生物学的応答おしゃぶり
生物学的応答おしゃぶり(150)。おしゃぶり(150)は、遮蔽板(160)、および遮蔽板(160)から突出する1つまたは2つの概して「T」形状の咬合部(170,180)を有する。咬合部(170,180)は各々、遮蔽板(160)に最も近い長い幹(171,181)、および幹(171,181)に結合され幹を横断する2つのアーム(169,168)を規定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おしゃぶりに関する。
【背景技術】
【0002】
幼児について、「生歯」として知られている期間に、あらゆる種類の物を噛むことが、何世紀にもわたって観察されてきた。これは、この過程に関連すると推測される痛みを「和らげる」方法であると解釈されている。生歯は、一般に、幼児令5ヶ月から24ヶ月の間に生じるので、圧力領域は、歯肉(歯茎)、生えつつあるもしくは新たに生えた歯、または歯と歯肉の組み合わせである。「おしゃぶり」は、生歯に関連する問題に対処すべく、幼児に噛ませるように構成されてなる装置である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、生物学的応答おしゃぶりを特徴とする。本発明の生物学的に構成されてなるおしゃぶりは、幼児の噛む圧力に応じて変形し、かつ元の形に戻る。おしゃぶりの領域は、歯肉および新たに生えた歯に対するおしゃぶりの位置に応じて異なる咬合力の要求に、順応する。新生児、幼児および小児における「吸乳咬合力」は、機械的な力と顆頭負荷が、関節隆起の解剖学的形状、および側頭下顎関節(TMJ)における軟骨の発達の、主な原因となる点で重要である。さらに、歯茎に対する咬合力は、歯茎に対する過剰な圧力による形成不全の(喉頭鏡または経口挿管からの)観察において、一次切歯の発達に伴う合併症をもたらしている。
【0004】
本発明の生物学的に構成されてなるおしゃぶりは、これらの各条件に応えており、幼児によって生成される咬合力によって完全に制御可能である。たとえば、咬合力圧を和らげると、おしゃぶり応答を和らげる結果となる。より大きな咬合力は、より方向性を有する圧力を口の咬合表面にもたらす。より小さな咬合力は、圧力を分散させる。所望の結果を達成するために、幼児は、口中での適切なおしゃぶり位置、おしゃぶり上の適切な位置、適切な咬合力、および適切な咬合角を選択することが可能であり、必要に応じてフィードバックを使用して、位置、咬合力および咬合角を変える。
【0005】
幼児の咬合力への応答である生物学的歪は、少なくとも部分的に、均一なあるいは不均一な厚さの硬い剛性ポリマ内核、および、均一なあるいは不均一な厚さで、全被覆層または部分被覆層として働く第2の圧縮可能なより低いデュロメータの材料を使用することによって達成可能である。TMJの発達の点で同様の結果を達成する他の実施形態においては、より低いデュロメータの材料が核であり、被覆がより高いデュロメータの材料である。1つの実施形態において、おしゃぶりは口に係合し得る2つの端部と中央の安定化遮蔽板とを有する。どちらの端部も、母親のための取っ手または幼児の握りとしての2つの機能を有してよい。
【0006】
幼児および子供における咬合力は年齢と共に高まっていく。咬合力の違いは、ここでは、少なくとも部分的に、おしゃぶりの内部の構成要素の設計次第で調整可能である(たとえば、中空の核、カタコーム(ハチの巣状にした、または室を設けた)核、核および/または被覆の材料(シリコーン、エラストマーまたはウレタン様材料など)、核の厚さ)。咬合力、筋肉の発達および筋肉量には関係がある。
【0007】
TMJ隆起の発達の最大速度は、3年齢よりも前に生じる。顎のこの解剖学的構造は、顎の機能に影響する。誕生と3歳との間で、成長の角度は2倍になるであろう。本発明のおしゃぶりの歯茎の異なる実施形態の角度は、この変化を反映するように構成することが可能である。TMJ隆起角のこの成長および変化の大部分は、第2乳臼歯の生え終わり(24〜36月齢)よりも前に、おしゃぶり段階の間(6〜36月齢)に起こる。本発明のおしゃぶりの各段階の構成は、これを反映している。
【0008】
噛む効率の向上に対応して(誕生から3年まで)、片側性咬合動作が発達し、咀嚼サイクルが感覚フィードバックによって形成される。本発明のおしゃぶりの形状は、この進化的発達を増進するように構成されてなる。吸乳運動パターンは咀嚼の運動パターンに類似しており、遷移が出生後の発達の間に緩やかに生じることを示唆している。本発明のおしゃぶりのそれぞれの設計上の違いは、この緩やかな遷移を反映する。筋肉活動は、咀嚼と、ニップルアタッチメント(伸張)と、律動的な吸引との間で異なる。本発明のおしゃぶりは、この発育を考慮して構成されてなる。咬合の発達が、咀嚼運動パターンの引き金になる。本発明のおしゃぶりの構成は、生歯の段階の間に使用されるように構成されているので、咀嚼運動能力の発達を援助する。
【0009】
本発明のおしゃぶりは、子供の年齢または発達の段階に最適のこれらの構成上の特徴、概して摂食の進歩を模倣した構成上の特徴を部分的に捉えた様々な構成で、実現可能である。このような発達段階には次のグループが含まれる:段階1−液体(ほとんどが吸引および口の位置調整の発達)。段階2−柔らかい固体(特別の関係ならびに食物の粉砕および嚥下の発達の開始、初期の発話の発達)。段階3−固体(咀嚼ならびに側頭下顎関節(TMJ)の発達および発話の発達への集中)。
【0010】
たとえば、本発明の様々な実施形態は、伝統的なおしゃぶりの形状、または、固有のつまり非伝統的なおしゃぶりの形状を有することが可能である。咬合表面の幅および厚さは、発達の各段階での耐性度に応じて変化する。おしゃぶりの噛まれるように構成されてなる部分の厚さは、通常、子供の年齢/発達の段階に従って、適切な量だけ変化する。一般に、厚さのこの漸進的変化は、1段階当たり1〜2mmの増大であり、たとえば、段階1では厚さ6〜8mm、段階2では厚さ8〜11mm、段階3では厚さ11〜13mmでよい。
【0011】
おしゃぶりは、適切なTMJ、口部顔面筋の発達のための機械的負荷を提供し、顎弓を支持し安定化し、正常な口腔筋機能を支持する方向性を有するあるいは分配された力にとって必要なものをまねている。おしゃぶりは、顎の機能および成長に適合した適切な畝および谷の角度を有している。異なる段階には、TMJ/顎の発達を増進するために必要な適切な力にとって理想的に適する、異なる「挟圧負荷」がある。おしゃぶりは幼児の咬合に応答し、ちょうど適切な咬合力を幼児が決定し幼児が加えるままに、力を分配する。おしゃぶりの全段階は、疼痛軽減のための感覚フィードバックを提供する異なる「挟圧負荷」を、幼児が生成するのを可能にする。おしゃぶりは、構音発話の発達を援助するであろう適切な機能刺激を促すように構成されてなる。遮蔽板は、おしゃぶりを支持して位置決めするように構成されてなり、重要な「口唇閉鎖」の機能の発達を増進する。
【0012】
