説明

田植機の収納構造

【課題】苗取り板を予備苗台フレームを利用して所定スペース内に集約保持する田植機の収納構造であって、不使用時には格納することができ且つ使用時にはステップ台の一部を占領することなく前記苗取り板を集約保持できる構造簡単な収納構造を提供する。
【解決手段】機体フレーム5に立設された予備苗台フレーム200に予備苗台50を支持させ得るように構成された田植機Aに適用される収納構造は、使用位置と格納位置とをとり得るように構成された収納部材330を備え、収納部材330は、前記使用位置に位置された状態において前記苗取り板60を機体のステップ台30よりも上方位置で吊り下げ保持し得るように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は田植機に関し、詳しくは、苗取り板を予備苗台フレームを利用して所定スペース内に集約保持し得るように田植機に適用される収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
苗取り板を予備苗台フレームを利用して所定スペース内に集約保持し得るように構成された収納構造は、従来から公知である。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、予備苗台フレームを構成する前支柱及び後支柱にそれぞれ平行リンク機構を設け、該一対の平行リンク機構における可動側の略垂直リンク同士を連結棒で連結することで、収納スペースを形成するように構成した収納構造が記載されている。
又、下記特許文献2には、予備苗台フレームに収納スペースを形成する苗取り板ホルダーを上下揺動自在に連結させると共に、該板ホルダーを付勢部材によって前記予備苗台フレームに付勢するように構成した収納構造が記載されている。
【0004】
これらの特許文献に記載の収納構造は共に、使用位置と格納位置(不使用位置)とをとり得るように構成されており、従って、不使用時に収納構造が邪魔になることを有効に防止できる点で有用である。
【0005】
しかしながら、前記特許文献1及び2に記載の収納構造は何れも、前記苗取り板を集約保持する状態において、該苗取り板の下端部が機体のステップ台上に載置されるように構成されている為、集約保持されている苗取り板によってステップ台の一部が占領され、これにより、運転者や補助作業者の足置きスペースが減少するという不都合があった。
【特許文献1】実開昭60−121720号公報
【特許文献2】実開昭62−70718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、苗取り板を予備苗台フレームを利用して所定スペース内に集約保持する田植機の収納構造であって、不使用時には格納することができ且つ使用時にはステップ台の一部を占領することなく前記苗取り板を集約保持できる構造簡単な収納構造の提供を、一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、機体フレームに立設された予備苗台フレームに予備苗台を支持させ得るように構成された田植機に適用され、苗取り板を前記予備苗台フレームを利用して所定スペース内に集約保持する為の田植機の収納構造であって、前記予備苗台フレームから機体幅方向に延在する使用位置と該予備苗台フレームに沿った格納位置とをとり得るように、該予備苗台フレームに機体前後方向に沿った軸線回り回動可能に連結された収納部材を備え、前記収納部材は、前記使用位置に位置された状態において前記苗取り板を機体のステップ台よりも上方位置で吊り下げ保持し得るように構成されていることを特徴とする収納構造を提供する。
【0008】
本発明に係る収納構造の具体的態様としては、前記収納部材は、機体前後方向に沿った前方回動軸部と、前記前方回動軸部に対して略直交する方向へ延びる前方支持部と、前記前方回動軸部より機体後方位置において機体前後方向に沿った後方回動軸部と、前記後方回動軸部に対して略直交する方向へ延びる後方支持部と、前記前方支持部及び前記後方支持部の間を連結する連結部とが棒状体によって一体形成されており、前記使用位置に位置された状態において、前記前方支持部,前記後方支持部及び前記連結部が前記苗取り板を吊り下げ保持し得るように平面視凸状とされている態様を例示できる。
【0009】
