説明

生産ラインにおけるデータ管理システム

【課題】 生産ラインにおける検査対象物(製品または半製品)についての検査データなどを合理的に管理し、検査対象物に対して効率よく働きかけを行うことができるとともに、生産ラインの能力を確実に把握することができる生産ラインにおけるデータ管理システムを提供すること。
【解決手段】 生産ラインに設けた検査装置1によって検査対象物の性能等に関する判定を行うようにするとともに、前記検査装置1とホストコンピュータ6との間で送受信を行えるようにし、ホストコンピュータ6から判定要求があった場合、前記検査装置1において判定を行い、その判定結果を時刻データとともにホストコンピュータ6に送信するようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、生産ラインに設けた検査装置によって検査対象物を測定したときに得られるデータの管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、バイクの生産ラインにおいては、従来、図3に示すような排気ガス測定用の分析装置1を用いて、生産されたバイクの性能等に関する判定を行い、データ管理を行っていた。すなわち、この図において、2は分析部で、例えば非分散形赤外線分析法(NDIR)に則ってバイクから排出される排ガス(サンプルガス)中のCO、CO2 、HC等を測定することができる。3は制御・演算部で、例えばマイクロコンピュータよりなり、分析部2を制御したり、分析部2からの出力に基づいて適宜演算を行ったり、分析結果を予め記憶されている判定値(基準値)と比較して、性能判定を行う。4はメモリ部で、例えばRAMよりなり、入力装置(図示していない)等によって入力されるデータや制御・演算部3において演算された結果等を記録する。5は出力部で、例えば液晶ディスプレイ(LCD)やプリンタ等であり、分析結果や判定結果を表示する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のデータ管理手法においては、判定値または判定結果を分析装置1内のLCDやプリンタ等の出力部5にしか出力していなかった。また、判定が行われた日時に関する時刻データを出力していなかった。このため、いつどのバイクを検査していたか等、十分な管理ができていなかった。また、バイクの検査等を時間当たり何台検査を行ったかなど生産能力の管理については他の端末装置を設け、これによって行っていた。このため、検査対象物(完成品または生産途中の半製品)についての検査データや判定結果等を合理的に管理するといったことが必ずしも十分に行われていなかった。
【0004】この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、生産ラインにおける検査対象物(製品または半製品)についての検査データ等を合理的に管理し、検査対象物に対して効率よく働きかけを行うことができるとともに、生産ラインの能力を確実に把握することができる生産ラインにおけるデータ管理システム(以下、単にデータ管理システムという)を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明のデータ管理システムは、生産ラインに設けた検査装置によって検査対象物の性能等に関する判定を行うようにするとともに、前記検査装置とホストコンピュータとの間で送受信を行えるようにし、ホストコンピュータから判定要求があった場合、前記検査装置において判定を行い、その判定結果を時刻データとともにホストコンピュータに送信するようにしている。
【0006】上記データ管理システムにおいては、検査装置において行われた測定結果を判定値と比較して行われる判定結果など検査対象物に関するデータと判定を行った時刻に関するデータとが関連付けられてホストコンピュータに送られるため、例えば、ある検査対象物に関する判定結果が基準の判定値をクリアしないような場合、その検査対象物をその後どのような工程において処理するか等いくつかある工程の決定を合理的かつ速やかに決定することができる。そして、生産ラインの時間当たりの検査台数や、どの検査対象物を検査していたか等を確実に把握することができ、生産ラインの時間管理を確実に行うことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。まず、図1はこの発明のデータ管理システムの構成の一例を概略的に示すもので、この図において、6はホストコンピュータである。このホストコンピュータ6は、例えばバイクの生産ラインに設けられる排気ガス測定用の分析装置1とデータを授受できるように信号線で接続されている。
【0008】次に、上記データ管理システムの動作について、図2に示す処理フローチャートをも参照しながら説明する。
【0009】まず、分析装置1の電源投入時に判定結果の判定を未実施に初期化する(ステップS1)。
【0010】分析装置1においては、バイクから排出される排気ガスを分析部2において分析し、分析部2の出力が制御・演算部3において処理され、前記排気ガス中に含まれるHC、CO、CO2 の濃度が得られ、これを濃度データとして時刻とともに一定周期で取り込み(ステップS2)、メモリ部4内には濃度データが時刻とともに記憶される。
【0011】そして、ホストコンピュータ6から判定の要求があった場合、ステップS3においてYの方向に進み、前記制御・演算部3は判定の基準となる判定値を読み込み(ステップS4)、前記濃度データを判定値と比較して基準値をクリアしているか、すなわち、バイクからの排ガスに含まれるHC、CO、CO2 の濃度が基準値以下であるかが判定され、その判定結果(OKまたはNG)、判定時の濃度(実測濃度)、判定値(基準濃度)、判定時刻がメモリ部4に記録される(ステップS5)。なお、ホストコンピュータ6から判定の要求がない場合、ステップS3においてNの方向に進み、ステップS6に進む。
【0012】そして、ホストコンピュータ6から判定結果送信要求があった場合、ステップS6において、Yの方向に進み、分析装置1は、メモリ部4内に記憶されている前記判定結果、判定時の濃度、判定値、判定時刻をホストコンピュータ6に送信し(ステップS7)、ステップS2に戻る。なお、ホストコンピュータ6から判定結果送信要求がない場合、ステップS6において、Nの方向に進み、分析装置1はステップS2に戻る。
【0013】前記判定結果等を受け取ったホストコンピュータ6は、その判定結果等を予め記憶されている処理基準を参照して、当該の判定結果等に対応するバイクに対する処理工程を決定する。
【0014】上述したように、上記データ管理システムにおいては、判定した結果にその判定を行った時刻データを付加するようにし、ホストコンピュータ6から周期的あるいはランダム的に判定要求があっても、どのバイクの判定結果であるかが明確になるとともに、ラインの生産能力の管理も併せて行うことができる。
【0015】そして、上述の実施の形態においては、分析装置1とホストコンピュータ6とを信号線で接続していたが、これに代えて、無線によってデータや信号の授受を行うようにしてもよい。また、一つのホストコンピュータ6が複数の分析装置1と信号の授受を行うようにしてあってもよい。
【0016】さらに、上述の実施の形態においては、バイクの生産ラインに排気ガス分析装置1を設けたものであったが、この発明はこれに限られるものではなく、生産ラインにおける各種の分析装置や検査装置等によって測定対象物を検査したときのデータの管理に広く適用することができる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のデータ管理システムは、生産ラインに設けた検査装置によって検査対象物の性能等に関する判定を行うようにするとともに、前記検査装置とホストコンピュータとの間で送受信を行えるようにし、ホストコンピュータから判定要求があった場合、前記検査装置において判定を行い、その判定結果を時刻データとともにホストコンピュータに送信するようにしているので、検査対象物についての検査データ等を合理的に管理することができるとともに、製造ラインの後の工程を合理的に決定することができ、検査対象物に対して効率よく働きかけを行うことができる。また、生産ラインの能力を確実に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のデータ管理システムの構成の一例を示す図である。
【図2】前記データ管理システムの動作説明のための図である。
【図3】従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
1…検査装置、6…ホストコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 生産ラインに設けた検査装置によって検査対象物の性能等に関する判定を行うようにするとともに、前記検査装置とホストコンピュータとの間で送受信を行えるようにし、ホストコンピュータから判定要求があった場合、前記検査装置において判定を行い、その判定結果を時刻データとともにホストコンピュータに送信するようにしたことを特徴とする生産ラインにおけるデータ管理システム。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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