画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム
【課題】フォーカルプレーン歪みを補正することが可能な、画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】フレーム画像からなる動画像を示す画像信号と、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報とに基づいて、複数のフレーム画像から動画像に含まれる被写体の動きを検出する動き検出部と、画像信号と、検出された被写体の動きを示す動き情報とに基づいて、画像信号を補正する補正部とを備える画像処理装置が提供される。
【解決手段】フレーム画像からなる動画像を示す画像信号と、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報とに基づいて、複数のフレーム画像から動画像に含まれる被写体の動きを検出する動き検出部と、画像信号と、検出された被写体の動きを示す動き情報とに基づいて、画像信号を補正する補正部とを備える画像処理装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、デジタルスチルカメラや、携帯電話などの通信装置など、様々な機器に動画像を撮像可能な撮像機能が搭載されており、ユーザが動画像を撮像する機会は増えている。ここで、上記撮像機能が、例えばローリングシャッター方式によって実現される場合、すなわち、ラインごとに順次撮像を行う撮像素子によって撮像が行われる場合には、フォーカルプレーン歪みとよばれる歪みが動画像に発生することが起こりうる。
【0003】
このような中、動画像に生じうる歪みを低減する技術が開発されている。動画像に生じうる歪みを低減する技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−148496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば特許文献1に示す動画像に生じうる歪みを低減する従来の技術(以下、単に「従来の技術」と示す場合がある。)は、フォーカルプレーン歪みが生じていた場合には、動画像を構成する時間的に連続する2つのフレーム画像の情報を混合する。よって、従来の技術を用いることによって、動画像に生じているフォーカルプレーン歪みを低減することができる可能性がある。
【0006】
ここで、従来の技術では、例えば、単純な線形補間によって2つのフレーム画像の情報を混合し、補間の比率をラインごとに変えている。しかしながら、従来の技術では、補間を行う際に2つのフレーム画像の同じ位置の画素に対応する画像信号を用いて線形補間をしているので、動画像に含まれる被写体の動きに基づく精度の高い補間を行うことは、困難である。よって、従来の技術を用いたとしても、フォーカルプレーン歪みを十分に低減することができない恐れがある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、フォーカルプレーン歪みを補正することが可能な、新規かつ改良された画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点によれば、フレーム画像からなる動画像を示す画像信号と、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報とに基づいて、複数の上記フレーム画像から上記動画像に含まれる被写体の動きを検出する動き検出部と、上記画像信号と、検出された被写体の動きを示す動き情報とに基づいて、上記画像信号を補正する補正部と、を備える画像処理装置が提供される。
【0009】
かかる構成により、フォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【0010】
また、ラインごとに順次撮像を行う撮像素子を有する撮像装置の撮像パラメータに基づいて、上記遅延時間を画素ごとに算出する遅延時間算出部をさらに備えてもよい。
【0011】
また、上記動き検出部は、上記遅延時間情報に基づいて上記動画像が撮像されたときの時間位相を特定し、特定された上記時間位相に基づいて画素ごとに上記被写体の動きを検出してもよい。
【0012】
また、上記動き検出部は、上記遅延時間情報に基づき特定された上記時間位相を調整してもよい。
【0013】
また、上記動き検出部は、上記遅延時間情報に基づいて、複数の上記フレーム画像それぞれを参照する比率を示す参照比率を算出する参照比率算出部と、算出された参照比率に基づいて上記被写体の動きを検出する第1検出部と、を備えてもよい。
【0014】
また、上記動き検出部は、上記画像信号に基づいて上記被写体の動きを検出する第2検出部と、上記第1検出部において検出された動きを示す動き情報と、上記画像信号と、上記遅延時間情報とに基づいて、上記被写体の動きを再検出する第3検出部と、を備えてもよい。
【0015】
また、上記補正部は、1または2以上の動き情報に基づいて、上記画像信号を補正してもよい。
【0016】
また、上記動き情報には、複数の上記フレーム画像それぞれを参照する比率を示す参照比率が含まれてもよい。
【0017】
また、上記撮像パラメータを取得するパラメータ取得部をさらに備えてもよい。
【0018】
また、上記パラメータ取得部は、上記撮像装置を識別する識別情報を、上記画像信号、または、上記識別情報を記憶する記録媒体から取得し、上記識別情報と上記撮像パラメータとが対応付けられたデータベースから、取得した上記識別情報に対応する上記撮像パラメータを取得してもよい。
【0019】
また、上記パラメータ取得部は、上記動き検出部が検出した動き情報に基づいて、上記撮像パラメータを推定して上記撮像パラメータを取得してもよい。
【0020】
また、上記パラメータ取得部は、上記画像信号から上記撮像パラメータを取得してもよい。
【0021】
また、上記動画像を撮像する撮像部をさらに備えてもよい。
【0022】
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の観点によれば、フレーム画像からなる動画像を示す画像信号と、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報とに基づいて、複数の上記フレーム画像から上記動画像に含まれる被写体の動きを検出するステップと、
上記画像信号と、検出された被写体の動きを示す動き情報とに基づいて、上記画像信号を補正するステップと、を有する画像処理方法が提供される。
【0023】
かかる方法を用いることにより、フォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【0024】
また、上記目的を達成するために、本発明の第3の観点によれば、フレーム画像からなる動画像を示す画像信号と、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報とに基づいて、複数の上記フレーム画像から上記動画像に含まれる被写体の動きを検出するステップ、上記画像信号と、検出された被写体の動きを示す動き情報とに基づいて、上記画像信号を補正するステップ、をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【0025】
かかるプログラムを用いることにより、フォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、フォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】フォーカルプレーン歪みについて説明するための説明図である。
【図2】フォーカルプレーン歪みについて説明するための説明図である。
【図3】フォーカルプレーン歪みについて説明するための説明図である。
【図4】フォーカルプレーン歪みについて説明するための説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像処理方法の概要を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係る動き情報に基づく撮像パラメータの推定方法の一例を説明するための説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像処理装置における遅延時間の算出方法の一例を説明するための説明図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える動き検出部の第1の構成例における処理の概要を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える動き検出部の第1の構成例を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える、第1の構成例に係る動き検出部における参照比率の算出処理の一例を説明するための説明図である。
【図12】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える、第1の構成例に係る動き検出部における参照比率の算出処理の他の例を説明するための説明図である。
【図13】本発明の実施形態に係る撮像における遅延時間の他の例を説明するための説明図である。
【図14】本発明の実施形態に係る撮像における遅延時間の他の例を説明するための説明図である。
【図15】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える、第1の構成例に係る動き検出部における参照比率の算出処理の他の例を説明するための説明図である。
【図16】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える、第1の構成例に係る動き検出部における動き検出処理の一例を説明するための説明図である。
【図17】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える動き検出部の第2の構成例における処理の概要を示す説明図である。
【図18】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える動き検出部の第2の構成例を示すブロック図である。
【図19】本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第2の構成例に係る動き検出部における参照比率の算出処理の一例を説明するための説明図である。
【図20】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える、第2の構成例に係る動き検出部における参照比率の算出処理の過程において生じうる問題の一例を示す説明図である。
【図21】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える、第2の構成例に係る動き検出部における参照比率の算出処理の他の例を説明するための説明図である。
【図22】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える補正部における処理の一例を示す説明図である。
【図23】本発明の実施形態に係る画像処理装置における処理結果の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0029】
また、以下では、下記に示す順序で説明を行う。
1.本発明の実施形態に係る画像処理方法
2.本発明の実施形態に係る画像処理装置
3.本発明の実施形態に係るプログラム
【0030】
(本発明の実施形態に係る画像処理方法)
本発明の実施形態に係る画像処理装置(以下、「画像処理装置100」と示す場合がある。)の構成について説明する前に、本発明の実施形態に係る画像処理方法の概要について説明する。以下では、画像処理装置100が、本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理を行うものとして説明する。
【0031】
また、以下では、画像処理装置100が、フレーム画像からなる動画像を示す画像信号を処理するものとして説明する。また、以下では、画像処理装置100が処理する画像信号が示す各フレーム画像を「入力画像」と示し、画像信号を補正することにより得られる画像を「補正画像」と示す場合がある。
【0032】
ここで、本発明の実施形態に係る画像信号としては、例えば撮像者が撮像装置を用いて撮像することにより得られた動画像を示す信号(アナログ信号/デジタル信号)が挙げられるが、本発明の実施形態に係る画像信号は、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る画像信号は、乗り物などに搭載された撮像装置によって撮像された動画像や、いわゆる防犯カメラなどのように固定の場所に設置された撮像装置によって撮像された動画像を示す信号であってもよい。
【0033】
また、本発明の実施形態に係る画像信号としては、例えば、画像処理装置100がテレビ塔などから送信された放送波を(直接的、またはセットトップボックスなどを介して間接的に)受信してデコードした結果得られる画像信号が挙げられる。また、画像処理装置100は、例えば、ネットワークを介して(または直接的に)外部装置から送信された画像信号を処理することも可能である。また、画像処理装置100は、例えば、記憶部(後述する)や、画像処理装置100から着脱可能な外部記録媒体に記憶された画像データをデコードすることにより得られた画像信号を処理してもよい。さらに、画像処理装置100が動画像を撮像することが可能な撮像部(上記撮像装置に対応するデバイス。後述する)を備えている場合、すなわち、画像処理装置100が撮像装置として機能する場合には、画像処理装置100は、例えば、当該撮像部により撮像された動画像に対応する画像信号を処理してもよい。
【0034】
[フォーカルプレーン歪みについて]
まず、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が、補正の対象とするフォーカルプレーン歪みについて説明する。図1〜図4は、フォーカルプレーン歪みについて説明するための説明図である。
【0035】
撮像装置のイメージセンサを構成する複数の撮像素子として例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)が用いられる場合には、ローリングシャッター方式(ライン露光順次読み出し方式)が採用されることが多い。ここで、ローリングシャッター方式とは、例えば、撮像素子の左上からラスタ順に露光し、データを転送する方式である。ローリングシャッター方式が用いられる場合には、撮像装置では、ライン(例えば水平方向のライン)ごとに順次撮像が行われる。よって、例えばローリングシャッター方式のようにラインごとに順次撮像が行われる場合には、例えば図1に示すように、同一フレーム内にラインごとに異なる時間のフレーム画像が取り込まれる。
【0036】
図1に示すように同一フレーム内にラインごとに異なる時間のフレーム画像が取り込まれる結果、例えば、左から右へと移動する矩形の物体(移動体。被写体の一例)をCMOSの撮像素子を用いて動画像を撮像した場合には、当該物体は、例えば図2に示すように、平行四辺形の物体としてフレーム画像に表されることとなる。また、例えば、上から下へと移動する矩形の物体(移動体)をCMOSの撮像素子を用いて動画像を撮像した場合には、当該物体は、実際の物体よりも縦長の物体としてフレーム画像に表されることとなる。例えば上記のように、動画像において撮像された物体(以下、「被写体」と示す。)に生じる歪みが、本発明の実施形態に係る「フォーカルプレーン歪み」である。
【0037】
なお、フォーカルプレーン歪みは、上記のように撮像される物体が動く場合に生じることに限られず、例えば、撮像装置が動く場合にも、生じうる。例えば、図3のA〜Dは、撮像装置が動いた場合(例えば撮像装置がパン、チルトする場合)において生じうるフォーカルプレーン歪みの一例を示している。つまり、図2、図3に示すように、フォーカルプレーン歪みは、撮像素子に対して被写体が相対的に動いている場合に発生しうる。
【0038】
一方、撮像装置のイメージセンサを構成する複数の撮像素子として例えばCCD(Charge Coupled Device)が用いられる場合には、グローバルシャッター方式(同時露光一括読み出し方式)が採用される。ここで、グローバルシャッター方式とは、例えば図4に示すように、同一フレーム内のデータを同時に転送する方式である。よって、グローバルシャッター方式が用いられる場合には、フォーカルプレーン歪みは発生しない。
【0039】
上記のように、例えば、撮像装置が有する撮像機能を、CCDのようなグローバルシャッター方式を実現可能な撮像素子で実現する場合には、フォーカルプレーン歪みの発生自体を防止することが可能である。しかしながら、CMOSの撮像素子は、CCDの撮像素子と比較して、例えば、省電力であり、高速な読み出しが可能であり、コストが低いという利点があるため、普及が進む多くの撮像装置では、CMOSが撮像素子として用いられている。よって、例えば再生された動画像の高画質化を図るために、フォーカルプレーン歪みの発生自体を防止するのではなく、発生しうるフォーカルプレーン歪みを補正により低減することが、望まれている。
【0040】
ここで、フォーカルプレーン歪みを補正により低減する一の方法としては、例えば、撮像装置が備えるセンサにより検出された動き情報を用いてフォーカルプレーン歪みを補正することが挙げられる。しかしながら、上記の方法を用いる場合には、例えば、動画像を撮像した撮像装置の動きを示すカメラワークによって生じたグローバルな歪みしか補正できない。
【0041】
また、上述したように、従来の技術を用いたとしても、フォーカルプレーン歪みを十分に低減することができない恐れがある。
【0042】
[本発明の実施形態に係る画像処理方法の概要]
そこで、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、撮像における遅延時間を考慮して複数のフレーム画像から動画像に含まれる被写体の動きを検出する。そして、画像処理装置100は、検出された動きに基づき画像信号を補正することによって、検出された動きを補償する。
【0043】
ここで、画像処理装置100は、撮像における遅延時間を考慮しているので、ローカルな動きから画素ごとに歪みを補正することができる。画像処理装置100が、上記のように撮像における遅延時間を考慮して画像信号の補正を行うことによって、グローバルな歪み、ローカルな歪みのどちらにも対応することが可能である。つまり、画像処理装置100が上記のように撮像における遅延時間を考慮して画像信号の補正を行うことによって、画像処理装置100は、動画像における動きが、例えばカメラワークであっても物体(被写体)の動きであっても、当該動きを補償することができる。よって、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が検出する動画像に含まれる被写体の動きには、物体(被写体)自体の動きに限られず、カメラワークも含まれる。
【0044】
したがって、画像処理装置100は、動画像において発生しうるフォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【0045】
