説明

用紙乾燥装置及びインクジェット記録装置

【課題】用紙の変形を防止して効率よく乾燥処理することができる用紙乾燥装置及びインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】画像記録後の用紙Pの表面に熱風を吹き当てて乾燥処理するインク乾燥処理部20において、用紙Pの先端を先端グリッパ64Dによって把持するとともに、後端を後端グリッパ126によって把持して用紙Pを搬送し、乾燥処理を施す。後端グリッパ126は、用紙Pを後方に引きながら把持し、用紙Pにテンションを付与しながら搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙乾燥装置及びインクジェット記録装置に係り、特に水性インクを用いてインクジェット方式で画像が記録された用紙を乾燥処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
汎用の印刷用紙(いわゆるインクジェット専用紙ではない一般のオフセット印刷などに用いられる塗工紙などのセルロースを主体とした用紙)に水性インク(水及び水に可溶な溶媒に染料、顔料などの色材を溶解又は分散させたインク)を用いてインクジェット方式で画像を記録する際の問題点として、カールやコックリング(波打ち)が挙げられる。この現象は、インク中の水分によって、用紙の繊維間の水素結合が切断され、用紙が膨潤してしまうために生じる。このような用紙の変形を抑えるためには、インク中の溶媒成分が用紙に浸透する前に用紙を乾燥させることが必要とされる。
【0003】
特許文献1には、乾燥部の構成として、画像の記録部の後段に用紙を搬送するドラムを設置し、そのドラムの周囲に乾燥装置を配置して、用紙を乾燥処理する構成が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、用紙をベルト搬送して画像を記録するインクジェット記録装置において、ベルトによる搬送経路上にインクジェットヘッド、ヒータを設置して、描画後の用紙を乾燥処理する構成が提案されている。
【0005】
また、特許文献3には、先端を把持されて搬送される用紙の裏面をガイド面上で吸引し、用紙にバックテンションを掛けながら搬送するとともに、用紙の表面に乾燥風を吹き当てて、用紙を乾燥処理する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−37195号公報
【特許文献2】特開2006−305773号公報
【特許文献3】特開2009−285877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、用紙を乾燥処理する際、特許文献1のように、用紙をドラムで搬送し、その搬送経路上に乾燥装置を配置する構成では、設置可能な乾燥装置の数に制限が生じ、短時間で効率よく乾燥させることが難しいという欠点がある。すなわち、描画後の用紙を短時間で効率よく乾燥させるためには、多数の乾燥装置を高密度に配置する必要があるが、多数の乾燥装置を高密度に配置するためには、搬送ドラムの径を大きくしなければならず、装置が大型化するという問題がある。
【0008】
画像記録後の用紙は、すぐに乾燥処理することが好ましいが、特許文献2のように、インクジェットヘッドとヒータとを同じ搬送ベルト上に設置すると、乾燥時に発生する熱でインクジェットヘッドが乾燥し、打滴精度が低下するという問題がある。
【0009】
用紙にバックテンションを掛けながら乾燥処理すると、用紙の変形を効果的に抑えることができるが、特許文献3のように、ガイド面上で用紙の裏面を吸引しながら搬送すると、両面印刷を行う際、画像がガイド面に擦れて傷つくという問題がある。
【0010】
また、特許文献3では、用紙にバックテンションを付与しているが、用紙の変形を更に効果的に抑制するためには、用紙の搬送方向だけではなく、幅方向にもテンションを付与する必要がある。
【0011】
また、特許文献3は、吸引によりテンションを付与する構成としているが、吸引によりテンションを付与する方法では、大型のブロアが必要となるため、消費電力、騒音が大きくなるという問題がある。また、用紙が変形していると、ガイド板との間に隙間が発生して、吸引漏れが発生し、安定したテンション力を保つのが困難になるという欠点もある。
【0012】
更に、特許文献3の方法では、ガイド板も加熱されるため、ガイド板に接触している部分(後端部分)と、ガイド板から浮いている部分(先端部分)との間で乾燥ムラが生じるという問題もある。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、用紙の変形を防止して効率よく乾燥処理することができる用紙乾燥装置及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
課題を解決するための手段は、次のとおりである。
【0015】
[1]用紙乾燥装置の第1の態様は、用紙を所定の搬送経路に沿って搬送しながら乾燥処理する用紙乾燥装置において、前記搬送径路に沿って走行する第1走行体と、前記第1走行体と一定の間隔をもって配置され、前記搬送径路に沿って前記第1走行体と同期して走行する第2走行体と、前記第1走行体に設けられ、前記用紙の先端を把持する先端把持手段と、前記第2走行体に設けられ、前記先端把持手段によって先端が把持された前記用紙の後端を後方に引っ張りながら把持する後端把持手段と、前記搬送経路に沿って搬送される前記用紙に乾燥処理を施す乾燥処理手段と、を備える。
【0016】
本態様によれば、用紙は、先端と後端を把持されて、テンションが掛けられながら搬送され、その搬送過程で乾燥処理が施される。テンションを掛けながら搬送して乾燥処理を施すことにより、効果的にカール、コックリング等の発生を防止することができる。また、用紙の全面を同じ条件で乾燥させることができ、全面をムラなく均一に乾燥させることができる。
【0017】
[2]用紙乾燥装置の第2の態様は、第1の態様の用紙乾燥装置において、前記第1走行体が、無端状の第1チェーンに取り付けられ、該第1チェーンを回転駆動させることにより、前記搬送経路に沿って走行し、前記第2走行体が、無端状の第2チェーンに取り付けられ、該第2チェーンを回転駆動させることにより、前記搬送経路に沿って走行する。
【0018】
本態様によれば、第1走行体と第2走行体とが、それぞれ無端状のチェーンに取り付けられ、そのチェーンを回転駆動することにより走行する。第1走行体と第2走行体とをチェーンで駆動することにより、装置を大型化させずに、乾燥のための用紙の搬送経路を長く取ることができる。これにより、用紙を高速搬送する場合であっても、効率よく乾燥処理を施すことができる。また、第1走行体と第2走行体とを別のチェーンで駆動する構成とすることにより、第1走行体と第2走行体との設置間隔の調整を簡単に行うことができるようになり、異なるサイズの用紙の乾燥処理を行う場合であっても、簡単に対応することができる。
【0019】
[3]用紙乾燥装置の第3の態様は、第2の態様の用紙乾燥装置において、前記第1走行体が、前記第1チェーンに一定の間隔をもって複数取り付けられ、前記第2走行体が、前記第2チェーンに一定の間隔をもって複数取り付けられる。
【0020】
本態様によれば、第1走行体と第2走行体とが、それぞれチェーンに一定の間隔をもって複数取り付けられる。これにより、複数枚の用紙を連続的に乾燥処理することができ、処理効率を向上させることができる。
【0021】
[4]用紙乾燥装置の第4の態様は、第2又は3の態様の用紙乾燥装置において、回転駆動手段と、前記回転駆動手段の回転力を前記第1チェーンと前記第2チェーンとに伝達する回転伝達手段と、を更に備える。
【0022】
本態様によれば、第1走行体を駆動する第1チェーンと、第2走行体を駆動する第2チェーンとが、共通の回転駆動手段を用いて回転駆動される。これにより、構成を簡素化することができる。また、第1走行体と第2走行体とを簡単に同期させて走行させることができる。
【0023】
[5]用紙乾燥装置の第5の態様は、第1から4いずれか1の態様の用紙乾燥装置において、前記用紙のサイズに合わせて前記第1走行体と前記第2走行体との間隔を調整する間隔調整機構を更に備える。
【0024】
本態様によれば、用紙のサイズに合わせて第1走行体と第2走行体との間隔を調整することができる。これにより、さまざまなサイズの用紙に対応することができる。
【0025】
[6]用紙乾燥装置の第6の態様は、第1から5のいずれか1の態様の用紙乾燥装置において、前記後端把持手段が、前記用紙の後端を後方に引っ張るとともに、幅方向の両側に引っ張りながら把持する。
【0026】
本態様によれば、用紙の後端が後方(用紙が搬送される方向と逆の方向)に引っ張られるとともに、幅方向(用紙が搬送される方向と直交する方向)の両側にも引っ張られて把持される。これにより、用紙の変形を更に抑えることができる。すなわち、用紙の幅方向にも引くことにより、縦方向のシワも伸ばすことができ、高い平滑性をもって搬送し、乾燥処理を施すことができる。これにより、より用紙の変形を抑えて乾燥処理することができる。
【0027】
[7]用紙乾燥装置の第7の態様は、第1から5のいずれか1の態様の用紙乾燥装置において、前記後端把持手段が、前記用紙の後端を把持する把持部材と、前記第2走行体に対して前記把持部材を前記用紙の搬送方向に沿って前後方向に移動させる把持部材前後方向移動手段と、を備える。
【0028】
本態様によれば、用紙の後端を把持する把持部材を用紙の搬送方向に沿って前後移動させて、用紙の後端を後方に引っ張りながら把持する。具体的には、把持部材を所定の位置から後方に移動させながら、用紙の後端を把持する(用紙の後端をくわえ込みながら後方に移動して、用紙の後端を把持する。)。あるいは、所定の位置で用紙の後端を把持部材で把持したのち、把持部材を後方に移動させる。これにより、用紙を後方に引っ張りながら把持することができる。
【0029】
[8]用紙乾燥装置の第8の態様は、第7の態様の用紙乾燥装置において、前記把持部材前後方向移動手段が、前記第2走行体に対して前記用紙の搬送方向に沿って前後移動自在に設けられ、前記把持部材が設けられる可動体と、前記可動体を前後いずれか一方に付勢する前後移動用付勢手段と、前記第2移動体の走行経路上に配置される前後移動用カムと、前記可動体に当接して設けられ、前記前後移動用カムに係合することにより、前記前後移動用付勢手段の付勢力に抗して前記可動体を前後移動させる前後移動用カムフォロアと、を備える。
【0030】
本態様によれば、いわゆるカム機構によって、把持部材が用紙の搬送方向に沿って前後移動する。これにより、別途駆動機構を用いずに把持部材を前後移動させることができる。また、所定の位置で確実に把持部材を前後移動させることができ、テンションの付与を確実に行うことができる。
【0031】
[9]用紙乾燥装置の第9の態様は、第1から5のいずれか1の態様の用紙乾燥装置において、前記後端把持手段が、前記用紙の幅方向の中心に対して左右対称に配置され、前記用紙の後端を把持する複数の把持部材と、前記第2走行体に対して前記把持部材を前記用紙の搬送方向に沿って前後移動させる把持部材前後方向移動手段と、前記第2走行体に対して前記把持部材を前記用紙の幅方向に沿って左右対称に移動させる把持部材幅方向移動手段と、を備える。
【0032】
本態様によれば、用紙の後端を把持する把持部材を用紙の搬送方向に沿って前後移動させるとともに、用紙の幅方向に左右対称に移動させて、用紙に前後方向と幅方向のテンションを付与する。具体的には、把持部材を所定の位置から後方かつ幅方向に移動させながら、用紙の後端を把持する(用紙の後端をくわえ込みながら斜め後方に移動して、用紙の後端を把持する。)。あるいは、所定の位置で用紙の後端を把持部材で把持したのち、把持部材を後方かつ幅方向に移動させる。あるいは、把持部材を所定の位置から後方に移動させながら、用紙の後端を把持し、その後、把持部材を幅方向に移動させる。あるいは、把持部材を所定の位置から幅方向に移動させながら、用紙の後端を把持し、その後、把持部材を後方に移動させる。これにより、用紙を後方だけでなく幅方向にも引っ張りながら把持することができる。
【0033】
[10]用紙乾燥装置の第10の態様は、第9の態様の用紙乾燥装置において、前記把持部材幅方向移動手段が、前記用紙の幅方向の両端に向かうほど前記把持部材の移動量が大きくなるように設定される。
【0034】
本態様によれば、用紙の幅方向における把持部材の移動量が、幅方向の両端に向かうほど大きくなるように設定される。用紙の変形は、幅方向の両端ほど顕著なので、幅方向の両端に向かうほど把持部材の変位量を大きくすることにより、より効果的に用紙の変形を抑えることができる。
【0035】
[11]用紙乾燥装置の第11の態様は、第9又は10の態様の用紙乾燥装置において、前記把持部材前後方向移動手段が、前記第2走行体に対して前記用紙の搬送方向に沿って前後移動自在に設けられ、前記把持部材が設けられる可動体と、前記可動体を前後いずれか一方に付勢する前後移動用付勢手段と、前記第2移動体の走行経路上に配置される前後移動用カムと、前記可動体に当接して設けられ、前記前後移動用カムに係合することにより、前記前後移動用付勢手段の付勢力に抗して前記可動体を前後移動させる前後移動用カムフォロアと、を備える。
【0036】
本態様によれば、いわゆるカム機構によって、把持部材が用紙の搬送方向に沿って前後移動する。これにより、別途駆動機構を用いずに把持部材を前後移動させることができる。また、所定の位置で確実に把持部材を前後移動させることができ、テンションの付与を確実に行うことができる。
【0037】
[12]用紙乾燥装置の第12の態様は、第11の態様の用紙乾燥装置において、前記把持部材が、前記可動体に固定して設けられる固定把持部材と、前記可動体に揺動自在に設けられる可動把持部材とで構成され、前記可動把持部材を閉じる方向に付勢する開閉用付勢手段と、前記第2移動体の走行経路上に配置される開閉用カムと、前記可動把持部材に当接して設けられ、前記開閉用カムに係合することにより、前記開閉用付勢手段の付勢力に抗して前記可動把持部材を開く方向に移動させる開閉用カムフォロアと、を備える。
【0038】
本態様によれば、いわゆるカム機構によって、把持部材が開閉される。これにより、別途駆動機構を用いずに把持部材を開閉させることができる。また、所定の位置で確実に把持部材を開閉させることができる。
