説明

画像処理システム

【課題】ホストコンピュータヘのデータの通信負荷及びホストコンピュータの処理負荷を低減する画像処理システムを提供する。
【解決手段】画像処理システム1は、一台のセンターサーバ10を備え、各ラインに属するローカルサ−バ8と接続され信号の授受が行われる。ローカルサ−バ8は、データ管理部11、個体認識部12、及び二組の画像処理部13を有する。画像処理システム1では、ローカルサ−バ8からセンターサーバ10に対して物品特定情報と画像情報とを関連付けて同時発信する。そのためローカルサーバ8とセンターサーバ10間の通信負荷が小さい。またセンターサーバ10において物品特定情報と画像情報とを関連付ける必要はなく、センターサーバ10の処理負荷が軽い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ライン等において製造物を自動的に検査したり、製造物の形状等を記録する場合に採用される画像処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、一つの製品は、多数の生産工程を経ることによって製造される。製品の信頼性を高めるには、各生産工程において、次工程に不具合品を流さないことが鉄則である。そのため一つの製品を製造する際には、最終製品を検査するだけでは足りず、各製造工程の中でも検査が行われる。各工程の中で行われる検査方法として、最も一般的なものに目視検査が挙げられる。目視検査は、製品又は半製品の形状等を目視で観察するものである。
【0003】
しかしながら、近年、生産ラインを合理化する要求から、目視検査に代わって画像処理システムを活用する例が増加している。即ち生産ラインを流れる製品等を撮影し、この映像を解析して製品の良否を判断する。
【0004】
また近年、製造物責任等の観点からも生産物の検査記録等を管理するシステムを構築することが必要とされ、このシンテムを構築する為にも画像処理システムが活用される。具体的には仕掛かり品の形状や、最終製品の形状を撮影し、これを記録しておく。そして将来、製品に何らかの不具合が発見された場合に、不具合が懸念される製品のロットを特定したり、製造物責任を問われた場合の反証資料とする。従来技術の画像処理システムとしては、例えば特許文献1に開示されたものがある。
【特許文献1】特開2000−155979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで従来の画像処理システムでは、得られたデータを全てホストコンピュータ(センタサーバ)に送る様なシステム構成が採用されていた。即ち従来技術における画像処理システムでは、製品等を特定する情報と、製品等の画像情報を個別にホストコンピュータに転送し、ホストコンピュータ上で両者の対応付けの処理を行っていた。そのため、ホストコンピュータヘのデータの通信負荷及びホストコンピュータの処理負荷が増大し、大容量の通信手段や高処理能力のホストコンピュータを使用しなければならないという問題があった。
【0006】
本発明は上記事項に鑑みてなしたものであり、ホストコンピュータヘのデータの通信負荷及びホストコンピュータの処理負荷を低減する画像処理システムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、処理対象物に付された情報を読み出す情報読み取り手段と、1又は複数の画像処理手段と、前記情報読み取り手段及び画像処理手段から転送されたデータが入力される1又は複数のローカルサーバと、ローカルサーバ内のデータが転送されるセンタサーバとを備えた画像処理システムであって、前記ローカルサーバは、前記情報読み取り手段の情報に基づく物品特定情報と画像処理手段の情報に基づく画像情報とを対応付けてセンタサーバに転送することを特徴とする画像処理システムである。
【0008】
本発明の画像処理システムではローカルサーバで処理対象物に関する情報をまとめ、これをセンタサーバに送信するので、センタサーバに直接それぞれの結果を送信する場合に比べて、通信負荷及びセンタサーバの処理負荷の低減を図ることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、画像処理手段は、ローカルサーバに対し処理対象物の種別に関する情報の送信を促す種別情報要求信号を送信する情報要求信号送信機能を有し、前記ローカルサーバは、 画像処理手段からの種別情報要求信号を受信すると、前記情報読み取り手段から得られた物品特定情報に対応する種別に関する情報を画像処理手段に対して送信することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システムである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、画像処理手段は所定の検査プログラムを実行するものであり、さらに画像処理手段は1又は複数の検査プログラムが格納される検査・測定方法データ保存部を有し、受信した処理対象物の種別に関する情報に基づき、現在実行されている検査プログラムが適切なものでないならば、検査・測定方法データ保存部から適切な検査プログラムを選択し、検査プログラムをこれに切り換えることを特徴とする請求項2に記載の画像処理システムである。
