説明

用途上関連する装置を組み込んだ不正開封防止用の複合コンテナ

コンテナ壁及び又はその他の部分への侵入、侵害を探知するセンサを収納したコンテナ壁を有するコンテナ装置が提供される。一様相においてコンテナは、好ましくは、軽量であるが丈夫な、真空サンドイッチ構造の複合材料から構成され、複合材料中には、コンテナの6面の何れかにおける侵入、侵害を探知する光ファイバーデータ通路及び光センサが埋め込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、“装置組み込み型の不正開封防止用複合コンテナ”と題する2004年7月14日付けで出願された米国仮出願第60/587,803号の利益を主張するものである。
本発明は容器に関し、詳しくは、コンテナ壁内に装置を組み込んだコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の国内外での事件を受け、政府及び商業部門ではテロリストあるいはその他の類似組織が大量殺戮兵器を輸出入する可能性を懸念し始めている。テロリスト等は、標準型の貨物コンテナにアクセスし、核兵器の如き兵器をコンテナに配置し、港湾あるいはその他の輸出入施設を気付かれずに通過させる恐れがある。
全世界では約160万台の20ft(約6m)型コンテナが使用されているが、これらのコンテナの積荷及び荷揚げをする個人の約40%はテロリスト名簿掲載国の出身者である。海運業全般において、政府高官、運行会社、フォワーダーを含め、贈賄やサボタージュはありふれたものであり、今や大量の禁制品が海上貿易を介して米国の殆どの港湾に入り込んでいる。
【0003】
【特許文献1】米国仮出願第60/587,803号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、貨物コンテナを、無断侵入を監視できる状態において製造、販売、利用する方法を提供することである。
解決しようとする他の課題は、運行プロセス改善、移送経費削減、制御性向上、処理速度(スループット)高速化、荷抜き損失の減少、を提供し得る貨物コンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、コンテナ壁を、センサ及びプロセッサを埋め込んだ複合材料により構成した、堅牢、実用的且つ安全な貨物コンテナが提供される。
本発明の一実施例ではコンテナ壁は、主たる侵入探知目的に適合させるべく、データ通路としての光ファイバー格子と光センサとを埋め込んだ複合材料から構成される。本発明に従う構成のコンテナを使用すれば、コンテナの6つの側面のどこかに、例えば9平方インチ(約58cm2)より大きな孔が切り開けられると、明暗何れかの状況及び任意の積載状況下において即座にそれが探知され得る。別の実施例ではコンテナ壁は、プロセッサやその他センサを挿通することのできるプラグを含む完全モジュール式のものとされ、かくして、新技術が入手される都度アップグレードすることが可能となる。標準的なモジュラーインターフェースを用いる単数あるいは複数のプロセッサが、センサ、警報、外部との連絡、安全機能を管理する。
本発明の他の実施例では、積層した複合コンテナのセンサ及びプロセッサが相互連結される。各コンテナが相互連結されることでデータ通路及び随意的には電気通路が形成され、積層した複合コンテナを含むシステムがコンテナ数をカウントし、通信情報や状態情報の一致しない異常(rogue)コンテナが存在することを発見したりその他のコンテナに電力を配分することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、コンテナ壁及び又はその他の部分への侵害を探知するセンサを収納したコンテナ壁を有するコンテナ装置が説明される。一様相においてコンテナは、好ましくは、軽量であるが丈夫な、真空サンドイッチ構造の複合材料から構成され、複合材料中には、コンテナの6面の何れかにおける侵害を探知する光ファイバーデータ通路及び光センサが埋め込まれる。
図1を参照するに、複合コンテナ10の4つの側壁が略示されている。各側壁はプロセッサやセンサを挿通させ得るフレーム構造を有する。プロセッサ及びセンサの形式及び側壁における密度はユーザーニーズに合わせてカスタマイズされ得、ある設計のものでは、電気通路及びデータ通路、CPLD(Complex Programmable Logic Devices)及び又はFPGA(Field Programmable Gate Arrays)のような種々のデータプロセス処理要素または類似要素が組み込まれ、それらが管理及び通信機能を提供する。更には、これらの及び類似のセンサや要素にエネルギーを提供するバッテリーあるいは充電式バッテリーを複合材料に埋設することも可能である。
