説明

生産情報管理システム

【課題】 生産者の負担を軽減しつつ商品の生産に関する情報を収集して一元的に管理する。
【解決手段】 生産者は、生産者の特定情報と生産物の特定情報を記録した2次元コードが印刷された栽培日誌1を持ち、農作業を行うごとにその農作業に対応した2次元コードの印面を有する印判2を栽培日誌1に押印し、その印影をカメラ機能付き携帯電話機5を用いて撮影する。携帯電話機5は、2次元コードをデコードし、そこに記録された生産情報を生産情報サーバ20に送信する。一方、消費者がカメラ機能付き携帯電話機30を用いて商品ラベル29の2次元コードを撮影すると、携帯電話機30は、それをデコードして閲覧要求として情報センターに送信し、生産情報サーバ20は、データベース22に格納されている生産情報を携帯電話機30に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各生産者による商品の生産に関する情報を収集して管理する生産情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、商品(例えば農産物などの食品)の生産情報、流通情報および小売情報、すなわち商品の流通過程におけるトレーサビリティ情報を、消費者が容易に入手することができる流通管理システムが開示されている。このうち生産情報は、第1の2次元コード情報として、統括団体システムとネットワークを介して接続された第1のコード情報付与装置により生産者側で商品に付与される。その後、流通業者側において、第2のコード情報として第2の2次元コード情報が付与され、小売業者側において、第3のコード情報として第3の2次元コード情報が付与される。
【0003】
商品に付されたこれらの2次元コードを撮影機能を有する携帯端末で撮影すると、そのデコード信号が統括団体システムに送信され、データベースに登録されている商品の商品情報が統括団体システムから携帯端末に返信されるようになっている。これにより消費者は、商品のトレーサビリティ情報を得ることができる。
【特許文献1】特開2004−102387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、商品が農産物や海産物の場合には零細な自営事業者も多く、生産者側において統括団体システムに接続された第1のコード情報付与装置(例えばインターネットに接続可能なパソコン)を準備することは、コストの面や技術的な面で生産者に大きな負担を強いることになる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、生産者の負担を軽減しつつ商品の生産に関する情報を収集して一元的に管理することができる生産情報管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した手段によれば、各生産者は、生産記録原簿(例えば生産日誌、栽培日誌)とコード情報保持手段(例えば印具、シール)とを手元に置き、商品の生産過程における各作業が終了するごとに、コード情報保持手段を生産記録原簿の所定欄に押印または貼付して生産記録原簿上に2次元コードを表わす。生産記録原簿は、商品の生産に先立って各生産者に提供されるもので、所定の書式を有し、その書式の中の所定の位置に、少なくとも、生産者を特定する情報および当該生産者が生産する商品を特定する情報を記録した2次元コードが表わされている。コード情報保持手段は、商品の生産過程における個々の生産作業に関する情報ごとに設けられ、各生産作業に関する情報を記録した2次元コードが表わされた表示面を有している。
【0006】
生産者は、各生産作業の終了時点において生産記録原簿上にその生産作業に対応した2次元コードを表わすと、情報端末装置の認識手段を用いて、生産者を特定する情報、当該生産者が生産する商品を特定する情報および今回行った生産作業に関する情報を認識させる。情報端末装置は、例えば認識手段としてカメラ機能を備えた携帯電話装置であって、商品の生産者の間に広く普及しているものが好適である。情報端末装置の通信手段は、認識手段から認識情報が出力されると、それを自動的に通信回線を介して生産情報サーバに送信する。生産情報サーバは、認識情報を生産情報データベースに格納するとともに、その認識情報に基づいて各生産者の生産に関する情報を一元的に管理する。
【0007】
この生産情報管理システムでは、これまでの生産日誌に替えて、生産記録原簿と生産者に広く普及している携帯電話装置などの情報端末装置とを利用するので、生産者の記録作業および生産者が所有する設備について特別な負担をかけることなく、各生産者の生産に関する情報を一元的に管理することができる。
【0008】
請求項2に記載した手段によれば、生産記録原簿作成装置は、生産者を特定する情報および当該生産者が生産する商品を特定する情報を入力すると、生産者と商品が特定された生産記録原簿を自動作成する。また、パターン作成装置は、商品の生産作業に関する情報を入力すると、コード情報保持手段が有する表示面に表わされる2次元コードのパターンを自動作成する。これらの装置は、例えば生産管理団体に設置され、生産管理団体と各生産者との間で商品を生産する契約を締結すると、生産管理団体は生産記録原簿と2次元コードのパターンを作成して各生産者に与えるので、生産者に過度の負担をかけることがない。なお、パターン作成装置は、コード情報保持手段そのものを作成してもよい。
【0009】
請求項3に記載した手段によれば、コード情報保持手段は浸透印具から構成され、その印面は、連続気泡を有する薄層の熱可塑性樹脂からなり、2次元コードのパターンが形成された印刻面層と、インクを保持し印刻面にインクを供給するインク保持層とを有している。この構成の浸透印具を用いると、生産記録原簿上に2次元コードの鮮明な印影を実現することができる。
