説明

産業用車両のエンジン冷却装置

【課題】冷却ファンからの冷却風を効率よくラジエータコアへ導く産業用車両のエンジン冷却装置を提供する。
【解決手段】産業用車両のエンジン2の後方に配置されエンジン2を冷却するラジエータ4と、ラジエータ4に冷却風を送る冷却ファン5と、ラジエータ4に取り付けられ冷却風をラジエータ4へ導くファンシュラウド6とが設けられてなる産業用車両のエンジン冷却装置1であって、ファンシュラウド6が、冷却ファン5の送風側を覆うとともに冷却ファン5が配置されるための開口部15が形成されたファンシュラウド本体13と、ファンシュラウド本体開口部15と冷却ファン5との隙間を調整する略半円環状の板で且つ当該隙間を調整するために十分な穴径を有する取付穴28が形成された左右一対の分割調整板22と、この分割調整板22をファンシュラウド本体13に当該取付穴28を介して取り付けるためのボルト12aおよび座金12bとから構成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用車両のエンジン冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業用車両、例えばフォークリフトのエンジン冷却装置として、エンジンの冷却水を配管を介して導くとともに冷却ファンにより当該冷却水を冷却するためのラジエータが用いられている。この冷却ファンからの冷却風を被冷却部分であるラジエータコアに効率的に導くために、冷却ファンを配置するための円形の開口部が形成されたファンシュラウドがラジエータ前面に取り付けられている。そして、この開口部は、上記フォークリフトが凸凹の激しい路面を走行中に、回転している冷却ファンがファンシュラウドに接触して破損することがないように、冷却ファンよりも大きい内径にされており、通常は開口部と冷却ファン外縁との間には或る程度(例えば、10〜15mm)の隙間が形成されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2555413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フォークリフトにおいては、冷却ファンはエンジン側に設けられており、またファンシュラウドはラジエータ側に設けられているため、車両の形状によっては、冷却ファンとファンシュラウド開口部との中心を合わせることが困難となる。
【0005】
また、冷却ファンとファンシュラウド開口部との中心がずれると冷却効率が低下し、さらに、冷却ファンの中心とラジエータコアの中心が大きくずれる車両では、ラジエータにファンシュラウドを取り付けることが困難になるといった問題がある。加えて、冷却ファンはエンジン側に設けられているため、エンジン冷却装置のフォークリフトへの設置後にファンシュラウドの取り外しが困難であり、冷却ファンの清掃、点検等が容易ではないというメンテナンス上の問題もある。
【0006】
そこで、本発明は、冷却ファンとラジエータコアの中心位置がずれても、冷却ファンからの冷却風を効率よくラジエータコアへ導くことができ、さらにメンテナンス性のよい産業用車両のエンジン冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る産業用車両のエンジン冷却装置は、産業用車両のエンジンの後方に配置されエンジンを冷却するラジエータと、ラジエータに冷却風を送る冷却ファンと、ラジエータに取り付けられ冷却風をラジエータへ導くファンシュラウドとが設けられてなる産業用車両のエンジン冷却装置であって、
上記ファンシュラウドが、上記冷却ファンの送風側を覆うとともにラジエータに取り付けられた箱体で且つ冷却ファンが配置されるための開口部と当該開口部の周囲にボルト接合用の穴とが形成されたファンシュラウド本体と、ファンシュラウド本体開口部と冷却ファンとの隙間を調整する略半円状の板で且つファンシュラウド本体開口部の内径よりも小さい内径を有する半円状の冷却ファン配置用開口部が形成されるとともにファンシュラウド本体のボルト接合用穴よりも内径の大きい上記隙間の調整用の取付穴が形成された左右一対の分割調整板と、これら各分割調整板を上記ファンシュラウド本体に上記取付穴を介して取り付けるためのボルトおよび座金とから構成されるものである。
【0008】
また、請求項2に係る産業用車両のエンジン冷却装置は、請求項1に記載の産業用車両のエンジン冷却装置において、分割調整板の冷却ファン配置用開口部の内周にフランジ部を設けたものである。
【0009】