【0039】
[13]用紙乾燥装置の第13の態様は、第12の態様の用紙乾燥装置において、前記把持部材幅方向移動手段が、前記可動体に設けられるネジ軸と、前記可動把持部材に形成され、前記ネジ軸に螺合されるネジ穴と、からなり、前記可動把持部材は、前記ネジ穴が前記ネジ軸に螺合されることにより、前記ネジ軸を中心に前記可動体に揺動自在に支持されるとともに、揺動することによりネジの作用で幅方向に移動する。
【0040】
本態様によれば、ネジの作用で把持部材が幅方向に移動する。そして、この幅方向の移動は、把持部材の開閉に連動して行われる。これにより、別途駆動機構を用いずに把持部材を幅方向に移動させることができる。また、開閉に伴う動作によって幅方向に移動するので、確実に把持部材を幅方向に移動させることができる。
【0041】
[14]用紙乾燥装置の第14の態様は、第13の態様の用紙乾燥装置において、前記ネジ穴と前記ネジ軸が、前記用紙の幅方向の両端に向かうほど前記把持部材の移動量が大きくなるようにネジ山が設定されることを特徴とする。
【0042】
本態様によれば、用紙の幅方向における把持部材の移動量が、幅方向の両端に向かうほど大きくなるように設定される。そして、この設定がネジ軸とネジ穴に形成されるネジ山によって行われる。これにより、簡単な機構で移動量の調整を行うことができる。
【0043】
[15]用紙乾燥装置の第15の態様は、第1から14のいずれか1の態様の用紙乾燥装置において、前記乾燥処理手段が、複数台のヒータ及び/又は熱風送風機が前記用紙の搬送経路に沿って複数配置されて構成されることを特徴とする。
【0044】
本態様によれば、ヒータ及び/又は熱風送風機を用紙の搬送経路に沿って複数台配置することにより、用紙乾燥装置が構成される。上記のように、用紙の搬送経路は、任意の長さで取ることができ、この搬送経路に沿ってヒータ、熱風送風機を高密度に配置することができる。これにより、用紙を高速搬送する場合であっても効率よく用紙を乾燥処理することができる。
【0045】
[16]用紙乾燥装置の第16の態様は、第15の態様の用紙乾燥装置において、前記乾燥処理手段が、排気手段を更に備える。
【0046】
本態様によれば、乾燥処理手段として排気手段が更に備えられる。乾燥処理を行うと、湿度が上がり、効率よく乾燥処理することができなくなるが、排気手段で湿り空気を強制的に排気することにより、効率よく乾燥処理を行うことができる。
【0047】
[17]用紙乾燥装置の第17の態様は、前記先端把持手段が、前記用紙の先端を幅方向の両側に引っ張りながら把持する。
【0048】
本態様によれば、用紙の先端も幅方向の両側に引っ張られながら把持される。これにより、更に効果的に用紙の変形を抑制することができる。
【0049】
[18]インクジェット記録装置の一態様は、用紙にインクを打滴して画像を記録する画像記録部と、前記画像記録部で画像が記録された前記用紙を所定の搬送経路に沿って搬送しながら乾燥処理する第1から17のいずれか1の態様の用紙乾燥装置と、を備える。
【0050】
本態様によれば、用紙の変形を抑えて、画像記録後の用紙を効率よく乾燥処理することができる。特に、水性インクを用いて汎用の印刷用紙に記録した場合には、用紙の変形を効果的に抑えることができる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、用紙の変形を防止して効率よく乾燥処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】インクジェット記録装置の全体構成図
【図2】先端グリッパの構成を示す正面図
【図3】先端グリッパの構成を示す平面図
【図4】図2の4−4断面図
【図5】先端グリッパの動作説明図
【図6】後端グリッパの構成を示す正面図
【図7】後端グリッパの構成を示す平面図
【図8】図7の8−8断面図
【図9】図6の9−9断面図
【図10】後端グリッパの動作説明図
【図11】後端グリッパの動作説明図
【図12】後端グリッパの動作説明図
【図13】インクジェット記録装置の制御系のブロック図
【図14】第2の実施の形態のインクジェット記録装置に備えられる後端把持機構の正面図
【図15】第2の実施の形態のインクジェット記録装置に備えられる後端把持機構の平面図
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
【0054】
[第1の実施の形態]
《装置構成》
図1は、本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態を示す全体構成図である。
【0055】
このインクジェット記録装置10は、用紙(枚葉紙)Pに水性UVインク(UV(紫外線)硬化型の水性インク(水及び水に可溶な溶媒に染料、顔料などの色材を溶解又は分散させたインク))を用いてインクジェット方式で画像を記録する枚葉式の水性UVインクジェットプリンタであり、主として、用紙Pを給紙する給紙部12と、給紙部12から給紙された用紙Pの表面(画像記録面)に所定の処理液を付与する処理液付与部14と、処理液付与部14で処理液が付与された用紙Pの乾燥処理を行う処理液乾燥処理部16と、処理液乾燥処理部16で乾燥処理が施された用紙Pの表面に水性UVインクを用いてインクジェット方式で画像を記録する画像記録部18と、画像記録部18で画像が記録された用紙Pの乾燥処理を行うインク乾燥処理部20と、インク乾燥処理部20で乾燥処理された用紙PにUV照射処理を行って画像を定着させるUV照射処理部22と、UV照射処理部22でUV照射処理された用紙Pを排紙する排紙部24とを備えて構成される。
【0056】
〈給紙部〉
給紙部12は、給紙台30に積載された用紙Pを1枚ずつ処理液付与部14に給紙する。給紙部12は、主として、給紙台30と、サッカー装置32と、給紙ローラ対34と、フィーダボード36と、前当て38と、給紙ドラム40とを備えてされる。
【0057】
用紙Pは、多数枚が積層された束の状態で給紙台30に載置される。給紙台30は、図示しない給紙台昇降装置によって昇降可能に設けられる。給紙台昇降装置は、給紙台30に積載された用紙Pの増減に連動して、その駆動が制御され、束の最上位に位置する用紙Pが常に一定の高さに位置するように、給紙台30を昇降させる。
【0058】
用紙Pは、特に限定されないが、一般のオフセット印刷などで使用される汎用の印刷用紙(いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする用紙)を用いることができる。本例では塗工紙が用いられる。塗工紙は、一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙などが好適に用いられる。
【0059】
サッカー装置32は、給紙台30に積載されている用紙Pを上から順に1枚ずつ取り上げて、給紙ローラ対34に給紙する。サッカー装置32は、昇降自在かつ揺動自在に設けられたサクションフット32Aを備え、このサクションフット32Aによって用紙Pの上面を吸着保持して、用紙Pを給紙台30から給紙ローラ対34に移送する。この際、サクションフット32Aは、束の最上位に位置する用紙Pの先端側の上面を吸着保持して、用紙Pを引き上げ、引き上げた用紙Pの先端を給紙ローラ対34を構成する一対のローラ34A、34Bの間に挿入する。
【0060】
給紙ローラ対34は、互いに押圧当接された上下一対のローラ34A、34Bで構成される。上下一対のローラ34A、34Bは、一方が駆動ローラ(ローラ34A)、他方が従動ローラ(ローラ34B)とされ、駆動ローラ(ローラ34A)は、図示しないモータに駆動されて回転する。モータは、用紙Pの給紙に連動して駆動され、サッカー装置32から用紙Pが給紙されると、そのタイミングに合わせて駆動ローラ(ローラ34A)を回転させる。上下一対のローラ34A、34Bの間に挿入された用紙Pは、このローラ34A、34Bにニップされて、ローラ34A、34Bの回転方向(フィーダボード36の設置方向)に送り出される。
【0061】
フィーダボード36は、用紙幅に対応して形成され、給紙ローラ対34から送り出された用紙Pを受けて、前当て38までガイドする。このフィーダボード36は、先端側が下方に向けて傾斜して設置され、その搬送面の上に載置された用紙Pを搬送面に沿って滑らせて前当て38までガイドする。
【0062】
フィーダボード36には、用紙Pを搬送面に沿って搬送するためのテープフィーダ36Aが幅方向に間隔をおいて複数設置される。テープフィーダ36Aは、無端状に形成され、図示しないモータに駆動されて回転する。フィーダボード36の搬送面に載置された用紙Pは、このテープフィーダ36Aによって送りが与えられて、フィーダボード36の上を搬送される。
【0063】
また、フィーダボード36の上には、リテーナ36Bとコロ36Cとが設置される。
【0064】
リテーナ36Bは、用紙Pの搬送面に沿って前後に縦列して複数配置される(本例では2つ)。このリテーナ36Bは、用紙幅に対応した幅を有する板バネで構成され、搬送面に押圧当接されて設置される。テープフィーダ36Aによってフィーダボード36の上を搬送される用紙Pは、このリテーナ36Bを通過することにより、凹凸が矯正される。なお、リテーナ36Bは、フィーダボード36との間に用紙Pを導入しやすくするため、後端部がカールして形成される。
【0065】
コロ36Cは、前後のリテーナ36Bの間に配設される。このコロ36Cは、用紙Pの搬送面に押圧当接されて設置される。前後のリテーナ36Bの間を搬送される用紙Pは、このコロ36Cによって上面が抑えられながら搬送される。
【0066】
前当て38は、用紙Pの姿勢を矯正する。この前当て38は、板状に形成され、用紙Pの搬送方向と直交して配置される。また、図示しないモータに駆動されて、揺動可能に設けられる。フィーダボード36の上を搬送された用紙Pは、その先端が前当て38に当接されて、姿勢が矯正される(いわゆる、スキュー防止)。前当て38は、給紙ドラム40への用紙の給紙に連動して揺動し、姿勢を矯正した用紙Pを給紙ドラム40に受け渡す。
【0067】
給紙ドラム40は、前当て38を介してフィーダボード36から給紙される用紙Pを受け取り、処理液付与部14へと搬送する。給紙ドラム40は、円筒状に形成され、図示しないモータに駆動されて回転する。給紙ドラム40の外周面上には、グリッパ40Aが備えられ、このグリッパ40Aによって用紙Pの先端が把持される。給紙ドラム40は、グリッパ40Aによって用紙Pの先端を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き掛けながら、処理液付与部14へと用紙Pを搬送する。
【0068】
給紙部12は、以上のように構成される。給紙台30の上に積載された用紙Pは、サッカー装置32によって上から順に1枚ずつ引き上げられて、給紙ローラ対34に給紙される。給紙ローラ対34に給紙された用紙Pは、その給紙ローラ対34を構成する上下一対のローラ34A、34Bによって前方に送り出され、フィーダボード36の上に載置される。フィーダボード36の上に載置された用紙Pは、フィーダボード36の搬送面に設けられたテープフィーダ36Aによって搬送される。そして、その搬送過程でリテーナ36Bによってフィーダボード36の搬送面に押し付けられ、凹凸が矯正される。フィーダボード36によって搬送された用紙Pは、先端が前当て38に当接されることにより、傾きが矯正され、その後、給紙ドラム40に受け渡される。そして、その給紙ドラム40によって処理液付与部14へと搬送される。
【0069】
〈処理液付与部〉
処理液付与部14は、用紙Pの表面(画像記録面)に所定の処理液を付与する。この処理液付与部14は、主として、用紙Pを搬送する処理液付与ドラム42と、処理液付与ドラム42によって搬送される用紙Pの印刷面に所定の処理液を付与する処理液付与ユニット44とを備えてされる。
【0070】
処理液付与ドラム42は、給紙部12の給紙ドラム40から用紙Pを受け取り、処理液乾燥処理部16へと用紙Pを搬送する。処理液付与ドラム42は、円筒状に形成され、図示しないモータに駆動されて回転する。処理液付与ドラム42の外周面上には、グリッパ42Aが備えられ、このグリッパ42Aによって用紙Pの先端が把持される。処理液付与ドラム42は、このグリッパ42Aによって用紙Pの先端を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き掛けながら、処理液乾燥処理部16へと用紙Pを搬送する(1回転で1枚の用紙Pを搬送する。)。処理液付与ドラム42と給紙ドラム40は、互いの用紙Pの受け取りと受け渡しのタイミングが合うように、回転が制御される。すなわち、同じ周速度となるように駆動されるとともに、互いのグリッパの位置が合うように駆動される。
【0071】
処理液付与ユニット44は、処理液付与ドラム42によって搬送される用紙Pの表面に処理液をローラ塗布する。この処理液付与ユニット44は、主として、用紙Pに処理液を塗布する塗布ローラ44Aと、処理液が貯留される処理液槽44Bと、処理液槽44Bに貯留された処理液を汲み上げて、塗布ローラ44Aに供給する汲み上げローラ44Cとを備えてされる。汲み上げローラ44Cは、塗布ローラ44Aに押圧当接して設置されるとともに、一部を処理液槽44Bに貯留された処理液に浸漬させて設置される。この汲み上げローラ44Cは、処理液を計量して汲み上げ、塗布ローラ44Aの周面に一定の厚さで処理液を付与する。塗布ローラ44Aは、用紙幅に対応して設けられ、用紙Pに押圧当接されて、その周面に付与された処理液を用紙Pに塗布する。塗布ローラ44Aは、図示しない当接離間機構に駆動されて、処理液付与ドラム42の周面に当接する当接位置と、処理液付与ドラム42の周面から離間する離間位置との間を移動する。当接離間機構は、用紙Pの通過タイミングに合わせて、塗布ローラ44Aを移動させ、処理液付与ドラム42によって搬送される用紙Pの表面に処理液を塗布する。
【0072】
なお、本例では、処理液をローラ塗布する構成としているが、処理液を付与する方法は、これに限定されるものではない。この他、インクジェットヘッドを用いて付与する構成やスプレーにより付与する構成を採用することもできる。
【0073】
処理液付与部14は、以上のように構成される。給紙部12の給紙ドラム40から受け渡された用紙Pは、処理液付与ドラム42で受け取られる。処理液付与ドラム42は、用紙Pの先端をグリッパ42Aで把持して、回転することにより、用紙Pを周面に巻き掛けて搬送する。この搬送過程で塗布ローラ44Aが用紙Pの表面に押圧当接され、用紙Pの表面に処理液が塗布される。