【0007】
一実施例では複合コンテナ10は、標準的なスチール製の貨物コンテナと互換使用することができるよう、寸法構造においてそうしたスチール製の貨物コンテナと類似化されるのに加え、従来からの積載装置を用いて既存のスチール製コンテナと同じように積層及び積載することが可能である。
他の実施例では複合コンテナ10には、埋設したセンサやプロセッサを駆動するための、好ましくは充電式バッテリーが設けられる。また他の実施例では、積層状態で保管される多数の複合コンテナのセンサ及びプロセッサが相互連結され、相互連結された複合コンテナがデータ通路を形成する。積層状態の複合コンテナのセンサ及びプロセッサの形成する探知システムは、コンテナをカウントし、通信情報や状態情報の一致しない異常(rogue)なコンテナを発見することができる。また別の実施例では、互換使用可能な従来のスチール製コンテナに通信リンク及び又はセンサ及び又はプロセッサが設けられ、コンテナ積層体でスチール製コンテナと複合コンテナとが相互連絡できるようになり、かくして各コンテナ同士に通信ネットワークが形成される。
【0008】
更に他の実施例では、複合コンテナが一つ以上の光ファイバーを含み、各光ファイバーはコンテナの入口ポート位置の第1端部を有し、この第1端部からコンテナ壁を貫きコンテナの出口ポート位置の第2端部に伸延する。これら一つ以上の光ファイバーの第1端部には光源を有する光ドライバが連結される。光ドライバは、開始あるいは起動信号(コード化あるいは非コード化の)を受けると光ファイバーの入力ポート位置の第1端部に放射物を伝搬させる。光ファイバーに沿って入力ポートから伝搬する光を検出する光検出体が光ファイバーの出口ポートに連結される。光ファイバーの2つの端部は、光の入射と検出とを選択的に許容するスイッチに幾つかの形態において連結される。各スイッチは、プログラム制御下に各光ファイバーをパルス駆動させると共に、xyの各軸方向に沿ってコンテナ壁内を直交方向に伸延する光ファイバー格子を、格子形態のxy座標に基づいて各光ファイバーの破損あるいは放射物の減損及びそれらの位置が検出されるような一体性を維持する様式下に、プログラム制御下に選択的にパルス動作させる。かくして、敵対者がコンテナ壁の複合材料に埋め込んだ光ファイバーを破壊あるいは変形させると、xyの各軸に沿う光ファイバー格子がその位置を特定する。
ある実施例ではプロセッサが複合材料中に埋設され、光ドライバに連結される。複合材料から成る一つのコンテナに多数の光ドライバを設けることができる。
他の実施例では光ファイバー(あるいはコンテナ壁)の変形(例えば侵入時に生じる)に対する感度は、埋設した格子状の光ファイバーの光ファイバーセンサの如き光センサによって増強される。
更に他の実施例では、複合材料中に電線あるいは電気通路が埋設され、敵対者の侵入が電線の破断により検知される。
また別の実施例では、侵入時のコンテナ壁(あるいは光ファイバー)の変形が、先に参照した格子状の電気通路に埋め込んだストレスセンサにより増強される。
【0009】
複合材料には強化ポリマー構造が含まれ、強化材には光ファイバー及び随意的な電線あるいは電気通路が含まれる。複合材料は、例えば、恐らくは真空法により樹脂結合剤に溶融させた網状のグラスファイバーその他の繊維から作製され得るが、組み込まれるこうした複合材料には種々の変形例が存在し得る。コンテナ壁に埋設したセンサに加え、探知システムにエネルギーを提供するための光源及び光ドライバが使用される。これらの光源は、少なくとも一つのファイバーに定期あるいは不定期に放射物を連続伝搬あるいはパルス伝搬させる。光源は複合材料中に埋設されあるいは埋設されないが、代表的には埋設される。ある実施例では複合材料はVARTMプロセスあるいは幾つかのその他の方法を用いて溶融される。
センサ、プロセッサ、そして光源を駆動するためのバッテリーは定期的に充電することのできる充電式バッテリーであることが好ましい。探知システムは、ユーザー側における、警告、データ取得、通信、の各要件を満たすに充分な帯域と冗長的な処理能力とを備えることが好ましい。
【0010】
ある実施例では探知システムには、敵対的意図を持つ犯罪者またはテロリスト、あるいはその他の人間がコンテナを手に入れた場合を想定したセキュリティシステムが備えられるが、このセキュリティレベルは、安全な内側中核部(core)が外部から攻撃される場合を想定したレベルよりも実質的に高い。ある実施例ではセキュリティシステムには、遠方の監視ステーションから安全に提供され得るソフトウェア、暗号トークン、及びその他形式のデータが含まれる。