【0010】
請求項4に記載した手段によれば、印面を、厚さ0.4mm〜1.2mmの薄層であって、気泡の平均セル径が20μm〜50μm、気泡率が65〜85%の連続気泡を有する熱可塑性樹脂とすることにより、押印時のインク供給が少量かつ適切な量となり、明瞭な印影を形成させることができる。
【0011】
請求項5に記載した手段によれば、浸透印具の印刻面層に、2次元コードのパターンとともに当該2次元コードに対応した見出し文字のパターンが形成されているので、生産記録原簿に押印すると、生産記録原簿に2次元コードに対応した文字が表示され、生産者が生産記録原簿の上で作業内容を確認し易くなる。
【0012】
請求項6に記載した手段によれば、浸透印具は、印刻面層に形成されたパターンを識別するための見出し表示部を有しているので、各生産作業に応じて浸透印具が複数存在する場合に、生産者は浸透印具を容易に識別することができる。
【0013】
請求項7に記載した手段によれば、情報端末装置は、認識手段から出力される2次元コードの認識情報から情報をデコードしてその情報を送信するので、デコード処理を各生産者の有する情報端末装置に分散させることができ、生産情報サーバ側の処理負担を減らすことができる。
【0014】
請求項8に記載した手段によれば、生産情報サーバは、情報端末装置から2次元コードの認識情報を受信し、その認識情報をデコードして情報を認識するので、情報端末装置からデコード手段を省くことができ、情報端末装置のコストを下げることができる。
【0015】
請求項9に記載した手段によれば、情報端末装置は、生産記録原簿上に表わされている2次元コードを認識した時点の日付情報またはその認識情報を送信する時点の日付情報をカレンダー手段から取得し、その日付情報を認識情報とともに送信するので、生産情報サーバは、生産者が各生産作業を行った日を認識することができる。
【0016】
請求項10に記載した手段によれば、生産情報サーバは、認識情報を受信した時点の日付情報を自身のカレンダー手段から取得し、その日付情報を受信した認識情報に付加して生産情報データベースに格納するので、受信日すなわち生産者が各生産作業を行った日を認識することができる。
【0017】
請求項11に記載した手段によれば、商品を手にした消費者や流通業者が、情報端末装置を用いて、生産情報の種類を特定するための指定情報と自身を識別するための識別情報とを含む提供要求情報を送信すると、生産情報サーバは、その指定情報に基づいて生産情報データベースの中から要求された生産情報を検索し、識別情報に基づいて提供する生産情報の書式を選択し、この選択した書式により生産情報を返送する。ここで、書式とは、メール形式、伝票形式など情報端末装置に適した情報送信形式である。この構成によれば、消費者や流通業者は、商品の生産情報をいつでも容易に入手することができる。
【0018】
請求項12に記載した手段によれば、生産された商品を集荷し、消費地に向けて出荷するための商品情報を管理する出荷管理端末装置を備え、この出荷管理端末装置が有するラベル出力装置は、2次元コードが表わされた出荷ラベルを作成する。例えば、情報端末装置が出荷ラベルの2次元コードの認識手段を備え、その認識情報に基づいて提供要求情報を送信すれば生産情報を得ることができる。
【0019】
請求項13に記載した手段によれば、生産情報サーバは、情報端末装置が出荷管理端末装置であると認識した場合、より詳細な生産情報を提供する者への連絡方法(電話番号、WEBページのURL)を示すアクセス情報を生産情報に付加して送信するので、商品の出荷に際しより詳しい情報を付加することができる。
【0020】
請求項14に記載した手段によれば、出荷ラベルは、非接触通信手段と不揮発性記憶手段とからなるRFタグを備え、ラベル出力装置のRFタグリーダライタ手段は、2次元コードに記録した情報の少なくとも一部をRFタグの不揮発性記憶手段に記憶させるので、市場においてRFタグを利用して容易に生産情報を取得ことができる。
【0021】
請求項15に記載した手段によれば、生産情報サーバは、情報端末装置が消費者または取引者の有する端末装置であると認識した場合、当該商品に対する情報受容者への連絡方法を示すアクセス情報を生産情報に付加して送信するので、問い合わせや苦情等の情報を生産管理団体等に容易に伝えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明を農作物の生産情報管理システムに適用した第1の実施形態について図1ないし図11を参照しながら説明する。
あるまとまった地域に存在する営農事業者(生産者)は、生産能率の向上、営農支援、地域農業の振興等のために、商品である農産物(生産物)の種類に応じて結成された生産管理団体(生産組合など)に属している。各生産者は、生産調整、連作障害の回避等のため生産管理団体との間に生産契約を締結し、その契約に基づいて生産資材(農薬、種苗、肥料、後述する栽培日誌、印判など)の提供を受けあるいは営農支援を受けることができる。
【0023】
図1は、生産情報管理システムの全体構成を示している。この図1において、各生産者は、農産物の栽培期間つまり播種から定植、生育、収穫および出荷に至るまでの期間において、農作業(生産作業)を行うごとに栽培日誌1をつけることとなっている。この栽培日誌1(生産記録原簿に相当)は、上記生産管理団体との間の生産契約に基づいて、栽培を開始する前に生産管理団体により作成されて生産者に配布されるものである。
【0024】
図2は、栽培日誌1の一例を示している。この栽培日誌1は、従来用いられていた作業日誌に取って代わるものであり、罫線で区切られた所定の書式を有している。この栽培日誌1は、生産者に配布される時点で既に印刷されている部分と、その後の農作業の過程で生産者によって記録される部分とがある。
