説明

画像処理装置、画像形成装置、画像形成システム、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】表示するプレビュー画像においてモアレが生じる事を抑制する。
【解決手段】画像処理装置1は、閾値TH以上の表示倍率が指定された場合、階調再現処理部21による処理を経た後の画像データに対して前記表示倍率に基づく表示用変倍処理を施し、この表示用変倍処理後の画像データを表示用画像データとして出力する一方、閾値TH未満の表示倍率が指定された場合、階調再現処理部21による処理を経ていない画像データに対して前記表示倍率に基づく表示用変倍処理を施し、この表示用変倍処理後の画像データを表示用画像データとして出力する表示用変倍処理部24と、印刷解像度および表示解像度に基づいて閾値THを設定する閾値設定部27とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷前のプレビュー表示に用いられる画像データを処理する画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カラー画像を高画質で印刷出力するフルカラーのデジタル複合機が製品化されている。このようなデジタル複合機には、画像表示装置を備え、画像形成されて出力される印刷物を使用者が事前に確認できるように、上記画像表示装置にプレビュー画像を表示するものがある。
【0003】
使用者は、このプレビュー画像を見て余白のサイズや画像全体あるいは下地の濃さなどを確認し、印刷条件を操作パネルからの入力指示により調整することができる。なお、入力指示は、画像表示装置(タッチパネル)に表示されるユーザインターフェイスにて行なわれてもよい。
【0004】
また、上記画像表示装置では、印刷する予定の画像全体が表示されるように画像を縮小して表示し、且つ、印刷する予定の画像の一部のみが詳細に表示されるように画像を拡大して表示することが可能である。これにより、使用者は、縮小されたプレビュー画像を見て余白のサイズや画像全体あるいは下地の濃さなどを確認し、拡大されたプレビュー画像を見て画像の細部を確認でき、所望の印刷条件を操作パネルからの入力指示により調整できる。なお、使用者は、画像表示装置に表示される画像を拡大または縮小させる場合、所望の表示倍率を入力するようになっており、画像表示装置は、入力された表示倍率に応じて画像データに対して表示用変倍処理を行い、変倍された画像データの画像を表示する。
【0005】
また、印刷される画像には階調再現処理(中間調処理)が施されているため、階調再現処理が施されたプレビュー画像を表示することが望ましい。ところが、階調再現処理の一つであるディザ処理が施されたプレビュー画像を表示する場合、プレビュー画像にモアレが発生し、実際に印刷される画像と表示されるプレビュー画像との間で見た目の差異が大きくなるというデメリットが生じる。これは、ディザ処理にて生成される画像は、細かいディザパターンに基づく処理が施されて細かな周期的成分を有しているが、前記の表示用変倍処理において画像データが間引かれると、前記周期的成分を正確に反映させるための必要十分な画素数が得られないことがあり、これによってモアレが発生することがあるためである。
【0006】
これに対し、特許文献1は前記のデメリットを抑制する手法を提案している。特許文献1の手法は、閾値以上の表示倍率(表示用変倍処理の倍率)が指定された場合に、階調再現処理が施された画像データを表示用の画像データとして表示する一方、閾値未満の表示倍率が指定された場合に、階調再現処理が施されていない画像データを表示用の画像データとして表示するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−296460号公報(公開日:2009年12月17日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の手法においては、ディザパターンの周期的成分を正確に反映させるための必要十分な画素数を確保できる程度の表示倍率が前記の閾値として設定されることになる。しかし、特許文献1の手法では、閾値が一定であるため以下に説明する問題を有する。
【0009】
表示装置の表示解像度は一般的に印刷装置の印刷解像度よりも低い。それゆえ、プレビュー画像に対して施される表示用変倍処理においては、表示倍率に応じた画像寸法(長さ)になるように変倍されるだけではなく、画像データの解像度が印刷解像度から表示解像度になるように変倍される。
【0010】
つまり、印刷解像度や表示解像度が変われば、上記表示用変倍処理において間引かれるデータ量が変動することになる。それゆえ、印刷解像度や表示解像度が変われば、ディザパターンの周期的成分を正確に反映させるための必要十分な画素数を確保できる程度の表示倍率の値も変動することになる。
【0011】
具体的に、印刷解像度が高くなるほど間引かれる画素数が増加し、表示倍率が高くなるほど間引かれる画素数が減少する。つまり、印刷解像度が高くなるほど、前記周期的成分を正確に反映させるための必要十分な画素数を得るための表示倍率(モアレを抑制し得る表示倍率)は高くなる。
【0012】
また、表示解像度が高くなるほど間引かれる画素数が減少する。つまり、表示解像度が高くなるほど、前記周期的成分を正確に反映させるための必要十分な画素数を得るための表示倍率は低くなる。
【0013】
したがって、ディザパターンの周期的成分を正確に反映させるための必要十分な画素数を得るための表示倍率は、印刷解像度や表示解像度に応じて変動するものである。それゆえ、上記の閾値を一定にしている特許文献1の手法によれば、プレビュー画像を表示するための画像表示装置を交換や変更して表示解像度が変更された場合、または、印刷解像度の設定値を変更した場合、上記の閾値が、ディザパターンの周期的成分を正確に反映させるための必要十分な画素数を得るための表示倍率ではなくなり、モアレの発生を抑制できないという問題が生じる。
【0014】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、表示するプレビュー画像においてモアレが生じる事を抑制する画像処理装置、画像形成装置、画像形成システム、画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の目的を達成するために、本発明は、画像表示装置に適用可能な色空間の入力画像データを、印刷処理に適用可能な色空間の画像データに変換する色空間変換部と、前記色空間変換部による処理を経た画像データに対して、印刷装置にて印刷処理を実行するための中間調処理を施す階調再現処理部とを備えた画像処理装置において、前記階調再現処理部の処理を経た画像データを前記画像表示装置に適用可能な色空間の画像データに変換する表示用変換処理部と、前記画像表示装置での表示倍率として閾値以上の表示倍率が指定された場合、前記表示用変換処理部による処理を経た画像データに対して、指定された表示倍率に基づく表示用変倍処理を施し、当該表示用変倍処理後の前記画像データを表示用の画像データとして出力する一方、前記画像表示装置での表示倍率として前記閾値未満の表示倍率が指定された場合、前記入力画像データに対して、指定された表示倍率に基づく表示用変倍処理を施し、当該表示用変倍処理後の前記入力画像データを表示用の画像データとして出力する表示用データ出力部と、前記印刷装置の印刷解像度および前記画像表示装置の表示解像度に基づいて前記閾値を設定する閾値設定部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明によれば、画像表示装置に適用可能な色空間の入力画像データを、印刷処理に適用可能な色空間の画像データに変換する色空間変換工程と、前記色空間変換工程による処理を経た画像データに対して、印刷装置にて印刷処理を実行するための中間調処理を施す階調再現処理工程とを含む画像処理方法において、前記階調再現処理工程の処理を経た画像データを画像表示装置に適用可能な色空間の画像データに変換する表示用変換工程と、前記画像表示装置での表示倍率として閾値以上の表示倍率が指定された場合、前記表示用変換処理工程による処理を経た画像データに対して、指定された表示倍率に基づく表示用変倍処理を施し、当該表示用変倍処理後の前記画像データを表示用の画像データとして出力する一方、前記画像表示装置での表示倍率として前記閾値未満の表示倍率が指定された場合、前記入力画像データに対して、指定された表示倍率に基づく表示用変倍処理を施し、当該表示用変倍処理後の前記入力画像データを表示用の画像データとして出力する表示用データ出力工程と、前記印刷装置の印刷解像度および前記画像表示装置の表示解像度に基づいて前記閾値を設定する閾値設定工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