斯かる態様において、さらに、前記予備苗台フレームは、予備苗台を支持する支持部材が設けられており、前記支持部材は、該予備苗台を略水平状態とさせる使用位置と該予備苗台を略垂直姿勢とさせる格納位置とをとり得るように、該予備苗台フレームに固着された取付板を介して機体前後方向に沿った枢支軸回り揺動可能とされており、前記前方回動軸部及び前記後方回動軸部は、前記取付板に軸線回り回転可能に支持されており、前記収納部材は、前記取付板の周縁部に設けられた窪みに弾性的に係入することで前記使用位置及び前記格納位置に係止されるように構成されている態様も例示できる。
【0010】
本発明に係る収納構造において、前記収納部材が前記使用位置を超えて移動するのを防止する使用位置保持ストッパーと、前記収納部材が前記格納位置を超えて移動するのを防止する収納位置保持ストッパーとをさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る収納構造によれば、前記収納部材は、前記使用位置と前記格納位置とをとり得るように構成されているので、不使用時には格納することができる。さらに、前記収納部材は、前記使用位置に位置された状態において前記苗取り板を機体のステップ台よりも上方位置で吊り下げ保持し得るように構成されているので、使用時にはステップ台の一部を占領することなく前記苗取り板を集約保持することができる。
【0012】
又、前記収納部材は、前記前方回動軸部と、前記前方支持部と、前記後方回動軸部と、前記後方支持部と、前記連結部とが棒状体によって一体形成されており、前記使用位置に位置された状態において、前記前方支持部,前記後方支持部及び前記連結部が前記苗取り板を吊り下げ保持し得るように平面視凸状とされている場合には、該収納部材を構造簡単且つ安価に構成することができると共に、前記平面視凸状とされた前記前方支持部,前記後方支持部及び前記連結部により、前記苗取り板を集約保持し易くできる。例えば、前記苗取り板における把持部に設けられた把持用貫通孔に、前記平面視凸状とされた前記前方支持部,前記後方支持部及び前記連結部を挿通することができる。
【0013】
又、前記予備苗台フレームは、予備苗台を支持する支持部材が設けられており、前記支持部材は、前記使用位置と前記格納位置とをとり得るように、該予備苗台フレームに固着された取付板を介して機体前後方向に沿った枢支軸回り揺動可能とされており、前記前方回動軸部及び前記後方回動軸部は、前記取付板に軸線回り回転可能に支持されており、前記収納部材は、前記取付板の周縁部に設けられた窪みに弾性的に係入することで前記使用位置及び前記格納位置に係止されるように構成されている場合には、前記収納部材を前記使用位置と前記格納位置とに確実に且つワンタッチによる回動操作可能に保持することができる。
【0014】
又、本発明に係る収納構造において、前記収納部材が前記使用位置を超えて移動するのを防止する使用位置保持ストッパーと、前記収納部材が前記格納位置を超えて移動するのを防止する収納位置保持ストッパーとをさらに備えている場合には、前記収納部材の前記使用位置及び前記格納位置でのオーバーランをそれぞれ防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態に係る収納構造300が適用された田植機Aの側面図である。
【0016】
まず、図1を参照しつつ、前記田植機Aの全体構成について説明する。
該田植機Aは、作業車本機1と、該作業車本機1の後方に付設される植付装置3と、前記植付装置3の前方に位置するように前記作業車本機1の後部に付設される施肥ユニット100とを備えている。
【0017】
前記作業車本機1は、図1に示すように、機体フレーム5と、該機体フレーム5の前部に載置される駆動源6と、該駆動源6に作動連結された状態で該駆動源6の後方に配設されるミッションケース8と、該ミッションケース8の機体幅方向両側に配設された一対のフロントアクスルケース9と、該一対のフロントアクスルケース9に前車軸10Aを介してそれぞれ支持された一対の水田走行用前輪10と、前記ミッションケース8の後部に連結フレーム11を介して連結されるリヤアクスルケース12と、該リヤアクスルケース12の機体幅方向両側に後車軸13Aを介して支持された一対の水田走行用後輪13とを備えている。
【0018】
さらに、該作業車本機1は、前記駆動源6を覆うボンネット7と、前記ミッションケース8を覆うように前記機体フレーム5上に張設された車体カバー14と、前記車体カバー14上に備えられた運転席21と、前記運転席21の前方で且つ前記ボンネット7の後部に配設された操向ハンドル20と、前記ボンネット7の機体幅方向両側に設けられた前記収納構造300とを備えている。
