説明

生産効率を考慮したディスク・ドライブ装置のテスト方法及び製造方法

【課題】HDDのテスト・プロセスを改善し、その製造効率を向上することができる。
【解決手段】本発明の一形態のテスト・プロセスは、HDDに対して複数項目のテストを行い、そのうちの一つもしくは複数のテスト結果を記憶する。さらに、上記記憶したテスト結果に基づいて、HDDが属する最適な仕様カテゴリを決定する。仕様の一要素である記憶容量はテスト・プロセスの前に決定されている、あるいは、テスト・プロセス内において決定される。本形態のテスト・プロセスは、同一の記憶容量のHDDを、さらに、異なる仕様カテゴリに区分けすることである。また、この適切な仕様カテゴリへの区分けを、一つのテスト・プロセス内で行うことである。これにより、多様化したHDDの使用方法に対応した異なる仕様のHDDを、効率的に製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生産効率を考慮したディスク・ドライブ装置のテスト方法及び製造方法に関し、特に、複数の異なる仕様のディスク・ドライブ装置に対応できるテスト方法及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク・ドライブ装置として、光ディスク、光磁気ディスク、あるいはフレキシブル磁気ディスクなどの様々な態様の記録ディスクを使用する装置が知られているが、その中で、ハードディスク・ドライブ(HDD)は、コンピュータの記憶装置として広く普及し、現在のコンピュータ・システムにおいて欠かすことができない記憶装置の一つとなっている。この他、動画像記録再生装置、カーナビゲーション・システム、あるいは携帯電話など、HDDの用途は、その優れた特性により益々拡大している。
【0003】
HDDで使用される磁気ディスクは、同心円状に形成された複数のデータ・トラックと複数のサーボ・トラックとを有している。各データ・トラックには、ユーザ・データを含む複数のデータ・セクタが記録されている。各サーボ・トラックはアドレス情報を有する。サーボ・トラックは、円周方向において離間して配置された複数のサーボ・データによって構成されており、各サーボ・データの間に1もしくは複数のデータ・セクタが記録されている。回動するアクチュエータに固定されているヘッド・スライダが、サーボ・データのアドレス情報に従って所望のデータ・セクタにアクセスする。これにより、HDDは、データ・セクタへのデータ書き込み及びデータ・セクタからのデータ読み出しを行う。
【0004】
近年、HDDの記憶容量及び動作性能は著しい進歩を見せている。磁気ディスクの記録密度及びHDDの処理速度が上がるにつれて、HDDの個々の部分に対して要求されるクライテリアも益々厳しいものとなってきている。HDDは多くの部品を有しており、ヘッド・スライダやアクチュエータあるいは磁気ディスクなどの部品の製造においては、製造ばらつきを避けることができない。このため、HDDの製造におけるテスト・プロセスにおいて多くのHDDがテストをパスすることができず、再テスト・プロセスあるいはリワーク・プロセスにまわされることがありうる。典型的なテスト・プロセスは数日に及び、HDDの再テストはHDD製造のスループットを大きく低下させる。
【0005】
あるいは、リワーク・プロセスにおいてHDDは分解され、一部の部品は廃棄される。典型的なHDDは複数のヘッド・スライダを有しており、また、アクチュエータとヘッド・スライダのアセンブリであるヘッド・ジンバル・アセンブリ(HGA)は、分解することが困難である。そのため、一つのヘッド・スライダがクライテリアをパスしない場合でも、そのヘッド・スライダ以外の部品も含むHGAを廃棄することになる。このような問題に対応するため、特許文献1は、個々のHDD(HGA)の特性に合わせてその容量を選択することで、HDDの信頼性を維持しながら、廃棄されるHGAの数を低減する技術を提案している。
【0006】
典型的なHDDの信頼性の基準として、エラー・レートがある。HDDはエラー訂正機能を有しており、所定エラー・レート以下のエラーをECCにより訂正することができる。エラー・レートが高いHDDは信頼性が低いHDDと考えられる。そのため、テスト・プロセスにおいて規定のエラー・レートを満足しないHDDは、フェイル品と判定される。上記特許文献1の技術は、HDDの設定記憶容量に応じた書込み周波数でのエラー・レートを測定し、そのエラー・レートがクライテリアを満足しない場合には、HDDの設定容量(書き込み周波数)を下げる。
【0007】
一般に、書き込み周波数が小さくなると、エラー・レートが低下する。従って、ヘッド性能が低い場合には、その性能に応じた低い書き込み周波数、つまり少ない記憶容量を選択することで、エラー・レートのクライテリアを満足するHDDを製造することがきる。このように、ヘッド特性に応じた記憶容量を選択することにより、HDDの製造歩留まりを上げることができる。
【特許文献1】特開平10−106179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
HDDの用途及び使用方法の多様化により、HDDに対する要求も多様化してきている。長時間の連続使用が想定される用途、より短い応答時間が要求されている用途、あるいはAV機器に実装されるHDDのように特定態様でのアクセスが前提される用途など、HDDの様々な異なる用途(使用方法)が存在する。そして、これら異なる用途に応じて、要求される性能や信頼性などの仕様(要求仕様)は変化する。このため、同一の記憶容量のHDDであっても、異なる仕様のそれぞれに適したHDDを製造すると共に、その製造を効率的に行うことが重要である。
【0009】