ここで、画像処理装置100は、例えば、撮像装置の撮像パラメータに基づいて撮像における遅延時間を画素ごとに算出することや、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報(遅延時間データ)を取得することによって、遅延時間を特定する。本発明の実施形態に係る撮像パラメータとは、例えば、ライン(例えば水平方向のライン。以下、同様とする。)ごとに順次撮像を行う撮像素子を有する撮像装置における撮像の特性を示す値である。撮像パラメータとしては、例えば、画素ごとの露光と読み出しとに係る遅延時間を示す値(以下、「遅延時間Rpix」と示す場合がある。)と、ラインごとの遅延時間を示す値(以下、「遅延時間Rline」と示す場合がある。)とが挙げられる。
【0046】
また、本発明の実施形態に係る撮像における遅延時間とは、例えば、画素ごとの露光、読み出しの遅延時間である。ここで、フレーム画像における任意の位置(例えば、画素の座標で表される。)における遅延時間は、例えば、上記撮像パラメータを用いて算出される。また、画像処理装置100は、例えば、取得された遅延時間情報からフレーム画像における任意の位置における遅延時間を特定してもよい。なお、本発明の実施形態に係る遅延時間の算出方法の一例については、後述する。
【0047】
図5は、本発明の実施形態に係る画像処理方法の概要の一例を示す説明図である。例えば図5に示すように、画像処理装置100は、複数のフレーム画像(入力画像)に基づき補正画像を生成することによって、発生しうるフォーカルプレーン歪みを補正する。
【0048】
以下、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成の一例について説明をすると共に、本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理の具体例についても併せて説明する。以下では、画像処理装置100が撮像パラメータに基づいて撮像における遅延時間を算出する場合を主に例に挙げて、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成の一例、および本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理の具体例について説明する。また、以下では、画像処理装置100に入力される画像信号、すなわち、処理対象の画像信号を、「入力画像信号」と示す場合がある。
【0049】
(本発明の実施形態に係る画像処理装置)
図6は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成の一例を示すブロック図である。画像処理装置100は、例えば、パラメータ取得部102と、遅延時間算出部104と、動き検出部106と、補正部108とを備える。
【0050】
また、画像処理装置100は、例えば、制御部(図示せず)や、ROM(Read Only Memory;図示せず)、RAM(Random Access Memory;図示せず)、記憶部(図示せず)、ユーザが操作可能な操作部(図示せず)、様々な画面を表示画面に表示する表示部(図示せず)、外部装置と通信を行うための通信部(図示せず)などを備えていてもよい。画像処理装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)により上記各構成要素間を接続する。
【0051】
ここで、制御部(図示せず)は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)や、各種処理回路などで構成され画像処理装置100全体を制御する。また、制御部(図示せず)は、例えば、パラメータ取得部102、遅延時間算出部104、動き検出部106、および補正部108の役目を果たしてもよい。また、制御部(図示せず)は、例えば、補正部108が処理を行った画像信号(出力画像信号)をエンコードして、記憶部(図示せず)に記録する、および/または、当該画像信号が示す画像を表示部(図示せず)や外部表示装置の表示画面に表示させるなど、本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理が行われた画像信号に対する処理を行う役目を果たしてもよい。
【0052】
ROM(図示せず)は、制御部(図示せず)が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶する。RAM(図示せず)は、制御部(図示せず)により実行されるプログラムなどを一時的に記憶する。
【0053】
記憶部(図示せず)は、画像処理装置100が備える記憶手段であり、例えば、画像データや、アプリケーションなど様々なデータを記憶する。ここで、記憶部(図示せず)としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)などが挙げられる。また、記憶部(図示せず)は、画像処理装置100から着脱可能であってもよい。
【0054】
操作部(図示せず)としては、例えば、ボタンや、方向キー、ジョグダイヤルなどの回転型セレクター、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられる。また、画像処理装置100は、例えば、画像処理装置100の外部装置としての操作入力デバイス(例えば、キーボードやマウスなど)と接続することもできる。
【0055】
表示部(図示せず)としては、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)や有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display。または、OLEDディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display)ともよばれる。)などが挙げられる。なお、表示部(図示せず)は、例えばタッチスクリーンなどのように、表示とユーザ操作とが可能なデバイスであってもよい。また、画像処理装置100は、表示部(図示せず)の有無に関わらず、画像処理装置100の外部装置としての表示デバイス(例えば、外部ディスプレイなど)と接続することもできる。
【0056】
通信部(図示せず)は、画像処理装置100が備える通信手段であり、ネットワークを介して(あるいは、直接的に)、外部装置と無線/有線で通信を行う。ここで、通信部(図示せず)としては、例えば、通信アンテナおよびRF(Radio Frequency)回路(無線通信)や、IEEE802.15.1ポートおよび送受信回路(無線通信)、IEEE802.11bポートおよび送受信回路(無線通信)、あるいはLAN(Local Area Network)端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられる。また、本発明の実施形態に係るネットワークとしては、例えば、LANやWAN(Wide Area Network)などの有線ネットワーク、基地局を介した無線WAN(WWAN;Wireless Wide Area Network)などの無線ネットワーク、あるいは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの通信プロトコルを用いたインターネットなどが挙げられる。
【0057】
以下、図6に示す本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成例について説明しつつ、画像処理装置100における処理(画像処理方法に係る処理)の一例について説明する。
【0058】
パラメータ取得部102は、撮像パラメータを取得する。
【0059】
[撮像パラメータの取得処理の一例]
(i)第1の例
パラメータ取得部102は、撮像装置を識別する識別情報を、例えば、入力画像信号、または、識別情報を記憶する記録媒体から取得する。そして、パラメータ取得部102は、例えば、識別情報と撮像パラメータとが対応付けられたデータベースから、取得した識別情報に対応する撮像パラメータを取得する。
【0060】
ここで、入力画像信号からの識別情報の取得方法としては、例えば、パラメータ取得部102が、入力画像信号に含まれている(または入力画像信号に埋め込まれている)メタデータやすかしなどをデコードする(または、デコーダなどにデコードさせる)ことが挙げられる。本発明の実施形態に係る識別情報としては、例えば、撮像装置の機種を示す型番が挙げられるが、撮像装置を識別することが可能な情報であれば、任意の情報を識別情報とすることが可能である。
【0061】
また、パラメータ取得部102は、例えば記憶部(図示せず)に記憶されるデータベースから識別情報に対応する撮像パラメータを取得するが、パラメータ取得部102における処理は、上記に限られない。例えば、パラメータ取得部102は、例えばサーバなどの外部装置から、識別情報に対応する撮像パラメータを取得してもよい。ここで、外部装置から撮像パラメータを取得する場合には、パラメータ取得部102は、例えば通信部(図示せず)を介して外部装置と通信を行い、識別情報と撮像パラメータの送信を要求する送信要求とを当該外部装置に送信することによって、撮像パラメータを取得する。なお、画像処理装置100では、例えば、パラメータ取得部102が通信機能を有していてもよい。上記の場合には、画像処理装置100が通信部(図示せず)を備えているか否かによらず、パラメータ取得部102が、外部装置と通信を行って撮像パラメータを取得することとなる。
【0062】
また、識別情報を記憶する記録媒体としては、例えば、記憶部(図示せず)やROM(図示せず)が挙げられるが、識別情報を記憶する記録媒体は、上記に限られない。例えば、識別情報を記憶する記録媒体は、画像処理装置100から着脱可能な外部記録媒体であってもよい。上記外部記録媒体としては、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられる。ここで、上記記録媒体に記録される識別情報は、例えば、予め記録されたものであってもよいし、ユーザ操作に応じて記録されるものであってもよい。
【0063】
(ii)第2の例
パラメータ取得部102は、例えば、入力画像信号から撮像パラメータを取得することも可能である。ここで、入力画像信号からの撮像パラメータの取得方法としては、例えば、パラメータ取得部102が、入力画像信号に含まれている(または入力画像信号に埋め込まれている)メタデータやすかしなどをデコードする(または、デコーダなどにデコードさせる)ことが挙げられる。
【0064】
(iii)第3の例
本発明の実施形態に係るパラメータ取得部102における撮像パラメータの取得処理は、上記第1の例、第2の例に限られない。例えば、パラメータ取得部102は、検出された被写体の動きを示す動き情報に基づいて、撮像パラメータを推定し、推定された撮像パラメータを、撮像パラメータとして取得してもよい。
【0065】
図7は、本発明の実施形態に係る動き情報に基づく撮像パラメータの推定方法の一例を説明するための説明図である。例えば図7のAに示すようにフォーカルプレーン歪みが生じている場合、フレーム画像における最初に撮像が行われたラインと最後に撮像が行われたラインとには、速さにずれ時間Δtが生じる。画像処理装置100は、例えば、上記ずれ時間Δtとライン数とに基づいて遅延時間Rlineを推定する。より具体的には、画像処理装置100は、例えば、“Δt/ライン数”の演算を行うことによって、遅延時間Rlineを推定する。なお、本発明の実施形態に係る撮像パラメータの推定方法は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100は、歪みを示す任意の情報から撮像パラメータを推定してもよい。
【0066】
再度図6を参照して、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成の一例について説明する。パラメータ取得部102は、例えば上記第1の例〜第3の例に示す処理を行うことによって、撮像パラメータを取得する。なお、本発明の実施形態に係るパラメータ取得部102における撮像パラメータの取得処理が、上記第1の例〜第3の例に示す処理に限られないことは、言うまでもない。
【0067】
また、パラメータ取得部102は、例えば、上記のような撮像パラメータの取得処理を行うための任意の構成を有する専用の処理回路で実現可能であるが、パラメータ取得部102の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100では制御部(図示せず)がパラメータ取得部102の役目を果たしてもよく、また、パラメータ取得部102は、他の処理も可能な汎用の処理回路であってもよい。
【0068】
なお、図6では、画像処理装置100がパラメータ取得部102を備えている構成を示しているが、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100は、パラメータ取得部102を備えず、画像処理装置100とは別体のパラメータ取得装置において取得された撮像パラメータを用いて処理を行うことも可能である。
【0069】
また、図6では、画像処理装置100が撮像パラメータを取得するパラメータ取得部102を備える例を示したが、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100は、遅延時間情報を取得する遅延時間情報取得部(図示せず)をパラメータ取得部102の代わりに備えていてもよい。ここで、遅延時間情報取得部(図示せず)は、例えば、上記撮像パラメータの取得処理の第1の例、第2の例と同様の処理を行うことによって、遅延時間情報を取得するが、本発明の実施形態に係る遅延時間情報の取得処理は、上記に限られない。なお、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が、図6に示す構成に加え、さらに遅延時間情報取得部(図示せず)を備えていてもよいことは、言うまでもない。
【0070】
遅延時間算出部104は、パラメータ取得部102において取得された撮像パラメータに基づいて、撮像における遅延時間を画素ごとに算出する。
【0071】
図8は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100における遅延時間の算出方法の一例を説明するための説明図である。
【0072】
撮像装置がラスタスキャン順に露光と読み出しとを行う場合には、図8に示す左上の画素における遅延は“0”とおくことが可能である。上記の場合、任意の画素における遅延時間は、当該画素の座標を(x,y)とおくと、例えば下記の数式1により算出される。ここで、数式1に示す“Rpix”は、同一ラインの隣接する画素間における遅延時間であり、また、数式1に示す“Rline”は、隣接するライン間における遅延時間である。
【0073】
【数1】
・・・(数式1)
【0074】
遅延時間算出部104は、例えば数式1により遅延時間を画素ごとに算出し、算出した遅延時間を示す遅延時間情報を、動き検出部106へ伝達する。なお、遅延時間算出部104における遅延時間の算出方法は、上記に限られない。例えば、撮像素子群の左上および撮像素子群の左下から露光と読み出しとが行われることを示す撮像パラメータなど、露光および読み出しが開始される撮像素子の位置を示す撮像パラメータがパラメータ取得部102において取得された場合には、遅延時間算出部104は、当該位置に対応する複数の画素それぞれにおける遅延を“0”とおいて、各画素における遅延時間r(x,y)を算出してもよい。
【0075】
また、遅延時間算出部104は、例えば、上記のような遅延時間の算出方法に係る処理を行うための任意の構成を有する専用の処理回路で実現可能であるが、遅延時間算出部104の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100では制御部(図示せず)が遅延時間算出部104の役目を果たしてもよく、また、遅延時間算出部104は、他の処理も可能な汎用の処理回路であってもよい。
【0076】
なお、図6では、画像処理装置100が撮像における遅延時間を画素ごとに算出する遅延時間算出部104を備える例を示したが、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100は、遅延時間情報取得部(図示せず)を備える場合には、遅延時間算出部104を備えていなくてもよい。上記の構成の場合には、画像処理装置100では、例えば、遅延時間情報取得部(図示せず)から動き検出部106へと遅延時間情報が伝達される。
【0077】
動き検出部106は、入力画像信号と、遅延時間情報とに基づいて、複数のフレーム画像から動画像に含まれる被写体の動きを検出する。ここで、動き検出部106が用いる遅延時間情報としては、例えば、遅延時間算出部104から伝達される遅延時間情報や、遅延時間情報取得部(図示せず)から伝達される遅延時間情報が挙げられる。
【0078】
(I)第1の構成例
第1の構成例に係る動き検出部106は、遅延時間情報に基づいて動画像が撮像されたときの時間位相を特定し、特定された時間位相に基づいて画素ごとに被写体の動きを検出する。ここで、第1の構成例に係る動き検出部106における処理は、補正画像を基準として動き検出を行う場合の処理に該当する。
【0079】
図9は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える動き検出部106の第1の構成例における処理の概要を示す説明図である。第1の構成例に係る動き検出部106は、例えば連続する2つのフレームに対応する2つのフレーム画像について、画素ごとに当該2つのフレーム画像それぞれを参照する参照比率(1:α)を、時間位相として特定する。そして、第1の構成例に係る動き検出部106は、特定した参照比率を用いて被写体の動きを検出する。なお、図9では、第1の構成例に係る動き検出部106が連続する2つのフレームに対応する2つのフレーム画像を参照する参照比率を、時間位相として特定する例を示しているが、第1の構成例に係る動き検出部106における処理は、上記に限られない。例えば、第1の構成例に係る動き検出部106は、3以上のフレームそれぞれに対応する3以上のフレーム画像を参照する参照比率を、時間位相として特定することも可能である。以下では、例えば図9に示すように、第1の構成例に係る動き検出部106が、連続する2つのフレームに対応する2つのフレーム画像を参照する参照比率を時間位相として特定する場合を例に挙げて説明する。
【0080】
図10は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える動き検出部106の第1の構成例を示すブロック図である。第1の構成例に係る動き検出部106は、例えば、参照比率算出部110と、検出部112(第1検出部)とを備える。
【0081】
参照比率算出部110は、入力画像信号と、遅延時間算出部104から伝達される遅延時間情報とに基づいて参照比率を画素ごとに算出する。そして、参照比率算出部110は、算出した参照比率を示す情報(データ)を、検出部112へ伝達する。
【0082】
図11は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第1の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出処理の一例を説明するための説明図である。ここで、図11に示す補正画素とは、補正画像における画素である(以下、同様とする。)。また、以下では、補正画像に対応する入力画像(フレーム画像)における補正画素に対応する画素を、「参照画素」と示す場合がある。
【0083】
