生理用ナプキン
【課題】前後方向端部におけるフィット性に優れた生理用ナプキンとする。
【解決手段】表面シート1、吸収コア3及び裏面シート2がこの順に積層され、吸収コア3の両側方において表面シート1と裏面シート2とがそれぞれ接合され、吸収コア3の両側端部かつ前後方向中央部に前後方向に向かう線を描く第1のエンボスE1が表面シート1上から付与されている。そして、吸収コア3の前後端部に、幅方向中央部を基端Sとし、この基端Sからそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かう直線を描く第2のエンボスE6,E7が表面シート1上から付与されるとともに、この第2のエンボス6,E7が、前後方向に離間して複数設けられており、かつ第2のエンボス6,E7は、前後方向内方に位置するものよりも前後方向外方に位置するものの方が、基端における折れ曲り角度A1,A2を大きくされている。
【解決手段】表面シート1、吸収コア3及び裏面シート2がこの順に積層され、吸収コア3の両側方において表面シート1と裏面シート2とがそれぞれ接合され、吸収コア3の両側端部かつ前後方向中央部に前後方向に向かう線を描く第1のエンボスE1が表面シート1上から付与されている。そして、吸収コア3の前後端部に、幅方向中央部を基端Sとし、この基端Sからそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かう直線を描く第2のエンボスE6,E7が表面シート1上から付与されるとともに、この第2のエンボス6,E7が、前後方向に離間して複数設けられており、かつ第2のエンボス6,E7は、前後方向内方に位置するものよりも前後方向外方に位置するものの方が、基端における折れ曲り角度A1,A2を大きくされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンボスの付与された生理用ナプキンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の生理用ナプキンとして、図1に示すように、不織布シート等からなる透液性の表面シート101、経血やおりもの等の体液を吸収する綿状パルプ等からなる吸収コア103及びポリエチレンシートやポリエチレンシートラミネート不織布シート等からなる不透液性の裏面シート102がこの順に積層され、当該吸収コア103の両側方において表面シート101と裏面シート102とがそれぞれ接合されたものが汎用化されている。この従来の生理用ナプキン100においては、例えば、特許文献1に示すように、第1〜3のエンボスE101〜103が、表面シート101上から付与されている。第1のエンボスE101は、吸収コア103の両側端部かつ前後方向中央部に、前後方向に向かう直線を描く。第2のエンボスE102は、それぞれ第1のエンボスE101の一端を基端とし、この基端からそれぞれ前後方向外方かつ幅方向内方へ向かい、両者が先端で繋がる直線を描く。第3のエンボスE103は、第2のエンボスE102の先端を基端とし、この基端から前後方向外方に向かう直線を描く。これら各種のエンボスE101〜103は、経血等の体液の流れをコントロールする機能を有するほか、本生理用ナプキン100の表面形状をコントロールする機能も有するとされる。
すなわち、まず、本生理用ナプキン100において、体液は、各エンボスE101〜103が向かう方向(線を描く方向)に迅速に流れる。したがって、例えば、前後方向に向かう直線を描くエンボスE101が付与されていることによって、体液の前後方向への拡散性が向上する。一方、各エンボスE101〜103が付与されている部分において、本生理用ナプキン100は、折れ曲り易くなる。また、生理用ナプキン100の前後方向中央部には、装着状態において、幅方向内方に向かう圧力Pがかかる。これらのことから、特許文献1の図5に示されるように、本生理用ナプキン100は、装着状態において、エンボスE101が付与された部分で谷折り形状となり、結果、幅方向中央部では山折り形状の断面略W字状になるとされる。そして、この形状変化に連動し、また、エンボスE102,103が付与されていることによって、本生理用ナプキン100前後端部のエンボスE103が付与されている部分も山折り形状となり、表面が装着者側に突出した状態(表面形状)になるため、装着者に対するフィット性が向上するとされる。
しかしながら、生理用ナプキン100の前後方向中央部に、幅方向内方に向かう圧力Pがかかった場合においては、エンボスE101が付与された部分において、山折り形状となり、結果、幅方向中央部においては谷折り形状の断面略M字状になることもある。この場合は、この形状変化に連動し、また、エンボスE102,103が付与されていることによって、本生理用ナプキン100前後端部のエンボスE103が付与されている部分も谷折り形状となり、表面が凹んだ状態(表面形状)になるため、かえって装着者に対するフィット性が低下し、例えば、前後漏れの原因となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平9−502633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする主たる課題は、前後方向端部におけるフィット性に優れた生理用ナプキンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
表面シート、吸収コア及び裏面シートがこの順に積層され、前記吸収コアの両側方において前記表面シートと前記裏面シートとがそれぞれ接合され、前記吸収コアの両側端部かつ前後方向中央部に前後方向に向かう線を描く第1のエンボスが前記表面シート上から付与されている、生理用ナプキンであって、
前記吸収コアの前端部及び後端部の少なくとも一方に、
幅方向中央部を基端とし、この基端からそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かう直線を描く第2のエンボスが、前記表面シート上から付与されており、
前記第2のエンボスは、前後方向に離間して複数設けられており、
前記第2のエンボスは、前後方向内方に位置するものよりも前後方向外方に位置するものの方が、前記基端における折れ曲り角度を大きくされている、
ことを特徴とする生理用ナプキン。
【0006】
〔請求項2記載の発明〕
表面シート、吸収コア及び裏面シートがこの順に積層され、前記吸収コアの両側方において前記表面シートと前記裏面シートとがそれぞれ接合され、前記吸収コアの両側端部かつ前後方向中央部に前後方向に向かう線を描く第1のエンボスが前記表面シート上から付与されている、生理用ナプキンであって、