前記の構成によれば、表示解像度または印刷解像度が変動することによってディザパターンの周期的成分を正確に反映させるための必要十分な画素数を得るための表示倍率が変動しても、表示解像度または印刷解像度に基づいて前記閾値を変更しているため、閾値以上の数値範囲がディザパターンの周期的成分を正確に反映させるための必要十分な画素数を得られるような表示倍率の数値範囲になるように閾値を設定できる。これにより、プレビュー画像を表示するための表示装置を交換や変更して表示解像度が変更され、または、印刷解像度の設定値が変更された場合であっても、表示されるプレビュー画像にモアレが発生することを抑制できるという効果を奏する。
【0018】
また、前記の構成によれば、印刷解像度を変動させた場合の画質の相違をプレビュー画像に適切に反映させることができ、利用者はプレビュー画像によって印刷解像度の違いによる画質の相違を容易に把握できるというメリットを有することになる。
【0019】
なお、本発明の画像処理装置において、前記表示倍率は、前記入力画像データの画像の所定部の長さに対する、前記表示装置にて表示される画像の前記所定部の長さの比率であり、前記閾値設定部は、前記表示解像度に対する前記印刷解像度の比率を前記閾値として設定するようになっていてもよい。
【0020】
また、本発明の画像処理装置は、前記構成に加えて、印刷装置に送られる画像データに対して、指定されている印刷倍率に基づく印刷用変倍処理を行う印刷用変倍処理部を備え、前記印刷用変倍処理部は、前記表示倍率が前記閾値以上である場合、前記表示用変換処理部に向けて送られる画像データであって前記階調再現処理部の処理を経る前の画像データに対して前記印刷用変倍処理を行うようになっており、前記印刷倍率は、前記入力画像データの画像の所定部の長さに対する、前記印刷装置にて印刷される画像の前記所定部の長さの比率であり、前記表示倍率は、前記入力画像データの画像の所定部の長さに対する、前記表示装置にて表示される画像の前記所定部の長さの比率であり、前記閾値設定部は、下記式1によって前記閾値を設定することを特徴とする。
閾値=印刷倍率×(印刷解像度/表示解像度) 式1
これにより、印刷倍率を調整可能な構成においても、閾値以上の数値範囲がディザパターンの周期的成分を正確に反映させるための必要十分な画素数を得られるような表示倍率の数値範囲になるように閾値を設定できる。よって、表示されるプレビュー画像にモアレが発生することを抑制できるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明の画像形成装置は、前記画像処理装置を備えるとともに、前記印刷装置を備えている構成である。この構成においても、上述した本発明の画像処理装置と略同一の効果を奏する。
【0022】
さらに、本発明の画像形成システムは、画像表示装置を有する端末装置と、画像データに基づいて印刷を行う印刷装置とを備え、これら端末装置と印刷装置とが通信により情報の送受信を行うとともに、画像表示装置に適用可能な色空間の第1画像データを前記端末装置から受信すると、第1画像データを印刷処理に適用可能な色空間の画像データに変換する色空間変換部と、前記色空間変換部による処理を経た画像データに対して、印刷装置にて印刷処理を実行するための中間調処理を施す階調再現処理部とを前記印刷装置が備えている画像形成システムにおいて、前記端末装置は、表示用変換処理部と表示用データ出力部と閾値設定部とを備え、前記印刷装置にて対して前記第1画像データを送信し、前記印刷装置は、前記階調再現処理部による処理を経た後の画像データを前記端末装置に送信し、前記端末装置の前記表示用変換処理部は、前記階調再現処理部の処理を経た画像データを画像表示装置に適用可能な色空間の画像データに変換し、前記端末装置の表示用データ出力部は、前記画像表示装置での表示倍率として閾値以上の表示倍率が指定された場合、前記表示用変換処理部による処理を経た画像データに対して指定された表示倍率に基づく表示用変倍処理を施し、当該表示用変倍処理後の前記画像データを表示用の画像データとして出力する一方、前記画像表示装置での表示倍率として前記閾値未満の表示倍率が指定された場合、前記第1画像データを表示用の画像データとして出力し、前記端末装置の閾値設定部は、前記印刷装置の印刷解像度と前記画像表示装置の表示解像度とに基づいて前記閾値を設定することを特徴とする。この構成においても、上述した本発明の画像処理装置と略同一の効果を奏する。
【0023】
なお、本発明の画像処理装置に含まれる各部をコンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記画像処理装置の各部として機能させるためのプログラム、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0024】
本発明の構成によれば、プレビュー画像を表示するための表示装置を交換や変更して表示解像度が変更され、または、印刷解像度の設定値が変更された場合であっても、表示されるプレビュー画像にモアレが発生することを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態の複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】プリンタドライバを格納したコンピュータを示すブロック図である。
【図3】(a)は、図1に示した画像処理装置および図2に示したコンピュータのプリンタドライバにおけるプレビュー画像の出力動作を示すフローチャートであり、(b)は、(a)に示した動作に続くプレビュー画像の出力動作を示すフローチャートである。
【図4】ディスプレイドライバを格納したコンピュータとプリンタとを示すブロック図である。
【図5】(a)は、図4に示したコンピュータにおけるプレビュー画像の出力動作を示すフローチャートであり、(b)は、(a)に示した動作に続くプレビュー画像の出力動作を示すフローチャートである。
【図6】図5に示したコンピュータの動作に対応したプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の別の実施形態の複合機の構成を示すブロック図である。
【図8】(a)は、図7に示した画像処理装置および図2に示したコンピュータのプリンタドライバにおけるプレビュー画像の出力動作を示すフローチャートであり、(b)は、(a)に示した動作に続くプレビュー画像の出力動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態における画像処理装置1を備えた複合機100の構成を示すブロック図である。
【0027】
画像処理装置1は、画像入力装置2または外部端末から入力した画像データを送受信部6のハードディスクに保存する。その後、印刷前のプレビュー画像の表示指示が入力されると、画像処理装置1は、ハードディスクに保存されている画像データを読み出し、この画像データに表示用の画像処理を施すことでプレビュー画像の画像データを作成し、この画像データを画像表示装置4に出力する。複合機100の使用者は、表示されているプレビュー画像から印刷結果を予想し、画質調整を行う。そして、プレビュー画像から予想される印刷結果が許容できるもの、あるいは満足できるものとなった場合、印刷指示を入力する。この印刷指示が入力されると、画像処理装置1は、送受信部6のハードディスクに保存されている画像データを読み出し、この画像データに対して印刷用の画像処理を施し、この画像処理を施した画像データを画像出力装置3に送るようになっている。そして、画像出力装置3が前記画像データに基づいて印刷処理を行う。
【0028】
複合機(デジタルカラー複合機)100は、画像読取、印刷、複写、通信、表示等の多機能を実行可能な装置である。複合機(画像形成装置)100は、画像処理装置1、画像入力装置2、画像出力装置(印刷装置)3、画像表示装置4、操作パネル5、送受信部(ハードディスク)6および制御部7を備えている。送受信部6にはパーソナルコンピュータ(PC)8が接続されている。
