持領域をさらに含み、各サンプル保持領域は、前記センサの少なくとも1つの上にありかつ前記センサの少なくとも1つに動作可能に連結される、請求項13に記載の集積センサアレイ。
【請求項15】
濃度が、帯電した種の濃度を含み、化学電界効果トランジスタのそれぞれは、浮遊ゲートを有し、前記浮遊ゲートの表面上に誘電体層を有するイオン感応性電界効果トランジスタであり、前記誘電体層は、化学的または生物学的サンプルを含有するサンプル流体に接触し、前記誘電体層に隣接する、前記サンプル流体中の前記帯電した種の濃度に比例する電荷を蓄積することが可能である、請求項14に記載の集積センサアレイ。
【請求項16】
誘電体層が、前記誘電体層の両端のキャパシタンスを最大にするように選択された厚さを有する、請求項15に記載の集積センサアレイ。
【請求項17】
誘電体層の厚さが、1〜1000ナノメートルである、請求項16に記載の集積センサアレイ。
【請求項18】
誘電体層が金属酸化物を含む、請求項17に記載の集積センサアレイ。
【請求項19】
金属酸化物が、酸化アルミニウム、酸化タンタル、窒化シリコン、酸窒化シリコン、五酸化タンタル、酸化錫、および酸化第二錫からなる群から選択される、請求項18に記載の集積センサアレイ。
【請求項20】
誘電体層が、サンプル流体と流体接触状態にある電荷感応性層と、前記電荷感応性層を浮遊ゲートに接合するために前記浮遊ゲート上に配設された接着層とからなる2層を備える、請求項16に記載の集積センサアレイ。
【請求項21】
電荷感応性層が酸化タンタルであり、接着層が二酸化アルミニウムである、請求項20に記載の集積センサアレイ。
【請求項22】
サンプル保持領域のアレイが、化学電界効果トランジスタアレイ上で形成され、前記化学電界効果トランジスタアレイと一体であるマイクロウェルのアレイであり、前記アレイの各マイクロウェルは、マイクロウェル容積を閉囲する壁を有し、各マイクロウェル容積は、化学的または生物学的サンプルを収容することが可能である、請求項14に記載の集積センサアレイ。
【請求項23】
マイクロウェルのアレイが、化学電界効果トランジスタアレイに密閉的に付着したフローセルによって閉囲され、前記フローセルは、前記マイクロウェルに試薬を送出するように構成され、前記フローセルは、入口、出口、および前記試薬用の流路を画定する内部を有し、それにより、各マイクロウェルは前記フローセルの前記内部に流体連通する、請求項22に記載の集積センサアレイ。
【請求項24】
フローセルの内部が、マイクロウェルのそれぞれにおいて実質的に等しい試薬の流量を提供するように構成される、請求項23に記載の集積センサアレイ。
【請求項25】
単一チップ化学アッセイデバイスであって、
回路支持基材内に形成されたセンサアレイであって、前記アレイの各センサは、化学電界効果トランジスタを備え、各センサに近接する化学的または生物学的サンプルの濃度または存在に関連する少なくとも1つの出力信号を提供するように構成され、前記出力信号は、同じ化学的または生物学的サンプルの同じ濃度または存在に応答して、前記アレイの各センサについて実質的に同じである、センサアレイと、
前記回路支持基材内の複数のサンプル保持領域であって、各サンプル保持領域が少なくとも1つのセンサ上に配設される、複数のサンプル保持領域と、
少なくとも1フレーム/秒のレートで前記化学電界効果トランジスタから前記出力信号のサンプルを受信するための、前記センサアレイに結合した前記回路支持基材内の制御回路要素とを備えるアッセイデバイス。
【請求項26】
濃度が、帯電した種の濃度を含み、化学電界効果トランジスタのそれぞれは、浮遊ゲートを有し、前記浮遊ゲートの表面上に誘電体層を有するイオン感応性電界効果トランジスタであり、前記誘電体層は、化学的または生物学的サンプルを含有するサンプル流体に接触し、前記誘電体層に隣接する、前記サンプル流体中の前記帯電した種の濃度に比例する電荷を蓄積することが可能である、請求項25に記載のアッセイデバイス。
【請求項27】