本発明の一実施形態は、遮蔽板、および、遮蔽板から突出し、より柔らかい外層で少なくとも部分的に覆われた比較的硬い内核を有し、概して「T」形状の咬合部を有する生物学的応答おしゃぶりを含む。内核は、遮蔽板に最も近い長い幹、および幹を横断する2本のアームを規定する。幹は、少なくとも1つの隆起を(一般に幹の略中央に)規定してよく、各アームは、好ましくは、少なくとも1つの隆起を規定する。外層は、一定のまたは変化する厚さを有してよい。各アームは、アームの2つの遠端(幹から最も遠い)の近くに隆起を規定してよい。内核は、概して平坦で、均一な厚さであり、隆起は外層に存在してよい。幹は、その全長にわたって、湾曲していてよく、真直ぐでもよい。アームは、長さが同じでも異なってもよい。アームは、幼児が切歯および臼歯の両方の位置で(萌出の前または後のどちらでも)、アームを噛むことができるように、歯列弓の湾曲に近似する曲線に沿って存在してよい。一方のアームの端から遮蔽板上の最も近い位置までの距離は、他方のアームの端から遮蔽板上の最も近い位置までの距離と異なっていてよく、これで、遮蔽板が口の外側に位置し、一般には唇に当たっている状態で、アームの端が口内で異なる位置を取り得る。両頭型は、このような「T」形状部を2つ含み、両者の形状は同じでも異なってもよい。このような部位の1つは、一般に、他方とは異なる硬さを示し、幼児は、単一のおしゃぶりで、硬さを選択することができる。
【0013】
本発明の他の実施形態は、ハブ部材、ハブ部材に結合されたリング部材、および、リング部材に対して動き得るように、おしゃぶり部材の2つの面の間の貫通孔を介してリング部材に搭載された、概して平面状の複数のおしゃぶり部材を含む。少なくとも1つのおしゃぶり部材は、複数の長い畝および谷を規定し、畝は少なくとも1つのおしゃぶり部材の面から約5°〜約40°の角度であり、少なくとも1つの別のおしゃぶり部材は、一連の貫通孔によって中断された概して平坦な表面を規定する。各おしゃぶり部材は、他のおしゃぶり部材とは異なる厚さを規定してよい。
【0014】
さらに他の実施形態は、遮蔽板、遮蔽板の1つの側部から突出する環状の第1おしゃぶり部材、および、遮蔽板の他の側部から突出し、遮蔽板から離れる1対の湾曲したアームを規定する、アーチ形状の第2おしゃぶり部材を有する生物学的応答おしゃぶりを特徴とする。第2おしゃぶり部材の各アームは、アームの各々の端に近い各表面にくぼみを有する、概して平坦な上面および下面を規定してよい。第1おしゃぶり部材は、遮蔽板から最も遠い位置に近い各表面に畝を有する、概して平坦な上面および下面を規定してよい。第1および第2おしゃぶり部材は、各々、より硬い外層によって少なくとも部分的に覆われた比較的柔らかい内核を含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下の好ましい実施形態の記載および添付の図面から、他の目的、特徴および利点が当業者に判るであろう。
【図1A】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第1の実施形態の斜視図である。
【図1B】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第1の実施形態の正面図である。
【図1C】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第1の実施形態の断面図である。
【図1D】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第1の実施形態の側面図である。
【図2A】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第2の実施形態の斜視図である。
【図2B】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第2の実施形態の正面図である。
【図2C】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第2の実施形態の上面図である。
【図2D】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第2の実施形態の部分断面図である。
【図3A】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第3の実施形態の斜視図である。
【図3B】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第3の実施形態の上面図である。
【図3C】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第3の実施形態の正面図である。
【図3D】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第3の実施形態の側面図である。
【図3E】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第3の実施形態の全断面図である。
【図3F】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第3の実施形態の部分断面図である。
【図3G】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第3の実施形態の部分断面図である。
【図4A】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第4の実施形態の斜視図である。
【図4B】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第4の実施形態の上面図である。
【図4C】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第4の実施形態の側面図である。
【図4D】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第4の実施形態の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示す実施形態10は、0〜4月齢範囲の幼児に使用することを意図した第1段階のおしゃぶりである。遠端(後端)47および48に近いアーチ40の後部に位置する、小さな1〜2mm幅のくぼみパターン44,46に注目されたい。これらは、咬合表面に対する歯茎の位置合わせ、および/またはおしゃぶりゲルもしくは同様な性質の他の麻酔剤の適用のために、使用される。それらの深さは1mmを超えず、これが、歯を引き抜く危険を防止する。全体的な寸法は以下のとおりである:アーチ40の2つのアームの幅は6〜9mm、アーチ直径(端47および48の中点間)は29〜32mm、口内への器具の進入深さは30mmを超えず、一般に25〜30mmである(唇の外側または遮蔽板12の内側が基準点である)。これらの寸法は、アーチが基本的に幼児の歯槽つまり歯茎に適合するように選択されており、したがって、構成の段階に応じて変化する。
【0017】
環状リング構造20は、内径が少なくとも14mm、幅が約6mmの円であるが、短径(前後方向に配置される)が14mm〜20mmで、長径が25〜40mmの、唇がこの構造を「閉鎖」し、または取り囲む、楕円であってもよい。閉鎖は発話の発達に重要である。
