説明

生物育成支援システム

【課題】 藻類等の生物育成において、自動制御可能な生物育成支援システムを提供する。
【解決手段】 育成条件制御手段11が、育成過程シミュレーション手段12で算出された育成状態予想値と、育成実測値とを比較し、比較した結果、育成過程シミュレーション手段12で算出した育成状態予想値を補正するか否かを判断し、補正すると判断した場合は、育成過程シミュレーション手段12に育成状態予想値を補正するように指示を出し、前記指示を受けた前記育成過程シミュレーション手段12は、育成実測値を基に、育成状態予想値を補正し、育成情報データベース13は、補正された前記育成状態予想値を保存することを特徴とする生物育成支援システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物育成支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
石油等の化石燃料の枯渇等の資源問題および大気中の二酸化炭素の低減等の環境問題を解決する手段として、サトウキビおよびトウモロコシ等の植物を発酵させて製造するバイオエタノールが注目されている。しかしながら、サトウキビおよびトウモロコシ等のバイオエタノールの原料は、そもそも食糧として生産されるものであり、開発途上国の食糧問題とリンクして問題視されている。この問題を解決するために、海洋で藻類を培養し、培養した藻類をバイオエタノールの原料にすることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−11721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の藻類の培養は、培養容器、培養する藻類の種類、培養条件等のハード面での検討はあるが、システム的に省力化および効率化等を推進することに関しての検討は無かった。また、この問題は、藻類に限らず、生物全般の育成システムに関する問題でもある。
【0005】
そこで、本発明は、藻類等の生物育成において、自動制御可能な生物育成支援システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の生物育成支援システムは、
育成過程シミュレーション手段と、育成条件制御手段と、育成情報データベースと、育成環境情報取得手段と、育成状態情報取得手段と、育成環境制御手段とを備え、
前記育成過程シミュレーション手段は、育成対象生物の育成をシミュレーションして育成対象生物の各育成過程での育成状態予想値を算出し、
前記育成環境情報取得手段は、前記育成対象生物の育成環境情報を取得し、
前記育成状態情報取得手段は、前記育成対象生物の育成状態情報を所得し、
前記育成環境制御手段は、前記育成対象の生物の育成環境を制御し、
前記育成情報データベースは、前記育成状態予想値、育成環境情報及び育成状態情報が保存され、
前記育成条件制御手段は、前記育成状態予想値に従って前記育成環境制御手段により、前記育成対象生物の環境を制御し、
前記育成条件制御手段は、前記育成環境情報取得手段により取得された育成環境情報及び前記育成状態情報取得手段により取得された育成状態情報から育成実測値を算出し、
前記育成情報データベースは、前記育成情報予想値、前記育成環境情報、前記育成状態情報及び前記育成実測値が保存され、
さらに、前記育成条件制御手段は、前記育成過程シミュレーション手段で算出された育成状態予想値と、前記育成実測値とを比較し、比較した結果、前記育成過程シミュレーション手段で算出した育成状態予想値を補正するか否かを判断し、補正すると判断した場合は、前記育成過程シミュレーション手段に育成状態予想値を補正するように指示を出し、
前記指示を受けた前記育成過程シミュレーション手段は、前記育成実測値を基に、前記育成状態予想値を補正し、
前記育成情報データベースは、補正された前記育成状態予想値を保存する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、藻類等の生物育成において、自動制御可能な生物育成システムの提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明のシステムの一例を示す構成図である。
【図2】図2は、前記例のシステムのデータベースに保存される情報の生成を説明するための説明図である。
【図3】図3は、前記例のシステムの育成過程のシミュレーションの一例を示す説明図である。
【図4】図4は、前記例のシステムの各手段の関係を示す説明図である。
【図5】図5は、前記例のシステムのデータベースのデータ構造の一例を説明するための説明図である。
【図6】図6は、前記データベース構造のデータ構造のその他の例を説明するための説明図である。
【図7】図7は、前記例のシステムにおいて、階層クラウド構造をとる場合の説明図である。