【0074】
ここで、この用紙Pの表面に塗布する処理液は、後段の画像記録部18で用紙Pに打滴する水性UVインク中の色材を凝集させる機能を有する処理液が塗布される。このような処理液を用紙Pの表面に塗布して水性UVインクを打滴することにより、汎用の印刷用紙を用いた場合であっても、着弾干渉等を起こすことなく、高品位な印刷を行うことができる。
【0075】
〈処理液乾燥処理部〉
処理液乾燥処理部16は、表面に処理液が付与された用紙Pを乾燥処理する。この処理液乾燥処理部16は、主として、用紙Pを搬送する処理液乾燥処理ドラム46と、用紙搬送ガイド48と、処理液乾燥処理ドラム46によって搬送される用紙Pの印刷面に熱風を吹き当てて乾燥させる処理液乾燥処理ユニット50とを備えてされる。
【0076】
処理液乾燥処理ドラム46は、処理液付与部14の処理液付与ドラム42から用紙Pを受け取り、画像記録部18へと用紙Pを搬送する。処理液乾燥処理ドラム46は、円筒状に組んだ枠体で構成され、図示しないモータに駆動されて回転する。処理液乾燥処理ドラム46の外周面上には、グリッパ46Aが備えられ、このグリッパ46Aによって用紙Pの先端が把持される。処理液乾燥処理ドラム46は、このグリッパ46Aによって用紙Pの先端を把持して回転することにより、画像記録部18と用紙Pを搬送する。なお、本例の処理液乾燥処理ドラム46は、外周面上の2カ所にグリッパ42Aが配設され、1回の回転で2枚の用紙Pが搬送できるように構成されている。処理液乾燥処理ドラム46と処理液付与ドラム42は、互いの用紙Pの受け取りと受け渡しのタイミングが合うように、回転が制御される。すなわち、同じ周速度となるように駆動されるとともに、互いのグリッパの位置が合うように駆動される。
【0077】
用紙搬送ガイド48は、処理液乾燥処理ドラム46による用紙Pの搬送経路に沿って配設され、用紙Pの搬送をガイドする。
【0078】
処理液乾燥処理ユニット50は、処理液乾燥処理ドラム46の内側に設置され、処理液乾燥処理ドラム46によって搬送される用紙Pの表面に向けて熱風を吹き当てて乾燥処理する。本例では、2台の処理液乾燥処理ユニット50が、処理液乾燥処理ドラム内に配設され、処理液乾燥処理ドラム46によって搬送される用紙Pの表面に向けて熱風を吹き当てる構成とされている。
【0079】
処理液乾燥処理部16は、以上のように構成される。処理液付与部14の処理液付与ドラム42から受け渡された用紙Pは、処理液乾燥処理ドラム46で受け取られる。処理液乾燥処理ドラム46は、用紙Pの先端をグリッパ46Aで把持して、回転することにより、用紙Pを搬送する。この際、処理液乾燥処理ドラム46は、用紙Pの表面(処理液が塗布された面)を内側に向けて搬送する。用紙Pは、処理液乾燥処理ドラム46によって搬送される過程で処理液乾燥処理ドラム46の内側に設置された処理液乾燥処理ユニット50から熱風が表面に吹き当てられて、乾燥処理される。すなわち、処理液中の溶媒成分が除去される。これにより、用紙Pの表面(画像記録面)にインク凝集層が形成される。
【0080】
〈画像記録部〉
画像記録部18は、用紙Pの印刷面にC、M、Y、Kの各色のインク(水性UVインク)の液滴を打滴して、用紙Pの印刷面にカラー画像を描画する。この画像記録部18は、主として、用紙Pを搬送する画像記録ドラム52と、画像記録ドラム52によって搬送される用紙Pを押圧して、用紙Pを画像記録ドラム52の周面に密着させる用紙押さえローラ54と、用紙PにC、M、Y、Kの各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kと、用紙Pに記録された画像を読み取るインラインセンサ58と、インクミストを捕捉するミストフィルタ60と、ドラム温調ユニット62とを備えて構成される。
【0081】
画像記録ドラム52は、処理液乾燥処理部16の処理液乾燥処理ドラム46から用紙Pを受け取り、インク乾燥処理部20へと用紙Pを搬送する。画像記録ドラム52は、円筒状に形成され、図示しないモータに駆動されて回転する。画像記録ドラム52の外周面上には、グリッパ52Aが備えられ、このグリッパ52Aによって用紙Pの先端が把持される。画像記録ドラム52は、このグリッパ52Aによって用紙Pの先端を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き掛けながら、インク乾燥処理部20へと用紙Pを搬送する。また、画像記録ドラム52は、その周面に多数の吸引穴(図示せず)が所定のパターンで形成される。画像記録ドラム52の周面に巻き掛けられた用紙Pは、この吸引穴から吸引されることにより、画像記録ドラム52の周面に吸着保持されながら搬送される。これにより、高い平滑性をもって用紙Pを搬送することができる。
【0082】
なお、この吸引穴からの吸引は一定の範囲でのみ作用し、所定の吸引開始位置から所定の吸引終了位置との間でのみ作用する。吸引開始位置は、用紙押さえローラ54の設置位置に設定され、吸引終了位置は、インラインセンサ58の設置位置の下流側に設定される(たとえば、インク乾燥処理部20に用紙を受け渡す位置に設定される。)。すなわち、少なくとも各インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kによるインクの打滴位置とインラインセンサ58による画像の読み取り位置では、用紙Pが画像記録ドラム52の周面に吸着保持されるように、吸着領域が設定される。
【0083】
なお、用紙Pを画像記録ドラム52の周面に吸着保持させる機構は、上記の負圧による吸着方法に限らず、静電吸着による方法を採用することもできる。
【0084】
また、本例の画像記録ドラム52は、外周面上の2カ所にグリッパ52Aが配設され、1回の回転で2枚の用紙Pが搬送できるように構成されている。画像記録ドラム52と処理液乾燥処理ドラム46は、互いの用紙Pの受け取りと受け渡しのタイミングが合うように、回転が制御される。すなわち、同じ周速度となるように駆動されるとともに、互いのグリッパの位置が合うように駆動される。
【0085】
用紙押さえローラ54は、画像記録ドラム52の用紙受取位置(処理液乾燥処理ドラム46から用紙Pを受け取る位置)の近傍に配設される。この用紙押さえローラ54は、ゴムローラで構成され、画像記録ドラム52の周面に押圧当接されて設置される。処理液乾燥処理ドラム46から画像記録ドラム52受け渡された用紙Pは、この用紙押さえローラ54を通過することによりニップされ、画像記録ドラム52の周面に密着させられる。
【0086】
4台のインクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kは、画像記録ドラム52による用紙Pの搬送経路に沿って一定の間隔をもって配置される。このインクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kは、用紙幅に対応したラインヘッドで構成される。各インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kは、画像記録ドラム52による用紙Pの搬送方向に対して直交して配置されるとともに、そのノズル面が画像記録ドラム52の周面に対向するように配置される。各インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kは、ノズル面に形成されたノズル列から、画像記録ドラム52に向けてインクの液滴を吐出することにより、画像記録ドラム52によって搬送される用紙Pに画像を記録する。
【0087】
なお、上記のように、各インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kから吐出させるインクは、水性UVインクが用いられる。水性UVインクは、打滴後に紫外線(UV)を照射することにより、硬化させることができる。
【0088】
インラインセンサ58は、画像記録ドラム52による用紙Pの搬送方向に対して、最後尾に位置するインクジェットヘッド56Kの下流側に設置され、インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kで記録された画像を読み取る。このインラインセンサ58は、たとえば、ラインスキャナで構成され、画像記録ドラム52によって搬送される用紙Pからインクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kによって記録された画像を読み取る。
【0089】
なお、インラインセンサ58の下流側には、インラインセンサ58に近接して接触防止板59が設置される。この接触防止板59は、搬送の不具合等によって用紙Pに浮きが生じた場合に、用紙Pがインラインセンサ58に接触するのを防止する。
【0090】
ミストフィルタ60は、最後尾のインクジェットヘッド56Kとインラインセンサ58との間に配設され、画像記録ドラム52の周辺の空気を吸引してインクミストを捕捉する。このように、画像記録ドラム52の周辺の空気を吸引してインクミストを捕捉することにより、インラインセンサ58へのインクミストの進入を防止できる。これにより、読み取り不良等の発生を防止できる。
【0091】
ドラム温調ユニット62は、画像記録ドラム52に空調エアを吹き当てて、画像記録ドラム52を温調する。このドラム温調ユニット62は、主として、エアコン(図示せず)と、そのエアコンから供給される空調エアを画像記録ドラム52の周面に吹き当てるダクト62Aとで構成される。ダクト62Aは、画像記録ドラム52に対して、用紙Pの搬送領域以外の領域に空調エアを吹き当てて、画像記録ドラム52を温調する。本例では、画像記録ドラム52のほぼ上側半分の円弧面に沿って用紙Pが搬送されるので、ダクト62Aは、画像記録ドラム52のほぼ下側半分の領域に空調エアを吹き当てて、画像記録ドラム52を温調する構成とされている。具体的には、ダクト62Aの吹出口が、画像記録ドラム52のほぼ下側半分を覆うように円弧状に形成され、画像記録ドラム52のほぼ下側半分の領域に空調エアが吹き当てられる構成とされている。
【0092】
ここで、画像記録ドラム52の温調は、インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kの温度(特にノズル面の温度)との関係で定まり、インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kの温度よりも低い温度となるように温調される。これにより、インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kに結露が生じるのを防止することができる。すなわち、インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kよりも画像記録ドラム52の温度を低くすることにより、画像記録ドラム側に結露を誘発することができ、インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kに生じる結露(特にノズル面に生じる結露)を防止することができる。
【0093】
画像記録部18は、以上のように構成される。処理液乾燥処理部16の処理液乾燥処理ドラム46から受け渡された用紙Pは、画像記録ドラム52で受け取られる。画像記録ドラム52は、用紙Pの先端をグリッパ52Aで把持して、回転することにより、用紙Pを搬送する。画像記録ドラム52に受け渡された用紙Pは、まず、用紙押さえローラ54を通過することにより、画像記録ドラム52の周面に密着される。これと同時に画像記録ドラム52の吸着穴から吸引されて、画像記録ドラム52の外周面上に吸着保持される。用紙Pは、この状態で搬送されて、各インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kを通過する。そして、その通過時に各インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56KからC、M、Y、Kの各色のインクの液滴が表面に打滴されて、表面にカラー画像が描画される。用紙Pの表面にはインク凝集層が形成されているので、フェザリングやブリーディング等を起こすことなく、高品位な画像を記録することができる。
【0094】
インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kによって画像が記録された用紙Pは、次いで、インラインセンサ58を通過する。そして、そのインラインセンサ58の通過時に表面に記録された画像が読み取られる。この記録画像の読み取りは必要に応じて行われ、読み取られた画像から吐出不良等の検査が行われる。読み取りを行う際は、画像記録ドラム52に吸着保持された状態で読み取りが行われるので、高精度に読み取りを行うことができる。また、画像記録直後に読み取りが行われるので、たとえば、吐出不良等の異常を直ちに検出することができ、その対応を迅速に行うことができる。これにより、無駄な記録を防止できるとともに、損紙の発生を最小限に抑えることができる。
【0095】
この後、用紙Pは、吸着が解除された後、インク乾燥処理部20へと受け渡される。
【0096】
〈インク乾燥処理部〉
インク乾燥処理部20は、画像記録後の用紙Pを乾燥処理し、用紙Pの表面に残存する液体成分を除去する。インク乾燥処理部20は、画像が記録された用紙Pの先端を保持して搬送するチェーングリッパ64と、チェーングリッパ64によって搬送される用紙Pの後端を把持する後端把持機構66と、チェーングリッパ64によって搬送される用紙Pを乾燥処理するインク乾燥処理ユニット68とで構成される。
【0097】
チェーングリッパ64は、インク乾燥処理部20、UV照射処理部22、排紙部24において共通して使用される用紙搬送機構であり、画像記録部18から受け渡された用紙Pを受け取って、排紙部24まで搬送する。
【0098】
