説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体

【課題】本発明は、画像を複数の領域に分割して画像処理した後に合成部分の画像品質を向上させつつ合成する。
【解決手段】画像処理装置1は、分割境界検出部2が、処理対象の画像の画像種類を所定領域毎に判別して、該画像を所定の分割境界で複数の分割画像に分割した後に画像合成部5で合成するときに該分割境界での合成画像の画像品質が劣化し難い分割境界を該画像種類に基づいて設定して、画像分割部3が、該分割境界で該画像を分割画像に分割し、画像処理部4a〜4cが、分割画像それぞれに対して所定の画像処理を施して、画像合成部5が、画像処理後の分割画像を、分割境界検出部2が判別した画像種類に基づいて1つの画像に合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関し、詳細には、画像を複数の領域に分割して画像処理した後に合成する画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、複写装置、プリンタ装置、複合装置等の画像処理装置及び画像形成装置においては、画像処理の都合やラインメモリのライン幅の大きさと処理対象の画像の大きさ等によって、処理対象の画像を複数の領域に分割して分割領域の画像毎に画像処理した後、処理済み画像を繋ぎ合せて合成することが行われている。
【0003】
このような画像を分割して画像処理した後に分割画像を繋ぎ合わせて合成する画像処理においては、画像の繋ぎ目が目立たないように画像処理することが画像品質を向上させる上で、重要な課題となる。
【0004】
そして、従来、画像を分割して得られる複数の部分領域毎に予め設定されている基準合成パラメータを用いて線形補間や線形補間に準じた保管方法によって分割領域画像を合成して繋ぎ目の画質劣化の抑制を図った技術が提案されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、分割画像の繋ぎ目に線形補間やそれに準ずる補間を施して分割画像を合成しているため、境界部分を滑らかにつなぐことはできるが、分割画像の繋ぎ目が文字や網点等の濃度変化の大きい画像であると、分割前の画像よりも先鋭性が低下して、繋ぎ目部分の画像の画質が劣化するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、画像を分割して画像処理した分割画像を繋ぎ合わせたときの繋ぎ目部分の画像品質を向上させることのできる画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、処理対象の画像の画像種類を所定領域毎に判別して、該画像を所定の分割境界で複数の分割画像に分割した後に合成するときに該分割境界での合成画像の画像品質が劣化し難い分割境界を該画像種類に基づいて設定して、該分割境界で該画像を分割画像に分割し、分割画像それぞれに対して所定の画像処理を施して、画像処理後の分割画像を、判別された前記画像種類に基づいて1つの画像に合成することを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、処理対象の画像の地肌を検出し、該地肌領域を前記分割境界として設定することを特徴としてもよい。
【0009】
さらに、本発明は、処理対象の画像の文字、網点等の濃度差の大きい大濃度差領域と絵柄等の濃度差の小さい小濃度差領域を検出して、該大濃度差領域については、該画像のライン毎に主走査方向において該大濃度差領域以外の領域のうち連続する画素数の最も多い領域の中心を分割境界として設定し、該小濃度差領域については、該小濃度差領域の主走査方向中心を分割境界として設定し、該大濃度差領域を前記分割境界として設定すると、該分割境界を挟んだ各分割画像の主走査方向所定幅の地肌濃度を用いて前記分割画像を合成し、該小濃度差領域を該分割境界とすると、該分割境界を挟んだ各分割画像の主走査方向所定幅の各画素に対して主走査方向の座標に応じた線形補間を施して該分割画像を合成することを特徴としてもよい。
【0010】