他の実施例では、積層したコンテナの2つ以上が相互に連結されて通信ネットワークを形成し、このネットワークにより、船の如きプラットフォーム上に積層したコンテナ数をカウントし、その中に無断侵入を受けた異常なものがあることを探知することができる。
複合コンテナ10は、一つ以上のドアの開放、移動、厳しい環境条件、シール状態その他の、顧客が関心を持ちそうな状況を検出するその他のセンサを含み得る。ある実施例では各センサはコンテナ壁に埋設され、他の実施例ではコンテナ壁に取り付けられあるいは差し込まれ、そしてコンテナ壁から除去され得る。複合コンテナには、RFIDタグ及び又はRFID監視装置その他類似のシステムも設け得る。
【0011】
複合コンテナ10の各センサ及びプロセッサは更に、任意の積載状況下に6つの側壁の何れかにおける侵入を探知することができる。不正侵入防止システムの誤検出率が容認し得る低さとなるように調整可能である。センサやプロセッサは、コンテナ壁に埋設されることで破壊活動やコンテナ使用時の厳しい海上環境からも保護される。ある実施例では複合コンテナの壁が、例えば孔のような取付け手段を備えたモジュール構造とされ、この取付け手段により、新開発の技術にコンテナを対応させるため及び又は特定形式の貨物あるいは特定のコンテナ状況に適した形態とするための追加装置(例えばセンサ及び又はプロセッサ)をコンテナ壁に迅速且つ容易に取付けあるいは差し込むことが可能である。例えば、空のコンテナに必要な機器は貨物満載状態のコンテナのそれよりもずっと簡単且つ安価なもので良いはずである。
【0012】
コンテナ内に埋設した電力やデータの各通路はインダクティブカップリングを介してアクセス可能であることが好ましく、それにより、(a)電源(バッテリー)を充電し、(b)配線で接続された(hard−wired)データ及び電気通路を形成し、(c)複合コンテナ全体から構成される積層構造体内に、積層したコンテナ数をカウントして異常コンテナを検出するために使用することのできる通信ネットワークを構築すること、が可能となる。このセキュリティシステムでは、コンテナへの載荷直前に別のソフトモジュールを自動インストールさせたり、コンテナ内に、常時相互チェックして状況情報やフィードバック情報を提供する幾つかのプロセッサを使用することが可能となり得る。
【0013】
コンテナは、ある実施例では4つの壁(前壁、2つの端部壁または側壁、後壁)と、屋根(あるいは天井)、そして床(あるいは底部)とを含む一体ユニットであり、ある実施例では少なくとも1つのドアを有し、他の実施例では少なくとも2つのドアを一方の端部壁に有し、また別の実施例ではそれらのドアが、光及び電気的なデータや電力を流出入させ得るカプラーを含む。更に、またはあるいは、同様のカプラーをコンテナの底部に設け、それらのデータが、例えば、隣り合って位置決めしたコンテナの天井、またはコンテナを積層するラック、またはコンテナを配置するトラックのシャシー、に設けた類似の(あるいは相補的な)カップリングに関して流出入し得るようにもできる。同じく更に、またはあるいは、相補的なカップリングは、それら同士間での、また、積層された種々のコンテナを介しての光学的及び又は電気的な信号の流れを許容する。
【0014】
データカップリングには、所望であれば、重いコンテナがクレーンで一台ずつ積重され、またトラックのシャシー上に積重され得る苛酷な洋上環境に耐える連結機構を組み込む。別の実施例のコンテナでは、コンテナに電力を誘導伝達する電気的カップリングが用いられる。データは、データ伝達系統を提供するカップリングの如きを通して変調される。ドア用のものでは、例えば光ファイバー通路の突き合わせ継ぎ手を、またはエファーベセント(effervescent)光カップリングを介して光信号/データがカップリングされ得る。
図2を参照するに、複合コンテナの一実施例が示され、上パネル、底パネル、左サイドパネル、右サイドパネル、後パネル、前パネルとして参照されるパネル12、14、16から構成されている。パネル12、14、16は、組み立てた場合に、例えば、高さ、幅、長さが各4フィート(約1.2m)の、または類似ディメンションの輸送用コンテナを形成し得るような色々の寸法及び厚さのものがある。あるいはパネルはもっと大型で及び又はもっと厚く、組み立てた場合に海商で一般的に使用されるISO規格の20〜40フィート(約6〜12m)型コンテナとなるものもある。
【0015】
この実施例では上及び底の各パネルは外側縁部に沿って溝を含んでおり、左サイドパネル、右サイドパネル、後パネル、前パネルには対応するフランジが設けられ、これらのフランジが各溝にぴったりとフィットするようになっている。更には、左サイドパネル、右サイドパネルにも溝を設け、後パネルと前パネルにはフランジを設け、これらの各パネルを相互に弾発的に組み合わせるようにしても良い。
