説明

画像処理装置、撮像装置、プログラム、及び記録媒体

【課題】撮像シーンが様々な場合であっても、削除される画像データ(失敗画像データ)の発生頻度を低減する。
【解決手段】画像処理装置20は、撮像された画像データを削除させる画像削除制御部91と、画像データの撮像シーンを判定する撮像シーン判定部92と、画像削除制御部91によって画像データを削除させる場合に、削除される画像データの特徴を示す第1の特徴量を推定する第1の特徴量推定部931と、画像データの特徴量を記憶する特徴量記憶部61に、画像データの撮像シーンと第1の特徴量とを関連付けて記憶させる特徴量記憶制御部94とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、撮像装置、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
画像をデジタル画像データとして取り込むデジタルカメラなどの撮像装置では、フィルムを使用したカメラに比べて簡単に多くの画像が撮像できる。このような画像をデジタル画像データとして取り込む撮像装置では、撮像したその場所で、撮像した画像を確認できるため、不要な画像データの削除を簡単に行うことができる。このような撮像装置では、削除された画像データの各種撮像条件と、各種撮像条件において撮像された画像が削除される頻度から、削除される可能性の高い撮像設定を抽出する。削除される可能性が高い撮像条件によって撮像されそうな場合に、撮像装置が、使用者に警告を促す、又は、削除される可能性の高い撮像条件にならないように制御を変更する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−218932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示される技術では、上述した制御を行うことにより、撮像された画像データにおける削除される画像データ(失敗画像データ)の発生頻度を低減させる。しかしながら、撮像される画像データが良いか悪いかの判断は、撮像される画像の撮像シーンによって大きく異なる場合がある。例えば、日中に撮像する場合と夜間に撮像する場合とでは、同じ露出制御でも全く異なる画像データが撮像される。このため、特許文献1で示されるように、単純に削除される可能性が高い撮像条件にならないようにフィードバック制御する、又は使用者に警告を促すことを行っても、使用者が意図した(良いと判断する)撮像にはならない場合がある。つまり、特許文献1で示される撮像装置では、撮像シーンによっては、削除される画像データ(失敗画像データ)の発生頻度を低減するには、不十分である。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、撮像シーンが様々な場合であっても、削除される画像データ(失敗画像データ)の発生頻度を低減することができる画像処理装置、撮像装置、プログラム、及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明は、撮像された画像データを削除させる画像削除制御部と、画像データの撮像シーンを判定する撮像シーン判定部と、前記画像削除制御部によって前記画像データを削除させる場合に、削除される画像データの特徴を示す第1の特徴量を推定する第1の特徴量推定部と、画像データの特徴量を記憶する特徴量記憶部に、前記画像データの撮像シーンと前記第1の特徴量とを関連付けて記憶させる特徴量記憶制御部とを備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0007】
また、本発明は、上記画像処理装置を備えることを特徴とする撮像装置である。
【0008】
また、本発明は、画像処理装置としてのコンピュータに実行させるためのプログラムであって、画像削除制御部が、撮像された画像データを削除させる画像削除制御手順と、撮像シーン判定部が、画像データの撮像シーンを判定する撮像シーン判定手順と、第1の特徴量推定部が、前記画像削除制御部によって前記画像データを削除させる場合に、削除される画像データの特徴を示す第1の特徴量を推定する第1の特徴量推定手順と、特徴量記憶制御部が、画像データの特徴量を記憶する特徴量記憶部に、前記画像データの撮像シーンと前記第1の特徴量とを関連付けて記憶させる特徴量記憶制御手順とを前記コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0009】
また、本発明は、画像処理装置としてのコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、画像削除制御部が、撮像された画像データを削除させる画像削除制御手順と、撮像シーン判定部が、画像データの撮像シーンを判定する撮像シーン判定手順と、第1の特徴量推定部が、前記画像削除制御部によって前記画像データを削除させる場合に、削除される画像データの特徴を示す第1の特徴量を推定する第1の特徴量推定手順と、特徴量記憶制御部が、画像データの特徴量を記憶する特徴量記憶部に、前記画像データの撮像シーンと前記第1の特徴量とを関連付けて記憶させる特徴量記憶制御手順とを前記コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像シーンが様々な場合であっても、削除される画像データ(失敗画像データ)の発生頻度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態による撮像装置を示すブロック図である。
【図2】同実施形態における画像処理装置を示すブロック図である。
【図3】同実施形態における特徴量記憶部のデータ構成を示す図である。
【図4】同実施形態における動作の一形態を示す図である。
【図5】同実施形態における成功画像データの分布を示す図である。
【図6】同実施形態における撮像装置により最適と判断された画像データの明るさの分布を示す図である。
【図7】第2の実施形態における特徴量記憶部のデータ構成を示す図である。
【図8】同実施形態における成功画像データの分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
まず、本発明の一実施形態による画像処理装置及び撮像装置を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による撮像装置100を示すブロック図である。
この図において、撮像装置100は、撮像部10、バッファメモリ部30、画像表示処理部40、表示部50、記憶部60、通信部70、操作部80、及び制御部90を備える。また、撮像装置100は、画像処理装置20を備える。ここで、画像処理装置20は、制御部90の一部分と記憶部60の一部分とを含む。