また、本発明は、前記分割境界の連続性を検出して、同じ画像種類における該分割境界に不連続部分があると、少なくとも該分割境界の不連続部分を挟んだ2ラインの画像種類を他の画像種類に切り替えて前記画像合成手段に通知することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像を分割して画像処理した分割画像を繋ぎ合わたときの繋ぎ目部分の画像品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例を適用した画像処理装置の要部ブロック構成図。
【図2】画像分割境界設定・分割処理を示すフローチャート。
【図3】画像分割から結合までの処理手順の説明図。
【図4】分割前のオーバーラップ領域を含む画像の一例を示す図。
【図5】図4の画像の分割後の画像を示す図。
【図6】地肌部判定処理の説明図。
【図7】画像境界検出部のバッファの一例を示す図。
【図8】ライン判定処理を示すフローチャート。
【図9】ライン判定結果が絵柄ラインまたは行間ラインの場合のマスク境界を示す図。
【図10】ライン判定結果が文字ラインの場合のマスク境界を示す図。
【図11】連続性補正処理の説明図。
【図12】文字ライン、行間ラインの合成処理の説明図。
【図13】絵柄ラインの合成処理の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0014】
図1〜図13は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の一実施例を適用した画像処理装置1の要部ブロック構成図である。
【0015】
図1において、画像処理装置1は、分割境界検出部2、画像分割部3、3つの画像処理部4a、4b、4c及び画像合成部5等を備えており、少なくとも画像処理部4a〜4cは、画像処理ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスで構成されている。画像処理装置1は、上記各部の他に、図示しないが、コントローラや操作表示部及び処理対象の画像データを取り込むデータ取得部等を備えている。
【0016】
コントローラは、CPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、CPUが、ROM内のプログラムに基づいてRAMをワークメモリとして利用して、画像処理装置1の各部を制御して、画像処理装置1としての基本処理を実行するとともに、本発明の分割画像処理を適切に実行する。すなわち、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の画像処理方法を実行する画像処理プログラムを読み込んで、図示しないROMやハードディスクに導入することで、後述する画像を複数に分割して分割画像毎に画像処理を行った後に合成する画像処理方法を実行する画像処理装置として構築されている。この画像処理プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0017】
操作表示部は、画像処理装置1に各種動作を行わせるための各種命令を入力操作する操作キー及び操作キーのキー操作内容や画像処理装置1からユーザに通知する各種情報を表示する表示部等を備えている。
【0018】
データ取得部は、例えば、原稿を主走査及び副走査して該原稿の画像を読み取るスキャナ、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されて該ネットワークに接続されているコンピュータ等の外部装置から画像データを受信するネットワークインターフェイス等である。
【0019】
画像処理部(画像処理手段)4a〜4cは、通常、ライン順次に画像処理を行うが、複数ライン分のラインメモリを備えており、コスト削減等から必要最小限のライン幅のラインメモリを搭載している。画像処理部4a〜4cは、画像処理を行う場合、処理対象の画像のライン幅が、ラインメモリのライン幅よりも大きいときには、処理対象画像を副走査方向に複数の分割画像領域に分割して画像処理を行う必要がある。また、画像処理部4a〜4cは、処理対象画像の画像種類と該画像に対して施す画像処理の内容によっては、処理対象画像を分割して画像処理を行うことが適切な場合がある。
【0020】