組み立てたコンテナに所定の強度を持たせるための多数のネジ(または類似形式の締め具)が必要となり得るが、そうしたネジの数、配置、寸法は当業者には既知の作業標準によって決定され得る。輸送時またはそれよりも前に専門家がそうしたネジを取り付けても良い。
他の実施例ではそれらのネジは、各パネルが輸送用コンテナあるいは輸送用カートンに自動組み立てされるよう、埋設型モーターを使用してパネルに埋設することができる。
【0016】
組み立てたコンテナを、下側のコンテナに積み重ねてスナップ留めする場合、2つのコンテナを相互にしっかりと連結させるための追加のネジが必要となるが、それらのネジは専門家が適宜の工具を使用して然るべく装着することができ、あるいは、各パネルは組み立てたコンテナあるいはカートンが相互にジョイント連結されるように構成され得る。
組み立てた複合コンテナあるいはカートン全体における電力及びデータの各通路を提供するために溝及びフランジ構成を用いることができる。溝及びフランジ構成は、積み重ねた複合コンテナまたはカートン全体における電力及びデータの各通路を提供させるためにも使用可能である。
各溝の底部と、溝の側方チャンネルに沿った位置とに一連の金属製コネクタを埋設することができる。フランジの適宜の位置には、フランジを溝に挿通したときそれらの金属製コネクタと相互に噛み合って電気的連結部を形成するよう、別の金属製コネクタを埋設することができる。
別の実施例では、フランジを溝に挿通した場合に多数の電気連結部が創出されるよう、溝に沿って多数のコネクタが埋設され得る。
図3を参照するに、金属製コネクタが色々な位置に位置決めされる状況が示される。金属製コネクタ(例えばコネクタ18)は、例えば、溝の側方に沿って埋め込まれ得る。
【0017】
図4を参照するに、金属製コネクタがフランジ20の端部位置でフランジの側部に沿って夫々埋設されている。フランジを溝に挿通するとこれらの金属製コネクタが相互に摩擦係合して電気連結部を形成する。溝の側部に沿った金属製コネクタの寸法は、フランジが溝に完全に挿通されないと電気連結部が形成されないようなものに限定され得る。電気連結部が形成されないときはコンテナが正しく組み合わされていないことを警告する信号が発生され得る。
電気連結部は、積み重ねたコンテナの全重量を支持することができる。上方からのそうした重さはフランジ端部から溝底部にかけての電気的連結部の連結性を改善し得るが、溝を変形させ、チャンネルの側方に沿って提供される連結性を低下させるおそれもある。
ある実施例では、パソコンで使用するUSBコネクタと類似の技法が使用される。代表的には、USBコネクタは電力とデータとを共に供給するが、上述したコンテナの如き重量構造物と接続するために必要な構造的な堅牢性は提供しない。
電気連結部は、パネルの複合材料中に埋め込んだ様々の制御装置(CPLD、FPGA)に向けて伸延され得る電線に接続され得るが、そうした制御装置は、コンテナが正しく組み合わされているか、また制御装置全体が正しく接続されているか否かを判定可能なものとすべきである。
【0018】
海上及び航空の各商業の様々なステージにおいて充分な外部電力を入手可能であり、そうした外部電力は比較的利用し易くもある。例えば、コンテナへの工場載荷、トラック運搬、ドック保管、船倉保管に際して電源は近くにあることから、コンテナを載置するラックにこの電源を接続すればコンテナの複合材料内のバッテリーに充電用の電力を供給させることができる。
図5を参照するに、埋設した光ワイヤまたは電線により、侵入がコンテナ壁を介して探知され得る状況が例示される。図5には2つの設計例が示され、埋設した光ワイヤまたは電線がコンテナパネルの一部分を横断して伸延されている。設計例の一方のものでは光ファイバーが格子状パターン22として伸延され、他方のものでは螺旋状パターン24として伸延される。各パネルは光ファイバーの一つまたは幾つかの格子を含み得、ある実施例のものではこの格子を介して光あるいは電気通路が確立され得、また、ファイバーあるいはワイヤーが破断されることで侵入が探知され得る。別の実施例では格子内にストレスセンサが埋設され、このセンサが圧力を検出することで侵入が確認され得る。
【0019】
通信や遠隔測定システムの当業者には既知であるように、光あるいは電気通路が破壊された場合に無線信号が伝達されるように無線テクノロジー(例えばトランシーバー26及び28)を組み込んでも良い。