前記吸収コアの前端部及び後端部の少なくとも一方に、
幅方向中央部を基端とし、この基端からそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かう幅方向内方に膨らむ曲線を描く第2のエンボスが、前記表面シート上から付与されており、
前記第2のエンボスは、前後方向に離間して複数設けられており、
前記第2のエンボスは、前後方向内方に位置するものよりも前後方向外方に位置するものの方が、前記基端における折れ曲り角度を大きくされている、
ことを特徴とする生理用ナプキン。
【0007】
〔請求項3記載の発明〕
前記第2のエンボスの基端から前後方向内方へ向かう直線を描く第3のエンボスが、前記表面シート上から付与されている、請求項1又は請求項2記載の生理用ナプキン。
【0008】
〔請求項4記載の発明〕
前後方向に相互に隣接する前記第2のエンボスの基端間距離が、5〜30mmとされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の生理用ナプキン。
【0009】
〔請求項5記載の発明〕
前記第2のエンボスは、前後方向内方に位置するものよりも前後方向外方に位置するものの方が、側方まで線を描いている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の生理用ナプキン。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、前後方向端部におけるフィット性に優れた生理用ナプキンとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来の生理用ナプキンを示す平面図である。
【図2】本形態の生理用ナプキンを示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第1の形態の平面図である。
【図5】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第2の形態の平面図である。
【図6】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す参考形態の平面図である。
【図7】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第3の形態の平面図である。
【図8】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第3の形態の平面図である。
【図9】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第4の形態の平面図である。
【図10】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第5の形態の平面図である。
【図11】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第6の形態の平面図である。
【図12】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第6の形態の平面図である。
【図13】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第7の形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態等について説明する。
〔基本構造〕
図2及び図3に示すように、本形態の生理用ナプキン10は、不繊布シートやメッシュシート等の透液性シートからなる表面シート1、吸収コア3及びポリエチレンシート等の不透液性シートからなる裏面シート2がこの順に積層された基本構造となっている。
【0013】
吸収コア3は、径血等の体液を吸収する性質を有し、例えば、コットンや積繊パルプ、高吸収性ポリマー等で構成される。この吸収コア3としては、例えば、下側吸収コアとこの下側吸収コアの幅方向中央部上に積層された下側吸収コアよりも幅狭の上側吸収コアとがクレープ紙やティシュペーパー等からなる被覆シートで額巻きされてある程度の硬性を有するコア状とされたものなども好適に使用することができる。この積層形態において、下側吸収コアは、肌に対するフィット性や吸収力を向上させるためのもので省略することができ、例えば、後述するようにエンボスの形成方法を工夫することによって、肌に対するフィット性を向上させることもできる。
【0014】
また、本形態においては、表面シート1と吸収コア3との間に不繊布等からなるセカンドシートを積層し、体液の拡散性向上を図ることもできる。さらに、本形態においては、両側部上に、体液の横漏れ防止機能を有する起立ギャザーを設けることもできる。
【0015】
本形態においては、表面シート1及び裏面シート2が、吸収コア3の前後方及び両側方まで延出している。この延出部分において、表面シート1及び裏面シート2は、ホットメルト等の接着剤やヒートシール等によって接合され、それぞれ製品前後縁又は側縁を規律する前後フラップ又はサイドフラップが形成されている。
【0016】
ここで、表面シート1及び裏面シート2の延出は、前後方向中央部において長くし、この長くなった部分で、肌着の裏側(外面側)に折り返されて止着される、いわゆるウィングを構成することもできる。また、当該延出は、前後方向後端部において長くし、この長くなった部分で、臀部に対するフィット性や臀部からの体液の漏れ防止効果を向上させる、いわゆるエンドフラップを構成することもできる。ただし、これらウィングやエンドフラップを有しない場合の方が、本生理用ナプキン10が折れ曲り易くなるため、後述する本発明の効果が発揮され易くなる。
【0017】
一方、裏面シート2の外面には、通常、ショーツ等の肌着に対する止着部が設けられる。この止着部は、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体やスチレン・オレフィン共重合体等からなる粘着剤を、前後方向に帯状に塗布して形成することができる。この止着部は、装着時において本生理用ナプキン10を肌着に止着するためのものであるが、本生理用ナプキン10を需要者に提供する段階においては、個別包装のための剥離シートなどを止着しておくこともできる。この剥離シートは、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリエチレンテレフタレートシート、ラミネート紙、等からなり、止着部に対して剥離可能とされる。
【0018】
