説明

男性用のトランクス型パンツ

【課題】男性局部をスムーズに取り出せるようにする。
【解決手段】前身頃1に、互いの打合せによって前開き口2を形成する、見返し3と、持ち出し4と、を有した男性用のトランクス型パンツにおいて、見返し3は、これを有する前身頃部側から前身頃1の左右方向のほぼ中央または中央側に延びて、その先端縁と、持ち出し基部と、の間で、内側打合せ口2aを形成し、持ち出し4は、これを有する前身頃部から見返し側に延びてそれの外側に打ち合わさり、その先端縁と、見返し基部と、の間で、外側打合せ口2bを形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は男性用の下半身衣類に関し、詳しくは排尿時に男性局部がスムーズに取り出せる前開きを備えた男性用のトランクス型パンツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、このような排尿時に男性局部がスムーズに取り出せる前開きを備えた男性用のトランクス型パンツを開示している。特許文献1に開示のトランクス型パンツは、打ち合わせ状態に前開き口を形成する見返しおよび持ち出しの下端線と股ぐり線のなす角度が0度となるように形成することで、前開き口の下端が男性局部の下部に位置するので、男性局部を取り出しやすいとしている。また、前開き口は、前身頃のセンターに対して打ち合わせ域が左右両側に均等に位置した配置例と、前身頃のセンターから片方によって位置した配置例とが開示されている。このような前開き口の配置例は、下記特許文献2、3にも開示されている。
【0003】
特許文献3は、特に、前身頃のセンターから片側によって位置した前開き口と、その内側に上下端をパンツの上口縁と股部に縫着した長方形型の支持帯のセンターに設けた開口部と、の組み合わせからなる出し入れ構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−256201号公報
【特許文献2】特開平3−3701号公報
【特許文献3】特開2000−303204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前開き口の打ち合わせ部が、前身頃のセンターに対して左右均等な配置であると、内側打合せ口と外側打合せ口との双方が男性局部に対して左右に振れた位置関係になる。このため、トランクス型パンツは伸縮性が無く保形性布帛製であることも原因して、男性局部の引き出し動作がスムーズではない。これは、前開き口の打合せ代が大きいほど影響が大きく、小さいと男性局部が不用意にはみ出してしまうので、これを防止するための釦止め構造が必要で、コスト上昇の原因になるし、取り出しにより時間が掛かることになる。
【0006】
また、前開き口が、前身頃のセンターから片方によった配置例では、前記均等配置の場合よりも、内側打合せ口の前身頃のセンターからの振れ量が倍になるので、男性局部が取出しにくくなる。
【0007】
さらに、特許文献3が開示する前開き口と支持帯の開口との組み合わせ構造では、前開き口の前身頃センターに位置する外側打合せ口と支持帯のセンターの開口との位置が一致していても、これらに対し前開き口の内側打合せ口が前開き口の打合せ代分片方によって位置して、それらの間を左前身頃と見返しとの連続部分が遮るので、支持帯による男性局部の支持効果はあっても、男性局部の取出しには特に不便である。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑み、男性局部をスムーズに取り出せる男性用のトランクス型パンツを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の男性用のトランクス型パンツは、前身頃に、互いの打合せによって前開き口を形成する、見返しと、持ち出しと、を有した男性用のトランクス型パンツにおいて、見返しは、これを有する前身頃部側から前身頃の左右方向のほぼ中央または中央側に延びて、その先端縁と、持ち出し基部と、の間で、内側打合せ口を形成し、持ち出しは、これを有する前身頃部から見返し側に延びてそれの外側に打ち合わさり、その先端縁と、見返し基部と、の間で、外側打合せ口を形成していることを特徴とするものである。