【0029】
画像入力装置(カラー画像入力装置)2は、例えばCCD(Charge Coupled Device)を備えたスキャナ部にて構成されている。画像入力装置2は、原稿からの反射光像を読み取って、RGB(R:赤、G:緑、B:青)のアナログ信号の画像データを画像処理装置1に入力する。
【0030】
画像処理装置(カラー画像処理装置)1は、入力された画像データを処理し、印刷実行時は画像データを画像出力装置3に供給し、プレビュー画像の表示時は画像データを画像表示装置4に供給する装置である。
【0031】
画像出力装置(カラー画像出力装置)3は、画像を用紙(シート)に印刷出力する装置である。画像出力装置(印刷装置)3は、例えば電子写真方式またはインクジェット方式のカラー印刷装置からなるものの、特にこれらの構成に限定されるものではない。
【0032】
画像表示装置(カラー画像表示装置)4は、カラー画像を表示する装置であり、印刷前において、印刷予定の画像を表したプレビュー画像を表示するディスプレイである。また、画像表示装置4の具体例としては、液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイが挙げられる。なお、画像表示装置4は、HDMI(High Definition Multimedia Interface)またはDVI(Digital Visual Interface)等の通信インターフェイスを介して画像処理装置1に接続されるものである。すなわち、本実施形態の複合機100では、画像表示装置4を画像処理装置1から切り離して別の画像表示装置4を画像処理装置1に接続するといったことが可能になる(つまり画像表示装置4を交換できる)。
【0033】
操作パネル5は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示部と設定ボタン等の操作部とが一体化されたタッチパネル等により構成される。操作パネル5より入力された情報に基づいて画像入力装置2、画像処理装置1、画像出力装置3、画像表示装置4の動作が制御される。
【0034】
特に、本実施形態では、印刷処理の指示が使用者によって入力された場合は印刷処理が行われ、プレビュー画像の表示の指示が使用者によって入力された場合はプレビュー画像の表示が行われるが、これら指示は操作パネル5から入力されるようになっている。また、プレビュー画像の表示の指示が入力される場合、表示倍率が使用者によって指定されるが、利用者に指定される表示倍率も操作パネル5から入力される。そして、入力された印刷処理の指示、表示の指示、表示倍率は、制御部7に認識されるようになっている。
【0035】
つぎに、表示倍率について説明する。表示倍率は、表示されるプレビュー画像の拡大縮小率であり、下記の式Aにて定義される値である。
表示倍率(%)=(画像表示装置4にて表示される画像の所定部の寸法/入力画像データの画像の所定部の寸法)×100 式A
式Aの入力画像データとは、印刷処理の指示またはプレビュー画像の表示の指示が入力される前に送受信部6にて一旦保存されている画像データを意味する(具体的には、画像入力装置2にて読み取られて送受信部6にて一旦記憶されている画像データ、または、PC8から送信され送受信部6に一旦記憶されている画像データを意味する)。また、所定部の寸法とは、主走査方向(横方向)の長さ、または、副走査方向(縦方向)の長さを意味する。なお、ここでの「長さ」とは、画素数の多少を意味するものではなく、画像における実際の長短を意味するものである。
【0036】
つぎに、画像処理装置1を詳細に説明する。画像処理装置1は、A/D(アナログ/デジタル)変換部11、シェーディング補正部12、入力階調補正部13、画像データ圧縮部14、画像データ伸張部15、第1経路切替部16、色補正部17、黒生成下色除去部18、空間フィルタ処理部19、出力階調補正部20、階調再現処理部21、第2経路切替部22、表示用変換処理部23、表示用変倍処理部24、表示用出力階調補正部25、領域分離処理部26、および、閾値設定部27を備えている。なお、画像処理装置1に備えられる各部にて実行される各処理は制御部(例えばCPU(Central Processing Unit))7により制御される。
【0037】
画像入力装置2から画像処理装置1に画像データが供給されると、この画像データは、A/D変換部11、シェーディング補正部12、入力階調補正部13、画像データ圧縮部14を経由して、送受信部6のハードディスクに保存される。
【0038】
その後、印刷処理の指示が複合機100に入力されると、送受信部6のハードディスクの画像データは読み出され、画像データ伸張部15、第1経路切替部16、色補正部17、黒生成下色除去部18、空間フィルタ処理部19、出力階調補正部20および階調再現処理部21、第2経路切替部22の順に送られ、CMYKのデジタルカラー信号として画像出力装置3へ出力される。また、第1経路切替部16から出力される画像データは、色補正部17以外に領域分離処理部26にも送られるようになっている。
【0039】
また、プレビュー画像の表示の指示が入力され、且つ、指定された表示倍率が後述する閾値TH以上の場合、送受信部6のハードディスクの画像データは読み出され、印刷処理時と同様に、画像データ伸張部15〜階調再現処理部21を経由し、第2経路切替部22に入力する。ところが、第2経路切替部22から出力される画像データは、画像出力装置3に向かわず、表示用変換処理部23〜表示用出力階調補正部25を経由して、RGBのデジタルカラー信号として画像表示装置4へ出力される。また、この場合においても、第1経路切替部16から出力される画像データは、色補正部17以外に領域分離処理部26にも送られるようになっている。
【0040】
これに対し、プレビュー画像の表示の指示が入力され、且つ、指定された表示倍率が閾値TH未満の場合、送受信部6のハードディスクの画像データは読み出され、画像データ伸張部15を経由した後に第1経路切替部16に入力する。ところが、第1経路切替部16から出力される画像データは、色補正部17〜表示用変換処理部23を経由せず(階調再現処理部21を経由せず)、表示用変倍処理部24および表示用出力階調補正部25を経由して、RGBのデジタルカラー信号として画像表示装置4へ出力される。
【0041】
つまり、印刷処理の場合と、プレビュー画像表示時であって表示倍率が閾値TH以上である場合と、プレビュー画像表示時であって表示倍率が閾値TH未満である場合とで、画像データの経路が切替られるようになっている。この経路の切り替えは、第1経路切替部16および第2経路切替部22にて行われ、閾値THの設定は閾値設定部27にて行われる。第1経路切替部16、第2経路切替部22、閾値設定部27については後に詳述する。
【0042】
つぎに、画像処理装置1に設けられる各部について順に説明する。A/D変換部11は、画像入力装置2から送られてきたRGBのアナログ信号をデジタル信号に変換し、シェーディング補正部12は、A/D変換部11から入力されたデジタルのRGB信号に対して、画像入力装置2の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施す。
【0043】
入力階調補正部13は、シェーディング補正部12にて各種の歪みが取り除かれカラーバランスが調整されたRGBの反射率信号を、RGBの濃度信号等(画像処理装置1に採用され、画像処理の際に扱い易い信号)に変換するとともに、カラーバランスの調整を行う。また、入力階調補正部13では、下地濃度の除去やコントラストなどの画質調整処理を行う。
【0044】
画像データ圧縮部14は、入力階調補正部13から入力されたRGB信号に対して圧縮処理を行い、圧縮したRGB信号のデータコードを、ハードディスクを有する送受信部6に引き渡す。送受信部6では、入力された信号を一旦ハードディスクに保存し、ファイリングデータとして管理する。また、送受信部6では、コピー出力動作やコンピュータ(PC)から印刷出力動作が指示された場合、または、プレビュー画像の表示動作が指示された場合、圧縮されている上記データコードをハードディスクから読み出し、画像データ伸張部15に引き渡す。一方、イメージ送信動作が指示された場合、上記データコードをハードディスクから読み出し、ネットワーク網や通信回線を介して外部接続装置、例えばPC8へ伝送する。なお、ファイリングデータの管理やデータの引渡し動作の制御については制御部7が行う。