【0011】
ここで検査プログラムには、例えば撮影に対するプログラムが挙げられる。検査プログラムの概念には、例えば処理対象物のどの部位をどの角度からどの様な倍率で撮影するとか、どの様な光の状態で何カット撮影するといった撮影に関するプログラムが含まれる。また検査プログラムの概念には、色調補正、位置補正、回転補正という様な画像処理に関するプログラムが含まれる。
【0012】
請求項2,3に記載の画像処理システムによると、段取替えによる対象物の種類変更の際に、自動的に種別に関する情報をを取り出せることにより人為的なミスによる不具合の発生を防止できる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、検査・測定方法データ保存部内に適切な検査プログラムが無いならば、適切な検査プログラムを画像処理手段以外から取得し、その取得した検査プログラムに切り換えることを特徴とする請求項3に記載の画像処理システムである。本発明の画像処理システムでは、画像処理手段の検査・測定方法データ保存部の容量を過度に大きくする必要がないので、画像処理手段の小型を図ることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、検査・測定方法データ保存部内に適切な検査プログラムが無いならば、適切な検査プログラムを前記ローカルサーバ又は前記センタサーバから取得し、その取得した検査プログラムに切り換えることを特徴とする請求項3に記載の画像処理システムである。本発明によると、システム全体を容易に構成することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、画像処理手段は、前記検査プログラムを取得し、前記検査・測定方法データ保存部にその検査ブログラムを格納する領域がない場合、最終使用時刻の最も古いブログラムを削除し、その検査プログラムを格納することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像処理システムである。本発明の画像処理システムでは、画像処理手段のメモリ部の容量を過度に大きくする必要がないので、画像処理手段の小型を図ることができる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、情報読み取り手段の物品特定情報及び前記画像処理手段の画像情報は、タイムスタンプ情報を有しており、それぞれのタイムスタンプ情報によりローカルサーバでの対応付けが行われることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像処理システムである。本発明の画像処理システムでは、タイムスタンプ情報によって物品特定情報と画像情報とを対応付けするので対応付けが容易である。
【0017】
請求項8に記載の発明は、物品特定手段の認識情報及び前記画像処理手段の画像情報は、ローカルサーバがそれぞれの情報を受信した受信時刻を付与し、受信時刻に従ってローカルサーバでの対応付けが行われることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像処理システムである。本発明の画像処理システムにおいては、受信時刻によって物品特定情報と画像情報とを対応付けするので対応付けが容易である。
【0018】
請求項9に記載の発明は、ローカルサーバは、一つの処理対象物に対する物品特定情報と画像情報とが対応付けられた時点で、一つの処理対象物に関して受信した全ての認識情報及び画像情報をセンタサーバに転送することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像処理システムである。本発明一つの処理対象物に対する物品特定情報と画像情報とが対応付けられた時点で、一つの処理対象物に関して受信した全ての認識情報及び画像情報をセンタサーバに転送するので、動作が確実である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の画像処理システムは、ホストコンピュータに対するデータの通信負荷が軽いので簡便な通信手段をもって対応することができる。