例えばフレームレート変換などにおいて用いられる一般的な動き検出は、グローバルシャッター方式における時間位相で行われる。それに対して、本発明の実施形態に係る第1の構成例に係る検出部106(より厳密には、例えば参照比率算出部110)では、遅延時間情報を用いることによって入力画像信号に対応する動画像を撮像した撮像装置における遅延時間を考慮した上で、画素ごとに被写体の動きを検出する。
【0084】
例えば、図11に示す補正画素から入力画像Aの参照画素までの時間と、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率を“1:α”と仮定し、また、補正画素から入力画像Aの参照画素までのベクトルを“(xsrch,ysrch)”と仮定する。上記のように仮定すると、入力画像Aの参照画素の座標(xref,yref)、入力画像Bの参照画素の座標(xtar,ytar)、入力画像Aの参照画素における遅延時間rref、および入力画像Bの参照画素における遅延時間rtarは、例えば下記の数式2〜数式5で表される。
【0085】
【数2】
・・・(数式2)
【数3】
・・・(数式3)
【数4】
・・・(数式4)
【数5】
・・・(数式5)
【0086】
ここで、入力画像信号におけるフレーム周期を“ΔTref”とおくと、入力画像Bの参照画素における遅延時間rtarは、例えば下記の数式6で表される。
【0087】
【数6】
・・・(数式6)
【0088】
また、数式1、数式3、数式4、および数式6より、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”は、例えば下記の数式7で表される。
【0089】
【数7】
・・・(数式7)
【0090】
なお、“α”は、上記数式7で算出されることに限られない。例えば、一般的に、同一ラインの隣接する画素間における遅延時間Rpixは、同一ラインの隣接する画素間における遅延時間Rlineよりも非常に小さい(すなわち、Rpix<<Rline)ので、“α”は、例えば下記の数式8で表されてもよい。
【0091】
【数8】
・・・(数式8)
【0092】
なお、図11では、連続する2つのフレームのフレーム画像(入力画像)を参照画像とする例を示しているが、本発明の実施形態に係る第1の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出方法は、上記に限られない。
【0093】
図12は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第1の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出処理の他の例を説明するための説明図である。ここで、図12は、第1の構成例に係る動き検出部106が、任意の2つのフレームのフレーム画像(入力画像)を参照画像とする例を示している。
【0094】
入力画像Aに対応するフレームと補正画像に対応するフレーム(以下、「補正フレーム」と示す。)との間隔を“ΔTref”、補正フレームと入力画像Bに対応するフレームとの間隔を“ΔTtar”とおくと、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”は、例えば下記の数式9で表される。また、Rpix<<Rlineより、“α”は、例えば下記の数式10で表されてもよい。
【0095】
【数9】
・・・(数式9)
【数10】
・・・(数式10)
【0096】
参照比率算出部110は、例えば上記のような演算を行うことによって、参照比率を画素ごとに算出する。ここで、例えば数式8〜数式10に示すように、入力画像の参照比率は、画像の時間間隔と、補正画像の座標(x,y)、および撮像パラメータに基づく遅延時間情報によって、表される。よって、画像処理装置100では、被写体の動き検出や、入力画像信号の補正(動き補償)を、上記のように算出された画素ごとの参照比率を用いて行うことができる。また、上記のように算出された画素ごとの参照比率を用いることによって、画像処理装置100は、フレームレート変換を行うこともできる。
【0097】
なお、図11、図12では、2つのフレームのフレーム画像(入力画像)を参照画像とする例を示したが、本発明の実施形態に係る第1の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出方法は、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る第1の構成例に係る動き検出部106は、3以上のフレーム画像を参照画像として用いることも可能である。
【0098】
また、上記では、図11、図12に示すように、画素ごとの遅延時間r(x,y)が上記数式1により表される場合における参照比率を算出する例を示したが、本発明の実施形態に係る画素ごとの遅延時間r(x,y)は、数式1に示す関数で表されることに限られない。例えば、本発明の実施形態に係る画素ごとの遅延時間r(x,y)は、任意の関数で表されていてもよい。
【0099】
図13、図14は、本発明の実施形態に係る撮像における遅延時間の他の例を説明するための説明図である。ここで、図13は、遅延時間r(x,y)が画素の座標を引数に有する任意の関数である場合におけるフレーム画像の一例を示している。また、図14は、垂直座標のある区間ごとに遅延時間を示す関数が変化する場合(図13に示す遅延時間r(x,y)が任意の関数で表される場合の一例)におけるフレーム画像の一例を示している。より具体的には、図14は、撮像装置において撮像装置が備える撮像素子群のうちの撮像素子群の左上および撮像素子群の左下から露光と読み出しとが行われた場合における、フレーム画像の一例を示している。
【0100】
第1の構成例に係る動き検出部106を備える画像処理装置100は、例えば図13、図14に示すように、遅延時間r(x,y)が任意の関数で表される場合であっても、上述した遅延時間r(x,y)が数式1で表される場合と同様に、参照比率を算出することが可能である。
【0101】
図15は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第1の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出処理の他の例を説明するための説明図である。ここで、図15は、図12と同様に、第1の構成例に係る動き検出部106が、任意の2つのフレームのフレーム画像(入力画像)を参照画像とする例を示している。
【0102】
数式3、数式4、および数式5より、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”は、例えば下記の数式11で表される。ここで、参照比率算出部110は、例えば、遅延時間算出部104から伝達される遅延時間情報や、遅延時間情報取得部(図示せず)から伝達される遅延時間情報によって、遅延関数r(x,y)を既知とすることが可能である。よって、数式11における未知数は“α”1つとなるので、画像処理装置100は、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”を一意に算出することができる。
【0103】
【数11】
・・・(数式11)
【0104】
ここで、例えば遅延時間r(x,y)を示す関数が数式1で表される場合には、数式11に示す“α”は、数式9で表される。つまり、数式11は、数式9を一般化した式である。
【0105】
上記のように、第1の構成例に係る動き検出部106を備える画像処理装置100は、画素ごとの遅延時間r(x,y)が任意の関数で表されている場合であっても、参照比率を画素ごとに算出することができる。
【0106】
なお、画素ごとの遅延時間r(x,y)が任意の関数で表されている場合における参照比率の算出方法は、上記に限られない。例えば、図14に示すように、垂直座標のある区間ごとに遅延時間を示す関数が変化する場合には、第1の構成例に係る動き検出部106を備える画像処理装置100は、同一の関数で表される垂直座標の区間ごとに、参照比率を算出してもよい。
【0107】
再度図10を参照して、第1の構成例に係る動き検出部106の構成の一例について説明する。検出部112は、入力画像信号と、参照比率算出部110において算出された参照比率とに基づいて、被写体の動きを検出する
【0108】
上述したように、第1の構成例に係る動き検出部106は、補正画像を基準として動き検出を行う。補正画像を基準として動き検出を行う場合には、例えば、動き(例えば、ベクトル、オプティカルフローで表される。)を仮定して評価値や拘束条件などを求めることになる。検出部112は、例えば、参照比率算出部110において算出された参照比率を用いて、入力画像への動きベクトル(オプティカルフロー)を決定する。ここで、検出部112は、例えば、ブロックマッチング法や、勾配法など、動きを検出することが可能な任意の方法を用いて、動きベクトルを決定する。
【0109】
図16は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第1の構成例に係る動き検出部106における動き検出処理の一例を説明するための説明図である。ここで、図16は、動き検出部106が、ブロックマッチングを用いた補正画像基準の動き検出を、2つのフレーム画像(入力画像)から行う場合の一例を示している。
【0110】
例えば図8より、補正画素の座標(x,y)に対応する入力画像Aにおける探索位置(座標)は、(x+xsrch,y+ysrch)と表され、また、補正画素の座標(x,y)に対応する入力画像Bにおける探索位置(座標)は、(x−α×xsrch,y−α×ysrch)と表される。よって、入力画像Aの参照位置における画素値と、入力画像Bの参照位置における画素値とは、例えば下記の数式12、数式13で表される。
【0111】
【数12】
・・・(数式12)
【数13】
・・・(数式13)
【0112】
また、“n”をブロック内の基準位置からのx軸方向への移動量とし、“m”をブロック内の基準位置からのy軸方向への移動量とすると、入力画像A、入力画像Bそれぞれの参照位置は、例えば下記の数式14、数式15で表される。
【0113】
【数14】
・・・(数式14)
【数15】
・・・(数式15)
【0114】
また、ブロックの座標範囲を(x−M,y−N)〜(x+M,y+N)とすると、動きの評価値exy(xsrch,ysrch)は、例えば下記の数式16で表される。
【0115】
【数16】
・・・(数式16)
【0116】
検出部112は、例えば上記のような演算を行うことによって、動きを検出する。そして、検出部112は、例えば、各入力画像の参照位置(参照画素の座標)と、各参照位置に対応する参照比率とを、動き情報として補正部108へ伝達する。
【0117】
なお、本発明の実施形態に係る第1の構成例に係る動き検出部106における動きの検出方法は、上記に限られない。例えば、第1の構成例に係る動き検出部106は、ブロックマッチングを用いる場合において、畳み込みに使用するブロック内の画素数を任意の数に減らすことも可能である。また、第1の構成例に係る動き検出部106は、拘束条件で用いられるオプティカルフローを仮定する際に入力画像の参照比率を用いた勾配法によって、動きを検出することもできる。さらに、第1の構成例に係る動き検出部106は、複数の入力画像から求められた複数の動きを算出することによって、動きの検出結果の精度を向上させることも可能である。
【0118】
第1の構成例に係る動き検出部106は、例えば図10に示す構成によって、補正画像を基準として動きを検出し、検出された動きを示す動き情報を補正部108へ伝達する。ここで、第1の構成例に係る動き検出部106は、例えば上記のような動き検出処理を行うことが可能な任意の構成を有する専用の処理回路で実現可能であるが、第1の構成例に係る動き検出部106の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100では制御部(図示せず)が第1の構成例に係る動き検出部106の役目を果たしてもよく、また、第1の構成例に係る動き検出部106は、他の処理も可能な汎用の処理回路であってもよい。
【0119】
(II)第2の構成例
第2の構成例に係る動き検出部106は、2段階の動き検出を行うことによって、被写体の動きを検出する。より具体的には、第2の構成例に係る動き検出部106は、まず入力画像信号に基づいて被写体の動きを検出する。そして、第2の構成例に係る動き検出部106は、入力画像信号に基づき検出された動きを示す動き情報と、入力画像信号と、遅延時間算出部104から伝達される遅延時間情報とに基づいて、被写体の動きを再検出する。ここで、第2の構成例に係る動き検出部106における処理は、入力画像(フレーム画像)を基準として動き検出を行う場合の処理に該当する。
【0120】
図17は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える動き検出部106の第2の構成例における処理の概要を示す説明図である。入力画像を基準として動き検出を行う場合、第2の構成例に係る動き検出部106は、例えば連続する2つのフレームに対応する2つのフレーム画像に基づいて、動きを検出する。そして、第2の構成例に係る動き検出部106は、遅延時間情報に基づいて、補正画像の位置における動き量の再計算を行う。上記のように再計算を行うことによって、撮像における遅延時間を補償することが可能となる。なお、図17では、第2の構成例に係る動き検出部106が連続する2つのフレームに対応する2つのフレーム画像に基づき処理を行う例を示しているが、第2の構成例に係る動き検出部106における処理は、上記に限られない。例えば、第2の構成例に係る動き検出部106は、任意の2つのフレームそれぞれに対応するフレーム画像や、3以上のフレームそれぞれに対応する3以上のフレーム画像に基づき処理を行うことも可能である。以下では、第2の構成例に係る動き検出部106が、2つのフレームに対応する2つのフレーム画像に基づき処理を行う場合を例に挙げて説明する。
【0121】
図18は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える動き検出部106の第2の構成例を示すブロック図である。第2の構成例に係る動き検出部106は、例えば、検出部114(第2検出部)と、再検出部116(第3検出部)とを備える。
【0122】
検出部114は、入力画像信号に基づいて被写体の動きを検出する。そして、検出部114は、検出した動きを示す動き情報を再検出部116へ伝達する。
【0123】
ここで、検出部114は、例えば、ブロックマッチング法や、勾配法など、動きを検出することが可能な任意の方法を用いて、動きと、各補正画素に対応するフレーム画像における対応点とを算出する。つまり、検出部114は、露光や読み出しによる遅延による、画素ごとの撮像における遅延時間を考慮せず、例えばフレーム変換などにおいて用いられる一般的な動き検出方法を用いることが可能である。
【0124】
再検出部116は、検出部114から伝達される動き情報と、入力画像信号と、遅延時間算出部104から伝達される遅延時間情報とに基づいて、被写体の動きを再検出する。
【0125】
動き検出を入力画像を基準として行う場合には、検出部114において入力画像信号に基づき求められた対応点から、補正画像の座標を求める必要がある。本発明の実施形態に係る第2の構成例に係る検出部106(より厳密には、例えば再検出部116)では、遅延時間情報を用いることによって入力画像信号に対応する動画像を撮像した撮像装置における遅延時間を考慮した上で、補正画像の座標を求める。つまり、第2の構成例に係る検出部106は、上記第1の構成例に係る検出部106と同様に、遅延時間情報に基づいて動画像が撮像されたときの時間位相を特定し、特定された時間位相に基づいて画素ごとに被写体の動きを検出する。
【0126】
図19は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第2の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出処理の一例を説明するための説明図である。
【0127】
入力画像信号に基づき求められた入力画像Aの対応点の画素の座標を“(xref,yref)”、入力画像信号に基づき求められた入力画像Bの対応点の画素の座標を“(xtar,ytar)”とおくと、入力画像Aの各画素における撮像における遅延時間rrefと、入力画像Bの各画素における撮像における遅延時間rtarとは、上記数式1より、例えば下記の数式17、数式18で表される。
【0128】
【数17】
・・・(数式17)
【数18】
・・・(数式18)
【0129】
また、図19に示すように、補正フレームと入力画像Aに対応するフレームとの時間間隔と、補正フレームと入力画像Bに対応するフレームとの時間間隔との比率を“1:α”とおき、入力画像Aに対応するフレームと補正フレーム」と示す。)との間隔を“ΔTref”、補正フレームと入力画像Bに対応するフレームとの間隔を“ΔTtar”とおくと、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”は、上記数式1、数式17、数式18より、例えば下記の数式19で表される。また、Rpix<<Rlineより、“α”は、例えば下記の数式20で算出されてもよい。
【0130】
【数19】
・・・(数式19)
【数20】
・・・(数式20)
【0131】
また、(xref,yref)、(xtar,ytar)に対応する、補正画像における座標(x,y)は、例えば下記の数式21で表される。
【0132】
【数21】
・・・(数式21)
【0133】
ここで、例えば数式21に示す演算によって補正画像における座標(x,y)を求める場合には、例えば、補正画像においてベクトルが当たらない画素が生じることや、複数のベクトルが重なることが生じる恐れがある。図20は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第2の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出処理の過程において生じうる問題の一例を示す説明図である。
【0134】
第2の構成例に係る動き検出部106は、例えば、補正画像における周辺の画素の情報を用いて補間することによって、補正画像においてベクトルが当たらない画素が生じることを防止する。また、第2の構成例に係る動き検出部106は、例えば、入力画像信号に基づき算出した評価値を用いてより最適なベクトルを決定することによって、複数のベクトルが重なることによる問題を解消する。なお、第2の構成例に係る動き検出部106は、上記の場合において、複数の入力画像から求められた複数の動きの検出結果を利用してもよい。
【0135】
なお、上記では、図19に示すように、画素ごとの遅延時間r(x,y)が上記数式1により表される場合において、画像処理装置100が参照比率を算出する例を示したが、本発明の実施形態に係る画素ごとの遅延時間r(x,y)は、数式1に示す関数で表されることに限られない。例えば、本発明の実施形態に係る画素ごとの遅延時間r(x,y)は、上述した第1の構成例に係る動き検出部106の場合と同様に、任意の関数で表されていてもよい。第2の構成例に係る動き検出部106を備える画像処理装置100は、遅延時間r(x,y)が任意の関数で表される場合であっても、上述した遅延時間r(x,y)が数式1で表される場合と同様に、参照比率を算出することが可能である。
【0136】