さらに、請求項3に係る産業用車両のエンジン冷却装置は、請求項2に記載の産業用車両のエンジン冷却装置において、
分割調整板の表面と裏面でフランジ部の突出幅が異なり、フランジ部および分割調整板の端面と直交する方向に案内片が取り付けられ、この案内片に分割調整板との接触部で切り欠きが形成され、ファンシュラウド本体の開口部の縁に上記案内片を挿通する案内溝を形成したものである。
【発明の効果】
【0010】
上記産業用車両のエンジン冷却装置の構成によると、容易に冷却ファンの中心とファンシュラウド開口部との中心を合わせることができ、冷却効率を向上させることができる。
また、冷却ファンの外周を覆う調整板は左右に分割された分割調整板であるため、エンジンおよびラジエータを産業用車両に設置した状態で上記分割調整板を取り付けおよび取り外しができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0011】
さらに、冷却ファンの外周を覆うファンシュラウドのフランジ部により、冷却風を漏れなく導入して整流でき、また長短のいずれか適当な長さのフランジ部を選択できることから、冷却風を効率よくファンシュラウド内に導入し、より冷却効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係るフォークリフトのエンジン冷却装置を示す側面図である。
【図2】同フォークリフトのエンジン冷却装置におけるファンシュラウドおよびラジエータの斜視図である。
【図3】本発明の実施例2に係るフォークリフトのエンジン冷却装置におけるファンシュラウドおよびラジエータの斜視図である。
【図4】本発明の実施例3に係るフォークリフトのエンジン冷却装置におけるファンシュラウドおよびラジエータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
以下に、本発明の実施例1に係る産業用車両のエンジン冷却装置を図1および図2に基づき説明する。
なお、本実施例1においては、産業用車両がフォークリフトである場合について説明する。
【0014】
図1に示すように、このフォークリフトのエンジン冷却装置1は、概略的には、エンジン2の後方に配置されてエンジン2の冷却水を配管3を介して導くとともに当該冷却水を冷却するためのラジエータ4と、エンジン2の後面に設けられ当該ラジエータ4に冷却風を送ることにより当該冷却水を冷却させる冷却ファン5と、この冷却ファン5からの冷却風をラジエータ4の被冷却部分であるラジエータコアへ導くためのファンシュラウド6とから構成されている。
【0015】
したがって、フォークリフトを走行させるためにエンジン2を始動させると、エンジン2の冷却水は、エンジン2の熱を吸収して配管3によりラジエータコアまで導かれ、ファンシュラウド6により導かれた冷却ファン5からの冷却風を受けることで、エンジン2の放熱を行う。
【0016】
以下、このファンシュラウド6およびラジエータ4の構成を図2に基づき説明する。
このファンシュラウド6は、ファンシュラウド本体13と、冷却ファン5の回転軌跡である外周とファンシュラウド6との隙間を調整する調整板11と、これらを接合するボルト12a、丸座金12bおよびナット12cとから構成されている。さらに、上記調整板11は、左右に分割されている。
【0017】
このファンシュラウド本体13は、冷却ファン5の外周径(直径)よりも十分(例えば、50〜70mm程度)大きい円形の開口部15が形成され且つこの開口部15の周囲にボルト12a接合用の穴が数箇所(例えば4箇所)形成された冷却ファン5取付用の取付板部14と、この取付板部14の四方から後方にそれぞれ折り曲げられた側板部16と、この上側の側板部16の左右にそれぞれ取り付けられファンシュラウド本体13をラジエータ4前面へ固定するための金具であってネジ用取付穴が形成されたL字形金具17と、左右の側板部16にそれぞれ取り付けられファンシュラウド本体13を支持する支持片18とから構成されている。勿論、取付板部14の反対側は開口面にされている。なお、上記ナット12cは、取付板部14の後面のボルト12a接合用の穴位置に溶接されたものでもよい。一方、上記ラジエータ4は、前面視が長方形状で且つ左右方向が長手方向となる略厚板形状であって、被冷却部分を有する前面側に上記ファンシュラウド本体13の開口面が接するようにファンシュラウド6が取り付けられ、上面の左右両端側に上記ファンシュラウド本体13のL字形金具17が接合されるためのネジ穴がそれぞれ形成されるとともに、前面の左右両端側に上記ファンシュラウド本体13の支持片18を受けるための溝部を有する支持部材19がそれぞれ取り付けられている。