図6を参照するに、複合構造のパネル30の一例が示され、電力及びデータの各バスを含んでいる。図示されるように、多数のCPLDあるいは類似の装置が溝あるいはフランジの接点からのリード線に接続され得る。CPLDは侵入探知用の様々の格子とも接触され得る。本実施例に含まれる格子数は少ないが、別の実施例ではこれらの格子がパネル全体をカバーするように伸延される。
【0020】
一般に、CPLDは安価であり、作動クロック速度は比較的速い。CPLDは独立したプロセス処理ユニットであるので、たとえその一つが故障してもその他の一つ以上のユニットに悪影響が及ぶことは実質的になく、同様に、仮に別のユニットが故障してもCPLDは実質上影響を受けない。つまりCPLDは、プロセスの多重処理能力を提供するための、また、設計上、夫々個別に且つ異なる速度で作動する部分を許容させるための安価な通路を提供し得る。CPLDは、配線接続式及び無線式の両方の標準データインターフェースを実装するものを入手可能である。更には、あるCPLDは、溝、フランジ、格子への侵入によって得たデータをゲート制御してデータバスに送り、データバスのデータが、一つ以上のマイコンによって入手可能とされ得る。
図7を参照するに、先に説明したようにコンテナ(複合構成のパネル32及び34を組み合わせた)は垂直方向に積み重ね得る。ある実施例では、組み立てたコンテナが下方に位置決めしたコンテナと、先に説明したフランジ及び溝構造を用いて合致され得る。積み上げたコンテナが合致することで、各コンテナ間に電力及び又はデータの連結部が形成され、各コンテナを相互に連結する、中でも、配線接続式あるいは無線式の各通路を通して電力及び又は情報が送られるようにもなる。
【0021】
図8を参照するに、組み立てたコンテナがコンテナラック36に位置決めされ且つ結合されている。幾つかの実施例ではコンテナラック36はインターネットにアクセス可能なパソコンあるいはその他の類似のデジタル装置に連結され得る。コンテナラック36は、インターネットへのアクセスの提供と共に、コンテナ(及びその他のコンテナ)への電力をも供給することができる。単数あるいは複数のコンテナをコンテナラック36に結合させると、コンテナの状況(例えば、コンテナの状態)を表す情報の信号及び又はメッセージがリモートコンピューターシステムあるいはリモートサーバーに送られ得るが、その場合は、そうした情報を後で取り出すために記憶する構成部品をコンテナの各パネルに埋設させ得る。またそうした情報は、組み立てたコンテナにリモートサーバーの制御下にアップロードされ得る。先に説明したように、個々のCPLDを各パネルに埋設させ、これらのCPLDを、インターフェースが一つあるいは多数のプロトコルを実行する状態下に比較的高速のデータレートを安価に実現するために使用し得る。
図9を参照するに、積層したコンテナ及びラックから成るコンテナラック38が示され、各コンテナが、情報を送受(インターネットを介して)するべく一つ以上のリモートサーバーに接続(直接あるいは間接に)されている。
【0022】
この構成は、例えば、積層した各コンテナの中に異常なものが存在しないか監視するために使用され得る。異常なコンテナとは、リモート制御できないものや、例えば、核兵器あるいは毒物といった禁制品を収納し得るものである。コンテナをラック上に積層したコンテナ積層体は、ある実施例では高さ20フィート(約6m)あるいは40フィート(約12m)の輸送用ISOコンテナに嵌入するように設計され得る。例示した実施例の場合、各コンテナは高さがおよそ4フィート(約1.2m)であるので、積層した2台のコンテナにコンテナラックを加えたコンテナ積層体38は高さ10フィート(約3m)のISOコンテナ内に挿通され得る。リモートサーバーに繋がらない異常コンテナが積層体の最上部に挿通あるいは位置決めされる場合、このコンテナ積層体はISOコンテナには適合し得ないので異常として探知される。異常コンテナをコンテナ積層体の一つのコンテナと相互交換した場合でも、サーバーはこの異常コンテナがリモートサーバーと繋がらないことをもって不適合コンテナと判断する。
ISOコンテナのコンテナ積層体中における不適合コンテナの存在は、インターネットを介してコンテナ積層体に繋がるリモートコントローラーにより比較的素早く検出され得る。コンテナ積層体の最上部に配置された異常コンテナは、コンテナ積層体の最上部に配置した任意の不適合装置を検出する装置(例えば圧力センサ)をコンテナ積層体に繋げ且つ組み込むことにより発見することができる。別の実施例ではそうした装置が、従来からの輸出用ISOコンテナに代えて使用する複合コンテナの上パネルに組み込まれ得る。
【0023】