【0025】
既に印刷されている部分は、罫線、各欄の名称、日誌名称(みやこ南瓜栽培日誌)、「生産終了送信」欄の生産終了送信情報を記録した2次元コード、「所属団体名」欄の所属団体名を示す文字(みやこ南瓜生産組合)とその文字を記録した2次元コード、「生産品名」欄の生産品名を示す文字(みやこ南瓜)とその文字を記録した2次元コード、「生産者名」欄の識別番号と氏名を示す文字(12-34 山田太郎)およびその文字を記録した2次元コード、「圃場番号」欄の識別番号と面積を示す文字(S4-56(20a))およびその文字を記録した2次元コード、「写真送信」欄の写真送信情報を記録した2次元コード、「収穫予定送信」欄の問合せ情報を記録した2次元コードと送信情報を記録した2次元コードである。2次元コードには、QRコードが用いられている。
【0026】
このうち所属団体名、生産者名、圃場番号を表わす文字と2次元コードは、生産者を特定する情報で、生産品名を表わす文字と2次元コードは、生産者が生産する農産物を特定する情報である。これらの特定情報の記載欄(特定情報等記載欄)の下側には、生産作業を記録するための複数の欄(作業記録欄:記録欄に相当)が設けられている。生産者は、各生産作業が終了するごとに作業記録欄の各行に順に作業内容を記録する。
【0027】
作業記録欄は、左から順に「年月日」欄、「作業名」欄、「資材・肥料名」欄、「薬剤名」欄、「希釈倍数」欄、「施用量」欄、「備考」欄となっている。このうち「作業名」欄、「資材・肥料名」欄、「薬剤名」欄は、それぞれ作業名を記録した2次元コードの印面を持つ印判(印具)2、資材・肥料名を記録した2次元コードの印面を持つ印判2、薬剤名を記録した2次元コードの印面を持つ印判2の押印欄である。また、「年月日」欄は、農作業を実施した日を書き込むための欄、「希釈倍数」欄は、薬剤の希釈倍数を書き込むための欄、「施用量」欄は、資材・肥料・薬剤の施用量を書き込むための欄である。「備考」欄は、生産者が自由に使うことができる。
【0028】
図3(a)と(b)は、異なるタイプの印判2とその印影を示している。この印判2(コード情報保持手段に相当)は、農作物の栽培過程において行われる個々の作業ごと、各作業に用いられる資材・肥料ごと、各作業に用いられる薬剤ごとに作製され、生産者は、通常複数の印判2を持っている(図1参照)。この印判2は、国際公開WO02/34545パンフレットに開示されている浸透印具と同様の構成を有している。
【0029】
すなわち、印判2の印面は、連続気泡を有する薄層の熱可塑性樹脂からなり、2次元コードのパターンが形成された印刻面層と、インクを保持し印刻面にインクを供給するインク保持層とを有している。印面を薄層とすることで、印面全体に保てるインク量を制御して、押印時のインクの供給量が、印影の画素の細かさに応じた量となり、2次元コードに対しても明瞭な印影を実現することができる。熱可塑性樹脂は、例えばポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましいがこれに限定されない。
【0030】
また、印判2の印面は、厚さ0.4mmから1.2mmの薄層であって、気泡率が65〜85%の熱可塑性樹脂により構成することが好ましい。この構成にすると、押印時のインク供給が少量かつ適切な量となり、明瞭な印影を形成させることができる。厚さ0.4mmから1.2mmの薄層を形成するためには、気泡率が65〜85%であることが好ましい。この気泡率としたことによって、気泡に蓄えられるインクの量が多すぎず適量となるとともに、押印時に印面表面に供給されるインクの量も多すぎず適量となり、結果として明瞭な印影を形成することができる。さらに、平均セル径が20μm〜50μmであることが好ましい。この構成にすると、細かいセル径から微少量のインクが供給されることとなり、細かい画素に応じた少量のインクが供給されることとなり、2次元コードの明瞭な印影を形成することができる。
【0031】
図3(a)に示す印影を持つ印判2の印刻面層には、2次元コードのパターンが形成されており、さらにそのパターンに隣接して当該2次元コードに対応した見出し文字のパターンが形成されている。また、図3(b)に示す印影を持つ印判2の印刻面層には、内部に見出し文字を取り込んだ2次元コードのパターンが形成されている。このような印判2を用いると、生産者は、栽培日誌1に押印した後で、その印影から2次元コードの内容を容易に認識することができる。さらに、押し間違いを防止するため、印判2の握り手部3の頂部に、印影中の2次元コードのデータセルを省略して表わした表示ラベル4が貼り付けられている。
【0032】
さて、図1に戻って、各生産者は、上記栽培日誌1と印判2の他にカメラ機能を有する携帯電話機5を持っている。カメラ機能を有する携帯電話機5(情報端末装置に相当)を利用するのは、生産者の間で既に広く普及しており、生産情報管理システムを利用するにあたり情報端末装置を新たに購入する必要がないからである。
【0033】
図4は、携帯電話機5の電気的構成を示す機能ブロック図である。携帯電話機5は、電話回路6、マイクロコンピュータ(マイコン)7、マイクロホン8、スピーカ9、ディスプレイ10、キーパッド11、LED12、サウンダ13およびカメラ14(認識手段に相当)から構成されている。マイコン7には、電気的書き換え可能な不揮発性メモリ例えばフラッシュメモリ15およびクロック(時計)16(カレンダー手段に相当)が内蔵されている。また、マイコン7は、ソフトウェア処理により、2次元コードのデコーダ機能(デコード手段に相当、以下デコーダと称す)を実現している。フラッシュメモリ15には、電話機としての基本制御プログラムおよび生産情報収集用のアプリケーションプログラムが記憶されている。