図21は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第2の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出処理の他の例を説明するための説明図である。
【0137】
補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”は、上記数式17、数式18より、例えば下記の数式22で表される。ここで、再検出部116は、例えば、遅延時間算出部104から伝達される遅延時間情報や、遅延時間情報取得部(図示せず)から伝達される遅延時間情報によって、遅延関数r(x,y)を既知とすることが可能である。また、再検出部116は、検出部114から伝達される動き情報によって、“xref”、“yref”、“xtar”、および“ytar”を既知とすることが可能である。よって、数式22における未知数は“α”1つとなるので、画像処理装置100は、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”を一意に算出することができる。
【0138】
【数22】
・・・(数式22)
【0139】
また、(xref,yref)、(xtar,ytar)に対応する、補正画像における座標(x,y)は、例えば上記数式21で表される。
【0140】
ここで、例えば遅延関数r(x,y)が数式1で表される場合には、数式22に示す“α”は、数式19で表される。つまり、数式22は、数式19を一般化した式であるといえる。
【0141】
上記のように、第2の構成例に係る動き検出部106を備える画像処理装置100は、画素ごとの遅延時間r(x,y)が任意の関数で表されている場合であっても、参照比率を画素ごとに算出することができる。
【0142】
なお、画素ごとの遅延時間r(x,y)が任意の関数で表されている場合における参照比率の算出方法は、上記に限られない。例えば、図14に示すように、垂直座標のある区間ごとに遅延時間を示す関数が変化する場合には、第2の構成例に係る動き検出部106を備える画像処理装置100は、第1の構成例に係る動き検出部106を備える場合と同様に、同一の関数で表される垂直座標の区間ごとに、参照比率を算出してもよい。
【0143】
再検出部116は、例えば、上記のような演算を行うことによって、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”を算出して、補正フレームと入力画像Aに対応するフレームとの時間間隔と、補正フレームと入力画像Bに対応するフレームとの時間間隔との比率、すなわち、参照比率を求める。そして、再検出部116は、例えば、参照画素の座標と、各参照画素に対応する参照比率とを、動き情報として補正部108へ伝達する。
【0144】
第2の構成例に係る動き検出部106は、例えば図18に示す構成によって、入力画像(フレーム画像)を基準として動きを検出し、検出された動きを示す動き情報を補正部108へ伝達する。ここで、第2の構成例に係る動き検出部106は、例えば上記のような動き検出処理を行うことが可能な任意の構成を有する専用の処理回路で実現可能であるが、第2の構成例に係る動き検出部106の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100では制御部(図示せず)が第2の構成例に係る動き検出部106の役目を果たしてもよく、また、第2の構成例に係る動き検出部106は、他の処理も可能な汎用の処理回路であってもよい。
【0145】
本発明の実施形態に係る動き検出部106は、例えば、図10や図18に示す構成によって、被写体の動きを検出し、検出された動きを示す動き情報を補正部108へ伝達する。なお、本発明の実施形態に係る動き検出部106の構成は、図10や図18に示す構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る動き検出部106は、ユーザ操作などに基づいて、算出した参照比率を調整してもよい。上記の場合には、画像処理装置100では、遅延時間情報に基づき特定された時間位相が調整される。
【0146】
再度図6を参照して、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成の一例について説明する。補正部108は、入力画像信号と、動き検出部106から伝達される動き情報とに基づいて、入力画像信号を補正する。より具体的には、補正部108は、第1の構成例に係る動き検出部106における動き検出、または、第2の構成例に係る動き検出部106における動きの再検出(動きベクトルの再算出)において算出された画素の参照比率と、補正画像の各画素に対応する入力画像の対応点(参照画素の座標)とを用いて、入力画像信号から補正画素を求める。ここで、補正部108における処理は、補間を行う処理に相当する。
【0147】
図22は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える補正部108における処理の一例を示す説明図である。
【0148】
補正部108は、例えば、画素の参照比率“1:α”を用いて複数の入力画素のブレンド比率を決定する。例えば、入力画像Aの対応する画素(対応点)の画素値を“Pref”、入力画像Bの対応する画素(対応点)の画素値を“Ptar”とおくと、補正画素の画素値“Pint erp”は、例えば下記の数式23によって、線形補間によって求められる。
【0149】
【数23】
・・・(数式23)
【0150】
補正部108は、例えば上記数式23に示す演算を対応点ごとに行うことによって、入力画像信号を補正し、動きを補償する。なお、本発明の実施形態に係る補正部108における処理は、上記に限られない。例えば、補正部108は、動き補償を行う際に、複数の入力画像のペアと、これらのペアそれぞれから動きを検出した複数の結果とを用いて、補正画素を決定してもよい。
【0151】
また、補正部108は、例えば、上記のような補正処理を行うことが可能な任意の構成を有する専用の処理回路で実現可能であるが、補正部108の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100では制御部(図示せず)が補正部108の役目を果たしてもよく、また、補正部108は、他の処理も可能な汎用の処理回路であってもよい。
【0152】
図23は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100における処理結果の一例を示す説明図である。ここで、図23に示すAと図23に示すBとは、ローリングシャッター方式の撮像装置を用いて風景(被写体)を撮像した場合に得られる動画像を構成する一のフレーム画像を示している。また、図23に示すAは、本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理が用いられない場合の処理結果の一例を示しており、また、図23に示すBは、図10に示す第1の構成例に係る動き検出部106を備える画像処理装置100が処理した場合(本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理が用いられた場合)の処理結果の一例を示している。
【0153】
図23のA、図23のBに示すように、本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理が行われることによって、図23のAに示すフレーム画像において生じているフォーカルプレーン歪みが、図23のBに示すフレーム画像においては補正されることが分かる。
【0154】
本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、例えば図6に示す構成によって、(A)撮像パラメータに基づく撮像における遅延時間の算出処理、(B)被写体の動きの検出処理、(C)画像信号の補正処理(動き補償処理)、を行う。ここで、上記(A)の処理〜(C)の処理を行うことによって、撮像における遅延時間が考慮された上で動きが補償されるので、上述した本発明の実施形態に係る画像処理方法が実現される。つまり、上記(A)の処理〜(C)の処理は、上述した本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理に該当する。よって、画像処理装置100は、例えば図6に示す構成によって、上述した本発明の実施形態に係る画像処理方法を実行することができる。
【0155】
したがって、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、例えば図6に示す構成によって、フォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【0156】
なお、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成は、図6に示す構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、図6に示す構成に加え、動画像を撮像する撮像部(図示せず)をさらに備えていてもよい。上記の構成の場合には、画像処理装置100は、例えば、撮像部(図示せず)における撮像により生成された画像信号を処理することが可能である。
【0157】
ここで、本発明の実施形態に係る撮像部(図示せず)としては、例えば、レンズ/撮像素子と信号処理回路とから構成される撮像デバイスが挙げられる。レンズ/撮像素子は、例えば、光学系のレンズと、CMOSなどのローリングシャッター方式に係る撮像素子を複数用いたイメージセンサとで構成される。また、信号処理回路は、例えば、AGC(Automatic Gain Control)回路やADC(Analog to Digital Converter)を備え、撮像素子により生成されたアナログ信号をデジタル信号(画像データ)に変換し、各種信号処理を行う。信号処理回路が行う信号処理としては、例えば、White Balance補正処理、色調補正処理、ガンマ補正処理、YCbCr変換処理、エッジ強調処理などが挙げられる。
【0158】
また、画像処理装置100は、例えば、通信部(図示せず)をさらに備えていてもよい。通信部(図示せず)を備えることによって、画像処理装置100は、例えば、外部装置から送信された画像信号(入力画像信号)を処理し、処理後の画像信号(出力画像信号)を通信部(図示せず)を介して、当該外部装置へ送信することが可能となる。よって、画像処理装置100がさらに通信部(図示せず)を備えることによって、例えば、クラウドコンピューティングなどのネットワークへの接続を前提とした画像処理システムが実現される。
【0159】
また、画像処理装置100は、パラメータ取得部102が撮像パラメータを推定する処理を行う場合(撮像パラメータの取得処理の第3の例)には、例えば、推定を行うために有効な撮像環境を検出する機構や、モード遷移して撮影者に最適な撮像環境をアドバイスする機構などさらに備えていてもよい。上記に構成を有する場合には、画像処理装置100は、推定の精度をさらに向上させることができる。
【0160】
また、上述したように、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、遅延時間情報を取得する構成である場合には遅延時間算出部を備えていなくてもよい。上記の構成の場合には、画像処理装置100は、上記(B)の処理(被写体の動きの検出処理)、および(C)の処理(画像信号の補正処理(動き補償処理))によって、本発明の実施形態に係る画像処理方法を実現する。つまり、上記の構成の場合には、上記(B)の処理および(C)の処理が、上述した本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理に該当する。
【0161】
以上のように、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、撮像装置の撮像パラメータに基づいて、撮像における遅延時間を画素ごとに算出し、当該遅延時間を考慮して複数のフレーム画像から動画像に含まれる被写体の動きを検出する。そして、画像処理装置100は、検出された動きに基づき画像信号を補正することによって、検出された動きを補償する。ここで、画像処理装置100は、撮像における遅延時間を考慮して画像信号の補正を行う。よって、画像処理装置100は、動画像における動きが、例えば、カメラワークであっても物体(被写体)の動きであっても、当該動きを補償することができる。
【0162】
したがって、画像処理装置100は、動画像において発生しうるフォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【0163】
また、画像処理装置100は、画素ごとに読み出し時間位相を求めることが可能であり、撮像における遅延時間を考慮して動きの検出、動きの補償を行うので、補正処理において、同一の時間位相の画素を復元することができる。
【0164】
また、画像処理装置100は、撮像パラメータに基づき撮像における遅延時間を算出するので、撮像装置ごとに精度の高い補正を行うことができる。
【0165】
さらに、画像処理装置100は、算出した参照比率を調整することも可能であるので、例えば、任意の時間位相の画像を生成することができ、また、補正処理と共にフレームレートの変換を行うことができる。
【0166】
以上、本発明の実施形態として画像処理装置100を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られない。本発明の実施形態は、例えば、デジタルカメラなどの撮像装置、PCやサーバなどのコンピュータ、テレビ受像機などの表示装置、携帯電話などの通信装置、映像/音楽再生装置(または映像/音楽記録再生装置)、ゲーム機など、画像信号の処理が可能な様々な機器に適用することができる。また、本発明の実施形態は、例えば、上記のような機器に組み込むことが可能な、画像処理IC(Integrated Circuit)に適用することもできる。
【0167】
(本発明の実施形態に係るプログラム)
コンピュータを、本発明の実施形態に係る画像処理装置として機能させるためのプログラム(例えば、上記(A)の処理〜(C)の処理を実現するためのプログラムや、上記(B)の処理および(C)の処理を実現するためのプログラムなど、本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理を実現するためのプログラム)によって、フォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【0168】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0169】
例えば、上記では、コンピュータを、本発明の実施形態に係る画像処理装置として機能させるためのプログラム(コンピュータプログラム)が提供されることを示したが、本発明の実施形態は、さらに、上記プログラムをそれぞれ記憶させた記録媒体も併せて提供することができる。
【0170】
上述した構成は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、当然に、本発明の技術的範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0171】
100 画像処理装置
102 パラメータ取得部
104 遅延時間算出部
106 動き検出部
108 補正部
110 参照比率算出部
112、114 検出部
116 再検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、デジタルスチルカメラや、携帯電話などの通信装置など、様々な機器に動画像を撮像可能な撮像機能が搭載されており、ユーザが動画像を撮像する機会は増えている。ここで、上記撮像機能が、例えばローリングシャッター方式によって実現される場合、すなわち、ラインごとに順次撮像を行う撮像素子によって撮像が行われる場合には、フォーカルプレーン歪みとよばれる歪みが動画像に発生することが起こりうる。
【0003】
このような中、動画像に生じうる歪みを低減する技術が開発されている。動画像に生じうる歪みを低減する技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−148496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば特許文献1に示す動画像に生じうる歪みを低減する従来の技術(以下、単に「従来の技術」と示す場合がある。)は、フォーカルプレーン歪みが生じていた場合には、動画像を構成する時間的に連続する2つのフレーム画像の情報を混合する。よって、従来の技術を用いることによって、動画像に生じているフォーカルプレーン歪みを低減することができる可能性がある。
【0006】
ここで、従来の技術では、例えば、単純な線形補間によって2つのフレーム画像の情報を混合し、補間の比率をラインごとに変えている。しかしながら、従来の技術では、補間を行う際に2つのフレーム画像の同じ位置の画素に対応する画像信号を用いて線形補間をしているので、動画像に含まれる被写体の動きに基づく精度の高い補間を行うことは、困難である。よって、従来の技術を用いたとしても、フォーカルプレーン歪みを十分に低減することができない恐れがある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、フォーカルプレーン歪みを補正することが可能な、新規かつ改良された画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点によれば、フレーム画像からなる動画像を示す画像信号と、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報とに基づいて、複数の上記フレーム画像から上記動画像に含まれる被写体の動きを検出する動き検出部と、上記画像信号と、検出された被写体の動きを示す動き情報とに基づいて、上記画像信号を補正する補正部と、を備える画像処理装置が提供される。
【0009】
かかる構成により、フォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【0010】
また、ラインごとに順次撮像を行う撮像素子を有する撮像装置の撮像パラメータに基づいて、上記遅延時間を画素ごとに算出する遅延時間算出部をさらに備えてもよい。
【0011】
また、上記動き検出部は、上記遅延時間情報に基づいて上記動画像が撮像されたときの時間位相を特定し、特定された上記時間位相に基づいて画素ごとに上記被写体の動きを検出してもよい。
【0012】
また、上記動き検出部は、上記遅延時間情報に基づき特定された上記時間位相を調整してもよい。
【0013】
また、上記動き検出部は、上記遅延時間情報に基づいて、複数の上記フレーム画像それぞれを参照する比率を示す参照比率を算出する参照比率算出部と、算出された参照比率に基づいて上記被写体の動きを検出する第1検出部と、を備えてもよい。
【0014】
また、上記動き検出部は、上記画像信号に基づいて上記被写体の動きを検出する第2検出部と、上記第1検出部において検出された動きを示す動き情報と、上記画像信号と、上記遅延時間情報とに基づいて、上記被写体の動きを再検出する第3検出部と、を備えてもよい。
【0015】
また、上記補正部は、1または2以上の動き情報に基づいて、上記画像信号を補正してもよい。
【0016】
また、上記動き情報には、複数の上記フレーム画像それぞれを参照する比率を示す参照比率が含まれてもよい。