HDDが所定の要求仕様を満足するかどうかは、HDDの製造におけるテスト・プロセスにおいて確認される。上述のように複数の異なる仕様カテゴリが存在する場合、各仕様カテゴリに対応したテスト・プロセスをそれぞれ行うことも可能である。しかし、このためには各仕様カテゴリのためのテスト設備を用意することが必要となる。
【0010】
また、各仕様カテゴリについてのテスト・プロセスに着目した場合、最も厳しいテスト・プロセスにおいては、これまでのテスト・プロセスと同様の問題が生ずる。つまり、テスト・プロセスにおいてフェイル品と判定されたHDDは、再テスト・プロセスあるいはリワーク・プロセスにまわされ、スループットや歩留まりといった製造効率が、大きく低下する。従って、複数の異なる仕様カテゴリに対応するHDDを効率的に製造することができるテスト方法が要求される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、ディスク・ドライブ装置のテスト方法である。この方法は、ディスク上のサーボ・データを使用してヘッドのポジショニングを行う。前記ポジショニングされたヘッドによって前記ディスクにデータの書き込み及び/もしくは読み出しを行うことで、複数項目のテストを行う。前記複数項目から選択した一もしくは複数項目のテスト結果に基づいて、記憶容量の決まっている前記ディスク・ドライブ装置が属する仕様カテゴリを決定する。テスト・プロセス内において記憶容量の決まっている前記ディスク・ドライブ装置が属する仕様カテゴリを決定することで、ディスク・ドライブ装置の製造を効率化することができる。
【0012】
好ましい例において、前記仕様カテゴリの決定に使用するテスト項目の少なくとも一部のテストの結果はパスあるいはフェイルであるこれにより、仕様カテゴリの決定を効率化することができる。あるいは、前記ディスクに前記サーボ・データを前記ヘッドにより書き込み、前記サーボ・データの書き込みの後に、ヘッド特性に応じて前記記憶容量を予め設定されている値から選択することが好ましい。これにより、ディスク・ドライブ装置の製造をより効率化することができる。
【0013】
好ましい例において、前記仕様カテゴリの決定に使用する一つのテスト項目は、両側隣接データ・トラックの書き込みによる中央データ・トラックのエラー・レートの変化を測定する。さらに、前記仕様カテゴリの決定に使用する一つのテスト項目は、両側隣接データ・トラックのターゲット位置を、通常処理よりも中央データ・トラックに近づけた場合のエラー・レートの変化を測定する。これにより、適切に仕様カテゴリを特定することができる。
【0014】
好ましい例において、前記仕様カテゴリの決定に使用する一つのテスト項目は、外部からのコマンドに対する応答時間を測定する。これらにより、適切に仕様カテゴリを特定することができる。
【0015】
好ましくは、前記決定の対象となる仕様カテゴリを、設定に従い複数の仕様カテゴリの中から選択する。また、前記選択の対象となる記憶容量を、設定に従い複数の仕様カテゴリの中から選択する。これらにより、各仕様カテゴリの製造数を調整することができる。
【0016】
本発明の他の態様のディスク・ドライブ装置の製造方法は、ディスク上のサーボ・データを使用してヘッドのポジショニングを行う。前記ポジショニングされたヘッドによって前記ディスクにデータの書き込み及び/もしくは読み出しを行うことで、前記ディスク・ドライブ装置のテストを行う。決定の対象となる1もしくは複数の仕様カテゴリを、複数の仕様カテゴリの中から設定に従い選択する。前記テストの結果に基づいて、前記ディスク・ドライブ装置が属する仕様カテゴリを決定する。決定の対象となる1もしくは複数の仕様カテゴリを複数の仕様カテゴリの中から設定に従い選択することで、各仕様カテゴリの製造数を効果的に調整することができる。
【0017】
前記決定の対象となる1もしくは複数の仕様カテゴリの選択は、前記ディスク・ドライブ装置の記憶容量の選択を含むことが好ましい。さらに好ましくは、前記ディスク・ドライブ装置のテストは、前記記憶容量が決まっている前記ディスク・ドライブ装置に対する複数のテスト項目を含み、前記複数のテスト項目から選択した一もしくは複数項目のテスト結果に基づいて、前記記憶容量の決まっている前記ディスク・ドライブ装置が属する最終の仕様カテゴリを決定し、前記最終の仕様カテゴリの決定の対象となる仕様カテゴリを、設定に従い複数の仕様カテゴリの中から選択する。これにより、ディスク・ドライブ装置の製造を効率化しつつ、市場の要求に応じてディスク・ドライブ装置の製造数を調整することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ディスク・ドライブ装置のテスト・プロセスを改善し、その製造効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。本実施形態においては、ディスク・ドライブ装置の一例として、ハードディスク・ドライブ(HDD)について説明する。
【0020】
本形態は、HDDの製造におけるテスト・プロセスに特徴を有している。本形態のテスト・プロセスは、HDDに対して複数項目のテストを行い、そのうちの一つもしくは複数のテスト結果を記憶する。さらに、上記記憶したテスト結果に基づいて、HDDが属する最適な仕様カテゴリを決定する。仕様の一要素である記憶容量はテスト・プロセスの前に決定されている、あるいは、テスト・プロセス内において決定される。
【0021】
本形態のテスト・プロセスにおける重要な点の一つは、同一の記憶容量のHDDを、さらに、異なる仕様カテゴリに区分けすることである。また、この適切な仕様カテゴリへの区分けを、一つのテスト・プロセス内で行うことである。これにより、多様化したHDDの使用方法に対応した異なる仕様のHDDを、効率的に製造することができる。
