説明

生理用ナプキン

【課題】吸収部が幅方向に区分された部分を有する吸収体に特有の課題を解決し、身体の動き等による生理用ナプキンのヨレを防止し、かかるヨレ防止性の向上に伴い、漏れの防止性を格段に向上させた生理用ナプキンを提供する。
【解決手段】肌当接面側に配置される液透過性の表面シートと、非肌当接面側に配置される防漏シートと、該両シートの間に介在される吸収体とを具備する吸収性本体を有して構成される生理用ナプキンであって、該生理用ナプキンに内在する前記吸収体は、長手方向とこれと直交する幅方向とをもち、かつ、その少なくとも長手方向中央部において幅方向にみて3つ以上の吸収部に区分されており、前記区分された幅方向の最も外側にある左右両側の側方吸収部の非肌当接面には、幅方向両側外方から前記吸収性本体に挿入された一対の羽根状シートがそれぞれ接合された生理用ナプキン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽根部を有してショーツなどの下着に固定する生理用ナプキン、女性用失禁パッド、パンティーライナーなどの生理用ナプキンに関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキンにおいては、各部材の材料や構造を改良し、その機能や着用感の向上が図られてきた。吸収体についても、かかる改良を企図して開発がなされ、特に最近では使用状況や物品の種類に応じた機能性のものが種々提案されている。
【0003】
特許文献1は、幅方向に離間して3つに分割された吸収体を内部に有する生理用品を開示している。前記吸収体の離間部にはそれぞれカバーシートが挿入され被覆されたチャンバをなし、前記チャンバ同士の間には長手方向に延びる溝が形成されている。前記溝を利用して製品長手方向への液の移行を促し、長手方向の吸収体の利用性を高め、一方で横漏れを防ぐことができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−257951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、生理用ナプキンに代表されるこの種の吸収性物品は、通常ショーツに装着し、股下部に配して着用される。しかし、前記股下部は歩行等の身体の動きによって、大きく変動しやすく、生理用ナプキンにヨレが生じがちである。前記ヨレによって付け心地が悪化することはもとより横漏れの原因にもなる。本発明者らは幅方向に分割した吸収体を利用したナプキン等の吸収性物品において、特にこの現象が顕著であることを確認した。このような分割部を有する吸収体を利用した場合にも、ヨレを抑制することによる横漏れ防止性の更なる向上が望ましい。
上記の着想に基づき、本発明は、吸収部が幅方向に区分された部分を有する吸収体に特有の課題を解決し、身体の動き等による生理用ナプキンのヨレを防止し、かかるヨレ防止性の向上に伴い、漏れの防止性を格段に向上させた生理用ナプキンの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、肌当接面側に配置される液透過性の表面シートと、非肌当接面側に配置される防漏シートと、該両シートの間に介在される吸収体とを具備する吸収性本体を有して構成される生理用ナプキンであって、該生理用ナプキンに内在する前記吸収体は、長手方向とこれと直交する幅方向とをもち、かつ、その少なくとも長手方向中央部において幅方向にみて3つ以上の吸収部に区分されており、前記区分された幅方向の最も外側にある左右両側の側方吸収部の非肌当接面には、幅方向両側外方から前記吸収性本体に挿入された一対の羽根状シートがそれぞれ接合された生理用ナプキンにより解決された。
【発明の効果】
【0007】
本発明の生理用ナプキンは、吸収部が幅方向に区分された部分を有する吸収体に特有の課題を解決し、身体の動き等による生理用ナプキンのヨレを防止し、かかるヨレ防止性の向上に伴い、漏れの防止性を格段に向上させるという優れた作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明における生理用ナプキンの一実施形態としての生理用ナプキンを伸長した状態で肌当接面方向から示した一部切欠斜視図である。
【図2】図1に示すII−II線断面の拡大断面図である。