【0010】
このような構成では、見返し、持ち出し相互の打合せにより形成される前開き口が、内側打合せ口が前身頃の左右方向のほぼ中央に位置し、外側打合せ口が前身頃の左右方向の中央から片方によって形成される。従って、内側打合せ口は男性局部に対応する位置となり、この位置から、見返し、持ち出し相互の打合せ間を通じ、外側打合せ口が側方位置に開口する。これにより、男性局部はこれのほぼ半部以下しか覆われない見返しによる内側打合せ口から、見返しに邪魔されないで、見返し、持ち出し相互の打合せ間に導き、外側打合せ口から取り出せる。
【0011】
上記において、さらに、前身頃の、左右方向の中央の両側に、縦方向の縫着ラインがあり、この一方の縫着ラインに沿って前記外側打合せ口が開口しているものとすることができる。
【0012】
この構成によれば、上記に加え、さらに、前身頃が左右対称に振り分けた縦方向の振り分け縫着ラインを有する外観を得て、その一方の振り分け縫着ラインによって外側打合せ口が目立たなくできる。
【0013】
上記において、さらに、振り分け縫着ラインは、前身頃の中央側生地と反中央側生地との端部同士を前身頃の反中央側に向けて縫い合わせて縫着端部とし、かつ、反中央側生地を縫着端部の縫着際で前記反中央側に折り返してできる、前記中央側に向いた折り返し縁によって形成され、見返し生地は、外側打合せ口が沿う側の振り分け縫着ラインを形成している、前身頃の前記中央側生地と前記反中央側生地との端部同士に、基部が外側打合せ口の開口域を超えた範囲で縫着され、前身頃の外側打合せ口が沿う振り分け縫着ラインの側では、前記中央側生地は、見返しとの打合せ域が持ち出しとなって、前記反中央側生地の端部同士を縫着しない遊離域で内側への折り返し縁を有して外側打合せ口をなしているものとすることができる。
【0014】
このような構成では、上記に加え、さらに、振り分け縫着ラインが、折り返し縁の、前身頃の左右方向中央に向かって対向し合う対称状態で、得られる上、振り分け縫着ラインに沿う外側打合せ口の口縁を、当該振り分け縫着ラインをなす折り返し縁と、振り分け縫着ライン上での突き合わせ状態にすることができる。
【0015】
上記において、さらに、持ち出しの、外側打ち合わせ口まわりの内側に、当て布が、当てがわれ、持ち出しおよび当て布双方の打合せ口の口縁が互いの重なり側に折り返して縫着されたものとすることができる。
【0016】
このような構成では、上記に加え、さらに、外側打合せ口の口縁が、2枚の生地を折り返して縫着した2重の折り返し縁構造とすることができる。
【0017】
上記において、さらに、振り分け縫着ラインは、前身頃の左右方向の中央側に凸に湾曲して形成され、前身頃の上端から、前身頃と後身頃との間に縫着される股部片の脚部開口に臨む端縁の両側に外れて、前身頃の左右の脚部開口に臨む端縁にまで、相互間隔が拡がるように至るよう形成されるのに併せ、前身頃の左右方向中央に、左右の反中央側生地の対向し合う凸縁同士を逢着した縦方向の立体化縫着ラインを設けたものとすることができる。
【0018】
このような構成では、上記に加え、さらに、前身頃の、振り分け縫着ライン間の中央部の、縦方向の立体化縫着ラインにより立体化する領域を、腹部側から男性局部下となる股部片側に向けて、左右の振り分け縫着ラインと股部片の前縁との間の連続生地域にて、つまり、膨出輪郭ラインなしに、かつ、男性局部上対応位置から拡がり度を高めながら拡がらせることができる。
【0019】
上記において、さらに、股部片は、前縁が前身頃側に凸、後縁が後身頃側に凹、をなして、左右方向の中央に縦方向の立体化縫着部が設けられた前身頃および後身頃双方と縫着されたものとすることができる。
【0020】
このような構成では、上記に加え、さらに、股部片が股間中央部から内股までに沿う逆U字状になるのに、前身頃側に凸の前縁、後身頃側に凹の後縁による立体化した前身頃、後身頃との縫着にて、股間部に無理なく沿う立体形状を実現することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の男性用のトランクス型パンツによれば、見返し、持ち出し相互の打合せにより形成される前開き口の、内側打合せ口が、前身頃の左右方向のほぼ中央または中央側に位置して男性局部に対応し、この位置から、見返し、持ち出し相互の打合せ間を通じ、外側打合せ口が側方位置に開口するので、男性局部はこれのほぼ半部以下しか覆われない見返しによる内側打合せ口から、見返しに邪魔されないで、見返し、持ち出しの打合せ間に引き出し、この打ち合わせ間が通じている外側打合せ口の外へ、容易かつスムーズに取り出し、極めて短い取り出し時間で用を足せる。