【0018】
一方、上記調整板11を左右に分割した各分割調整板22は、それぞれが半円状であって、冷却ファン5とファンシュラウド本体13の開口部15との隙間を覆う半円環状板部24と、両分割端面の半円環状板部24端面から前方に向けて他方側の分割調整板22の分割端面と当接するための案内片23とから構成されている。また、左右の分割調整板22を各案内片23で当接させてなる調整板11の内周に、円形の開口部26が形成される。
【0019】
この半円環状板部24は、外径がファンシュラウド本体13の取付板部14の開口部15よりも大きく、また内側の開口部26の内径が冷却ファン5の外周径(直径)よりも20〜30mm程度大きく、外周部に上記取付板部14のボルト12a接合用の穴と対応する位置に半円状の取付部27を有するとともに、この取付部27には調整板11を上記取付板部14に位置調整可能に取り付けるための調整代を穴径に含めた取付穴28(穴径30〜40mm程度)が形成されている。
【0020】
そして、上記調整板11は、ボルト12a、丸座金12bおよびナット12cによりファンシュラウド本体13へ取り付けられている。
上記構成において、フォークリフトへの上記エンジン冷却装置1の設置について説明する。このファンシュラウド本体13とラジエータ4とは、ラジエータ4の支持部材19の溝部にファンシュラウド本体13の支持片18が案内支持され、ファンシュラウド本体13のL字形金具17が小ネジによりラジエータ4の上面へ取り付けられることで、合体されている。
【0021】
そして、エンジン2の設置によりエンジン2側に設けられた冷却ファン5の位置が固定されるため、この冷却ファン5がファンシュラウド本体13の開口部15内に位置するように、ラジエータ4を設置する。そして、製作上の誤差などにより、冷却ファン5の中心とファンシュラウド本体13の開口部15の中心が一致しない場合もあるが、この場合は重量物であるラジエータ4を動かさず、冷却ファン5の中心と開口部(冷却ファン配置用開口部、以下調整板開口部ともいう)26の中心が一致するように一方の分割調整板22のファンシュラウド本体13への取り付けを行う。そして、左右の分割調整板22の案内片23が一致するように当接させて他方の分割調整板22の位置決めを行い、当該他方の分割調整板22の取り付けを行う。実際には、冷却ファン5の外周と調整板開口部26の内周面との隙間が均一となるように、分割調整板22の位置決めを行い、上記取付穴28のボルト12aおよびナット12cにより丸座金12bを介して分割調整板22を固定する。また、製作上の誤差だけでなく、車両の形状やエンジン2側に設けられた冷却ファン5の位置次第では、冷却ファン5の中心とファンシュラウド本体13の開口部15の中心が一致しない場合もあるが、この場合も同様に、分割調整板22により中心の位置合わせを行う。なお、エンジン2とラジエータ4とは、冷却水用配管3で接続する。
【0022】
このように、冷却ファン5の中心とファンシュラウド本体13の開口部15の中心がずれた場合でも、冷却ファン5の外周と分割調整板開口部26の内周面との隙間が均一となるように調整板11の位置を調整することで、容易に冷却ファン5とファンシュラウド6の開口部26の中心とを合わせることができる。
【0023】
すなわち、冷却ファン5の外周とファンシュラウド6の開口部26の内周面との隙間を均一にすることで、冷却ファン5からの冷却風をスムーズにファンシュラウド6内に導入でき、したがってこの冷却風を効率よくラジエータコアへ導くことができる。また、エンジン2およびラジエータ4をフォークリフトに設置した状態で、上記各分割調整板22の取り付けおよび取り外しを行うことができ、さらに、各分割調整板22の案内片23を当接させて容易に開口部26を形成できるため、メンテナンス性を向上させることもできる。
【実施例2】
【0024】
次に、本発明の実施例2に係る産業用車両のエンジン冷却装置を図3に基づき説明する。
なお、本実施例2においても、産業用車両がフォークリフトである場合について説明する。
【0025】
本実施例2に係るフォークリフトのエンジン冷却装置1は、上記実施例1に係る構成とほとんど同じであるため、同一部分については説明を省略する。
上記実施例1に係るフォークリフトのエンジン冷却装置1においては、分割調整板22は半円環状板部24および案内片23からなるが、図3に示すように、本実施例2の調整板31は、実施例1での各分割調整板22の内周に半フランジ部35をそれぞれ取り付けたものである。