【0017】
また、上記撮像パラメータを取得するパラメータ取得部をさらに備えてもよい。
【0018】
また、上記パラメータ取得部は、上記撮像装置を識別する識別情報を、上記画像信号、または、上記識別情報を記憶する記録媒体から取得し、上記識別情報と上記撮像パラメータとが対応付けられたデータベースから、取得した上記識別情報に対応する上記撮像パラメータを取得してもよい。
【0019】
また、上記パラメータ取得部は、上記動き検出部が検出した動き情報に基づいて、上記撮像パラメータを推定して上記撮像パラメータを取得してもよい。
【0020】
また、上記パラメータ取得部は、上記画像信号から上記撮像パラメータを取得してもよい。
【0021】
また、上記動画像を撮像する撮像部をさらに備えてもよい。
【0022】
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の観点によれば、フレーム画像からなる動画像を示す画像信号と、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報とに基づいて、複数の上記フレーム画像から上記動画像に含まれる被写体の動きを検出するステップと、
上記画像信号と、検出された被写体の動きを示す動き情報とに基づいて、上記画像信号を補正するステップと、を有する画像処理方法が提供される。
【0023】
かかる方法を用いることにより、フォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【0024】
また、上記目的を達成するために、本発明の第3の観点によれば、フレーム画像からなる動画像を示す画像信号と、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報とに基づいて、複数の上記フレーム画像から上記動画像に含まれる被写体の動きを検出するステップ、上記画像信号と、検出された被写体の動きを示す動き情報とに基づいて、上記画像信号を補正するステップ、をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【0025】
かかるプログラムを用いることにより、フォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、フォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】フォーカルプレーン歪みについて説明するための説明図である。
【図2】フォーカルプレーン歪みについて説明するための説明図である。
【図3】フォーカルプレーン歪みについて説明するための説明図である。
【図4】フォーカルプレーン歪みについて説明するための説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像処理方法の概要を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係る動き情報に基づく撮像パラメータの推定方法の一例を説明するための説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像処理装置における遅延時間の算出方法の一例を説明するための説明図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える動き検出部の第1の構成例における処理の概要を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える動き検出部の第1の構成例を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える、第1の構成例に係る動き検出部における参照比率の算出処理の一例を説明するための説明図である。
【図12】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える、第1の構成例に係る動き検出部における参照比率の算出処理の他の例を説明するための説明図である。
【図13】本発明の実施形態に係る撮像における遅延時間の他の例を説明するための説明図である。
【図14】本発明の実施形態に係る撮像における遅延時間の他の例を説明するための説明図である。
【図15】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える、第1の構成例に係る動き検出部における参照比率の算出処理の他の例を説明するための説明図である。
【図16】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える、第1の構成例に係る動き検出部における動き検出処理の一例を説明するための説明図である。
【図17】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える動き検出部の第2の構成例における処理の概要を示す説明図である。
【図18】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える動き検出部の第2の構成例を示すブロック図である。
【図19】本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第2の構成例に係る動き検出部における参照比率の算出処理の一例を説明するための説明図である。
【図20】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える、第2の構成例に係る動き検出部における参照比率の算出処理の過程において生じうる問題の一例を示す説明図である。
【図21】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える、第2の構成例に係る動き検出部における参照比率の算出処理の他の例を説明するための説明図である。
【図22】本発明の実施形態に係る画像処理装置が備える補正部における処理の一例を示す説明図である。
【図23】本発明の実施形態に係る画像処理装置における処理結果の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0029】
また、以下では、下記に示す順序で説明を行う。
1.本発明の実施形態に係る画像処理方法
2.本発明の実施形態に係る画像処理装置
3.本発明の実施形態に係るプログラム
【0030】
(本発明の実施形態に係る画像処理方法)
本発明の実施形態に係る画像処理装置(以下、「画像処理装置100」と示す場合がある。)の構成について説明する前に、本発明の実施形態に係る画像処理方法の概要について説明する。以下では、画像処理装置100が、本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理を行うものとして説明する。
【0031】
また、以下では、画像処理装置100が、フレーム画像からなる動画像を示す画像信号を処理するものとして説明する。また、以下では、画像処理装置100が処理する画像信号が示す各フレーム画像を「入力画像」と示し、画像信号を補正することにより得られる画像を「補正画像」と示す場合がある。
【0032】
ここで、本発明の実施形態に係る画像信号としては、例えば撮像者が撮像装置を用いて撮像することにより得られた動画像を示す信号(アナログ信号/デジタル信号)が挙げられるが、本発明の実施形態に係る画像信号は、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る画像信号は、乗り物などに搭載された撮像装置によって撮像された動画像や、いわゆる防犯カメラなどのように固定の場所に設置された撮像装置によって撮像された動画像を示す信号であってもよい。
【0033】
また、本発明の実施形態に係る画像信号としては、例えば、画像処理装置100がテレビ塔などから送信された放送波を(直接的、またはセットトップボックスなどを介して間接的に)受信してデコードした結果得られる画像信号が挙げられる。また、画像処理装置100は、例えば、ネットワークを介して(または直接的に)外部装置から送信された画像信号を処理することも可能である。また、画像処理装置100は、例えば、記憶部(後述する)や、画像処理装置100から着脱可能な外部記録媒体に記憶された画像データをデコードすることにより得られた画像信号を処理してもよい。さらに、画像処理装置100が動画像を撮像することが可能な撮像部(上記撮像装置に対応するデバイス。後述する)を備えている場合、すなわち、画像処理装置100が撮像装置として機能する場合には、画像処理装置100は、例えば、当該撮像部により撮像された動画像に対応する画像信号を処理してもよい。
【0034】
[フォーカルプレーン歪みについて]
まず、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が、補正の対象とするフォーカルプレーン歪みについて説明する。図1〜図4は、フォーカルプレーン歪みについて説明するための説明図である。
【0035】
撮像装置のイメージセンサを構成する複数の撮像素子として例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)が用いられる場合には、ローリングシャッター方式(ライン露光順次読み出し方式)が採用されることが多い。ここで、ローリングシャッター方式とは、例えば、撮像素子の左上からラスタ順に露光し、データを転送する方式である。ローリングシャッター方式が用いられる場合には、撮像装置では、ライン(例えば水平方向のライン)ごとに順次撮像が行われる。よって、例えばローリングシャッター方式のようにラインごとに順次撮像が行われる場合には、例えば図1に示すように、同一フレーム内にラインごとに異なる時間のフレーム画像が取り込まれる。
【0036】
図1に示すように同一フレーム内にラインごとに異なる時間のフレーム画像が取り込まれる結果、例えば、左から右へと移動する矩形の物体(移動体。被写体の一例)をCMOSの撮像素子を用いて動画像を撮像した場合には、当該物体は、例えば図2に示すように、平行四辺形の物体としてフレーム画像に表されることとなる。また、例えば、上から下へと移動する矩形の物体(移動体)をCMOSの撮像素子を用いて動画像を撮像した場合には、当該物体は、実際の物体よりも縦長の物体としてフレーム画像に表されることとなる。例えば上記のように、動画像において撮像された物体(以下、「被写体」と示す。)に生じる歪みが、本発明の実施形態に係る「フォーカルプレーン歪み」である。
【0037】
なお、フォーカルプレーン歪みは、上記のように撮像される物体が動く場合に生じることに限られず、例えば、撮像装置が動く場合にも、生じうる。例えば、図3のA〜Dは、撮像装置が動いた場合(例えば撮像装置がパン、チルトする場合)において生じうるフォーカルプレーン歪みの一例を示している。つまり、図2、図3に示すように、フォーカルプレーン歪みは、撮像素子に対して被写体が相対的に動いている場合に発生しうる。
【0038】
一方、撮像装置のイメージセンサを構成する複数の撮像素子として例えばCCD(Charge Coupled Device)が用いられる場合には、グローバルシャッター方式(同時露光一括読み出し方式)が採用される。ここで、グローバルシャッター方式とは、例えば図4に示すように、同一フレーム内のデータを同時に転送する方式である。よって、グローバルシャッター方式が用いられる場合には、フォーカルプレーン歪みは発生しない。
【0039】
上記のように、例えば、撮像装置が有する撮像機能を、CCDのようなグローバルシャッター方式を実現可能な撮像素子で実現する場合には、フォーカルプレーン歪みの発生自体を防止することが可能である。しかしながら、CMOSの撮像素子は、CCDの撮像素子と比較して、例えば、省電力であり、高速な読み出しが可能であり、コストが低いという利点があるため、普及が進む多くの撮像装置では、CMOSが撮像素子として用いられている。よって、例えば再生された動画像の高画質化を図るために、フォーカルプレーン歪みの発生自体を防止するのではなく、発生しうるフォーカルプレーン歪みを補正により低減することが、望まれている。
【0040】
ここで、フォーカルプレーン歪みを補正により低減する一の方法としては、例えば、撮像装置が備えるセンサにより検出された動き情報を用いてフォーカルプレーン歪みを補正することが挙げられる。しかしながら、上記の方法を用いる場合には、例えば、動画像を撮像した撮像装置の動きを示すカメラワークによって生じたグローバルな歪みしか補正できない。
【0041】
また、上述したように、従来の技術を用いたとしても、フォーカルプレーン歪みを十分に低減することができない恐れがある。
【0042】
[本発明の実施形態に係る画像処理方法の概要]
そこで、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、撮像における遅延時間を考慮して複数のフレーム画像から動画像に含まれる被写体の動きを検出する。そして、画像処理装置100は、検出された動きに基づき画像信号を補正することによって、検出された動きを補償する。
【0043】
ここで、画像処理装置100は、撮像における遅延時間を考慮しているので、ローカルな動きから画素ごとに歪みを補正することができる。画像処理装置100が、上記のように撮像における遅延時間を考慮して画像信号の補正を行うことによって、グローバルな歪み、ローカルな歪みのどちらにも対応することが可能である。つまり、画像処理装置100が上記のように撮像における遅延時間を考慮して画像信号の補正を行うことによって、画像処理装置100は、動画像における動きが、例えばカメラワークであっても物体(被写体)の動きであっても、当該動きを補償することができる。よって、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が検出する動画像に含まれる被写体の動きには、物体(被写体)自体の動きに限られず、カメラワークも含まれる。
【0044】
したがって、画像処理装置100は、動画像において発生しうるフォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【0045】
ここで、画像処理装置100は、例えば、撮像装置の撮像パラメータに基づいて撮像における遅延時間を画素ごとに算出することや、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報(遅延時間データ)を取得することによって、遅延時間を特定する。本発明の実施形態に係る撮像パラメータとは、例えば、ライン(例えば水平方向のライン。以下、同様とする。)ごとに順次撮像を行う撮像素子を有する撮像装置における撮像の特性を示す値である。撮像パラメータとしては、例えば、画素ごとの露光と読み出しとに係る遅延時間を示す値(以下、「遅延時間Rpix」と示す場合がある。)と、ラインごとの遅延時間を示す値(以下、「遅延時間Rline」と示す場合がある。)とが挙げられる。
【0046】
また、本発明の実施形態に係る撮像における遅延時間とは、例えば、画素ごとの露光、読み出しの遅延時間である。ここで、フレーム画像における任意の位置(例えば、画素の座標で表される。)における遅延時間は、例えば、上記撮像パラメータを用いて算出される。また、画像処理装置100は、例えば、取得された遅延時間情報からフレーム画像における任意の位置における遅延時間を特定してもよい。なお、本発明の実施形態に係る遅延時間の算出方法の一例については、後述する。
【0047】
図5は、本発明の実施形態に係る画像処理方法の概要の一例を示す説明図である。例えば図5に示すように、画像処理装置100は、複数のフレーム画像(入力画像)に基づき補正画像を生成することによって、発生しうるフォーカルプレーン歪みを補正する。
【0048】
以下、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成の一例について説明をすると共に、本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理の具体例についても併せて説明する。以下では、画像処理装置100が撮像パラメータに基づいて撮像における遅延時間を算出する場合を主に例に挙げて、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成の一例、および本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理の具体例について説明する。また、以下では、画像処理装置100に入力される画像信号、すなわち、処理対象の画像信号を、「入力画像信号」と示す場合がある。
【0049】
(本発明の実施形態に係る画像処理装置)
図6は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成の一例を示すブロック図である。画像処理装置100は、例えば、パラメータ取得部102と、遅延時間算出部104と、動き検出部106と、補正部108とを備える。
【0050】
また、画像処理装置100は、例えば、制御部(図示せず)や、ROM(Read Only Memory;図示せず)、RAM(Random Access Memory;図示せず)、記憶部(図示せず)、ユーザが操作可能な操作部(図示せず)、様々な画面を表示画面に表示する表示部(図示せず)、外部装置と通信を行うための通信部(図示せず)などを備えていてもよい。画像処理装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)により上記各構成要素間を接続する。
【0051】
ここで、制御部(図示せず)は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)や、各種処理回路などで構成され画像処理装置100全体を制御する。また、制御部(図示せず)は、例えば、パラメータ取得部102、遅延時間算出部104、動き検出部106、および補正部108の役目を果たしてもよい。また、制御部(図示せず)は、例えば、補正部108が処理を行った画像信号(出力画像信号)をエンコードして、記憶部(図示せず)に記録する、および/または、当該画像信号が示す画像を表示部(図示せず)や外部表示装置の表示画面に表示させるなど、本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理が行われた画像信号に対する処理を行う役目を果たしてもよい。
【0052】
ROM(図示せず)は、制御部(図示せず)が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶する。RAM(図示せず)は、制御部(図示せず)により実行されるプログラムなどを一時的に記憶する。
【0053】
記憶部(図示せず)は、画像処理装置100が備える記憶手段であり、例えば、画像データや、アプリケーションなど様々なデータを記憶する。ここで、記憶部(図示せず)としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)などが挙げられる。また、記憶部(図示せず)は、画像処理装置100から着脱可能であってもよい。
【0054】
操作部(図示せず)としては、例えば、ボタンや、方向キー、ジョグダイヤルなどの回転型セレクター、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられる。また、画像処理装置100は、例えば、画像処理装置100の外部装置としての操作入力デバイス(例えば、キーボードやマウスなど)と接続することもできる。