【0034】
携帯電話機5は、基地局18aおよびインターネット19(通信回線に相当)を介して生産管理団体の情報センターに設置された生産情報サーバ20に接続可能となっている。生産情報サーバ20は、現在の日付情報を出力するカレンダー手段21を備えており、携帯電話機5から送られてきた生産作業に関する情報に受信日の日付情報を付加してデータベース22(生産情報データベースに相当)に格納するようになっている。また、生産情報サーバ20は、データベース22に格納された生産作業に関する情報を取り出して、それをインターネット19を介して送信可能に構成されている。
【0035】
データベース22は、上述のように栽培データベースとして生産作業に関する情報を格納する他、生産者データベースとして生産者に関する情報を格納し、さらに入出荷データベースとして生産物の入出荷に関する情報を格納している。また、情報センターには、栽培日誌1の印刷および印判2の印面の作成に用いるフィルム25を作成する資材作成装置23(生産記録原簿作成装置およびパターン作成装置に相当)が設置されている。この資材作成装置23は、LAN24を介して上記生産情報サーバ20と接続されている。
【0036】
さらに、情報センターには、上記LAN24に接続された出荷管理サーバ26(出荷管理端末装置に相当)が設置されている。この出荷管理サーバ26は、生産情報サーバ20から、データベース22に格納されている生産情報と、より詳細な生産情報を提供する者(ここでは生産管理団体)への連絡方法(電話番号、WEBページのURL)を示すアクセス情報とを入力し、それらの情報に基づいて生産管理団体の出荷センターまたは出荷予冷センターに設置されたラベル発行装置27(ラベル出力装置に相当)に対し出荷ラベル発行用データおよび商品ラベル発行用データを出力するようになっている。
【0037】
出荷センターから出荷される農作物のダンボール箱には、図5に示すような出荷ラベル28が貼り付けられている。この出荷ラベル28には、品名、サイズ、収穫日、出荷日、個数、出荷番号が記載され、さらにこれらの情報と生産管理団体の電話番号とWEBページのURLとが記録された2次元コードおよび出荷番号が記録されたバーコードが印刷されている。また、農産物には、図6に示すように、その販売単位(ピース単位)ごとに商品ラベル29が付されている。この商品ラベル29には、生産管理団体の名称、生産管理団体の電話番号とWEBページのURL、生産者がWEBページを持っている場合にはそのURL、生産者の名前、品名、サイズ、収穫日、出荷日、出荷番号等の情報が記録された2次元コードが印刷されている。
【0038】
図1において、消費者は、カメラ機能を有する携帯電話機30を利用して、市場に流通している農産物または購入した後の農産物の生産情報を入手可能となっている。この携帯電話機30(情報端末装置に相当)は、フラッシュメモリ15に生産情報収集用のアプリケーションプログラムが格納されていない点を除いて、携帯電話機5と同様の構成を有している。携帯電話機30は、基地局18bおよびインターネット19を介して生産情報サーバ20に接続可能となっている。
【0039】
次に、本実施形態における生産情報の収集方法および提供方法について図7ないし図11も参照しながら説明する。
生産者が生産管理団体と生産契約を締結すると、その生産者に対し識別番号が付与され、農作物を栽培する圃場に対し圃場番号が付与される。氏名、住所等の生産者に関する情報、その年の栽培量、栽培に用いる圃場、収穫時期などの契約情報は、情報センターのデータベース22に格納される。情報センターの資材作成装置23は、このデータベース22に格納された生産者の契約情報を読み出して、生産者ごとの栽培日誌1を印刷し、印判2の印面の作成に用いるフィルム25を作成する。ここで、フィルム25は、栽培の個々の作業名、資材・肥料名、薬剤名を記録した2次元コードを表わすものである。
【0040】
これら栽培日誌1とフィルム25は、各生産者のもとに配られる。生産者は、フィルム25(通常は複数枚)を印判2の作製業者(図示せず)に持ち込み、印判2の作製を依頼する。ただし、生産管理団体が各生産者の印判作製依頼を代行し、フィルム25ではなく作製した印判2を各生産者に配るようにしてもよい。
【0041】
さらに、情報センターの生産情報サーバ20は、各生産者の携帯電話機5に対し、生産情報収集用のアプリケーションプログラムのダウンロードを許可する。生産者は、情報センターからの通知によりアプリケーションプログラムをダウンロードする。このアプリケーションプログラムは、携帯電話機5のフラッシュメモリ15に格納される。そして、生産情報サーバ20は、契約情報に基づいてデータベース22内に各生産者の生産情報データベースを作成し、生産情報の収集を開始する。
【0042】
生産者は、実際に農作物の栽培を開始すると、農作業を行うごとに栽培日誌1をつける。図2に示す栽培日誌1を例に説明すると、04年4月12日に施肥作業を行った場合には、作業記録欄の「年月日」欄に日付を手書きし、肥料の施用量を「施用量」欄に手書きする。そして、作業記録欄の「作業名」欄に「施肥」の印判2(図3(a)参照)を押印し、「資材・肥料名」欄に肥料名である「堆肥」の印判2を押印する。「備考欄」には、必要に応じて作業内容等のメモを書き込む。
【0043】
続いて、生産者は、栽培日誌1に記録したデータを携帯電話機5から生産情報サーバ20に送信するため、所定の操作を行って携帯電話機5に格納されたアプリケーションプログラムを起動する。図7および図8は、携帯電話機5のマイコン7が実行するアプリケーションプログラムのフローチャートを示している。アプリケーションプログラムが起動すると、マイコン7は、ステップS1において生産者と生産物(農作物)を特定するデータを入力する。