【0013】
撮像部10は、複数のレンズを備える光学系11、撮像素子12、及びA/D(アナログ/デジタル)変換部13を備える。この撮像部10は、設定された撮像条件(例えば、絞り値、露出値など)に基づいて制御部90によって制御される。撮像部10は、光学系11を介した光学像を撮像素子12に結像させ、A/D変換部13によって変換された当該光学像に基づく画像データを生成する。
なお、上述した光学系11は、撮像装置100に取り付けられて一体とされていてもよいし、撮像装置100に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0014】
撮像素子12は、例えば、受光面(不図示)に結像した光学像を電気信号(電圧信号)に変換して、A/D変換部13に供給する。撮像素子12の受光面は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどの格子状に配置されている複数のイメージセンサ(不図示)で構成され、それぞれのイメージセンサは、結像された光学像を電圧値に変換する。
A/D変換部13は、撮像素子12によって変換された電圧値をアナログ−デジタル変換し、この変換したデジタル信号である画像データを出力する。
【0015】
操作部80は、例えば、電源スイッチ、シャッターボタン、十字キー、確定ボタン、削除ボタン、及び、その他の操作キーを含み、使用者によって操作されることで、使用者の操作入力を受け付けて、制御部90に供給する。
【0016】
画像表示処理部40は、バッファメモリ部30に記憶されている画像データを表示部50に表示させる表示制御処理を行う。ここでいうバッファメモリ部30に記憶されている画像データとは、画像表示処理部40に入力される画像データ(入力画像)のことであり、例えば、撮像画像データ、スルー画像データ、または、記憶媒体200から読み出された撮像画像データのことである。
表示部50は、例えば、液晶ディスプレイであって、撮像部10によって得られた画像データや、操作画面等を表示する。
【0017】
記憶部60には、制御部90によってシーン判定の際に参照される判定条件や、撮像条件、等が記憶されている。また、記憶部60には、削除された画像データの特徴を示す失敗画像データの特徴量や、使用者の好みの画像を示す成功画像データの特徴量、等も記憶される。
バッファメモリ部30は、撮像部10によって撮像された画像データを、一時的に記憶する。
【0018】
通信部70は、カードメモリ等の取り外しが可能な記憶媒体200と接続され、この記憶媒体200への撮像画像データの書込み、読み出し、又は消去を行う。
記憶媒体200は、撮像装置100に対して着脱可能に接続される記憶部であり、例えば、撮像部10によって生成された撮像画像データを記憶する。
【0019】
制御部90は、例えば、CPU(Central processing unit)などを含み、撮像装置100が備える各構成を制御する。制御部90は、例えば、操作部80を介して撮像指示を受け付けた際に、撮像素子12とA/D変換部13とを介して得られる画像データを、撮像された静止画の撮像画像データとして、記憶媒体200に記憶させる。また、制御部90は、例えば、操作部80を介して撮像指示を受け付けていない状態において、撮像素子12とA/D変換部13とを介して連続的に得られる画像データをスルー画(スルー画データ)として画像表示処理部40に供給し、表示部50に連続的に表示させる。また、制御部90は、後述において詳細に説明する画像データを削除する処理、及び削除された画像データの特徴量を撮像制御に反映させる処理を行う。
【0020】
バス300は、撮像部10と、制御部90と、操作部80と、画像表示処理部40と、表示部50と、記憶部60と、バッファメモリ部30と、通信部70とに接続され、各部から出力された画像データや制御信号等を転送する。
【0021】
また、撮像装置100は、画像処理装置20を含む。ここで、画像処理装置20は、制御部90の一部分と記憶部60の一部分とを含む。
【0022】
次に、図2を用いて、図1に示された画像処理装置20の構成について説明する。
図2は、本実施形態における画像処理装置20を示すブロック図である。
この図において、画像処理装置20は、画像削除制御部91、撮像シーン判定部92、特徴量推定部93、特徴量記憶制御部94、撮像画像制御部95、及び特徴量記憶部61を備える。なお、画像削除制御部91、撮像シーン判定部92、特徴量推定部93、特徴量記憶制御部94、及び撮像画像制御部95は、制御部90に含まれる。また、特徴量記憶部61は、記憶部60に含まれる。
【0023】
画像削除制御部91は、撮像された画像データを削除させる。つまり、画像削除制御部91は、操作部80によって選択された画像データを削除させる制御を行う。なお、削除される画像データは、記憶媒体200に記憶された画像データでもよいし、記憶部60に記憶された画像データでもよい。
【0024】
撮像シーン判定部92は、画像データの撮像シーンを判定する。ここで、撮像シーンが判定される画像データには、画像削除制御部91によって削除される画像データ、記憶媒体200又は記憶部60に記憶される画像データ、及びスルー画像データが含まれる。また、画像データの撮像シーンとは、例えば、夜景、ポートレート、風景、などである。撮像シーン判定部92は、例えば、画像データを解析することにより撮像シーンを判定する。撮像シーン判定部92は、判定した画像データの撮像シーンを特徴量推定部93、特徴量記憶制御部94、及び撮像画像制御部95に供給する。
【0025】
特徴量推定部93は、画像データの特徴を示す特徴量を推定する。ここで、特徴量とは、例えば、画像の平均輝度値、画像データに含まれる顔部分の明るさ情報、などである。また、特徴量推定部93は、失敗画像特徴量推定部931(第1の特定量推定部)、成功画像特徴量推定部932(第2の特定量推定部)、及び撮像画像特徴量推定部933(第3の特定量推定部)を備える。
【0026】
失敗画像特徴量推定部931は、失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)を推定する。なお、失敗画像データとは、画像削除制御部91によって削除対象とされた画像データである。つまり、失敗画像データとは、使用者にとって意図しない画像データであったために、使用者によって削除する操作が行われた画像データである。失敗画像データは、記憶媒体200又は記憶部60から削除される画像データでもよいし、記憶媒体200又は記憶部60から削除されないが、表示部50に表示されない設定にされる画像データでもよい。失敗画像特徴量推定部931は、推定した失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)を特徴量記憶制御部94に供給する。