【図8】図8は、前記例のシステムの育成過程のシミュレーションの流れの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、前記育成環境情報取得手段が、育成環境制御情報生成手段を含み、前記育成環境制御情報生成手段は、前記育成環境情報取得手段が取得した育成環境情報に基づき育成環境制御情報を生成し、生成された育成環境制御情報に基づき前記育成環境制御手段が育成環境を制御することが好ましい。
【0010】
本発明において、前記育成条件制御手段が、生物育成基礎情報生成手段を有し、前記生物育成基礎情報生成手段は、前記育成対象生物の各育成過程毎に、前記育成生物の基礎情報を生成し、前記生成された基礎情報が、前記育成情報データベースに保存されていることが好ましい。
【0011】
本発明において、前記育成情報データベースが、前記育成対象生物、前記育成環境及び前記育成期間の3つの項目を次元軸にした三次元構造により情報を分類して保存することが好ましい。この場合において、前記3つの項目を次元軸にした三次元構造が、さらに、コンピュータ上で実行可能なプログラムを含むことが好ましい。
【0012】
本発明において、前記育成対象生物が海藻であることが好ましい。
【0013】
前記育成対象生物が海藻である場合、前記育成環境制御手段が、CO2溶解制御手段を含み、前記CO2溶解制御手段は、海藻が存在する海水にCO2を溶解するための手段であり、前記CO2溶解制御手段は、前記育成環境情報取得手段により取得された育成環境情報によりCO2の溶解度を調整することが好ましい。
【0014】
前記育成対象生物が藻類である場合、前記育成条件制御手段は、前記育成過程シミュレーション手段により算出された育成予想値よりを超えた値を実現するためのCO2を溶解される予備実験指示を前記CO2溶解制御手段に与え、前記育成実測値が前記育成予想値よりも悪い場合は、予備実験指示を停止し、前記育成実測値が前記育成予想値と同等かもしくは超える場合は、予備実験指示を継続するという態様であってもよい。
【0015】
前記育成対象生物が藻類である場合、前記育成条件制御手段が、CO2含有ガスの種類に応じて、CO2の溶解度を決定して、前記決定された溶解度に基づき、前記CO2溶解制御手段が、前記海水にCO2を溶解させることが好ましい。
【0016】
次に、本発明の生物育成装置は、前記本発明の生物育成支援システムを含むことを特徴とする。前記生物育成装置は、例えば、植物工場、藻類(海藻)工場等の生物育成工場であってもよい。
【0017】
次に、本発明について、育成対象生物が海藻である場合を例にとり、説明する。なお、本発明の育成対象生物は、海藻に限定及び制限されることはなく、本発明の育成対象生物は、海藻の他に、植物、動物、魚介類、微生物等の生物全般である。
【0018】
図1から8に、育成対象生物が海藻とした生物育成支援システムの一例を示す。図1から図8において、同一部分には同一符号を付している。
【0019】
図1は、本例のシステムの概要図である。図示のように、本例のシステム1は、育成過程シミュレーション手段(海藻のデジタル育成シミュレータ)12と、育成条件制御手段(海藻育成コントローラ)11と、育成情報データベース(海藻育成ナレッジDB)13と、育成環境情報取得手段(各種センサー)151〜159と、育成状態情報取得手段(カメラ)160と、育成環境制御手段(各種装置)17〜21とを主要構成要素として備える。
【0020】
前記育成環境情報取得手段である各種センサーとしては、海水の水位をモニターする水位センサー151、海藻(藻類)16aの培養槽16の室温をモニターする室温センサー152、前記培養槽16の照度をモニターする照度センサー153、培養槽16内の海水の塩濃度をモニターする濃度センサー154、前記海水の純度をモニターする液体純度センサー155、前記海水の養分をモニターする養分センサー156、前記海水の流速をモニターする流速センサー157、前記海水のCO2濃度をモニターするCO2濃度センサー158および前記海水の水温をモニターする水温センサー159がある。
【0021】
前記育成状態情報獲得手段であるカメラ160で撮影した海藻の画像は、形状DB14に、海藻育成コントローラ11を介して保存される。保存した海藻の画像は、海藻育成コントローラが後述する実測値と予想値との比較の判定に使用する。
【0022】
前記育成環境制御手段である各種装置としては、海水供給装置17、海水槽18、CO2溶解制御装置19、調整槽20およびCO2含有ガス供給装置21があり、これらの各種装置にはバルブが配置されている。これらの各種装置は、次のようにして、CO2を溶解させた海水を培養槽16に導入する。すなわち、まず、海水供給装置17が、例えば、海から海水をポンプでくみ上げて、海水槽18に貯留する。貯留された海水は、CO2溶解制御装置19に導入される。一方、CO2含有ガス供給装置21は、例えば、火力発電所、工場等の排ガスに含まれるCO2含有ガスをCO2溶解制御装置19に導入する。そして、CO2溶解制御装置19において、海水中にCO2が溶解されてCO2溶解海水が製造される。製造されたCO2溶解海水は、一度、調整槽20に貯留され、培養槽16の水位に応じて、培養槽16に供給される。培養槽16の水位は、水位センサー151でモニターされている。