【図3】実施形態1の生理用ナプキンを装着したときの下着と吸収体との連動状態を説明するためのモデル図である。
【図4】本発明における別の実施形態(実施形態2)としての生理用ナプキンを表面シート等を省略して示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明における生理用ナプキンの一実施形態としての生理用ナプキンを肌当接面方向から示した一部切欠斜視図である。図2は図1に示すII−II線断面の断面図である。
本実施形態の生理用ナプキン10は、裏面シート2の肌当接面側に、幅方向にみて側方吸収部31、31及び中央吸収部32に区分された吸収体3が配設されている。さらにその裏面シート2の肌当接面側における前記吸収体3の長手方向両側部外方ではサイドシート8が裏面シート2に当接して接合されている。その裏面シートとサイドシートとが当接した部分では表面シート1が裏面シート2とサイドシート8とで挟持され、さらにその幅方向(X方向)内方向に向け表面シート1が吸収体3よりも肌当接面側に位置されるように配され吸収性本体10を成す。吸収性本体10における側方吸収部31,31の非肌当接面には、吸収性本体10に挿設された羽根状シート4が側方吸収部31,31の内側端部で接合部31Tによって接合され、吸収性本体10の幅方向外方に延出している。中央吸収部32の非肌当接面側は、裏面シート2の肌当接面側で接合部32Tによって全面的に接合されている。なお、羽根状シート4と裏面シート2とは平面視において吸収体3が前記両シートと重なる位置では接合されていない。
前記吸収体3の外方でナプキンの周縁部分に形成された周縁シールGは平面視において羽根状シート4を含む第1シール領域のGとそれ以外の第2シール領域Gとに区画される。第1シール領域Gとは、平面視において羽根状シート4と吸収性本体10の一対の交点qと羽根状シート4と吸収体3との一対の交点qとに囲まれた領域である。第2シール領域Gにおける接合部(図示せず)は、全体的な伸縮性を阻害せず、一度吸収した液が漏れない程度に表面シート1、裏面シート2及びサイドシート8をヒートシール等により接合しているナプキン全周にわたる領域である。第1シール領域Gにおいて、表面シート1、裏面シート2、羽根状シート4及びサイドシート8は吸収体3の幅方向外方で接合されており、その接合は長手方向に断続的な千鳥状に配列された複数の接合部gによってなされている。また、前記サイドシート8は周縁シールG以外には接合されておらず、サイドシートの自由端81から周縁シールGにかけてポケットpを形成し、液等の横モレを防ぐ効果を有する。
【0010】
上記表面シート1、裏面シート2、サイドシート8、羽根状シート4及び吸収体3の材料や寸法等に関する詳細は後述するが、本実施形態において表面シート1は、排泄された体液を速やかに透過し、吸収体に伝達する観点と、肌触りのよさの観点から親水性のエアスルー不織布を用いている。また、裏面シート2としては、通気性を有した透湿性フィルムを単層で用いている。吸収体3としてはパルプ繊維や吸収性ポリマー等で構成された吸収コア(図示せず)を用い、羽根状シート4としては透湿性フィルムを単層で用い、吸収性本体から延出している非肌当接面には固定用の接着剤(図示せず)が塗布されている。を用いている。また、裏面シート2の非肌当接面側には、生理用ナプキン100を着衣に固定するための粘着剤(図示せず)が塗布されている。該粘着剤によって、生理用ナプキン100が使用者の着衣に接着固定される。本実施形態の生理用ナプキン100は、その表面シート側を着用者の肌当接面に向け、かつ、その縦方向を下腹部から臀部にかけて配し、換言すればその幅方向を左右の足をつなぐラインの方向に向けて配して着用する。
【0011】
本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌面側ないし肌当接面側あるいは表面側といい、下着に接する側を非肌面側ないし非肌当接面側あるいは裏面側という。また、装着時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。生理用ナプキンの表面又は裏面の法線方向を厚み方向といいその量を厚さという。さらに生理用ナプキンの平面視において相対的に長さのある方向を長手方向といい、この長手方向と直交する方向を幅方向という。前記長手方向は典型的には装着状態において人体の前後方向と一致する。