また本発明の画像処理システムは、ホストコンピュータの処理負荷が軽いので、ホストコンピュータとして採用するコンピュータに過度の性能が要求されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態の画像処理システムの概要を表す構成図である。図2は、本発明の実施形態の画像処理システムのブロック図である。図3は、図1の画像処理システムで採用するデータ管理手段のブロック図である。図4は、図1の画像処理システムで採用する個体認識手段のブロック図である。図5は、図1の画像処理システムで採用する画像処理手段のブロック図である。図6は、図1の画像処理システムで採用するデータ保存手段のブロック図である。図7は、図1の画像処理システムで採用するデータ管理手段のフローチャート図である。
【0021】
本実施形態の画像処理システム1は、一連の生産ラインにおける目視検査を代行すると共に、各工程の検査結果を将来に備えて記録するために設けられたものである。
【0022】
即ち画像処理システム1は、図1に示すような複数のライン2,3にそれぞれ一基の情報読み取り手段5と、撮影手段6,7を備えている。情報読み取り手段5は具体的にはバーコードリーダである。情報読み取り手段5として採用されるバーコードリーダは、通常のバーコードを読みだすものでもよく、二次元バーコードと称されるバーコードを読みだすものであってもよい。またバーコード等に代わって磁気的に記録された情報を読み取る構造のものや、ICチップ等に記録された情報を読みだすものであってもよい。撮影手段6,7は具体的にはデジタルカメラ6,7である。
【0023】
そして各ラインにそれぞれローカルサ−バ8を持ち、各ライン2,3に属する1基のバーコードリーダ5と2基のデジタルカメラ6,7がローカルサ−バ8に信号線で接続され、1基のバーコードリーダ5と2基のデジタルカメラ6,7の信号がローカルサ−バ8に入力される。本実施形態では、ローカルサ−バ8とこれに接続されたバーコードリーダ5と2基のデジタルカメラ6,7によって一組のセルが構成されている。
【0024】
また画像処理システム1は、一台のセンターサーバ10を備え、各ライン2,3に属するローカルサ−バ8と信号線で接続され、シリアル通信やイーサーネット等の公知の通信手段によって信号の授受が行われる。
【0025】
上記したローカルサ−バ8は、データ管理部11、個体認識部12、及び二組の画像処理部13を有するものである。データ管理部11は、ローカルサ−バ8の中枢的な機能を発揮する部位であり、図3の様に処理部20を中心としてデータ保持部21と、データ保存部22、個別情報保持部23及び検査・測定方法データ保存部25が設けられたものである。またデータ管理部11は、下流側の個体認識部12及び画像処理部13とデータ通信を行う通信部A26と、上流側のセンターサーバ10とデータ通信を行う通信部B27を備える。
【0026】
データ保持部21は、個体認識部12及び画像処理部13から入力されたデータを一時的に保持する機能を備える部位である。データ保存部22は、後記するセンターサーバ10のデータをバックアップするものである。データ保存部22は、本発明にとって必須の部材ではない。
【0027】
個別情報保持部23は、処理対象物の種別情報を記憶しておく部位である。ここで処理対象物の種別情報とは、処理対象の種別である。例えばプリント基板やICチップを製造するラインに本実施形態の画像処理システムを採用する場合であれば、プリント基板の品番や基板を搭載する機器の名称等を記憶する部位であり、A−1型基板、B型基板、C形IC、A型トランジスタといった種別が記憶されている。
【0028】
検査・測定方法データ保存部25は、検査プログラムを記憶する部位であり、処理対象物のどの部位をどの角度からどの様な倍率や光の状態で何カット撮影するといった撮影に関するプログラムと、色調補正、位置補正、回転補正という様な画像処理に関するプログラムとが複数種類記憶されている。
【0029】
個体認識部12は、バーコードリーダ5から発せられた信号を受信する入力部30と、入力部30の信号を処理して処理対象物が何であるかを判断し物品特定情報を作成する処理部31と、処理部31のデータ(物品特定情報)をデータ管理部11に送信する通信部32を有している。
【0030】
画像処理部13は、図5の様に処理部36を中心として検査・測定方法データ保存部38が設けられたものである。また画像処理部13は、デジタルカメラ6,7から発せられた信号を受信する入力部35と、入力部35の信号を処理して画像情報を作成する処理部36と、処理部36のデータ(画像情報)をデータ管理部11に送信する通信部37を有している。