【0055】
表示部(図示せず)としては、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)や有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display。または、OLEDディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display)ともよばれる。)などが挙げられる。なお、表示部(図示せず)は、例えばタッチスクリーンなどのように、表示とユーザ操作とが可能なデバイスであってもよい。また、画像処理装置100は、表示部(図示せず)の有無に関わらず、画像処理装置100の外部装置としての表示デバイス(例えば、外部ディスプレイなど)と接続することもできる。
【0056】
通信部(図示せず)は、画像処理装置100が備える通信手段であり、ネットワークを介して(あるいは、直接的に)、外部装置と無線/有線で通信を行う。ここで、通信部(図示せず)としては、例えば、通信アンテナおよびRF(Radio Frequency)回路(無線通信)や、IEEE802.15.1ポートおよび送受信回路(無線通信)、IEEE802.11bポートおよび送受信回路(無線通信)、あるいはLAN(Local Area Network)端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられる。また、本発明の実施形態に係るネットワークとしては、例えば、LANやWAN(Wide Area Network)などの有線ネットワーク、基地局を介した無線WAN(WWAN;Wireless Wide Area Network)などの無線ネットワーク、あるいは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの通信プロトコルを用いたインターネットなどが挙げられる。
【0057】
以下、図6に示す本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成例について説明しつつ、画像処理装置100における処理(画像処理方法に係る処理)の一例について説明する。
【0058】
パラメータ取得部102は、撮像パラメータを取得する。
【0059】
[撮像パラメータの取得処理の一例]
(i)第1の例
パラメータ取得部102は、撮像装置を識別する識別情報を、例えば、入力画像信号、または、識別情報を記憶する記録媒体から取得する。そして、パラメータ取得部102は、例えば、識別情報と撮像パラメータとが対応付けられたデータベースから、取得した識別情報に対応する撮像パラメータを取得する。
【0060】
ここで、入力画像信号からの識別情報の取得方法としては、例えば、パラメータ取得部102が、入力画像信号に含まれている(または入力画像信号に埋め込まれている)メタデータやすかしなどをデコードする(または、デコーダなどにデコードさせる)ことが挙げられる。本発明の実施形態に係る識別情報としては、例えば、撮像装置の機種を示す型番が挙げられるが、撮像装置を識別することが可能な情報であれば、任意の情報を識別情報とすることが可能である。
【0061】
また、パラメータ取得部102は、例えば記憶部(図示せず)に記憶されるデータベースから識別情報に対応する撮像パラメータを取得するが、パラメータ取得部102における処理は、上記に限られない。例えば、パラメータ取得部102は、例えばサーバなどの外部装置から、識別情報に対応する撮像パラメータを取得してもよい。ここで、外部装置から撮像パラメータを取得する場合には、パラメータ取得部102は、例えば通信部(図示せず)を介して外部装置と通信を行い、識別情報と撮像パラメータの送信を要求する送信要求とを当該外部装置に送信することによって、撮像パラメータを取得する。なお、画像処理装置100では、例えば、パラメータ取得部102が通信機能を有していてもよい。上記の場合には、画像処理装置100が通信部(図示せず)を備えているか否かによらず、パラメータ取得部102が、外部装置と通信を行って撮像パラメータを取得することとなる。
【0062】
また、識別情報を記憶する記録媒体としては、例えば、記憶部(図示せず)やROM(図示せず)が挙げられるが、識別情報を記憶する記録媒体は、上記に限られない。例えば、識別情報を記憶する記録媒体は、画像処理装置100から着脱可能な外部記録媒体であってもよい。上記外部記録媒体としては、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられる。ここで、上記記録媒体に記録される識別情報は、例えば、予め記録されたものであってもよいし、ユーザ操作に応じて記録されるものであってもよい。
【0063】
(ii)第2の例
パラメータ取得部102は、例えば、入力画像信号から撮像パラメータを取得することも可能である。ここで、入力画像信号からの撮像パラメータの取得方法としては、例えば、パラメータ取得部102が、入力画像信号に含まれている(または入力画像信号に埋め込まれている)メタデータやすかしなどをデコードする(または、デコーダなどにデコードさせる)ことが挙げられる。
【0064】
(iii)第3の例
本発明の実施形態に係るパラメータ取得部102における撮像パラメータの取得処理は、上記第1の例、第2の例に限られない。例えば、パラメータ取得部102は、検出された被写体の動きを示す動き情報に基づいて、撮像パラメータを推定し、推定された撮像パラメータを、撮像パラメータとして取得してもよい。
【0065】
図7は、本発明の実施形態に係る動き情報に基づく撮像パラメータの推定方法の一例を説明するための説明図である。例えば図7のAに示すようにフォーカルプレーン歪みが生じている場合、フレーム画像における最初に撮像が行われたラインと最後に撮像が行われたラインとには、速さにずれ時間Δtが生じる。画像処理装置100は、例えば、上記ずれ時間Δtとライン数とに基づいて遅延時間Rlineを推定する。より具体的には、画像処理装置100は、例えば、“Δt/ライン数”の演算を行うことによって、遅延時間Rlineを推定する。なお、本発明の実施形態に係る撮像パラメータの推定方法は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100は、歪みを示す任意の情報から撮像パラメータを推定してもよい。
【0066】
再度図6を参照して、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成の一例について説明する。パラメータ取得部102は、例えば上記第1の例〜第3の例に示す処理を行うことによって、撮像パラメータを取得する。なお、本発明の実施形態に係るパラメータ取得部102における撮像パラメータの取得処理が、上記第1の例〜第3の例に示す処理に限られないことは、言うまでもない。
【0067】
また、パラメータ取得部102は、例えば、上記のような撮像パラメータの取得処理を行うための任意の構成を有する専用の処理回路で実現可能であるが、パラメータ取得部102の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100では制御部(図示せず)がパラメータ取得部102の役目を果たしてもよく、また、パラメータ取得部102は、他の処理も可能な汎用の処理回路であってもよい。
【0068】
なお、図6では、画像処理装置100がパラメータ取得部102を備えている構成を示しているが、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100は、パラメータ取得部102を備えず、画像処理装置100とは別体のパラメータ取得装置において取得された撮像パラメータを用いて処理を行うことも可能である。
【0069】
また、図6では、画像処理装置100が撮像パラメータを取得するパラメータ取得部102を備える例を示したが、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100は、遅延時間情報を取得する遅延時間情報取得部(図示せず)をパラメータ取得部102の代わりに備えていてもよい。ここで、遅延時間情報取得部(図示せず)は、例えば、上記撮像パラメータの取得処理の第1の例、第2の例と同様の処理を行うことによって、遅延時間情報を取得するが、本発明の実施形態に係る遅延時間情報の取得処理は、上記に限られない。なお、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が、図6に示す構成に加え、さらに遅延時間情報取得部(図示せず)を備えていてもよいことは、言うまでもない。
【0070】
遅延時間算出部104は、パラメータ取得部102において取得された撮像パラメータに基づいて、撮像における遅延時間を画素ごとに算出する。
【0071】
図8は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100における遅延時間の算出方法の一例を説明するための説明図である。
【0072】
撮像装置がラスタスキャン順に露光と読み出しとを行う場合には、図8に示す左上の画素における遅延は“0”とおくことが可能である。上記の場合、任意の画素における遅延時間は、当該画素の座標を(x,y)とおくと、例えば下記の数式1により算出される。ここで、数式1に示す“Rpix”は、同一ラインの隣接する画素間における遅延時間であり、また、数式1に示す“Rline”は、隣接するライン間における遅延時間である。
【0073】
【数1】
・・・(数式1)
【0074】
遅延時間算出部104は、例えば数式1により遅延時間を画素ごとに算出し、算出した遅延時間を示す遅延時間情報を、動き検出部106へ伝達する。なお、遅延時間算出部104における遅延時間の算出方法は、上記に限られない。例えば、撮像素子群の左上および撮像素子群の左下から露光と読み出しとが行われることを示す撮像パラメータなど、露光および読み出しが開始される撮像素子の位置を示す撮像パラメータがパラメータ取得部102において取得された場合には、遅延時間算出部104は、当該位置に対応する複数の画素それぞれにおける遅延を“0”とおいて、各画素における遅延時間r(x,y)を算出してもよい。
【0075】
また、遅延時間算出部104は、例えば、上記のような遅延時間の算出方法に係る処理を行うための任意の構成を有する専用の処理回路で実現可能であるが、遅延時間算出部104の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100では制御部(図示せず)が遅延時間算出部104の役目を果たしてもよく、また、遅延時間算出部104は、他の処理も可能な汎用の処理回路であってもよい。
【0076】
なお、図6では、画像処理装置100が撮像における遅延時間を画素ごとに算出する遅延時間算出部104を備える例を示したが、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100は、遅延時間情報取得部(図示せず)を備える場合には、遅延時間算出部104を備えていなくてもよい。上記の構成の場合には、画像処理装置100では、例えば、遅延時間情報取得部(図示せず)から動き検出部106へと遅延時間情報が伝達される。
【0077】
動き検出部106は、入力画像信号と、遅延時間情報とに基づいて、複数のフレーム画像から動画像に含まれる被写体の動きを検出する。ここで、動き検出部106が用いる遅延時間情報としては、例えば、遅延時間算出部104から伝達される遅延時間情報や、遅延時間情報取得部(図示せず)から伝達される遅延時間情報が挙げられる。
【0078】
(I)第1の構成例
第1の構成例に係る動き検出部106は、遅延時間情報に基づいて動画像が撮像されたときの時間位相を特定し、特定された時間位相に基づいて画素ごとに被写体の動きを検出する。ここで、第1の構成例に係る動き検出部106における処理は、補正画像を基準として動き検出を行う場合の処理に該当する。
【0079】
図9は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える動き検出部106の第1の構成例における処理の概要を示す説明図である。第1の構成例に係る動き検出部106は、例えば連続する2つのフレームに対応する2つのフレーム画像について、画素ごとに当該2つのフレーム画像それぞれを参照する参照比率(1:α)を、時間位相として特定する。そして、第1の構成例に係る動き検出部106は、特定した参照比率を用いて被写体の動きを検出する。なお、図9では、第1の構成例に係る動き検出部106が連続する2つのフレームに対応する2つのフレーム画像を参照する参照比率を、時間位相として特定する例を示しているが、第1の構成例に係る動き検出部106における処理は、上記に限られない。例えば、第1の構成例に係る動き検出部106は、3以上のフレームそれぞれに対応する3以上のフレーム画像を参照する参照比率を、時間位相として特定することも可能である。以下では、例えば図9に示すように、第1の構成例に係る動き検出部106が、連続する2つのフレームに対応する2つのフレーム画像を参照する参照比率を時間位相として特定する場合を例に挙げて説明する。
【0080】
図10は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える動き検出部106の第1の構成例を示すブロック図である。第1の構成例に係る動き検出部106は、例えば、参照比率算出部110と、検出部112(第1検出部)とを備える。
【0081】
参照比率算出部110は、入力画像信号と、遅延時間算出部104から伝達される遅延時間情報とに基づいて参照比率を画素ごとに算出する。そして、参照比率算出部110は、算出した参照比率を示す情報(データ)を、検出部112へ伝達する。
【0082】
図11は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第1の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出処理の一例を説明するための説明図である。ここで、図11に示す補正画素とは、補正画像における画素である(以下、同様とする。)。また、以下では、補正画像に対応する入力画像(フレーム画像)における補正画素に対応する画素を、「参照画素」と示す場合がある。
【0083】
例えばフレームレート変換などにおいて用いられる一般的な動き検出は、グローバルシャッター方式における時間位相で行われる。それに対して、本発明の実施形態に係る第1の構成例に係る検出部106(より厳密には、例えば参照比率算出部110)では、遅延時間情報を用いることによって入力画像信号に対応する動画像を撮像した撮像装置における遅延時間を考慮した上で、画素ごとに被写体の動きを検出する。
【0084】
例えば、図11に示す補正画素から入力画像Aの参照画素までの時間と、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率を“1:α”と仮定し、また、補正画素から入力画像Aの参照画素までのベクトルを“(xsrch,ysrch)”と仮定する。上記のように仮定すると、入力画像Aの参照画素の座標(xref,yref)、入力画像Bの参照画素の座標(xtar,ytar)、入力画像Aの参照画素における遅延時間rref、および入力画像Bの参照画素における遅延時間rtarは、例えば下記の数式2〜数式5で表される。
【0085】
【数2】
・・・(数式2)
【数3】
・・・(数式3)
【数4】
・・・(数式4)
【数5】
・・・(数式5)
【0086】
ここで、入力画像信号におけるフレーム周期を“ΔTref”とおくと、入力画像Bの参照画素における遅延時間rtarは、例えば下記の数式6で表される。
【0087】
【数6】
・・・(数式6)
【0088】
また、数式1、数式3、数式4、および数式6より、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”は、例えば下記の数式7で表される。
【0089】
【数7】
・・・(数式7)
【0090】
なお、“α”は、上記数式7で算出されることに限られない。例えば、一般的に、同一ラインの隣接する画素間における遅延時間Rpixは、同一ラインの隣接する画素間における遅延時間Rlineよりも非常に小さい(すなわち、Rpix<<Rline)ので、“α”は、例えば下記の数式8で表されてもよい。
【0091】
【数8】
・・・(数式8)
【0092】
なお、図11では、連続する2つのフレームのフレーム画像(入力画像)を参照画像とする例を示しているが、本発明の実施形態に係る第1の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出方法は、上記に限られない。
【0093】
図12は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第1の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出処理の他の例を説明するための説明図である。ここで、図12は、第1の構成例に係る動き検出部106が、任意の2つのフレームのフレーム画像(入力画像)を参照画像とする例を示している。
【0094】
入力画像Aに対応するフレームと補正画像に対応するフレーム(以下、「補正フレーム」と示す。)との間隔を“ΔTref”、補正フレームと入力画像Bに対応するフレームとの間隔を“ΔTtar”とおくと、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”は、例えば下記の数式9で表される。また、Rpix<<Rlineより、“α”は、例えば下記の数式10で表されてもよい。
【0095】
【数9】
・・・(数式9)
【数10】
・・・(数式10)
【0096】
参照比率算出部110は、例えば上記のような演算を行うことによって、参照比率を画素ごとに算出する。ここで、例えば数式8〜数式10に示すように、入力画像の参照比率は、画像の時間間隔と、補正画像の座標(x,y)、および撮像パラメータに基づく遅延時間情報によって、表される。よって、画像処理装置100では、被写体の動き検出や、入力画像信号の補正(動き補償)を、上記のように算出された画素ごとの参照比率を用いて行うことができる。また、上記のように算出された画素ごとの参照比率を用いることによって、画像処理装置100は、フレームレート変換を行うこともできる。
【0097】
なお、図11、図12では、2つのフレームのフレーム画像(入力画像)を参照画像とする例を示したが、本発明の実施形態に係る第1の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出方法は、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る第1の構成例に係る動き検出部106は、3以上のフレーム画像を参照画像として用いることも可能である。
【0098】
また、上記では、図11、図12に示すように、画素ごとの遅延時間r(x,y)が上記数式1により表される場合における参照比率を算出する例を示したが、本発明の実施形態に係る画素ごとの遅延時間r(x,y)は、数式1に示す関数で表されることに限られない。例えば、本発明の実施形態に係る画素ごとの遅延時間r(x,y)は、任意の関数で表されていてもよい。
【0099】