【0023】
なお、図1には図示していないが、前記育成環境制御手段としては、前述のCO2溶解海水を供給するために一連の装置17〜21の他に、例えば、照明制御装置、養分供給装置、塩分制御装置、温度制御装置等が挙げられる。
【0024】
前記育成過程シミュレーション手段であるデジタル育成シミュレータ12は、育成対象である藻類16aの育成をシミュレーションして海藻16aの各育成過程での育成状態予想値を算出121する。
【0025】
前記育成情報データベースである海藻育成ナレッジDB13は、前記育成状態予想値、育成環境情報及び育成状態情報が保存され、かつ、前記デジタル育成シミュレータ12と接続している。
【0026】
前記育成条件制御手段である海藻育成コントローラ11は、前記育成状態予想値に従って前記育成環境制御手段により、前記育成対象物である海藻16aの環境を制御する。具体的には、海藻育成コントローラ11は、各種装置17〜21までのバルブ及びポンプを制御して、CO2溶解海水の培養槽16への導入を制御する。また、海藻育成コントローラ11は、前記各種センサー151〜159により取得された海藻の育成環境情報及びカメラ160により取得された海藻の育成状態情報から育成実測値を算出する。なお、前記育成実測値も、海藻育成ナレッジDB13に保存される。
【0027】
前記育成条件制御手段である海藻育成コントローラ11は、デジタル育成シミュレータ12で算出された育成状態予想値と、前記育成実測値とを比較122し、比較した結果、育成状態予想値を補正するか否かを判断し、補正すると判断した場合は、デジタル育成シミュレータ12に育成状態予想値を補正するように指示を出す。前記指示を受けたデジタル育成シミュレータ12は、前記育成実測値を基に、前記育成状態予想値を補正123し、海藻育成ナレッジDB13は、補正された前記育成状態予想値を保存する。
【0028】
つぎに、前記育成環境情報取得手段である各種センサー151〜159は、育成環境制御情報生成手段を内蔵して、エージェント化することが好ましい。前記育成環境制御情報生成手段は、例えば、超小型コンピュータである。各種センサーに内蔵された超小型コンピュータは、各種センサー151〜159が取得した各種の育成環境情報に基づき育成環境制御情報を生成し、生成された育成環境制御情報に基づき前記育成環境制御手段である各種装置17〜21が育成環境を制御する。例えば、CO2濃度センサー158が培養槽16の海水中のCO2濃度をモニターし、内蔵された超小型コンピュータがCO2濃度の変異の履歴から将来のCO2の要求量に関する情報を生成し、この情報に基づき、CO2溶解制御装置19及び調整槽20に対し、CO2溶解海水の供給を制御する。また、各種センサーに内蔵されている超小型コンピュータは、それぞれの情報を相互に利用(対話)することによって、前記育成環境制御手段である各種装置17〜21を自動制御してもよい。
【0029】
つぎに、図2に基づき、前記実測値と前記予想値との比較の基礎となる海藻の基礎データの作成について説明する。海藻は、そのライフサイクルの各ステージで異なる形状を持つ。図2(B)に海藻のライフサイクルの一例を示す。図示する海藻は、雌雄配偶子の受精によって誕生すると幼葉となり、ついで海藻胞子体となって、再び、雌雄配偶子によって受精する、というライフサイクルを持つ。図2(A)に示すように、コンピュータ30上で、海藻のライフサイクルの各ステージについて、海藻の形状と、海藻の育成属性とを定義して、海藻育成ナレッジDB13に保存しておく。海藻の育成属性としては、例えば、海藻の成分、海藻の育成スピード、海藻の育成条件等がある。
【0030】
つぎに、図3に基づき、デジタル育成シミュレータ12でのシミュレーションについて説明する。デジタル育成シミュレータ12では、例えば、人工生命技術または粒子流体解析技術等により海藻を仮想的に育成する仮想育成モデラー(同図では図示せず)を内蔵している。例えば、海藻が、海水中に浮遊して粒子状になって生育する場合、前記仮想育成モデラーは、海藻育成ナレッジDB13に保存している基礎データを基に、例えば、物理モデリングと粒子法流体解析等を用いてシミュレーションし、育成において最適な状態を常に探すようにする。シミュレーションの際に、現実との差が生じる場合があるが、この差は、例えば、ニューラルネットワークによって修正する。シミュレーションした結果(予想値)は、育成時間で区切り、海藻育成ナレッジDB13に保存する。
【0031】
ここで、図8に基づき、デジタル育成シミュレータでのシミュレーションの流れを説明する。まず、図8に示すように、仮想育成モデラー(形状モデリング)により育成対象の海藻の形状を生成する(S1−a)。一方、海藻の仮想育成パラメータを決定する(S1−b)。仮想育成パラメータとしては、例えば、ライフサイクルのステージ、CO2濃度、養分、水温、照度等である。海藻の形状と仮想育成パラメータに基づき、かつ既定の育成値DB141に保存の情報を参照して、海藻シミュレータで仮想育成(シミュレーション)を実施する(S2)。そして、実測値または現実値DB142の実測値情報を参照し、仮想海藻を表示して、実測値と予想値とを比較演算して現実との差分修正を行う。差分修正を行った結果は、蓄積DB143に保存するともに、形状の情報に関しては形状DB14に保存する。