【0022】
上記に加え、さらに、縦方向の振り分け縫着ラインを前身頃の左右に振り分けた対称外観と、一方の振り分け縫着ラインに外側打合せ口が沿って目立たない外観とを備えた体裁の良い高品質なものとすることができる。
【0023】
上記に加え、さらに、振り分け縫着ラインが、それらの間の中央部との折り返し縁による段差によって、対称外観を強調できる上、一方の外側打合せ口との突合せを体裁の良い折り返し縁同士として、しかも、互いの段差を抑えたさらに高品質なものとすることができる。
【0024】
上記に加え、さらに、外側打合せ口の口縁を、2枚の生地を折り返して縫着した2重の折り返し縁構造として、外側打合せ口の口縁の内側擦れ強度を高められる。
【0025】
上記に加え、さらに、前身頃の、振り分け縫着ライン間の中央部で、中央の縦方向の立体化縫着ラインにより、腹部から男性局部を経て股部片との縫着部に至る縦方向のボリューム変化、に対応する縦方向立体形状、を得ながら、立体化縫着ラインを境とした腹部から男性局部を経て股部片との縫着部に至る横方向のボリューム変化、に対応する左右方向立体形状、を、腹部側から男性局部下となる股部片側に向け、拡がり度を高めながら拡がり、左右の対向側に凸に湾曲した振り分け縫着ラインと股部片の前縁との間の連続生地域により、輪郭を持たない自然な膨らみ状態で得て、伸縮性の無い生地が原因しての不快な窮屈感がない程度の余裕を持って男性局部にフィットさせて穿き心地よくできるのに併せ、前開き口の内側打合せ口との対応位置に男性局部を安定させて、男性局部が内側打合せ口から位置ずれして取り出しにくくなるのを防止できる。
【0026】
上記に加え、さらに、股部片が股間中央部から内股までに沿う逆U字状になるのに、前身頃側に凸の前縁、後身頃側に凹の後縁による立体化した前身頃、後身頃との縫着にて、股間部に無理なく沿う立体形状を実現し、屈伸時や歩行時の穿き心地を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る男性用のトランクス型パンツを、正面側を斜め左上から見て示す斜視図である。
【図2】同パンツの正面側を斜め下から見て示す着用状態の斜視図である。
【図3】同パンツの図1に示すIII−III線で見た着用状態の横断端面図である。
【図4】同パンツの図1に示すIV−IV線で見た着用状態の断面図である。
【図5】同パンツのパターン生地例を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態に係る男性用のトランクス型パンツについて、図1〜5を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。
【0029】
図1〜図4に示す本実施の形態の、男性用のトランクス型パンツは、前身頃1に、互いの打合せによって前開き口2を形成する、見返し3と、持ち出し4と、を有した基本構成において、見返し3は、これを有する前身頃部1a側から前身頃1の左右方向のほぼ中央または中央側に延びて、その先端縁と、持ち出し4の基部と、の間で、内側打合せ口を2a形成し、持ち出し4は、これを有する前身頃部1bから見返し3側に延びてそれの外側に打ち合わさり、その先端縁と、見返し3の基部と、の間で、外側打合せ口2bを形成している。これにより、見返し3、持ち出し4相互の図3に示すような打合せ例により形成される前開き口2が、内側打合せ口2aが前身頃1の左右方向のほぼ中央に位置し、外側打合せ口2bが前身頃1の左右方向の中央から片方によって、具体的には左側によって形成される。
【0030】
このため、内側打合せ口2aは男性局部、特に陰茎に対応する位置となり、この位置から、見返し3、持ち出し4相互の打合せ間5を通じ、外側打合せ口2bが側方位置、具体的には左側方に開口する。これにより、男性局部の陰茎はこれの半部以下しか覆われない見返し3による内側打合せ口2aから、見返し3に邪魔されないで、見返し3、持ち出し4相互の打合せ間5に導き、外側打合せ口2bから取り出せる。