【0022】
また、他の特徴的な点として、本形態のテスト・プロセスは、分類する仕様カテゴリを選択するスイッチ機能を有している。スイッチ機能は、テスト・プロセスを流れるHDDが分類される仕様カテゴリの数を増減させる。これにより、市場の要求に応じて各仕様カテゴリに属するHDDの製造台数を調整することができ、HDDの製造効率を改善することができる。
【0023】
本形態のHDDのテスト・プロセスは、HDDに実装される制御回路が実行する。本形態のテスト・プロセスの説明を行う前に、HDDの全体構成について、図1のブロック図を参照して説明する。HDD1は、エンクロージャ10の外側に固定された回路基板20を備えている。回路基板20上には、リード・ライト・チャネル(RWチャネル)21、モータ・ドライバ・ユニット22、ハードディスク・コントローラ(HDC)とMPUの集積回路(HDC/MPU)23及び半導体メモリのRAM24などの各回路を有している。エンクロージャ10内において、スピンドル・モータ(SPM)14は所定の角速度で磁気ディスク11を回転する。磁気ディスク11は、データを記憶するディスクである。HDC/MPU23からの制御データに従って、モータ・ドライバ・ユニット22がSPM14を駆動する。
【0024】
各ヘッド・スライダ12は、磁気ディスク上を浮上するスライダと、スライダに固定され磁気信号と電気信号との間の変換を行うヘッド素子部とを備えている。ヘッド・スライダ12はヘッドの一例である。アーム電子回路(AE:Arm Electronics)13は、HDC/MPU23からの制御データに従って複数のヘッド・スライダ12の中から磁気ディスク11にアクセス(リードもしくはライト)するヘッド・スライダ12を選択し、リード/ライト信号の増幅を行う。各ヘッド・スライダ12はアクチュエータ16の先端部に固定されている。アクチュエータ16はボイス・コイル・モータ(VCM)15に連結され、回動軸を中心に回動することによって、ヘッド・スライダ12を回転する磁気ディスク11上においてその半径方向に移動する。アクチュエータ16とVCMのアセンブリは、ヘッドの移動機構である。モータ・ドライバ・ユニット22は、HDC/MPU23からの制御データに従ってVCM15を駆動する。
【0025】
RWチャネル21は、リード処理において、AE13から取得したリード信号からサーボ・データ及びユーザ・データを抽出し、デコード処理を行う。デコード処理されたデータは、HDC/MPU23に供給される。また、RWチャネル21は、ライト処理において、HDC/MPU23から供給されたライト・データをコード変調し、さらに、コード変調されたデータをライト信号に変換してAE13に供給する。HDC/MPU23において、HDCはロジック回路であり、MPUはRAM24にロードされたファームウェアに従って動作する。HDC/MPU23はコントローラの一例であり、ヘッド・ポジショニング制御、インターフェース制御、ディフェクト管理などのデータ処理に関する必要な処理の他、HDD1の全体制御を実行する。HDD1の製造において、HDC/MPU23は、テスト・コンピュータ(不図示)からダウンロードしたテスト・プログラムに従って、HDD1のテスト・プロセスを実行する。
【0026】
図2(a)は、磁気ディスク11の記録面全体のデータ構成を模式的に示しており、図2(b)は、記録面上の一部のデータ・フォーマットを模式的に示している。磁気ディスク11の記録面には、磁気ディスク11の中心から半径方向に放射状に延び、所定の角度毎に離間して形成された複数のサーボ領域111と、隣り合う2つのサーボ領域111の間にデータ領域112が形成されている。各サーボ領域111には、ヘッド・スライダ12の位置決め制御を行うためのサーボ・データが記録される。各データ領域112には、ユーザ・データが記録される。
【0027】
磁気ディスク11の記録面には、半径方向に所定幅を有し、同心円状に形成された複数のデータ・トラック(DTr)114が形成される。ユーザ・データは、データ・トラック114に沿って記録される。一つのデータ・トラック114は、ユーザ・データの記録単位であるデータ・セクタを有し、典型的には、複数のデータ・セクタから構成されている。典型的には、各複数データ・トラックは、磁気ディスク11の半径方向の位置に従って、複数のゾーン113a〜113cにグループ化されている。1つのデータ・トラック114に含まれるデータ・セクタの数は、ゾーンのそれぞれに設定される。
【0028】
同様に、磁気ディスク11は、半径方向に所定幅を有し、同心円状に形成された複数のサーボ・トラック(STr)115を備えている。各サーボ・トラック115は、データ領域112で分離された複数のサーボ・データから構成されている。サーボ・データは、サーボ・トラック番号と、サーボ・トラック内におけるサーボ・セクタ番号、そして細かい位置制御をするためのバースト・パターンを備えている。バースト・パターンは、例えば、半径位置の異なる4つのバースト・パターンA、B、C、Dからなっている。各バースト・パターンの再生信号の振幅によって、サーボ・トラック内の位置を決定することができる。サーボ・トラック内の位置は、PES(Position Error Signal)値とよばれるもので表すことができる。PESは、バースト・パターンA、B、C、Dの振幅値から算出され、例えば、1サーボ・トラックが半径方向に256PES値に分割される。
【0029】