【0018】
実施形態10は、柔らかい内核30(ショア硬さ25〜35A)と、より硬い外被覆32(ショア硬さ50〜60A)とを有してよい。u形状の構造の咬合表面の端48および47に向う非常に僅かな溝44,46は、歯茎の位置合わせのためであり、また、おしゃぶりゲルを保持する場所である。リング側部20は、追加の対照的な咬合表面のための畝22を有する。硬い遮蔽板(固体)12は、子供の顔に開放空気感をもたらしながら顔面に合致する湾曲を有してなり、部分的に開口13および14を有するように仕上げられている。溝(46,47)および畝(22)は、好ましくは、おしゃぶり10の上面42および下面43の両方に存在する。核における異なる形状の貫通孔52および53などの構造は、被覆材料が充填されて、核と被覆外層との緊密な結合を援助する。
【0019】
図2は、3段階すべてを包含し得る他の実施形態80を示す。この実施形態は、見た目がキーのリングのようであり、ある程度そのように働く。これらの種々のおしゃぶり部材は、0〜4月齢用の5〜25°の角度の、4〜9月齢用の15〜35°の、および、9月齢超用の20〜40°の傾斜を規定する。畝の深さは、2mmを超えてはならないが、月齢および構造に応じて、0.5mm〜2mmの範囲でよい。頂は3mmの高さがあってよいが、部材90の表面上などの台地つまり広い平坦部に対して、次第に変化する角度を有する。
【0020】
これらの「キー」86,88および90は、リング82に沿って可動であり、3つの段階のTMJ成長を発現させる角度の谷と、咬合力の発達のための隆起した畝、より大きな隆起した「平坦部」表面、および、複数の厚さの構成と(図2Cの側面図における3つの異なる厚さを参照)、ならびに、発話および食餌の発達のための口唇閉鎖を発達させる大きな開放領域を含む。おしゃぶり部材86,88および90は、以下のあらゆるまたは全ての組み合わせを含み得る:より柔らかい外層(50〜60A)を有する硬い内核(80A)、全てが硬い(80A)、全てがより柔らかい(50〜60A)、または、より硬い外表面(50〜60A)を有する非常に柔らかい内核(25〜35A)。複数部分のあるおしゃぶりの構成は、手と眼の協調を発達させるためにも働く。リング82のコネクタまたはハブ84は、握りの発達のための固体および/またはおしゃぶり表面として働く、大きなマルチテクスチャの表面である。図2Dの部材88の断面は、1つまたは全ての可動部材のいくつかの特徴を示している。端部91は、厚い平坦部96、および、より薄い端領域に続く傾斜95を有している。異なる厚さは、異なる開口量で噛み、異なる力を達成する能力を提供する。より厚い部分92、より薄い部分97および傾斜94を有する第2の端部99にも、概してこれが当てはまる。追加の傾斜が開口101に設けられている。この実施形態は、端部91が単一の材料から成るのに対して、核93および被覆102を有する端部99も示している。したがって、「キー」部材は、ここに開示するおしゃぶりの構成の様々な選択肢のあらゆるものを提示することができる。
【0021】
図3は、遮蔽板160、ならびに、概して「T」形状の突起またはおしゃぶり部170および180を有する、第3の実施形態のおしゃぶり150を示している。このような部分の各々は、遮蔽板に結合された幹(171,181)、および各幹に結合された横材(169,168)を有する。一般に横材は、幹の端に位置する2つの短いアームを含む。一般的な寸法は以下のものを含む:口中への進入深さは30mmを超えず、一般に28mmという最大深さである(遮蔽板の内側から、部材170または180の最も遠い部分まで(図3Bに示した寸法および曲率半径を参照))。「T」形状の突起170および180の遠端つまり後端は、それぞれアーム169および168を含み、これらは本質的に、直径12mm〜16mm(この例では12.7mm)の、湾曲した端172,174,182,184である。遠端はまた、標的年齢範囲に依存する15〜20mmの半径(この例では18.501mm)の、歯列弓に応じた外湾曲(最も後の位置の)またはアーチ(図3Bの曲線187など)を含む。アーム169および168の全体の幅(幼児の歯列弓の長さにほぼ等しい)は、30〜40mm(この例では36.7mm)である。頂および谷(たとえば図3Cに示す)は、約4〜5mm(この例では4.49mm)の半径と、15〜40°(図示された実施形態は4〜9月齢の子供のためのものなので、この例では39.25°)の範囲の角度を有する。この例において、部位180のアーム168は、間に谷185および189を有する3つの球状部184,186および182を規定する。表面201によって規定される角度は、約39.25°である。これらの形状、湾曲、大きさおよび角度は全て、ここで説明する結果を達成するためのここで説明するパラメータに従って可変である。
【0022】
1つの部位180は、発達の段階に適する角度に合致した畝および谷の構造を有するように、より硬い80A材料190のみから作製されてよい。この場合、反対の部位170は、より柔らかい50〜60A材料である被覆層192を伴う材料190の核を有する。部位170は、大きな隆起平坦部176を規定し、さらに、平坦部の側壁は角度を有する表面を成す。層192は、適切に畝のある核190上の平滑な表面、または、平滑な核190上の畝のあるパターンのどちらでもあり得る。二元部169および168の形状は、歯肉線のアーチに対応するように構成されてなり、子供が、異なる咬合力および感触で同時に前歯および奥歯にアクセスするのを可能にし、これは、TMJの発達および疼痛の緩和の双方を同時に可能にする。この形状は、図3Eにおいて、外側のアーチ曲線131およびアーチ2分曲線で表されている。これらの曲線は、「T」170および180の横線の後端が、歯茎に沿って位置するように設定されており、したがって、子供にとってそのようにすることが好ましい場合には、子供は切歯から臼歯までの全範囲で噛むことができる。
【0023】
核190の材料は、約70Dまたはそれ以上の硬さを有する高デュロメータ熱可塑性物質、PEBAX、ウレタンまたはシリコーンでよく、一方、外層は、内核を被覆し、約40Dまたはそれ以下の硬さを有する低デュロメータ熱可塑性物質、PEBAX、ウレタンまたはシリコーンを含み、他の硬さは上記で説明されている。外層は、頂および谷を有する外形とすることができる。これは、子供が如何に感じるか、および、おしゃぶり150が口内で如何に位置するかに応じて、消散的な咬合力、または「噛む」ことの無痛化効果を可能にする。部位170および180の横方向の部位を規定するアームの全体形状は、それらが歯茎の外形に沿って適合することを可能にする形状である。また、図3Bに見られるように、端部162および164が各々1つのアーム169または168に向って曲がっている遮蔽板160の逆の湾曲は、アーム169および168の湾曲と共に、遮蔽板からアーム169および168の各々の2つの端部(172,174,182,184)までに、変化する距離を創生する。この構造は、子供がおしゃぶりを操って、おしゃぶりの硬い領域および柔らかい領域で、前歯茎および奥歯茎の両方に到達させるのを可能し、おしゃぶりの使用における最大の柔軟性を提供する。遮蔽板は、「T」形状の「おしゃぶり」部が口に入るのを可能にするが、また、過度の挿入を防止する(遮蔽板の外形がこれを可能にする)。