このチェーングリッパ64は、主として、画像記録ドラム52に近接して設置される第1スプロケット64Aと、排紙部24に設置される第2スプロケット64Bと、第1スプロケット64Aと第2スプロケット64Bとに巻き掛けられる無端状のチェーン64Cと、チェーン64Cの走行をガイドする複数のチェーンガイド(図示せず)と、チェーン64Cに一定の間隔をもって取り付けられる複数の先端グリッパ64D(先端把持手段)とで構成される。第1スプロケット64Aと、第2スプロケット64Bと、チェーン64Cと、チェーンガイドとは、それぞれ一対で構成され、用紙Pの幅方向の両側に配設される。先端グリッパ64Dは、一対で設けられるチェーン64Cに掛け渡されて設置される。
【0099】
第1スプロケット64Aは、画像記録ドラム52から受け渡される用紙Pを先端グリッパ64Dで受け取ることができるように、画像記録ドラム52に近接して設置される。この第1スプロケット64Aは、図示しない軸受に軸支されて、回転自在に設けられるとともに、図示しないモータが連結される。第1スプロケット64A及び第2スプロケット64Bに巻き掛けられるチェーン64Cは、このモータを駆動することにより走行する。
【0100】
第2スプロケット64Bは、画像記録ドラム52から受け取った用紙Pを排紙部24で回収できるように、排紙部24に設置される。すなわち、この第2スプロケット64Bの設置位置が、チェーングリッパ64による用紙Pの搬送経路の終端とされる。この第2スプロケット64Bは、図示しない軸受に軸支されて、回転自在に設けられる。
【0101】
チェーン64Cは、無端状に形成され、第1スプロケット64Aと第2スプロケット64Bとに巻き掛けられる。
【0102】
チェーンガイドは、所定位置に配置されて、チェーン64Cが所定の経路を走行するようにガイドする(=用紙Pが所定の搬送経路を走行して搬送されるようにガイドする。)。本例のインクジェット記録装置10では、第2スプロケット64Bが第1スプロケット64Aよりも高い位置に配設される。このため、チェーン64Cが、途中で傾斜するような走行経路が形成される。具体的には、第1水平搬送経路70Aと、傾斜搬送経路70Bと、第2水平搬送経路70Cとで構成される。
【0103】
第1水平搬送経路70Aは、第1スプロケット64Aと同じ高さに設定され、第1スプロケット64Aに巻き掛けられたチェーン64Cが、水平に走行するように設定される。
【0104】
第2水平搬送経路70Cは、第2スプロケット64Bと同じ高さに設定され、第2スプロケット64Bに巻き掛けられたチェーン64Cが、水平に走行するように設定される。
【0105】
傾斜搬送経路70Bは、第1水平搬送経路70Aと第2水平搬送経路70Cとの間に設定され、第1水平搬送経路70Aと第2水平搬送経路70Cとの間を結ぶように設定される。
【0106】
チェーンガイドは、この第1水平搬送経路70Aと、傾斜搬送経路70Bと、第2水平搬送経路70Cとを形成するように配設される。具体的には、少なくとも第1水平搬送経路70Aと傾斜搬送経路70Bとの接合ポイント、及び、傾斜搬送経路70Bと第2水平搬送経路70Cとの接合ポイントに配設される。
【0107】
先端グリッパ64Dは、チェーン64Cに一定の間隔をもって複数取り付けられる。各先端グリッパ64Dの取り付け間隔は、画像記録ドラム52からの用紙Pの受け取り間隔に合わせて設定される。すなわち、画像記録ドラム52から順次受け渡される用紙Pをタイミングを合わせて画像記録ドラム52から受け取ることができるように、画像記録ドラム52からの用紙Pの受け取り間隔に合わせて設定される。
【0108】
図2、図3は、それぞれ先端グリッパの構成を示す正面図、平面図(図2を下方から見た図)であり、図4は、図2の4−4断面図である。
【0109】
同図に示すように、先端グリッパ64Dは、主として、チェーン64Cに取り付けられるベースフレーム100(第1走行体)と、ベースフレーム100に一定の間隔をもって複数取り付けられる先端把持爪102とで構成される。
【0110】
ベースフレーム100は、一対のチェーン64Cに掛け渡されて、チェーン64Cに取り付けられる。ベースフレーム100は、幅方向の両端に一対の接続部100Aを備え、この接続部100Aを介してチェーン64Cに取り付けられる。この際、ベースフレーム100は、チェーン64Cに対して直交するように取り付けられる。
【0111】
先端把持爪102は、チェーン64Cに対して直交する直線上に一定の間隔をもって複数配置される。この際、各先端把持爪102は、用紙Pの幅方向の中心に対して左右対称になるように配置される。この先端把持爪102は、固定把持爪102Aと可動把持爪102Bとで構成される。
【0112】
固定把持爪102Aは、ベースフレーム100に固定して設置される。
【0113】
一方、可動把持爪102Bは、ベースフレーム100に揺動自在に設けられた先端把持爪開閉用レバー104に取り付けられる。
【0114】
先端把持爪開閉用レバー104は、先端把持爪開閉用回転軸106を備え、この先端把持爪開閉用回転軸106を中心に揺動自在に設けられる。先端把持爪開閉用回転軸106は、ベースフレーム100に形成された軸受部108に軸支される。可動把持爪102Bは、この先端把持爪開閉用レバー104の先端に固定して取り付けられる。そして、この先端把持爪開閉用レバー104を揺動させることにより、可動把持爪102Bが、固定把持爪102Aに対して上下動し、先端把持爪102が開閉する。
【0115】
先端把持爪開閉用レバー104は、先端把持爪開閉用バネ110によって先端把持爪102を閉じる方向に付勢される(可動把持爪102Bを固定把持爪102Aに当接させる方向に付勢される。)。
【0116】
先端把持爪開閉用バネ110は、一端が先端把持爪開閉用レバー104に接続され、他端がベースフレーム100に設けられた先端把持爪開閉用バネ支持部112に接続される。先端把持爪開閉用バネ110は、先端把持爪開閉用レバー104を先端把持爪開閉用バネ支持部112の方に引くように付勢する。これにより、先端把持爪102を閉じる方向に先端把持爪開閉用レバー104が付勢される。
【0117】
各先端把持爪102の先端把持爪開閉用レバー104の基端部は、共通の先端把持爪開閉用カムフォロア軸114に連結される。先端把持爪開閉用カムフォロア軸114は、水平に配置され、その両端に先端把持爪開閉用カムフォロア116が取り付けられる。
【0118】
先端把持爪開閉用カムフォロア116は、先端グリッパ64Dの走行経路上に配置された先端把持爪開閉用カム118に係合して、先端把持爪開閉用レバー104を揺動させる。この先端把持爪開閉用カム118は、用紙Pを受け取る位置と、用紙Pを開放する位置とに配置される。具体的には、画像記録ドラム52から用紙Pを受け取る位置と、排紙部24で用紙Pを排紙する位置とに配置される。
【0119】
先端把持爪開閉用カムフォロア116が、先端把持爪開閉用カム118に係合して、先端把持爪開閉用レバー104が揺動することにより、各先端把持爪102が開閉し、用紙Pの把持、開放が可能になる。具体的には、図5に示すように、先端把持爪開閉用カムフォロア116が先端把持爪開閉用カム118に乗り上げることにより、先端把持爪開閉用レバー104が、先端把持爪開閉用バネ110の付勢力に抗して揺動し、可動把持爪102Bが固定把持爪102Aから離れる方向に移動する。すなわち、先端把持爪102が開かれる。先端把持爪開閉用カムフォロア116が先端把持爪開閉用カム118を通過すると、先端把持爪開閉用バネ110の付勢力で先端把持爪開閉用レバー104が逆方向に揺動し、可動把持爪102Bが固定把持爪102Aに近づく方向に移動する。すなわち、先端把持爪102が閉じられる。このように、先端把持爪102は、カムの作用で開閉される。
【0120】
チェーングリッパ64は、以上のように構成される。上記のように、第1スプロケット64Aに接続されたモータ(図示せず)を駆動すると、チェーン64Cが走行する。チェーン64Cは、画像記録ドラム52の周速度と同じ速度で走行する。また、画像記録ドラム52から受け渡される用紙Pが、各先端グリッパ64Dで受け取れるようにタイミングが合わせられる(この調整は、先端把持爪開閉用カム118の設置位置で調整される。)。
【0121】
後端把持機構66は、チェーングリッパ64によって先端を把持されながら搬送される用紙Pの後端を保持する。この際、用紙Pの後端を後方(用紙Pの搬送方向と逆の方向)に引っ張りながら用紙Pの後端を保持する。このように、後端を後方に向けて引っ張りながら保持することにより、用紙Pはテンションが掛けられた状態で搬送される。
【0122】
後端把持機構66は、用紙Pが第1水平搬送経路70Aを搬送されている間、用紙Pの後端を後方に引っ張りながら把持する。この後端把持機構66は、第1水平搬送経路70Aの一端に配置される第1スプロケット120と、第1水平搬送経路70Aの他端に設置される第2スプロケット122と、第1スプロケット120と第2スプロケット122とに巻き掛けられる無端状のチェーン124と、チェーン124の走行をガイドする複数のチェーンガイド(図示せず)と、チェーン124に一定の間隔をもって取り付けられる複数の後端グリッパ126(後端把持手段)とで構成される。第1スプロケット120と、第2スプロケット122と、チェーン124と、チェーンガイドとは、それぞれ一対で構成され、用紙Pの幅方向の両側に配設される。後端グリッパ126は、一対で設けられるチェーン124に掛け渡されて設置される。
【0123】
第1スプロケット120は、第1水平搬送経路70Aの始点位置に配置される。本例では、チェーングリッパ64の第1スプロケット64Aの下部に設置されている。
【0124】
この第1スプロケット120は、図示しない軸受に軸支されて、回転自在に設けられるとともに、図示しないモータが連結される。第1スプロケット120及び第2スプロケット122に巻き掛けられるチェーン124は、このモータを駆動することにより走行する。
【0125】
第2スプロケット122は、第1水平搬送経路70Aの終点位置に配置される。この第2スプロケット122は、図示しない軸受に軸支されて、回転自在に設けられる。
【0126】
チェーン124は、無端状に形成され、第1スプロケット120と第2スプロケット122とに巻き掛けられる。
【0127】
チェーンガイドは、所定位置に配置されて、チェーン124が所定の経路を走行するようにガイドする。
【0128】
後端グリッパ126は、チェーン124に一定の間隔をもって複数取り付けられる。この後端グリッパ126の取り付け間隔は、チェーングリッパ64に取り付けられる先端グリッパ64D(先端把持手段)の取り付け間隔と同じである。
【0129】
そして、この後端グリッパ126と先端グリッパ64Dとの設置間隔は、用紙Pのサイズに応じて設定される。すなわち、処理対象とする用紙Pの前後両端を先端グリッパ64Dと後端グリッパ126とで把持できるように、後端グリッパ126と先端グリッパ64Dとが離して設置される。
【0130】
図6、図7は、それぞれ後端グリッパの構成を示す正面図、平面図(図6を上方から見た平面図)であり、図8は、図7の8−8断面図、図9は、図6の9−9断面図である。
【0131】
同図に示すように、後端グリッパ126は、主として、チェーン124に取り付けられるベースフレーム130(第2走行体)と、ベースフレーム130に対して前後移動自在に支持される可動フレーム132と、可動フレーム132に一定の間隔をもって複数取り付けられる後端把持爪134とで構成される。
【0132】
ベースフレーム130は、一対のチェーン124に掛け渡されて、チェーン124に取り付けられる。ベースフレーム130は、幅方向の両端に屈曲部130Aが形成され、この屈曲部130Aに設けられた接続部130Bを介して一対のチェーン124に取り付けられる。この際、ベースフレーム130は、チェーン124に対して直交するように取り付けられる。
【0133】
可動フレーム132は、ベースフレーム130の両端の屈曲部130Aの間に収容される。
【0134】
ベースフレーム130の両端の屈曲部130Aの内壁面には、それぞれ上下一組のスライドピン136が取り付けられる。このスライドピン136は、可動フレーム132の幅方向の両端面に形成された一組の長穴138に嵌合される。
【0135】
長穴138は、チェーン124と平行に設けられる。可動フレーム132は、ベースフレーム130に形成されたスライドピン136が、長穴138に嵌入されることにより、ベースフレーム130に対して前後移動自在に支持される。
【0136】
可動フレーム132の後端部(チェーン124の走行方向に対して後方の端部)とベースフレーム130の後端内壁面との間には、可動フレーム引張用バネ140が取り付けられる(本例では、幅方向両端の二箇所に配置)。可動フレーム引張用バネ140は、ベースフレーム130に対して可動フレーム132を引く方向に付勢する。すなわち、ベースフレーム130に対して可動フレーム132を後方に引くように付勢する。
【0137】
上記のように、可動フレーム132は、ベースフレーム130に設けられたスライドピン136が、長穴138に嵌入されることにより、ベースフレーム130に対して前後移動自在に支持される。可動フレーム引張用バネ140が、可動フレーム132を後方に向けて引くことにより、ベースフレーム130に設けられたスライドピン136が、可動フレーム132に形成された長穴138の先端部に係合する。これにより、可動フレーム132が、一定位置で静止した状態で保持される(図9の状態)。
【0138】
後端把持爪134は、チェーン124に対して直交する直線上に一定の間隔をもって複数配置される。この際、各後端把持爪134は、用紙Pの幅方向の中心に対して左右対称になるように配置される。この後端把持爪134は、固定把持爪134Aと可動把持爪134Bとで構成される。
【0139】
固定把持爪134Aは、可動フレーム132に固定して設置される。
【0140】
一方、可動把持爪134Bは、可動フレーム132に揺動自在に設けられた後端把持爪開閉用レバー142に取り付けられる。
【0141】
後端把持爪開閉用レバー142は、後端把持爪開閉用回転軸144を備え、この後端把持爪開閉用回転軸144を中心に揺動自在に設けられる。後端把持爪開閉用回転軸144は、可動フレーム132に形成された軸受部146に軸支される。可動把持爪134Bは、この後端把持爪開閉用レバー142の先端に固定して取り付けられる。そして、この後端把持爪開閉用レバー142を揺動させることにより、可動把持爪134Bが、固定把持爪134Aに対して上下動し、後端把持爪134が開閉する。
【0142】
後端把持爪開閉用レバー142は、後端把持爪開閉用バネ148によって後端把持爪134を閉じる方向に付勢される(可動把持爪134Bを固定把持爪134Aに当接させる方向に付勢される。)。