【0044】
具体的には、図8に示すように、ディスプレイ10に表示される指示に従って生産者がカメラ14で「所属団体名」欄の2次元コードを撮影するとその画像データを入力し(ステップT1)、デコーダにより画像データに記録された文字データ(所属団体名)を得る(ステップT2)。続いて、生産者がカメラ14で「生産品名」欄の2次元コードを撮影するとその画像データを入力し(ステップT3)、デコーダにより画像データに記録された文字データ(生産品名)を得る(ステップT4)。同様にして、ステップT5、T6で生産者名を表す文字データを得、ステップT7、T8で圃場番号を表す文字データを得る。
【0045】
図7に戻って、マイコン7は、例えば生産者が行うメニュー選択により生産終了情報の送信か否かを判断する(ステップS2)。生産終了情報とは、栽培した農作物の出荷までの生産作業が全て終了したことを示す情報である。ここで「YES」と判断すると、ステップS3に移行し、ディスプレイ10に表示される指示に従って生産者がカメラ14で撮影した「生産終了送信」欄の2次元コードの画像データを入力し(ステップS3)、デコーダにより画像データから生産終了情報を得て生産情報サーバ20に送信する。この時、生産者と生産物に関する情報およびクロック16から得た日付データ(送信日付データ)も合わせて送信する。この点は、以下に述べる送信処理S8、S12、S15においても同様である。
【0046】
ステップS2で「NO」と判断するとステップS5に移行し、作業情報の送信か否かを判断する。ここで「YES」と判断するとステップS6に移行し、ディスプレイ10に表示される指示に従って生産者がカメラ14で撮影した「作業名」欄の2次元コードの画像データを入力する。そして、その作業の種類に応じてさらに「資材・肥料名」欄または「薬剤名」欄の2次元コードの画像データを入力する。マイコン7は、デコーダによりこれらの画像データから作業情報を得る。さらに、ステップS7に移行して、ディスプレイ10に表示される指示に従って生産者がキーパッド11により入力した薬剤等の希釈倍数、肥料または薬剤の施用量を入力する。施用量を入力する必要がない作業では、ステップS7はスキップする。
【0047】
図9は、作業情報を入力する場合における携帯電話機5のディスプレイ10の表示例を示している。(a)は、生産者に対し「生産品名」欄の2次元コードの撮影を促す時の画面表示で、(b)は、肥料の施用量のキー入力を促す時の画面表示である。施肥作業の場合に肥料の施用量が入力されると(c)に示す送信画面が表示される。ここで、「1」のキー(「送信する」)が押されると、マイコン7はステップS8に移行して入力した作業情報を生産情報サーバ20に送信する。
【0048】
ステップS5で「NO」と判断するとステップS9に移行し、写真の送信か否かを判断する。この写真の送信は、栽培した農作物の写真を生産情報サーバ20に送信するために用いられる。ステップS9で「YES」と判断するとステップS10に移行し、図10に示すように、送信する写真をディスプレイ10に表示した状態で、生産者がカメラ14で撮影した「写真送信」欄の2次元コードの画像データを入力する(ステップS11)。そして、デコーダにより2次元コードの画像データから写真送信情報を得て、上記写真データを生産情報サーバ20に送信する(ステップS12)。この写真データは、生産情報サーバ20によってデータベース22に格納される。なお、写真データとともに写真撮影日時を送信するようにしてもよい。
【0049】
ステップS9で「NO」と判断するとステップS13に移行し、収穫予定情報(または出荷予定情報)の送信か否かを判断する。ここで「YES」と判断するとステップS14に移行し、ディスプレイ10に表示される指示に従って生産者がカメラ14で撮影した「問合せ」欄または「送信」欄の2次元コードの画像データを入力する。ここで、「送信」とは、明日、明後日、明々後日の収穫予定情報を生産情報サーバ20に送信するために用いられ、「問合せ」とは、過去に送信してデータベース22に格納されている収穫予定情報を携帯電話機5にダウンロードするために用いられる。収穫予定情報が新たに入力されまたは修正されると、マイコン7はステップS15に移行して収穫予定情報を生産情報サーバ20に送信する。以上により、栽培日誌1に新たに記録した作業情報の送信を完了し、アプリケーションプログラムが終了する。
【0050】
一方、情報センターに設置された生産情報サーバ20は、各生産者の携帯電話機5からインターネット19を介して送られてきた情報をデータベース22に格納し、消費者または取引者の携帯電話機30からインターネット19を介して送られてきた生産情報の閲覧要求に対し必要な生産情報を提供し、また、出荷管理サーバ26からの要求に対し出荷ラベル用情報を提供する。
【0051】
図11は、生産情報サーバ20が実行する生産情報収集処理および生産情報提供処理のフローチャートを示している。生産情報サーバ20は、ステップR1において、生産管理団体に属する生産者から生産情報を入力したか否かを判断する。生産情報とは、生産者と生産物に関する情報、作業情報、農作物の写真データなどの情報をいう。ここで「YES」と判断すると、ステップR2に移行して生産者と生産物に関する情報からデータベース22内の更新するデータを特定し、受信した生産情報、送信日付データおよびカレンダー手段21から得た日付データ(受信日付データ)によりデータを更新する。これにより、各生産者の手元にある栽培日誌1に記録された情報と同等の情報を持つデータがデータベース22に格納される。
【0052】