【0024】
核は、好ましくは平坦であり、基本的に均一な厚さを有する。ただし、図示しない代替の実施形態では、核は頂および谷を有してよい。核が頂および谷を有する場合、外層は好ましくは比較的均一な厚さであるが、そうでなくてもよい。
【0025】
図4の第4の実施形態200は、別の咬合感を与えるために、硬い(80A)または柔らかい(25〜35A)材料であり得る内側リング220を含むリング構造を伴う、回転球210を有する固有の形状のおしゃぶりを含む。球210の本体は、理想的には50〜60Aである球210は、軸236上で回転して、手と眼の協調を発達させる。外側リング構造230は、支持および安全のために、80Aである。また、口唇閉鎖構造を加えている。
【0026】
被覆を有する構成は全て、最低1.25mmの被覆材料を使用すべきである。これは、安全性の理由による。1.25mmよりも小さい寸法、および、50〜60Aシリコーンよりも柔らかいあらゆる材料は、安全性上の危険を招く。つまり、子供が噛み切り得る可能性がある。
【0027】
子供は、おしゃぶりの所望の表面が歯および歯茎の所望の領域に当たるように、口中でおしゃぶりを適切に位置させるために、疼痛の緩和などの、自然のフィードバック機構(感覚快適域)を使用することができる。
【0028】
他の実施形態において、本発明のおしゃぶりは、たとえばおしゃぶりリングなどのように、より伝統的な形状でよいが、それでも、変化する咬合力に応えるために、内核、外被覆ならびに頂および谷を含む。ある実施形態は、歯茎に完全に適合する形状を有し、または、指を真似た単一の棒でよい。単一の棒の場合、頂および谷は、指の硬い節およびより柔らかい皮膚領域を表す。
【0029】
上述の発明は、明瞭性および理解のためにある程度詳しく説明したが、具体的な実施形態は、例示的であって、限定的ではないと考えるべきである。当業者は、本開示を読むことで、形状または細部の何らかの変更が、本発明の範囲から逸脱することなく可能であり、以下の特許請求の範囲内に留まることを、理解するであろう。たとえば、いくつかの図に示し、他の図に示さなかった特徴は、本発明に従って、異なる態様で組み合せてよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、おしゃぶりに関する。
【背景技術】
【0002】
幼児について、「生歯」として知られている期間に、あらゆる種類の物を噛むことが、何世紀にもわたって観察されてきた。これは、この過程に関連すると推測される痛みを「和らげる」方法であると解釈されている。生歯は、一般に、幼児令5ヶ月から24ヶ月の間に生じるので、圧力領域は、歯肉(歯茎)、生えつつあるもしくは新たに生えた歯、または歯と歯肉の組み合わせである。「おしゃぶり」は、生歯に関連する問題に対処すべく、幼児に噛ませるように構成されてなる装置である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、生物学的応答おしゃぶりを特徴とする。本発明の生物学的に構成されてなるおしゃぶりは、幼児の噛む圧力に応じて変形し、かつ元の形に戻る。おしゃぶりの領域は、歯肉および新たに生えた歯に対するおしゃぶりの位置に応じて異なる咬合力の要求に、順応する。新生児、幼児および小児における「吸乳咬合力」は、機械的な力と顆頭負荷が、関節隆起の解剖学的形状、および側頭下顎関節(TMJ)における軟骨の発達の、主な原因となる点で重要である。さらに、歯茎に対する咬合力は、歯茎に対する過剰な圧力による形成不全の(喉頭鏡または経口挿管からの)観察において、一次切歯の発達に伴う合併症をもたらしている。
【0004】
本発明の生物学的に構成されてなるおしゃぶりは、これらの各条件に応えており、幼児によって生成される咬合力によって完全に制御可能である。たとえば、咬合力圧を和らげると、おしゃぶり応答を和らげる結果となる。より大きな咬合力は、より方向性を有する圧力を口の咬合表面にもたらす。より小さな咬合力は、圧力を分散させる。所望の結果を達成するために、幼児は、口中での適切なおしゃぶり位置、おしゃぶり上の適切な位置、適切な咬合力、および適切な咬合角を選択することが可能であり、必要に応じてフィードバックを使用して、位置、咬合力および咬合角を変える。
【0005】
幼児の咬合力への応答である生物学的歪は、少なくとも部分的に、均一なあるいは不均一な厚さの硬い剛性ポリマ内核、および、均一なあるいは不均一な厚さで、全被覆層または部分被覆層として働く第2の圧縮可能なより低いデュロメータの材料を使用することによって達成可能である。TMJの発達の点で同様の結果を達成する他の実施形態においては、より低いデュロメータの材料が核であり、被覆がより高いデュロメータの材料である。1つの実施形態において、おしゃぶりは口に係合し得る2つの端部と中央の安定化遮蔽板とを有する。どちらの端部も、母親のための取っ手または幼児の握りとしての2つの機能を有してよい。
【0006】
幼児および子供における咬合力は年齢と共に高まっていく。咬合力の違いは、ここでは、少なくとも部分的に、おしゃぶりの内部の構成要素の設計次第で調整可能である(たとえば、中空の核、カタコーム(ハチの巣状にした、または室を設けた)核、核および/または被覆の材料(シリコーン、エラストマーまたはウレタン様材料など)、核の厚さ)。咬合力、筋肉の発達および筋肉量には関係がある。
【0007】
TMJ隆起の発達の最大速度は、3年齢よりも前に生じる。顎のこの解剖学的構造は、顎の機能に影響する。誕生と3歳との間で、成長の角度は2倍になるであろう。本発明のおしゃぶりの歯茎の異なる実施形態の角度は、この変化を反映するように構成することが可能である。TMJ隆起角のこの成長および変化の大部分は、第2乳臼歯の生え終わり(24〜36月齢)よりも前に、おしゃぶり段階の間(6〜36月齢)に起こる。本発明のおしゃぶりの各段階の構成は、これを反映している。
【0008】
噛む効率の向上に対応して(誕生から3年まで)、片側性咬合動作が発達し、咀嚼サイクルが感覚フィードバックによって形成される。本発明のおしゃぶりの形状は、この進化的発達を増進するように構成されてなる。吸乳運動パターンは咀嚼の運動パターンに類似しており、遷移が出生後の発達の間に緩やかに生じることを示唆している。本発明のおしゃぶりのそれぞれの設計上の違いは、この緩やかな遷移を反映する。筋肉活動は、咀嚼と、ニップルアタッチメント(伸張)と、律動的な吸引との間で異なる。本発明のおしゃぶりは、この発育を考慮して構成されてなる。咬合の発達が、咀嚼運動パターンの引き金になる。本発明のおしゃぶりの構成は、生歯の段階の間に使用されるように構成されているので、咀嚼運動能力の発達を援助する。
【0009】
本発明のおしゃぶりは、子供の年齢または発達の段階に最適のこれらの構成上の特徴、概して摂食の進歩を模倣した構成上の特徴を部分的に捉えた様々な構成で、実現可能である。このような発達段階には次のグループが含まれる:段階1−液体(ほとんどが吸引および口の位置調整の発達)。段階2−柔らかい固体(特別の関係ならびに食物の粉砕および嚥下の発達の開始、初期の発話の発達)。段階3−固体(咀嚼ならびに側頭下顎関節(TMJ)の発達および発話の発達への集中)。