【0045】
画像データ伸張部15は、圧縮されているデータコードに対して復号化処理などを施し、RGB信号の画像データに伸張する。画像データ伸張部15にて伸張された画像データは、第1経路切替部16に入力される。
【0046】
なお、画像データ圧縮部14および画像データ伸張部15は、画像データ(RGB信号)を送受信部6のハードディスクに記録する際の記録容量の低減等のために設けられたものであり、画像処理装置1において必須のものではない。
【0047】
第1経路切替部16は、画像データの経路を切替える処理を行うブロックである。具体的に、印刷処理の指示が複合機100に入力された場合、第1経路切替部16は、画像データ伸張部15から受け取った入力画像データを色補正部17および領域分離処理部26に転送するようになっている。また、プレビュー画像の表示の指示が入力され、表示倍率が閾値TH以上に指定されている場合も、第1経路切替部16は、画像データ伸張部15から受け取った入力画像データを色補正部17および領域分離処理部26に転送するようになっている。
【0048】
これに対し、プレビュー画像の表示の指示が入力されており表示倍率が閾値TH未満の場合、第1経路切替部16は、画像データ伸張部15から受け取ったRGB信号の入力画像データを、色補正部17に転送せず、後述する表示用変倍処理部24に転送するようになっている。
【0049】
なお、第1経路切替部16は、後述する閾値設定部27から閾値THを取得し、制御部7から表示倍率を取得して、表示倍率が閾値TH以上であるか否かを認識している。
【0050】
領域分離処理部26は、RGB信号によって表される入力画像の各画素を文字領域、網点領域、写真領域を含む複数の領域に分離する。領域分離処理部26は、分離結果に基づき、画素がどの領域に属しているかを示す領域識別信号を、黒生成下色除去部18、空間フィルタ処理部19、出力階調補正部20および階調再現処理部21へ出力する。また、領域識別信号を色補正部17にも出力するようにしても良い。
【0051】
色補正部(色空間変換部)17は、第1経路切替部16から受け取ったRGBの色空間(画像表示装置4に適用可能な色空間)の画像データを、CMYの色空間(画像出力装置3に適用可能な色空間)の画像データに変換し、色再現の忠実化実現のために、不要吸収成分を含むCMY(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー)色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理を行う。色補正部17による処理の施された画像データは黒生成下色除去部18に送られる。
【0052】
黒生成下色除去部18は、色補正部17から送られてきたCMYの3色信号から黒(K)信号を生成する黒生成処理、および、元のCMY信号から黒生成で得たK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理を行う。これにより、CMYの3色信号の画像データがCMYKの4色信号の画像データに変換されることになる。黒生成下色除去部18による処理の行われた画像データは空間フィルタ処理部19に送られる。
【0053】
なお、黒生成処理の一例として、スケルトンブラックによる黒生成を行う方法(一般的方法)がある。この方法では、スケルトンカーブの入出力特性をy=f(x)、入力されるデータをC,M,Y、出力されるデータをC',M',Y',K'、UCR(Under Color Removal)率をα(0<α<1)とすると、黒生成下色除去処理は以下の(1)で表わされる。
【0054】
【数1】

【0055】
空間フィルタ処理部19は、黒生成下色除去部18より入力されるCMYK信号の画像データに対して、領域識別信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行い、処理後の画像データを出力階調補正部20に送る。空間フィルタ処理部19での処理では、画像データの空間周波数特性を補正することによって、出力画像のぼやけや粒状性劣化を防ぐようにする。また、階調再現処理部21は、出力階調補正部20から送られてくるCMYK信号の画像データに対して、空間フィルタ処理部19と同様に領域識別信号を基に、ディザ処理や誤差拡散処理を用いて中間調処理を施す。
【0056】
例えば、領域分離処理部26にて文字に分離された領域は、特に黒文字或いは色文字の再現性を高めるために、空間フィルタ処理部19による空間フィルタ処理における鮮鋭強調処理により高周波数の強調量が大きくされる。同時に、階調再現処理部21においては、高域周波数の再現に適した高解像度のスクリーンでの2値化または多値化処理が選択される。また、領域分離処理部26にて網点領域に分離された領域に関しては、空間フィルタ処理部19において、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理が施される。
【0057】
出力階調補正部20は、空間フィルタ処理部19から送られてきた濃度信号などの画像データをカラー画像出力装置3の特性値である網点面積率に変換する出力階調補正処理を行う。その後、画像データは、階調再現処理部21に入力し、階調再現処理部21において最終的に画像を画素に分離してそれぞれの階調を再現できるようにする階調再現処理(中間調生成)が施される。領域分離処理部26にて写真に分離された領域に関しては、階調再現性を重視したスクリーンでの2値化または多値化処理が行われる。なお、階調再現処理部21にて処理の行われた後の画像データは第2経路切替部22に送られるようになっている。
【0058】
第2経路切替部22は、画像データの経路を切替える処理を行うブロックである。具体的に、印刷処理の指示が複合機100に入力された場合、第2経路切替部22は、階調再現処理部21から受け取った画像データを印刷用記憶部(図示せず)に送り、この印刷用記憶部に画像データを一旦保存するようになっている。そして、この印刷用記憶部に保存された画像データは、所定のタイミングで読み出されて画像出力装置3に供給される。
【0059】
これに対し、プレビュー画像の表示の指示が複合機100に入力されている場合、第2経路切替部22は、階調再現処理部21から受け取った画像データを、前記の印刷用記憶部に送るのではなく、表示用変換処理部23に転送するようになっている。
【0060】
表示用変換処理部23は、プレビュー画像の表示の指示が入力されている場合、第2経路切替部22からCMYK信号の画像データを入力し、このCMYK信号の画像データ(色補正部17〜階調再現処理部21の各部の処理が施されている画像データ)に対して下記の演算を行ってRGB信号を生成する。つまり、表示用変換処理部23は、CMYKの色空間(画像出力装置3に適用可能な色空間)の画像データを、RGBの色空間(画像表示装置4に適用可能な色空間)の画像データに変換している。
【0061】
R=255−(C+K)
G=255−(M+K)
B=255−(Y+K)
表示用変換処理部23にて処理された後のRGB信号の画像データは表示用変倍処理部24に出力される。
【0062】
表示用変倍処理部(表示用データ出力部)24は、当該表示用変倍処理部24に送られてくる画像データに対して、使用者に指定されている表示倍率に基づいて表示用変倍処理を行い、表示用変倍処理後の画像データを表示用の画像データとして出力するブロックである。
【0063】
ここで、表示用変倍処理とは、画像表示装置4にて表示される表示画像(プレビュー)の寸法が使用者に指定されている表示倍率に応じた寸法になるように画像データの画像に対して行われる拡大縮小処理を意味する。また、本実施形態の表示用変倍処理では、画像データの画像の解像度が表示解像度と同一値になるように解像度変換も行われる。つまり、表示用変倍処理とは、表示用変倍処理部24に入力される画像データの画像の寸法を表示倍率(式A参照)に応じた寸法に調整し、且つ、当該画像データの画像の解像度を表示解像度と同一値に調整する処理を意味する。つまり、表示用変倍処理では、画像データ(画素)が間引かれる場合がある。
【0064】