【0027】
成功画像特徴量推定部932は、撮像シーン判定部92によって判定された撮像シーンごとに成功画像データの特徴量(第2の特徴量)を推定する。なお、成功画像データとは、撮像された画像データを記憶する記憶媒体200又は記憶部60に記憶された画像データのうち、削除対象の画像データを除く画像データである。つまり、成功画像データとは、使用者にとって好みの画像データを示す。成功画像特徴量推定部932は、推定した成功画像データの特徴量(第2の特徴量)を特徴量記憶制御部94に供給する。
【0028】
撮像画像特徴量推定部933は、撮像部10によって撮像される画像データの特徴量(第3の特徴量)を推定する。撮像画像特徴量推定部933は、推定した撮像される画像データの特徴量(第3の特徴量)を撮像画像制御部95に供給する。なお、ここでいう撮像される画像データとは、スルー画像データである。
【0029】
特徴量記憶制御部94は、特徴量記憶部61に、撮像シーン判定部92によって判定された画像データの撮像シーンと失敗画像データの特徴量とを関連付けて記憶させる。例えば、特徴量記憶制御部94は、特徴量記憶部61に、撮像シーンごとに失敗画像データの特徴量を記憶させる。また、特徴量記憶制御部94は、失敗画像データの特徴量と成功画像データの特徴量とを撮像シーンに関連付けて特徴量記憶部61に記憶させる。例えば、特徴量記憶制御部94は、失敗画像データの特徴量と成功画像データの特徴量とを撮像シーンごとに特徴量記憶部61に記憶させる。
【0030】
撮像画像制御部95は、撮像シーン判定部92から供給される画像データの撮像シーンに対応する、失敗画像データの特徴量と成功画像データの特徴量との差に基づいて、撮像部10の撮像条件を変更させる処理を撮像シーンごとに行う。
【0031】
特徴量記憶部61は、画像データの特徴量を記憶する。つまり、特徴量記憶部61は、撮像シーン判定部92によって判定された画像データの撮像シーンごとに、失敗画像データの特徴量と成功画像データの特徴量とを記憶する。
【0032】
なお、制御部90の各部と、特徴量記憶部61を含む記憶部60は、バス300と接続される。制御部90の各部、特徴量記憶部61、及び撮像装置100の各部は、バス300を介して画像データや制御信号等を転送する。
【0033】
図3は、本実施形態における特徴量記憶部61のデータ構成を示す図である。
この図において、特徴量記憶部61では、撮像シーンを識別する識別情報(例えば、撮像シーン名)、削除された画像データの特徴量(失敗画像データの特徴量)、及び成功画像データの特徴量が関連付けられて記憶される。
【0034】
例えば、撮像シーン名が夜景シーンである場合、夜景シーンにおける特徴量は、画像データの平均輝度値である。このため、特徴量記憶部61には、失敗画像データの平均輝度値YNGと成功画像データの平均輝度値YOKとの組が、撮像シーン名“夜景シーン”と関連付けられて記憶される。
なお、成功画像データの平均輝度値YOKは、撮像シーン名“夜景シーン”に対応する全成功画像データにおける平均輝度の平均値でもよいし、撮像シーン名“夜景シーン”に対応する予め設定された特定の成功画像データの平均輝度値でもよい。ここでは、成功画像データの平均輝度値YOKは、撮像シーン名“夜景シーン”に対応する全成功画像データにおける平均輝度の平均値である。
【0035】
また、例えば、撮像シーン名がポートレートである場合、ポートレートにおける特徴量は、顔部分の平均輝度値である。このため、特徴量記憶部61には、失敗画像データにおける顔部分の平均輝度値ZNGと成功画像データにおける顔部分の平均輝度値ZOKとの組が、撮像シーン名“ポートレート”と関連付けられて記憶される。
なお、成功画像データの平均輝度値ZOKは、撮像シーン名“ポートレート”に対応する全成功画像データにおける顔部分の平均輝度の平均値でもよいし、撮像シーン名“ポートレート”に対応する予め設定された特定の成功画像データの顔部分の平均輝度値でもよい。ここでは、成功画像データの平均輝度値ZOKは、撮像シーン名“ポートレート”に対応する全成功画像データにおける顔部分の平均輝度の平均値とする。
【0036】
次に、本実施形態の動作について説明する。
本実施形態では、撮像シーン名が夜景シーンである場合における動作の一例を説明する。
図4は、本実施形態における動作の一形態を示す図である。
図4(a)は、夜景シーンの撮像データの一例を示す。また、図4(b)は、図4(a)に示される画像データが削除される場合の動作を示すフローチャートである。
この図において、まず、使用者によって操作部80の削除ボタンが押されると、図4(a)に示される画像データを削除する処理が開始される(ステップS101)。
【0037】
次に、撮像シーン判定部92が、削除する画像データの撮像シーンを判定する(ステップS102)。ステップS102において、撮像シーン判定部92は、記憶媒体200又は記憶部60に記憶される削除対象の画像データをバス300を介して読み出し、読み出した画像データの撮像シーンを判定する。撮像シーンの判定は、例えば、画像データを解析して判定してもよいし、画像データのヘッダー情報に含まれる撮像条件等の情報に基づいて判定してもよい。ここでは、撮像シーン判定部92が夜景シーンであると判定した場合である。また、削除対象の画像データとは、使用者によって操作部80を用いて選択された削除の対象となる画像データである。
撮像シーン判定部92は、判定した画像データの撮像シーンを特徴量推定部93、特徴量記憶制御部94、及び撮像画像制御部95に供給する。ここで、撮像シーンは、夜景シーンである。また、撮像シーンが夜景シーンである場合、画像データの特徴量は、例えば、画像全面の平均輝度である。
【0038】
次に、特徴量推定部93の失敗画像特定量推定部931が、削除される画像データの平均輝度YNG(特徴量)を算出(推定)する(ステップS103)。つまり、ステップS103において、失敗画像特定量推定部931は、削除対象の画像データ(失敗画像データ)から画像全面の平均輝度YNGを算出することにより特徴量を推定する。また、特徴量記憶制御部94は、失敗画像特定量推定部931によって算出された失敗画像データの平均輝度YNG(特徴量)を、撮像シーン名“夜景シーン”に対応付けて特徴量記憶部61に記憶させる。また、画像削除制御部91は、記憶媒体200又は記憶部60に削除対象の画像データを削除させる。