【0010】
たとえば、本発明の様々な実施形態は、伝統的なおしゃぶりの形状、または、固有のつまり非伝統的なおしゃぶりの形状を有することが可能である。咬合表面の幅および厚さは、発達の各段階での耐性度に応じて変化する。おしゃぶりの噛まれるように構成されてなる部分の厚さは、通常、子供の年齢/発達の段階に従って、適切な量だけ変化する。一般に、厚さのこの漸進的変化は、1段階当たり1〜2mmの増大であり、たとえば、段階1では厚さ6〜8mm、段階2では厚さ8〜11mm、段階3では厚さ11〜13mmでよい。
【0011】
おしゃぶりは、適切なTMJ、口部顔面筋の発達のための機械的負荷を提供し、顎弓を支持し安定化し、正常な口腔筋機能を支持する方向性を有するあるいは分配された力にとって必要なものをまねている。おしゃぶりは、顎の機能および成長に適合した適切な畝および谷の角度を有している。異なる段階には、TMJ/顎の発達を増進するために必要な適切な力にとって理想的に適する、異なる「挟圧負荷」がある。おしゃぶりは幼児の咬合に応答し、ちょうど適切な咬合力を幼児が決定し幼児が加えるままに、力を分配する。おしゃぶりの全段階は、疼痛軽減のための感覚フィードバックを提供する異なる「挟圧負荷」を、幼児が生成するのを可能にする。おしゃぶりは、構音発話の発達を援助するであろう適切な機能刺激を促すように構成されてなる。遮蔽板は、おしゃぶりを支持して位置決めするように構成されてなり、重要な「口唇閉鎖」の機能の発達を増進する。
【0012】
本発明の一実施形態は、遮蔽板、および、遮蔽板から突出し、より柔らかい外層で少なくとも部分的に覆われた比較的硬い内核を有し、概して「T」形状の咬合部を有する生物学的応答おしゃぶりを含む。内核は、遮蔽板に最も近い長い幹、および幹を横断する2本のアームを規定する。幹は、少なくとも1つの隆起を(一般に幹の略中央に)規定してよく、各アームは、好ましくは、少なくとも1つの隆起を規定する。外層は、一定のまたは変化する厚さを有してよい。各アームは、アームの2つの遠端(幹から最も遠い)の近くに隆起を規定してよい。内核は、概して平坦で、均一な厚さであり、隆起は外層に存在してよい。幹は、その全長にわたって、湾曲していてよく、真直ぐでもよい。アームは、長さが同じでも異なってもよい。アームは、幼児が切歯および臼歯の両方の位置で(萌出の前または後のどちらでも)、アームを噛むことができるように、歯列弓の湾曲に近似する曲線に沿って存在してよい。一方のアームの端から遮蔽板上の最も近い位置までの距離は、他方のアームの端から遮蔽板上の最も近い位置までの距離と異なっていてよく、これで、遮蔽板が口の外側に位置し、一般には唇に当たっている状態で、アームの端が口内で異なる位置を取り得る。両頭型は、このような「T」形状部を2つ含み、両者の形状は同じでも異なってもよい。このような部位の1つは、一般に、他方とは異なる硬さを示し、幼児は、単一のおしゃぶりで、硬さを選択することができる。
【0013】
本発明の他の実施形態は、ハブ部材、ハブ部材に結合されたリング部材、および、リング部材に対して動き得るように、おしゃぶり部材の2つの面の間の貫通孔を介してリング部材に搭載された、概して平面状の複数のおしゃぶり部材を含む。少なくとも1つのおしゃぶり部材は、複数の長い畝および谷を規定し、畝は少なくとも1つのおしゃぶり部材の面から約5°〜約40°の角度であり、少なくとも1つの別のおしゃぶり部材は、一連の貫通孔によって中断された概して平坦な表面を規定する。各おしゃぶり部材は、他のおしゃぶり部材とは異なる厚さを規定してよい。
【0014】
さらに他の実施形態は、遮蔽板、遮蔽板の1つの側部から突出する環状の第1おしゃぶり部材、および、遮蔽板の他の側部から突出し、遮蔽板から離れる1対の湾曲したアームを規定する、アーチ形状の第2おしゃぶり部材を有する生物学的応答おしゃぶりを特徴とする。第2おしゃぶり部材の各アームは、アームの各々の端に近い各表面にくぼみを有する、概して平坦な上面および下面を規定してよい。第1おしゃぶり部材は、遮蔽板から最も遠い位置に近い各表面に畝を有する、概して平坦な上面および下面を規定してよい。第1および第2おしゃぶり部材は、各々、より硬い外層によって少なくとも部分的に覆われた比較的柔らかい内核を含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下の好ましい実施形態の記載および添付の図面から、他の目的、特徴および利点が当業者に判るであろう。
【図1A】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第1の実施形態の斜視図である。
【図1B】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第1の実施形態の正面図である。
【図1C】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第1の実施形態の断面図である。
【図1D】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第1の実施形態の側面図である。
【図2A】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第2の実施形態の斜視図である。
【図2B】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第2の実施形態の正面図である。
【図2C】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第2の実施形態の上面図である。
【図2D】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第2の実施形態の部分断面図である。
【図3A】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第3の実施形態の斜視図である。
【図3B】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第3の実施形態の上面図である。
【図3C】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第3の実施形態の正面図である。
【図3D】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第3の実施形態の側面図である。
【図3E】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第3の実施形態の全断面図である。
【図3F】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第3の実施形態の部分断面図である。
【図3G】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第3の実施形態の部分断面図である。
