説明

甲殻類の催熟及び/又は産卵用組成物

【課題】甲殻類の催熟及び/又は産卵を効率的に促進させることができる新規な組成物を提供する。
【解決手段】ゴカイ類抽出物から単離された中性脂質画分及び/又は遊離アミノ酸・ペプチド画分を含み、ゴカイ類由来の前記中性脂質の含有量は乾燥重量で0.5重量%以上であり、ゴカイ類由来の前記遊離アミノ酸・ペプチドの含有量は乾燥重量0.1重量%以上である、甲殻類の催熟及び/又は産卵用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甲殻類の催熟及び/又は産卵用組成物に関する。具体的には、本発明は、ゴカイ類抽出物から単離された中性脂質画分及び/又は遊離アミノ酸・ペプチド画分を含む、甲殻類、好ましくはクルマエビの催熟及び/又は産卵用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
甲殻類の一種であるクルマエビは、重要な養殖種であるにも関わらず、天然から得られた親エビから卵を採って、稚エビに育てた後、養殖している。天然資源の減少や天然保菌エビの増加によって、稚エビの品質低下が懸念されている。そこで、人工飼育化で親エビを育成し、卵を確保する技術の開発が望まれている。したがって、親エビを催熟させ、産卵させるための高品質飼料の開発が急務である。
【0003】
現在までに、砂泥域でクルマエビの天然飼料となっていると考えられるイソゴカイがクルマエビの催熟効果を有すること、及び特にイソゴカイ抽出脂質がかかる催熟効果を有することが示唆されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】斎藤ら, 水産総合研究センター研究報告, 別冊第5号(2005年11月), 「クルマエビ催熟への餌飼料からのアプローチ-クルマエビの成熟に関与する飼料生物の化学成分の検討」, 6〜11頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、甲殻類の催熟及び/又は産卵を効率的に促進させることができる新規な組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために、イソゴカイから抽出された各画分の催熟及び/又は産卵への効果を分析した結果、中性脂質を含む画分と遊離アミノ酸・ペプチドを含む画分が優れた甲殻類の催熟効果を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は以下の特徴を包含する。
(1) ゴカイ類抽出物から単離された中性脂質画分及び/又は遊離アミノ酸・ペプチド画分を含み、ゴカイ類由来の前記中性脂質の含有量は乾燥重量で0.5重量%以上であり、ゴカイ類由来の前記遊離アミノ酸・ペプチドの含有量は乾燥重量0.1重量%以上である、甲殻類の催熟及び/又は産卵用組成物。
【0008】
(2) ゴカイ類はイソゴカイである上記(1)記載の組成物。
(3) 甲殻類はクルマエビである上記(1)記載の組成物。
【0009】
(4) 前記中性脂質画分は、ゴカイ類原料から1種以上の有機溶媒を用いて溶媒抽出されたものである、上記(1)記載の組成物。
【0010】
(5) 有機溶媒は、メタノール、クロロホルム及びアセトンである、上記(4)記載の組成物。
(6) 前記遊離アミノ酸・ペプチド画分は、ゴカイ類原料から1種以上の有機溶媒を用いて溶媒抽出されたものである、上記(1)記載の組成物。
【0011】
(7) 有機溶媒は、メタノール、クロロホルム及びトリクロロ酢酸である、上記(6)記載の組成物。
(8) 上記(1)〜(7)のいずれか記載の組成物を飼料に添加することを含む、甲殻類の催熟用飼料の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、甲殻類の催熟及び/又は産卵を効率的に促進させることができる組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の組成物である中性脂質画分と遊離アミノ酸・ペプチド画分の例示的な製造プロセスのフローを示す。