本形態の生理用ナプキン10は、吸収コア3の両側端部かつ前後方向中央部に前後方向に向かう線を描く第1のエンボスE1が表面シート1上から付与されている。この第1のエンボスE1の付与によって、前述したように、体液の前後方向への拡散性が向上し、また、この第1のエンボスE1が付与された部分において、本生理用ナプキン10が折れ曲り易くなる。この点、前述したように、本生理用ナプキン10は、通常、肌着に止着される。しかしながら、表面シート1と吸収コア3とが接合されない場合は、生理用ナプキン10の前後方向中央部に幅方向内方に向かう圧力Pがかかったときに、表面シート1が吸収コア3から浮き上がった状態となり、この状態は、本生理用ナプキン10が上層部において折れ曲がったことを意味する。また、表面シート1と吸収コア3とが接合されるとしても、吸収コア3はコア状であり、例えば、1〜30mmと、ある程度の厚さを有するため、圧力Pがかかったときに、吸収コア3が上下方向にばらけた状態となり、この状態は、吸収コア3の上層部と表面シート1とが折れ曲ったことを意味する。
【0019】
〔第1の形態〕
次に、本形態の特徴的構造について、説明する。
本形態の生理用ナプキン10は、図2及び図3に示すように、吸収コア3の前端部及び後端部の少なくとも一方に、図2の例では両方に、幅方向中央部を基端Sとし、この基端Sからそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かう直線を描く第2のエンボスE2が、表面シート1上から付与されている。この形態においては、圧力Pがかかると、図4に示すように、表面シート1や吸収コア3の上層部が、第2のエンボスE2側から幅方向中心線C側へ(符号Fで示す方向)、寄せ付けられる。結果、本生理用ナプキン10の前後方向端部の、特に幅方向中央部Tは、少なくとも表面形状が装着者側に突出した状態になり、装着者に対するフィット性が向上する。しかも、このフィット性向上効果は、本生理用ナプキン10の前後方向中央部が断面略W字状になるか、断面略M字状になるかにかかわらず得られる。この点、本生理用ナプキン10の前後方向端部、特に幅方向中央部Tは、凹んでしまうことがあるかとも思えるが、第2のエンボスE2が付与された段階において、この第2のエンボスE2が付与された部分が凹んだ状態になっているため、幅方向中央部Tを含む両第2のエンボスE2,E2で挟まれた部分は、相対的に突出した状態になっている。したがって、前記F方向への寄せ付けが生じると、本生理用ナプキン10の前後方向端部の、特に幅方向中央部Tは、少なくとも表面形状が装着者側に大きく突出した状態になる。
【0020】
〔第2の形態〕
本形態の生理用ナプキン10は、第1の形態における第2のエンボスE2を、図5に示すような第2のエンボスE3に変えることもできる。
この第2のエンボスE3は、幅方向中央部Sを基端とし、この基端Sからそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かう幅方向内方に膨らむ曲線を描く。この第2のエンボスE3も、前記第2のエンボスE2同様に、表面シート1上から付与されている。この形態においても、圧力Pがかかると、図5に示すように、表面シート1や吸収コア3の上層部が、第2のエンボスE3側から幅方向中心線C側へ(符号Fで示す方向)、寄せ付けられる。結果、第1の形態と同様の作用効果が得られる。
特に、本形態においては、第2のエンボスE3から幅方向中央部Tまでの距離L1が相対的に短くなるため、表面形状が、第2のエンボスE3近傍において装着者側に突出するがその先の幅方向中央部Tにおいて凹んでしまうといったおそれがない。
これに対し、図6に示すように、第2のエンボスE4が、幅方向中央部Sを基端とし、この基端Sからそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かうとしても、幅方向外方(側方)に膨らむ曲線を描くとすると、第2のエンボスE4から幅方向中央部Tまでの距離L1が相対的に長くなるため、表面形状が、第2のエンボスE4近傍において装着者側に突出するがその先の幅方向中央部Tにおいて凹んでしまうおそれがある。
【0021】
〔第3の形態〕
本形態の生理用ナプキン10は、図7に示すように、第1の形態における第2のエンボスE2の基端Sから、あるいは図8に示すように、第2の形態における第2のエンボスE3の基端Sから、前後方向内方へ向かう直線を描く第3のエンボスE5が、表面シート1上から付与されていても、好ましいものとなる。この形態によると、第2のエンボスE5が付与された部分が凹んだ状態になっており、第1のエンボスE1に沿って前後方向に拡散した体液が、第1のエンボスE1の前後方から第3のエンボスE5に向かって(符号F2で示す方向)流れるため、体液の横漏れが防止される。なお、第3のエンボスE5が第2のエンボスE2,E3の基端Sから前後方向外方へ向かう直線を描くと、前述した従来の生理用ナプキン100と同様の問題、つまり断面略M字状となった場合におけるフィット性低下の問題が生じる。
【0022】
〔第4の形態〕
本形態の生理用ナプキン10は、第2のエンボスE2,E3が、第2のエンボスE2の場合を例として図9に示すように、前後方向に離間して、複数(図示例では2つ)設けられていると、より好ましいものとなる。この点、第2のエンボスE2(E3)の基端Sから本生理用ナプキン10の前後端縁までの距離L3が長い場合、つまり幅方向中央部Tが前後に長い場合、第2のエンボスE2(E3)が付与されているとしても、幅方向中央部Tの前後方向内方の部位のみが装着者側に突出し、前後方向外方の部位は凹んでしまうおそれがある。しかしながら、第2のエンボスE2(E3)が、前後方向に離間して、複数設けられていると、幅方向中央部Tの前後方向外方の部位まで確実に装着者側に突出し、フィット性が向上する。
ここで、前後方向に相互に隣接する第2のエンボスE2,E2(E3,E3)の基端S間距離L2は、通常5〜30mm、好ましくは10〜20mmである。基端S間距離L2が短すぎると、一方の第2のエンボスE2(E3)と他方の第2のエンボスE2(E3)が同一に折れ曲がるため、エンボスを複数設けている意味を成さない。基端S間距離L2が長すぎると、特に前後方向外方側の第2のエンボスE2(E3)が第1のエンボスE1の折れ曲がりに関係なく折れ曲がってしまう。
【0023】
〔第5の形態〕
本形態の生理用ナプキン10は、第4の形態などのように、第2のエンボスを前後方向に離間して複数設ける場合においては、両第2のエンボスを異なる形状とすることができる。ただし、図10に示すように、第2のエンボスが、前後方向内方に位置するものE6よりも前後方向外方に位置するものE7の方が側方まで線を描いている、つまり第2のエンボスE6の側端S2よりも第2のエンボスE7の側端S2の方が側方に位置するのが好ましい。この形態によると、より前後方向外側に位置するエンボスE7が装着者側に突出しやすいという点で、好ましいものとなる◇。