【0012】
図2は図1のII―II線に沿った拡大断面図である。なお図2においては、接合部gの位置を符号のみで示しその断面形状を省略して示す。本実施形態の吸収体3は幅方向にみて側方吸収部31、31及び中央吸収部32に区分されており、自然状態において互いに対して所定の隙間dを有するように配設されている。このようにすることで、例えば多量の排泄が中央吸収部32にあった場合においても、各吸収部の間に存在する谷部mによって液の幅方向の移行を妨げ、横漏れを効果的に防ぐことができる。また、谷部mは生理用ナプキン100の長手方向への液の水路としても機能し、普段使われづらい長手方向前後の吸収体部へ液を導くことにより液拡散性を向上させ、排泄部近傍に高いドライ感を与える。さらに、幅方向に区分された吸収体3では、生理用ナプキンにおける幅方向の剛性が抑えられ、股下での閉脚方向において程よい可撓性を発揮する。本実施形態において吸収体3は幅方部向に3分割されているが、少なくとも長手方向中央部wにおいて幅方向にみて3つ以上に分割されていればよく、例えば、長手方向中央部w以外の吸収体の長手方向前部及び後部で側方吸収部31,31と中央吸収部32とが離間せず繋がっていてもよい。さらに、側方吸収部31,31と中央吸収部32との幅方向における分割についても、少なくとも吸収体の肌当接面側が幅方向に離間していればよく、非肌当接面側は離間せず繋がっていてもよい。また、側方吸収部31、31及び中央吸収部32も別部材の組み合わせであってもよい。長手方向中央部Wとは、平面視における吸収性本体10の外形と幅方向左右一対の羽根状シート4との交点qに囲まれた領域であり、排泄部と略一致する領域である。なお、排泄部とは経血もしくはおりもの等の排泄を直接受ける部分及びその近傍である。
【0013】
区分された吸収部を有する吸収体3により良好な液拡散性と横漏れ防止性とが得られる。一方、横漏れ防止性について追求していくと、横漏れの原因の1つとして生理用ナプキンの‘ヨレ’が挙げられる。例えば、歩行時等において変動頻度の極めて高い股下部に装着される生理用ナプキンにおいては、左右両方の太腿で挟まれ絞り込まれるような力を受け、特に液体を吸収した状態の吸収体は長手方向中央部が幅方向中央方向に向って括れるような略砂時計形状にヨレ易い。このようにヨレてしまうと、上述した幅方向に分割部を設けたことによって形成される谷部mはそのヨレている部分において幅方向に詰まり閉塞していく。その結果、その長手方向への導液機能を発揮しにくくなり横漏れ防止性の低下はもとより、液の拡散性も低下することとなる。これに対し、本実施形態によれば下記に述べる羽根状シート4の巻き込み作用により、吸収体のヨレをおさえ、横漏れ防止性及び液拡散性を格段に向上することができる。
【0014】
ここで本実施形態の生理用ナプキン100における内部の吸収体と羽根状シートとの動的な特徴を図3に基づき詳しく説明する。図3は本実施形態の生理用ナプキンを装着したときのショーツ5と吸収体3との連動状態を説明するためのモデル化した斜視図であり、各種寸法の比率や形状等を必ずしも図1及び図2と一致させずモデル化して図示している。図3ではショーツ5を、ほぼ着用したときの形状である横断主曲率面5bと縦断主曲率面5aを有する鞍面として模式的、かつ、部分的に示した。鞍面の形状は、横断主曲率面5bは負(D)の方向に曲率半径の中心を有する凸面とすれば、縦断主曲率面5aは正(U)の曲率半径の中心を有する凹面としてみることができる。すなわち、鞍面形状は、逆の方向に曲率の中心点を有する2つの円弧が互いに直向するように円弧頂点で交差し、両円弧を矛盾なく延長して構成される面である。これに対し、図3では生理用ナプキン100の吸収体3を横断主曲率面5b部分での断面として示し、残りの部分を1点鎖線で示した。表面シート1、裏面シート2、サイドシート8及び片側の側方吸収部32は図の煩雑化を避け図示していない。図中、一点鎖線で囲まれた網点は接合部31Tを示し、また、U側が肌当接面側であり、D側が非肌当接面側である。なお、生理用ナプキンの装着時の形状については模式化して示しており、本発明の実施において必ずしも図示したものと同一の形状にならなくともよい。