そこで、画像処理装置1は、まず、分割境界検出部(分割境界設定手段)2が、処理対象画像の分割境界の検出・設定を行う。分割境界検出部2は、処理対象の画像の画像種類(例えば、文字、ライン間、絵柄等)を判別して、該画像種類に基づいて、処理対象画像の分割及び結合を行うことによって劣化し難い画像領域(画像部分)を分割境界として検出・設定し、検出・設定した分割境界の画像種類情報(文字、絵柄、地肌等)を領域判定結果情報として画像合成部5に出力する。
【0021】
画像分割部(分割手段)3は、分割境界検出部2が設定した分割境界で処理対象画像を分割し、分割した分割画像データをそれぞれ画像処理部4a〜4cに出力する。
【0022】
画像処理部4a〜4cは、それぞれ画像分割部3から入力される分割画像データに対して、所定の画像処理(例えば、処理対象全体に対して予め設定されている画像処理、文字、写真等の画像種類に対して予め設定されている画像処理)を施して、処理済み分割画像データを画像合成部5に出力する。
【0023】
画像合成部(画像合成手段)5は、分割境界検出部2から渡される領域判定結果情報(画像種類情報)に基づいて各画像処理部4a〜4cが画像処理した分割画像データを繋ぎ合わせて1つの画像に合成して、後段の処理部に出力する。
【0024】
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例の画像処理装置1は、処理対象の画像を分割・合成を画像品質が良好な状態で行う。
【0025】
すなわち、画像処理装置1は、例えば、スキャナまたは外部装置から画処理部4a〜4cの備えている画像処理用のラインメモリのライン幅よりもライン幅の大きい画像データが入力されると、分割境界検出部2が、処理対象画像をラインメモリのライン幅の範囲内で分割するが、分割する境界を分割画像を合成する際に画像劣化し難い境界で分割する。
【0026】
まず、分割境界検出部2及び画像分割部3における画像の分割境界の検出・設定及び分割処理について説明する。分割境界検出部2及び画像分割部3は、図2に示すように、画像分割境界設定・分割処理を行う。すなわち、画像境界検出部2は、図2に示すように、まず、分割境界設定処理を行う(ステップS101)。画像境界検出部2は、この分割境界設定処理において、分割した画像に対して画像処理した後に画像合成したときに画像が劣化し難い画像部分を分割境界として検出・設定する。例えば、図3に示すように、文字が混在する画像であって、画像処理部4a〜4cの備えているラインメモリのライン幅で画像を分割する必要があり、領域A1と領域A2で示す領域が画像処理部4a〜4cのラインメモリのライン幅で決定される領域であるとすると、画像境界検出部2は、図3(a)に一点鎖線で示す地肌部分を、画像合成したときに画像が劣化し難い分割境界として検出・設定する。この場合、分割境界検出部2は、分割後の双方の分割画像領域に対して、分割境界側に、一定幅のオーバーラップ領域を取りながら分割境界を定める。例えば、図4の場合、領域A1の矢印と領域A2の矢印が重なっている領域がオーバーラップ領域となる。
【0027】
次に、画像境界検出部2は、分割境界部分における画像に対して、文字・網点の検出を行い、文字・網点部と絵柄部に分ける(ステップS102)。図4は、上半分が文字・網点部であり、下半分が絵柄部である場合を示している。
【0028】
そして、画像境界検出部2は、分割境界部分における画像に対して、地肌検出を行い、地肌部とそれ以外に分ける(ステップS103)。
【0029】
次に、画像境界検出部2は、分割境界部分における画像に対して、マスク境界検出を行う(ステップS104)。画像境界検出部2は、地肌部判定処理(J1)、ライン判定処理(J2)、マスク境界検出処理(J3)及び連続性補正処理(J4)を実行することで、マスク境界検出を行い、これらの各処理については、後で説明する。
【0030】
そして、画像分割部3は、画像境界検出部2が検出・設定した分割境界に基づいて、図3(b)及び図5に示すように、処理対象画像を分割し(ステップS105)、マスク境界に従って各分割領域(図3、図4では、領域A1、領域A2)のうち分割境界側のマスク領域を地肌レベルでマスクして画像分割境界設定・分割処理を終了する(ステップS106)。この地肌レベルで分割境界側のマスク領域をマスクすることで、画像を分割境界で分割したかのように各分割画像を扱うことができる。
【0031】
画像処理部4a〜4cが、このようにして分割された各分割領域A1、A2等の画像(分割画像データ)に対して、例えば、図3(c)に示すように、予め設定された画像処理を行い、画像合成部5が、図3(d)に示すように、画像処理した画像データを、地肌を背面にして繋ぎ合わせることで結合して結合画像を生成する。