図2(b)に示すように、本形態において、一つの記録面上において、サーボ・トラック・ピッチとデータ・トラック・ピッチが一致していない。データ・トラック・ピッチは、各ヘッド・スライダ12の特性に応じて個別に設定される。ヘッド・スライダ12毎にデータ・トラック・ピッチを決定することにより、ヘッド・スライダ12の特性に応じた最適なデータ・トラック・ピッチを決定し、データ・ライトにおける隣接データ・トラックへの影響を小さくすると共に、記憶容量(データ・トラック数)を増加させることができる。
【0030】
HDD1の製造方法は、ヘッド・スライダ12及びアクチュエータ16のアセンブリを製造し、それにAE13を実装する。さらに、エンクロージャ10内に、このアセンブリ、SPM14、磁気ディスク11及びVCM15を実装し、ヘッド・ディスク・アセンブリ(HDA)を製造する。HDAは、サーボ・ライト工程にまわされ、磁気ディスク11の各記録面に対応する各ヘッド・スライダ12によりサーボ・トラックが書き込まれる。このサーボ・ライト工程としては、外部装置としてサーボ・トラック・ライタ(STW)を使用する方法、あるいは、HDD1のVCM15を制御してサーボ・データを書き込む方法(セルフ・サーボ・ライト)がある。サーボ・ライトは広く知られた技術であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0031】
サーボ・ライトの後、HDAに制御回路基板20が実装され、HDD1はテスト・プロセスに入る。図3は、本形態のテスト・プロセスの全体フローを示すフローチャートである。HDC/MPU23は、ホストであるテスト・コンピュータからダウンロードしたテスト・プログラムに従ったテスト・プロセスを開始する。テスト・プロセスは、多くのテスト項目を有している。
【0032】
従来のテスト・プロセスは、HDD1がいずれかのテスト項目をパスしない場合、そのHDD1をフェイル品と判定していた。本形態のテスト・プロセスは、予め選択したテスト項目については、HDD1がパスしない場合もプロセスを中断することなく、最後までテスト・プロセスを続行する。全てのテスト項目が終了した後、本形態のテスト・プロセスは、上記予め選択したテスト項目のテスト結果を参照して、HDD1が属する仕様カテゴリを決定する。なお、HDD1が、仕様カテゴリ決定のためのテスト項目以外のテスト項目をパスしなかった場合、テスト・プロセスは、そのHDD1をフェイル品と判定する。
【0033】
図3のフローチャートを参照して、本形態のテスト・プロセスについて説明する。最初に、HDC/MPU23はプリテスト(S11)を行う。プリテストは、サーボ制御のために最適なサーボ・パラメータや、RWチャネル12の最適なチャネル・パラメータを設定するためのテストである。プリテスト(S11)の後、HDC/MPU23は、磁気ディスク11上のデータ・トラック・フォーマットを決定する(S13)。図2(b)を参照して説明したように、本形態のHDD1はアダプティブフォーマットを採用し、各ヘッド・スライダ12に特性に合わせて、ヘッド・スライダ12毎にTPI(Track Per Inch)とBPI(Bit Per Inch)を決定する。TPIとBPIとにより、記録密度が規定される。BPIは、記録周波数により規定される。典型的には、TPIは半径位置に応じて連続的に変化し、BPIはゾーン113a〜113c毎に設定される。
【0034】
図3の例において、HDD1の記憶容量は500GBであると予め規定されている。HDC/MPU23が決定した各ヘッド・スライダ12のTPIとBPIとが、上記記憶容量を満足しない場合がある。図3のフローにおいて、TPI及びBPIの調整により規定記憶容量を満足することができない場合(S13におけるFAIL)、そのHDD1はフェイルと判定されて、リワーク・プロセスあるいは再テスト・プロセスにまわされる(S14)。再テスト・プロセスは、フェイル判定したテスト・プロセスと同一、あるいは異なるテスト・プロセスである。
【0035】
500GBの記憶容量を満足するデータ・トラック・フォーマットを設定することができた場合(S13におけるPASS)、HDC/MPU23は、ファンクション・テストを行う(S15)。ファンクション・テストにおいて、HDC/MPU23は、記録面上で選択したいくつかのデータ・トラックにおいて、多くの項目のテストを行う。これらのテスト項目のうち、本例においては、以下のテスト項目を、仕様カテゴリ決定のためのテスト項目として選択する。
【0036】
そのテスト項目は、ATI(Adjacent Track Interference)テスト、スクイーズ・テスト、データ・トラック幅測定テストである。これらは対象となるデータ・トラックの隣接データ・トラックにデータを書き込むことによる、対象データ・トラックのエラー・レートの変化を測定し、仕様カテゴリ決定のために好適なテスト項目である。HDC/MPU12は、これらのテストを各ヘッド・スライダ12に対して行う。なお、これらの内の特定のテスト項目をファンクション・テストにおいて行わなくてもよい。例えば、ATIテストとスクイーズ・テストをファンクション・テストにおいて行わなくてもよい。
【0037】
ATIテストは、図4(a)に示すように、中央データ・トラックDtr_kにデータを書きこむ。その後、図4(b)に示すように、両側隣接データ・トラックDtr_k+1、Dtr_k−1において、データのオーバーライトを繰り返す。両側隣接データ・トラックへのオーバーライト回数は、数千回を越える。HDC/MPU23は、隣接データ・トラックにおける規定回数のオーバーライトの後、中央データ・トラックを読み出して、エラー・レートを測定する。
【0038】