ここで、第2のエンボスE6の側端S2から第2のエンボスE7の側端S2までの側方への距離L4は、通常3〜15mm、好ましくは5〜10mmである。この距離L4が短すぎると、装着者に突出しやすい特性が失われてしまう。他方、この距離L4が長すぎると、吸収体3の幅が決まっているため、相対的にエンボスE6の長さが短くなり、装着者に向かって突出しにくくなる。
【0024】
〔第6の形態〕
本形態の生理用ナプキン10は、第5の形態などのように、第2のエンボスを前後方向に離間して複数設ける場合においては、図11に示すように、前後方向に相互に隣接する第2のエンボスE6,E7の側端S2を結ぶ線を描く第4のエンボスE8が、表面シート1上から付与されていると、より好ましいものとなる。この形態においては、圧力Pがかかると、表面シート1や吸収コア3の上層部が、第2のエンボスE6,E7側からのほか、第4のエンボスE8側からも、幅方向中心線C側へ、寄せ付けられる。したがって、幅方向中央部Tの装着者側への突出が、より確実なものとなり、フィット性が向上する。
ここで図示例においては、第4のエンボスE8が直線状になっているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、第4のエンボスE8を曲線状とし、また、第2のエンボスE6,E7の長さ等を適宜工夫して、図12に示すように、全体としてハート型形状とし(符号E9で示す。)、意匠性を向上させることなどもできる。
【0025】
〔第7の形態〕
本発明では、以上の形態のように、第2のエンボスを前後方向に離間して複数設けるとともに、図13に示すように、第2のエンボスを、前後方向内方に位置するものE6よりも前後方向外方に位置するものE7の方が、基端Sにおける折れ曲り角度(符号A1,A2で示す)を大きくされる。この形態によると、エンボスE6に比べてエンボスE7の方がより弱い力で折れ曲がるため、装着者にフィットしやすい。
ここで、それぞれの折れ曲り角度がいかなる大きさであるかは、特に限定されないが、通常A1=90〜110°、A2=110〜170°、好ましくはA1=95〜100°、A2=120〜150°である。
【0026】
〔その他〕
(1)本形態の生理用ナプキン10において、エンボスE1〜9は、表面シート1上から付与されているが、このエンボスE1〜9が深さ方向にどこまで及んでいるかは、特に限定されない。例えば、エンボスE1〜9は、図3に示すように、通常吸収コア3に達し裏面シート2には達しない状態とされているが、裏面シート2まで達する状態とすることもできる。
【0027】
(2)また、エンボスE1〜9の深さは、本生理用ナプキン10の厚さに対する比で、20〜80%、好ましくは30〜70%とすることができる。したがって、現在市販化されている生理用ナプキンの厚さが1〜30mmであることからすると、エンボスE1〜9の深さは、0.2〜24mm、好ましくは0.3〜21mmである。
【0028】
(3)一方、エンボスE1〜9の幅も特に限定されず、例えば、0.3〜5mm、好ましくは0.5〜3mmとすることができる。また、エンボスE1〜9は、連続線状であることに限定されず、点線状であってもよい。たとえ点線状であっても、例えば、表面シート1や吸収コア3の上層部が、第2のエンボスE2側から幅方向中心線C側へ(符号Fで示す方向)寄せ付けられるため、本形態による作用効果が得られる。
【0029】
(4)このほか、線状のエンボスE1〜9が付与される部位以外の部位において、例えば嵩高性や肌触り性を向上させることなどを目的として相対的に浅いエンボスを付与しておくこともできる。
【0030】
(5)本形態においては、表面シート1を裏面シート2と同一形状としているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、表面シート1を裏面シート2よりも幅方向内方まで延出するに留まるものとし、別途、裏面シート2の側端部上に不繊布などからなるサイドシートを積層し、接合することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、エンボスの付与された生理用ナプキンとして、適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1,101…表面シート、2,102…裏面シート、3,103…吸収コア、10,100…生理用ナプキン、E1〜9,E101〜103…エンボス、S…基端。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンボスの付与された生理用ナプキンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の生理用ナプキンとして、図1に示すように、不織布シート等からなる透液性の表面シート101、経血やおりもの等の体液を吸収する綿状パルプ等からなる吸収コア103及びポリエチレンシートやポリエチレンシートラミネート不織布シート等からなる不透液性の裏面シート102がこの順に積層され、当該吸収コア103の両側方において表面シート101と裏面シート102とがそれぞれ接合されたものが汎用化されている。この従来の生理用ナプキン100においては、例えば、特許文献1に示すように、第1〜3のエンボスE101〜103が、表面シート101上から付与されている。第1のエンボスE101は、吸収コア103の両側端部かつ前後方向中央部に、前後方向に向かう直線を描く。第2のエンボスE102は、それぞれ第1のエンボスE101の一端を基端とし、この基端からそれぞれ前後方向外方かつ幅方向内方へ向かい、両者が先端で繋がる直線を描く。第3のエンボスE103は、第2のエンボスE102の先端を基端とし、この基端から前後方向外方に向かう直線を描く。これら各種のエンボスE101〜103は、経血等の体液の流れをコントロールする機能を有するほか、本生理用ナプキン100の表面形状をコントロールする機能も有するとされる。
すなわち、まず、本生理用ナプキン100において、体液は、各エンボスE101〜103が向かう方向(線を描く方向)に迅速に流れる。したがって、例えば、前後方向に向かう直線を描くエンボスE101が付与されていることによって、体液の前後方向への拡散性が向上する。一方、各エンボスE101〜103が付与されている部分において、本生理用ナプキン100は、折れ曲り易くなる。また、生理用ナプキン100の前後方向中央部には、装着状態において、幅方向内方に向かう圧力Pがかかる。これらのことから、特許文献1の図5に示されるように、本生理用ナプキン100は、装着状態において、エンボスE101が付与された部分で谷折り形状となり、結果、幅方向中央部では山折り形状の断面略W字状になるとされる。そして、この形状変化に連動し、また、エンボスE102,103が付与されていることによって、本生理用ナプキン100前後端部のエンボスE103が付与されている部分も山折り形状となり、表面が装着者側に突出した状態(表面形状)になるため、装着者に対するフィット性が向上するとされる。