さらに、該作業車本機1は、前記駆動源6を覆うボンネット7と、前記ミッションケース8を覆うように前記機体フレーム5上に張設された車体カバー14と、前記車体カバー14上に備えられた運転席21と、運転席21の前方で且つ前記ボンネット7の後部に配設された操向ハンドル20と、前記ボンネット7の機体幅方向両側に設けられた予備苗載台50とを備えている。
【0019】
前記車体カバー14は、前記ボンネット7の機体幅方向両側に配置された補助ステップ15と、前記ボンネット7の後方に配置された主ステップ16とを備えている。前記補助ステップ15及び前記主ステップ16でステップ台30を構成している。
【0020】
前記植付装置3は、植付ケース38と、苗載台33と、該苗載台33に載置された苗マットを下方へ搬送させ得るように該苗載台に装着された苗送りベルト(図示せず)と、前記植付ケース38に回転可能に支持されたロータリケース31と、該ロータリケース31に支持された爪ケース32であって、植付爪を有する爪ケース32とを備えている。
【0021】
本実施の形態においては、前記植付装置3は、1条分の苗マットを載置可能な1条用苗載台33が機体幅方向に6台並設された6条用とされている。
前記植付ケース38の機体幅方向両側に前記ロータリケース31が一対設けられている。
即ち、本実施の形態においては、前記植付装置3は、2条用の植付ケース38を3台有し、且つ、前記ロータリケース31を6台有している。
【0022】
前記植付装置3は、前記作業車本機1に設けられた植付用PTO軸(図示せず)に作動連結される植付入力軸(図示せず)を有する植付駆動ケース26と、機体幅方向に延びるように前記植付駆動ケース26に連結された横パイプケースであって、前記植付入力軸に作動連結される植付駆動軸が内挿された横パイプケース(図示せず)と、前記横パイプケースに立設された左右一対のサイドフレーム34と、前記左右一対のサイドフレーム34の上部間を連結するように機体幅方向に延びるローリングフレーム(図示せず)とをさらに備えている。
【0023】
さらに、前記植付装置3は、前記植付ケース38の下方に配設されたセンターフロート35及びサイドフロート36を有している。
【0024】
斯かる構成の植付装置3は、前記機体フレーム5と前記植付駆動ケース26との間に介挿された昇降リンク機構2を介して、前記作業車本機1に対して昇降自在に連結されている。
詳しくは、該昇降リンク機構2は、前記機体フレーム5と前記植付駆動ケース26との間に延びる昇降リンク27と、該昇降リンク27と前記連結フレーム11の間に介挿された昇降用油圧シリンダ(図示せず)とを有している。
斯かる構成を備えることにより、前記田植機Aは、前記昇降用油圧シリンダを進退動作させることにより、前記植付装置3は作業車本機1に対して昇降されるようになっている。
【0025】
図2は、前記収納構造300の全体構成を示す斜視図である。又、図3,図4,図5及び図6は、それぞれ、前記収納構造300を示す斜視図,正面図,側面図及び平面図である。
なお、前記収納構造300は、例えば、前記田植機Aの機体幅方向(図中Y方向)一方側Y1(ここでは機体前後方向(図中X方向)前方X1に向かって左側、以下単に左側という)又は機体幅方向Y他方側Y2(ここでは前方X1に向かって右側、以下単に右側という)の少なくとも一方側に設けられ得る。本実施の形態においては、前記収納構造300は、前記田植機Aの左側Y1及び右側Y2の両側に設けられている。
左右の収納構造300は実質的に同じ構成をしており、図3乃至図6では、右側の収納構造300のみを示し、左側の収納構造300は図示を省略している。
又、予備苗台フレーム200に支持される予備苗台50は、図3,図5及び図6においては、図示を省略している。
【0026】
次に、前記収納構造300について詳述する。
前記収納構造300は、図2乃至図6に示すように、前記機体フレーム5に立設された前記予備苗台フレーム200に予備苗台50を支持させ得るように構成された田植機Aに適用され、苗取り板60を前記予備苗台フレーム200を利用して所定スペース内に集約保持する為のものである。
この収納構造300は、前記予備苗台フレーム200から機体幅方向Yに延在する使用位置(図3(a)参照)と該予備苗台フレーム200に沿った格納位置(図3(b)参照)とをとり得るように、該予備苗台フレーム200に機体前後方向Xに沿った軸線回り回動可能に連結された収納部材330を備えている。
【0027】
そして、前記収納部材330は、前記使用位置に位置された状態において前記苗取り板60を機体の前記ステップ台30よりも上方位置で吊り下げ保持し得るように構成されている。