図13、図14は、本発明の実施形態に係る撮像における遅延時間の他の例を説明するための説明図である。ここで、図13は、遅延時間r(x,y)が画素の座標を引数に有する任意の関数である場合におけるフレーム画像の一例を示している。また、図14は、垂直座標のある区間ごとに遅延時間を示す関数が変化する場合(図13に示す遅延時間r(x,y)が任意の関数で表される場合の一例)におけるフレーム画像の一例を示している。より具体的には、図14は、撮像装置において撮像装置が備える撮像素子群のうちの撮像素子群の左上および撮像素子群の左下から露光と読み出しとが行われた場合における、フレーム画像の一例を示している。
【0100】
第1の構成例に係る動き検出部106を備える画像処理装置100は、例えば図13、図14に示すように、遅延時間r(x,y)が任意の関数で表される場合であっても、上述した遅延時間r(x,y)が数式1で表される場合と同様に、参照比率を算出することが可能である。
【0101】
図15は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第1の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出処理の他の例を説明するための説明図である。ここで、図15は、図12と同様に、第1の構成例に係る動き検出部106が、任意の2つのフレームのフレーム画像(入力画像)を参照画像とする例を示している。
【0102】
数式3、数式4、および数式5より、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”は、例えば下記の数式11で表される。ここで、参照比率算出部110は、例えば、遅延時間算出部104から伝達される遅延時間情報や、遅延時間情報取得部(図示せず)から伝達される遅延時間情報によって、遅延関数r(x,y)を既知とすることが可能である。よって、数式11における未知数は“α”1つとなるので、画像処理装置100は、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”を一意に算出することができる。
【0103】
【数11】
・・・(数式11)
【0104】
ここで、例えば遅延時間r(x,y)を示す関数が数式1で表される場合には、数式11に示す“α”は、数式9で表される。つまり、数式11は、数式9を一般化した式である。
【0105】
上記のように、第1の構成例に係る動き検出部106を備える画像処理装置100は、画素ごとの遅延時間r(x,y)が任意の関数で表されている場合であっても、参照比率を画素ごとに算出することができる。
【0106】
なお、画素ごとの遅延時間r(x,y)が任意の関数で表されている場合における参照比率の算出方法は、上記に限られない。例えば、図14に示すように、垂直座標のある区間ごとに遅延時間を示す関数が変化する場合には、第1の構成例に係る動き検出部106を備える画像処理装置100は、同一の関数で表される垂直座標の区間ごとに、参照比率を算出してもよい。
【0107】
再度図10を参照して、第1の構成例に係る動き検出部106の構成の一例について説明する。検出部112は、入力画像信号と、参照比率算出部110において算出された参照比率とに基づいて、被写体の動きを検出する
【0108】
上述したように、第1の構成例に係る動き検出部106は、補正画像を基準として動き検出を行う。補正画像を基準として動き検出を行う場合には、例えば、動き(例えば、ベクトル、オプティカルフローで表される。)を仮定して評価値や拘束条件などを求めることになる。検出部112は、例えば、参照比率算出部110において算出された参照比率を用いて、入力画像への動きベクトル(オプティカルフロー)を決定する。ここで、検出部112は、例えば、ブロックマッチング法や、勾配法など、動きを検出することが可能な任意の方法を用いて、動きベクトルを決定する。
【0109】
図16は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第1の構成例に係る動き検出部106における動き検出処理の一例を説明するための説明図である。ここで、図16は、動き検出部106が、ブロックマッチングを用いた補正画像基準の動き検出を、2つのフレーム画像(入力画像)から行う場合の一例を示している。
【0110】
例えば図8より、補正画素の座標(x,y)に対応する入力画像Aにおける探索位置(座標)は、(x+xsrch,y+ysrch)と表され、また、補正画素の座標(x,y)に対応する入力画像Bにおける探索位置(座標)は、(x−α×xsrch,y−α×ysrch)と表される。よって、入力画像Aの参照位置における画素値と、入力画像Bの参照位置における画素値とは、例えば下記の数式12、数式13で表される。
【0111】
【数12】
・・・(数式12)
【数13】
・・・(数式13)
【0112】
また、“n”をブロック内の基準位置からのx軸方向への移動量とし、“m”をブロック内の基準位置からのy軸方向への移動量とすると、入力画像A、入力画像Bそれぞれの参照位置は、例えば下記の数式14、数式15で表される。
【0113】
【数14】
・・・(数式14)
【数15】
・・・(数式15)
【0114】
また、ブロックの座標範囲を(x−M,y−N)〜(x+M,y+N)とすると、動きの評価値exy(xsrch,ysrch)は、例えば下記の数式16で表される。
【0115】
【数16】
・・・(数式16)
【0116】
検出部112は、例えば上記のような演算を行うことによって、動きを検出する。そして、検出部112は、例えば、各入力画像の参照位置(参照画素の座標)と、各参照位置に対応する参照比率とを、動き情報として補正部108へ伝達する。
【0117】
なお、本発明の実施形態に係る第1の構成例に係る動き検出部106における動きの検出方法は、上記に限られない。例えば、第1の構成例に係る動き検出部106は、ブロックマッチングを用いる場合において、畳み込みに使用するブロック内の画素数を任意の数に減らすことも可能である。また、第1の構成例に係る動き検出部106は、拘束条件で用いられるオプティカルフローを仮定する際に入力画像の参照比率を用いた勾配法によって、動きを検出することもできる。さらに、第1の構成例に係る動き検出部106は、複数の入力画像から求められた複数の動きを算出することによって、動きの検出結果の精度を向上させることも可能である。
【0118】
第1の構成例に係る動き検出部106は、例えば図10に示す構成によって、補正画像を基準として動きを検出し、検出された動きを示す動き情報を補正部108へ伝達する。ここで、第1の構成例に係る動き検出部106は、例えば上記のような動き検出処理を行うことが可能な任意の構成を有する専用の処理回路で実現可能であるが、第1の構成例に係る動き検出部106の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100では制御部(図示せず)が第1の構成例に係る動き検出部106の役目を果たしてもよく、また、第1の構成例に係る動き検出部106は、他の処理も可能な汎用の処理回路であってもよい。
【0119】
(II)第2の構成例
第2の構成例に係る動き検出部106は、2段階の動き検出を行うことによって、被写体の動きを検出する。より具体的には、第2の構成例に係る動き検出部106は、まず入力画像信号に基づいて被写体の動きを検出する。そして、第2の構成例に係る動き検出部106は、入力画像信号に基づき検出された動きを示す動き情報と、入力画像信号と、遅延時間算出部104から伝達される遅延時間情報とに基づいて、被写体の動きを再検出する。ここで、第2の構成例に係る動き検出部106における処理は、入力画像(フレーム画像)を基準として動き検出を行う場合の処理に該当する。
【0120】
図17は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える動き検出部106の第2の構成例における処理の概要を示す説明図である。入力画像を基準として動き検出を行う場合、第2の構成例に係る動き検出部106は、例えば連続する2つのフレームに対応する2つのフレーム画像に基づいて、動きを検出する。そして、第2の構成例に係る動き検出部106は、遅延時間情報に基づいて、補正画像の位置における動き量の再計算を行う。上記のように再計算を行うことによって、撮像における遅延時間を補償することが可能となる。なお、図17では、第2の構成例に係る動き検出部106が連続する2つのフレームに対応する2つのフレーム画像に基づき処理を行う例を示しているが、第2の構成例に係る動き検出部106における処理は、上記に限られない。例えば、第2の構成例に係る動き検出部106は、任意の2つのフレームそれぞれに対応するフレーム画像や、3以上のフレームそれぞれに対応する3以上のフレーム画像に基づき処理を行うことも可能である。以下では、第2の構成例に係る動き検出部106が、2つのフレームに対応する2つのフレーム画像に基づき処理を行う場合を例に挙げて説明する。
【0121】
図18は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える動き検出部106の第2の構成例を示すブロック図である。第2の構成例に係る動き検出部106は、例えば、検出部114(第2検出部)と、再検出部116(第3検出部)とを備える。
【0122】
検出部114は、入力画像信号に基づいて被写体の動きを検出する。そして、検出部114は、検出した動きを示す動き情報を再検出部116へ伝達する。
【0123】
ここで、検出部114は、例えば、ブロックマッチング法や、勾配法など、動きを検出することが可能な任意の方法を用いて、動きと、各補正画素に対応するフレーム画像における対応点とを算出する。つまり、検出部114は、露光や読み出しによる遅延による、画素ごとの撮像における遅延時間を考慮せず、例えばフレーム変換などにおいて用いられる一般的な動き検出方法を用いることが可能である。
【0124】
再検出部116は、検出部114から伝達される動き情報と、入力画像信号と、遅延時間算出部104から伝達される遅延時間情報とに基づいて、被写体の動きを再検出する。
【0125】
動き検出を入力画像を基準として行う場合には、検出部114において入力画像信号に基づき求められた対応点から、補正画像の座標を求める必要がある。本発明の実施形態に係る第2の構成例に係る検出部106(より厳密には、例えば再検出部116)では、遅延時間情報を用いることによって入力画像信号に対応する動画像を撮像した撮像装置における遅延時間を考慮した上で、補正画像の座標を求める。つまり、第2の構成例に係る検出部106は、上記第1の構成例に係る検出部106と同様に、遅延時間情報に基づいて動画像が撮像されたときの時間位相を特定し、特定された時間位相に基づいて画素ごとに被写体の動きを検出する。
【0126】
図19は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第2の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出処理の一例を説明するための説明図である。
【0127】
入力画像信号に基づき求められた入力画像Aの対応点の画素の座標を“(xref,yref)”、入力画像信号に基づき求められた入力画像Bの対応点の画素の座標を“(xtar,ytar)”とおくと、入力画像Aの各画素における撮像における遅延時間rrefと、入力画像Bの各画素における撮像における遅延時間rtarとは、上記数式1より、例えば下記の数式17、数式18で表される。
【0128】
【数17】
・・・(数式17)
【数18】
・・・(数式18)
【0129】
また、図19に示すように、補正フレームと入力画像Aに対応するフレームとの時間間隔と、補正フレームと入力画像Bに対応するフレームとの時間間隔との比率を“1:α”とおき、入力画像Aに対応するフレームと補正フレーム」と示す。)との間隔を“ΔTref”、補正フレームと入力画像Bに対応するフレームとの間隔を“ΔTtar”とおくと、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”は、上記数式1、数式17、数式18より、例えば下記の数式19で表される。また、Rpix<<Rlineより、“α”は、例えば下記の数式20で算出されてもよい。
【0130】
【数19】
・・・(数式19)
【数20】
・・・(数式20)
【0131】
また、(xref,yref)、(xtar,ytar)に対応する、補正画像における座標(x,y)は、例えば下記の数式21で表される。
【0132】
【数21】
・・・(数式21)
【0133】
ここで、例えば数式21に示す演算によって補正画像における座標(x,y)を求める場合には、例えば、補正画像においてベクトルが当たらない画素が生じることや、複数のベクトルが重なることが生じる恐れがある。図20は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第2の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出処理の過程において生じうる問題の一例を示す説明図である。
【0134】
第2の構成例に係る動き検出部106は、例えば、補正画像における周辺の画素の情報を用いて補間することによって、補正画像においてベクトルが当たらない画素が生じることを防止する。また、第2の構成例に係る動き検出部106は、例えば、入力画像信号に基づき算出した評価値を用いてより最適なベクトルを決定することによって、複数のベクトルが重なることによる問題を解消する。なお、第2の構成例に係る動き検出部106は、上記の場合において、複数の入力画像から求められた複数の動きの検出結果を利用してもよい。
【0135】
なお、上記では、図19に示すように、画素ごとの遅延時間r(x,y)が上記数式1により表される場合において、画像処理装置100が参照比率を算出する例を示したが、本発明の実施形態に係る画素ごとの遅延時間r(x,y)は、数式1に示す関数で表されることに限られない。例えば、本発明の実施形態に係る画素ごとの遅延時間r(x,y)は、上述した第1の構成例に係る動き検出部106の場合と同様に、任意の関数で表されていてもよい。第2の構成例に係る動き検出部106を備える画像処理装置100は、遅延時間r(x,y)が任意の関数で表される場合であっても、上述した遅延時間r(x,y)が数式1で表される場合と同様に、参照比率を算出することが可能である。
【0136】
図21は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える、第2の構成例に係る動き検出部106における参照比率の算出処理の他の例を説明するための説明図である。
【0137】
補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”は、上記数式17、数式18より、例えば下記の数式22で表される。ここで、再検出部116は、例えば、遅延時間算出部104から伝達される遅延時間情報や、遅延時間情報取得部(図示せず)から伝達される遅延時間情報によって、遅延関数r(x,y)を既知とすることが可能である。また、再検出部116は、検出部114から伝達される動き情報によって、“xref”、“yref”、“xtar”、および“ytar”を既知とすることが可能である。よって、数式22における未知数は“α”1つとなるので、画像処理装置100は、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”を一意に算出することができる。
【0138】
【数22】
・・・(数式22)
【0139】
また、(xref,yref)、(xtar,ytar)に対応する、補正画像における座標(x,y)は、例えば上記数式21で表される。
【0140】
ここで、例えば遅延関数r(x,y)が数式1で表される場合には、数式22に示す“α”は、数式19で表される。つまり、数式22は、数式19を一般化した式であるといえる。
【0141】
上記のように、第2の構成例に係る動き検出部106を備える画像処理装置100は、画素ごとの遅延時間r(x,y)が任意の関数で表されている場合であっても、参照比率を画素ごとに算出することができる。
【0142】
なお、画素ごとの遅延時間r(x,y)が任意の関数で表されている場合における参照比率の算出方法は、上記に限られない。例えば、図14に示すように、垂直座標のある区間ごとに遅延時間を示す関数が変化する場合には、第2の構成例に係る動き検出部106を備える画像処理装置100は、第1の構成例に係る動き検出部106を備える場合と同様に、同一の関数で表される垂直座標の区間ごとに、参照比率を算出してもよい。
【0143】
再検出部116は、例えば、上記のような演算を行うことによって、補正画素から入力画像Bの参照画素までの時間の比率に係る“α”を算出して、補正フレームと入力画像Aに対応するフレームとの時間間隔と、補正フレームと入力画像Bに対応するフレームとの時間間隔との比率、すなわち、参照比率を求める。そして、再検出部116は、例えば、参照画素の座標と、各参照画素に対応する参照比率とを、動き情報として補正部108へ伝達する。
【0144】
第2の構成例に係る動き検出部106は、例えば図18に示す構成によって、入力画像(フレーム画像)を基準として動きを検出し、検出された動きを示す動き情報を補正部108へ伝達する。ここで、第2の構成例に係る動き検出部106は、例えば上記のような動き検出処理を行うことが可能な任意の構成を有する専用の処理回路で実現可能であるが、第2の構成例に係る動き検出部106の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100では制御部(図示せず)が第2の構成例に係る動き検出部106の役目を果たしてもよく、また、第2の構成例に係る動き検出部106は、他の処理も可能な汎用の処理回路であってもよい。
【0145】
本発明の実施形態に係る動き検出部106は、例えば、図10や図18に示す構成によって、被写体の動きを検出し、検出された動きを示す動き情報を補正部108へ伝達する。なお、本発明の実施形態に係る動き検出部106の構成は、図10や図18に示す構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る動き検出部106は、ユーザ操作などに基づいて、算出した参照比率を調整してもよい。上記の場合には、画像処理装置100では、遅延時間情報に基づき特定された時間位相が調整される。
【0146】
再度図6を参照して、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成の一例について説明する。補正部108は、入力画像信号と、動き検出部106から伝達される動き情報とに基づいて、入力画像信号を補正する。より具体的には、補正部108は、第1の構成例に係る動き検出部106における動き検出、または、第2の構成例に係る動き検出部106における動きの再検出(動きベクトルの再算出)において算出された画素の参照比率と、補正画像の各画素に対応する入力画像の対応点(参照画素の座標)とを用いて、入力画像信号から補正画素を求める。ここで、補正部108における処理は、補間を行う処理に相当する。
【0147】
図22は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100が備える補正部108における処理の一例を示す説明図である。
【0148】
補正部108は、例えば、画素の参照比率“1:α”を用いて複数の入力画素のブレンド比率を決定する。例えば、入力画像Aの対応する画素(対応点)の画素値を“Pref”、入力画像Bの対応する画素(対応点)の画素値を“Ptar”とおくと、補正画素の画素値“Pint erp”は、例えば下記の数式23によって、線形補間によって求められる。