【0143】
後端把持爪開閉用バネ148は、一端が後端把持爪開閉用レバー142に接続され、他端が可動フレーム132に設けられた後端把持爪開閉用バネ支持部150に接続される。後端把持爪開閉用バネ148は、後端把持爪開閉用レバー142を後端把持爪開閉用バネ支持部150の方に引くように付勢する。これにより、後端把持爪134を閉じる方向に後端把持爪開閉用レバー142が付勢される。
【0144】
各後端把持爪開閉用レバー142は、後端把持爪開閉用カム機構152によって揺動する。
【0145】
後端把持爪開閉用カム機構152は、後端グリッパ126の走行経路上に配置される後端把持爪開閉用カム154と、後端把持爪開閉用カムフォロア156とで構成される。
【0146】
後端把持爪開閉用カムフォロア156は、主として、各後端把持爪開閉用レバー142に対応して設けられるカムフォロア本体156Aと、各カムフォロア本体156Aの先端に設けられるレバー押圧ローラ156Bと、各カムフォロア本体156Aを揺動自在に支持する揺動軸156Cと、各カムフォロア本体156Aを連結する連結軸156Dと、連結軸156Dに設けられるカム当接ローラ156Eと、カムフォロア本体156Aを付勢するカムフォロア本体付勢バネ156Fと、ストッパ156Gとで構成される。
【0147】
カムフォロア本体156Aは、柱状に形成され、各後端把持爪開閉用レバー142に対応して設けられる。
【0148】
レバー押圧ローラ156Bは、カムフォロア本体156Aの先端に回転自在に取り付けられる。このレバー押圧ローラ156Bは、後端把持爪開閉用レバー142に当接可能に取り付けられる。
【0149】
揺動軸156Cは、各カムフォロア本体156Aを横断して配置され、両端部が可動フレーム132に回動自在に支持さる。各カムフォロア本体156Aは、ほぼ中央位置に貫通穴が形成される。各カムフォロア本体156Aは、この貫通穴に揺動軸156Cが挿通されて固定されることにより、揺動軸156Cに取り付けられる。そして、この揺動軸156Cを中心に揺動自在に支持される。
【0150】
連結軸156Dは、各カムフォロア本体156Aを横断して配置される。各カムフォロア本体156Aは、下端部に貫通穴が形成される。各カムフォロア本体156Aは、この貫通穴に連結軸156Dが挿通されて固定されることにより、互いに連結される。
【0151】
カム当接ローラ156Eは、連結軸156Dの両端に回動自在に取り付けられる。
【0152】
カムフォロア本体付勢バネ156Fは、カムフォロア本体156Aと可動フレーム132の後端内壁面との間に配置され、カムフォロア本体156Aの先端を後方に向けて付勢する。
【0153】
ストッパ156Gは、可動フレーム132の後端内壁面に設けられ、カムフォロア本体156Aの先端に取り付けられたレバー押圧ローラ156Bが当接可能に配置される。
【0154】
カムフォロア本体156Aは、カムフォロア本体付勢バネ156Fによって後方に引かれることにより、レバー押圧ローラ156Bが、ストッパ156Gに当接する。これにより、カムフォロア本体156Aが、一定位置で静止した状態で保持される(図9の状態)。
【0155】
カムフォロア本体156Aをカムフォロア本体付勢バネ156Fの付勢力に抗して前方に向けて揺動させると、レバー押圧ローラ156Bが、後端把持爪開閉用レバー142の下端部に当接し、後端把持爪開閉用レバー142を揺動させる。これにより、後端把持爪134の可動把持爪134Bが固定把持爪134Aから離れる方向に揺動し、後端把持爪134が開かれる。
【0156】
カムフォロア本体156Aを押圧する力を開放すると、後端把持爪開閉用バネ148の復元力により、後端把持爪134の可動把持爪134Bが固定把持爪134Aに近づく方向に揺動し、後端把持爪134が閉じられる。
【0157】
上記のように、後端把持爪開閉用カム154は、後端グリッパ126の走行経路上に配置される。後端把持爪開閉用カムフォロア156は、この後端把持爪開閉用カム154を通過する際、カム当接ローラ156Eが、後端把持爪開閉用カム154に当接して、カムフォロア本体156Aが揺動する。そして、このカムフォロア本体156Aが揺動することにより、後端把持爪開閉用レバー142が揺動し、後端把持爪134が開閉する。具体的には、図10から図12に示すように、カム当接ローラ156Eが後端把持爪開閉用カム154に乗り上げることにより、カムフォロア本体156Aが、カムフォロア本体付勢バネ156Fの付勢力に抗して揺動し、後端把持爪開閉用レバー142を揺動させる。これにより、後端把持爪134が開かれる。一方、カム当接ローラ156Eが後端把持爪開閉用カム154を通過することにより、カムフォロア本体156Aが、カムフォロア本体付勢バネ156Fの復元力により逆方向に揺動し、後端把持爪開閉用レバー142を逆方向に揺動させる。これにより、後端把持爪134が閉じられる。
【0158】
このように、後端把持爪134は、後端把持爪開閉用カム機構152によって開閉される。
【0159】
後端把持爪134は、所定位置で開閉するように、後端把持爪開閉用カム154の設置位置が調整される。具体的には、第1水平搬送経路70Aの始点と終点とにおいて、後端把持爪134が開閉するように、後端把持爪開閉用カム154の設置位置が調整される。すなわち、第1水平搬送経路70Aの始点でチェーングリッパ64によって先端が把持された用紙Pの後端が把持され、終点で把持が開放されるように調整される。
【0160】
ところで、上記のように、後端グリッパ126は、後端把持爪134が可動フレーム132に取り付けられている。この可動フレーム132は、ベースフレーム130に対して前後移動可能に設けられている。可動フレーム132は、後端把持爪前後移動用カム機構160によって前後移動する。
【0161】
後端把持爪前後移動用カム機構160は、後端把持爪134が用紙Pを把持、開放する際、前後移動するように構成される。具体的には、後端把持爪134が開くと前進し、閉じると後退するように構成される。
【0162】
後端把持爪前後移動用カム機構160は、後端把持爪開閉用カム機構152と後端把持爪開閉用カム154を共用して作動する。後端把持爪前後移動用カム機構160は、後端把持爪前後移動用カムフォロア162を備える。
【0163】
後端把持爪前後移動用カムフォロア162は、一対のカムフォロア本体162Aと、各カムフォロア本体162Aの先端に設けられる可動フレーム押圧ローラ162Bと、各カムフォロア本体162Aを揺動自在に支持する揺動軸162Cと、各カムフォロア本体162Aを連結する連結軸162Dと、連結軸162Dに設けられるカム当接ローラ162Eと、カムフォロア本体162Aを付勢するカムフォロア本体付勢バネ162Fと、ストッパ162Gとで構成される。
【0164】
カムフォロア本体162Aは、柱状に形成され、可動フレーム132の後端面の幅方向の両端に配置される。
【0165】
可動フレーム押圧ローラ162Bは、カムフォロア本体162Aの先端に回転自在に取り付けられる。この可動フレーム押圧ローラ162Bは、可動フレーム132に当接可能に取り付けられる。
【0166】
揺動軸162Cは、各カムフォロア本体162Aを横断して配置され、両端部がベースフレーム130に回動自在に支持される。各カムフォロア本体162Aは、ほぼ中央位置に貫通穴が形成される。各カムフォロア本体162Aは、この貫通穴に揺動軸162Cが挿通されて固定されることにより、揺動軸162Cに取り付けられる。そして、揺動軸162Cを中心に揺動自在に支持される。
【0167】
連結軸162Dは、各カムフォロア本体162Aを横断して配置される。各カムフォロア本体162Aは、下端部に貫通穴が形成される。各カムフォロア本体162Aは、この貫通穴に連結軸162Dが挿通されて固定されることにより、互いに連結される。
【0168】
カム当接ローラ162Eは、連結軸162Dの両端に回動自在に取り付けられる。
【0169】
カムフォロア本体付勢バネ162Fは、カムフォロア本体162Aとベースフレーム130の後端内壁面との間に配置され、カムフォロア本体162Aの先端を後方に向けて付勢する。
【0170】
ストッパ162Gは、ベースフレーム130の後端内壁面に設けられ、カムフォロア本体162Aの先端に取り付けられた可動フレーム押圧ローラ162Bが当接可能に配置される。
【0171】
カムフォロア本体162Aは、カムフォロア本体付勢バネ162Fによって後方に引かれることにより、可動フレーム押圧ローラ162Bが、ストッパ156Gに当接する。これにより、カムフォロア本体162Aが、一定位置で静止した状態で保持される(図9の状態)。
【0172】
カムフォロア本体162Aをカムフォロア本体付勢バネ162Fの付勢力に抗して前方に向けて揺動させると、可動フレーム押圧ローラ162Bが、可動フレーム132に当接し、可動フレーム引張用バネ140の付勢力に抗して、可動フレーム132を前進させる。
【0173】
カムフォロア本体162Aを押圧する力を開放すると、可動フレーム引張用バネ140の復元力により、可動フレーム132が後退する。
【0174】
後端把持爪前後移動用カムフォロア162は、後端把持爪開閉用カム154を通過する際、カム当接ローラ162Eが、後端把持爪開閉用カム154に当接して、カムフォロア本体162Aが揺動する。そして、このカムフォロア本体162Aが揺動することにより、可動フレーム132が前後移動する。具体的には、図10から図12に示すように、カム当接ローラ162Eが後端把持爪開閉用カム154に乗り上げることにより、カムフォロア本体162Aが、カムフォロア本体付勢バネ162Fの付勢力に抗して揺動し、可動フレーム引張用バネ140の付勢力に抗して可動フレーム132を前進させる。一方、カム当接ローラ162Eが後端把持爪開閉用カム154を通過することにより、カムフォロア本体162Aが、カムフォロア本体付勢バネ162Fの復元力により逆方向に揺動するとともに、可動フレーム引張用バネ140の復元力により、可動フレーム132が後退する。
【0175】
このように、可動フレーム132は、後端把持爪前後移動用カム機構160によって前後移動する。そして、この可動フレーム132が前後移動することにより、後端把持爪134が、前後の移動を伴いながら開閉する。これにより、用紙Pの後端を引きながら把持することが可能になる。
【0176】
後端把持機構66は、以上のように構成される。上記のように、第1スプロケット120に接続されたモータ(図示せず)を駆動すると、チェーン124が走行する。チェーン124は、チェーングリッパ64のチェーン64Cと同じ速度で走行する。すなわち、チェーングリッパ64と後端把持機構66とは同期して駆動される。チェーン124が走行することにより、後端グリッパ126が走行する。そして、後端グリッパ126が走行することにより、第1水平搬送経路70Aの始点と終点とで後端把持爪134が開閉し、用紙後端の把持、開放が行われる。すなわち、第1水平搬送経路70Aの始点位置で用紙Pの後端が把持され、終点位置で把持が開放される。この際、後端把持爪134は、用紙Pを後方に引きながら把持し、前方に移動しながら開放する。この動作を図10〜図12に基づいて具体的に説明する。
【0177】
図10(a)に示すように、後端グリッパ126が、後端把持爪開閉用カム154に到達する前、すなわち、後端把持爪開閉用カム機構152のカム当接ローラ156Eと、後端把持爪前後移動用カム機構160のカム当接ローラ162Eとが、後端把持爪開閉用カム154に当接していない状態では、後端把持爪134は閉じられた状態にあり、また、所定の後退位置に位置した状態にある。
【0178】
図10(b)に示すように、後端グリッパ126が、後端把持爪開閉用カム154に到達し、後端把持爪開閉用カム機構152のカム当接ローラ156Eが、後端把持爪開閉用カム154に乗り上げると、後端把持爪開閉用カムフォロア156が、後端把持爪開閉用レバー142を押圧する。これにより、後端把持爪134が開かれる。
【0179】
更に、後端グリッパ126が前進すると、図11(a)に示すように、後端把持爪前後移動用カム機構160のカム当接ローラ162Eが、後端把持爪開閉用カム154を乗り上げ、後端把持爪前後移動用カムフォロア162が、可動フレーム132を前方に向けて押圧する。これにより、後端把持爪134が開かれた状態で所定の前進位置に位置する。
【0180】
この状態で後端把持爪134の可動把持爪134Bと固定把持爪134Aとの間に用紙Pの後端が配置される。
【0181】
更に、後端グリッパ126が前進すると、図11(b)に示すように、後端把持爪開閉用カム機構152のカム当接ローラ156Eが、後端把持爪開閉用カム154を乗り越える。カム当接ローラ156Eが、後端把持爪開閉用カム154を乗り越えると、後端把持爪開閉用カムフォロア156による後端把持爪開閉用レバー142の押圧が解除され、後端把持爪開閉用バネ148の復元力によって、後端把持爪134が閉じられる。これにより、用紙Pの後端が、後端把持爪134に把持される。
【0182】
更に、後端グリッパ126が前進すると、図12に示すように、後端把持爪前後移動用カム機構160のカム当接ローラ162Eも後端把持爪開閉用カム154を乗り越える。後端把持爪前後移動用カム機構160のカム当接ローラ162Eが、後端把持爪開閉用カム154を乗り越えると、後端把持爪前後移動用カムフォロア162による可動フレーム132の押圧が解除され、可動フレーム引張用バネ140の復元力によって、後端把持爪134が後方に移動する。これにより、用紙Pの後端が、後端把持爪134に把持されながら後方に引っ張られる。
【0183】
このように、後端把持爪134は、用紙Pを後方に引きながら把持する。
【0184】
なお、用紙Pの把持を開放するときも同様の動作が行われる。すなわち、第1水平搬送経路70Aの終端部に設置された後端把持爪開閉用カム154に後端グリッパ126が到達すると、まず、後端把持爪前後移動用カム機構160のカム当接ローラ162Eが、後端把持爪開閉用カム154を乗り上げ、後端把持爪134を開く。これにより、用紙Pの後端が開放される。
【0185】
更に、後端グリッパ126が前進すると、後端把持爪前後移動用カム機構160のカム当接ローラ162Eが、後端把持爪開閉用カム154を乗り上げ、後端把持爪134を前進させる。
【0186】