【0032】
つぎに、図4に基づき、海藻育成コントローラの動きを説明する。図示のように、海藻育成コントローラ11は、実際の海藻の育成状況(実測値)を各種センサーから実測値処理部に取り込み、仮想育成処理部にあるデジタル育成シミュレータ(海藻シミュレータ)12の仮想育成値(予想値)と比較演算し、各種センサーに最適育成ができるように司令を出す。司令を受けた各種センサーに内蔵されている超小型コンピュータが、各種装置に司令を出して、育成環境を制御する。また、海藻育成コントローラ11において、実測値及び予想値等の育成情報を海藻育成ナレッジDB13とやり取りする。ここで、比較演算の結果を基に、リアルタイムオペレーションが必要な場合は、海藻育成コントローラ11は、実測値、予想値及び比較演算結果を、デジタル育成シミュレータ12とやり取りすることが好ましい。一方、比較演算の結果を基に自動運転する場合は、海藻育成コントローラ11は、実測値、予想値及び比較演算結果を、海藻育成ナレッジDB13とやり取りすることが好ましい。
【0033】
つぎに、図5に基づき、海藻育成ナレッジDB13に保存されるデータ構造について説明する。図5(A)に示すように、海藻育成ナレッジDBのデータ構造は、例えば、生物軸、育成環境軸及び生物成長時間軸(ライフサイクル軸)の3つの項目を次元軸にした三次元構造により情報を分類して保存することを特徴とし、図5(B)に示すように、育成環境軸をx軸とし、生物軸をy軸とし、生物成長時間軸をz軸とすることが好ましい。図5(c)に示すように、x軸である育成環境軸としては、例えば、CO2濃度や温度がある。また、図5(D)に示すように、実際のデータ構造は、海藻育成データの項目としてx値、y値及びz値に分け、各項目に、育成対象生物毎にデータを保存する。
【0034】
つぎに、図6に示すように、海藻育成ナレッジDB13の保存されるデータ構造において、前記三次元構造が、さらに、コンピュータ上で実行可能なプログラムを含むことが好ましい。例えば、図6に示すように、育成環境(x値)、生物(y値)及び生物成長時間(z値)に加えプログラムのキーを保存しておく。プログラムのキーは、コンピュータ上で実行可能なプログラムと連動しており、プログラムのキーを指定することで目的とするプログラムを作動させることが可能となる。
【0035】
つぎに、図7に、本例のシステムをクラウド化した例を示す。図7に示すように、このクラウドは4層の階層構造になっている。まず、最上位の階層である1層目には、自律組織体の中核クラウドが位置し、共通機能を実現するようになっている。最上階の次の階層である2層目には、国別のクラウドが位置している。例えば、図示のように、2層目には、A国向けクラウド、B国向けクラウド、及び地域Aクラウド等が位置している。ここで、地域Aとは、国々の集まりを指し、例えば、欧州連合体(EU)やASEAN等である。そして、3層目には、県別のクラウドが位置し、例えば、図示のように、C県向けのクラウドが位置している。さらに、最下層の4層目のクラウドには、業者向けのクラウドが位置しており、例えば、図示のように、業者A向けクラウド、業者B向けクラウドが位置している。業者Aの例としては、図示のように、C県の特定の農家が挙げられる。このように、階層構造のクラウドにすれば、一般的なクラウドに比べて、クラウド内部を単純にすることができ、ユーザー側の目的別に、必要最小限のシステムリソースにてシステムを構築することが可能であり、サービスの独自性及び柔軟性を向上させることが可能になる。例えば、階層構造のクラウドで農家向けのクラウドを構築すれば、仮に利用する農家の方がITに不慣れであっても、不慣れな農家の方専用のクラウドを構築可能であるから、利用者の利便性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、藻類等の生物育成において、自動制御可能な生物育成支援システムを提供することができる。本発明は、海藻工場、植物工場、魚の養殖工場、家畜の生産工場等に幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 生物育成支援システム
11 育成条件制御手段(海藻育成コントローラ)
12 育成過程シミュレーション手段(海藻のデジタル育成シミュレータ)
13 育成情報データベース(海藻育成ナレッジDB)
14 形状DB
16 培養層
16a 藻類(海藻)
17〜21 育成環境制御手段(各種装置)
30 コンピュータ
141 既定の育成値DB
142 現実値DB
143 蓄積DB
151〜159 育成環境情報取得手段(各種センサー)
160 育成状態情報取得手段(カメラ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