ステップR1で「NO」と判断するとステップR3に移行し、収穫予定情報(または出荷予定情報)を入力したか否かを判断する。ここで「YES」と判断すると、ステップR4に移行して各生産者からの全出荷量を集計する。
ステップR3で「NO」と判断するとステップR5に移行し、出荷管理サーバ26からの出荷ラベル用情報の要求か否かを判断する。ここで「YES」と判断すると、ステップR6に移行して出荷管理サーバ26に出荷ラベル用情報を出力する。この情報を受けて、出荷管理サーバ26は、出荷センターまたは出荷予冷センターに設置されたラベル発行装置27に対し出荷ラベル発行用データおよび商品ラベル発行用データを出力する。ラベル発行装置27は、これら出荷ラベル発行用データおよび商品ラベル発行用データを記録した2次元コードを含む出荷ラベル28および商品ラベル29を自動印刷する。生産情報サーバ20は、ステップR5で「NO」と判断するとステップR7に移行する。
【0053】
消費者または取引者は、商品(農産品)について詳しい情報を得たい場合には、商品(農産品)に付された商品ラベル29の2次元コード(図6参照)を携帯電話機30のカメラ14で撮影し、それをデコードして閲覧要求として生産情報サーバ20に送信する。2次元コードに記録された情報は、携帯電話機30のディスプレイ10に表示される。生産情報サーバ20は、ステップR7において、入力した識別情報に基づいて消費者または取引者の携帯電話機30からの生産情報の閲覧要求か否かを判断する。
【0054】
ここで「YES」と判断すると、ステップR8に移行して、データベース22の中から要求された生産情報(生産者、所属団体、産地、収穫日、出荷日、栽培方法、写真等の詳細情報)を検索し、それを携帯電話機30に送信する。このとき、その農産物の問合せセンター(情報受容者に相当)への連絡方法を示すアクセス情報(電話番号、WEBページのアドレス、メールアドレスなど)を付加する。生産管理団体により運営される問合せセンターは、消費者等からの意見や苦情を受け付け対処する。
【0055】
ステップR7で「NO」と判断するとステップR9に移行し、生産者の携帯電話機5から生産終了情報を入力したか否かを判断する。ここで「YES」と判断すると、ステップR10に移行して当該生産者について生産終了処理を実行する。この生産終了処理とは、最終出荷の日から所定期間(例えば10日)後に、データベース22(生産情報データベース)を閉じる処理をいう。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の生産情報管理システムでは、生産者は、生産者を特定する情報と生産物を特定する情報を記録した2次元コードが印刷された栽培日誌1を持ち、農作業を行うごとにその農作業に対応した2次元コードの印面を有する印判2を栽培日誌1に押印し、その印影を自ら所持するカメラ機能付き携帯電話機5を用いて撮影する。また、必要に応じて希釈倍数や施用量をキー入力する。携帯電話機5は、生産情報収集用のアプリケーションプログラムを実行することにより、これらの生産情報を生産情報サーバ20に自動送信する。
【0057】
このシステムによれば、生産者が個々に自由な書式でつけていた生産日誌に替えて、生産管理団体が作成した一定書式の栽培日誌1および生産者に広く普及している携帯電話機5を利用して生産情報を送信するので、生産者の記録作業および生産者が所有する設備について特別な負担(手間やコスト)をかけることなく、各生産者の生産(栽培)に関する情報を生産情報サーバ20にて一元的に管理することができる。栽培日誌1には、2次元コードの印面を有する印判2が押印されるが、この印面には2次元コードの他に当該2次元コードに対応した見出し文字も形成されているので、生産者は、栽培日誌1に記録された内容を見出し文字により容易に確認することができる。
【0058】
一方、消費者や取引者は、カメラ機能付き携帯電話機30を用いて、商品に貼り付けられた商品ラベル29に表わされた2次元コードを撮影して情報センターに送信することにより、データベース22に格納されている生産情報を携帯電話機30に表示させて閲覧することができる。これにより、商品のトレーサビリティを確保することができる。また、問合せセンターへの連絡方法を示すアクセス情報も閲覧可能であるため、消費者や取引者は、より詳しい情報を得ることができる。
【0059】
携帯電話機5は、ソフトウェア処理によるデコーダを内蔵しており、カメラ14で撮影された2次元コードの画像データに記録された文字データをデコードし、その文字データを送信することができる。これにより、デコード処理を各生産者の有する携帯電話機5に分散させることができ、生産情報サーバ20の処理負担を減らすことができる。
印判2の印面は、厚さ0.4mm〜1.2mmの薄層であって、気泡の平均セル径が20μm〜50μm、気泡率が65〜85%の連続気泡を有する熱可塑性樹脂から構成されているので、押印時のインク供給が少量かつ適切な量となり、2次元コードの印影を明瞭に形成することができる。
【0060】
(第2の実施形態)
次に、出荷レベルにRFタグを用いた第2の実施形態について図12を参照しながら説明する。
図12(a)に示すように、ラベル発行装置31(ラベル出力装置に相当)にはRFタグリーダライタ32(RFタグリーダライタ手段に相当)が接続されている。このRFタグリーダライタ32は、ラベル発行装置31との間でデータを入出力する送受信制御回路33、送信回路34と受信回路35(非接触通信手段に相当)およびアンテナ36から構成されている。
【0061】
一方、出荷ラベルは、図12(b)に示すRFタグ37を備えている。このRFタグ37は、アンテナ38、受信回路39と送信回路40(非接触通信手段に相当)、制御回路41およびメモリ42(不揮発性記憶手段)から構成されている。メモリ42は、例えばEEPROMやフラッシュメモリなど電気的に書き換え可能な不揮発性メモリにより構成されている。