【0015】
図3において、ショーツ5は、股下部における着用時のクロッチ布に相当する形状を部分的に示している。5cは左足側のレッグ開口部の一部を、5dは右足側のレッグ開口部の一部を示している。歩いているとき、左足が前に出た状態でかかる力の方向を矢印f、fで示した。右足と左足でクロッチ部を引っ張る力の方向は逆になっている。レッグ開口部部分5c、5d近傍では全く逆の方向の力がかかるが、鞍面上部では双方の力が合成され、複雑なよじれなどが生じる。例えばクロッチ中心Aで示した生理用ナプキン100を受け止める要点には、矢印f、fで示す力が伝播してかかり、実際にはその方向は長軸方向のみではなく、特に幅方向の歪の成分も組み合わされる。幅方向の歪みの成分は、上述した相反する2方向の曲率によってなる鞍面で生じる複雑な力で生じ、例えば、横断主曲率面5b上の点Bには、縦断主曲率面5aに対してショーツ5が自然形状に戻ろうとして生じる力fが発生し、それによる歪みが生じる。それによりショーツ5は、幅方向においてはクロッチ中心Aに向って絞られたようにヨレることとなる。クロッチ中心A方向に向う力fは生理用ナプキンの内部で厚みのある吸収体にも伝播し、それに追随するように内部分で吸収体がヨレていくこととなる。特に吸収体は一度変形すると元の形状に復元しにくく、そのヨレた状態で維持されてしまう。例えば、吸収体3を幅方向に分割した構造を有した吸収体であっても身体の動き及び形状からくる上記のヨレが吸収体3全体に伝播することとなり上述した谷部mの閉塞が起こり、横漏れ防止性及び液拡散性が低下しがちになる。
【0016】
本実施形態における生理用ナプキン100は、羽根状シート4が側方吸収部31の内側端部で接合部31Tによって接合され、かつ、羽根状シート4と裏面シート2とは平面視において吸収体3が両シートと重なる位置で接合されていない。このようにすることで、生理用ナプキン100をショーツに装着するためにウイングをショーツの非肌当接面側に巻き込むと、その固定の際に発生する引張力fが側方吸収部31に伝播する。これは羽根状シート4が側方吸収部31の内側端部で支点接合部tによって接合されていることによる作用であり、引張力fがレッグ開口部縁5c、5dを基線として側方吸収部31に伝わる。引張力fを受け、かつ鞍面形状に沿う長手方向に向かう力や曲率Bに沿う力fと相まって側方吸収部31は接合部31Tを支点にした特有の形態を安定化する力が生じ、その力によって谷部mの肌当接面側が幅方向断面でみて扇状に離間していくこととなる。前記離間した谷部mは身体の動き等による上記ヨレを生じさせる複雑な力を受け歪みを生ずるが、これに対し上記側方接合部31Tを支点とする力によりその応力に対抗し形態を安定化させる。その結果、谷部mの閉塞を防ぎ、高い液拡散性及び横漏れ防止性を発揮することとなる。また、羽根状シート4を別体とし、かつ、第1シール領域Gにおいて複数の接合部gの接合パターンが千鳥状であるため、第1シール領域Gにおける接合部gは引張力fを受け、幅方向外方に向って略八の字状に変形する。その変形によるこの部分で生じる安定化力とは独立して、あるいはそれと相互に作用して、上記の側方吸収部31の接合部31Tを支点とする安定化力が働き、谷部mの離間効果をさらに高めることとなる。なお、上述した各力の説明は本発明を説明するにあたり模式的に示した力であり、これにより本発明が限定して解釈されるものではない。
【0017】
本実施形態において第1シール領域Gにおける接合部gは千鳥状とされている。本発明において千鳥状配列とは、複数の接合部gの列を並列に配置したとき、隣接する列における接合部のピッチをずらした配列をいう。この配列は、換言すれば、所定の列の接合部gを幅方向で直交する方向に投影したときに、隣接する接合部gの投影像と一致しない配置である。この具体例を、図1により説明すると、長手方向(Y方向)に延びる接合部列Dに並列する接合部列Cが隣接し、これが交互に繰り返されている。接合部列Dの平面視における中心を接合部列Dの延在する方向と直交する方向(X方向)に連続した補助線tを想定する。一方、接合部列Cにおける同様の補助線tを想定する。この補助線t及び補助線tが互いに半ピッチずれるよう、つまり補助線tと補助線tとの間隔が全体において等しくなるように配列されて千鳥状配列を構成している。本実施形態の変形例としては例えばピッチをずらす方向を90°回転させた、吸収体の幅方向(X方向)に接続部列C及び接続部列Dを設定し、長手方向(Y方向)に延びる補助線にずれを与える実施形態が挙げられる。また、接合部gを第2シール領域Gと同様に長手方向に離間することなく線状に接合してもよいが、千鳥状の配置にすることにより、接合部gの間の非接合部を介して羽根状シートにかかる力をより効果的に内部に伝えやすく、上述した側方吸収部の接合部31Tの形態安定化力が高まる点で好ましい。