【図2】図2は、本発明の組成物である中性脂質画分と遊離アミノ酸・ペプチド画分の卵影比に及ぼす効果を、他の画分との比較において示す。
【図3】図3は、本発明の組成物である中性脂質画分と遊離アミノ酸・ペプチド画分の最大卵影比に及ぼす効果を、他の画分との比較において示す。
【図4】図4は、本発明の組成物である中性脂質画分と遊離アミノ酸・ペプチド画分を給餌した際の卵影比が最大値に達するまでに要した日数を、他の画分との比較において示す。
【図5】図5は、配合飼料(遊離アミノ酸・ペプチド画分0.5重量%+中性脂質画分0.5重量%添加)給餌区と、活ゴカイ給餌区との、産卵率(%)の比較を示す。
【図6】図6は、配合飼料(遊離アミノ酸・ペプチド画分0.5重量%+中性脂質画分0.5重量%添加)給餌区と、活ゴカイ給餌区との、孵化率(%)の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は甲殻類の催熟及び/又は産卵用組成物(以下、本発明の組成物と称する)に関する。本発明で使用する用語「催熟及び/又は産卵用」は、甲殻類に給餌することによって催熟、産卵を促進することを目的とする用途をいい、より具体的には、甲殻類の成熟の促進、卵影比の増大、産卵までに要する日数の短縮、産卵率の改善、卵質の改善、孵化率の向上などの1つ以上を目的とする用途を指す。本発明の組成物は、成熟前又は成熟後のいずれの甲殻類に対して給餌してもよいが、好ましくは成熟後の甲殻類に使用する。
【0015】
本発明の組成物の使用対象となる甲殻類は特に限定されず、例えば食用又は養殖用であるエビ類、カニ類、ザリガニ類、シャコ類、アミ類など広範な甲殻類が含まれる。エビ類として、これに限定されるものではないが、例えばクルマエビ、コウライエビ、ショウナンエビ、フトミゾエビ、テラオクルマエビ、テンジククルマエビ、ウシエビ、アカオエビ、クマエビ、ブルーシュリンプ、レッドテールシュリンプ、バナナシュリンプ、インドエビ、ホワイトシュリンプ(バナメイエビ)などのクルマエビ類、テナガエビ、ミナミテナガエビ、ヤマトテナガエビ、オニテナガエビ、コンジンテナガエビなどのテナガエビ類、およびイセエビ、ハコエビ、ゴシキエビ、ウチワエビ、セミエビなどのイセエビ類を挙げることができる。またカニ類としては、アサヒガニ、上海ガニ、ガザミ、タイワンガザミ、ノコギリガザミ、モクズガニ、ズワイガニ、ベニズワイガニ、ケガニ、タカアシガニなどを挙げることができ、ザリガニ類としてはアメリカンロブスター、ヨーロピアンロブスター、アカザエビ、アメリカザリガニ、ニホンザリガニなどを挙げることができる。
【0016】
本発明の組成物は、ゴカイ類由来の中性脂質及び/又は遊離アミノ酸・ペプチドを含んでおり、その含有量が、前者については、乾燥重量で0.5重量%以上、好ましくは0.6重量%以上、より好ましくは0.7重量%以上であり、後者については、乾燥重量で0.1重量%以上、好ましくは0.12重量%以上、より好ましくは0.14重量%以上であることを特徴とする。このような本発明の組成物は、ゴカイ類抽出物から中性脂質画分及び/又は遊離アミノ酸・ペプチド画分を単離することによって製造することができる。
【0017】
本発明の組成物の原料となるゴカイ類は、分類学的にゴカイ類に分類されるものであれば特に制限されず、例えばイソゴカイ、アオゴカイなどを挙げることができる。特に本発明の組成物をクルマエビ類に給餌する場合には、原料としてイソゴカイを使用することが好ましい。またゴカイ類の形態は特に制限されず、生存形態であっても乾燥形態であってもよい。
【0018】