しかしながら、生理用ナプキン100の前後方向中央部に、幅方向内方に向かう圧力Pがかかった場合においては、エンボスE101が付与された部分において、山折り形状となり、結果、幅方向中央部においては谷折り形状の断面略M字状になることもある。この場合は、この形状変化に連動し、また、エンボスE102,103が付与されていることによって、本生理用ナプキン100前後端部のエンボスE103が付与されている部分も谷折り形状となり、表面が凹んだ状態(表面形状)になるため、かえって装着者に対するフィット性が低下し、例えば、前後漏れの原因となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平9−502633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする主たる課題は、前後方向端部におけるフィット性に優れた生理用ナプキンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
表面シート、吸収コア及び裏面シートがこの順に積層され、前記吸収コアの両側方において前記表面シートと前記裏面シートとがそれぞれ接合され、前記吸収コアの両側端部かつ前後方向中央部に前後方向に向かう線を描く第1のエンボスが前記表面シート上から付与されている、生理用ナプキンであって、
前記吸収コアの前端部及び後端部の少なくとも一方に、
幅方向中央部を基端とし、この基端からそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かう直線を描く第2のエンボスが、前記表面シート上から付与されており、
前記第2のエンボスは、前後方向に離間して複数設けられており、
前記第2のエンボスは、前後方向内方に位置するものよりも前後方向外方に位置するものの方が、前記基端における折れ曲り角度を大きくされている、
ことを特徴とする生理用ナプキン。
【0006】
〔請求項2記載の発明〕
表面シート、吸収コア及び裏面シートがこの順に積層され、前記吸収コアの両側方において前記表面シートと前記裏面シートとがそれぞれ接合され、前記吸収コアの両側端部かつ前後方向中央部に前後方向に向かう線を描く第1のエンボスが前記表面シート上から付与されている、生理用ナプキンであって、
前記吸収コアの前端部及び後端部の少なくとも一方に、
幅方向中央部を基端とし、この基端からそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かう幅方向内方に膨らむ曲線を描く第2のエンボスが、前記表面シート上から付与されており、
前記第2のエンボスは、前後方向に離間して複数設けられており、
前記第2のエンボスは、前後方向内方に位置するものよりも前後方向外方に位置するものの方が、前記基端における折れ曲り角度を大きくされている、
ことを特徴とする生理用ナプキン。
【0007】
〔請求項3記載の発明〕
前記第2のエンボスの基端から前後方向内方へ向かう直線を描く第3のエンボスが、前記表面シート上から付与されている、請求項1又は請求項2記載の生理用ナプキン。
【0008】
〔請求項4記載の発明〕
前後方向に相互に隣接する前記第2のエンボスの基端間距離が、5〜30mmとされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の生理用ナプキン。
【0009】
〔請求項5記載の発明〕
前記第2のエンボスは、前後方向内方に位置するものよりも前後方向外方に位置するものの方が、側方まで線を描いている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の生理用ナプキン。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、前後方向端部におけるフィット性に優れた生理用ナプキンとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来の生理用ナプキンを示す平面図である。
【図2】本形態の生理用ナプキンを示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第1の形態の平面図である。
【図5】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第2の形態の平面図である。
【図6】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す参考形態の平面図である。
【図7】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第3の形態の平面図である。
【図8】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第3の形態の平面図である。
【図9】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第4の形態の平面図である。
【図10】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第5の形態の平面図である。
【図11】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第6の形態の平面図である。
【図12】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第6の形態の平面図である。
【図13】生理用ナプキンの前後方向一方端部を示す第7の形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態等について説明する。
〔基本構造〕
図2及び図3に示すように、本形態の生理用ナプキン10は、不繊布シートやメッシュシート等の透液性シートからなる表面シート1、吸収コア3及びポリエチレンシート等の不透液性シートからなる裏面シート2がこの順に積層された基本構造となっている。
【0013】