ある実施例では、特定の核物質を検知するための検出器が複合パネル壁に埋設され得る。例えば、比較的安価な線量センサが埋設され得る。幾つかの従来システムでは特定の核物質はシールドされ得る。しかしながら、コンテナサイズが十分に小さいとシールドは実現不可能である。対照的に、線量センサを埋設した適宜数の小型のコンテナは、核兵器が海上輸送により輸入される恐れを低減させる有効策を提供し得るが、この場合、特定の核物質を適切にシールドすることのできる貨物を大量に収容する出荷に際しては特別の取り扱いが必要となり得る。
埋設した線量センサを含むシステムは、高エネルギー粒子を用いてコンテナを外部スキャンすることにより埋め込まれた核物質を探知する探知システムにも組み込むことができる。外部スキャンした結果、特定の核物質がコンテナには含まれていないことが分かると、それを表すデータが、複合材料からなるコンテナ壁に埋設したプロセッサに安全裡に入力され得る。その後、コンテナが侵入を受けると、コンテナはそうした侵入を探知する。
【0024】
また別の実施例では、コンテナは、コンテナへの載荷後にリモートサーバーの制御下にロック及びシールされ得るが、この間、リモートサーバーがランダム生成する暗号データがコンテナにアップロードされ、コンテナ壁の一つ以上に埋設した適宜のFPGAあるいはCPDLに記憶され得る。
コンテナ壁への侵入あるいはコンテナが予定外に開放するなどの不正状況が発生すると、コンテナ内に埋設したセンサがそれを検出すると共に、記憶された暗号データが部分的あるいは完全に破壊される。こうした手順から、敵対者は、侵入する以前に暗号データの修復あるいはコンテナ状況を確認することが出来なくなる。更に、警戒状況が探知されたことを示す信号あるいはメッセージがリモートサーバーに送信され得る。ある実施例ではリモートコントロールサーバーは、警戒状況が発生するとコンテナに予め供給しておいた暗号データのハッシュを要求し、コンテナからサーバーにそうした暗号情報が送られないようにされ得る。
【0025】
図7、図8及び図9を参照するに、各コンテナは、個別にあるいは積層状態下に移動され得るようにフォークリフトの各トングを受ける長孔を有し得る。先に説明したように、埋設したあるいは取り付けたデータインターフェースを介して、個別のコンテナあるいは積層したコンテナの中身と状況とがリモートコントロールサーバーにより照会されることから、コンテナは個別にあるいは積層状態下において監視されつつ移動され得る。
個別のあるいは積層したコンテナにその他形式のセンサ及び検出器を組み込むことが可能であり、コンテナは、例えば、コンテナ重量を判定し、その重量データを記憶するセンサを含み得る。あるいは、予めシールしたコンテナ重量を別個の装置で計測し、その計測値情報をコンテナに記憶させ得る。更には、線量センサ、重量情報、コンテナ内容物の推定情報の如きを融合及びプロセス処理することにより、コンテナが核装置その他の有害な禁制品を収納する恐れがあることを見分ける測定基準を創出させ得る。
【0026】
一般に、世界貿易における物流バランスは典型的には不均衡であり、一方側への商品流通量が他方側へのそれよりもずっと多いことから、コンテナを分解輸送できることが必要不可欠となる。そのため、ある実施例ではセンサを埋設した各パネルは特定の場所(例えば、港湾、空港など)に運ばれた後、そこで組み立てられる。各パネルがコンテナに組み立てる以前に個別に輸送され得ることから、各パネルをラック内に挿通し、その機能が正しく作動するかどうかをリモートコントロールサーバーを用いて判定するテスト(例えば、チェックアウト手順を通過)を実施することができる。更には、複合コンテナは、適切に機能するかどうかをリモートコントロールサーバーを使用して判定するテストを実施するために部分的あるいは完全に組み立てることができる。
コンテナラックは様々のプラットフォーム及び設備に組み込むことが可能であり、載荷及び荷下ろし中や輸送中に監視が続けられるよう、例えば、トラックのシャシー、船の貨物室、工場の床等に位置決めするように設計し及び作製することができる。コンテナラックは、そこに保持するコンテナ積層体(例えば8台のコンテナ積層体)に、荷の上げ下ろし中や輸送中に電力を提供する設計とされ得る。
【0027】
強化された複合材料内にセンサ、プロセッサ及びその他装置を埋設する構成には、複合材料が、そうした装置を厳しい洋上環境や敵対者による不正開封から保護する保護コーティングとして作用する利益がある。強化された複合材料でコンテナを作製する場合、コンテナの作製が一様化されるので、侵入や誤検出に対するコンテナ間の感度差が僅かで済むようになる利益もある。この方式は、侵入検出装置が既存のコンテナの外側に配置され、従ってそれらの装置には一様な環境が提示されない方式とは対照的なものである。コンテナ材料中にセンサを埋設する構成には、コンテナを初めて組み立てる際に工場内で全てのシステムを試験できるという他の利益もある。