【0031】
画像処理部13に内蔵された検査・測定方法データ保存部38は、前記したデータ管理部11の検査・測定方法データ保存部25と同様に、検査プログラムを記憶する部位であり、処理対象物のどの部位をどの角度からどの様な倍率や光の状態で何カット撮影するといったプログラムが複数種類記憶されるものである。データ管理部11に設けられた検査・測定方法データ保存部25と個体認識部12に内蔵された検査・測定方法データ保存部38との相違点は、データ保有量であり、前者は全てのラインの検査プログラムが記憶されているのに対し、後者は、直近に使用される数種類の検査プログラムだけが記憶されている。
【0032】
またもう一つの相違点は、検査・測定方法データ保存部38には、検査プログラム(検査・測定方法情報)の最終使用時期が記録されている点である。図8は、画像処理部13に設けられた検査・測定方法データ保存部38の概念図であり、付帯的情報として各検査プログラム(検査・測定方法情報)に、最も最近に使用された日及び時刻が記録されている。
【0033】
センターサーバ10は、システム全体を統括するものであり、公知の制御システムを内蔵しているが、本発明においては特にデータ保存部40を備えている。データ保存部40は、図6の様に処理部41を中心として検査・測定方法データ保存部45とデータ保存部46が設けられたものである。また各ラインのローカルサ−バ8と通信をするための通信部47が設けられている。センターサーバ10の通信部47は、具体的には各ローカルサ−バ8のデータ管理部11と相互通信を行うものである。
【0034】
検査・測定方法データ保存部45は、前記した前記したデータ管理部11の検査・測定方法データ保存部25と実質的に同一のデータを保有するものであり、全てのラインの検査プログラムが記憶されている。センターサーバ10の検査・測定方法データ保存部45は、データ管理部11の検査・測定方法データ保存部25をバックアップするものである。二つの検査・測定方法データ保存部45,25を持つことは必須ではなく、いずれか一方だけであってもよい。
【0035】
次に本実施形態の画像処理システムの動作について説明する。図7は、図1の画像処理システムで採用するデータ管理手段のフローチャート図である。本実施形態のが画像処理システム1は、複数のライン2,3を流れる製品等の処理対象物50,51の検査を行うものである。複数のライン2,3を流れる処理対象物50,51にはいずれも図示しないバーコードが付与されている。
【0036】
図8のフローチャートは、説明の便宜上、一つのローカルサーバ8の動作を中心として説明しているが、実際上は、複数のローカルサーバ8が並列的に動作するものであり、ステップ1からステップ28に至る動作が同時並行的に実行されている。また同様に図8のフローチャートは、説明の便宜上、ステップ番号を付しているが、動作は必ずしも直線的ではない。
【0037】
本実施形態のが画像処理システム1は、いずれかのライン2,3の検査位置に処理対象物50,51が至ったことを端緒として起動開始する。即ちいずれかのライン2,3の検査位置に処理対象物50,51が至たると、一回の画像処理が開始し、情報読み取り手段(バーコードリーダ)5及びローカルサーバ8の個体認識部12を中心とする個体認識動作と、撮影手段(デジタルカメラ)6,7及びローカルサーバ8の画像処理部13を中心とする画像処理動作が並列的に開始される。またこの間、ローカルサーバ8のデータ管理部11は、常時一定のルーチンを繰り返している。
【0038】
図8のフローチャートでは、Aエリアの動作が、情報読み取り手段(バーコードリーダ)5及びローカルサーバ8の個体認識部12を中心とする個体認識動作である。またBエリアの動作が、撮影手段(デジタルカメラ)6,7及びローカルサーバ8の画像処理部13を中心とする画像処理動作である。さらにCエリアの動作は、ローカルサーバ8のデータ管理部11が実行する動作である。
【0039】
順次説明すると、ライン2,3の検査位置に処理対象物50,51が至たると、ステップ1以下の動作と、ステップ4以下の動作が同時に開始される。ステップ1以下の動作から説明すると、ステップ1において情報読み取り手段(バーコードリーダ)5が動作し、処理対象物50等に付されたバーコードを読み取る。
【0040】
情報読み取り手段(バーコードリーダ)5が読み取った信号は、ローカルサーバ8の個体認識部12に送信される。個体認識部12では情報読み取り手段(バーコードリーダ)5が読み取った信号から処理対象物50,51が何であるかを識別し(ステップ2)、このデータを物品特定情報としてデータ管理部11に転送する(ステップ3)。物品特定情報をデータ管理部11に送信する際に、付加情報として送信時刻が同時送信される。即ち本実施形態では、物品特定情報はタイムスタンプ情報を有している。