HDC/MPU23は、エラー訂正機能を有しており、そのエラー訂正機能がエラー・レートの測定を行う。エラー・レート測定における中央データ・トラックDtr_kのターゲット位置は、そのデータ・トラック中央である。HDC/MPU23は、測定結果のエラー・レートをRAM24に格納する。あるいは、測定結果のエラー・レートが基準エラー・レート内にあるか否かを示すフラグ(パス/フェイル・フラグ)をRAM24に格納する。例えば、HDC/MPU23は、エラー訂正機能が訂正することができる最大のエラー・レートを基準エラー・レートに設定し、中央データ・トラックDtr_kを読み出すことができない場合、測定結果のエラー・レートが基準エラー・レートを越えている(フェイル)と判定する。
【0039】
スクイーズ・テストは、中央データ・トラックに対して通常よりも近づけた位置において(スクイーズ)、両側隣接データ・トラックを書き込む。その後、中央データ・トラックを読み出して、エラー・レートを測定する。具体的には、図5(a)に示すように、HDC/MPU23は中央データ・トラックDtr_kにデータを書きこむ。その後、図5(b)に示すように、通常データ書き込みにおけるターゲット位置TARGET_0よりも中央データ・トラックDtr_kに近いターゲット位置TARGET_1において、両側隣接データ・トラックDtr_k+1、Dtr_k−1を書き込む。HDC/MPU23は、中央データ・トラックDtr_kを読み出して、エラー・レートを測定する。エラー・レート測定における中央データ・トラックDtr_kのターゲット位置は、そのデータ・トラック中央である。
【0040】
次に、HDC/MPU23は、隣接データ・トラックDtr_k+1、Dtr_k−1を、さらに中央データ・トラックDtr_kに近づける。具体的には、図5(c)に示すように、HDC/MPU23は、ターゲット位置TARGET_1よりも中央データ・トラックDtr_kに近いターゲット位置TARGET_2において、両側隣接データ・トラックDtr_k+1、Dtr_k−1を書き込む。HDC/MPU23は、中央データ・トラックDtr_kを読み出して、エラー・レートを測定する。
【0041】
このように、HDC/MPU23は、隣接データ・トラックDtr_k+1、Dtr_k−1のターゲット位置を徐々に中央データ・トラックDtr_kに近づけ、異なるターゲット位置において隣接データ・トラックDtr_k+1、Dtr_k−1を書き込むと共に、中央データ・トラックDtr_kのエラー・レートを測定する。HDC/MPU23は、各エラー・レート測定における測定値をRAM24に格納する。あるいは、測定結果のエラー・レートが基準エラー・レート内にあるか否かを示すフラグをRAM24に格納する。この点は、上記ATIテストと同様である。設計により、基準エラー・レートは隣接データ・トラックのターゲット位置により異なる値に設定される、あるいは、ターゲット位置に係らず同一の値に設定される。
【0042】
データの書き込みにおいては、ライト・インヒビット値が設定されている。ライト・インヒビット値はPESで表される。ヘッド・スライダ12の現在位置とターゲットとの差がライト・インヒビット値を超えると、HDC/MPU23はデータの書き込みを中断する。スクイーズ・テストにおいては、隣接データ・トラックDtr_k+1、Dtr_k−1のターゲット位置が中央データ・トラックDtr_kに近づくにつれ、ライト・インヒビット値を小さくする。特に、隣接データ・トラックDtr_k+1、Dtr_k−1のターゲット位置からライト・インヒビット値だけ中央データ・トラックDtr_kに近づいた位置が一定となるように、ターゲット位置とライト・インヒビット値を決定する。
【0043】
データ・トラック幅測定テストは、上記スクイーズ・テストと同様に、スクイーズ・マージンを測定するテストである。データ・トラック幅は、データ・トラックにおいてデータ・トラックのエラー・レートが基準内にある幅である。図6は、中央データ・トラックDtr_kのエラー・レートと半径位置(PES)の関係を例示している。ORIGINAL WIDTHは、通常のターゲット位置に隣接データ・トラックDtr_k+1、Dtr_k−1を書き込んだ場合のデータ・トラック幅である。SQUEEZED WIDTHは、隣接データ・トラックDtr_k+1、Dtr_k−1のターゲット位置を中央データ・トラックDtr_kに近づけた場合(スクイーズ・ライト)のデータ・トラック幅である。幅はPESで表すことができる。スクイーズ・ライトにより、データ・トラック幅が狭くなる。
【0044】
HDC/MPU23は、隣接データ・トラックDtr_k+1、Dtr_k−1にデータを書き込んだ後、中央データ・トラックDtr_kのデータ・トラック幅を測定する。具体的には、HDC/MPU23は、データ・トラック中心からデータの読み出しを行い、少しずつターゲット位置をずらしながら読み出しを繰り返す。そして、HDC/MPU23は、各位置においてエラー・レートを測定する。エラー・レートが基準内にある幅がデータ・トラック幅である。例えば、エラー・レートが10−4以下の幅が、データ・トラック幅である。
【0045】
HDC/MPU23は、隣接データ・トラックDtr_k+1、Dtr_k−1のターゲット位置を徐々に中央データ・トラックDtr_kに近づけ、異なるターゲット位置において隣接データ・トラックDtr_k+1、Dtr_k−1を書き込むと共に、中央データ・トラックDtr_kのエラー・レート及びデータ・トラック幅を測定する。HDC/MPU23は、各データ・トラック幅測定における測定値をRAM24に格納する。あるいは、測定結果のデータ・トラック幅が基準値内にあるか否かを示すフラグ(パス/フェイル・フラグ)をRAM24に格納する。設計により、基準値は隣接データ・トラックのターゲット位置により異なる値に設定される、あるいは、ターゲット位置に係らず同一の値に設定される。データ・トラック幅測定テストにおけるライト・インヒビット値の調整は、スクイーズ・テストと同様である。