【0062】
ラベル発行装置31は、生産情報サーバ20に対し出荷ラベル用情報を要求し、生産情報サーバ20から受信した出荷ラベル用情報を記録した2次元コードを出荷ラベル28に印刷するとともに、その2次元コードに記録した情報の少なくとも一部をRFタグリーダライタ32を用いてRFタグ37のメモリ42に書き込む。このRFタグ37は、出荷ラベル28に付加される。同様に、ラベル発行装置31は、商品ラベル用情報を記録した2次元コードを商品ラベル29に印刷するとともに、その2次元コードに記録した情報の少なくとも一部をRFタグリーダライタ32を用いてRFタグ37のメモリ42に書き込む。このRFタグ37は、商品ラベル29に付加される。
【0063】
本実施形態によれば、商品(例えば農産物)の流通過程および販売過程において、物流管理や販売管理を容易に行うことができるとともに、商品のトレーサビリティを一層高めることができる。
【0064】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
コード情報保持手段として印判2を用いたが、表面(表示面)に2次元コードが印刷され、裏面に接着層が形成されたシールを用いてもよい。この場合、生産者は、農作業が終了するごとに栽培日誌1に当該作業に対応したシールを貼り付け、それを携帯電話機5のカメラ14で撮影すればよい。このシールは、資材作成装置23により作成可能である。
【0065】
携帯電話機5に2次元コードのデコード手段を備えたが、これに替えて生産情報サーバ20にデコード手段を備えてもよい。この場合、携帯電話機5は、カメラ14で撮影された2次元コードの画像データを圧縮して生産情報サーバ20に送信し、生産情報サーバ20は、受信した画像データを伸長した後、2次元コードをデコードして記録された文字情報を取得する。この構成によれば、携帯電話機5からデコード手段を省くことができ、携帯電話機5のコストを下げることができる。
【0066】
生産者が希望すれば、生産情報サーバ20から携帯電話機5にアプリケーションプログラムを自動送信するような構成としてもよい。
希釈倍数および施用量の入力は、携帯電話機5へのキー操作に替えて手書き入力手段や音声入力手段を用いてもよい。
通信回線は、インターネット19に限られず、例えば公衆電話通信網であってもよい。
【0067】
情報端末装置としてカメラ機能付きの携帯電話機5を利用したが、これは現在広く普及しているからである。今後、カメラ等の2次元コードの認識手段を備えた他の情報端末装置が普及した場合には、携帯電話機5に替えてそうした情報端末装置を利用できることは言うまでもない。
上記実施形態では、農産物の生産を例に説明したが、商品としては農産物に限られない。本発明でいう「生産」は広義に解釈でき、本生産情報管理システムは、農産物の生産情報管理のみならず工業製品の生産情報管理、漁獲量の管理などにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す生産情報管理システムの全体構成図
【図2】栽培日誌の一例を示す図
【図3】印判とその印影を示す図
【図4】携帯電話機の電気的構成を示す機能ブロック図
【図5】出荷ラベルを示す図
【図6】商品ラベルを示す図
【図7】携帯電話機のアプリケーションプログラムのフローチャート(その1)
【図8】携帯電話機のアプリケーションプログラムのフローチャート(その2)
【図9】携帯電話機のディスプレイの表示例を示す図
【図10】写真を送信するときの操作方法を示す図
【図11】生産情報サーバが実行する生産情報収集処理および生産情報提供処理のフローチャート
【図12】本発明の第2の実施形態を示し、(a)はRFタグリーダライタのブロック構成図、(b)はRFタグのブロック構成図
【符号の説明】
【0069】
1は栽培日誌(生産記録原簿)、2は印判(コード情報保持手段、浸透印具)、5は携帯電話機(情報端末装置)、14はカメラ(認識手段)、16はクロック(カレンダー手段)、19はインターネット(通信回線)、20は生産情報サーバ、21はカレンダー手段、22はデータベース(生産情報データベース)、23は資材作成装置(生産記録原簿作成装置、パターン作成装置)、26は出荷管理サーバ(出荷管理端末装置)、27、31はラベル発行装置(ラベル出力装置)、30は携帯電話機(情報端末装置)、32はRFタグリーダライタ(RFタグリーダライタ手段)、37はRFタグ、42はメモリ(不揮発性記憶手段)である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
各生産者による商品の生産に関する情報を収集して管理する生産情報管理システムであって、
所定の書式を有し、その書式中の所定の位置に少なくとも生産者を特定する情報および当該生産者が生産する商品を特定する情報が2次元コードで記録され、さらに当該商品を生産するために実施した生産作業の内容を記録する記録欄が設けられた生産記録原簿と、
前記商品の生産過程における個々の生産作業に関する情報ごとに設けられ、各生産作業に関する情報を記録した2次元コードが表わされた表示面を有し、各生産作業の終了時に前記表示面が前記生産記録原簿の所定の位置に押し付けられまたは貼付されることにより当該生産記録原簿上に2次元コードを表わすコード情報保持手段と、
前記商品の各生産作業の終了時点において前記生産記録原簿上に表わされている2次元コードを認識するための認識手段およびこの認識手段から出力される認識情報を通信回線を介して送信する通信手段を有する情報端末装置と、