吸収コア3は、径血等の体液を吸収する性質を有し、例えば、コットンや積繊パルプ、高吸収性ポリマー等で構成される。この吸収コア3としては、例えば、下側吸収コアとこの下側吸収コアの幅方向中央部上に積層された下側吸収コアよりも幅狭の上側吸収コアとがクレープ紙やティシュペーパー等からなる被覆シートで額巻きされてある程度の硬性を有するコア状とされたものなども好適に使用することができる。この積層形態において、下側吸収コアは、肌に対するフィット性や吸収力を向上させるためのもので省略することができ、例えば、後述するようにエンボスの形成方法を工夫することによって、肌に対するフィット性を向上させることもできる。
【0014】
また、本形態においては、表面シート1と吸収コア3との間に不繊布等からなるセカンドシートを積層し、体液の拡散性向上を図ることもできる。さらに、本形態においては、両側部上に、体液の横漏れ防止機能を有する起立ギャザーを設けることもできる。
【0015】
本形態においては、表面シート1及び裏面シート2が、吸収コア3の前後方及び両側方まで延出している。この延出部分において、表面シート1及び裏面シート2は、ホットメルト等の接着剤やヒートシール等によって接合され、それぞれ製品前後縁又は側縁を規律する前後フラップ又はサイドフラップが形成されている。
【0016】
ここで、表面シート1及び裏面シート2の延出は、前後方向中央部において長くし、この長くなった部分で、肌着の裏側(外面側)に折り返されて止着される、いわゆるウィングを構成することもできる。また、当該延出は、前後方向後端部において長くし、この長くなった部分で、臀部に対するフィット性や臀部からの体液の漏れ防止効果を向上させる、いわゆるエンドフラップを構成することもできる。ただし、これらウィングやエンドフラップを有しない場合の方が、本生理用ナプキン10が折れ曲り易くなるため、後述する本発明の効果が発揮され易くなる。
【0017】
一方、裏面シート2の外面には、通常、ショーツ等の肌着に対する止着部が設けられる。この止着部は、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体やスチレン・オレフィン共重合体等からなる粘着剤を、前後方向に帯状に塗布して形成することができる。この止着部は、装着時において本生理用ナプキン10を肌着に止着するためのものであるが、本生理用ナプキン10を需要者に提供する段階においては、個別包装のための剥離シートなどを止着しておくこともできる。この剥離シートは、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリエチレンテレフタレートシート、ラミネート紙、等からなり、止着部に対して剥離可能とされる。
【0018】
本形態の生理用ナプキン10は、吸収コア3の両側端部かつ前後方向中央部に前後方向に向かう線を描く第1のエンボスE1が表面シート1上から付与されている。この第1のエンボスE1の付与によって、前述したように、体液の前後方向への拡散性が向上し、また、この第1のエンボスE1が付与された部分において、本生理用ナプキン10が折れ曲り易くなる。この点、前述したように、本生理用ナプキン10は、通常、肌着に止着される。しかしながら、表面シート1と吸収コア3とが接合されない場合は、生理用ナプキン10の前後方向中央部に幅方向内方に向かう圧力Pがかかったときに、表面シート1が吸収コア3から浮き上がった状態となり、この状態は、本生理用ナプキン10が上層部において折れ曲がったことを意味する。また、表面シート1と吸収コア3とが接合されるとしても、吸収コア3はコア状であり、例えば、1〜30mmと、ある程度の厚さを有するため、圧力Pがかかったときに、吸収コア3が上下方向にばらけた状態となり、この状態は、吸収コア3の上層部と表面シート1とが折れ曲ったことを意味する。
【0019】
〔第1の形態〕
次に、本形態の特徴的構造について、説明する。
本形態の生理用ナプキン10は、図2及び図3に示すように、吸収コア3の前端部及び後端部の少なくとも一方に、図2の例では両方に、幅方向中央部を基端Sとし、この基端Sからそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かう直線を描く第2のエンボスE2が、表面シート1上から付与されている。この形態においては、圧力Pがかかると、図4に示すように、表面シート1や吸収コア3の上層部が、第2のエンボスE2側から幅方向中心線C側へ(符号Fで示す方向)、寄せ付けられる。結果、本生理用ナプキン10の前後方向端部の、特に幅方向中央部Tは、少なくとも表面形状が装着者側に突出した状態になり、装着者に対するフィット性が向上する。しかも、このフィット性向上効果は、本生理用ナプキン10の前後方向中央部が断面略W字状になるか、断面略M字状になるかにかかわらず得られる。この点、本生理用ナプキン10の前後方向端部、特に幅方向中央部Tは、凹んでしまうことがあるかとも思えるが、第2のエンボスE2が付与された段階において、この第2のエンボスE2が付与された部分が凹んだ状態になっているため、幅方向中央部Tを含む両第2のエンボスE2,E2で挟まれた部分は、相対的に突出した状態になっている。したがって、前記F方向への寄せ付けが生じると、本生理用ナプキン10の前後方向端部の、特に幅方向中央部Tは、少なくとも表面形状が装着者側に大きく突出した状態になる。
【0020】
〔第2の形態〕
本形態の生理用ナプキン10は、第1の形態における第2のエンボスE2を、図5に示すような第2のエンボスE3に変えることもできる。
この第2のエンボスE3は、幅方向中央部Sを基端とし、この基端Sからそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かう幅方向内方に膨らむ曲線を描く。この第2のエンボスE3も、前記第2のエンボスE2同様に、表面シート1上から付与されている。この形態においても、圧力Pがかかると、図5に示すように、表面シート1や吸収コア3の上層部が、第2のエンボスE3側から幅方向中心線C側へ(符号Fで示す方向)、寄せ付けられる。結果、第1の形態と同様の作用効果が得られる。
特に、本形態においては、第2のエンボスE3から幅方向中央部Tまでの距離L1が相対的に短くなるため、表面形状が、第2のエンボスE3近傍において装着者側に突出するがその先の幅方向中央部Tにおいて凹んでしまうといったおそれがない。
これに対し、図6に示すように、第2のエンボスE4が、幅方向中央部Sを基端とし、この基端Sからそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かうとしても、幅方向外方(側方)に膨らむ曲線を描くとすると、第2のエンボスE4から幅方向中央部Tまでの距離L1が相対的に長くなるため、表面形状が、第2のエンボスE4近傍において装着者側に突出するがその先の幅方向中央部Tにおいて凹んでしまうおそれがある。