【0026】
すなわち、各分割調整板32は、それぞれが半円状であって、半円環状板部34と案内片33とを具備し、さらに、半円環状板部34の内周に当該半円環状板部34と直交する方向に取り付けられるとともに半円環状板部34の表側および裏側に同一の幅で突出した半フランジ部35とを具備している。また、左右の分割調整板32を各案内片33で当接させてなる調整板31の内周には、開口部(冷却ファン配置用開口部、以下調整板開口部ともいう)36が形成される。
【0027】
上記構成においては、実施例1と同様に、フォークリフトにエンジン2およびラジエータ4を設置後に、ファンシュラウド本体13の開口部15内に配置された冷却ファン5の中心と、調整板開口部36との中心が一致するように各分割調整板32の取り付けを行う。
【0028】
そして、調整板31は、調整板31のフランジ部35が冷却ファン5の外周を覆うことから冷却ファン5からの冷却風を漏れなくファンシュラウド6内に導入し、さらにフランジ部35はファンシュラウド本体13内に突出しているためファンシュラウド6内に導入された冷却風を整流してラジエータコアまで導く。
【0029】
このように、本実施例2では、フランジ部35が冷却ファン5の外周を覆うとともに冷却風を整流するため、より効率的に冷却風をラジエータコアへ導くことができ、実施例1での効果に加えて、さらに冷却効率を向上させることができる。
【実施例3】
【0030】
次に、本発明の実施例3に係る産業用車両のエンジン冷却装置を図4に基づき説明する。
なお、本実施例3においても、産業用車両がフォークリフトである場合について説明する。
【0031】
本実施例3に係るフォークリフトのエンジン冷却装置1も、上記実施例1および2に係る構成とほとんど同じであるため、同一部分については説明を省略する。
上記実施例2に係るフォークリフトのエンジン冷却装置1においては、各分割調整板32は前側と後側で半円環状板部34からの半フランジ部35の突出幅が同一であり、案内片33は前側のみに取り付けられていたが、本実施例3においては図4に示すように、分割調整板42は、半フランジ部45の突出幅が前側と後側で異なり、案内片43も前側と後側に取り付けられている。また、左右の分割調整板42を各案内片43で当接させてなる調整板41の内周には、実施例2と同様に開口部(冷却ファン配置用開口部で、以下調整板開口部ともいう)46が形成される。すなわち、冷却ファン5の周囲をフランジ部45で十分に覆うことができるようにするために、分割調整板42の半フランジ部45の突出幅を表裏で異なるものとした上で、表裏のいずれの側でもファンシュラウド本体13へ取り付けることができる構成とされている。つまり、この各分割調整板42は、実施例2と同様にそれぞれが半円状であって、半円環状板部44と、半フランジ部45と、分割端面で案内片43とを具備するが、この半フランジ部45は半円環状板部44からの前後方向への突出幅が異なるように取り付けられている。さらに案内片43は、半フランジ部45の分割端面から垂直に折り曲げられて当該半円環状板部44の分割端面を覆うものであり、また分割調整板42をファンシュラウド本体13の取付板部14と干渉することなく左右に動かすことができるように、案内片43には半円環状板部44端面との接触ラインに沿って取付板部14を挿通できるスリット47が形成されている。
【0032】
一方、ファンシュラウド本体13の開口部15の上部および下部には、上記案内片43を挿通できる案内溝48が、当該開口部15の内周面と直交する方向にそれぞれ形成され、すなわち上部の案内溝48は当該開口部15から上方へ、下部の案内溝48は当該開口部15から下方へ形成されている。
【0033】
上記構成においても、実施例1および実施例2と同様にフォークリフトへエンジン2およびラジエータ4を設置後に分割調整板42の取り付けおよび取り外しを行い得る。また、実施例2と同様にフランジ部45が冷却風を導入して整流する。しかし、これら実施例1および実施例2とは異なり、本実施例3に係る分割調整板42は、案内片43が案内溝48に挿通されることで、取付板部14と干渉することなく裏返して取り付けることができる。また上記分割調整板42の表側と裏側で半フランジ部45の突出幅が異なることから、冷却ファン5とファンシュラウド本体13の前後間の距離をみて、冷却ファン5の周囲を左右一対の分割調整板42のフランジ部45で十分に覆うことができるように、適当なフランジ部45の突出幅を有する面を前側として選択する。そして、ファンシュラウド本体13の取付板部14への分割調整板42の取り付けでは、分割調整板42の案内片43が上下方向に形成された取付板部14の案内溝48に挿通されるため、分割調整板42の上下方向での移動が可能であり、また案内片43に形成されたスリット47に取付板部14が挿通されることで、左右方向での移動も可能である。したがって、実施例1および実施例2と同様に、冷却ファン5の中心と調整板開口部46の中心が一致するように、具体的には、冷却ファン5の外周と調整板開口部46の隙間が均一となるように位置決めを行い、各分割調整板42を取り付ける。