また、表示用変倍処理部24は、指定されている表示倍率が閾値TH以上である場合、色補正部17から階調再現処理部21までの処理が行われており表示用変換処理部23にてRGB信号に変換された画像データを表示用変換処理部23から入力し、この画像データに対して、指定された表示倍率に応じて表示用変倍処理を行うようになっている。これに対し、表示用変倍処理部24は、指定されている表示倍率が閾値TH未満である場合、色補正部17〜階調再現処理部21の処理が施されていないRGB信号の画像データ(入力画像データ)を第1経路切替部16から入力し、この画像データに対して、指定されている表示倍率に基づいて表示用変倍処理を行うようになっている。
【0065】
以下では、表示倍率が閾値TH以上である場合と表示倍率が閾値TH未満である場合とで表示用変倍処理部24へ入力する画像データを変更している理由について詳細に説明する。
【0066】
一般的な画像処理装置において、表示用変倍処理部に入力される画像データの解像度は、印刷解像度(画像出力装置等の印刷装置にて印刷される画像の解像度)と等しい値になっている。これは、スキャナやPCから送られてくる画像データの解像度は印刷解像度と同一値若しくは印刷解像度よりも高値であるが、当該画像データの解像度が印刷解像度と同一値になるように解像度変換がされ、この解像度変換後の画像データが表示用変倍処理部に入力されるようになっているからである。本実施形態の画像処理装置1においても、送受信部6にて保存されている画像データは印刷解像度と同一値若しくは印刷解像度よりも高値であるところ、出力階調補正部20の後段であって階調再現処理部21の前段に不図示の解像度変換部が備えられており、当該解像度変換部によって画像データの解像度が印刷解像度と同一値に変換されるようになっている。
【0067】
また、一般的に画像表示装置の表示解像度(画像表示装置にて表示される画像の解像度)は印刷解像度よりも低い。例えば、一般的に、印刷解像度は300dpiまたは600dpiであるところ、表示解像度は75dpi程度である。したがって、一般的な画像処理装置にて行われる表示用変倍処理では、画像データの画像の寸法が使用者の指定する表示倍率に応じた寸法になり、且つ、画像データの解像度が画像表示装置4の表示解像度と同一値になるように、必要に応じて画像データ(画素)を間引くことがある。
【0068】
例えば、印刷解像度が300dpiであって表示解像度が75dpiであり、使用者から表示倍率100%が指定された場合、画像データを1/4(25%)に間引く必要がある。つまり、この場合、表示される画像の寸法(長短)を拡大や縮小していないものの、画像データを1/4だけ間引く必要がある。
【0069】
また、印刷解像度が300dpiであって表示解像度が75dpiであり、使用者から表示倍率200%が指定された場合、画像データを2/4(50%)に間引く必要がある。つまり、この場合、表示される画像の寸法を拡大していることになるが、画像データを間引く必要がある。
【0070】
これに対し、印刷解像度が300dpiであって表示解像度が75dpiであり、使用者から表示倍率400%が指定された場合、画像データを間引く必要がない。
【0071】
すなわち、印刷解像度が300dpiであって表示解像度が75dpiの場合、表示倍率が400%以上に指定された時は表示用変倍処理において画像データの間引が行われないが、400%未満の表示倍率が指定された時は表示用変倍処理において画像データの間引きが行われる。
【0072】
つまり、一般的な画像処理装置では、表示倍率が高ければ画像データが間引かれないが、表示倍率が低ければ画像データが間引かれる場合がある。
【0073】
ところで、階調再現処理(ディザ処理)を施した画像データの画像を表示する場合、ディザパターンの周期的パターンと画像表示装置の画素(規則的に配列された画素)との干渉によるモアレの発生を抑制するためには、表示画像において上記ディザパターンを正確に反映させるだけの画素数を確保する必要がある。ここで、上記ディザパターンを正確に反映させるだけの画素数とは、印刷画像の画素数以上の画素数である。つまり、表示用変倍処理において画素が間引かれることがなければ、印刷される画像の画素数で表示画像を表示させることができ、これにより表示画像において上記ディザパターンを正確に反映させるだけの画素数を確保することができるため、表示画像において上記ディザパターンを正確に反映させることができる。
【0074】
そこで、本実施形態では、表示用変倍処理において間引かれることの無い表示倍率の最低値を閾値THとして設定している(閾値THの設定手法の詳細は後述する)。そして、使用者に指定された表示倍率が閾値TH以上であれば階調再現処理部21での処理を経た画像データの画像を表示し、使用者に指定された表示倍率が閾値TH未満であれば階調再現処理部21での処理を行っていない画像データの画像を表示することにしている。
【0075】
より具体的に説明すると、下記のように処理が実行される。プレビュー画像の表示の指示が操作パネル5から入力されると、第1経路切替部16は、指定されている表示倍率が閾値TH以上であるか否かを判定する。そして、第1経路切替部16は、指示されている表示倍率が閾値TH以上であると判定した場合、画像データ伸張部15から受け取った画像データを色補正部17へ転送し、指示されている表示倍率が閾値TH未満であると判定した場合、画像データ伸張部15から受け取った画像データを、色補正部17へ転送せず、表示用変倍処理部24へ転送する。
【0076】
これにより、指示されている表示倍率が閾値TH以上の場合、階調再現処理部21で階調再現処理が施され且つ表示用変換処理部23でRGB信号に変換された画像データが表示用変倍処理部24に入力し、指示されている表示倍率が閾値TH未満の場合、階調再現処理部21での階調再現処理が施されていないRGB信号の画像データが表示用変倍処理部24に入力することになる。
【0077】
その結果、表示用変倍処理部24は、閾値TH以上の表示倍率が指定された場合、階調再現処理部21で階調再現処理が施され且つ表示用変換処理部23でRGBの色空間のデータに変換された画像データを入力し、この画像データに表示用変倍処理を施し、表示用変倍処理後の画像データを表示用の画像データとして出力する。なお、この場合、表示用変倍処理部24に入力される画像データの解像度は不図示の解像度変換部(出力階調補正部20と階調再現処理部21との間)にて印刷解像度に変換されており、且つ、指定されている表示倍率が閾値TH以上であるため、表示用変倍処理において画像データが間引かれることはない。
【0078】
一方、閾値TH未満の表示倍率が指定された場合、表示用変倍処理部24は、階調再現処理部21で階調再現処理が施された画像データを入力せず、階調再現処理が施されていないRGBの色空間の画像データを第1経路切替部16から入力し、この画像データに表示用変倍処理を施し、表示用変倍処理後の画像データを表示用の画像データとして出力する。なお、この場合、表示用変倍処理部24に入力される画像データは、不図示の解像度変換部(出力階調補正部20と階調再現処理部21との間)を経由していないので、その解像度は印刷解像度と同値若しくは印刷解像度よりも高値である。そして、指示されている表示倍率が閾値TH未満であるため、ここでの表示用変倍処理では間引き処理が行われることになる。
【0079】
以上にて説明した構成によれば、表示用変倍処理において画像データが間引かれることの無い表示倍率が指定されている場合、階調再現処理を施した画像のプレビューが画像表示装置4にて表示される一方、表示用変倍処理において画像データが間引かれるような表示倍率が指定されている場合、階調再現処理を施していない画像のプレビューが画像表示装置4にて表示されることになる。それゆえ、ディザパターンを反映させるだけの画素数が十分でないような場合は階調再現処理を施してないプレビュー画像を表示することになり、これにより前述したモアレの発生を抑制でき、使用者が印刷画像のプレビューを正しく確認できる。
【0080】
また、表示用変倍処理部24では、指定されている表示倍率に応じて、表示用変倍処理の手法を変更している。以下ではこの点について説明する。
【0081】
表示用変倍処理部24は、指定されている表示倍率が閾値TH以上である場合、ニアレストネイバー法による補間演算によって表示用変倍処理を行う。このニアレストネイバー法による補間演算が行われた場合には、画像データの濃度値(画素値)、および画素間の距離(間隔)が維持される。したがって、表示画像は、印刷されたときの印刷物を局所的に拡大して見たときに近い状態となる。
【0082】