更に、後端グリッパ126が前進すると、後端把持爪開閉用カム機構152のカム当接ローラ156Eが、後端把持爪開閉用カム154を乗り越え、後端把持爪134が閉じられる。
【0187】
更に、後端グリッパ126が前進すると、後端把持爪前後移動用カム機構160のカム当接ローラ162Eも後端把持爪開閉用カム154を乗り越え、後端把持爪134が後退する。
【0188】
このように、後端把持爪134は、前後移動しながら用紙Pの後端を把持、開放する。
【0189】
インク乾燥処理ユニット68は、チェーングリッパ64の内部(特に第1水平搬送経路70Aを構成する部位)に設置され、第1水平搬送経路70Aを搬送される用紙Pに対して乾燥処理を施す。このインク乾燥処理ユニット68は、熱風送風機で構成され、第1水平搬送経路70Aを搬送される用紙Pの表面に熱風を吹き当てて乾燥処理する。インク乾燥処理ユニット68は、第1水平搬送経路70Aに沿って複数台配置される。この設置数は、インク乾燥処理ユニット68の処理能力や用紙Pの搬送速度(=印刷速度)等に応じて設定される。すなわち、画像記録部18から受け取った用紙Pが第1水平搬送経路70Aを搬送されている間に乾燥させることができるように設定される。したがって、第1水平搬送経路70Aの長さも、このインク乾燥処理ユニット68の能力を考慮して設定される。
【0190】
なお、乾燥処理を行うことにより、インク乾燥処理部20の湿度が上がる。湿度が上がると、効率よく乾燥処理することができなくなるので、インク乾燥処理部20には、インク乾燥処理ユニット68と共に排気手段を設置し、乾燥処理によって発生する湿り空気を強制的に排気することが好ましい。排気手段は、たとえば、排気ダクトをインク乾燥処理部20に設置し、この排気ダクトによってインク乾燥処理部20の空気を排気する構成とすることができる。
【0191】
インク乾燥処理部20は、以上のように構成される。画像記録部18の画像記録ドラム52から受け渡された用紙Pは、チェーングリッパ64で受け取られる。チェーングリッパ64は、用紙Pの先端を先端グリッパ64Dで把持して、用紙Pを搬送する。チェーングリッパ64に受け渡された用紙Pは、まず、第1水平搬送経路70Aを搬送される。この第1水平搬送経路70Aを搬送される過程で用紙Pは、チェーングリッパ64の内部に設置されたインク乾燥処理ユニット68によって乾燥処理が施される。すなわち、表面(画像記録面)に熱風が吹き当てられて、乾燥処理が施される。この際、用紙Pは、後端部を後方に引かれながら把持される。これにより、用紙Pの変形を抑えながら乾燥処理することができる。
【0192】
〈UV照射処理部〉
UV照射処理部22は、水性UVインクを用いて記録された画像に紫外線(UV)を照射して、画像を定着させる。このUV照射処理部22は、主として、乾燥処理された用紙Pを搬送するチェーングリッパ64と、チェーングリッパ64によって搬送される用紙Pに紫外線を照射するUV照射ユニット74とで構成される。
【0193】
上記のように、チェーングリッパ64は、インク乾燥処理部20及び排紙部24と共用される。
【0194】
UV照射ユニット74は、チェーングリッパ64の内部(特に傾斜搬送経路70Bを構成する部位)に設置され、傾斜搬送経路70Bを搬送される用紙Pの表面に紫外線を照射する。このUV照射ユニット74は、紫外線ランプ(UVランプ)を備え、傾斜搬送経路70Bに沿って複数配設される。そして、傾斜搬送経路70Bを搬送される用紙Pの表面に向けて紫外線を照射する。このUV照射ユニット74の設置数は、用紙Pの搬送速度(=印刷速度)等に応じて設定される。すなわち、用紙Pが傾斜搬送経路70Bを搬送されている間に照射した紫外線によって画像を定着させることができるように設定される。したがって、傾斜搬送経路70Bの長さも、この用紙Pの搬送速度等を考慮して設定される。
【0195】
UV照射処理部22は、以上のように構成される。チェーングリッパ64に搬送されてインク乾燥処理部20で乾燥処理が施された用紙Pは、次いで、傾斜搬送経路70Bを搬送される。この傾斜搬送経路70Bを搬送される過程で用紙Pは、チェーングリッパ64の内部に設置されたUV照射ユニット74によりUV照射処理が施される。すなわち、UV照射ユニット74から表面に向けて紫外線が照射される。
【0196】
〈排紙部〉
排紙部24は、一連の画像記録処理が行われた用紙Pを回収する。この排紙部24は、主として、UV照射された用紙Pを搬送するチェーングリッパ64と、用紙Pを積み重ねて回収する排紙台76とで構成される。
【0197】
上記のように、チェーングリッパ64は、インク乾燥処理部20及びUV照射処理部22と共用される。チェーングリッパ64は、排紙台76の上で用紙Pを開放し、排紙台76の上に用紙Pをスタックさせる。
【0198】
排紙台76は、チェーングリッパ64から開放された用紙Pを積み重ねて回収する。この排紙台76には、用紙Pが整然と積み重ねられるように、用紙当て(前用紙当て、後用紙当て、横用紙当て等)が備えられる(図示せず)。
【0199】
また、排紙台76は、図示しない排紙台昇降装置によって昇降可能に設けられる。排紙台昇降装置は、排紙台76にスタックされる用紙Pの増減に連動して、その駆動が制御され、最上位に位置する用紙Pが常に一定の高さに位置するように、排紙台76を昇降させる。
【0200】
《制御系》
図13は、本実施の形態のインクジェット記録装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0201】
同図に示すように、インクジェット記録装置10は、システムコントローラ200、通信部202、画像メモリ204、搬送制御部210、給紙制御部212、処理液付与制御部214、処理液乾燥制御部216、画像記録制御部218、インク乾燥制御部220、UV照射制御部222、排紙制御部224、操作部230、表示部232等が備えられる。
【0202】
システムコントローラ200は、インクジェット記録装置10の各部を統括制御する制御手段として機能するとともに、各種演算処理を行う演算手段として機能する。このシステムコントローラ200は、CPU、ROM、RAM等を備えており、所定の制御プログラムに従って動作する。ROMには、このシステムコントローラ200が、実行する制御プログラム、及び、制御に必要な各種データが格納される。
【0203】
通信部202は、所要の通信インターフェースを備え、その通信インターフェースと接続されたホストコンピュータとの間でデータの送受信を行う。
【0204】
画像メモリ204は、画像データを含む各種データの一時記憶手段として機能し、システムコントローラ200を通じてデータの読み書きが行われる。通信部202を介してホストコンピュータから取り込まれた画像データは、この画像メモリ204に格納される。
【0205】
搬送制御部210は、インクジェット記録装置10における用紙Pの搬送系を制御する。すなわち、給紙部12におけるテープフィーダ36A、前当て38、給紙ドラム40の駆動を制御するとともに、処理液付与部14における処理液付与ドラム42、処理液乾燥処理部16における処理液乾燥処理ドラム46、画像記録部18における画像記録ドラム52の駆動を制御する。また、インク乾燥処理部20、UV照射処理部22及び排紙部24で共通して用いられるチェーングリッパ64の駆動を制御するとともに、インク乾燥処理部20に設置される後端把持機構66の駆動を制御する。
【0206】
搬送制御部210は、システムコントローラ200からの指令に応じて、搬送系を制御し、給紙部12から排紙部24まで滞りなく用紙Pが搬送されるように制御する。
【0207】
給紙制御部212は、システムコントローラ200からの指令に応じて給紙部12を制御する。具体的には、サッカー装置32及び給紙台昇降機構等の駆動を制御して、給紙台30に積載された用紙Pが、重なることなく1枚ずつ順に給紙されるように制御する。
【0208】
処理液付与制御部214は、システムコントローラ200からの指令に応じて処理液付与部14を制御する。具体的には、処理液付与ドラム42によって搬送される用紙Pに処理液が塗布されるように、処理液付与ユニット44の駆動を制御する。
【0209】
処理液乾燥制御部216は、システムコントローラ200からの指令に応じて処理液乾燥処理部16を制御する。具体的には、処理液乾燥処理ドラム46によって搬送される用紙Pが乾燥処理されるように、処理液乾燥処理ユニット50の駆動を制御する。
【0210】
画像記録制御部218は、システムコントローラ200からの指令に応じて画像記録部18を制御する。具体的には、画像記録ドラム52によって搬送される用紙Pに所定の画像が記録されるように、インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kの駆動を制御する。また、記録された画像が読み取られるように、インラインセンサ58の動作を制御する。
【0211】
インク乾燥制御部220は、システムコントローラ200からの指令に応じてインク乾燥処理部20を制御する。具体的には、チェーングリッパ64によって搬送される用紙Pに熱風が送風されるようにインク乾燥処理ユニット68の駆動を制御する。
【0212】
UV照射制御部222は、システムコントローラ200からの指令に応じてUV照射処理部22を制御する。具体的には、チェーングリッパ64によって搬送される用紙Pに紫外線が照射されるようにUV照射ユニット74の駆動を制御する。
【0213】
排紙制御部224は、システムコントローラ200からの指令に応じて排紙部24を制御する。具体的には、排紙台昇降機構等の駆動を制御して、排紙台76に用紙Pがスタックされるように制御する。
【0214】
操作部230は、所要の操作手段(たとえば、操作ボタンやキーボード、タッチパネル等)を備え、その操作手段から入力された操作情報をシステムコントローラ200に出力する。システムコントローラ200は、この操作部230から入力された操作情報に応じて各種処理を実行する。
【0215】
表示部232は、所要の表示装置(たとえば、LCDパネル等)を備え、システムコントローラ200からの指令に応じて所要の情報を表示装置に表示させる。
【0216】
上記のように、用紙に記録する画像データは、ホストコンピュータから通信部202を介してインクジェット記録装置10に取り込まれる。取り込まれた画像データは、画像メモリ204に格納される。
【0217】
システムコントローラ200は、この画像メモリ204に格納された画像データに所要の信号処理を施してドットデータを生成する。そして、生成したドットデータに従って画像記録部18の各インクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kの駆動を制御し、その画像データが表す画像を用紙に記録する。
【0218】
ドットデータは、一般に画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(たとえば、RGB8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置10で使用するインクの各色のインク量データに変換する処理である(本例では、C、M、Y、Kの各色のインク量データに変換する。)。ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色のインク量データに対して誤差拡散等の処理で各色のドットデータに変換する処理である。
【0219】
システムコントローラ200は、画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って各色のドットデータを生成する。そして、生成した各色のドットデータに従って、対応するインクジェットヘッドの駆動を制御することにより、画像データが表す画像を用紙に記録する。
【0220】
《作用》
以上のように構成される本実施の形態のインクジェット記録装置10の作用は、次のとおりである。
【0221】
操作部230を介してシステムコントローラ200に印刷ジョブの開始が指示されると、サイクルアップの処理が行われる。すなわち、安定した動作を行うことができるように、各部で準備動作が行われる。
【0222】
サイクルアップが完了すると、印刷処理が開始される。すなわち、給紙部12から用紙Pが順次給紙される。
【0223】
給紙部12では、給紙台30に積載された用紙Pを上から順に1枚ずつサッカー装置32で給紙する。サッカー装置32から給紙された用紙Pは、給紙ローラ対34を介して1枚ずつフィーダボード36の上に載置される。
【0224】
フィーダボード36の上に載置された用紙Pは、フィーダボード36に備えられたテープフィーダ36Aによって送りが与えられて、フィーダボード36の上を滑りながら給紙ドラム40へと搬送される。この際、順次給紙される用紙Pは、互いに重なることなく1枚ずつフィーダボード36の上を滑りながら給紙ドラム40へと搬送される。また、その搬送過程でリテーナ36Bによって上面がフィーダボード36に向けて押し付けられる。これにより、凹凸が矯正される。
【0225】
フィーダボード36の終端まで搬送された用紙Pは、先端が前当て38に当接された後、給紙ドラム40に受け渡される。これにより、傾きを発生させることなく、一定の姿勢で用紙Pを給紙ドラム40に給紙することができる。
【0226】
給紙ドラム40は、回転しながら用紙Pの先端をグリッパ40Aで把持することにより用紙Pを受け取り、用紙Pを処理液付与部14に向けて搬送する。
【0227】
処理液付与部14に搬送された用紙Pは、給紙ドラム40から処理液付与ドラム42へと受け渡される。
【0228】
処理液付与ドラム42は、回転しながら用紙Pの先端をグリッパ40Aで把持して受け取り、用紙Pを処理液乾燥処理部16に向けて搬送する。用紙Pは、この処理液付与ドラム42によって搬送される過程で表面に塗布ローラ44Aが押圧当接され、表面に処理液が付与(塗布)される。
【0229】
表面に処理液が付与された用紙Pは、処理液付与ドラム42から処理液乾燥処理ドラム46に受け渡される。
【0230】
処理液乾燥処理ドラム46は、回転しながら用紙Pの先端を把持して受け取り、用紙Pを画像記録部18に向けて搬送する。用紙Pは、この処理液乾燥処理ドラム46によって搬送される過程で処理液乾燥処理ユニット50から送風される熱風が表面に吹き当てられて、乾燥処理される。これにより、処理液中の溶媒成分が除去され、用紙Pの表面(画像記録面)にインク凝集層が形成される。