育成過程シミュレーション手段と、育成条件制御手段と、育成情報データベースと、育成環境情報取得手段と、育成状態情報取得手段と、育成環境制御手段とを備え、
前記育成過程シミュレーション手段は、育成対象生物の育成をシミュレーションして育成対象生物の各育成過程での育成状態予想値を算出し、
前記育成環境情報取得手段は、前記育成対象生物の育成環境情報を取得し、
前記育成状態情報取得手段は、前記育成対象生物の育成状態情報を所得し、
前記育成環境制御手段は、前記育成対象の生物の育成環境を制御し、
前記育成情報データベースは、前記育成状態予想値、育成環境情報及び育成状態情報が保存され、
前記育成条件制御手段は、前記育成状態予想値に従って前記育成環境制御手段により、前記育成対象生物の環境を制御し、
前記育成条件制御手段は、前記育成環境情報取得手段により取得された育成環境情報及び前記育成状態情報取得手段により取得された育成状態情報から育成実測値を算出し、
前記育成情報データベースは、前記育成状態予想値、前記育成環境情報、前記育成状態情報及び前記育成実測値が保存され、
さらに、前記育成条件制御手段は、前記育成過程シミュレーション手段で算出された育成状態予想値と、前記育成実測値とを比較し、比較した結果、前記育成過程シミュレーション手段で算出した育成状態予想値を補正するか否かを判断し、補正すると判断した場合は、前記育成過程シミュレーション手段に育成状態予想値を補正するように指示を出し、
前記指示を受けた前記育成過程シミュレーション手段は、前記育成実測値を基に、前記育成状態予想値を補正し、
前記育成情報データベースは、補正された前記育成状態予想値を保存する
ことを特徴とする生物育成支援システム。
【請求項2】
前記育成環境情報取得手段が、育成環境制御情報生成手段を含み、
前記育成環境制御情報生成手段は、前記育成環境情報取得手段が取得した育成環境情報に基づき育成環境制御情報を生成し、生成された育成環境制御情報に基づき前記育成環境制御手段が育成環境を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の生物育成支援システム。
【請求項3】
前記育成条件制御手段が、生物育成基礎情報生成手段を有し、
前記生物育成基礎情報生成手段は、前記育成対象生物の各育成過程毎に、前記育成生物の基礎情報を生成し、
前記生成された基礎情報が、前記育成情報データベースに保存されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の生物育成支援システム。
【請求項4】
前記育成情報データベースが、前記育成対象生物、前記育成環境及び前記育成期間の3つの項目を次元軸にした三次元構造により情報を分類して保存することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の生物育成支援システム。
【請求項5】
前記3つの項目を次元軸にした三次元構造が、さらに、コンピュータ上で実行可能なプログラムを含むことを特徴とする請求項4記載の生物育成支援システム。
【請求項6】
前記育成対象生物が海藻であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の生物育成支援システム。
【請求項7】
前記育成環境制御手段が、CO2溶解制御手段を含み、
前記CO2溶解制御手段は、海藻が存在する海水にCO2を溶解するための手段であり、
前記CO2溶解制御手段は、前記育成環境情報取得手段により取得された育成環境情報によりCO2の溶解度を調整する
ことを特徴とする請求項6記載の生物育成支援システム。
【請求項8】
前記育成条件制御手段は、前記育成過程シミュレーション手段により算出された育成予想値よりを超えた値を実現するためのCO2を溶解される予備実験指示を前記CO2溶解制御手段に与え、
前記育成実測値が前記育成予想値よりも悪い場合は、予備実験指示を停止し、
前記育成実測値が前記育成予想値と同等かもしくは超える場合は、予備実験指示を継続する
ことを特徴とする請求項7記載の生物育成支援システム。
【請求項9】
前記育成条件制御手段が、CO2含有ガスの種類に応じて、CO2の溶解度を決定して、前記決定された溶解度に基づき、前記CO2溶解制御手段が、前記海水にCO2を溶解させることを特徴とする請求項7または8記載の生物育成支援システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の生物育成支援システムを含む生物育成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−75395(P2012−75395A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224295(P2010−224295)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000232092)NECソフト株式会社 (173)
【Fターム(参考)】