これに対し、表示用変倍処理部24は、指定されている表示倍率が閾値TH未満である場合、バイリニア法やバイキュービック法などの補間演算によって表示用変倍処理を行う。これにより、どのような表示倍率でも他の補間手法(例えば、ニアレストネイバー法)より比較的自然に見える画像を表示させることができる。なお、バイリニア法は、補間する画素を囲む周囲4点の既存画素の距離に比例した形で重み付けした値の平均を求め、その値をその補間画素とするものである。バイキュービック法は、補間する画素を囲む4点に加え、さらにそれらを囲む12点を加えた計16点の画素の値を用いて、補間演算を行うものである。ニアレストネイバー法は、補間する画素に一番近い既存画素の値、あるいは補間する画素に対して所定の位置関係にある既存画素の値をその補間画素の値とするものである。
【0083】
なお、表示用変倍処理部24は、後述する閾値設定部27から閾値THを取得し、制御部7から表示倍率を取得して、表示倍率が閾値TH以上であるか否かを認識している。
【0084】
表示用出力階調補正部25は、表示用変倍処理部24による変倍処理後の画像データに対して、画像表示装置4の表示特性に応じた階調補正を行う。
【0085】
なお、プレビュー画像を表示する指示が入力されている場合には、印刷のための出力階調補正処理を行う必要がないので、出力階調補正部20での出力階調補正処理を行わずに、表示用出力階調補正部25での表示用出力階調補正処理を行ってもよい。出力階調補正部20での階調補正処理は、画像出力装置3により印刷して出力される画像の濃さを適切なものとするための処理である。一方、表示用出力階調補正部25での処理は、画像表示装置4にて表示される画像の濃さを適切なものとするための処理である。
【0086】
また、出力階調補正部20での出力階調補正処理を経た画像データに対して表示用出力階調補正部25での表示用出力階調補正処理を行う場合には、出力階調補正部20での出力階調補正の逆特性となる階調補正特性を考慮に入れて、表示用出力階調補正部25での表示用出力階調補正を行うようにしてもよい。これは、プレビュー画像に不要な出力階調補正部20での出力階調補正をキャンセルするためである。
【0087】
あるいは、指定された表示倍率が閾値TH以上の場合、表示用出力階調補正部25において表示用出力階調補正を行うのではなく、出力階調補正部20において表示用出力階調補正を行うようになっていてもよい(つまり、出力階調補正部20は、印刷処理が指示されている時は印刷用出力階調補正処理を行い、プレビュー画像の表示の指示がされている時は表示用出力階調補正を行うようになっていてもよい)。
【0088】
また、指定されている表示倍率が閾値TH以上である場合と閾値TH未満である場合とで、表示用出力階調補正部25にて行われる表示用出力階調補正の処理内容を切替えてもよい。この場合、表示用出力階調補正部25は、閾値設定部27から閾値THを取得し、指定されている表示倍率に対して閾値処理を行うようになっている。
【0089】
つぎに、第1経路切替部16および表示用変倍処理部24にて使用される閾値THの設定手法を説明する。閾値THは閾値設定部27にて設定される。閾値設定部27は、表示用変倍処理部24による表示用変倍処理において画像データが間引かれない表示倍率の最低値を閾値THとして設定する。表示用変倍処理において画像データが間引かれない表示倍率の最低値は、印刷解像度と表示解像度とに依存する。
【0090】
つまり、色補正部17〜階調再現処理部21を経た画像データに対して表示用変倍処理部24が表示用変倍処理を行う場合、画像データの解像度が印刷解像度から表示解像度に切替られるため、印刷解像度が異なれば、表示用変倍処理において間引かれることのない表示倍率の最低値も異なることになる。例えば、印刷解像度が300dpiであって表示解像度が75dpiである場合、間引かれることのない表示倍率の最低値は400%であるが、印刷解像度が600dpiであって表示解像度が75dpiである場合、間引かれることのない表示倍率の最低値は800%になる。
【0091】
また、同様に、表示解像度が異なれば、表示用変倍処理において間引かれることのない表示倍率の最低値も異なることになる。例えば、印刷解像度が300dpiであって表示解像度が75dpiである場合、間引かれることのない表示倍率の最低値は400%であるが、印刷解像度が300dpiであって表示解像度が120dpiである場合、間引かれることのない表示倍率の最低値は250%となる。
【0092】
より詳細に説明すると、表示解像度に対する印刷解像度の比率(百分率)が、色補正部17〜階調再現処理部21を経た画像データにとって表示用変倍処理にて間引かれることのない表示倍率の最低値に相当する。
【0093】
そこで、閾値設定部27は、プレビュー画像の表示指示が複合機100に入力される度に、下記の式Bによって閾値THを設定(算出)し、第1経路切替部16および表示用変倍処理部24は、閾値設定部27にて設定された閾値THを用いて処理を行う。
閾値TH=100×(印刷解像度/表示解像度) 式B
なお、印刷解像度は、操作パネル5を介して使用者からの指示によって切替えられる値であり、印刷解像度が切替えられると閾値THは変動することになる。また、本実施形態の複合機100では、画像処理装置1に接続される画像表示装置4が取替え可能であり、取替え前後で画像表示装置4の表示解像度が変わった場合、閾値THは変動することになる。また、例えば、画像処理装置1に対して、互いに表示解像度の異なる画像表示装置4aと画像表示装置4bとを接続し、プレビュー画像を表示させる画像表示装置を変更する度に、式Bを用いて閾値を設定するようになっていてもよい。
【0094】
また、複合機100において、現在設定されている印刷解像度は図示しない記憶部に格納され、閾値設定部27は当該記憶部にアクセスして印刷解像度を認識することになる。また、画像表示装置4が画像処理装置1に接続されると、制御部7が画像表示装置4にアクセスして表示解像度を読み出し、この表示解像度を前記記憶部に格納する。そして、閾値設定部27は、前記記憶部にアクセスして表示解像度を認識するようになっている。
【0095】
つぎに、本実施形態の変形例であるコンピュータを説明する。図2は、本発明の実施形態の変形例であるコンピュータを示すブロック図である。図2のコンピュータは、プリンタドライバを組み込むものであり、画像処理装置に相当するものである。
【0096】
図2に示すように、コンピュータ31は、プリンタドライバ32、通信ポートドライバ33および通信ポート34を備えている。プリンタドライバ32は、第1経路切替部16、色補正部17、黒生成下色除去部18、階調再現処理部21、第2経路切替部22、プリンタ言語翻訳部35、表示用変換処理部23、表示用変倍処理部24、表示用出力階調補正部25、および、閾値設定部27を有している。
【0097】
コンピュータ31は、プリンタ(画像出力装置)37と接続されており、プリンタ(印刷装置)37は、コンピュータ31から出力された画像データに基づいて画像を印刷するようになっている。なお、プリンタ37は、プリンタ機能の他に、コピー機能およびファックス機能を有するデジタル複合機であってもよい。
【0098】
また、コンピュータ31は、画像表示装置36と接続されており、使用者から指示された場合に、プリンタ37にて印刷される画像に応じたプレビュー画像を画像表示装置36に表示させるようになっている。この機能は、複合機100における画像処理装置1の機能と同様である。なお、画像表示装置36は、カラー画像表示装置あるいはモノクロの画像表示装置のいずれであってもよい。
【0099】
コンピュータ31は、各種のアプリケーションプログラムを実行することにより画像データを生成する。この画像データは、色補正部17、黒生成下色除去部18、階調再現処理部21、表示用変換処理部23、表示用変倍処理部24、表示用出力階調補正部25で、画像処理装置1の場合と同様に処理される。
【0100】
プリンタ37にて印刷する旨の指示がコンピュータ31に入力された場合、第2経路切替部22は、色補正部17から階調再現処理部21までの処理を経た画像データを、プリンタ言語翻訳部35に供給する。そして、プリンタ言語翻訳部35は、この画像データをプリンタ言語に変換し、通信ポートドライバ33、通信ポート(例えばRS232C・LAN等)34を介してプリンタ37に出力する。
【0101】