ある実施例では、複合材料から作製したコンテナは、その側方パネル、上パネル、底パネル、前後の各パネル及びドアが各パネルに分解され得、必要に応じて再組み立てされ得る。パネルを複合材料で製造し、販売することで、各パネルを船積み現場で適宜サイズのコンテナに容易に組み立てることが可能である。組み立てたコンテナはスチール製の類似のコンテナよりもずっと軽量で且つ強度も高く、上方に積み重ねたその他のコンテナからの力による変形量も小さい。更には、コンテナは厳しい海上環境に耐え得、価格競争力もある。ある実施例では多数のコンテナが垂直方向に積み重ねられ、上側に位置決めしたコンテナが真下に位置付けられるコンテナと確実に合致するようにされる。コンテナ同士を合致させればコンテナの積層体あるいは積層体全体を単一ユニットとして上昇及び移動させ得る。この設計には、輸送目的上、分解して各パーツとしたほうが空の輸送用コンテナよりもずっとコンパクトになることから、コンテナを発送元に送り返す輸送コストが削減される利益がある。また、空のコンテナにテロリストその他の敵対者や禁制品が隠伏するリスクも小さくなるし、改装やメンテナンスをコンテナレベルではなくむしろパネルレベルで行い得るという利点もある。分離型のパネルデザインを採用するかしないかは、ユーザーが望むその長所と短所(例えば、分離式パネルで作製したコンテナはユニットとして製造したコンテナほどの強度が無いこと、分離式パネルで構成されるコンテナ壁を通して電気、光、電力の各通路を接続する必要性が追加されることによる複雑化、更には、敵対者によるリバースエンジニアリングがずっと容易であること)の折り合いの度合いに委ねられる。
【0028】
ある実施例では複合コンテナには、光や電気的なカップリングに頼らずに外部と通信可能なワイファイ(WIFI)装置が埋設収納され得、また別の実施例では、装荷用クレーン及び又はその他の地上(またはターミナル)ベースの装置と通信するための通信装置(例えば、無線周波数トランシーバー)が埋設収納され得る。
先に言及したように、複合コンテナは複合材料のような連続材料から製造したパネルを含み得るが、ある実施例では各パネルは複合材料と共に追加的な材料をも含み得る。例えば、パネルは、2つの金属材料層間に挟んだ複合材料を含むものとして製造され得る。この場合、金属材料層が追加的な強度及び堅牢性を提供し、一方、内側装となる複合材料が光ファイバー、センサ、プロセッサ、及びその他形式の装置や構成部品を埋設するために使用され得る。先に説明した幾つかの実施例では、複合材料製の各パネルは複合コンテナを作製するために使用されるが、ある実施例では、部分的あるいは完全なモノリス構造を創出するために組み込まれ(例えばモールド成型)得る。
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】複合材料製のコンテナの、センサ、プロセッサ及びその他の装置を埋め込んだ4つの側壁の略示図である。
【図2】複合材料製のコンテナの、溝及びフランジを含む側壁の略示図である。
【図3】複合材料製のコンテナの、金属製コネクタを埋め込んだ側壁の略示図である。
【図4】複合材料製のコンテナの、金属製コネクタを埋め込んだ側壁の略示図である。
【図5】複合材料製のコンテナの側壁に埋め込んだ侵害検出格子の2つの形式の略示図である。
【図6】埋設したコンポーネント及び母線(buses)を含む複合材料製のコンテナの、側壁の例示図である。
【図7】複合材料製のコンテナの相互連結性を示す略示図である。
【図8】複合材料製のコンテナをラックに取り付けた状態を示す略示図である。
【図9】積層した複合材料製のコンテナをラックに取り付けた状態を示す略示図である。
【符号の説明】
【0030】
10 複合コンテナ
12、14、16 パネル
18 コネクタ
20 フランジ
22 格子状パターン
24 螺旋状パターン
30 複合構造のパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
侵入探知システムを一体化させたコンテナであって、
コンテナ容積を画定する複数のパネルにして、少なくとも一つのパネルの一部分が連続的な材料を含むパネルと、
前記連続的な材料と接触する少なくとも一つの光ファイバーにして、該光ファイバーに連結した放射物源から放射物を伝搬させる形態を有する光ファイバーと、
伝搬される放射物の、コンテナに加えられる外的条件により生じる変化を検知する形態を有するセンサと、
を含むコンテナ。
【請求項2】