斯かる構成を備えた収納構造300によれば、前記収納部材330は、前記使用位置と前記格納位置とをとり得るように構成されているので、不使用時には格納することができる。さらに、前記収納部材330は、前記使用位置に位置された状態において前記苗取り板60を機体の前記ステップ台30よりも上方位置で吊り下げ保持し得るように構成されているので、使用時には前記ステップ台30の一部を占領することなく前記苗取り板60を集約保持することができる。
【0028】
図7及び図8は、前記収納部材330が、前記予備苗台フレーム200に機体前後方向Xに沿った軸線回り回動可能に連結されている状態を説明する為の斜視図であって、図7(a)は、前記収納部材330が前記使用位置に位置している状態の前方側を示す図であり、図7(b)は、前記収納部材330が前記格納位置に位置している状態の前方側を示す図であり、図8(a)は、前記収納部材330が前記使用位置に位置している状態の後方側を示す図であり、図8(b)は、前記収納部材330が前記格納位置に位置している状態の後方側を示す図である。
【0029】
図2乃至図8を参照しつつさらに説明すると、本実施の形態では、前記収納部材330は、機体前後方向Xに沿った前方回動軸部331a(図7参照)と、前記前方回動軸部331aに対して略直交する方向へ延びる前方支持部332aと、前記前方回動軸部331aより機体後方X2位置において機体前後方向Xに沿った後方回動軸部331b(図8参照)と、前記後方回動軸部331bに対して略直交する方向へ延びる後方支持部332bと、前記前方支持部332a及び前記後方支持部332bの間を連結する連結部333とが棒状体によって一体形成されている。
そして、前記使用位置に位置された状態において、前記前方支持部332a,前記後方支持部332b及び前記連結部333が前記苗取り板60を吊り下げ保持し得るように平面視凸状とされている。(図6参照)。
【0030】
斯かる構成を備えた収納構造300では、該収納部材330を構造簡単且つ安価に構成することができると共に、前記平面視凸状とされた前記前方支持部332a,前記後方支持部332b及び前記連結部333により、前記苗取り板60を集約保持し易くできる。例えば、図2に示すように、前記苗取り板60における把持部61に設けられた把持用貫通孔61aに、前記平面視凸状とされた前記前方支持部332a,前記後方支持部332b及び前記連結部333を挿通することができる。
【0031】
又、本実施の形態においては、前記予備苗台フレーム200は、予備苗台50を支持する支持部材230が設けられている。
前記支持部材230は、該予備苗台50を略水平状態とさせる使用位置(図2の左側参照)と該予備苗台50を略垂直姿勢とさせる格納位置(図2の右側参照)とをとり得るように、該予備苗台フレーム200に固着された取付板250を介して機体前後方向Xに沿った枢支軸P(図4参照)回り揺動可能とされている。
前記前方回動軸部331a及び前記後方回動軸部331bは、前記取付板250に軸線回り回転可能に支持されている(図7及び図8参照)。
【0032】
そして、前記収納部材330は、前記取付板250の周縁部Qに設けられた窪みQ1,Q2に弾性的に係入することで前記使用位置及び前記格納位置に係止されるように構成されている。
斯かる構成を備えた収納構造300では、前記収納部材330を前記使用位置と前記格納位置とに確実に且つワンタッチによる回動操作可能に保持することができる。
【0033】
さらに具体的に説明すると、前記予備苗台フレーム200は、前記機体フレーム5に立設されるベースフレーム210と、予備苗台50を支持可能なユニットフレーム220であって、前記ベースフレーム210に着脱自在に連結可能とされたユニットフレーム220とを備えている。
前記ユニットフレーム220は、図示の例では1段構成としたが、下段に位置する他のユニットフレーム220に対しても着脱自在に連結可能とされている(換言すれば、前記ユニットフレーム220が多段構成可能とされている)。
【0034】
前記予備苗台フレーム200は、前記ベースフレーム210及び前記ユニットフレーム220に着脱自在に連結される前記支持部材230を備えている。
前記支持部材230は、前記使用位置と前記格納位置とをとり得るように、対応する前記ベースフレーム210及び前記ユニットフレーム220に機体前後方向Xに沿った枢支軸P回り揺動可能とされている。
【0035】
前記ベースフレーム210は、機体前後方向Xに離間配置された前ベース支柱211及び後ベース支柱212を有している。
又、前記ユニットフレーム220は、前記前ベース支柱211及び前記後ベース支柱212に対応した前支柱221及び後支柱222と、該前支柱221及び後支柱222の間を連結する連結支柱223(ここでは複数の連結支柱223)とを有している。