【0021】
〔第3の形態〕
本形態の生理用ナプキン10は、図7に示すように、第1の形態における第2のエンボスE2の基端Sから、あるいは図8に示すように、第2の形態における第2のエンボスE3の基端Sから、前後方向内方へ向かう直線を描く第3のエンボスE5が、表面シート1上から付与されていても、好ましいものとなる。この形態によると、第2のエンボスE5が付与された部分が凹んだ状態になっており、第1のエンボスE1に沿って前後方向に拡散した体液が、第1のエンボスE1の前後方から第3のエンボスE5に向かって(符号F2で示す方向)流れるため、体液の横漏れが防止される。なお、第3のエンボスE5が第2のエンボスE2,E3の基端Sから前後方向外方へ向かう直線を描くと、前述した従来の生理用ナプキン100と同様の問題、つまり断面略M字状となった場合におけるフィット性低下の問題が生じる。
【0022】
〔第4の形態〕
本形態の生理用ナプキン10は、第2のエンボスE2,E3が、第2のエンボスE2の場合を例として図9に示すように、前後方向に離間して、複数(図示例では2つ)設けられていると、より好ましいものとなる。この点、第2のエンボスE2(E3)の基端Sから本生理用ナプキン10の前後端縁までの距離L3が長い場合、つまり幅方向中央部Tが前後に長い場合、第2のエンボスE2(E3)が付与されているとしても、幅方向中央部Tの前後方向内方の部位のみが装着者側に突出し、前後方向外方の部位は凹んでしまうおそれがある。しかしながら、第2のエンボスE2(E3)が、前後方向に離間して、複数設けられていると、幅方向中央部Tの前後方向外方の部位まで確実に装着者側に突出し、フィット性が向上する。
ここで、前後方向に相互に隣接する第2のエンボスE2,E2(E3,E3)の基端S間距離L2は、通常5〜30mm、好ましくは10〜20mmである。基端S間距離L2が短すぎると、一方の第2のエンボスE2(E3)と他方の第2のエンボスE2(E3)が同一に折れ曲がるため、エンボスを複数設けている意味を成さない。基端S間距離L2が長すぎると、特に前後方向外方側の第2のエンボスE2(E3)が第1のエンボスE1の折れ曲がりに関係なく折れ曲がってしまう。
【0023】
〔第5の形態〕
本形態の生理用ナプキン10は、第4の形態などのように、第2のエンボスを前後方向に離間して複数設ける場合においては、両第2のエンボスを異なる形状とすることができる。ただし、図10に示すように、第2のエンボスが、前後方向内方に位置するものE6よりも前後方向外方に位置するものE7の方が側方まで線を描いている、つまり第2のエンボスE6の側端S2よりも第2のエンボスE7の側端S2の方が側方に位置するのが好ましい。この形態によると、より前後方向外側に位置するエンボスE7が装着者側に突出しやすいという点で、好ましいものとなる◇。
ここで、第2のエンボスE6の側端S2から第2のエンボスE7の側端S2までの側方への距離L4は、通常3〜15mm、好ましくは5〜10mmである。この距離L4が短すぎると、装着者に突出しやすい特性が失われてしまう。他方、この距離L4が長すぎると、吸収体3の幅が決まっているため、相対的にエンボスE6の長さが短くなり、装着者に向かって突出しにくくなる。
【0024】
〔第6の形態〕
本形態の生理用ナプキン10は、第5の形態などのように、第2のエンボスを前後方向に離間して複数設ける場合においては、図11に示すように、前後方向に相互に隣接する第2のエンボスE6,E7の側端S2を結ぶ線を描く第4のエンボスE8が、表面シート1上から付与されていると、より好ましいものとなる。この形態においては、圧力Pがかかると、表面シート1や吸収コア3の上層部が、第2のエンボスE6,E7側からのほか、第4のエンボスE8側からも、幅方向中心線C側へ、寄せ付けられる。したがって、幅方向中央部Tの装着者側への突出が、より確実なものとなり、フィット性が向上する。
ここで図示例においては、第4のエンボスE8が直線状になっているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、第4のエンボスE8を曲線状とし、また、第2のエンボスE6,E7の長さ等を適宜工夫して、図12に示すように、全体としてハート型形状とし(符号E9で示す。)、意匠性を向上させることなどもできる。
【0025】
〔第7の形態〕
本発明では、以上の形態のように、第2のエンボスを前後方向に離間して複数設けるとともに、図13に示すように、第2のエンボスを、前後方向内方に位置するものE6よりも前後方向外方に位置するものE7の方が、基端Sにおける折れ曲り角度(符号A1,A2で示す)を大きくされる。この形態によると、エンボスE6に比べてエンボスE7の方がより弱い力で折れ曲がるため、装着者にフィットしやすい。
ここで、それぞれの折れ曲り角度がいかなる大きさであるかは、特に限定されないが、通常A1=90〜110°、A2=110〜170°、好ましくはA1=95〜100°、A2=120〜150°である。
【0026】
〔その他〕
(1)本形態の生理用ナプキン10において、エンボスE1〜9は、表面シート1上から付与されているが、このエンボスE1〜9が深さ方向にどこまで及んでいるかは、特に限定されない。例えば、エンボスE1〜9は、図3に示すように、通常吸収コア3に達し裏面シート2には達しない状態とされているが、裏面シート2まで達する状態とすることもできる。
【0027】
(2)また、エンボスE1〜9の深さは、本生理用ナプキン10の厚さに対する比で、20〜80%、好ましくは30〜70%とすることができる。したがって、現在市販化されている生理用ナプキンの厚さが1〜30mmであることからすると、エンボスE1〜9の深さは、0.2〜24mm、好ましくは0.3〜21mmである。
【0028】
(3)一方、エンボスE1〜9の幅も特に限定されず、例えば、0.3〜5mm、好ましくは0.5〜3mmとすることができる。また、エンボスE1〜9は、連続線状であることに限定されず、点線状であってもよい。たとえ点線状であっても、例えば、表面シート1や吸収コア3の上層部が、第2のエンボスE2側から幅方向中心線C側へ(符号Fで示す方向)寄せ付けられるため、本形態による作用効果が得られる。
【0029】
(4)このほか、線状のエンボスE1〜9が付与される部位以外の部位において、例えば嵩高性や肌触り性を向上させることなどを目的として相対的に浅いエンボスを付与しておくこともできる。
【0030】