【図4A】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第4の実施形態の斜視図である。
【図4B】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第4の実施形態の上面図である。
【図4C】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第4の実施形態の側面図である。
【図4D】本発明の生物学的応答おしゃぶりの第4の実施形態の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示す実施形態10は、0〜4月齢範囲の幼児に使用することを意図した第1段階のおしゃぶりである。遠端(後端)47および48に近いアーチ40の後部に位置する、小さな1〜2mm幅のくぼみパターン44,46に注目されたい。これらは、咬合表面に対する歯茎の位置合わせ、および/またはおしゃぶりゲルもしくは同様な性質の他の麻酔剤の適用のために、使用される。それらの深さは1mmを超えず、これが、歯を引き抜く危険を防止する。全体的な寸法は以下のとおりである:アーチ40の2つのアームの幅は6〜9mm、アーチ直径(端47および48の中点間)は29〜32mm、口内への器具の進入深さは30mmを超えず、一般に25〜30mmである(唇の外側または遮蔽板12の内側が基準点である)。これらの寸法は、アーチが基本的に幼児の歯槽つまり歯茎に適合するように選択されており、したがって、構成の段階に応じて変化する。
【0017】
環状リング構造20は、内径が少なくとも14mm、幅が約6mmの円であるが、短径(前後方向に配置される)が14mm〜20mmで、長径が25〜40mmの、唇がこの構造を「閉鎖」し、または取り囲む、楕円であってもよい。閉鎖は発話の発達に重要である。
【0018】
実施形態10は、柔らかい内核30(ショア硬さ25〜35A)と、より硬い外被覆32(ショア硬さ50〜60A)とを有してよい。u形状の構造の咬合表面の端48および47に向う非常に僅かな溝44,46は、歯茎の位置合わせのためであり、また、おしゃぶりゲルを保持する場所である。リング側部20は、追加の対照的な咬合表面のための畝22を有する。硬い遮蔽板(固体)12は、子供の顔に開放空気感をもたらしながら顔面に合致する湾曲を有してなり、部分的に開口13および14を有するように仕上げられている。溝(46,47)および畝(22)は、好ましくは、おしゃぶり10の上面42および下面43の両方に存在する。核における異なる形状の貫通孔52および53などの構造は、被覆材料が充填されて、核と被覆外層との緊密な結合を援助する。
【0019】
図2は、3段階すべてを包含し得る他の実施形態80を示す。この実施形態は、見た目がキーのリングのようであり、ある程度そのように働く。これらの種々のおしゃぶり部材は、0〜4月齢用の5〜25°の角度の、4〜9月齢用の15〜35°の、および、9月齢超用の20〜40°の傾斜を規定する。畝の深さは、2mmを超えてはならないが、月齢および構造に応じて、0.5mm〜2mmの範囲でよい。頂は3mmの高さがあってよいが、部材90の表面上などの台地つまり広い平坦部に対して、次第に変化する角度を有する。
【0020】
これらの「キー」86,88および90は、リング82に沿って可動であり、3つの段階のTMJ成長を発現させる角度の谷と、咬合力の発達のための隆起した畝、より大きな隆起した「平坦部」表面、および、複数の厚さの構成と(図2Cの側面図における3つの異なる厚さを参照)、ならびに、発話および食餌の発達のための口唇閉鎖を発達させる大きな開放領域を含む。おしゃぶり部材86,88および90は、以下のあらゆるまたは全ての組み合わせを含み得る:より柔らかい外層(50〜60A)を有する硬い内核(80A)、全てが硬い(80A)、全てがより柔らかい(50〜60A)、または、より硬い外表面(50〜60A)を有する非常に柔らかい内核(25〜35A)。複数部分のあるおしゃぶりの構成は、手と眼の協調を発達させるためにも働く。リング82のコネクタまたはハブ84は、握りの発達のための固体および/またはおしゃぶり表面として働く、大きなマルチテクスチャの表面である。図2Dの部材88の断面は、1つまたは全ての可動部材のいくつかの特徴を示している。端部91は、厚い平坦部96、および、より薄い端領域に続く傾斜95を有している。異なる厚さは、異なる開口量で噛み、異なる力を達成する能力を提供する。より厚い部分92、より薄い部分97および傾斜94を有する第2の端部99にも、概してこれが当てはまる。追加の傾斜が開口101に設けられている。この実施形態は、端部91が単一の材料から成るのに対して、核93および被覆102を有する端部99も示している。したがって、「キー」部材は、ここに開示するおしゃぶりの構成の様々な選択肢のあらゆるものを提示することができる。
【0021】
図3は、遮蔽板160、ならびに、概して「T」形状の突起またはおしゃぶり部170および180を有する、第3の実施形態のおしゃぶり150を示している。このような部分の各々は、遮蔽板に結合された幹(171,181)、および各幹に結合された横材(169,168)を有する。一般に横材は、幹の端に位置する2つの短いアームを含む。一般的な寸法は以下のものを含む:口中への進入深さは30mmを超えず、一般に28mmという最大深さである(遮蔽板の内側から、部材170または180の最も遠い部分まで(図3Bに示した寸法および曲率半径を参照))。「T」形状の突起170および180の遠端つまり後端は、それぞれアーム169および168を含み、これらは本質的に、直径12mm〜16mm(この例では12.7mm)の、湾曲した端172,174,182,184である。遠端はまた、標的年齢範囲に依存する15〜20mmの半径(この例では18.501mm)の、歯列弓に応じた外湾曲(最も後の位置の)またはアーチ(図3Bの曲線187など)を含む。アーム169および168の全体の幅(幼児の歯列弓の長さにほぼ等しい)は、30〜40mm(この例では36.7mm)である。頂および谷(たとえば図3Cに示す)は、約4〜5mm(この例では4.49mm)の半径と、15〜40°(図示された実施形態は4〜9月齢の子供のためのものなので、この例では39.25°)の範囲の角度を有する。この例において、部位180のアーム168は、間に谷185および189を有する3つの球状部184,186および182を規定する。表面201によって規定される角度は、約39.25°である。これらの形状、湾曲、大きさおよび角度は全て、ここで説明する結果を達成するためのここで説明するパラメータに従って可変である。
【0022】