なお、特徴量記憶部61には、成功画像データの平均輝度YOK(特徴量)も撮像シーン名“夜景シーン”に対応付けてられて記憶されるが、成功画像データの平均輝度YOKは、予め記憶されている形態を説明する。また、成功画像データの平均輝度YOKは、特徴量推定部93の成功画像特定量推定部932によって算出(推定)される。
【0039】
次に、撮像画像制御部95が、成功画像データの平均輝度YOKと失敗画像データの平均輝度YNGとの差Δ1を算出する(ステップS104)。つまり、ステップS104において、撮像画像制御部95は、画像データの撮像シーン名“夜景シーン”に対応する失敗画像データの平均輝度YNGと成功画像データの平均輝度YOKとを、特徴量記憶部61から読み出して、成功画像データの平均輝度YOKと失敗画像データの平均輝度YNGとの差Δ1を算出する。この成功画像データの平均輝度YOKと失敗画像データの平均輝度YNGとの差Δ1は、撮像装置100によって自動設定された撮像条件における夜景画像の明るさと、使用者にとって好みな夜景画像の明るさとの差に相当する。つまり、この成功画像データの平均輝度YNGと失敗画像データの平均輝度YOKとの差Δ1は、撮像装置100により最適と判断された露出と使用者が意図する露出との差になる。従って、次に撮像する際には、この差Δ1を無くすように、自動設定された撮像条件(撮像装置100による最適露出)を変更(補正)すれば、使用者にとって好みな画像データに近づくことになる。なお、次に撮像する際とは、次回以降に撮像する場合のことである。
【0040】
つまり、次に撮像する場合には、画像処理装置20は、上述の差Δ1分を補正するように撮像部10の制御を行う(ステップS105)。ステップS105において、夜景シーンによって撮像される場合に、特徴量推定部93の撮像画像特定量推定部933は、スルー画像データに基づいて撮像される画像データの平均輝度Y(第3の特徴量)を算出(推定)する。なお、撮像される画像データの撮像シーンは、スルー画像データに基づいて撮像シーン判定部92により“夜景シーン”と判定される。撮像画像制御部95は、撮像される画像データの平均輝度Yに上述の差Δ1分に補正するように、撮像条件を変更させる制御を行う。つまり、撮像画像制御部95は、撮像部10に、例えば、撮像条件である露出値を上述の差Δ1分変更させる。これにより、削除された画像データの特徴量が撮像条件に反映される。
【0041】
なお、ステップS104の処理は、画像データを削除する際に行ってもよいし、次に撮像する際に行ってもよい。また、差Δ1の算出に使用する失敗画像データの平均輝度YNGは、最後に削除された画像データの平均輝度を使用してもよいし、今までに削除された画像データの平均輝度を平均した値を使用してもよい。今までに削除された画像データの平均輝度をデータベース化して、データベースに基づいて失敗画像データの平均輝度YNGを決定してもよい。
【0042】
次に、図4(b)のステップS105の処理を図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態における成功画像データの分布を示す図である。
この図において、横軸は、画像データの平均輝度YAVGを示し、縦軸は、画像数を示す。波形101は、成功画像データの平均輝度分布を示す。また、平均輝度YOKは、成功画像データの平均輝度を平均した値を示す。平均輝度YNGは、削除された画像データの平均輝度を示す。Δ1は、成功画像データの平均輝度YOKと失敗画像データの平均輝度YNGとの差を示す。
次に撮像する際に、スルー画像データの平均輝度を平均輝度Y1とする。この平均輝度Y1は、撮像装置100により最適と判断された露出値に対応する画像データの平均輝度である。この場合、撮像画像制御部95は、撮像条件である露出値を上述の差Δ1分補正する。結果として、撮像される画像データは、平均輝度Y2の明るさに補正されて撮像される。
【0043】
画像処理装置20では、図4(b)のステップS101〜ステップS105の処理が繰り返されることにより、撮像装置100により最適と判断された画像データの明るさが、使用者にとって意図される(好みの)画像データの明るさに近づいて行く。
図6は、本実施形態における撮像装置100により最適と判断された画像データの明るさの分布を示す図である。
この図において、グラフは、画像処理装置20を備えた撮像装置100が使用者に使用され続けることにより、撮像装置100により最適と判断された画像データの明るさが、使用者にとって意図される(好みの)画像データの明るさに近づいて行くことを示す。グラフにおいて、横軸は、画像データの平均輝度YAVGを示し、縦軸は、画像数を示す。
【0044】
波形102は、撮像画像制御部95による補正が行われる前に、撮像装置100により最適と判断された露出値に対応する画像データの平均輝度分布である。また、この平均輝度分布の平均値が、平均輝度YAUTOである。また、平均輝度YOK1は、使用者が暗い画像データが好みである場合における、成功画像データの平均輝度の平均値である。また、平均輝度YOK2は、使用者が明るい画像データが好みである場合における、成功画像データの平均輝度の平均値である。
【0045】
使用者が暗い画像データが好みである場合、撮像装置100が使用者に使用され続けることによって、撮像装置100により最適と判断された画像データの明るさの分布は、波形102のから波形103に移動する。
また、使用者が明るい画像データが好みである場合、撮像装置100が使用者に使用され続けることによって、撮像装置100により最適と判断された画像データの明るさの分布は、波形102のから波形104に移動する。
【0046】
以上のように、画像処理装置20では、画像削除制御部91が、撮像された画像データを削除させ、撮像シーン判定部92が、画像データの撮像シーンを判定する。また、失敗画像特徴量推定部931(第1の特徴量推定部)が、画像削除制御部91によって画像データを削除させる場合に、失敗画像データの平均輝度YNG(第1の特徴量)を推定する。特徴量記憶制御部94は、画像データの撮像シーンと失敗画像データの平均輝度YNG(第1の特徴量)とに関連付けて特徴量記憶部61に記憶させる。これにより、画像データの撮像シーンごとに、失敗画像データの特徴量をデータベースとして蓄積することができる。このため、画像処理装置20及び撮像装置100では、特徴量記憶部61に記憶された失敗画像データの特徴量に基づいて、画像データの撮像シーンごとに次の撮像条件をより最適な撮像条件に変更させることができる。結果として、画像処理装置20及び撮像装置100では、撮像シーンが様々な場合であっても、削除される画像データ(失敗画像データ)の発生頻度を低減することができる。