【0032】
そして、画像境界検出部2は、上記マスク境界検出における地肌部判定処理(J1)を、図6に示すように行って、オーバーラップ領域内の各画素が地肌であるか否か判定する。すなわち、画像境界検出部2は、図7に示すようなオーバーラップ領域の画像データを複数ライン分バッファリングするバッファを備え、オーバーラップ領域の1ライン当たりM画素分であってNライン分の画像データをバッファに保存する。画像境界検出部2は、例えば、図6において破線で囲ったNライン分の画像データをバッファにバッファリングすると、そのNライン分の画像データを参照して処理対象の画素が地肌であるか否か判定する。
【0033】
そして、画像境界検出部2は、主走査方向の各座標で、Nライン分の画像データの最大値を求め、処理対象ラインの副走査座標をYとしたとき、処理対象ラインの主走査座標0〜Mの最大濃度は、次式により求めることができる。
【0034】
主走査座標0の最大濃度=max(D(0,y-N+1)+D(0,y-N+2)+D(0,y-N+3)+・・・+D(0,y))
主走査座標1の最大濃度=max(D(1,y-N+1)+D(1,y-N+2)+D(1,y-N+3)+・・・+D(1,y))



主走査座標Mの最大濃度=max(D(M,y-N+1)+D(M,y-N+2)+D(M,y-N+3)+・・・+D(M,y))
ここで、座標(a,b)の画素の濃度をD(a,b)としている。
【0035】
そして、画像境界検出部2は、各主走査座標での最大濃度を、予め地肌判定用の閾値として設定されている閾値th_maxと比較して、地肌であるか否か判定する。なお、この閾値th_maxは、適宜設定可能なパラメータである。
【0036】
すなわち、画像境界検出部2は、各主走査座標での画素の最大濃度>th_maxであると、地肌ではないと判断し、各主走査座標での画素の最大濃度≦th_maxであると、地肌であると判断する。
【0037】
また、画像境界検出部2は、上記ライン判定処理(J2)を、図8に示すように、行って、オーバーラップ領域内の各ラインが、絵柄ライン、文字ライン及び行間ラインのいずれのラインであるかを判定する。すなわち、画像境界検出部2は、条件1を満たすか否かチェックし、処理対象のライン(注目ライン)が絵柄ラインであるか否か判定する(ステップS201)。すなわち、画像境界検出部2は、上記文字・網点判定した文字・網点部の画素数を、予め絵柄ラインであるか否かを判定する閾値として設定されている絵柄閾値th_charと比較して、絵柄判定ラインであるか否か判定する。なお、この絵柄閾値th_charは、適宜設定可能なパラメータである。具体的には、画像境界検出部2は、文字・網点検出結果が文字である画素の注目ライン中の画素数>th_charであることを条件1として判断し、文字・網点検出結果が文字である画素の注目ライン中の画素数≦th_charであると、すなわち、ステップS201でNOであると、注目ラインは絵柄ラインであると判定してライン判定処理を終了する(ステップS202)。
【0038】
ステップS201で、文字・網点検出結果が文字である画素の注目ライン中の画素数>th_jihadaであると、すなわち、ステップS201でYESであると、画像境界検出部2は、条件2を満たすか否かチェックし、処理対象のライン(注目ライン)が文字ラインであるか否か判定する(ステップS203)。すなわち、画像境界検出部2は、上記地肌判定した地肌部の画素数を、予め地肌ラインであるか否かを判定する閾値として設定されている地肌閾値th_jihadaと比較して、行間ラインであるか、文字ラインであるかを判定する。なお、この地肌閾値th_jihadaは、適宜設定可能なパラメータである。具体的には、画像境界検出部2は、地肌判定検出結果が地肌である画素の注目ライン中の画素数>th_jihadaであることを条件2として判断し、地肌検出結果が地肌である画素の注目ライン中の画素数≦th_jihadaであると、すなわち、ステップS203でNOであると、注目ラインは文字ラインであると判定してライン判定処理を終了する(ステップS204)。
【0039】