【0046】
HDC/MPU23は、ファンクション・テスト(S15)において、上記テスト項目の他にも多くの項目のテストを行う。HDC/MPU23は、ヘッド・スライダ12毎にファンクション・テストを行う。上述のように、HDC/MPU23は、選択した一部のデータ・トラックにおいて、ファンクション・テストを行う。これに対して、図3のフローチャートに示すセルフ・ラン・セルフ・テスト(SRST:S16)において、HDC/MPU23は、記録面の全面についてテストを行う。
【0047】
SRST(S16)は、記録面の全面スキャンによる欠陥検出テストを行う。欠陥検出テストは、各データ・トラックの通常ターゲット位置にデータを書き込み、さらに、書き込んだデータを読み出す。HDC/MPU23は、データ・トラックの書き込み順序や読み出し順序を変更して、データ書き込み及びデータ読み出しを繰り返し、記録面上の欠陥セクタを検出する。HDC/MPU23は、検出した欠陥セクタを欠陥テーブルに登録し、通常動作においてそれらをスキップする。
【0048】
SRST(S16)は欠陥検出テストの他にも多くのテスト項目を含み、その中から仕様カテゴリ決定のためのテスト項目を選択する。本例においては、ファンクション・テスト(S15)と同様に、ATIテスト、スクイーズ・テスト及びデータ・トラック幅測定テストを、仕様カテゴリの決定のために使用する。各項目のテスト方法は、ファンクション・テスト(S15)におけるそれと同様である。SRSTとファンクション・テストとの相違点として、HDC/MPU23は、欠陥検出テストによりエラー発生の蓋然性が高いデータ・トラックを特定し、その特定したデータ・トラックにおいて上記各テストを実行する。任意選択したデータ・トラックにおけるテストと比較して、より厳しい条件でテストが行われ、HDD1の信頼性を向上する。
【0049】
図3に示すように、HDC/MPU23は、SRST(S16)の後に、ファイナルテスト(S17)を行う。HDC/MPU23は、ファイナルテスト(S17)において、通常コマンドのみ使用する。HDC/MPU23は、ユーザ使用環境と同様の条件において、記録面の全面においてリード及びライトのテストを行う。具体的には、ファイナルテストは、シーク・スピード測定テスト、スループット測定テスト、エラー・レート測定テストなどの各テスト項目を実行する。
【0050】
本例のファイナルテスト(S17)において、スループット測定テストを仕様カテゴリ決定のテスト項目として選択する。スループット測定テストはHDD1全体としてのテストである。スループット測定テストは、例えば、所定の内周データ・トラックと所定の外周データ・トラックから所定数のデータ・セクタを読み出し、その処理の応答時間を測定する。HDC/MPU23は、測定した応答時間をRAM24に格納する、あるいは、測定応答時間が基準時間内にあるか否かを示すフラグ(パス/フェイル・フラグ)をRAM24に格納する。
【0051】
HDC/MPU23あるいはテスト・コンピュータは、ファイナルテスト(S17)において、HDD1が属する仕様カテゴリを決定する。図3の例においては、HDC/MPU23は、HDD1に1〜3の三つの仕様カテゴリのいずれかを割り当てる。仕様カテゴリの決定方法は設計に依存するが、例えば、HDC/MPU23は、各テスト項目のパス/フェイルの結果に基づいて仕様カテゴリを決定する。このようなシンプルな判定基準により、仕様カテゴリ決定処理を効率的に行うことができる。
【0052】
各仕様カテゴリは、仕様カテゴリ決定のためのテスト項目の内、HDD1がパスすることを要求するテスト項目を有する。例えば、仕様カテゴリ1は、HDD1が全てのテスト項目をパスすることを要求する。仕様カテゴリ2は、HDD1が、ファンクション・テスト(S15)及びSRST(S16)におけるATIテスト、スクイーズ・テスト及びデータ・トラック幅測定テストをパスすることを要求する。典型的には、HDD1の全てのヘッド・スライダ12が、これらのテストをパスすることが要求される。仕様カテゴリ3は、HDD1がスループット測定テストをパスすることを要求する。いずれの仕様カテゴリの要求も満足しないHDD1は、フェイル品と判定される。
【0053】
あるいは、仕様カテゴリ決定のための各項目のテスト結果が、エラー・レートやデータ・トラック幅などの数値で表されている場合、その数値を参照して仕様カテゴリを決定することができる。例えば、各テスト結果の数値を、複数のレベルに区分する。仕様カテゴリ1は、全てのテスト結果がレベル1であることを要求する。仕様カテゴリ2は、一部のテスト結果がレベル1であり、他のテスト結果がレベル2もしくはレベル1であることを要求する。仕様カテゴリ3は、一部のテスト結果がレベル1であり、他のテスト結果がレベル3、2もしくは1であることを要求する。なお、HDC/MPU23がテスト結果を格納するときに、測定値ではなく、測定値の属するレベルをRAM24に格納してもよい。
【0054】
本例のテスト・プロセスは、HDD1を区分する仕様カテゴリを選択するスイッチ機能(図3におけるS)を有している。例えば、スイッチ機能は、仕様カテゴリ1及び2を選択する。テスト・プロセスの最後に、HDD1は、仕様カテゴリ1、2、あるいはフェイル品に区分され、仕様カテゴリ3にHDD1が割当てられることはない。スイッチ機能が、仕様カテゴリ2のみを選択する場合、HDD1は、仕様カテゴリ2あるいはフェイル品に区分される。スイッチ機能は、テスト・プロセスの最後で仕様カテゴリを決定する装置に実装される。具体的には、HDC/MPU23のテスト・プログラムあるいはテスト・コンピュータのプログラムに組み込まれる。
