説明

用紙裁断機

【課題】一度の操作で正方形の用紙を得ることができるとともに、使用しないときは折り畳むことでコンパクトに収納できる用紙裁断機を提供する。
【解決手段】左上板11と左下板12を重ね合わせて一端を係着し他端及び両側端を開放した左片1と、右上板21と右下板22を重ね合わせて一端を係着し他端及び両側端を開放すると共に前記左片と対をなす右片2と、前記左片と前記右片に設けた枢着部3と、前記枢着部より前記他端側に設けたストッパ部4と、前記左片と前記右片の外側端に設けた刃部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙等を裁断する際に用いる裁断機に関し、特に折り紙など正方形の方形状に用紙を裁断したい場合に用いる裁断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、定規などを用いて用紙を手で裁断する方法が特許文献1により知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−7983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法は用紙を2分割にすることはできるが、折り紙に適した正方形の用紙を一度の操作で得ることはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、左上板と左下板を重ね合わせて一端を係着し他端及び両側端を開放した左片と、右上板と右下板を重ね合わせて一端を係着し他端及び両側端を開放すると共に前記左片と対をなす右片と、前記左片と前記右片に設けた枢着部と、前記枢着部より前記他端側に設けたストッパ部と、前記左片と前記右片の外側端に設けた刃部と、を有することを特徴とする用紙裁断機である(請求項1)。
【発明の効果】
【0006】
本発明の用紙裁断機は、一度の操作で正方形の用紙を得ることができる。また、使用しないときは折り畳むことでコンパクトに収納できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1における用紙裁断機を広げた状態を示す斜視図。
【図2】実施例1における用紙裁断機を折り畳んだ状態を示す平面図。
【図3】実施例1における用紙を挿入した状態を示す平面図。
【図4】実施例1における用紙を裁断中の状態を示す平面図。
【図5】実施例2における用紙裁断機を広げた状態を示す斜視図。
【図6】実施例2における用紙裁断機を折り畳んだ状態を示す平面図
【図7】実施例2における他の保護縁を示す斜視図。
【図8】実施例2における他の保護縁を示す平面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、前記用紙裁断機は、前記刃部を前記左上板と前記右上板の外側端に設け、前記左下板と前記右下板の外側端を前記刃部より外側に延設し保護縁とすることが好ましい(請求項2)。
この場合は、保護縁によって刃部を保護することができるため安全性を高くすることができる。また、保護縁は用紙を差し込む際の案内ガイドも兼ねるため、用紙の挿入を素早く円滑に行うことができる。
【実施例】
【0009】
(実施例1)
以下に、本発明の用紙裁断機にかかる実施例につき、図面と共に説明する。
本例の用紙裁断機の構造は、図1、図2に示すごとく、一対の左片1と右片2とからなる。
【0010】
図1、図2に示すごとく、左片1は左上板11と左下板12とからなり、右片2は右上板21と右下板22とからなる。前記左片と前記右片は2つで1組となるように対をなす。
左上板11、左下板12、右上板21、右下板22は、比較的薄い板材料からなる略直方体で、材質はポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂等の合成樹脂を採用できる。
左上板11と左下板12は重ね合わせた状態で一端を係着して係着部13とし、他端及び両側端は係着せず開放する。また、右上板21と右下板22も重ね合わせた状態で一端を係着して係着部13とし、他端及び両側端は係着せず開放する。前記両側端は、前記左片と前記右片が互いに向かい合う側を内側端とし反対側を外側端とする。このように係着することで、前記左上板11と前記左下板12、前記右上板21と右下板22が上下で一体化する。
ここで係着とは重ね合わせた状態で付けることを意味し、接着、嵌着、融着等、左上板11と左下板12及び右上板21と右下板22の一端を付けることで上下を一体化出来ればその方法は問わない。
【0011】
図1、図2に示すごとく、前記左片1と前記右片2には枢着部3を設ける。
枢着部3は略凹凸形状で形成し、本実施例では左片1に枢着孔を形成し対向する右片2の位置に枢着突起を形成して前記枢着部3を構成する。枢着孔と枢着突起は互いに重なり合わせた状態で回動自在に取り付けられる。その結果、前記左片と前記右片は回動自在となる。
ここで、前記枢着孔及び前記枢着突起は、左上板11と右上板21との間、又は左下板12と右下板22との間、又はその両方に適宜設けることができる。また、本実施例では左片1に枢着孔を右片2に枢着突起を形成したが、左片1に枢着突起を右片2に枢着孔を形成しても差し支えない。
また、前記左片と前記右片を広げた状態や、前記左片と前記右片とを折り畳んだ状態を維持するための係合部(図示しない)を前記左片と前記右片の間に設けてもよい。このような係合部を設けた場合、使用時や収納時に左片と右片が固定されるため、使い勝手がよい。