【0041】
データ管理部11が個体認識部12から物品特定情報のデータを受信すると(ステップ20)、物品特定情報は種別情報要求ではないからステップ21はNOとなり、ステップ22に至り、データの発信元が確認される。ここで今回の流れにおいては、個体認識部12から発信されたデータであるからステップ23がYESとなり、ステップ27に移行し、個体認識部12から発信された物品特定情報に基づいて種別情報を取得する。具体的には、データ管理部11の個別情報保持部から該当する種別情報を検索し、一時的に保持する。より具体的には、バーコードに基づくデータから、ライン2,3を流れる処理対象物50,51が、A型冷蔵庫、C型コンプレッサという様に区別し、この情報を保持する。
【0042】
そしてステップ24に進み、物品特定情報をデータ管理部11のデータ保持部21に記憶する。具体的には、データ保持部21の所定の格納領域に一時的に記憶することとなる。その後ステップ25へ進み、一連のデータが揃うまで、ステップ20に戻って一連の動作を繰り返す。なおステップ20からステップ25は、他とは独立して常時一連の動作を繰り返している。
【0043】
一方、同時にステップ4では画像処理部13が種別情報をデータ管理部11に要求する。前記した様に、データ管理部11の動作たるCエリアの動作は、他とは独立しており、ステップ20からステップ25の動作を繰り返している。そのためステップ4で画像処理部13が種別情報をデータ管理部11に要求すると、ステップ21がYESとなり、ステップ26に移行して種別情報保持部から情報を読み出して画像処理部13に送信する。即ち要求されたデータ管理部11では、前記したステップ27で保持した種別情報を画像処理部13に転送する(ステップ5)。
【0044】
種別情報の取得が確認されるとステップ6がYESとなり、ステップ7に移行する。ステップ7では、現在まで実行されていた検査プログラム(検査・測定方法データ)が、今、処理すべき処理対象物50,51に適合しているか否かを判断する。現在まで実行されていた検査プログラムと、処理すべき処理対象物50,51に適合した検査プログラムが異なるものではない場合は、ステップ8,9に移行し、検査プログラムを実行しても良いか否かを判断する。例えば検査対象物が適切な位置に有るか否かや、ストロボの充電具合等が確認される。
【0045】
検査の準備が整えばステップ10に移行し、使用する検査プログラムの使用最終時刻(日を含む)を更新する。そしてステップ11に移行し、所定の検査・処理を前記した検査プログラムに従って実行する。続いてステップ12に移行し、この検査結果をデータ管理部11に転送する。より具体的には1又は複数の画像情報がデータ管理部11に転送される。画像情報をデータ管理部11に送信する際に、付加情報として送信時刻が同時送信される。即ち本実施形態では、画像情報はタイムスタンプ情報を有している。
【0046】
データ管理部11が画像処理部13から画像情報を受信すると(ステップ20)、物品特定情報は種別情報要求ではないからステップ21はNOとなり、ステップ22に至り、データの発信元が確認される。データの発信元は画像処理部13であるからステップ23もNOであり、ステップ24に移行して、画像情報をデータ管理部11のデータ保持部21に記憶する。具体的には、データ保持部21の所定の格納領域に一時的に記憶することとなる。
【0047】
そして続くステップ25に移行して一連のデータが揃ったか否かが確認される。今回のフローでは、物品特定情報と画像情報とが揃っているので、ステップ25がYESとなる。またデータ保持部21では、一連の物品特定情報と画像情報とが関連付けられる。そしてステップ28に移行して関連付けられた一連のデータをデータ保持部11から読み出し、センターサーバ10のデータ保存部46に送信する。この様に本実施形態の画像処理システム1は、一回の送信で物品特定情報と画像情報と同時発信するので、ローカルサーバ8とセンターサーバ10間の通信頻度が低い。そのため通信に要する負荷が小さい。そしてセンターサーバ10では、受信したデータをデータ保存部46に記憶させる(ステップ29)。
【0048】
本実施形態の画像処理システム1では、ローカルサーバ10内におけるデータ管理部11のデータ保持部21に物品特定情報と画像情報とが一旦保管された後にこれらがセンターサーバ10に送信されるので、ローカルサーバ10の段階で物品特定情報と画像情報とが関連付けられている。そのためセンターサーバ10において物品特定情報と画像情報とを関連付ける必要はなく、センターサーバ10の処理負荷が軽い。
【0049】