【0055】
スイッチ機能は、各仕様カテゴリに属するHDD1の製造数を調整する。特定の仕様カテゴリに対して市場の要求が存在しないタイミングにおいて、その仕様カテゴリのHDD1を製造することは、不要な在庫を保有することになる。従って、スイッチ機能は、製造することが必要ではない仕様カテゴリを選択せず(その仕様カテゴリのスイッチをOFFする)、それ以外の仕様カテゴリのみを選択する(その仕様カテゴリのスイッチをONする)。このように、スイッチ機能によって、需要に合わせて製造数の調整を行うことができる。
【0056】
あるいは、上記説明から理解されるように、一つの仕様カテゴリが他の全仕様カテゴリの上位である場合(上記例における仕様カテゴリ1)、あるいは、各仕様カテゴリに含まれるHDD1が一致しない場合(上記例における仕様カテゴリ2及び3)がある。上位の仕様カテゴリのHDD1は他の仕様カテゴリも満足するため、その製造数が多くてもよい。しかし、包含関係が成立しない二つの仕様カテゴリの間においては、HDD1の製造において、HDD1にいずれの仕様カテゴリを割り当てるかを決定することが必要となる。例えば、HDD1が二つの仕様カテゴリの要求を満足する場合、テスト・プロセスは、そのHDD1が属する仕様カテゴリを決定することが必要になる。
【0057】
本例のテスト・プロセスは、上記スイッチ機能を使用して各仕様カテゴリの製造数を調整することができる。例えば、テスト・プロセスは、各仕様カテゴリの優先度を決定する。HDC/MPU23あるいはテスト・コンピュータは、一つのHDD1が複数の仕様カテゴリに属する場合、優先度のより高い仕様カテゴリにそのHDD1を振り分ける。テスト・コンピュータは、各仕様カテゴリの製造数をカウントする。いずれかの仕様カテゴリの在庫数が基準数に達すると、テスト・コンピュータあるいはHDC/MPU23のスイッチ機能が、不要となった仕様カテゴリを選択先から削除する(その仕様カテゴリのスイッチをOFFする)。これにより、各仕様カテゴリの製造数を所望の台数とすることができる。
【0058】
図3を参照して説明したテスト・プロセスにおいて、HDD1が区分けされる仕様カテゴリ1〜3の記憶容量は同一である。好ましい他のテスト・プロセスは、記憶容量が異なる仕様カテゴリを有している。図7のフローチャートを参照して、記憶容量の決定ステップを有するテスト・プロセスを説明する。図7において、プリテスト(S21)、ファンクション・テスト(S24、S28)、SRST(S25、S29)、ファイナルテスト(S26、S30)の各ステップは、図3のテスト・プロセスと同様であり、説明を省略する。
【0059】
このテスト・プロセスの特徴的な点は、アダプティブフォーマットの決定(S22)において、テスト対象のHDD1が500GBの記憶容量を達成することができない場合、それよりも記憶容量の小さい仕様カテゴリ(本例において400GB)を選択することである。このように、テスト・プロセスが複数の記憶容量から一つの記憶容量を選択することで、ヘッド特性のばらつきがあっても、製造のスループットの低下を防ぎ、また、廃棄する部材数を低減することができる。
【0060】
HDC/MPU23は、各ヘッド・スライダ12のヘッド特性に応じてTPI及びBPIを決定する。例えば、500GBを達成するために必要な最低のTPI及びBPIに設定した場合においても、エラー・レートが基準内に収まらない場合(S23におけるFAIL)、HDC/MPU23は、HDD1の仕様カテゴリを、記憶容量500GBから記憶容量400Gに変更する。HDD1が500GBを達成することできる場合(S23におけるPASS)、HDC/MPU23は、500GBの仕様カテゴリA1〜A3から、そのHDD1が属する仕様カテゴリを選択する。
【0061】
HDC/MPU23は、400GBの仕様カテゴリにおいても、同様の処理を行う。HDC/MPU23は、400GB記憶容量及び各ヘッド・スライダ12の特性に応じて、各ヘッド・スライダ12のTPI及びBPIを決定する。その設定がエラー・レートの基準を満足しない場合(S27におけるFAIL)、HDD1は、リワーク・プロセスあるいは再テスト・プロセスにまわされる(S31)。
【0062】
その設定がエラー・レートの基準を満足する場合(S27におけるPASS)、HDC/MPU23は、400GBの仕様カテゴリB1〜B3からHDD1が属する仕様カテゴリを選択する。一般に、記憶容量を小さくすると、エラー・レートが大きく改善される。そのため、フェイル品と判定されるHDD1の数を大きく低減することができる。なお、容量決定後に、HDD1がフェイル品と判定される場合もあることは、図3のテスト・プロセスと同様である。
【0063】
図7のテスト・プロセスは、ファイナルテストにおける仕様カテゴリの決定で使用するスイッチ機能S2、S3に加えて、容量決定において使用するスイッチ機能S1を有している。スイッチS1のON/OFFは、HDC/MPU23がテスト・コンピュータからダウンロードするプログラム内に設定されている。スイッチ機能S1は、スイッチ機能S2、S3と同様に、HDD1の製造数の調整に利用される。スイッチS1がOFFのときは、図3のテスト・プロセスと同様に、500GBの容量を満足しないHDD1が、リワーク・プロセスあるいは再テスト・プロセスにまわされる。
【0064】