【0034】
このように、本実施例3では、ファンシュラウド本体13の開口部15に案内溝48が形成されているため、各分割調整板42の案内片43とファンシュラウド本体13とは干渉せず、裏返して各分割調整板42をファンシュラウド本体13に取り付けることができる。一方、各分割調整板42は、表裏で半フランジ部45の突出幅が異なるため、冷却ファン5とファンシュラウド本体13の前後位置関係を見て、最適な面を前側に選択することができる。すなわち、冷却ファン5と分割調整板42のフランジ部45との前後位置関係を向上できるため、冷却ファン5からの冷却風を効率よくファンシュラウド6内へ導入でき、冷却効率を向上させることができる。
【0035】
また、案内片43にはスリット47が形成されていることから、ファンシュラウド本体13と干渉することなく各分割調整板42を左右方向へ移動して調整できるので、冷却ファン5の中心と調整板開口部46の中心を一致させることができ、さらに各分割調整板42は調整板41を左右に分割したものであるため、したがって、本実施例3では実施例1の効果も有する。さらに、本実施例3での分割調整板42は、実施例2と同様に半フランジ部45を有するものであるから、実施例2の効果も有する。したがって、本実施例3では、上記実施例1および2での効果に加えて、一層冷却効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 エンジン冷却装置
2 エンジン
4 ラジエータ
5 冷却ファン
6 ファンシュラウド
11 調整板
12a ボルト
12b 丸座金
13 ファンシュラウド本体
15 ファンシュラウド本体開口部
26 調整板開口部
28 取付穴
31 調整板
32 分割調整板
35 半フランジ部
43 案内片
47 スリット
48 案内溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用車両のエンジンの後方に配置されエンジンを冷却するラジエータと、ラジエータに冷却風を送る冷却ファンと、ラジエータに取り付けられ冷却風をラジエータへ導くファンシュラウドとが設けられてなる産業用車両のエンジン冷却装置であって、
上記ファンシュラウドが、上記冷却ファンの送風側を覆うとともにラジエータに取り付けられた箱体で且つ冷却ファンが配置されるための開口部と当該開口部の周囲にボルト接合用の穴とが形成されたファンシュラウド本体と、ファンシュラウド本体開口部と冷却ファンとの隙間を調整する略半円状の板で且つファンシュラウド本体開口部の内径よりも小さい内径を有する半円状の冷却ファン配置用開口部が形成されるとともにファンシュラウド本体のボルト接合用穴よりも内径の大きい上記隙間の調整用の取付穴が形成された左右一対の分割調整板と、これら各分割調整板を上記ファンシュラウド本体に上記取付穴を介して取り付けるためのボルトおよび座金とから構成されることを特徴とする産業用車両のエンジン冷却装置。
【請求項2】
分割調整板の冷却ファン配置用開口部の内周にフランジ部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の産業用車両のエンジン冷却装置。
【請求項3】
分割調整板の表面と裏面でフランジ部の突出幅が異なり、フランジ部および分割調整板の端面と直交する方向に案内片が取り付けられ、この案内片に分割調整板との接触部で切り欠きが形成され、ファンシュラウド本体の開口部の縁に上記案内片を挿通する案内溝を形成したことを特徴とする請求項2に記載の産業用車両のエンジン冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−248990(P2010−248990A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98511(P2009−98511)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)