1つの部位180は、発達の段階に適する角度に合致した畝および谷の構造を有するように、より硬い80A材料190のみから作製されてよい。この場合、反対の部位170は、より柔らかい50〜60A材料である被覆層192を伴う材料190の核を有する。部位170は、大きな隆起平坦部176を規定し、さらに、平坦部の側壁は角度を有する表面を成す。層192は、適切に畝のある核190上の平滑な表面、または、平滑な核190上の畝のあるパターンのどちらでもあり得る。二元部169および168の形状は、歯肉線のアーチに対応するように構成されてなり、子供が、異なる咬合力および感触で同時に前歯および奥歯にアクセスするのを可能にし、これは、TMJの発達および疼痛の緩和の双方を同時に可能にする。この形状は、図3Eにおいて、外側のアーチ曲線131およびアーチ2分曲線で表されている。これらの曲線は、「T」170および180の横線の後端が、歯茎に沿って位置するように設定されており、したがって、子供にとってそのようにすることが好ましい場合には、子供は切歯から臼歯までの全範囲で噛むことができる。
【0023】
核190の材料は、約70Dまたはそれ以上の硬さを有する高デュロメータ熱可塑性物質、PEBAX、ウレタンまたはシリコーンでよく、一方、外層は、内核を被覆し、約40Dまたはそれ以下の硬さを有する低デュロメータ熱可塑性物質、PEBAX、ウレタンまたはシリコーンを含み、他の硬さは上記で説明されている。外層は、頂および谷を有する外形とすることができる。これは、子供が如何に感じるか、および、おしゃぶり150が口内で如何に位置するかに応じて、消散的な咬合力、または「噛む」ことの無痛化効果を可能にする。部位170および180の横方向の部位を規定するアームの全体形状は、それらが歯茎の外形に沿って適合することを可能にする形状である。また、図3Bに見られるように、端部162および164が各々1つのアーム169または168に向って曲がっている遮蔽板160の逆の湾曲は、アーム169および168の湾曲と共に、遮蔽板からアーム169および168の各々の2つの端部(172,174,182,184)までに、変化する距離を創生する。この構造は、子供がおしゃぶりを操って、おしゃぶりの硬い領域および柔らかい領域で、前歯茎および奥歯茎の両方に到達させるのを可能し、おしゃぶりの使用における最大の柔軟性を提供する。遮蔽板は、「T」形状の「おしゃぶり」部が口に入るのを可能にするが、また、過度の挿入を防止する(遮蔽板の外形がこれを可能にする)。
【0024】
核は、好ましくは平坦であり、基本的に均一な厚さを有する。ただし、図示しない代替の実施形態では、核は頂および谷を有してよい。核が頂および谷を有する場合、外層は好ましくは比較的均一な厚さであるが、そうでなくてもよい。
【0025】
図4の第4の実施形態200は、別の咬合感を与えるために、硬い(80A)または柔らかい(25〜35A)材料であり得る内側リング220を含むリング構造を伴う、回転球210を有する固有の形状のおしゃぶりを含む。球210の本体は、理想的には50〜60Aである球210は、軸236上で回転して、手と眼の協調を発達させる。外側リング構造230は、支持および安全のために、80Aである。また、口唇閉鎖構造を加えている。
【0026】
被覆を有する構成は全て、最低1.25mmの被覆材料を使用すべきである。これは、安全性の理由による。1.25mmよりも小さい寸法、および、50〜60Aシリコーンよりも柔らかいあらゆる材料は、安全性上の危険を招く。つまり、子供が噛み切り得る可能性がある。
【0027】
子供は、おしゃぶりの所望の表面が歯および歯茎の所望の領域に当たるように、口中でおしゃぶりを適切に位置させるために、疼痛の緩和などの、自然のフィードバック機構(感覚快適域)を使用することができる。
【0028】
他の実施形態において、本発明のおしゃぶりは、たとえばおしゃぶりリングなどのように、より伝統的な形状でよいが、それでも、変化する咬合力に応えるために、内核、外被覆ならびに頂および谷を含む。ある実施形態は、歯茎に完全に適合する形状を有し、または、指を真似た単一の棒でよい。単一の棒の場合、頂および谷は、指の硬い節およびより柔らかい皮膚領域を表す。
【0029】
上述の発明は、明瞭性および理解のためにある程度詳しく説明したが、具体的な実施形態は、例示的であって、限定的ではないと考えるべきである。当業者は、本開示を読むことで、形状または細部の何らかの変更が、本発明の範囲から逸脱することなく可能であり、以下の特許請求の範囲内に留まることを、理解するであろう。たとえば、いくつかの図に示し、他の図に示さなかった特徴は、本発明に従って、異なる態様で組み合せてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽板、ならびに
遮蔽板に最も近い長い幹、および幹に結合され幹を横断する2つのアームを有し、遮蔽板から突出する概して「T」形状の第1咬合部
を有することを特徴とする生物学的応答おしゃぶり。
【請求項2】
幹が少なくとも1つの隆起を規定し、各アームも少なくとも1つの隆起を規定することを特徴とする請求項1に記載のおしゃぶり。
【請求項3】
咬合部が、より柔らかい外層によって少なくとも部分的に覆われた比較的硬い内核を有することを特徴とする請求項1に記載のおしゃぶり。
【請求項4】
外層が変化する厚さを有することを特徴とする請求項3に記載のおしゃぶり。
【請求項5】
一方のアームの端から遮蔽板の最も近い位置までの距離が、他方のアームの端から遮蔽板の最も近い位置までの距離と異なり、両アームの端が歯茎に対して異なる位置を取り得ることを特徴とする請求項1に記載のおしゃぶり。
【請求項6】
アームが、概して歯列弓の湾曲に沿うように、全長にわたって湾曲していることを特徴とする請求項1に記載のおしゃぶり。
【請求項7】
遮蔽板が2つの側部を有し、
概して「T」形状の第1咬合部が1つの側部から突出し、
他の側部から突出し、遮蔽板に最も近い長い幹、および幹に結合され幹を横断する2つのアームを有する、概して「T」形状の第2咬合部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のおしゃぶり。
【請求項8】
第1咬合部が、単一の比較的硬い材料から作製され、第2咬合部が、より柔らかい外層によって少なくとも部分的に覆われた比較的硬い材料から作製された核を有することを特徴とする請求項7に記載のおしゃぶり。
【請求項9】
咬合部が1つ以上の隆起を規定することを特徴とする請求項7に記載のおしゃぶり。
【請求項10】
咬合部に規定された1つ以上の隆起が、少なくとも部分的に、核の厚さの変化を介して達成されていることを特徴とする請求項9に記載のおしゃぶり。
【請求項11】
咬合部に規定された1つ以上の隆起が、少なくとも部分的に、外層の厚さの変化を介して達成されていることを特徴とする請求項9に記載のおしゃぶり。
【請求項12】
各咬合部のアームがそれぞれの幹の端に位置することを特徴とする請求項7に記載のおしゃぶり。
【請求項13】
少なくとも1つの咬合部のアームが、概して歯列弓に合致する曲線に沿って位置することを特徴とする請求項12に記載のおしゃぶり。
【請求項14】
ハブ部材、
ハブ部材に結合されたリング部材、および
概して平面状の複数のおしゃぶり部材であって、リングに対して動き得るように、おしゃぶり部材の2つの表面間の貫通孔を介してリングに搭載された、複数のおしゃぶり部材を有し、
少なくとも1つのおしゃぶり部材が、複数の長い畝および谷を規定し、畝が該少なくとも1つのおしゃぶり部材の表面から約5゜〜約40゜の角度であり、
少なくとも1つの他のおしゃぶり部材が、一連の貫通孔によって中断された概して平坦な表面を規定することを特徴とする生物学的応答おしゃぶり。