以上、本発明の好ましい態様を使用して説明したが、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、上述の実施の形態においては、HDDを例にとって説明したが、他のディスクを使用するディスク・ドライブ装置に本発明を適用することができる。スイッチ機能は、HDDの記憶容量のみを決定するテスト・プロセスに適用することができる。この場合、仕様カテゴリは500GBと400GBの二つとなる。また、上述のように、テスト・プロセスはスイッチ機能を有していることが好ましいが、スイッチ機能を有していないテスト・プロセスにより、記憶容量以外のプロパティに基づいて複数の仕様カテゴリに区分けすることによっても、HDDの製造効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態において、ハードディスク・ドライブの全体構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本実施形態において、磁気ディスク上における記録データ・フォーマットを模式的に示す図である。
【図3】本実施形態に係るテスト・プロセスのフローチャートである。
【図4】本実施形態において、HDDの仕様カテゴリを決定するためのテスト項目の一つであるATIテストを模式的に示す図である。
【図5】本実施形態において、HDDの仕様カテゴリを決定するためのテスト項目の一つであるスクイーズ・テストを模式的に示す図である。
【図6】本実施形態においてHDDの仕様カテゴリを決定するためのテスト項目の一つであるデータ・トラック幅測定テストを模式的に示す図である。
【図7】本実施形態において、他の好ましい態様に係るテスト・プロセスのフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1 ハードディスク・ドライブ、10 エンクロージャ、11 磁気ディスク
12 ヘッド・スライダ、13 アーム・エレクトロニクス、14 スピンドル・モータ
15 ボイス・コイル・モータ、16 アクチュエータ、20 回路基板
21 RWチャネル、22 モータ・ドライバ・ユニット
23 ハードディスク・コントローラ/MPU、24 RAM
111 データ領域、112 サーボ領域、113a〜113c ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク・ドライブ装置のテスト方法であって、
ディスク上のサーボ・データを使用してヘッドのポジショニングを行い、
前記ポジショニングされたヘッドによって前記ディスクにデータの書き込み及び/もしくは読み出しを行うことで、複数項目のテストを行い、
前記複数項目から選択した一もしくは複数項目のテスト結果に基づいて、記憶容量の決まっている前記ディスク・ドライブ装置が属する仕様カテゴリを決定する、
方法。
【請求項2】
前記仕様カテゴリの決定に使用するテスト項目の少なくとも一部のテストの結果はパスあるいはフェイルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ディスクに前記サーボ・データを前記ヘッドにより書き込み、
前記サーボ・データの書き込みの後に、ヘッド特性に応じて前記記憶容量を予め設定されている値から選択する、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記仕様カテゴリの決定に使用する一つのテスト項目は、両側隣接データ・トラックの書き込みによる中央データ・トラックのエラー・レートの変化を測定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記仕様カテゴリの決定に使用する一つのテスト項目は、両側隣接データ・トラックのターゲット位置を、通常処理よりも中央データ・トラックに近づけた場合のエラー・レートの変化を測定する、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記仕様カテゴリの決定に使用する一つのテスト項目は、外部からのコマンドに対する応答時間を測定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記決定の対象となる仕様カテゴリを、設定に従い複数の仕様カテゴリの中から選択する、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記選択の対象となる記憶容量を、設定に従い複数の仕様カテゴリの中から選択する、
請求項2に記載の方法。
【請求項9】
ディスク・ドライブ装置の製造方法であって、
ディスク上のサーボ・データを使用してヘッドのポジショニングを行い、
前記ポジショニングされたヘッドによって前記ディスクにデータの書き込み及び/もしくは読み出しを行うことで、前記ディスク・ドライブ装置のテストを行い、
決定の対象となる1もしくは複数の仕様カテゴリを、複数の仕様カテゴリの中から設定に従い選択し、
前記テストの結果に基づいて、前記ディスク・ドライブ装置が属する仕様カテゴリを決定する、
方法。
【請求項10】
前記決定の対象となる1もしくは複数の仕様カテゴリの選択は、前記ディスク・ドライブ装置の記憶容量の選択を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ディスク・ドライブ装置のテストは、前記記憶容量が決まっている前記ディスク・ドライブ装置に対する複数のテスト項目を含み、
前記複数のテスト項目から選択した一もしくは複数項目のテスト結果に基づいて、前記記憶容量の決まっている前記ディスク・ドライブ装置が属する最終の仕様カテゴリを決定し、
前記最終の仕様カテゴリの決定の対象となる仕様カテゴリを、設定に従い複数の仕様カテゴリの中から選択する、
請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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