【0149】
【数23】
・・・(数式23)
【0150】
補正部108は、例えば上記数式23に示す演算を対応点ごとに行うことによって、入力画像信号を補正し、動きを補償する。なお、本発明の実施形態に係る補正部108における処理は、上記に限られない。例えば、補正部108は、動き補償を行う際に、複数の入力画像のペアと、これらのペアそれぞれから動きを検出した複数の結果とを用いて、補正画素を決定してもよい。
【0151】
また、補正部108は、例えば、上記のような補正処理を行うことが可能な任意の構成を有する専用の処理回路で実現可能であるが、補正部108の構成は、上記に限られない。例えば、画像処理装置100では制御部(図示せず)が補正部108の役目を果たしてもよく、また、補正部108は、他の処理も可能な汎用の処理回路であってもよい。
【0152】
図23は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100における処理結果の一例を示す説明図である。ここで、図23に示すAと図23に示すBとは、ローリングシャッター方式の撮像装置を用いて風景(被写体)を撮像した場合に得られる動画像を構成する一のフレーム画像を示している。また、図23に示すAは、本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理が用いられない場合の処理結果の一例を示しており、また、図23に示すBは、図10に示す第1の構成例に係る動き検出部106を備える画像処理装置100が処理した場合(本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理が用いられた場合)の処理結果の一例を示している。
【0153】
図23のA、図23のBに示すように、本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理が行われることによって、図23のAに示すフレーム画像において生じているフォーカルプレーン歪みが、図23のBに示すフレーム画像においては補正されることが分かる。
【0154】
本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、例えば図6に示す構成によって、(A)撮像パラメータに基づく撮像における遅延時間の算出処理、(B)被写体の動きの検出処理、(C)画像信号の補正処理(動き補償処理)、を行う。ここで、上記(A)の処理〜(C)の処理を行うことによって、撮像における遅延時間が考慮された上で動きが補償されるので、上述した本発明の実施形態に係る画像処理方法が実現される。つまり、上記(A)の処理〜(C)の処理は、上述した本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理に該当する。よって、画像処理装置100は、例えば図6に示す構成によって、上述した本発明の実施形態に係る画像処理方法を実行することができる。
【0155】
したがって、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、例えば図6に示す構成によって、フォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【0156】
なお、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の構成は、図6に示す構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、図6に示す構成に加え、動画像を撮像する撮像部(図示せず)をさらに備えていてもよい。上記の構成の場合には、画像処理装置100は、例えば、撮像部(図示せず)における撮像により生成された画像信号を処理することが可能である。
【0157】
ここで、本発明の実施形態に係る撮像部(図示せず)としては、例えば、レンズ/撮像素子と信号処理回路とから構成される撮像デバイスが挙げられる。レンズ/撮像素子は、例えば、光学系のレンズと、CMOSなどのローリングシャッター方式に係る撮像素子を複数用いたイメージセンサとで構成される。また、信号処理回路は、例えば、AGC(Automatic Gain Control)回路やADC(Analog to Digital Converter)を備え、撮像素子により生成されたアナログ信号をデジタル信号(画像データ)に変換し、各種信号処理を行う。信号処理回路が行う信号処理としては、例えば、White Balance補正処理、色調補正処理、ガンマ補正処理、YCbCr変換処理、エッジ強調処理などが挙げられる。
【0158】
また、画像処理装置100は、例えば、通信部(図示せず)をさらに備えていてもよい。通信部(図示せず)を備えることによって、画像処理装置100は、例えば、外部装置から送信された画像信号(入力画像信号)を処理し、処理後の画像信号(出力画像信号)を通信部(図示せず)を介して、当該外部装置へ送信することが可能となる。よって、画像処理装置100がさらに通信部(図示せず)を備えることによって、例えば、クラウドコンピューティングなどのネットワークへの接続を前提とした画像処理システムが実現される。
【0159】
また、画像処理装置100は、パラメータ取得部102が撮像パラメータを推定する処理を行う場合(撮像パラメータの取得処理の第3の例)には、例えば、推定を行うために有効な撮像環境を検出する機構や、モード遷移して撮影者に最適な撮像環境をアドバイスする機構などさらに備えていてもよい。上記に構成を有する場合には、画像処理装置100は、推定の精度をさらに向上させることができる。
【0160】
また、上述したように、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、遅延時間情報を取得する構成である場合には遅延時間算出部を備えていなくてもよい。上記の構成の場合には、画像処理装置100は、上記(B)の処理(被写体の動きの検出処理)、および(C)の処理(画像信号の補正処理(動き補償処理))によって、本発明の実施形態に係る画像処理方法を実現する。つまり、上記の構成の場合には、上記(B)の処理および(C)の処理が、上述した本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理に該当する。
【0161】
以上のように、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、撮像装置の撮像パラメータに基づいて、撮像における遅延時間を画素ごとに算出し、当該遅延時間を考慮して複数のフレーム画像から動画像に含まれる被写体の動きを検出する。そして、画像処理装置100は、検出された動きに基づき画像信号を補正することによって、検出された動きを補償する。ここで、画像処理装置100は、撮像における遅延時間を考慮して画像信号の補正を行う。よって、画像処理装置100は、動画像における動きが、例えば、カメラワークであっても物体(被写体)の動きであっても、当該動きを補償することができる。
【0162】
したがって、画像処理装置100は、動画像において発生しうるフォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【0163】
また、画像処理装置100は、画素ごとに読み出し時間位相を求めることが可能であり、撮像における遅延時間を考慮して動きの検出、動きの補償を行うので、補正処理において、同一の時間位相の画素を復元することができる。
【0164】
また、画像処理装置100は、撮像パラメータに基づき撮像における遅延時間を算出するので、撮像装置ごとに精度の高い補正を行うことができる。
【0165】
さらに、画像処理装置100は、算出した参照比率を調整することも可能であるので、例えば、任意の時間位相の画像を生成することができ、また、補正処理と共にフレームレートの変換を行うことができる。
【0166】
以上、本発明の実施形態として画像処理装置100を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られない。本発明の実施形態は、例えば、デジタルカメラなどの撮像装置、PCやサーバなどのコンピュータ、テレビ受像機などの表示装置、携帯電話などの通信装置、映像/音楽再生装置(または映像/音楽記録再生装置)、ゲーム機など、画像信号の処理が可能な様々な機器に適用することができる。また、本発明の実施形態は、例えば、上記のような機器に組み込むことが可能な、画像処理IC(Integrated Circuit)に適用することもできる。
【0167】
(本発明の実施形態に係るプログラム)
コンピュータを、本発明の実施形態に係る画像処理装置として機能させるためのプログラム(例えば、上記(A)の処理〜(C)の処理を実現するためのプログラムや、上記(B)の処理および(C)の処理を実現するためのプログラムなど、本発明の実施形態に係る画像処理方法に係る処理を実現するためのプログラム)によって、フォーカルプレーン歪みを補正することができる。
【0168】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0169】
例えば、上記では、コンピュータを、本発明の実施形態に係る画像処理装置として機能させるためのプログラム(コンピュータプログラム)が提供されることを示したが、本発明の実施形態は、さらに、上記プログラムをそれぞれ記憶させた記録媒体も併せて提供することができる。
【0170】
上述した構成は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、当然に、本発明の技術的範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0171】
100 画像処理装置
102 パラメータ取得部
104 遅延時間算出部
106 動き検出部
108 補正部
110 参照比率算出部
112、114 検出部
116 再検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム画像からなる動画像を示す画像信号と、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報とに基づいて、複数の前記フレーム画像から前記動画像に含まれる被写体の動きを検出する動き検出部と、
前記画像信号と、検出された被写体の動きを示す動き情報とに基づいて、前記画像信号を補正する補正部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
ラインごとに順次撮像を行う撮像素子を有する撮像装置の撮像パラメータに基づいて、前記遅延時間を画素ごとに算出する遅延時間算出部をさらに備える、請求項1に記載の画像装置。
【請求項3】
前記動き検出部は、前記遅延時間情報に基づいて前記動画像が撮像されたときの時間位相を特定し、特定された前記時間位相に基づいて画素ごとに前記被写体の動きを検出する、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記動き検出部は、前記遅延時間情報に基づき特定された前記時間位相を調整する、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記動き検出部は、
前記遅延時間情報に基づいて、複数の前記フレーム画像それぞれを参照する比率を示す参照比率を算出する参照比率算出部と、
算出された参照比率に基づいて前記被写体の動きを検出する第1検出部と、
を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記動き検出部は、
前記画像信号に基づいて前記被写体の動きを検出する第2検出部と、
前記第1検出部において検出された動きを示す動き情報と、前記画像信号と、前記遅延時間情報とに基づいて、前記被写体の動きを再検出する第3検出部と、
を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記補正部は、1または2以上の動き情報に基づいて、前記画像信号を補正する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記動き情報には、複数の前記フレーム画像それぞれを参照する比率を示す参照比率が含まれる、請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記撮像パラメータを取得するパラメータ取得部をさらに備える、請求項2〜8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記パラメータ取得部は、
前記撮像装置を識別する識別情報を、前記画像信号、または、前記識別情報を記憶する記録媒体から取得し、
前記識別情報と前記撮像パラメータとが対応付けられたデータベースから、取得した前記識別情報に対応する前記撮像パラメータを取得する、請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記パラメータ取得部は、前記動き検出部が検出した動き情報に基づいて、前記撮像パラメータを推定して前記撮像パラメータを取得する、請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記パラメータ取得部は、前記画像信号から前記撮像パラメータを取得する、請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記動画像を撮像する撮像部をさらに備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
フレーム画像からなる動画像を示す画像信号と、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報とに基づいて、複数の前記フレーム画像から前記動画像に含まれる被写体の動きを検出するステップと、
前記画像信号と、検出された被写体の動きを示す動き情報とに基づいて、前記画像信号を補正するステップと、
を有する、画像処理方法。
【請求項15】
フレーム画像からなる動画像を示す画像信号と、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報とに基づいて、複数の前記フレーム画像から前記動画像に含まれる被写体の動きを検出するステップ、
前記画像信号と、検出された被写体の動きを示す動き情報とに基づいて、前記画像信号を補正するステップ、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
フレーム画像からなる動画像を示す画像信号と、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報とに基づいて、複数の前記フレーム画像から前記動画像に含まれる被写体の動きを検出する動き検出部と、
前記画像信号と、検出された被写体の動きを示す動き情報とに基づいて、前記画像信号を補正する補正部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
ラインごとに順次撮像を行う撮像素子を有する撮像装置の撮像パラメータに基づいて、前記遅延時間を画素ごとに算出する遅延時間算出部をさらに備える、請求項1に記載の画像装置。
【請求項3】
前記動き検出部は、前記遅延時間情報に基づいて前記動画像が撮像されたときの時間位相を特定し、特定された前記時間位相に基づいて画素ごとに前記被写体の動きを検出する、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記動き検出部は、前記遅延時間情報に基づき特定された前記時間位相を調整する、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記動き検出部は、
前記遅延時間情報に基づいて、複数の前記フレーム画像それぞれを参照する比率を示す参照比率を算出する参照比率算出部と、
算出された参照比率に基づいて前記被写体の動きを検出する第1検出部と、
を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記動き検出部は、
前記画像信号に基づいて前記被写体の動きを検出する第2検出部と、
前記第1検出部において検出された動きを示す動き情報と、前記画像信号と、前記遅延時間情報とに基づいて、前記被写体の動きを再検出する第3検出部と、
を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記補正部は、1または2以上の動き情報に基づいて、前記画像信号を補正する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記動き情報には、複数の前記フレーム画像それぞれを参照する比率を示す参照比率が含まれる、請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記撮像パラメータを取得するパラメータ取得部をさらに備える、請求項2〜8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記パラメータ取得部は、
前記撮像装置を識別する識別情報を、前記画像信号、または、前記識別情報を記憶する記録媒体から取得し、
前記識別情報と前記撮像パラメータとが対応付けられたデータベースから、取得した前記識別情報に対応する前記撮像パラメータを取得する、請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記パラメータ取得部は、前記動き検出部が検出した動き情報に基づいて、前記撮像パラメータを推定して前記撮像パラメータを取得する、請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記パラメータ取得部は、前記画像信号から前記撮像パラメータを取得する、請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記動画像を撮像する撮像部をさらに備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
フレーム画像からなる動画像を示す画像信号と、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報とに基づいて、複数の前記フレーム画像から前記動画像に含まれる被写体の動きを検出するステップと、
前記画像信号と、検出された被写体の動きを示す動き情報とに基づいて、前記画像信号を補正するステップと、
を有する、画像処理方法。
【請求項15】
フレーム画像からなる動画像を示す画像信号と、撮像における遅延時間を示す遅延時間情報とに基づいて、複数の前記フレーム画像から前記動画像に含まれる被写体の動きを検出するステップ、
前記画像信号と、検出された被写体の動きを示す動き情報とに基づいて、前記画像信号を補正するステップ、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−222617(P2012−222617A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86498(P2011−86498)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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