又、前記ベースフレーム210は、さらに、前記前ベース支柱211及び前記後ベース支柱212の間を連結するベース連結支柱213(ここでは複数のベース連結支柱213)を有している。
【0036】
前記ベースフレーム210において、前記前ベース支柱211及び前記後ベース支柱212は、それぞれ、基端部211a,212aが前記機体フレーム5に連結され、該基端部211a,212aから機体幅方向Y外方に延びると共に、途中で上方へ略直角に延びている。
前記ベース連結支柱213は、上下一対のものとされており、上側のベース連結支柱213は前記前ベース支柱211及び前記後ベース支柱212の先端部211b,212bに架設され、且つ、下側のベース連結支柱213は前記前ベース支柱211及び前記後ベース支柱212の上下方向中間部に架設されている。
【0037】
又、前記ユニットフレーム220において、前記連結支柱223は、上下一対のものとされており、下側の連結支柱223は前記前支柱221及び前記後支柱222の下端部221a,222aに架設され、且つ、上側の連結支柱223は前記前支柱221及び前記後支柱222の上端部221b,222bに架設されている。
【0038】
斯かる構成の前記ベースフレーム210及び前記ユニットフレーム220において、前記上下一対のベース連結支柱213及び前記上側の連結支柱223は、何れも機体前後方向Xに離間配置された左右一対の取付板250を有している。
【0039】
詳しくは、前記前ベース支柱211及び前記後ベース支柱212は、何れも棒状のものとされている。前記前支柱221及び前記後支柱222も、何れも棒状のものとされている。
前記上下一対のベース連結支柱213及び前記上側の連結支柱223は、何れも機体前後方向X視L字状の屈曲部材からなっており、機体前後方向Xに延びる一方側のステー部213a,223aが機体幅方向Y内方側に向くように略垂直に配設され、且つ、機体前後方向Xに延びる他方側のステー部213b,223bが上方側を向くように略水平に配設されている。
又、前記左右一対の取付板250は、何れも前記上下一対のベース連結支柱213及び前記上側の連結支柱223の内側面に略垂直に固着されており、周縁部Qに前記窪みQ1,Q2が設けられている。
【0040】
前記収納部材330は、前記前方回動軸部331aと前方支持部332aとの間が前方屈曲部334aによって連結されており(図7参照)、前記後方回動軸部331bと後方支持部332bとの間が後方屈曲部334bによって連結されている(図8参照)。
【0041】
前記前方屈曲部334a及び前記後方屈曲部334bは、それぞれ、前記前方回動軸部331及び前記後方回動軸部331bと略並行な並行部334a’,334b’を有している。
そして、前記収納部材330は、前記屈曲部334a,334bにおける前記並行部334a’,334b’が、前記使用位置及び前記格納位置の間においては、該屈曲部334a,334bが撓みつつ移動し、且つ、前記使用位置及び前記格納位置に位置する場合においては、該窪みQ1,Q2に係入することで該使用位置及び該格納位置に保持されるようになっている。
【0042】
前記ユニットフレーム220及び前記ベースフレーム210にそれぞれ設けられた前記左右一対の取付板250は、何れも機体前後方向Xに貫通する貫通孔252を有している(図7及び図8参照)。
そして、前記収納部材330は、前記貫通孔252に、前記前方回動軸部331a及び前記後方回動軸部331bが挿通されることで、前記予備苗台フレーム200に機体前後方向Xに沿った軸線回り回動可能に連結されるようになっている。なお、前記前方回動軸部331a及び前記後方回動軸部331bは、本実施の形態では、前記上側の連結支柱223における前記取付板250の前記貫通孔252に挿通されている。
こうすることで、前記収納部材330を前記予備苗台フレーム200に対して取付・取外す際には、前記収納部材330を撓ませつつ、前記貫通孔252に、前記前方回動軸部331a及び前記後方回動軸部331bを挿通することができる。これにより、工具等を用いることなく(ノンツールで)前記予備苗台フレーム200に対する前記収納部材330の取付・取り外しが可能となる。
【0043】
さらに、前記左右一対の取付板250は、機体前後方向Xのピッチが各段において同じピッチとされている。
この点、本実施の形態においては、前記収納部材330は、単一の棒状体によって一体形成されており、前記屈曲部334a,334bを有しているので、前記前方支持部332a及び前記後方支持部332bの間の機体前後方向X長さh(図5及び図6参照)の調節を前記屈曲部334a,334bの機体前後方向X長さで簡単に行うことができる。