前記情報端末装置から前記通信回線を介して受信した認識情報を生産情報データベースに格納し、その認識情報に基づいて各生産者の生産に関する情報を一元的に管理する生産情報サーバとを備えていることを特徴とする生産情報管理システム。
【請求項2】
前記生産者を特定する情報および当該生産者が生産する商品を特定する情報を入力し、生産者と商品とが特定された前記生産記録原簿を作成する生産記録原簿作成装置と、
前記生産作業に関する情報を入力し、前記コード情報保持手段が有する表示面に表わされる2次元コードのパターンを作成するパターン作成装置とを備えていることを特徴とする請求項1記載の生産情報管理システム。
【請求項3】
前記コード情報保持手段は浸透印具から構成され、その印面は、連続気泡を有する薄層の熱可塑性樹脂からなり、前記2次元コードのパターンが形成された印刻面層と、インクを保持し前記印刻面にインクを供給するインク保持層とを有していることを特徴とする請求項1または2記載の生産情報管理システム。
【請求項4】
前記印面は、厚さ0.4mm〜1.2mmの薄層であって、気泡の平均セル径が20μm〜50μm、気泡率が65〜85%の連続気泡を有する熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項3記載の生産情報管理システム。
【請求項5】
前記浸透印具の印刻面層には、2次元コードのパターンとともに当該2次元コードに対応した見出し文字のパターンが形成されていることを特徴とする請求項3または4記載の生産情報管理システム。
【請求項6】
前記浸透印具は、前記印刻面層に形成されたパターンを識別するための見出し表示部を有していることを特徴とする請求項3ないし5の何れかに記載の生産情報管理システム。
【請求項7】
前記情報端末装置は、前記認識手段から出力される2次元コードの認識情報をデコードして当該2次元コードに記録された情報を認識するデコード手段を備え、前記通信手段は、このデコード手段から出力される認識情報を前記通信回線を介して送信することを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の生産情報管理システム。
【請求項8】
前記生産情報サーバは、受信した前記2次元コードの認識情報をデコードして前記2次元コードに記録された情報を認識するデコード手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の生産情報管理システム。
【請求項9】
前記情報端末装置は、日付情報を出力するカレンダー手段を備え、前記生産記録原簿上に表わされている2次元コードを認識した時点の日付情報またはその認識情報を送信する時点の日付情報を前記カレンダー手段から取得し、その日付情報を前記認識情報とともに送信することを特徴とする請求項1ないし8の何れかに記載の生産情報管理システム。
【請求項10】
前記生産情報サーバは、日付情報を提供するカレンダー手段を備え、前記認識情報を受信した時点の日付情報を前記カレンダー手段から取得し、その日付情報を前記受信した認識情報に付加して前記生産情報データベースに格納することを特徴とする請求項1ないし8の何れかに記載の生産情報管理システム。
【請求項11】
前記生産情報サーバは、提供を希望する生産情報の種類を特定するための指定情報と装置を識別するための識別情報とを含む提供要求情報を送信可能な情報端末装置から受信した提供要求情報の指定情報に基づいて、前記生産情報データベースの中から要求された生産情報を検索し、受信した提供要求情報の中の識別情報に基づいて、提供する生産情報の書式を選択し、この選択した書式により前記検索した生産情報を前記提供要求情報を発した情報端末装置に送信することを特徴とする請求項1ないし10の何れかに記載の生産情報管理システム。
【請求項12】
さらに、生産された商品を集荷し、消費地に向けて出荷するための商品情報を管理する出荷管理端末装置を備え、
その出荷管理端末装置は、2次元コードが表わされた出荷ラベルを作成するラベル出力装置を備えていることを特徴とする請求項11記載の生産情報管理システム。
【請求項13】
前記生産情報サーバは、受信した提供要求情報の識別情報に基づいて前記情報端末装置が前記出荷管理端末装置であると認識した場合、より詳細な生産情報を提供する者への連絡方法を示すアクセス情報を前記生産情報に付加して送信することを特徴とする請求項12記載の生産情報管理システム。
【請求項14】
前記出荷ラベルは、非接触通信手段と不揮発性記憶手段とからなるRFタグを備え、
前記ラベル出力装置は、2次元コードに記録した情報の少なくとも一部を前記RFタグの不揮発性記憶手段に記憶させるために前記RFタグと非接触通信を行うRFタグリーダライタ手段を備えていることを特徴とする請求項12または13記載の生産情報管理システム。
【請求項15】
前記生産情報サーバは、受信した提供要求情報の識別情報に基づいて前記情報端末装置が消費者または取引者の有する端末装置であると認識した場合、当該商品に対する情報受容者への連絡方法を示すアクセス情報を前記生産情報に付加して送信することを特徴とする請求項11記載の生産情報管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−3968(P2006−3968A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176949(P2004−176949)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【出願人】(500447543)アークタム株式会社 (1)
【出願人】(500295221)株式会社ネットワーク研究所 (1)
【出願人】(591106864)富士通エフ・アイ・ピー株式会社 (95)