【請求項15】
各おしゃぶり部材が、他のおしゃぶり部材とは異なる厚さを規定することを特徴とする請求項14に記載のおしゃぶり。
【請求項16】
遮蔽板、
遮蔽板の1つの側部から突出する環状の第1おしゃぶり部材、および
遮蔽板の他の側部から突出し、遮蔽板から離れる1対の湾曲したアームを規定する、アーチ形状の第2おしゃぶり部材
を有することを特徴とする生物学的応答おしゃぶり。
【請求項17】
第2おしゃぶり部材の各アームが、各アームの端に近い表面にくぼみを有する概して平坦な上面および下面を規定することを特徴とする請求項16に記載のおしゃぶり。
【請求項18】
第1おしゃぶり部材が、遮蔽板から最も遠い位置に近い各表面に畝を有する概して平坦な上面および下面を規定することを特徴とする請求項16に記載のおしゃぶり。
【請求項19】
第1および第2おしゃぶり部材が各々、より硬い外層によって少なくとも部分的に覆われた比較的柔らかい内核を有することを特徴とする請求項16に記載のおしゃぶり。
【請求項1】
遮蔽板、ならびに
遮蔽板に最も近い長い幹、および幹に結合され幹を横断する2つのアームを有し、遮蔽板から突出する概して「T」形状の第1咬合部
を有することを特徴とする生物学的応答おしゃぶり。
【請求項2】
幹が少なくとも1つの隆起を規定し、各アームも少なくとも1つの隆起を規定することを特徴とする請求項1に記載のおしゃぶり。
【請求項3】
咬合部が、より柔らかい外層によって少なくとも部分的に覆われた比較的硬い内核を有することを特徴とする請求項1に記載のおしゃぶり。
【請求項4】
外層が変化する厚さを有することを特徴とする請求項3に記載のおしゃぶり。
【請求項5】
一方のアームの端から遮蔽板の最も近い位置までの距離が、他方のアームの端から遮蔽板の最も近い位置までの距離と異なり、両アームの端が歯茎に対して異なる位置を取り得ることを特徴とする請求項1に記載のおしゃぶり。
【請求項6】
アームが、概して歯列弓の湾曲に沿うように、全長にわたって湾曲していることを特徴とする請求項1に記載のおしゃぶり。
【請求項7】
遮蔽板が2つの側部を有し、
概して「T」形状の第1咬合部が1つの側部から突出し、
他の側部から突出し、遮蔽板に最も近い長い幹、および幹に結合され幹を横断する2つのアームを有する、概して「T」形状の第2咬合部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のおしゃぶり。
【請求項8】
第1咬合部が、単一の比較的硬い材料から作製され、第2咬合部が、より柔らかい外層によって少なくとも部分的に覆われた比較的硬い材料から作製された核を有することを特徴とする請求項7に記載のおしゃぶり。
【請求項9】
咬合部が1つ以上の隆起を規定することを特徴とする請求項7に記載のおしゃぶり。
【請求項10】
咬合部に規定された1つ以上の隆起が、少なくとも部分的に、核の厚さの変化を介して達成されていることを特徴とする請求項9に記載のおしゃぶり。
【請求項11】
咬合部に規定された1つ以上の隆起が、少なくとも部分的に、外層の厚さの変化を介して達成されていることを特徴とする請求項9に記載のおしゃぶり。
【請求項12】
各咬合部のアームがそれぞれの幹の端に位置することを特徴とする請求項7に記載のおしゃぶり。
【請求項13】
少なくとも1つの咬合部のアームが、概して歯列弓に合致する曲線に沿って位置することを特徴とする請求項12に記載のおしゃぶり。
【請求項14】
ハブ部材、
ハブ部材に結合されたリング部材、および
概して平面状の複数のおしゃぶり部材であって、リングに対して動き得るように、おしゃぶり部材の2つの表面間の貫通孔を介してリングに搭載された、複数のおしゃぶり部材を有し、
少なくとも1つのおしゃぶり部材が、複数の長い畝および谷を規定し、畝が該少なくとも1つのおしゃぶり部材の表面から約5゜〜約40゜の角度であり、
少なくとも1つの他のおしゃぶり部材が、一連の貫通孔によって中断された概して平坦な表面を規定することを特徴とする生物学的応答おしゃぶり。
【請求項15】
各おしゃぶり部材が、他のおしゃぶり部材とは異なる厚さを規定することを特徴とする請求項14に記載のおしゃぶり。
【請求項16】
遮蔽板、
遮蔽板の1つの側部から突出する環状の第1おしゃぶり部材、および
遮蔽板の他の側部から突出し、遮蔽板から離れる1対の湾曲したアームを規定する、アーチ形状の第2おしゃぶり部材
を有することを特徴とする生物学的応答おしゃぶり。
【請求項17】
第2おしゃぶり部材の各アームが、各アームの端に近い表面にくぼみを有する概して平坦な上面および下面を規定することを特徴とする請求項16に記載のおしゃぶり。
【請求項18】
第1おしゃぶり部材が、遮蔽板から最も遠い位置に近い各表面に畝を有する概して平坦な上面および下面を規定することを特徴とする請求項16に記載のおしゃぶり。
【請求項19】
第1および第2おしゃぶり部材が各々、より硬い外層によって少なくとも部分的に覆われた比較的柔らかい内核を有することを特徴とする請求項16に記載のおしゃぶり。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【公表番号】特表2012−500097(P2012−500097A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523923(P2011−523923)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/054125
【国際公開番号】WO2010/022028
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(511043404)
【氏名又は名称原語表記】TESINI,David,A.
【住所又は居所原語表記】13 Norcross Road,Hopkinton,MA The United States of America
【出願人】(511043415)
【氏名又は名称原語表記】WIESMAN,Joshua
【住所又は居所原語表記】130 Appleton Street,#2B,Boston, MA The United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/054125
【国際公開番号】WO2010/022028
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(511043404)
【氏名又は名称原語表記】TESINI,David,A.
【住所又は居所原語表記】13 Norcross Road,Hopkinton,MA The United States of America
【出願人】(511043415)
【氏名又は名称原語表記】WIESMAN,Joshua
【住所又は居所原語表記】130 Appleton Street,#2B,Boston, MA The United States of America
【Fターム(参考)】
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