ステップS203で、地肌検出結果が地肌である画素の注目ライン中の画素数>th_jihadaであると、すなわち、ステップS203でYESであると、注目ラインは行間ライン(地肌ライン)であると判定してライン判定処理を終了する(ステップS205)。
【0040】
また、画像境界検出部2は、上記マスク境界検出処理(J3)を、図9及び図10に示すように行って、マスク境界を判定する。すなわち、画像境界検出部2は、上記ライン判定処理(J2)でのライン判定結果が、図9に示すように、濃度差の小さい絵柄ラインまたは行間ライン等の少濃度差領域であると、そのラインの中心をマスク境界とし、上記ライン判定処理(J2)でのライン判定結果が、図10に示すように、濃度差の大きい文字ライン等の大濃度差領域であると、地肌部の連続画素数をカウントして、地肌部における最も連続画素数の多い部分の中心を、マスク境界とする。
【0041】
さらに、画像境界検出部2は、上記連続性補正処理(J4)を、図11及び図12に示すように行って、文字ラインを絵柄ラインに置き換える。すなわち、画像境界検出部2は、図11(a)に示すように、ライン判定処理(J2)で、文字ラインが2ライン連続し、行間ラインが2ライン連続した後、文字ラインが4ライン連続して、上述のようにライン判定処理を行った結果に基づいてマスク境界を判定した場合、文字ラインが4ライン連続しているにもかかわらず、マスク境界が、連続する文字ラインで不連続な状態となっている。
【0042】
このような場合、画像境界検出部2は、連続する文字ラインのうち、マスク境界が不連続部分を挟んだ前後の文字ラインを、図11(b)に示すように、絵柄ラインに変更する。
【0043】
このように、文字ラインを絵柄ラインに変更すると、たとえ、分割境界の位置を誤検出して分割境界が文字に重なる事態が発生しても、当該分割境界部分は、絵柄ラインに置き換えられているため、画像合成部5は、画像合成処理において、後述するように、滑らかに合成することとなり、画質の劣化を防止することができる。
【0044】
そして、画像処理装置1は、上述のようにして、処理対象画像を分割して、各分割画像に対して画像処理をそれぞれ画像処理部4a〜4cで行った後、画像合成部5で、図3(d)に示すように、分割境界検出部2からの領域判定結果情報に基づいて、画像処理部4a〜4cで画像処理された分割画像を合成して1つの画像を生成する。
【0045】
画像合成部5は、この画像合成処理において、上述のように、画像分割の際に、分割後における各分割画像の分割境界側の面には、オーバーラップ領域が設けられており、このオーバーラップ領域を一つの画像に重ね合わせて繋ぎ合わせることで、2つの画像を合成するとともに、図12及び図13に示すように、文字ライン及び行間ラインの場合と、絵柄ラインの場合とで、合成方法を切り替える。
【0046】
すなわち、画像合成部5は、分割境界が文字ライン及び行間ライン等の大濃度差の分割画像を合成する場合には、図12に示すように、画像分割部2が検出した地肌レベルを使用して、2つの分割画像のオーバーラップ領域を重ね合わせて繋ぎ合わせることで合成する。例えば、画像合成部5は、2つの領域A1と領域A2を合成する場合、(領域A1の濃度と地肌レベルの差の絶対値)≧(領域A2の濃度と地肌レベルの差の絶対値)であると、領域A1の濃度を合成後の濃度とし、(領域A1の濃度と地肌レベルの差の絶対値)<(領域A2の濃度と地肌レベルの差の絶対値)であると、領域A2の濃度を合成後の濃度とする。
【0047】
また、画像合成部5は、濃度差の小さい絵柄ライン等の小濃度差の分割画像を合成する場合には、図13に示すように、主走査方向の座標に応じた線形補間を行って画像合成する。すなわち、画像合成部5は、例えば、図13に示すように、領域A1と領域A2を合成するときに、領域A1と領域A2のオーバーラップ領域の画素数がNであった場合、オーバーラップ領域の一番左側(主走査方向先端側)にある画素の主走査座標を「0」と設定すると、オーバーラップ領域の一番右側(主走査方向後端側)にある画素の主走査座標は、N−1となるため、合成後の濃度を、次式によって求める。
【0048】
合成後の濃度=(領域A1の濃度×(N−主走査座標)/N)+(領域A2の濃度×主走査座標/N)
なお、図13においては、合成前の領域A1の濃度と領域A2の濃度が極端に異なっている場合が示されているが、実際には、1つの画像を上述したような分割方法で決定及び設定した分割境界で分割した画像を合成することになるため、合成前における2つの画像の間には、図13に示すような大きな濃度差が発生することは無く、合成後の画像品質を向上させることができる。