また、プレビュー画像の表示の指示がコンピュータ31に入力された場合、第1経路切替部16は、指定された表示倍率が閾値TH以上であれば、色補正部17〜階調再現処理部21へ画像データを転送する。これに対し、第1経路切替部16は、指定された表示倍率が閾値TH未満であれば、色補正部17〜階調再現処理部21へ画像データを転送せず、表示用変倍処理部24に画像データを供給する。
【0102】
これにより、閾値TH以上の表示倍率が指定された場合、階調再現処理が施された画像データに対して表示用変換処理部23〜表示用出力階調補正部25が順次処理を行い、これらの処理を経た画像データが画像表示装置36に出力される。これに対し、閾値TH未満の表示倍率が指定された場合、アプリケーションプログラムにて生成され階調再現処理が施されていない画像データに対して表示用変倍処理部24および表示用出力階調補正部25が順次処理を行い、これらの処理を経た画像データが画像表示装置36に出力される。
【0103】
プリンタドライバ32の閾値設定部27は、表示解像度および印刷解像度に応じて閾値THを設定する。
【0104】
つぎに、図1に示した画像処理装置1および図2に示したコンピュータ31におけるプレビュー画像の出力動作について説明する。図3(a)は、図1に示した画像処理装置1および図2に示したコンピュータ31におけるプレビュー画像の出力動作を示すフローチャート、図3(b)は、図3(a)に示した動作に続くプレビュー画像の出力動作を示すフローチャートである。
【0105】
複合機100では、画像入力装置2により原稿画像が読み取られ、この原稿画像の画像データが印刷対象の画像データとして画像処理装置1に入力される。あるいは、外部装置から入力される。そして、上記画像データは、A/D変換部11、シェーディング補正部12、入力階調補正部13、画像データ圧縮部14を経て送受信部6のハードディスクに保存される。
【0106】
コンピュータ31においては、コンピュータ31の各種のアプリケーションプログラムを実行することにより印刷対象の画像データが生成される。
【0107】
ここで、図3(a)に示すように、使用者の入力操作によりプレビュー画像の表示が指示されると(S1)、初期表示倍率を指定(設定)する(S2)。この初期表示倍率の指定は、使用者が表示倍率を選択することにより行われてもよいし、装置側での計算により行われてもよい。装置側での計算により行う場合には、プレビュー画像を画像表示装置4(画像表示装置36)に表示した場合に画像全体が表示エリアに納まるように、画像データの画素数と表示エリアの画素数および解像度とから表示倍率を計算する。この計算は、図1の制御部7(図2に示さず)が行う。
【0108】
指定された表示倍率が閾値TH以上であれば(S3)、色補正部17から階調再現処理部21を含む表示用変換処理部23までの処理が順次実行され(S4〜S9)、これら処理が施された画像データに対して、指定された表示倍率に基づく表示用変倍処理が行われる(S10)。なお、図2に示したコンピュータ31では、図3(a)のS6およびS7は行われない。
【0109】
その後、表示用出力階調補正部25での処理を経て(S11)、RGB画像データを画像表示装置4(以下、説明の便宜上、画像表示装置36の記載は省略する。)に出力し、画像表示装置4に表示させる(S12)。
【0110】
一方、S3において表示倍率が閾値TH未満であれば、色補正部17から表示用変換処理部23までの処理を経ていない画像データに対して、指定された表示倍率に基づく表示用変倍処理が行われる(S10)。その後、表示用出力階調補正部25での処理を経て(S11)、RGB画像データを画像表示装置4に出力し、画像表示装置4に表示させる(S12)。なお、色補正部17から表示用変換処理部23までの処理を経ていない画像データは、コンピュータ31では、アプリケーションにより生成された画像データに相当する。
【0111】
この段階で、画像表示装置4の画面を見た使用者により、表示倍率の変更が入力されると(S13,S14)、S3に戻ってS13までの処理が繰り返される。
【0112】
その後、画像データの印刷が指示され(S15)、印刷条件の変更が指示されなければ(S16)、すなわち、使用者がプレビュー画像を見て、印刷条件を変更することなく例えば単に印刷の指示ボタンを操作した場合には、階調再現処理部21から出力された画像データに基づき、画像出力装置3(プリンタ37)が印刷を行う(S17)。
【0113】
一方、上記印刷条件の変更が指示されると(S16,S18)、印刷条件の変更に応じた画像表示装置4上におけるプレビュー画像の更新の要否を判定する(S19)。
【0114】
S19での判定の結果、プレビュー画像の更新が不要であれば(S19にてNO)、S17に進んで印刷を行う。一方、プレビュー画像の更新が必要であれば(S19にてYES)、S3に戻り、プレビュー画像を再生成する。また、S15において、例えばプレビュー画像の表示開始から所定時間経過するまでの間に、印刷の指示がなければ、プレビュー画像の表示を終了する(S20)。
【0115】
つぎに、本発明の実施形態のさらなる変形例である画像形成システムを説明する。図4は、本発明の実施形態のさらなる変形例である画像形成システムを示すブロック図である。図4の画像形成システム80は、ディスプレイドライバ43を組み込むコンピュータ41とプリンタ51とを含んでいる。
【0116】
ディスプレイドライバ43は、ソフトウェア(アプリケーションプログラム)としてコンピュータ41に組み込まれている。ディスプレイドライバ43は、使用者から指示された場合に、プリンタ51にて印刷される画像に応じたプレビュー画像を画像表示装置36に表示させるためのものである。
【0117】
図4に示すように、コンピュータ41は、プリンタドライバ42、通信ポートドライバ33および通信ポート34を備えている。このコンピュータ41は端末装置に相当するものである。
【0118】
プリンタドライバ42は、プリンタ言語翻訳部35、ディスプレイドライバ43、閾値設定部27を備えている。ディスプレイドライバ43は、表示用変換処理部23、表示用変倍処理部24および表示用出力階調補正部25を備えている。
【0119】
プリンタ(印刷装置)51は、色補正部17、黒生成下色除去部18および階調再現処理部21を有する画像処理部52、メモリ53並びにプリンタ制御部54を備えている。プリンタ51は、プリンタ機能の他に、コピー機能およびファックス機能を有するデジタル複合機であってもよい。
【0120】
コンピュータ41は、各種のアプリケーションプログラムを実行することにより画像データを生成する。この画像データは、プリンタドライバ42の設定画面における印刷の指令に応じて、プリンタ51に送信される。この場合、画像データは、プリンタドライバ42のプリンタ言語翻訳部35にてプリンタ言語に変換され、通信ポートドライバ33および通信ポート(例えばRS232C・LAN等)34を介してプリンタ51に入力される。上記したコンピュータ41とネットワークを介して接続されたプリンタ51により画像形成システム80が形成されている。
【0121】
また、コンピュータ41は、プリンタドライバ42の上記設定画面におけるプレビュー画像の表示の指令を受けた場合であって、プレビュー画像の表示倍率が閾値TH以上の場合、上記印刷の指令の場合と同様、生成した画像データをプリンタ51に送信する。その後、プリンタ51に対して、プリンタ51の画像処理部52にて処理された画像データの送信を要求する。この要求に応じてプリンタ51から取得した画像データは、ディスプレイドライバ43に入力され、表示用変換処理部23、表示用変倍処理部24および表示用出力階調補正部25の処理を経た後、コンピュータ41に接続されている画像表示装置36に出力される。これにより、画像表示装置36では、プリンタ51の画像処理部52およびディスプレイドライバ43にて処理されたプレビュー画像が表示される。
【0122】
一方、コンピュータ41は、プリンタドライバ42の上記設定画面におけるプレビュー画像の表示の指令を受けた場合であって、プレビュー画像の表示倍率(拡大率)が閾値TH未満の場合、生成した画像データについて、ディスプレイドライバ43の各部による処理、すなわち表示用変換処理、表示用変倍処理および表示用出力階調補正を行い、処理後の画像データを画像表示装置36に出力する。これにより、画像表示装置36では、ディスプレイドライバ43でのみ処理されたプレビュー画像が表示される。
【0123】
プリンタドライバ42に含まれる閾値設定部27は、印刷解像度および表示解像度に応じて前記の閾値THを設定する。
【0124】