【0012】
図1、図2に示すごとく、前記枢着部3より前記他端側にストッパ部4を設ける。
本実施例では、前記左片と前記右片の対向する位置に設けた一対の直線状の端縁41を形成して前記ストッパ部4を構成する。前記ストッパ部4は左上板11と右上板21との間、又は左下板12と右下板22との間、又はその両方に適宜設けることができる。
前記一対の端縁41は互いに突き当たることによって、前記左片と前記右片が一定の角度以上回動しないようにその回動角度を規制する。本実施例では、左片と右片のそれぞれに設けた刃部5が90度の角度をなすとき回動が停止するように形成する。
【0013】
図1、図2に示すごとく、前記左片と前記右片の外側端に刃部5を設ける。前述の通り、外側端とは左片と右片が互いに向かい合う側と反対の側端をいう。
前記刃部5は外側端を細く鋭くして形成し、前記他端の先端から前記係着部13にわたって設ける。前記左片と前記右片に設けた刃部5のそれぞれの全長は同一の長さとする。
本実施例では、前記刃部5は前記左上板11と右上板21の外側端、又は左下板12と右下板22の外側端、又はその両方に適宜設けることができる。
【0014】
本例は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。
図3に示すごとく、用紙6を裁断するには、前記左片と前記右片に設けたストッパ部が互いに突き当たるまで回動させる。本実施例では、前記左片と前記右片のそれぞれに設けた刃部5の交わる角度が90度となる。そして、前記左上板11と前記左下板12、前記右上板21と前記右下板22の他端又は両側端を上下に広げながら、前記左下板12と前記右下板22の上面に沿って用紙6を前記外側端側から前記係着部13まで挿入し図3の状態とする。
次に、ストッパ部4の上面を下方に押して用紙6を押圧固定し、この状態で用紙6の一部を摘んで上方へ持ち上げながら引くと、図4に示すごとく前記左上板11と前記右上板21の外側端に設けた刃部5によって用紙6が裁断される。
次に、前記左上板11と前記左下板12、前記右上板21と前記右下板22の他端又は両側端を上下に広げながら指を入れて用紙6を前記外側端側から摘み出すと、正方形の用紙が得られる。
用紙の裁断が終了したときは、前記左片と前記右片を先ほどと反対方向に回動して折り畳み収納する。
【0015】
(実施例2)
以下に、本例の用紙裁断機につき、図5〜図8と共に説明する。ここでは、前記した実施例1と異なる点のみを説明する。
図5、図6に示すごとく、前記刃部5は前記左上板11と前記右上板21の外側端に設け、左下板12と右下板22の外側端には刃部5を設けず保護縁12a、22aを設ける。
前記保護縁12a、22aは前記刃部5より外側に延設して設ける。前記保護縁は刃部5の全長にわたって設けられ、その形状は左片1と右片2の回動の妨げとならない形状とする。回動の妨げとならない形状とは、保護縁12a、22aを左右対称とする形状や、図7、図8で示すごとく、前記枢着部3と同心の半円形状の保護縁22bを右下板22の他端から左下板12に向かって延設する形状が採用できる。
【0016】
本例は以上のような構成であるため、保護縁12a、22aによって刃部5を保護することができ、刃部5で不用意に他を傷つけることを防止できる。
また、保護縁12a、22aは、前記左下板12と前記右下板22の上面に沿って前記外側端側から前記係着部13まで用紙6を挿入する際の案内ガイドも兼ねるため、用紙6の挿入作業を素早く円滑に行うことができる。
【0017】
以上、現時点において最も実践的でありかつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う用紙裁断機もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0018】
1 左片
11 左上板
12 左下板
12a保護縁
13 係着部
2 右片
21 右上板
22 右下板
22a、22b保護縁
3 枢着部
4 ストッパ部
41 端縁
5 刃部
6 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左上板と左下板を重ね合わせて一端を係着し他端及び両側端を開放した左片と、
右上板と右下板を重ね合わせて一端を係着し他端及び両側端を開放すると共に前記左片と対をなす右片と、
前記左片と前記右片に設けた枢着部と、
前記枢着部より前記他端側に設けたストッパ部と、
前記左片と前記右片の外側端に設けた刃部と、
を有することを特徴とする用紙裁断機。
【請求項2】
前記刃部を前記左上板と前記右上板の外側端に設け、
前記左下板と前記右下板の外側端を前記刃部より外側に延設し保護縁としたことを特徴とする請求項1に記載の用紙裁断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−206194(P2012−206194A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72659(P2011−72659)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(390017891)シヤチハタ株式会社 (162)