【0047】
また、画像処理装置20では、撮像画像制御部95が、画像データの撮像シーンに対応する、成功画像データの平均輝度YOK(第2の特徴量)と、失敗画像データの平均輝度YNG(第1の特徴量)との差Δ1に基づいて、撮像条件を変更させる処理を撮像シーンごとに行う。従って、撮像装置100が使用者に使用され続けることにより、成功画像データの平均輝度YOK(第2の特徴量)と、失敗画像データの平均輝度YNG(第1の特徴量)とを撮像シーンごとにデータベース化して蓄積することができる。これにより、撮像装置100によって最適と判断された画像データの特徴量を、使用者にとって意図される(好みの)画像データの特徴量に近づけることができる。つまり、撮像回数を増やすことによって、撮像装置100による最適な設定の精度を向上させることができる。
【0048】
また、画像処理装置20では、成功画像特徴量推定部932(第2の特徴量推定部)が、撮像シーンごとに成功画像データの平均輝度YOK(第2の特徴量)を推定する。また、特徴量記憶制御部94は、成功画像データの平均輝度YOK(第2の特徴量)と、失敗画像データの平均輝度YNG(第1の特徴量)とを、撮像シーンに関連付けて特徴量記憶部61に記憶させる。これにより、画像処理装置20は、成功画像データの平均輝度YOK(第2の特徴量)を更新することができる。画像処理装置20が、撮像シーンごとに更新された成功画像データの平均輝度YOK(第2の特徴量)を使用することができる。このため、画像処理装置20は、常に最新の成功画像データの平均輝度YOK(第2の特徴量)に基づいて、画像データの撮像シーンごとに次の撮像条件をより最適な撮像条件に変更させることができる。
【0049】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態による画像処理装置及び撮像装置を図面を参照して説明する。
本実施形態における撮像装置、及び画像処理装置の構成は、図1及び図2に示される撮像装置100及び画像処理装置20と同じである。
【0050】
図7は、本実施形態における特徴量記憶部61のデータ構成を示す図である。
この図において、特徴量記憶部61では、撮像シーンを識別する識別情報(例えば、撮像シーン名)、削除された画像データの下側特徴量(失敗画像データの下側特徴量)、削除された画像データの上側特徴量(失敗画像データの上側特徴量)及び成功画像データの特徴量(第2の特徴量)が関連付けられて記憶される。
ここで、削除された画像データの下側特徴量(失敗画像データの下側特徴量)は、削除された画像データの特徴量(第1の特徴量)が、成功画像データの特徴量(第2の特徴量)より小さい値を示す下側特徴量区分である場合における失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)である。また、削除された画像データの上側特徴量(失敗画像データの上側特徴量)は、削除された画像データの特徴量(第1の特徴量)が、成功画像データの特徴量(第2の特徴量)より大きい値を示す上側特徴量区分である場合における失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)である。
【0051】
例えば、撮像シーン名が夜景シーンである場合、夜景シーンにおける特徴量は、画像データの平均輝度値である。このため、特徴量記憶部61には、失敗画像データの平均輝度値(下側平均輝度値YNG1、上側平均輝度値YNG2)と成功画像データの平均輝度値YOKとの組が、撮像シーン名“夜景シーン”と関連付けられて記憶される。
【0052】
また、例えば、撮像シーン名がポートレートである場合、ポートレートにおける特徴量は、顔部分の平均輝度値である。このため、特徴量記憶部61には、失敗画像データにおける顔部分の平均輝度値(顔部分の下側平均輝度値ZNG1、顔部分の上側平均輝度値ZNG2)と成功画像データにおける顔部分の平均輝度値ZOKとの組が、撮像シーン名“ポートレート”と関連付けられて記憶される。
【0053】
次に、本実施形態の動作について説明する。
本実施形態における画像処理装置20の動作は、特徴量記憶制御部94及び撮像画像制御部95の動作を除いて第1の実施形態の動作と同様である。以下、本実施形態における特徴量記憶制御部94及び撮像画像制御部95の動作について説明する。
【0054】
本実施形態において、特徴量記憶制御部94は、画像削除制御部91によって画像データを削除させる場合に、失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)が成功画像データの特徴量(第2の特徴量)以上か否かを判定する。特徴量記憶制御部94は、判定した結果(判定結果)に基づいて、下側特徴量区分と上側特徴量区分とに分類する。ここで、下側特徴量区分とは、失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)が成功画像データの特徴量(第2の特徴量)より小さい値を示す。また、上側特徴量区分とは、失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)が成功画像データの特徴量(第2の特徴量)以上の値を示す。
【0055】
また、特徴量記憶制御部94は、分類した結果(分類結果)に関連付けて、失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)を特徴量記憶部61に記憶させる。なお、特徴量記憶制御部94が失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)と成功画像データの特徴量(第2の特徴量)とを撮像シーンに関連付けて特徴量記憶部61に記憶させる動作は同様である。
【0056】
例えば、撮像シーン名が夜景シーンである場合、特徴量記憶制御部94は、画像削除制御部91によって画像データを削除させる際に、失敗画像データの平均輝度値YNGが成功画像データの平均輝度値YOK以上か否かを判定する。失敗画像データの平均輝度値YNGが成功画像データの平均輝度値YOKより小さいと判定された場合、特徴量記憶制御部94は、失敗画像データの平均輝度値YNGを下側特徴量区分と分類し、失敗画像データの平均輝度値YNGを平均輝度値YNG1と定義する。特徴量記憶制御部94は、特徴量記憶部61における撮像シーン名“夜景シーン”に対応する下側特徴量区分の領域に平均輝度値YNG1を記憶させる。
【0057】