ゴカイ類抽出物からの中性脂質画分の単離は、ゴカイ類原料から脂溶性成分を抽出し、該脂溶性成分から中性脂質のみを単離する操作によって行うことができる。上記のような中性脂質画分の単離は、例えば1種以上の有機溶媒を用いた溶媒抽出処理によって行うことができる。かかる溶媒抽出処理に使用することができる有機溶媒としては、これに限定されるものではないが、メタノール、エタノール、クロロホルム、アセトン、ジエチルエーテルなどを挙げることができる。有機溶媒としてメタノール、クロロホルム及びアセトンを使用することが好ましい。
【0019】
有機溶媒としてメタノール、クロロホルム及びアセトンを使用する場合には、例えば、次のようにして中性脂質を単離することができる。すなわち、ホモジナイザー等により粉砕したゴカイ類原料にメタノール/クロロホルム混合液(2:1〜1:2、例えば1:1の割合)を添加して攪拌した後、濾過により残渣を除き、メタノール層とクロロホルム層とに分離するまで静置する。次いで、クロロホルム層を回収し、クロロホルムを除去する。次いで、5〜10倍量の冷アセトンを添加して静置し、上澄みを回収する操作を3〜5回繰り返す。このようにして回収された上澄みを全て合わせ、必要に応じて中性脂質を濃縮、乾燥処理に付すことにより、目的とする中性脂質画分を得ることができる。
【0020】
ゴカイ類抽出物からの中性脂質の単離は上記手法に制限されず、当業者に公知の他の手法を用いて行ってもよい。そのような手法として、例えばブライとダイアーの方法(Can. J. Biochem. Physiol., 37:911-917, 1959参照)、フォルチの方法(J. Biol. Chem., 226:497-509, 1957参照)などを挙げることができる。
【0021】
こうして単離される中性脂質画分は、中性脂質として主に、遊離脂肪酸、トリアシルグリセロール、ステロール類(例えばコレステロールなど)、トリ(及びモノ)アシルグリセロールを含んでいる(下記表2参照)。
【0022】
ゴカイ類抽出物からの遊離アミノ酸・ペプチド画分の単離は、ゴカイ類原料から水溶性成分を抽出し、該水溶性成分から遊離アミノ酸及びペプチドのみを単離する操作によって行うことができる。上記のような遊離アミノ酸及びペプチドの単離は、例えば1種以上の有機溶媒を用いた溶媒抽出処理によって行うことができる。遊離アミノ酸及びペプチドの単離に使用することができる有機溶媒としては、これに限定されるものではないが、メタノール、エタノール、クロロホルム、ジエチルエーテル、トリクロロ酢酸などを挙げることができる。有機溶媒としてメタノール、クロロホルム及びトリクロロ酢酸を使用することが好ましい。
【0023】
有機溶媒としてメタノール、クロロホルム及びトリクロロ酢酸を使用する場合には、例えば、次のようにして遊離アミノ酸・ペプチドを単離することができる。すなわち、ホモジナイザー等により粉砕したゴカイ類原料にメタノール/クロロホルム混合液(2:1〜1:2、例えば1:1の割合)を添加して攪拌した後、濾過により残渣を除き、メタノール層とクロロホルム層とに分離するまで静置する。次いで、メタノール層を回収し、メタノールを除去する。次いで、5〜10%濃度までトリクロロ酢酸を添加し、生成した沈殿を遠心分離により除去する。回収したトリクロロ酢酸可溶性画分は、その後必要に応じて、トリクロロ酢酸を除去するためのジエチルエーテルによる処理や当業者に公知の乾燥処理等に付し、目的とする遊離アミノ酸・ペプチドを得ることができる。
【0024】
ゴカイ類抽出物からの遊離アミノ酸・ペプチド画分の単離は上記手法に制限されず、当業者に公知の他の手法を用いて行ってもよい。そのような手法として、例えば限外ろ過法などを挙げることができる。
【0025】
本発明の組成物は、好ましくは、ゴカイ類抽出物に含まれる中性脂質と遊離アミノ酸・ペプチドの両方を含んでいる。下記実施例に示されるように、ゴカイ類抽出物に含まれる中性脂質及び遊離アミノ酸・ペプチドは、共に催熟及び産卵を促進する効果を有するため、両者を併用することによって前記効果を増強することができる。なおこの場合、本発明の組成物中の中性脂質画分と遊離アミノ酸・ペプチド画分の含有比は特に制限されない。
【0026】