誘電体層が、前記誘電体層の両端のキャパシタンスを最大にするように選択された厚さを有する、請求項26に記載のアッセイデバイス。
【請求項28】
誘電体層の厚さが、金属酸化物を含み、1〜1000ナノメートルである、請求項27に記載のアッセイデバイス。
【請求項29】
誘電体層が、サンプル流体と流体接触状態にある電荷感応性層と、前記電荷感応性層を浮遊ゲートに接合するために前記浮遊ゲート上に配設された接着層とからなる2層を備える、請求項28に記載のアッセイデバイス。
【請求項30】
電荷感応性層が酸化タンタルであり、接着層が二酸化アルミニウムである、請求項29に記載のアッセイデバイス。
【請求項31】
サンプル保持領域のアレイが、化学電界効果トランジスタアレイ上で形成され、前記化学電界効果トランジスタアレイと一体であるマイクロウェルのアレイであり、前記アレイの各マイクロウェルは、マイクロウェル容積を閉囲する壁を有し、各マイクロウェル容積は、化学的または生物学的サンプルを収容することが可能である、請求項30に記載のアッセイデバイス。
【請求項32】
単一チップ核酸アッセイデバイスであって、
回路支持基材内に形成されたセンサアレイであって、前記アレイの各センサは、化学電界効果トランジスタを備え、各センサに近接する化学的または生物学的サンプルの濃度または存在に関連する少なくとも1つの出力信号を提供するように構成され、前記出力信号は、同じ化学的または生物学的サンプルの同じ濃度または存在に応答して、前記アレイの各センサについて実質的に同じである、センサアレイと、
前記回路支持基材内の複数のサンプル保持領域であって、各サンプル保持領域が少なくとも1つのセンサ上に配設される、複数のサンプル保持領域と、
前記サンプル保持領域上に配設された粒子固体支持体であって、各粒子固体支持体が、粒子固体支持体に付着したコンカテマー化テンプレートを有する、粒子固体支持体と、
少なくとも1フレーム/秒のレートで前記化学電界効果トランジスタから前記出力信号のサンプルを受信するための、前記センサアレイに結合した前記回路支持基材内の制御回路要素とを備えるアッセイデバイス。
【請求項33】
濃度が、コンカテマー化テンプレートの特性に関連する帯電した種の濃度を含み、化学電界効果トランジスタのそれぞれは、浮遊ゲートを有し、前記浮遊ゲートの表面上に誘電体層を有するイオン感応性電界効果トランジスタであり、前記誘電体層は、化学的または生物学的サンプルを含有するサンプル流体に接触し、前記誘電体層に隣接する、前記サンプル流体中の前記帯電した種の濃度に比例する電荷を蓄積することが可能である、請求項32に記載のアッセイデバイス。
【請求項34】
誘電体層が、前記誘電体層の両端のキャパシタンスを最大にするように選択された厚さを有する、請求項33に記載のアッセイデバイス。
【請求項35】
誘電体層の厚さが、金属酸化物を含み、1〜1000ナノメートルである、請求項34に記載のアッセイデバイス。
【請求項36】
サンプル保持領域のアレイが、化学電界効果トランジスタアレイ上で形成され、前記化学電界効果トランジスタアレイと一体であるマイクロウェルのアレイであり、前記アレイの各マイクロウェルは、マイクロウェル容積を閉囲する壁を有し、各マイクロウェル容積は、粒子固体支持体を収容することが可能である、請求項35に記載のアッセイデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【公表番号】特表2012−506557(P2012−506557A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533178(P2011−533178)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/005745
【国際公開番号】WO2010/047804
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(502221282)ライフ テクノロジーズ コーポレーション (113)