フローチャートの説明に戻ると、前記したステップ7における判断がYESであった場合は、検査・測定方法データを差し替える工程が割り込むこととなる。即ち前記したステップ7では、現在まで実行されていた検査プログラム(検査・測定方法データ)が、今、処理すべき処理対象物50,51に適合しているか否かを判断する。
【0050】
現在まで実行されていた検査プログラムと、処理すべき処理対象物50,51に適合した検査プログラムが異なるものであるならば、検査プログラムを変更する必要がある。そこでステップ7における判断がYESであった場合は、ステップ13に移行し、画像処理部13の検査・測定方法データ保存部38に適切な検査プログラムが有るか否かを確認する。適切な検査プログラムが有るならばステップ13がYESとなり、ステップ18に移行して該当する検査プログラムに変更し、ステップ8に戻る。そして適切な検査プログラムに基づいてステップ8以下の工程を実行する。
【0051】
ステップ13で適切な検査プログラムが無いと判断された場合には、画像処理部13以外が保有するデータから適切な検査プログラムを探す。具体的には、データ管理部11の検査・測定方法データ保存部25又はセンターサーバ10の検査・測定方法データ保存部45を検索し、必要な検査プログラム(検査・測定方法データ)を要求し(ステップ14)、必要な検査プログラムを取得する(ステップ15)。
【0052】
続いてこの検査プログラムを画像処理部13の検査・測定方法データ保存部38に保存するがそれに先立ってステップ16で検査・測定方法データ保存部38に空き領域が有るか否かを判断する。ここで検査プログラムを格納できるだけの空き領域があればステップ16に移行して検査プログラムを検査・測定方法データ保存部38に格納する(ステップ17)。そしてステップ18に移行して該当する検査プログラムに変更し、ステップ8に戻る。そして適切な検査プログラムに基づいてステップ8以下の工程を実行する。
【0053】
検査プログラムを格納できるだけの空き領域が無ければステップ16がNOとなってステップ19に移行し、使用最終履歴が最も古い検査プログラムを削除し、必要な領域を確保した上で検査プログラムを検査・測定方法データ保存部38に格納する。古い検査プログラムを削除する場合は、新たに導入する検査プログラムのデータ量に見合う大きさの検査プログラムの中で最も古いものを削除しても良いし、新たに導入する検査プログラムが格納できる様に古い順から1以上のプログラムを削除してもよい。
【0054】
上記した実施形態では、ステップ24において物品特定情報及び画像情報をデータ保持部21の所定の格納領域に一時的に記憶し、両者をまとめることによって関連づけたが、タイムスタンプ情報を利用して両者を関連づけてもよい。即ち上記した実施形態では、物品特定情報及び画像情報にはいずれにもタイムスタンプ情報が付加されている。そこでタイムスタンプ情報に基づいて物品特定情報及び画像情報を順序立て、これによって物品特定情報と画像情報とを関連付けてもよい。
【0055】
また先の実施形態では、個体認識部12や画像処理部13側からデータ管理部11に情報を転送する際に時刻情報を付与したが、ローカルサーバ8が情報読み取り手段(バーコードリーダ)5から信号を受信した時刻や、撮影手段(デジタルカメラ)6,7から信号を受信した時刻を記録することとし、これを付加情報として物品特定情報等に付随させ、この受信時刻に従ってローカルサーバでの対応付けを行うことも可能である。
【0056】
いずれの方策によっても、要するにローカルサーバは、一つの処理対象物に対する物品特定情報と画像情報とが対応付けられた時点で、一つの処理対象物に関して受信した全ての認識情報及び画像情報をセンターサーバに転送することが望ましい。また一連のデータが揃ったことを判断するために、予め各セル(各ローカルサーバ)で得られたデータ数は設定されているものとすることが望ましい。図7で示したフローチャートでは、画像処理装置への種別情報の送信は、画像処理装置からデータ管理部11に種別情報を要求することによって得られる構成としたが、ローカルサーバのいずれかの部位から自動的に送信されるものであってもよい。
【0057】
上記した実施形態では、検査・測定方法データ保存部38は、数種類の検査プログラムを記憶できるものである旨説明したが、一個だけの検査プログラムを記憶できるものであってもよい。検査・測定方法プログラムの管理領域(検査・測定方法データ保存部38)が、一種類分のデータしか保存する領域が存在しない場合は、検査・測定方法プログラムを毎回入れ替えることとなる場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態の画像処理システムの概要を表す構成図である。