【0231】
処理液の乾燥処理が施された用紙Pは、処理液乾燥処理ドラム46から画像記録ドラム52に受け渡される。
【0232】
画像記録ドラム52は、回転しながら用紙Pの先端を把持して受け取り、用紙Pをインク乾燥処理部20に向けて搬送する。用紙Pは、この画像記録ドラム52によって搬送される過程でインクジェットヘッド56C、56M、56Y、56Kによって表面にC、M、Y、Kの各色のインクの液滴が打滴され、画像が記録される。また、その搬送過程で記録された画像が、インラインセンサ58によって読み取られる。この際、用紙Pは、画像記録ドラム52の周面に吸着保持されながら搬送される。そして、この吸着保持された状態で画像の記録、及び、記録された画像の読み取りが行われる。これにより、高精度に画像を記録することができるとともに、高精度に画像の読み取りを行うことができる。
【0233】
画像が記録された用紙Pは、画像記録ドラム52からチェーングリッパ64に受け渡される。
【0234】
チェーングリッパ64は、走行するチェーン64Cに備えられた先端グリッパ64Dで用紙Pの先端を把持して、用紙Pを受け取り、排紙部24に向けて搬送する。
【0235】
用紙Pは、このチェーングリッパ64による搬送過程で、まず、インクの乾燥処理が施される。すなわち、第1水平搬送経路70Aに設置されたインク乾燥処理ユニット68から表面に向けて熱風が吹き当てられる。これにより、乾燥処理が施される。この際、用紙Pは、後端把持機構66によって後端を後方に向けて引かれながら把持されて搬送される。すなわち、テンションが掛けられながら搬送される。これにより、用紙Pの変形を抑えながら、乾燥処理することができる。
【0236】
乾燥処理が終了した用紙P(インク乾燥処理部20を通過した用紙P)は、次いで、UV照射処理が施される。すなわち、傾斜搬送経路70Bに設置されたUV照射ユニット74から表面に向けて紫外線が照射される。これにより、画像を構成するインクが硬化し、画像が用紙Pに定着する。この際、用紙Pは、ガイドプレート72によって裏面後端を吸着保持されながら搬送され、バックテンションが付与される。これにより、用紙Pの変形を抑えながら、定着処理することができる。
【0237】
UV照射処理が終了した用紙P(UV照射処理部22を通過した用紙P)は、排紙部24に向けて搬送され、排紙部24において先端グリッパ64Dから開放されて、排紙台76の上にスタックされる。
【0238】
以上一連の動作により画像の記録処理が完了する。上記のように、給紙部12から用紙Pが連続的に給紙されるので、各部では、この連続的に給紙される用紙Pを連続的に処理して、画像の記録処理が行われる。
【0239】
以上説明したように、本実施の形態のインクジェット記録装置10によれば、画像が記録された用紙Pを画像記録部18からチェーングリッパ64で受け取り、そのチェーングリッパ64による搬送過程でインクの乾燥処理が行われる。チェーングリッパ64は、用紙の搬送経路の設定に自由度があり、インク乾燥処理ユニット68を高密度に配置することができる。これにより、用紙Pを高速搬送する場合であっても、画像が記録された後の用紙Pを短時間で効率よく乾燥処理でき、インクが用紙Pに浸透する前に乾燥させることができる。これにより、用紙Pの変形を抑えることができる。
【0240】
また、画像記録用の搬送手段(本例では画像記録ドラム52)とは別の搬送手段(本例ではチェーングリッパ64)で乾燥処理を行うので、乾燥処理時に発生する熱で画像記録用の搬送手段の温度が上昇するのを抑えることができる。これにより、インクジェットヘッドに結露が生じたり、ノズルの乾燥が促進されたりするのを有効に防止することができる。
【0241】
また、本実施の形態のインクジェット記録装置10では、乾燥処理を行うに際して、用紙Pの後端を後方に向けて引っ張り、用紙Pにテンションを付与しながら乾燥処理する構成としているので、用紙Pの変形を抑えて乾燥処理することができる。この際、用紙Pが浮いた状態で乾燥処理が施されるので、両面印刷を行う場合であっても、記録済みの画像を傷付けることなく乾燥処理を施すことができる。また、用紙Pの全面を同じ条件で乾燥処理することができるので、全面をムラなく乾燥させることができる。
【0242】
また、本実施の形態のインクジェット記録装置10では、メカ的な機構(カム機構)によって先端グリッパ64D及び後端グリッパ126の開閉を行う構成としているので、所定位置で確実に開閉動作を行うことができる。また、その構成もシンプルなものとすることができる。
【0243】
なお、上記のように、先端グリッパ64Dと後端グリッパ126との設置間隔は、用紙Pのサイズに応じて設定される。したがって、処理対象とする用紙Pのサイズが変更された場合は、この先端グリッパ64Dと後端グリッパ126との設置間隔も用紙Pのサイズに合わせて変更する。この場合、先端グリッパ64Dに対して後端グリッパ126を前進又は後退させることにより、両者の設置間隔を調整する。
【0244】
また、上記実施の形態では、先端グリッパ64Dと後端グリッパ126とを別々のモータで駆動する構成(チェーンを別々のモータで駆動する構成)としているが、1台のモータ(回転駆動源)で駆動する構成とすることもできる。たとえば、モータの回転をギア列によって、チェーングリッパ64の第1スプロケット64Aと後端把持機構66の第1スプロケット120との双方に伝達する構成とすることができる。これにより、構成を簡素化できるとともに、先端グリッパ64Dと後端グリッパ126とを簡単に同期させて駆動させることができる。この場合、先端グリッパ64Dと後端グリッパ126との間隔調整は、ギアを噛み合わせる位置を調整することによって行うことができる。
【0245】
また、可動フレーム引張用バネ140については、そのバネ力を調整できるようにすることが好ましい。これにより、用紙Pを引っ張る力を調整することができ、用紙Pに応じた引っ張り力にすることができる。バネ力の調整は、可動フレーム引張用バネ140を交換したり、設置位置を調整可能にしたりすることにより行うことができる。
【0246】
後端把持爪開閉用バネ148についても同様にバネ力を調整可能とすることにより、把持力を任意に調整することができる。
【0247】
なお、本実施の形態では、メカ的な機構で先端グリッパ64Dと後端グリッパ126の開閉を行う構成としているが、モータやシリンダ等のアクチュエータを用いて先端グリッパ64Dと後端グリッパ126を開閉させる構成とすることもできる。また、後端把持爪134の前後移動(可動フレーム132の前後移動)についても同様に、モータやシリンダ等のアクチュエータを用いて前後移動させる構成とすることもできる。
【0248】
また、本実施の形態では、後端把持爪前後移動用カム機構160と、後端把持爪開閉用カム機構152とでカムを共用しているが、それぞれ別々のカムで動作するように構成してもよい。
【0249】
[第2の実施の形態]
上記第1の実施の形態の後端把持機構66は、後端把持爪134が用紙Pを把持する際、後方にのみ引っ張る構成とされている。
【0250】
本実施の形態の後端把持機構は、後端把持爪134が用紙Pを把持する際、後方に引っ張るとともに、幅方向の両側にも引っ張る構成とされている。
【0251】
なお、幅方向の両側にも引っ張る点以外は、上述した第1の実施の形態の後端把持機構と同じなので、ここでは、用紙Pの後端を幅方向の両側に引っ張る構成についてのみ説明する。
【0252】
図14、図15は、それぞれ第2の実施の形態のインクジェット記録装置に備えられる後端把持機構の正面図、平面図である。
【0253】
上記のように、後端把持爪134を構成する可動把持爪134Bは、後端把持爪開閉用レバー142の先端に取り付けられる。
【0254】
各後端把持爪開閉用レバー142は、ほぼ中央位置にネジ穴170が形成される。ネジ穴170には、ネジ軸172が螺合される。ネジ軸172は、可動フレーム132に形成されたネジ軸支持部174によって両端が支持される。
【0255】
このように、後端把持爪開閉用レバー142は、ネジ軸172を中心に揺動自在に支持される。ネジ穴170を介してネジ軸172に支持されるので、後端把持爪開閉用レバー142は、揺動することにより、ネジの作用で左右方向にスライドする。
【0256】
ここで、ネジ穴170に形成されるネジ山とネジ軸172に形成されるネジ山は、後端把持爪134が開くと、後端把持爪開閉用レバー142が幅方向の中央に向かって移動し、閉じると、後端把持爪開閉用レバー142が幅方向の外側に向かって移動するように形成される。したがって、用紙Pの幅方向の中心に対して片側に位置する後端把持爪134と他方側に位置する後端把持爪134とで異なるネジ山が形成される。
【0257】
これにより、後端把持爪134は、開くと、可動把持爪134Bが幅方向の中央に向かって移動し、閉じると、可動把持爪134Bが幅方向の外側に向かって移動する。この結果、閉じる際、用紙Pを左右に引っ張ることができる。
【0258】
なお、上記のように、後端把持爪開閉用レバー142は、後端把持爪開閉用カム機構152によって揺動する。
【0259】
以上のように構成される本実施の形態の後端把持機構の作用は次のとおりである。
【0260】
後端グリッパ126が、後端把持爪開閉用カム154に到達し、後端把持爪開閉用カム機構152のカム当接ローラ156Eが、後端把持爪開閉用カム154に乗り上げると、後端把持爪開閉用カムフォロア156が、後端把持爪開閉用レバー142を押圧する。これにより、後端把持爪開閉用レバー142が揺動する。そして、後端把持爪開閉用レバー142が揺動することにより、後端把持爪134が開かれる(図10(b)参照)。すなわち、後端把持爪134の可動把持爪134Bが固定把持爪134Aから離れる方向に移動する。この際、可動把持爪134Bは、後端把持爪開閉用レバー142に形成されたネジ穴170とネジ軸172との作用によって、用紙Pの幅方向の中央に向かう方向に移動しながら開かれる。
【0261】
更に、後端グリッパ126が前進すると、後端把持爪前後移動用カム機構160のカム当接ローラ162Eが、後端把持爪開閉用カム154を乗り上げ、後端把持爪前後移動用カムフォロア162が、可動フレーム132を前方に向けて押圧する。これにより、後端把持爪134が開かれた状態で所定の前進位置に位置する(図11(a)参照)。
【0262】
この状態で後端把持爪134の可動把持爪134Bと固定把持爪134Aとの間に用紙Pの後端が配置される。
【0263】
更に、後端グリッパ126が前進すると、後端把持爪開閉用カム機構152のカム当接ローラ156Eが、後端把持爪開閉用カム154を乗り越える(図11(b)参照)。カム当接ローラ156Eが、後端把持爪開閉用カム154を乗り越えると、後端把持爪開閉用カムフォロア156による後端把持爪開閉用レバー142の押圧が解除され、後端把持爪開閉用バネ148の復元力によって、後端把持爪134が閉じられる。すなわち、後端把持爪134の可動把持爪134Bが固定把持爪134Aに近づく方向に移動する。この際、可動把持爪134Bは、後端把持爪開閉用レバー142に形成されたネジ穴170とネジ軸172との作用によって、用紙Pの幅方向の外側に向かう方向に移動しながら閉じられる。これにより、用紙Pの後端が幅方向に引っ張られながら後端把持爪134に把持される。
【0264】
更に、後端グリッパ126が前進すると、後端把持爪前後移動用カム機構160のカム当接ローラ162Eも後端把持爪開閉用カム154を乗り越える。後端把持爪前後移動用カム機構160のカム当接ローラ162Eが、後端把持爪開閉用カム154を乗り越えると、後端把持爪前後移動用カムフォロア162による可動フレーム132の押圧が解除され、可動フレーム引張用バネ140の復元力によって、後端把持爪134が後方に移動する(図12参照)。これにより、用紙Pの後端が後方に引っ張られる。
【0265】
このように、本実施の形態の後端把持機構によれば、用紙Pの後端を幅方向の両側にも引っ張りながら把持する。これにより、用紙Pに発生する変形、特に縦ジワ(用紙Pの搬送方向に沿うシワ)を更に効果的に除去することができる。
【0266】
なお、用紙Pの把持を開放するときも同様の動作が行われる。すなわち、第1水平搬送経路70Aの終端部に設置された後端把持爪開閉用カム154に後端グリッパ126が到達すると、まず、後端把持爪前後移動用カム機構160のカム当接ローラ162Eが、後端把持爪開閉用カム154を乗り上げ、後端把持爪134を開く。この際、可動把持爪134Bが幅方向の中央に向かって移動しながら開く。これにより、用紙Pの後端が開放される。
【0267】
更に、後端グリッパ126が前進すると、後端把持爪前後移動用カム機構160のカム当接ローラ162Eが、後端把持爪開閉用カム154を乗り上げ、後端把持爪134を前進させる。
【0268】
更に、後端グリッパ126が前進すると、後端把持爪開閉用カム機構152のカム当接ローラ156Eが、後端把持爪開閉用カム154を乗り越え、後端把持爪134が閉じられる。この際、可動把持爪134Bが幅方向の中央から外側に向かって移動しながら閉じられる。
【0269】
更に、後端グリッパ126が前進すると、後端把持爪前後移動用カム機構160のカム当接ローラ162Eも後端把持爪開閉用カム154を乗り越え、後端把持爪134が後退する。
【0270】
このように、本実施の形態のインクジェット記録装置に用いられる後端把持機構66では、用紙Pの後端を幅方向にも引っ張りながら把持する。これにより、用紙Pの変形を更に抑えることができる。そして、この状態で乾燥処理を施すことにより、更に用紙Pを抑えて乾燥させることができる。
【0271】
なお、本実施の形態では、すべての後端把持爪134が幅方向に移動できる構成としているが、一部の後端把持爪134についてのみ幅方向に移動する構成とすることもできる。一般に用紙Pの変形は、幅方向の両端で大きくなるので、幅方向の両端に位置する後端把持爪134についてのみ幅方向にも移動できるようにしてもよい。
【0272】
また、上記実施の形態では、すべての後端把持爪134が同じ移動量で幅方向に移動する構成とされているが、幅方向の両端に位置する後端把持爪134ほど移動量が大きくなるように設定するようにしてもよい。これにより、より適切に用紙Pの変形を抑えることができる。この際、移動量の調整は、各ネジ穴170及びネジ軸172に形成するネジ山のピッチを変えることにより行うことができる。