【0049】
このように、本実施例の画像処理装置1は、分割境界検出部(分割境界設定手段)2が、処理対象の画像の画像種類を所定領域毎に判別して、該画像を所定の分割境界で複数の分割画像に分割した後に画像合成部5で合成するときに該分割境界での合成画像の画像品質が劣化し難い分割境界を該画像種類に基づいて設定して、画像分割部3が、該分割境界で該画像を分割画像に分割し、画像処理部4a〜4cが、分割画像それぞれに対して所定の画像処理を施して、画像合成部5が、画像処理後の分割画像を、分割境界検出部2が判別した画像種類に基づいて1つの画像に合成している。
【0050】
したがって、画像分割を画像種類に応じて行うことができるとともに、繋ぎ目の画像処理を該画像種類に応じて実施して、分割画像を結合したときの繋ぎ目部分の画像品質を向上させることができる。
【0051】
また、本実施例の画像処理装置1は、分割境界検出部2が、処理対象の画像の地肌を検出し、該地肌領域を分割境界として設定している。
【0052】
したがって、濃度差の大きい画像を分割合成したときの繋ぎ目における画像の先鋭性の劣化を抑制することができ、分割画像を結合したときの繋ぎ目部分の画像品質を適切に向上させることができる。
【0053】
さらに、本実施例の画像処理装置1は、分割境界検出部2が、処理対象の画像の文字、網点等の濃度差の大きい大濃度差領域と絵柄等の濃度差の小さい小濃度差領域を検出して、該大濃度差領域については、該画像のライン毎に主走査方向において該大濃度差領域以外の領域のうち連続する画素数の最も多い領域の中心を分割境界として設定し、該小濃度差領域については、該小濃度差領域の主走査方向中心を分割境界として設定する。そして、画像合成部5が、分割境界検出部2が処理対象の画像の大濃度差領域を分割境界として設定すると、該分割境界を挟んだ各分割画像の主走査方向所定幅の地肌濃度を用いて該分割画像を合成し、前記小濃度差領域を該分割境界とすると、該分割境界を挟んだ各分割画像の主走査方向所定幅の各画素に対して主走査方向の座標に応じた線形補間を施して該分割画像を合成している。
【0054】
したがって、文字部分や網点部分等の濃度差の大きい大濃度差領域を分割した分割画像を結合したときの繋ぎ目部分の画像品質を適切に向上させることができるとともに、絵柄部分等の濃度差の小さい小濃度差領域分割した分割画像を結合したときの繋ぎ目部分の画像品質を適切に向上させることができる。
【0055】
また、本実施例の画像処理装置1は、分割境界検出部2が、処理対象の画像の所定ライン数を比較判断して、ライン毎に分割境界を設定している。
【0056】
したがって、より一層適切な分割境界を検出して設定することができ、分割画像を結合したときの繋ぎ目部分の画像品質をより一層適切に向上させることができる。
【0057】
さらに、本実施例の画像処理装置1は、分割境界検出部2が、分割境界の連続性を検出して、同じ画像種類における該分割境界に不連続部分があると、少なくとも該分割境界の不連続部分を挟んだ2ラインの画像種類を他の画像種類に切り替えて画像合成部5に通知している。
【0058】
したがって、分割境界を誤検出した場合にも、分割画像を合成したときの繋ぎ目の画像劣化を防止することができ、繋ぎ目の画像品質を向上させることができる。
【0059】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、画像を複数の領域に分割して画像処理した後に合成するスキャナ装置、コンピュータ等の画像処理装置及び画像処理装置を搭載するファクシミリ装置、複写装置、プリンタ装置、複合装置等画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 画像処理装置
2 分割境界検出部
3 画像分割部
4a、4b、4c 画像処理部
5 画像合成部
A1、A2 分割領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2004−287794号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の画像の画像種類を所定領域毎に判別して、該画像を所定の分割境界で複数の分割画像に分割した後に合成するときに該分割境界での合成画像の画像品質が劣化し難い分割境界を該画像種類に基づいて設定する分割境界設定手段と、