【0031】
結果、見返し3、持ち出し4相互の打合せにより形成される前開き口2の、内側打合せ口2aが、前身頃1の左右方向のほぼ中央または中央側に位置して男性局部、特に陰茎に対応し、この位置から、見返し3、持ち出し4相互の打合せ間5を通じ、外側打合せ口2bが側方位置に開口するので、男性局部の陰茎はこれの位置に対応した内側打合せ口2aから、見返し3に邪魔されないで、見返し3、持ち出し4の打合せ間5に引き出し、この打ち合わせ間5が通じている外側打合せ口2bの外へ、容易かつスムーズに取り出し、極めて短い取り出し時間で用を足せる。従って、手の動きがスムーズでなかったり、尿感から排尿までの時間が短かったりする場合に好適である。
【0032】
また、前身頃1の、左右方向の中央の両側に、図1、図2に示すような縦方向の縫着ライン6、7があり、この一方、具体的にはの左側の縫着ライン6に沿って前記外側打合せ口2bが開口するようにしている。これにより、前身頃1が左右対称に振り分けた縦方向の振り分け縫着ライン6、7を有する外観を得て、その一方の振り分け縫着ライン6によって外側打合せ口2bが目立たなくできる。結果、縦方向の振り分け縫着ライン6、7を前身頃の左右に振り分けた対称外観と、一方の振り分け縫着ライン6に外側打合せ口2bが沿って目立たない外観とを備えた体裁の良い高品質なトランクス型パンツとすることができる。
【0033】
これら振り分け縫着ライン6、7は、どのように形成されてもよいが、本実施の形態では、図3に示すように、前身頃の中央側生地11と左右の反中央側生地12、13との端部同士を、外側打合せ口2bは例外として、前身頃の反中央側に向けて縫い合わせて縫着端部6a、7aとし、かつ、反中央側生地12、13を縫着端部6a、7aの縫着際で前記反中央側に折り返してできる、前記中央側に向いた折り返し縁によって形成され、見返し3をなす見返し生地14は、外側打合せ口2bが沿う側の振り分け縫着ライン6を形成している、前身頃1の前記中央側生地11と前記反中央側生地12との端部同士に、基部が外側打合せ口2bの開口域を超えた範囲で縫着され、前身頃の外側打合せ口2bが沿う振り分け縫着ライン6の側では、前記中央側生地11は、見返し3との打合せ域が持ち出し4となって、前記反中央側生地12の端部同士を縫着しない図3に示すような遊離域で内側への折り返し縁を有して外側打合せ口2bをなしている。
【0034】
これにより、振り分け縫着ライン6、7が、折り返し縁の、前身頃1の左右方向中央に向かって対向し合う対称状態で、得られる上、振り分け縫着ライン6に沿う外側打合せ口2bの口縁を、当該振り分け縫着ライン6をなす折り返し縁と、振り分け縫着ライン6上での突き合わせ状態にすることができる。従って、振り分け縫着ライン6、7が、それらの間の中央生地11部との折り返し縁による図3に示すような段差によって、対称外観を強調できる上、一方の外側打合せ口2bとの突合せを体裁の良い折り返し縁同士として、しかも、互いの段差を抑えたさらに高品質なものとすることができる。しかも、見返し生地14は、前身頃1の前記中央側生地11と前記反中央側生地12との端部同士に、基部が外側打合せ口2bの開口域を超えた範囲で縫着されているだけであるため、着用姿勢によって見返し3のない場合に外側打合せ口2bから男性局部が覗き見されるのを回避する覆い特性を得ながら、男性局部取り出し時には外側打合せ口2bよりも長い分だけ押し退けられやすくなるので、男性局部の取り出しを全く邪魔しない利点がある。
【0035】
さらに、持ち出し4の、外側打ち合わせ口2bまわりの内側に、当て布15が、図1、図3に示すように当てがわれ、持ち出し4および当て布15双方の打合せ口2bの口縁が図3に示すように互いの重なり側に折り返して縫着されたものとしてある。これにより、外側打合せ口2bの口縁が、2枚の生地を折り返して縫着した図3に示すような2重の折り返し縁構造とすることができる。従って、外側打合せ口2bの口縁を、2枚の生地を折り返して縫着した2重の折り返し縁構造として、外側打合せ口2bの擦れ負荷を受けやすい口縁部の内側擦れ強度を高められ、局部的な早期損傷の原因になるのを回避できる。
【0036】