上記の通り、ゴカイ類抽出物中に含まれる中性脂質及び/又は遊離アミノ酸・ペプチドは、甲殻類に摂食させることにより、甲殻類の成熟の促進、卵影比の増大、産卵までに要する日数の短縮、産卵率の改善、卵質の改善、孵化率の向上などの催熟、産卵を促進する効果を有するものである。したがって、本発明の組成物は、甲殻類の催熟、産卵用の飼料の製造に使用することができる。
【0027】
本発明の甲殻類の催熟及び/又は産卵用飼料の製造方法は、本発明の組成物を各種飼料に配合することを含んでいる。本発明の方法に使用することができる飼料は、甲殻類への給餌に使用することができるものであれば特に制限されず、市販の人工飼料や天然餌料に配合させることができる。またその配合量も、催熟及び/又は産卵を効果的に促進できる量であれば特に制限されず、例えば飼料に対して、中性脂質の含有量が0.1〜1.0重量%、好ましくは0.2〜0.8重量%、例えば0.5重量%となるように上記中性脂質を配合させればよく、及び/又は遊離アミノ酸・ペプチドの含有量が0.02〜0.2重量%、好ましくは0.04〜0.16重量%、例えば0.1重量%となるように上記遊離アミノ酸・ペプチド画分を配合させればよい。
【0028】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
本実施例では、養殖イソゴカイ(高知産)を使用した。イソゴカイ抽出物の作製に使用した溶媒(クロロホルム、メタノール、トリクロロ酢酸)は、ナカライテスク社製を用いた。
【0030】
養殖イソゴカイは、入手後すぐに冷凍庫(−20℃)で凍結し、凍結乾燥機を用いて凍結乾燥した。イソゴカイ粉末100gに対して、メタノール250ml及びクロロホルム250mlを加え、カップホモジナイザーでよく混合し定性用濾紙(アドバンテック、No.3 )を用いて、吸引濾過を行った。濾紙状の固形物(タンパク質、繊維等を含む)は、乾燥して冷凍保存した。濾液は、分液漏斗に移し、水約200mlを加え攪拌後、2層に分離するのを待ち、上層A(水溶性画分)と下層B(脂溶性画分)に分けた。
【0031】
上層A(水溶性画分)は、ロータリーエバポレーターを用いて溶液中のメタノールを蒸発させたのち、水溶液の容積を測定し、トリクロロ酢酸(TCA)濃度が10%になるようTCAを添加した。溶液を冷蔵庫(4℃)で保存し、生成した沈殿と溶液を遠心分離によって、分離した。遠心分離の沈殿は水洗後、凍結乾燥して冷凍保存した。上澄みは、分液漏斗に移し、等量のジエチルエーテルを加え振とうした。静置し、二層分離後、溶液の上層を除去した。下層のpH が5〜6になるまで操作を繰り返し、溶液中のTCAを取り除いた。溶液は、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、その後凍結乾燥して、遊離アミノ酸・ペプチド画分とし、凍結保存した。遊離アミノ酸・ペプチド画分の組成を下記表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
下層B(脂溶性画分)は、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、10倍量の冷アセトンを加え撹拌後、冷蔵保存した。1日静置後、上澄(中性脂質画分)と沈殿(極性脂質画分)に分離した。沈殿には冷アセトンをさらに加え、撹拌後、静置分離した。操作は上澄が無色になるまで繰り返し、上澄は全て合わせて、減圧濃縮し、中性脂質画分を得た。中性脂質画分の組成を下記表2に示す。
【0034】
【表2】

【0035】
沈殿は減圧乾燥し、極性脂質を得た。なお、本実施例で採用したゴカイ類抽出物の抽出フローチャートを図1に示す。
【0036】
実施例に用いた飼料は、イカ粉末、魚粉、オキアミ粉末及びイカ肝油を主体とし、コレステロール、ミネラル混合物、ビタミン混合物等を添加した。ゴカイ粉末もしくはゴカイ抽出画分をそれぞれ飼料に添加した。試験区を下記に示す:
試験区1:基本配合飼料