また、失敗画像データの平均輝度値YNGが成功画像データの平均輝度値YOK以上であると判定された場合、特徴量記憶制御部94は、失敗画像データの平均輝度値YNGを上側特徴量区分と分類し、失敗画像データの平均輝度値YNGを平均輝度値YNG2と定義する。特徴量記憶制御部94は、特徴量記憶部61における撮像シーン名“夜景シーン”に対応する上側特徴量区分の領域に平均輝度値YNG2を記憶させる。
【0058】
次に、撮像画像制御部95は、成功画像データの特徴量と失敗画像データの下側特徴量区分の値との差Δ1(第1の差)、及び成功画像データの特徴量と失敗画像データの上側特徴量区分の値との差Δ2(第2の差)を算出する。つまり、撮像画像制御部95は、例えば、画像データの撮像シーン名“夜景シーン”に対応する失敗画像データの平均輝度YNG1と成功画像データの平均輝度YOKとを特徴量記憶部61から読み出して、成功画像データの平均輝度YOKと失敗画像データの平均輝度YNG1との差Δ1を算出する。また、撮像画像制御部95は、例えば、画像データの撮像シーン名“夜景シーン”に対応する失敗画像データの平均輝度YNG2と成功画像データの平均輝度YOKとを特徴量記憶部61から読み出す。撮像画像制御部95は、特徴量記憶部61から読み出した成功画像データの平均輝度YOKと失敗画像データの平均輝度YNG2との差Δ2を算出する。
【0059】
また、次に撮像される際に、撮像画像制御部95は、撮像される画像データの特徴量(第3の特徴量)が成功画像データの特徴量(第2の特徴量)以上か否かを判定する。撮像される画像データの特徴量(第3の特徴量)が成功画像データの特徴量(第2の特徴量)より小さいと判定された場合に、撮像画像制御部95は、上述の差Δ1(第1の差)を撮像条件に加算して撮像部10に変更させる処理を撮像シーンごとに行う。
【0060】
また、撮像される画像データの特徴量(第3の特徴量)が成功画像データの特徴量(第2の特徴量)以上であると判定された場合に、撮像画像制御部95は、上述の差Δ2(第2の差)を撮像条件に減算して撮像部10に変更させる処理を撮像シーンごとに行う。
【0061】
ここで、撮像される画像データの特徴量(第3の特徴量)は、第1の実施形態の場合と同様に、撮像画像特定量推定部932によって、スルー画像データに基づいて算出(推定)される。また、撮像される画像データの撮像シーンは、スルー画像データに基づいて撮像シーン判定部92により判定される。
【0062】
例えば、撮像される画像データの撮像シーンが、撮像シーン判定部92により“夜景シーン”と判定される。この場合、撮像画像制御部95は、撮像される画像データの平均輝度Yが成功画像データの平均輝度YOK以上か否かを判定する。従って、撮像される画像データの平均輝度Yが成功画像データの平均輝度YOKより小さいと判定された場合に、撮像画像制御部95は、撮像部10に上述の差Δ1を撮像条件に加算して変更させる処理を行う。つまり、撮像画像制御部95は、撮像部10に、例えば、撮像条件である露出値を上述の差Δ1分加算した変更させる。ここで、上述の差Δ1(第1の差)は、成功画像データの平均輝度YOKと下側特徴量区分の失敗画像データの平均輝度YNG1との差である。これにより、削除された画像データの特徴量が撮像条件に反映される。
【0063】
また、撮像される画像データの平均輝度Yが成功画像データの平均輝度YOK以上であると判定された場合に、撮像画像制御部95は、撮像部10に上述の差Δ2を撮像条件に減算して変更させる処理を行う。つまり、撮像画像制御部95は、撮像部10に、例えば、撮像条件である露出値を上述の差Δ2分減算した変更させる。ここで、上述の差Δ2(第2の差)は、成功画像データの平均輝度YOKと上側特徴量区分の失敗画像データの平均輝度YNG2との差である。これにより、削除された画像データの特徴量が撮像条件に反映される。
【0064】
図8は、本実施形態における成功画像データの分布を示す図である。
この図において、横軸は、画像データの平均輝度YAVGを示し、縦軸は、画像数を示す。波形105は、成功画像データの平均輝度分布を示す。また、平均輝度YOKは、成功画像データの平均輝度の平均値を示す。平均輝度YNG1は、下側特徴量区分における削除された画像データの平均輝度を示す。Δ1は、成功画像データの平均輝度YOKと下側特徴量区分における失敗画像データの平均輝度YNG1との差を示す。平均輝度YNG2は、上側特徴量区分における削除された画像データの平均輝度を示す。Δ2は、成功画像データの平均輝度YOKと下側特徴量区分における失敗画像データの平均輝度YNG2との差を示す。
本実施形態では、撮像画像制御部95は、下側特徴量区分と上側区分とにおいて異なる値に基づいて撮像条件を変更させる。
【0065】
例えば、次に撮像する際に、スルー画像データの平均輝度を平均輝度Y3とする。この平均輝度Y3は、撮像装置100により最適と判断された露出値に対応する画像データの平均輝度である。この場合、平均輝度Y3が下側特徴量区分であるため、撮像画像制御部95は、撮像条件である露出値を上述の差Δ1分補正する。結果として、撮像される画像データは、平均輝度Y4の明るさに補正されて撮像される。
【0066】
また、例えば、次に撮像する際に、スルー画像データの平均輝度を平均輝度Y5とする。この平均輝度Y5は、撮像装置100により最適と判断された露出値に対応する画像データの平均輝度である。この場合、平均輝度Y3が上側特徴量区分であるため、撮像画像制御部95は、撮像条件である露出値を上述の差Δ2分補正する。結果として、撮像される画像データは、平均輝度Y6の明るさに補正されて撮像される。
【0067】
以上のように、本実施形態における画像処理装置20は、撮像される画像データの特徴量(第3の特徴量)を推定する第3の特徴量推定部を備える。また、特徴量記憶制御部94が、画像削除制御部91によって画像データを削除させる場合に、失敗画像データの平均輝度YNG(第1の特徴量)が成功画像データの平均輝度YOK(第2の特徴量)以上か否かを判定する。特徴量記憶制御部94は、判定した結果に基づいて、下側特徴量区分と上側特徴量区分とに分類する。
【0068】
また、特徴量記憶制御部94は、分類した結果に関連付けて、失敗画像データの平均輝度YNG(第1の特徴量)を特徴量記憶部にそれぞれ記憶させる。また、撮像画像制御部95は、撮像される画像データの平均輝度Yが成功画像データの平均輝度YOKより小さい場合に、下側特徴量区分の値(YNG1)と成功画像データの平均輝度YOKとの差Δ1(第1の差)を撮像条件に加算して変更させる処理を撮像シーンごとに行う。また、撮像画像制御部95は、撮像される画像データの平均輝度Yが成功画像データの平均輝度YOK以上である場合に、上側特徴量区分の値(YNG2)と成功画像データの平均輝度YOKとの差Δ2(第2の差)を撮像条件に減算して変更させる処理を撮像シーンごとに行う。