【0018】
本実施形態による各吸収部の大きさは特に限定されないが、生理用ナプキンにおける利用を考慮すると、組み込む生理用ナプキンによっても多少異なるが中央吸収部32の幅方向長さh(図2参照)は10〜60mmが好ましく、20〜40mmがより好ましい。側方吸収部31の幅方向長さhは5〜35mmが好ましく、10〜30mmがより好ましい。中央吸収部32と側方吸収部31との幅方向における離間の距離dは1〜20mmが好ましく、2〜10mmがより好ましい。また、側方吸収部31とウイングシート4との接合部31Tの吸収体側縁3sからの距離hは0〜30mmの位置が好ましく、その接合幅tは1〜30mmが好ましい。
【0019】
また、千鳥状とされた接合部gの寸法は特に限定されないが、液体のモレを防ぐ観点から、長手方向長さhは1〜25mmが好ましく、3〜20mmがより好ましく、幅方向長さhは1〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。また、長手方向のピッチpは3〜35mmが好ましく、5〜30mmがより好ましく、幅方向のピッチpは1〜20mmが好ましく、2〜15mmがより好ましい。長手方向中央部Wの長手方向長さhは30〜150mmが好ましく、40〜100mmがより好ましく、また、羽根状シート4の幅方向における吸収性本体10からの延出長さhは10〜60mmが好ましく、20〜50mmがより好ましい。なお、羽根状シート4の幅方向における吸収性本体10からの延出長さhと吸収性本体10の幅方向における最大長さとの比率は1:2が好ましい。
【0020】
ここで、本発明の第2実施形態としての生理用ナプキンについて、図4を参照し、主として第1実施形態との相違点について説明する。図4は第2実施形態としての生理用ナプキンを模式的に示した平面図であり、表面シート1及びサイドシート8は図示していない。
第2実施形態においては、図4に示すように、吸収体3は幅方向に分割され、更に側方吸収部31は長手方向にそれぞれ3分割され、幅方向に延びる谷部mを形成している。それ以外の材料及び寸法は実施形態1と同一とされている。このようにすることで、生理用ナプキンにおける長手方向の剛性を谷部mによって抑え、湾曲した身体への密着感を向上させ高いフィット性を実現する。さらに、中央吸収部32は長手方向に連続して形成されているため、身体形状特有の隙間での液伝わりによる液の拡散へも対応するとともに、生理用ナプキンの装着時の曲がりを抑制し、装着が容易となる。
【0021】
本実施形態における表面シート1は、排泄された体液を速やかに吸収し、吸収体に伝達する観点と肌触りのよさの観点とから親水性のサーマルボンド不織布が好ましく、特にエアスルー不織布が好ましい。表面シート1は親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、当業者公知の親水化剤による親水化処理を用いることができる。
【0022】
裏面シート2は、透湿性フィルム単独、非透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布の貼り合わせ、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、透湿フィルム単独を防漏材として用いることが最も好ましい。この場合のフィルム材としては、熱可塑性樹脂と、これと相溶性のない無機フィラーを溶融混練して押し出したフィルムを所定の寸法に延伸して微細孔をあけたフィルム、または、本質的に水分の相溶性が高く、浸透膜のように水蒸気排出可能な無孔性のフィルムが挙げられる。本発明に関わる湿度排出の性能を十分に発現し、かつ、水分のにじみ出しがない防漏層を具現化するには、透湿度は、0.7〜3.0g/100cmhrの範囲にあることが好ましく、1.0〜2.5の範囲にあることが更に好ましい。さらっと感を十分に高める観点からは1.5〜2.5にあることが最も好ましい。また、フィルムの破れ等のトラブルなく使用可能であるためには、フィルム坪量は18〜70g/m、より好ましくは25〜60g/mである。また好ましい無機フィラー配合量は、フィルム全体の質量に対するフィラーの質量%として30〜65質量%、より好ましくは40〜60質量%である。