(5)本形態においては、表面シート1を裏面シート2と同一形状としているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、表面シート1を裏面シート2よりも幅方向内方まで延出するに留まるものとし、別途、裏面シート2の側端部上に不繊布などからなるサイドシートを積層し、接合することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、エンボスの付与された生理用ナプキンとして、適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1,101…表面シート、2,102…裏面シート、3,103…吸収コア、10,100…生理用ナプキン、E1〜9,E101〜103…エンボス、S…基端。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シート、吸収コア及び裏面シートがこの順に積層され、前記吸収コアの両側方において前記表面シートと前記裏面シートとがそれぞれ接合され、前記吸収コアの両側端部かつ前後方向中央部に前後方向に向かう線を描く第1のエンボスが前記表面シート上から付与されている、生理用ナプキンであって、
前記吸収コアの前端部及び後端部の少なくとも一方に、
幅方向中央部を基端とし、この基端からそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かう直線を描く第2のエンボスが、前記表面シート上から付与されており、
前記第2のエンボスは、前後方向に離間して複数設けられており、
前記第2のエンボスは、前後方向内方に位置するものよりも前後方向外方に位置するものの方が、前記基端における折れ曲り角度を大きくされている、
ことを特徴とする生理用ナプキン。
【請求項2】
表面シート、吸収コア及び裏面シートがこの順に積層され、前記吸収コアの両側方において前記表面シートと前記裏面シートとがそれぞれ接合され、前記吸収コアの両側端部かつ前後方向中央部に前後方向に向かう線を描く第1のエンボスが前記表面シート上から付与されている、生理用ナプキンであって、
前記吸収コアの前端部及び後端部の少なくとも一方に、
幅方向中央部を基端とし、この基端からそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かう幅方向内方に膨らむ曲線を描く第2のエンボスが、前記表面シート上から付与されており、
前記第2のエンボスは、前後方向に離間して複数設けられており、
前記第2のエンボスは、前後方向内方に位置するものよりも前後方向外方に位置するものの方が、前記基端における折れ曲り角度を大きくされている、
ことを特徴とする生理用ナプキン。
【請求項3】
前記第2のエンボスの基端から前後方向内方へ向かう直線を描く第3のエンボスが、前記表面シート上から付与されている、請求項1又は請求項2記載の生理用ナプキン。
【請求項4】
前後方向に相互に隣接する前記第2のエンボスの基端間距離が、5〜30mmとされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の生理用ナプキン。
【請求項5】
前記第2のエンボスは、前後方向内方に位置するものよりも前後方向外方に位置するものの方が、側方まで線を描いている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の生理用ナプキン。
【請求項1】
表面シート、吸収コア及び裏面シートがこの順に積層され、前記吸収コアの両側方において前記表面シートと前記裏面シートとがそれぞれ接合され、前記吸収コアの両側端部かつ前後方向中央部に前後方向に向かう線を描く第1のエンボスが前記表面シート上から付与されている、生理用ナプキンであって、
前記吸収コアの前端部及び後端部の少なくとも一方に、
幅方向中央部を基端とし、この基端からそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かう直線を描く第2のエンボスが、前記表面シート上から付与されており、
前記第2のエンボスは、前後方向に離間して複数設けられており、
前記第2のエンボスは、前後方向内方に位置するものよりも前後方向外方に位置するものの方が、前記基端における折れ曲り角度を大きくされている、
ことを特徴とする生理用ナプキン。
【請求項2】
表面シート、吸収コア及び裏面シートがこの順に積層され、前記吸収コアの両側方において前記表面シートと前記裏面シートとがそれぞれ接合され、前記吸収コアの両側端部かつ前後方向中央部に前後方向に向かう線を描く第1のエンボスが前記表面シート上から付与されている、生理用ナプキンであって、
前記吸収コアの前端部及び後端部の少なくとも一方に、
幅方向中央部を基端とし、この基端からそれぞれ前後方向外方かつ両側方へ向かう幅方向内方に膨らむ曲線を描く第2のエンボスが、前記表面シート上から付与されており、
前記第2のエンボスは、前後方向に離間して複数設けられており、
前記第2のエンボスは、前後方向内方に位置するものよりも前後方向外方に位置するものの方が、前記基端における折れ曲り角度を大きくされている、
ことを特徴とする生理用ナプキン。
【請求項3】
前記第2のエンボスの基端から前後方向内方へ向かう直線を描く第3のエンボスが、前記表面シート上から付与されている、請求項1又は請求項2記載の生理用ナプキン。
【請求項4】
前後方向に相互に隣接する前記第2のエンボスの基端間距離が、5〜30mmとされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の生理用ナプキン。
【請求項5】
前記第2のエンボスは、前後方向内方に位置するものよりも前後方向外方に位置するものの方が、側方まで線を描いている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の生理用ナプキン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−125625(P2012−125625A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−80624(P2012−80624)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【分割の表示】特願2007−256391(P2007−256391)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【分割の表示】特願2007−256391(P2007−256391)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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