処理対象の前記画像を前記分割境界で分割画像に分割する分割手段と、
前記分割画像それぞれに対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、
画像処理後の前記分割画像を前記分割境界設定手段の判別した画像種類に基づいて1つの画像に合成する画像合成手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記分割境界設定手段は、
処理対象の画像の地肌を検出し、該地肌領域を前記分割境界として設定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記分割境界設定手段は、
処理対象の画像の文字、網点等の濃度差の大きい大濃度差領域と絵柄等の濃度差の小さい小濃度差領域を検出して、該大濃度差領域については、該画像のライン毎に主走査方向において該大濃度差領域以外の領域のうち連続する画素数の最も多い領域の中心を分割境界として設定し、該小濃度差領域については、該小濃度差領域の主走査方向中心を分割境界として設定し、
前記画像合成手段は、
前記分割境界設定手段が前記大濃度差領域を前記分割境界として設定すると、該分割境界を挟んだ各分割画像の主走査方向所定幅の地肌濃度を用いて該分割画像を合成し、前記小濃度差領域を該分割境界とすると、該分割境界を挟んだ各分割画像の主走査方向所定幅の各画素に対して主走査方向の座標に応じた線形補間を施して該分割画像を合成することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記分割境界設定手段は、
前記画像の所定ライン数を比較判断して、ライン毎に前記分割境界を設定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記分割境界設定手段は、
前記分割境界の連続性を検出して、同じ画像種類における該分割境界に不連続部分があると、少なくとも該分割境界の不連続部分を挟んだ2ラインの画像種類を他の画像種類に切り替えて前記画像合成手段に通知することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置を搭載していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
処理対象の画像の画像種類を所定領域毎に判別して、該画像を所定の分割境界で複数の分割画像に分割した後に合成するときに該分割境界での合成画像の画像品質が劣化し難い分割境界を該画像種類に基づいて設定する分割境界設定処理ステップと、
処理対象の前記画像を前記分割境界で分割画像に分割する分割処理ステップと、
前記分割画像それぞれに対して所定の画像処理を施す画像処理ステップと、
画像処理後の前記分割画像を前記分割境界設定処理ステップで判別された画像種類に基づいて1つの画像に合成する画像合成処理ステップと、
を有していることを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
処理対象の画像の画像種類を所定領域毎に判別して、該画像を所定の分割境界で複数の分割画像に分割した後に合成するときに該分割境界での合成画像の画像品質が劣化し難い分割境界を該画像種類に基づいて設定する分割境界設定処理と、
処理対象の前記画像を前記分割境界で分割画像に分割する分割処理と、
前記分割画像それぞれに対して所定の画像処理を施す画像処理と、
画像処理後の前記分割画像を前記分割境界設定処理で判別された画像種類に基づいて1つの画像に合成する画像合成処理と、
を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項9】
請求項8記載の画像処理プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−227601(P2012−227601A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91136(P2011−91136)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】