前記振り分け縫着ライン6、7は、図1、図2に見られるように、前身頃1の左右方向の中央側に凸に湾曲して形成され、前身頃1の上端から、前身頃1と後身頃16との間に縫着される股部片17の脚部開口18、19に臨む端縁の両側に外れて、前身頃1の左右の脚部開口18、19に臨む端縁にまで、相互間隔が拡がるように至るよう形成されるのに併せ、前身頃1の左右方向中央に、左右の反中央側生地の対向し合う凸縁同士を逢着した縦方向の立体化縫着ライン21を設けたものとしてある。これにより、前身頃1の、振り分け縫着ライン6、7間の中央部の、縦方向の立体化縫着ライン21により立体化する領域を、腹部側から男性局部下となる股部片17側に向けて、左右の振り分け縫着ライン6、7と股部片17の前縁との間の連続生地域にて、つまり、はっきりした膨出輪郭ラインなしに、かつ、男性局部上対応位置から拡がり度を高めながら拡がらせることができる。
【0037】
したがって、前身頃1の、振り分け縫着ライン6、7間の中央部で、中央の縦方向の立体化縫着ライン21により、腹部から男性局部を経て股部片17との縫着部22に至る縦方向のボリューム変化、に対応する図4の断面で見られるような縦方向立体形状、を得ながら、立体化縫着ライン21を境とした腹部から男性局部を経て股部片17との縫着部22に至る横方向のボリューム変化、に対応する左右方向立体形状、を、腹部側から男性局部下となる股部片17側に向け、拡がり度を高めながら拡がり、左右の対向側に凸に湾曲した振り分け縫着ライン6、7と股部片17の前縁との間の連続生地域により、明瞭な輪郭を持たない図1、図2に示すような自然な膨らみ状態で得て、伸縮性の無い生地が原因しての不快な窮屈感がない程度の余裕を持って男性局部にフィットさせて穿き心地よくできるのに併せ、前開き口2の内側打合せ口2aとの対応位置に男性局部を安定させて、男性局部が内側打合せ口2aから位置ずれして取り出しにくくなるのを防止できる。
【0038】
また、股部片17は、図5に示すように、前縁が前身頃1側に凸、後縁が後身頃16側に凹、をなして、左右方向の中央に縦方向の図1、図2に示す立体化縫着部21、23が設けられた前身頃1および後身頃16双方と、図2に縫着部22、24で示すように縫着されたものとしている。これにより、股部片17が股間中央部から内股までに沿う図2に示すような逆U字状になるのに、前身頃1側に凸の前縁、後身頃16側に凹の後縁による立体化した前身頃、後身頃との縫着にて、股間部に無理なく沿う図2に示すような立体形状を実現することができる。従って、屈伸時や歩行時の穿き心地を良くすることができる。
【0039】
ここで、図3、図4に仮想線で示すように、前身頃1の中央側生地11の内側に、男性局部を包める大きさの、例えば短冊形や中央側生地11に合わせた形状をした伸縮生地よりなる支持片31を設けて、その上端と、下端とを、前身頃の上端と股部片17の前縁または後縁とに、それらの間の、前身頃1の長さよりも短くして逢着することで、支持片31により男性局部をホールドして安定させながら前身頃1から浮かせ、軽い尿漏れがあっても、これを支持片31に吸収するが、前身頃側に染み出移るのを防止できるようになる。また、前記支持片31の前身頃1からの浮きは、この部分での通気性を良くすることから、男性局部のむれを防ぎ、支持片31が吸収した尿の渇きを促進する働きをする。支持片31の下端が股武辺17の後縁に縫着されているほど、支持片17による男性局部に対する支持機能が高まり、支持が安定する。
【0040】
また、支持片31は、男性局部をホールドするために中央に立体化縫着部を有したものとすることもでき、この場合、支持変31は伸縮性によって内側から王圧する男性局部に沿っていく働きを持つので、立体化しておく形状は当てがい初期に保持位置が決まる程度の浅い立体形状でよく、前身頃1との浮きは、男性局部をホールドした状態で、尿のしみ移りと、通気性確保のために所定量必要である。従って、この場合の中央側生地11に必要な膨らみ量は、男性局部のボリュームを少し超えたものに設定することになる。また、そのための立体形状と、支持片31との浮き代は、布帛の立体裁断上の高い保形性によって確保される。
【0041】