【図2】本発明の実施形態の画像処理システムのブロック図である。
【図3】図1の画像処理システムで採用するデータ管理手段のブロック図である。
【図4】図1の画像処理システムで採用する個体認識手段のブロック図である。
【図5】図1の画像処理システムで採用する画像処理手段のブロック図である。
【図6】図1の画像処理システムで採用するデータ保存手段のブロック図である。
【図7】図1の画像処理システムで採用するデータ管理手段のフローチャート図である。
【図8】データ管理部に設けられた検査・測定方法データ保存部の概念図である。
【符号の説明】
【0059】
1 画像処理システム
2,3 ライン
5 情報読み取り手段
6,7 撮影手段
8 ローカルサ−バ
10 センターサーバ
11 データ管理部
12 個体認識部
13 画像処理部
23 個別情報保持部
38 検査・測定方法データ保存部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物に付された情報を読み出す情報読み取り手段と、1又は複数の画像処理手段と、前記情報読み取り手段及び画像処理手段から転送されたデータが入力される1又は複数のローカルサーバと、ローカルサーバ内のデータが転送されるセンタサーバとを備えた画像処理システムであって、前記ローカルサーバは、前記情報読み取り手段の情報に基づく物品特定情報と画像処理手段の情報に基づく画像情報とを対応付けてセンタサーバに転送することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記画像処理手段は、ローカルサーバに対し処理対象物の種別に関する情報の送信を促す種別情報要求信号を送信する情報要求信号送信機能を有し、前記ローカルサーバは、 画像処理手段からの種別情報要求信号を受信すると、前記情報読み取り手段から得られた物品特定情報に対応する種別に関する情報を画像処理手段に対して送信することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
画像処理手段は所定の検査プログラムを実行するものであり、さらに画像処理手段は1又は複数の検査プログラムが格納される検査・測定方法データ保存部を有し、受信した処理対象物の種別に関する情報に基づき、現在実行されている検査プログラムが適切なものでないならば、検査・測定方法データ保存部から適切な検査プログラムを選択し、検査プログラムをこれに切り換えることを特徴とする請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
検査・測定方法データ保存部内に適切な検査プログラムが無いならば、適切な検査プログラムを画像処理手段以外から取得し、その取得した検査プログラムに切り換えることを特徴とする請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
検査・測定方法データ保存部内に適切な検査プログラムが無いならば、適切な検査プログラムを前記ローカルサーバ又は前記センタサーバから取得し、その取得した検査プログラムに切り換えることを特徴とする請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記画像処理手段は、前記検査プログラムを取得し、前記検査・測定方法データ保存部にその検査ブログラムを格納する領域がない場合、最終使用時刻の最も古いブログラムを削除し、その検査プログラムを格納することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記情報読み取り手段の物品特定情報及び前記画像処理手段の画像情報は、タイムスタンプ情報を有しており、それぞれのタイムスタンプ情報によりローカルサーバでの対応付けが行われることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記物品特定手段の認識情報及び前記画像処理手段の画像情報は、ローカルサーバがそれぞれの情報を受信した受信時刻を付与し、受信時刻に従ってローカルサーバでの対応付けが行われることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記ローカルサーバは、一つの処理対象物に対する物品特定情報と画像情報とが対応付けられた時点で、一つの処理対象物に関して受信した全ての認識情報及び画像情報をセンタサーバに転送することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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