【0273】
なお、この把持爪を幅方向に移動させる機構については、用紙Pの先端を把持する先端グリッパ64Dにも作用することができる。これにより、用紙Pの先端部で発生する用紙Pの変形を効果的に除去することができ、更に効果的に用紙Pの変形を防止することができる。
【0274】
また、本実施の形態では、後端把持爪134の開閉に伴うネジの作用で後端把持爪134を幅方向の移動させる構成としているが、モータ等のアクチュエータを利用して、幅方向に移動させる構成とすることもできる。
【0275】
また、上記のように、本実施の形態では、上把持爪134Bを下把持爪134Aに対して幅方向に移動させることにより、用紙Pを幅方向に引っ張る構成としているので、上把持爪134Bは用紙Pとの接触面の摩擦係数を大きくし、下把持爪134Aは用紙Pとの接触部の摩擦係数を小さくすることが好ましい。これにより、効率よく用紙Pを幅方向に引っ張ることができる。
【0276】
[その他の実施の形態]
上記実施の形態では、インク乾燥処理部20において、用紙Pの表面に熱風を吹き当てて乾燥処理する構成としているが、たとえば、ヒータ(赤外線ヒータなど)からの輻射で用紙Pを加熱して乾燥処理する構成とすることもできる。また、この輻射による乾燥処理と、熱風による乾燥とを併用することもできる。
【0277】
なお、加熱に用いる熱源として、水性UVインクの顔料又は染料のみを加熱する熱源を用いることにより、用紙Pを加熱することによって生じる用紙Pの変形を抑えることができる。たとえば、NIRランプ(近赤外線ランプ)やIR−LEDを熱源として用いることができる。
【0278】
また、UV照射処理部22のUV照射ユニット74に使用するUVランプは、水銀ランプ、メタルハイドライドランプ、LED等を用いることができるが、オゾンレスタイプのものを使用することが好ましい。これにより、有害なオゾンの発生を防ぐことができる。
【0279】
また、オゾンレスタイプのUVランプを使用した場合には、そのUVランプで発生する熱をインク乾燥処理部20に排熱し、乾燥処理に供させることが好ましい。これにより、消費電力を抑えて、効率よく乾燥処理を行うことができる。この場合、たとえば、UV照射処理部22で発生する熱をダクトを介してインク乾燥処理部20に送風する構成(たとえば、ファンで送風)とすることができる。
【0280】
また、上記実施の形態では、インク乾燥処理部20についてのみ用紙Pの後端を把持する構成としているが、UV照射処理部22についても同様に用紙Pの後端を把持して、UV照射処理を行うようにしてもよい。すなわち、UV照射処理部22にも後端把持機構を設けて、用紙Pの後端を把持しながらUV照射処理を行うようにしてもよい。これにより、用紙Pにテンションを掛けながらUV照射処理を行うことができ、用紙Pの変形を更に抑制することができる。この場合、インク乾燥処理部20に設置する後端把持機構をUV照射処理部22まで延長して設置する構成としてもよいし、別途、後端把持機構をUV照射処理部22に設置する構成としてもよい。
【0281】
また、上記実施の形態では、用紙Pの後端を把持したのち後方に引っ張る構成としているが、用紙Pの後端を把持しながら引っ張る構成(後端把持爪が閉じながら項方法に移動する構成)とすることもできる。また、幅方向にも引っ張る場合において、上記実施の形態では、後端把持爪が閉じながら幅方向に移動する構成としているが、閉じた後(用紙Pを把持した後)に幅方向い移動する構成とすることもできる。また、上記実施の形態では、後端把持爪が用紙Pの後端を把持した後に後方に移動する構成としているが、後方に移動した後に、幅方向に移動する構成とすることもできる。また、閉じながら幅方向に移動し、かつ、後方に移動する構成とすることもできる。
【0282】
また、上記実施の形態では、先端グリッパ及び後端グリッパをチェーンで駆動する構成としているが、先端グリッパ及び後端グリッパを駆動する構成は、これに限定されるものではない。たとえば、レール上を自走する走行体に先端グリッパ、後端グリッパを取り付けて、先端グリッパ、後端グリッパを走行させる構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0283】
P…用紙、10…インクジェット記録装置、12…給紙部、14…処理液付与部、16…処理液乾燥処理部、18…画像記録部、20…インク乾燥処理部、22…UV照射処理部、24…排紙部、30…給紙台、32…サッカー装置、32A…サクションフット、34…給紙ローラ対、34A…ローラ、34B…ローラ、36…フィーダボード、36A…テープフィーダ、36B…リテーナ、36C…コロ、38…前当て、40…給紙ドラム、40A…グリッパ、42…処理液付与ドラム、42A…グリッパ、44…処理液付与ユニット、44A…塗布ローラ、44B…処理液槽、44C…汲み上げローラ、46…処理液乾燥処理ドラム、46A…グリッパ、48…用紙搬送ガイド、50…処理液乾燥処理ユニット、52…画像記録ドラム、52A…グリッパ、54…用紙押さえローラ、56C、56M、56Y、56K…インクジェットヘッド、58…インラインセンサ、59…接触防止板、60…ミストフィルタ、62…ドラム温調ユニット、62A…ダクト、64…チェーングリッパ、64A…第1スプロケット、64B…第2スプロケット、64C…チェーン、64D…先端グリッパ、66…後端把持機構、68…インク乾燥処理ユニット、70A…第1水平搬送経路、70B…傾斜搬送経路、70C…第2水平搬送経路、72…ガイドプレート、74…UV照射ユニット、76…排紙台、100…ベースフレーム、100A…接続部、102…先端把持爪、102A…固定把持爪、102B…可動把持爪、104…先端把持爪開閉用レバー、106…先端把持爪開閉用回転軸、108…軸受部、110…先端把持爪開閉用バネ、112…先端把持爪開閉用バネ支持部、114…先端把持爪開閉用カムフォロア軸、116…先端把持爪開閉用カムフォロア、118…先端把持爪開閉用カム、120…第1スプロケット、122…第2スプロケット、124…チェーン、126…後端グリッパ、130…ベースフレーム、130A…屈曲部、130B…接続部、132…可動フレーム、134…後端把持爪、134A…固定把持爪、134B…可動把持爪、136…スライドピン、138…長穴、140…可動フレーム引張用バネ、142…後端把持爪開閉用レバー、144…後端把持爪開閉用回転軸、146…軸受部、148…後端把持爪開閉用バネ、150…後端把持爪開閉用バネ支持部、152…後端把持爪開閉用カム機構、154…後端把持爪開閉用カム、156…後端把持爪開閉用カムフォロア、156A…カムフォロア本体、156B…レバー押圧ローラ、156C…揺動軸、156D…連結軸、156E…カム当接ローラ、156F…カムフォロア本体付勢バネ、156G…ストッパ、160…後端把持爪前後移動用カム機構、162…後端把持爪前後移動用カムフォロア、162A…カムフォロア本体、162B…可動フレーム押圧ローラ、162C…揺動軸、162D…連結軸、162E…カム当接ローラ、162F…カムフォロア本体付勢バネ、162G…ストッパ、170…ネジ穴、172…ネジ軸、174…ネジ軸支持部、200…システムコントローラ、202…通信部、204…画像メモリ、210…搬送制御部、212…給紙制御部、214…処理液付与制御部、216…処理液乾燥制御部、218…画像記録制御部、220…インク乾燥制御部、222…UV照射制御部、224…排紙制御部、230…操作部、232…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を所定の搬送経路に沿って搬送しながら乾燥処理する用紙乾燥装置において、
前記搬送径路に沿って走行する第1走行体と、
前記第1走行体と一定の間隔をもって配置され、前記搬送径路に沿って前記第1走行体と同期して走行する第2走行体と、
前記第1走行体に設けられ、前記用紙の先端を把持する先端把持手段と、
前記第2走行体に設けられ、前記先端把持手段によって先端が把持された前記用紙の後端を後方に引っ張りながら把持する後端把持手段と、
前記搬送経路に沿って搬送される前記用紙に乾燥処理を施す乾燥処理手段と、
を備えたことを特徴とする用紙乾燥装置。
【請求項2】
前記第1走行体は、無端状の第1チェーンに取り付けられ、該第1チェーンを回転駆動させることにより、前記搬送経路に沿って走行し、前記第2走行体は、無端状の第2チェーンに取り付けられ、該第2チェーンを回転駆動させることにより、前記搬送経路に沿って走行することを特徴とする請求項1に記載の用紙乾燥装置。
【請求項3】
前記第1走行体は、前記第1チェーンに一定の間隔をもって複数取り付けられ、前記第2走行体は、前記第2チェーンに一定の間隔をもって複数取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の用紙乾燥装置。
【請求項4】
回転駆動手段と、
前記回転駆動手段の回転力を前記第1チェーンと前記第2チェーンとに伝達する回転伝達手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の用紙乾燥装置。
【請求項5】
前記用紙のサイズに合わせて前記第1走行体と前記第2走行体との間隔を調整する間隔調整機構を更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の用紙乾燥装置。
【請求項6】
前記後端把持手段は、前記用紙の後端を後方に引っ張るとともに、幅方向の両側に引っ張りながら把持することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の用紙乾燥装置。
【請求項7】
前記後端把持手段は、
前記用紙の後端を把持する把持部材と、
前記第2走行体に対して前記把持部材を前記用紙の搬送方向に沿って前後方向に移動させる把持部材前後方向移動手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の用紙乾燥装置。
【請求項8】
前記把持部材前後方向移動手段は、
前記第2走行体に対して前記用紙の搬送方向に沿って前後移動自在に設けられ、前記把持部材が設けられる可動体と、
前記可動体を前後いずれか一方に付勢する前後移動用付勢手段と、
前記第2移動体の走行経路上に配置される前後移動用カムと、
前記可動体に当接して設けられ、前記前後移動用カムに係合することにより、前記前後移動用付勢手段の付勢力に抗して前記可動体を前後移動させる前後移動用カムフォロアと、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の用紙乾燥装置。
【請求項9】
前記後端把持手段は、
前記用紙の幅方向の中心に対して左右対称に配置され、前記用紙の後端を把持する複数の把持部材と、
前記第2走行体に対して前記把持部材を前記用紙の搬送方向に沿って前後移動させる把持部材前後方向移動手段と、
前記第2走行体に対して前記把持部材を前記用紙の幅方向に沿って左右対称に移動させる把持部材幅方向移動手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の用紙乾燥装置。
【請求項10】
前記把持部材幅方向移動手段は、前記用紙の幅方向の両端に向かうほど前記把持部材の移動量が大きくなるように設定されることを特徴とする請求項9に記載の用紙乾燥装置。
【請求項11】
前記把持部材前後方向移動手段は、
前記第2走行体に対して前記用紙の搬送方向に沿って前後移動自在に設けられ、前記把持部材が設けられる可動体と、
前記可動体を前後いずれか一方に付勢する前後移動用付勢手段と、
前記第2移動体の走行経路上に配置される前後移動用カムと、
前記可動体に当接して設けられ、前記前後移動用カムに係合することにより、前記前後移動用付勢手段の付勢力に抗して前記可動体を前後移動させる前後移動用カムフォロアと、
を備えることを特徴とする請求項9又は10に記載の用紙乾燥装置。
【請求項12】
前記把持部材は、前記可動体に固定して設けられる固定把持部材と、前記可動体に揺動自在に設けられる可動把持部材とで構成され、
前記可動把持部材を閉じる方向に付勢する開閉用付勢手段と、
前記第2移動体の走行経路上に配置される開閉用カムと、
前記可動把持部材に当接して設けられ、前記開閉用カムに係合することにより、前記開閉用付勢手段の付勢力に抗して前記可動把持部材を開く方向に移動させる開閉用カムフォロアと、
を備えることを特徴とする請求項11に記載の用紙乾燥装置
【請求項13】
前記把持部材幅方向移動手段は、
前記可動体に設けられるネジ軸と、
前記可動把持部材に形成され、前記ネジ軸に螺合されるネジ穴と、
からなり、前記可動把持部材は、前記ネジ穴が前記ネジ軸に螺合されることにより、前記ネジ軸を中心に前記可動体に揺動自在に支持されるとともに、揺動することによりネジの作用で幅方向に移動することを特徴とする請求項12に記載の用紙乾燥装置。
【請求項14】
前記ネジ穴と前記ネジ軸は、前記用紙の幅方向の両端に向かうほど前記把持部材の移動量が大きくなるようにネジ山が設定されることを特徴とする請求項13に記載の用紙乾燥装置。
【請求項15】
前記乾燥処理手段は、複数台のヒータ及び/又は熱風送風機が前記用紙の搬送経路に沿って複数配置されて構成されることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の用紙乾燥装置。
【請求項16】
前記乾燥処理手段は、排気手段を更に備えることを特徴とする請求項15に記載の用紙乾燥装置。
【請求項17】
前記先端把持手段は、前記用紙の先端を幅方向の両側に引っ張りながら把持することを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の用紙乾燥装置。
【請求項18】
用紙にインクを打滴して画像を記録する画像記録部と、
前記画像記録部で画像が記録された前記用紙を所定の搬送経路に沿って搬送しながら乾燥処理する請求項1から17のいずれか1項に記載の用紙乾燥装置と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−39702(P2013−39702A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177022(P2011−177022)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】