さらに、必要に応じ支持片31にもリット状の、つまり打合せなしの前開き口32を設けて、ホールドしている男性局部を取り出しやすくすることができ、この前開き口32は図3に示すように前開き口2の内側打合せ口2aに対応させることで、支持片31を設けたことにより、上記した男性局部の取り出しやすさは同じか、ほとんど損なわないものとなる。しかし、支持片31が伸縮生地である場合は、男性局部の取り出しに際し押し退けやすいので男性局部が特に取り出しにくくなることはない。
【0042】
さらに詳述すると、前身頃1、後身頃16間の左右の側部縫着部33、34を含む、縫着部22、23、24のそれぞれは、振り分けライン6、7の縫着部同様に、縫着部両側の生地の端部同士を逢着した縫着端部とし、この縫着端部の縫着際から一方の生地を他方の生地とは反対の側に折り返した部分としてある。また、振り分け縫着ライン6、7の縫着部を含めた全縫着部の端部同士はロック縫いされたもので、折り返し部は縫着端部に対して折り縫いしてある。外側打合せ口2bの開口端部は図1に符号35を付して示す閂止め縫いしてある。見返し生地14の内側打合せ口2aの開口縁を、ロック縫いした端部を外側へ折り返して返し縫いた状態で形成している。また、当て布15の内端縁はロック縫い処理されている。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、男性用のトランクス型パンツにおいて、男性局部を前開き口から取り出しやすくする改良技術に実用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 前身頃
2 前開き口
2a 内側打合せ口
2b 外側打合せ口
3 見返し
4 持ち出し
5 打合せ間
6、7振り分け縫着ライン
11 中央側生地
12、13 反中央側生地
14 見返し生地
15 当て布
16 後身頃
17 股部片
18、19 脚部開口
21 立体化縫着ライン
22、23、24、33、34 縫着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃に、互いの打合せによって前開き口を形成する、見返しと、持ち出しと、を有した男性用のトランクス型パンツにおいて、見返しは、これを有する前身頃部側から前身頃の左右方向のほぼ中央またが中央側に延びて、その先端縁と、持ち出し基部と、の間で、内側打合せ口を形成し、持ち出しは、これを有する前身頃部から見返し側に延びてそれの外側に打ち合わさり、その先端縁と、見返し基部と、の間で、外側打合せ口を形成していることを特徴とする男性用のトランクス型パンツ。
【請求項2】
前身頃の、左右方向の中央の両側に、縦方向の縫着ラインがあり、この一方の縫着ラインに沿って前記外側打合せ口が開口している請求項1に記載の男性用のトランクス型パンツ。
【請求項3】
振り分け縫着ラインは、前身頃の中央側生地と反中央側生地との端部同士を前身頃の反中央側に向けて縫い合わせて縫着端部とし、かつ、反中央側生地を縫着端部の縫着際で前記反中央側に折り返してできる、前記中央側に向いた折り返し縁によって形成され、見返し生地は、外側打合せ口が沿う側の振り分け縫着ラインを形成している、前身頃の前記中央側生地と前記反中央側生地との端部同士に、基部が外側打合せ口の開口域を超えた範囲で縫着され、前身頃の外側打合せ口が沿う振り分け縫着ラインの側では、前記中央側生地は、見返しとの打合せ域が持ち出しとなって、前記反中央側生地の端部同士を縫着しない遊離域で内側への折り返し縁を有して外側打合せ口をなしている請求項1、2のいずれか1項に記載の男性用のトランクス型パンツ。
【請求項4】
前身頃の中央側生地の内側に、男性局部を包める大きさの伸縮生地よりなる支持片を設配して、その上端と、下端とを、前身頃の上端と下端とに、前身頃の長さよりも短くして逢着した請求項1から3のいずれか1項に記載の男性用のトランクス型パンツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−144476(P2011−144476A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6069(P2010−6069)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(504040357)
【Fターム(参考)】