【0069】
これにより、本実施形態における画像処理装置20は、撮像条件を変更させる処理において、下側特徴量区分と上側特徴量区分とでそれぞれ異なる処理を行う。このため、本実施形態では、撮像シーンが様々な場合であっても、削除される画像データ(失敗画像データ)の発生頻度を、第1の実施形態より更に低減することができる。
【0070】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。上記の各実施形態において、撮像する際に、撮像シーン判定部92が撮像シーンを判定する形態を説明したが、使用者によって、撮像シーンが設定される形態でもよい。また、上記の各実施形態において、撮像画像制御部95は、撮像部10に撮像条件を変更させる処理を行う形態を説明したが、他の形態でもよい。例えば、撮像画像制御部95は、成功画像データの特徴量(第2の特徴量)と失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)との差に基づいて、撮像した画像データを補正する画像処理を撮像シーンごとに行う形態でもよい。
また、撮像画像制御部95は、撮像シーンに関連付けられて記憶された失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)に基づいて、失敗画像が撮像されそうな場合に、警告を促す表示を表示部50に表示させてもよい。
【0071】
また、上記の各実施形態において、撮像シーンが夜景シーンである場合について詳細に説明したが、ポートレートなどの他の撮像シーンに適用してもよい。例えば、撮像シーンがポートレートである場合、撮像シーン判定部92は顔検出機能を用いて撮像シーンを判定する。また、画像データの特徴量には、例えば、顔部分の明るさ(顔部分の平均輝度)を画面全体の平均輝度に代わって適用すればよい。この場合、削除される画像データの顔部分の平均輝度と成功画像データの顔部分の平均輝度との差が、使用者が意図する顔部分の明るさと撮像装置100によって最適と判断された顔部分の明るさの差となる。そのため、撮像画像制御部95は、顔検出された場合の撮像では、この顔部分の明るさの差が埋まるように撮像部10に露出制御させればよい。
【0072】
また、ゲインマップなどで、顔部分の明るさを補正する機能がある場合、顔部分は顔部分のデータベースに基づいたゲインマップを適用してもよい。また、背景の夜景部分には、夜景のデータベースに基づいたゲインマップを適用してもよい。これらにより、被写体ごとに最適な露出が得られて、削除される画像データ(失敗画像データ)の発生頻度を更に低減できる。
【0073】
また、画像データの特徴量には、上記の各実施形態に限定されるものではなく、他の特徴量を適用してもよい。画像データの特徴量には、例えば、白とびや黒つぶれしている面積や主要被写体のヒストグラム、ホワイトバランスを失敗した場合における画面全体の色被り度合いなど、画像データを解析することで得られる情報を適用してもよい。また、画像データの特徴量には、例えば、ISO(国際標準化機構)感度、絞り、シャッター速度、手振れ補正ON(オン)/OFF(オフ)、シーンモード設定などの撮像装置の設定情報を適用してもよい。
【0074】
また、撮像シーンがポートレートである場合には、顔部分の明るさの他に、例えば、笑顔の度合い、赤目の発生度合い、服の部分の白とびなどを画像データの特徴量としてもよい。また、撮像シーンがスポーツシーンである場合には、例えば、FFT(高速フーリエ変換:Fast Fourier transform)によって高周波成分があるか否かによって被写体のブレを示す特徴量としてもよい。また、人物の向きや、被写体となる人物の有無やフレームアウトなどを画像データの特徴量としてもよい。
【0075】
また、上記の各実施形態において、撮像装置100が最適な撮像条件を設定する場合の形態を説明したが、AE(Automatic Exposure)ブラケティングなどの撮像装置100が撮像条件を変更しながら複数の画像データを撮像する場合に適用する形態でもよい。この場合、撮像画像制御部95は、成功画像データの特徴量(第2の特徴量)と失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)との差Δ1(又はΔ2)の範囲内において撮像条件を変更させる制御を行えばよい。また、成功画像データの特徴量(第2の特徴量)を中心値として、差Δ1(又はΔ2)分変更してブラケティングを行ってもよい。これらにより、最適なブラケティングの変更間隔及び変更範囲を設定することができる。
【0076】
また、上記の各実施形態において、画像データを削除する際に、失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)を抽出する形態を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像データを撮像する際に、特徴量を抽出して、画像データと対応付けて記憶部60に記憶させ、削除する際に、特徴量記憶部61に失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)に記憶させる形態でもよい。
【0077】
また、上記の各実施形態において、失敗画像特徴量推定部931(第1の特定量推定部)、成功画像特徴量推定部932(第2の特定量推定部)、及び撮像画像特徴量推定部933(第3の特定量推定部)を備える形態を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、1つの特徴量推定部によって、全ての処理を行う形態でもよいし、3つの処理の
うちの2つの処理を1つの特徴量推定部で行う形態でもよい。
また、特徴量記憶部61が記憶部60に含まれる形態を説明したが、特徴量記憶部61を記憶部60の外部に設ける形態でもよい。
【0078】
また、上記の各実施形態において、特徴量記憶部61は、成功画像データの特徴量(第2の特徴量)と失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)を記憶する形態を説明したが、成功画像データの特徴量(第2の特徴量)と失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)との差(Δ1及びΔ2)を記憶する形態でもよい。
【0079】