センサの検知する放射物の変化には、光ファイバーの破断により生じる、伝搬される放射物の干渉が含まれる請求項1のコンテナ。
【請求項3】
センサの検知する放射物の変化には、光ファイバーに加わる圧力により生じる、伝搬される放射物の減損が含まれる請求項1のコンテナ。
【請求項4】
光ファイバーがパネルの連続的な材料内に埋設される請求項1のコンテナ。
【請求項5】
コンテナ内に埋設した第2の光ファイバを更に含み、該第2の光ファイバが第1の光ファイバと直交するように位置決めされる請求項1のコンテナ。
【請求項6】
パネルの連続的な材料が複合材料を含む請求項1のコンテナ。
【請求項7】
パネルの連続的な材料が、強化ポリマー構造を有する複合材料を含む請求項1のコンテナ。
【請求項8】
少なくとも一つのパネルの一部分が、金属製の外側表面と金属製の内側表面との間に連続的な材料を含み、該連続的な材料を通して光ファイバーが伸延される請求項1のコンテナ。
【請求項9】
探知した変化を表す信号の送信を開始する形態を有するプロセッサを更に含む請求項1のコンテナ。
【請求項10】
パネルの連続的な材料内にプロセッサを埋設した請求項9のコンテナ。
【請求項11】
少なくとも一つのパネルの一部分が連続的な材料を含む複数のパネルを含む第2のコンテナにして、第1のコンテナに関連する第1のプロセッサが、第2のコンテナの連続的な材料に埋設した第2のプロセッサと通信するようになっている第2のコンテナを更に含む請求項1のコンテナ。
【請求項12】
異常コンテナの存在が、第1のプロセッサと第2のプロセッサとの間の通信が出来ないことにより示される請求項11のコンテナ。
【請求項13】
放射物を光ファイバ内でパルス伝搬させるためのスイッチを更に含む請求項1のコンテナ。
【請求項14】
放射物源に電力を提供する充電式のバッテリーを更に含む請求項1のコンテナ。
【請求項15】
伝搬される放射物をコンテナに含まれるドアを横断してカップリングするための形態を有するカプラーを更に含む請求項1のコンテナ。
【請求項16】
侵入探知システムを一体化したコンテナ積層体であって、
各コンテナの容積を画定する複数のパネルを各含む複数のコンテナにして、各コンテナが、連続的な材料部分を含む少なくとも一つのパネルを含む複数のコンテナと、
前記連続的な材料部分に各埋設した複数の光ファイバー格子にして、各光ファイバー格子が、光ファイバー格子に各連結した少なくとも一つの放射物源から放射物を伝搬させる形態を有する光ファイバー格子と、
各コンテナに加えられる外的条件によって前記伝搬される放射物に生じる変化を検出する形態を有する複数のセンサにして、各センサが、検出された変化を表すデータをセンサ相互間を通過させる形態を有するセンサと、
を含むコンテナ積層体。
【請求項17】
コンテナに加えられる外的条件には、コンテナ積層体中に位置決めされた異常コンテナによりデータの通過が妨害されることが含まれる請求項16のコンテナ積層体。
【請求項18】
コンテナに加えられる外的条件には、光ファイバー格子の一つに含まれる光ファイバーの少なくとも一つが破断することが含まれる請求項16のコンテナ積層体。
【請求項19】
コンテナに加えられる外的条件には、光ファイバー格子の一つに含まれる光ファイバーの少なくとも一つが圧力を検出することが含まれる請求項16のコンテナ積層体。
【請求項20】
侵入探知システムを一体化したコンテナであって、
連続的な材料を組み込んだ部分を含む実質的にモノリス構造を有するコンテナと、
前記連続的な材料中に埋設した少なくとも一つの光ファイバーにして、該光ファイバーに連結した放射物源から放射物を伝搬させる形態を有する光ファイバーと、
伝搬される放射物の、コンテナに加えられる外的条件によって生じる変化を検出する形態を有するセンサと、
を含むコンテナ。
【請求項21】
伝搬される放射物の、コンテナに加えられる外的条件によって生じる変化が、光ファイバーの破断によって生じる請求項20のコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−506600(P2008−506600A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521645(P2007−521645)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/025020
【国際公開番号】WO2006/019929
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(507013578)
【出願人】(507013567)
【Fターム(参考)】