試験区2:基本配合飼料+遊離アミノ酸・ペプチド画分0.5重量%添加
試験区3:基本配合飼料+極性脂質画分0.5重量%添加
試験区4:基本配合飼料+中性脂質画分0.5重量%添加
試験区5:冷凍ゴカイ
【0037】
成熟試験には、松本水産株式会社(大分県)より入手した雌クルマエビを使用した。水槽収容時に、雌エビは、体重、体幅長および卵影幅を測定し、外科用縫合糸を用いて片眼柄処理を行い、個体識別できるようタグを取り付けた。成熟指標には卵影比を用いた。算出式は次のとおりである:
卵影比(%)=(卵影幅/体幅)×100
試験飼料を1日1回、15日間給餌し、2日おきに卵影幅長と体幅長を測定した。
【0038】
図2に示すように、いずれの試験区でも実験開始時に比べ卵影比は増加していたが、遊離アミノ酸・ペプチド画分を添加した試験区2が最も良好な増加を示した。また、最大卵影比はほぼ同等の値を示した(図3)。
【0039】
しかし、最大卵影比に達するまでの日数は、冷凍ゴカイ区が最も低い値を示したが、ゴカイ中性脂質添加区との間に有意差はみられず、ゴカイ中性脂質のクルマエビ卵巣成熟に対する効果が確認された(図4)。
【0040】
次に、交尾栓をもった雌クルマエビに、上記遊離アミノ酸・ペプチド画分(0.5重量%)及び中性脂質画分(0.5重量%)を添加した配合飼料を給餌し、その産卵に及ぼす効果を活ゴカイ給餌区と比較した。両区で産卵が観察されたが、活ゴカイ給餌区が若干高い産卵率(産卵個体/総個体数x100)を示した。また、産卵個体当たりの産卵数に差はみられなかった。しかし、孵化率(孵化数/産卵数x100)は、配合飼料給餌区が活ゴカイ給餌区に比べ有意に高く、1尾当たりの幼生数も配合飼料給餌区が高い値を示した(図5及び6)。
【0041】
以上の結果から、ゴカイ中性脂質画分又は遊離アミノ酸・ペプチド画分の添加により、クルマエビ催熟用飼料が作製可能であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明により、甲殻類の催熟及び/又は産卵を効率的に促進させることができる組成物が提供される。従って、本発明に係る組成物は、クルマエビ類などの甲殻類養殖などの分野において有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴカイ類抽出物から単離された中性脂質画分及び/又は遊離アミノ酸・ペプチド画分を含み、ゴカイ類由来の前記中性脂質の含有量は乾燥重量で0.5重量%以上であり、ゴカイ類由来の前記遊離アミノ酸・ペプチドの含有量は乾燥重量0.1重量%以上である、甲殻類の催熟及び/又は産卵用組成物。
【請求項2】
ゴカイ類はイソゴカイである請求項1記載の組成物。
【請求項3】
甲殻類はクルマエビである請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記中性脂質画分は、ゴカイ類原料から1種以上の有機溶媒を用いて溶媒抽出されたものである、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
有機溶媒は、メタノール、クロロホルム及びアセトンである、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記遊離アミノ酸・ペプチド画分は、ゴカイ類原料から1種以上の有機溶媒を用いて溶媒抽出されたものである、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
有機溶媒は、メタノール、クロロホルム及びトリクロロ酢酸である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物を飼料に添加することを含む、甲殻類の催熟用飼料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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