【0023】
ウイングシート4は、透湿フィルム単独、非透湿フィルム単独、又はフィルムと不織布の貼り合わせ、撥水性の不織布単独を用いることができる。引張力f4を側部吸収体31に伝えるため、及び粘着材とのマッチングから、不織布とフィルムをホットメルト等で貼り合わせたシートを用いることが好ましい。不織布とフィルムを貼り合わせることでシートの伸びを単独のシートと比較して抑えることができ、引張力f4を側部吸収体31に効果的に伝えることができる。不織布はエアスルー不織布に比べて伸びにくいスパンボンド、SMS、SMMS等を用いることが好ましい。またウイングシートの非肌当接面側をフィルムまたはフィルム状に圧縮した形態とすることで粘着材の転着性を高めることができる。
【0024】
吸収体3は、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物、または、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所要の厚みに圧縮されている。コア20は、その型崩れやポリマー粒子の脱落を防ぐため、その全体がティッシュペーパーや親水性繊維不織布等の透液性シートに被覆されていることが好ましい。ポリマー粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【0025】
本発明の実施形態には図示されていないが、表面シート及び吸収体を一体化する圧縮領域によって、非形成部分より剛性が高くされた領域が側方吸収部31に形成されていても良い。圧縮領域は、非形成部分より吸収体の密度高められた高圧縮部分と高圧縮部分によって形成される低圧縮部分から形成されており、高圧縮部と低圧縮部によって、波状や幅方向外方に湾曲した曲線、星やハート型等の複数の図柄を形成することができる。圧縮領域は、側方吸収部31でも羽状シートが配された部分内に形成されることが、谷部mの離間効果の向上に加え、身体の追従性の点から好ましい。
【0026】
裏面シート2の非肌当接面側に生理用ナプキン100を着衣に固定するための粘着剤が塗布されている。粘着剤は吸収体のヨレを防止する目的で、裏面シート2における吸収体3の範囲内に塗布されているが、幅方向にみて3つに区分され中央吸収部32及び側方吸収部31の範囲内に塗布されていることが好ましい。中央吸収部32及び側方吸収部31の範囲内に塗布されていることで、生理用ナプキン100を着衣に固定する際や使用中に着衣から剥れた際に誤って粘着剤同士が接着することを防止することができ、谷部mの離間を効果的に維持できる。また粘着剤が中央吸収部32の範囲内になく、側方吸収部31の範囲内にのみ塗布されていることが、中央吸収部32が湾曲した身体へフィットしやすくなる点から更に好ましい。
【0027】
本発明の生理用ナプキンは、上記の実施形態に制限されるものではなく、この種の生理用ナプキン、例えば失禁パッド、失禁ライナ等に本発明を適応することができる。また、経血に限らずその他、尿、オリモノ、軟便等に対しても効果的である。また、表面シート1、吸収体3、裏面シート7及びサイドシート8の他にも用途や機能に合わせ適宜部材を組み込んでもよい。なお、上記実施形態の生理用ナプキンの表面シート1、小吸収部3及び裏面シート2の材料、製法における条件や、製品の寸法諸言は特に限定されず、通常の生理用ナプキン等において用いられている各種材料を用いることができる。
本発明では、生理用ナプキンという場合、吸収性物品のうちおむつタイプ以外(下着装着吸収性物品)をいい、典型的には生理用ナプキン、失禁パッドやパンティーライナーなど、女性のショーツなどの下着の股下部に取り付けるものを含む意味であり、好ましくは物品に配設された羽根を捲き付けて固定するものをいう。また「羽根」と同義で、「ウイング」や「フラップ」と表現することもある。