また、1つの撮像装置を家族など複数の人で共有して使用する場合が考えられる。このような場合には、特徴量記憶部61は、成功画像データの特徴量(第2の特徴量)と失敗画像データの特徴量(第1の特徴量)とを、使用者ごとにデータベース化してもよい。これにより、撮像装置を複数人によって共有して使用した場合に、個人個人の好みに対応することができる。
【0080】
なお、上記の各実施形態において、画像処理装置20の各部は、専用のハードウェアによって実現されてもよく、また、画像処理装置20の各部は、メモリー及びCPUにより構成され、画像処理装置20の各機能は、プログラムによって実現されてもよい。
【0081】
なお、上述の画像処理装置20の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した画像処理装置20による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【0082】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD−ROM等の可搬媒体、USB(Universal Serial Bus) I/F(インタフェース)を介して接続されるUSBメモリー、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0083】
20…画像処理装置、60…記憶部、61…特徴量記憶部、91…画像削除制御部、92…撮像シーン判定部、93…特徴量推定部、94…特徴量記憶制御部、95…撮像画像制御部、931…失敗画像特徴量推定部、932…成功画像特徴量推定部、933…撮像画像特徴量推定部、100…撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像された画像データを削除させる画像削除制御部と、
画像データの撮像シーンを判定する撮像シーン判定部と、
前記画像削除制御部によって前記画像データを削除させる場合に、削除される画像データの特徴を示す第1の特徴量を推定する第1の特徴量推定部と、
画像データの特徴量を記憶する特徴量記憶部に、前記画像データの撮像シーンと前記第1の特徴量とを関連付けて記憶させる特徴量記憶制御部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、
前記画像データの撮像シーンに対応する、撮像された画像データを記憶する記憶部に記憶された画像データのうち、削除対象の画像データを除く画像データの特徴を示す第2の特徴量と、前記第1の特徴量との差に基づいて、撮像条件を変更させる処理又は画像データを補正する画像処理を前記撮像シーンごとに行う撮像画像制御部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、
撮像シーンごとに前記第2の特徴量を推定する第2の特徴量推定部を備え、
前記特徴量記憶制御部は、
前記第1の特徴量と前記第2の特徴量とを撮像シーンに関連付けて前記特徴量記憶部に記憶させることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、
撮像される前記画像データの特徴量を推定する第3の特徴量推定部を備え、
前記特徴量記憶制御部は、
前記画像削除制御部によって前記画像データを削除させる場合に、前記第1の特徴量が前記第2の特徴量以上か否かを判定し、
判定した結果を示す判定結果に基づいて、前記第1の特徴量が前記第2の特徴量より小さい値を示す下側特徴量区分と、前記第1の特徴量が前記第2の特徴量以上の値を示す上側特徴量区分とに分類し、
分類した結果を示す分類結果に関連付けて、前記第1の特徴量を前記特徴量記憶部にそれぞれ記憶させ、
前記撮像画像制御部は、
前記第3の特徴量が前記第2の特徴量より小さい場合に、前記下側特徴量区分の値と前記第2の特徴量との差を示す第1の差を撮像条件に加算して変更させる処理、又は前記第3の特徴量に前記第1の差を加算して補正する画像処理を前記撮像シーンごとに行い、
前記第3の特徴量が前記第2の特徴量以上である場合に、前記上側特徴量区分の値と前記第2の特徴量との差を示す第2の差を撮像条件に減算して変更させる処理、又は前記第3の特徴量に前記第2の差を減算する画像処理を前記撮像シーンごとに行う
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記撮像画像制御部は、
前記撮像条件を変更しながら複数の画像データが撮像される場合に、
前記第2の特徴量と前記第1の特徴量との差の範囲内において前記撮像条件を変更させる
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像処理装置を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
画像処理装置としてのコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
画像削除制御部が、撮像された画像データを削除させる画像削除制御手順と、
撮像シーン判定部が、画像データの撮像シーンを判定する撮像シーン判定手順と、
第1の特徴量推定部が、前記画像削除制御部によって前記画像データを削除させる場合に、削除される画像データの特徴を示す第1の特徴量を推定する第1の特徴量推定手順と、
特徴量記憶制御部が、画像データの特徴量を記憶する特徴量記憶部に、前記画像データの撮像シーンと前記第1の特徴量とを関連付けて記憶させる特徴量記憶制御手順と
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
画像処理装置としてのコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
画像削除制御部が、撮像された画像データを削除させる画像削除制御手順と、
撮像シーン判定部が、画像データの撮像シーンを判定する撮像シーン判定手順と、
第1の特徴量推定部が、前記画像削除制御部によって前記画像データを削除させる場合に、削除される画像データの特徴を示す第1の特徴量を推定する第1の特徴量推定手順と、
特徴量記憶制御部が、画像データの特徴量を記憶する特徴量記憶部に、前記画像データの撮像シーンと前記第1の特徴量とを関連付けて記憶させる特徴量記憶制御手順と
を前記コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−42200(P2013−42200A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175875(P2011−175875)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】