【0044】
なお、前記収納構造300は、例えば、図7及び図8の破線で示すように、前記収納部材330が前記使用位置を超えて移動するのを防止する使用位置保持ストッパー410と、前記収納部材330が前記格納位置を超えて移動するのを防止する収納位置保持ストッパー420とをさらに備えていてもよい。
斯かる構成を備えた収納構造では、前記収納部材330の前記使用位置及び前記格納位置でのオーバーランをそれぞれ防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本実施の形態に係る収納構造が適用された田植機の側面図である。
【図2】図2は、収納構造の全体構成を示す斜視図である
【図3】図3は、収納構造を示す斜視図であって、図3(a)は、収納部材が使用位置をとっている状態を示す図であり、図3(b)は、収納部材が格納位置をとっている状態を示す図である。
【図4】図4は、収納構造を示す正面図である。
【図5】図5は、収納構造を示す側面図である。
【図6】図6は、収納構造を示す平面図である。
【図7】図7は、収納部材が、予備苗台フレームに機体前後方向に沿った軸線回り回動可能に連結されている状態を説明する為の斜視図であって、図7(a)は、収納部材が使用位置に位置している状態の前方側を示す図であり、図7(b)は、収納部材が格納位置に位置している状態の前方側を示す図である。
【図8】図8は、収納部材が、予備苗台フレームに機体前後方向に沿った軸線回り回動可能に連結されている状態を説明する為の斜視図であって、図8(a)は、収納部材が使用位置に位置している状態の後方側を示す図であり、図8(b)は、収納部材が格納位置に位置している状態の後方側を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
5…機体フレーム 30…ステップ台 50…予備苗台 60…苗取り板
200…予備苗台フレーム 230…支持部材 250…取付板
300…収納構造 330…収納部材 331a…前方回動軸部
331b…後方回動軸部 332a…前方支持部 332b…後方支持部
333…連結部 410…使用位置保持ストッパー 420…収納位置保持ストッパー
A…田植機A P…枢支軸 Q…取付板の周縁部 Q1,Q2…窪み
X…機体前後方向 Y…機体幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームに立設された予備苗台フレームに予備苗台を支持させ得るように構成された田植機に適用され、苗取り板を前記予備苗台フレームを利用して所定スペース内に集約保持する為の田植機の収納構造であって、
前記予備苗台フレームから機体幅方向に延在する使用位置と該予備苗台フレームに沿った格納位置とをとり得るように、該予備苗台フレームに機体前後方向に沿った軸線回り回動可能に連結された収納部材を備え、
前記収納部材は、前記使用位置に位置された状態において前記苗取り板を機体のステップ台よりも上方位置で吊り下げ保持し得るように構成されていることを特徴とする収納構造。
【請求項2】
前記収納部材は、機体前後方向に沿った前方回動軸部と、前記前方回動軸部に対して略直交する方向へ延びる前方支持部と、前記前方回動軸部より機体後方位置において機体前後方向に沿った後方回動軸部と、前記後方回動軸部に対して略直交する方向へ延びる後方支持部と、前記前方支持部及び前記後方支持部の間を連結する連結部とが棒状体によって一体形成されており、
前記使用位置に位置された状態において、前記前方支持部,前記後方支持部及び前記連結部が前記苗取り板を吊り下げ保持し得るように平面視凸状とされていることを特徴とする請求項1に記載の収納構造。
【請求項3】
前記予備苗台フレームは、予備苗台を支持する支持部材が設けられており、
前記支持部材は、該予備苗台を略水平状態とさせる使用位置と該予備苗台を略垂直姿勢とさせる格納位置とをとり得るように、該予備苗台フレームに固着された取付板を介して機体前後方向に沿った枢支軸回り揺動可能とされており、
前記前方回動軸部及び前記後方回動軸部は、前記取付板に軸線回り回転可能に支持されており、
前記収納部材は、前記取付板の周縁部に設けられた窪みに弾性的に係入することで前記使用位置及び前記格納位置に係止されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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