【実施例】
【0028】
以下に、本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
【0029】
[実施例]
図1に示した上記、第1実施形態の生理用ナプキンを製造した。
表面シートは、親水化処理されたエアスルー不織布を用いた。その長手方向両側部外方の肌当接面側に、サイドシートとして親水化処理していないスパンボンド不織布を漏防性を付与する目的で配置した。裏面シートは、透湿性のフィルムを用い、非肌当接面側に着衣と固定する為の粘着材を塗布した。吸収体はフラッフパルプに高吸収性ポリマーを混合させ、ポリマーの脱落を防止するためにティッシュペーパーで覆った。中央吸収部及び側方吸収部の幅は、いずれも23mmとし、3mmの間隔で配置した。羽根状シートはスパンボンド不織布と非透湿性のフィルムをホットメルトにより貼り合わせたシートを用い、スパンボンド不織布を肌当接面側とし側方吸収部の非肌当接面側にホットメルトで固定した。更に羽根状シートを含む第1シール領域において、表面シート及びサイドシート、裏面シート、羽根状シートをヒートシールで千鳥状のパターンに接合した。
【0030】
[比較例]
羽根状シートを別体として設けず、サイドシートと裏面シートとを幅方向に延出して羽根部とした市販品を用いた。ただし吸収体は図1に示した3分割のものを用い、側方吸収部の非肌当接面を全面的に裏面シートに接着固定した。材料や寸法は実施例と同じである。なお、図1の第1シール領域Gにある接合はその周辺の第1¥2シール領域Gがそのまま延びてそのまま連続した接合部とした。
【0031】
[性能評価]
馬血6gを実施例、比較例の生理用ナプキンの排泄部近傍にそれぞれ注入した。その後、下着に固定後、動的モデルに装着して毎分100歩の速度で10分間歩行させ、ヨレの状態を観察した。
その結果、実施例の生理用ナプキンは、比較例のものより側方吸収部の変形量が63%改善されていることが確認された。
【0032】
[性能評価]
馬血6gを実施例、比較例の生理用ナプキンの排泄部近傍にそれぞれ注入した。その後、下着に固定後、被験者(パネル)が着用して10分間の歩行を行い、ヨレの状態及び着用感を確認した。
その結果、実施例の生理用ナプキンは、比較例のものよりヨレにくく、また各パネルともに実施例の方が着用感が良いとの印象を受けていた。
【符号の説明】
【0033】
1 表面シート
2 裏面シート
3 吸収体
31 側方吸収部
32 中央吸収部
4 ウイングシート
8 サイドシート
10 吸収性本体
100 生理用ナプキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌当接面側に配置される液透過性の表面シートと、非肌当接面側に配置される防漏シートと、該両シートの間に介在される吸収体とを具備する吸収性本体を有して構成される生理用ナプキンであって、
該生理用ナプキンに内在する前記吸収体は、長手方向とこれと直交する幅方向とをもち、かつ、その少なくとも長手方向中央部において幅方向にみて3つ以上の吸収部に区分されており、前記区分された幅方向の最も外側にある左右両側の側方吸収部の非肌当接面には、幅方向両側外方から前記吸収性本体に挿入された一対の羽根状シートがそれぞれ接合された生理用ナプキン。
【請求項2】
前記羽根状シートは前記吸収体の幅方向外方において前記表面シート及び前記裏面シートと接合されており、その接合は前記吸収体の長手方向にみて断続的である請求項1に記載の生理用ナプキン。
【請求項3】
前記接合が千鳥状に配列された複数の接合部によってなされる請求項2に記載の生理用ナプキン。
【請求項4】
前記羽根状シートは前記吸収体の側方吸収部においてその非肌当接面の内側端部で接合され、他方、そこから外側端部にかけては非接合とされた請求項1〜3のいずれか1項に記載の生理用ナプキン。
【請求項5】
前記羽根状シートと前記裏面シートとは平面視において前記吸収体が前記両者と重なる位置では接合されていない請求項1〜4のいずれか1項に記載の生理用ナプキン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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