プリンタ51は、コンピュータ41からプリンタ51に入力された画像データについて、上記各部による処理、すなわち色補正処理、黒生成下色除去処理および階調再現処理を施し、一旦、メモリ53に格納する。また、プリンタ51のプリンタ制御部54は、コンピュータ41からの要求に応じて、メモリ53に格納されている階調再現処理が施された画像データを読み出し、コンピュータ41に送信する。
【0125】
つぎに、図4に示したコンピュータ41におけるプレビュー画像の出力動作について説明する。図5(a)は、図4に示したコンピュータ41におけるプレビュー画像の出力動作を示すフローチャート、図5(b)は、図5(a)に示した動作に続くプレビュー画像の出力動作を示すフローチャートである。図6は、図4に示したコンピュータ41の動作に対応したプリンタ51の動作を示すフローチャートである。
【0126】
印刷対象となる画像データは、コンピュータ41に対して外部装置から入力される。あるいは、コンピュータ41が備える各種のアプリケーションプログラムを実行することにより生成される。この印刷対象となる画像データは、コンピュータ41のハードディスクに一旦格納される。
【0127】
コンピュータ41では、まず、フラグF1およびF2を0とする(S31)。フラグF1は、コンピュータ41からプリンタ51に対して印刷条件の変更指示がなされ画像再生が必要な場合(F1=a)、その旨を示すものである。フラグF2は、コンピュータ41がプリンタ51から画像データを受信している場合(F2=b)、その旨を示すものである。
【0128】
つぎに、使用者の入力操作によりプレビュー画像の表示が指示されると(S32)、初期表示倍率を設定し(S33)、ハードディスクに格納されている上記画像データをプリンタ51に送信する(S34)。この場合、画像データは、通信ポートドライバ33および通信ポート34を介してプリンタ51に入力される。プリンタ51に上記画像データを送信するタイミングはこのタイミングに限らず、プリンタ51において上記画像データが必要となる適当なタイミングであればよい。上記初期表示倍率の設定については前述のとおりである。
【0129】
つぎに、設定された表示倍率が閾値TH以上であれば(S35)、コンピュータ41では、フラグF2がbであるか否かを判定する(S36)。この判定の結果、フラグF2がbでないなら、コンピュータ41では、プリンタ51の画像処理部52の色補正部17から階調再現処理部21によって処理されメモリ53に格納されている画像データをプリンタ51から受信し(S37)、その画像データをコンピュータ41のメモリ(図示せず)に格納する。そして、フラグF2をbに設定する(S38)。
【0130】
その後、上記画像データをコンピュータ41のメモリ(図示せず)から読み出し、ディスプレイドライバ43の表示用変換処理部23、表示用変倍処理部24および表示用出力階調補正部25によって処理し(S39〜S41)、これら各部で処理した画像データを画像表示装置36に出力して表示させる(S42)。なお、S36においてフラグF2がbであれば、S37およびS38の処理を経ることなくS39に進む。
【0131】
一方、S35において、設定された表示倍率が閾値TH未満であれば、コンピュータ41では、ハードディスクに格納されている上記画像データを、プリンタ51に送信することなく、ディスプレイドライバ43において処理し(S39〜S41)、処理した画像データを画像表示装置36に出力して表示させる(S42)。
【0132】
つぎに、例えば画像表示装置36の画面を見た使用者により、表示倍率の変更が入力されると(S43,S44)、S35に戻ってS43までの処理を繰り返す。この場合、変更後の表示倍率が閾値TH以上であれば、プリンタ51の画像処理部52によって処理された画像データを使用し、変更後の表示倍率が閾値TH未満であれば、ハードディスクに格納されているプリンタ51の画像処理部52での処理を経ていない画像データを使用することになる。
【0133】
その後、画像データの印刷が指示され(S45)、印刷条件の変更が指示されなければ(S46)、印刷が必要であることを示す印刷制御信号をプリンタ51に送信し(S47)、処理を終了する。
【0134】
一方、上記印刷条件の変更が指示されると(S46,S48)、印刷条件の変更に応じた画像表示装置36上におけるプレビュー画像の更新の要否を判定する(S49)。
【0135】
S49での判定の結果、プレビュー画像の更新が不要であれば、S47に進んで印刷が必要であることを示す印刷制御信号をプリンタ51に送信する。一方、プレビュー画像の更新が必要であれば、フラグF1をa(印刷条件の変更ありを示すもの)に設定し(S50)、フラグF1および印刷条件をプリンタ51に送信する(S51)。
【0136】
その後、S48の印刷条件の変更に応じて印刷条件が変更された画像データをプリンタ51から受信すると(S52)、S39に戻り、それ以下の処理を繰り返す。
【0137】
また、S45において、例えばプレビュー画像の表示開始から所定時間経過するまでの間に印刷の指示がなければ、印刷が不要であることを示す印刷制御信号をプリンタ51に送信し(S53)、プレビュー画像の表示を終了する(S54)。
【0138】
プリンタ51では、図6に示すように、コンピュータ41から画像データを受信すると(S61)、受信した画像データを一旦メモリ53に格納する(S62)。そして、フラグF1の内容を確認し(S63)、フラグF1がa(印刷条件の変更ありを示すもの)でなければ、すなわちフラグF1が0であれば、メモリ53から上記画像データを読み出して画像処理部52の色補正部17、黒生成下色除去部18および階調再現処理部21の処理を行い、これら処理が施された画像データをメモリ53に格納する(S64〜S67)。
【0139】
一方、S63でのフラグF1の確認の結果、フラグF1がa(印刷条件の変更ありを示すもの)であれば、コンピュータ41から印刷条件を受信し(S73)、コンピュータ41から受信した画像データをメモリ53から読み出し(S74)、受信した印刷条件に基づいて、上記画像データに対する画像処理のパラメータを変更する(S75)。
【0140】
その後、上記の場合と同様、上記画像データに対して画像処理部52の色補正部17から階調再現処理部21までの処理を行い、それら処理が施された画像データをメモリ53に格納する(S64〜S67)。
【0141】
S67での処理の後、プリンタ51は、画像処理部52での処理を経た画像データをメモリ53から読み出し、コンピュータ41に送信する(S68)。
【0142】
その後、プリンタ51は、コンピュータ41から印刷制御信号を受信すると(S69)、その印刷制御信号から印刷の要否を判定する(S70)。この判定の結果、印刷が必要であれば、画像処理部52にて処理された画像データをメモリ53から読み出し、その画像データに基づいて印刷を行う(S71)。印刷が終了すると、印刷した画像データをメモリ53から消去し(S72)、処理を終了する。また、S70での判定の結果、印刷が不要であれば、印刷を行うことなく、画像処理部52にて処理された上記画像データをメモリ53から消去し(S72)、処理を終了する。以上のプリンタ51での処理はプリンタ制御部54による制御に基づいて行われる。
【0143】
以上のように、本実施形態の画像処理装置1は、色補正部17、階調再現処理部21、表示用変換処理部23、表示用変倍処理部24、閾値設定部27を備えている。色補正部17は、画像表示装置4に適用可能な色空間の入力画像データを、印刷処理に適用可能な色空間の画像データに変換するブロックであり、階調再現処理部21は、色補正部17による処理を経た画像データに対して、画像出力装置3にて印刷処理を実行するための中間調処理を施すブロックであり、表示用変換処理部23は、階調再現処理部21の処理を経た画像データを画像表示装置4に適用可能な色空間の画像データに変換するブロックである。そして、表示用変倍処理部24は、閾値TH以上の表示倍率が指定された場合、表示用変換処理部23による処理を経た画像データに対して、指定された表示倍率に基づく表示用変倍処理を施し、当該表示用変倍処理後の前記画像データを表示用の画像データとして出力する一方、閾値TH未満の表示倍率が指定された場合、前記入力画像データに対して、指定された表示倍率に基づく表示用変倍処理を施し、当該表示用変倍処理後の前記入力画像データを表示用の画像データとして出力するブロックである。閾値設定部27は、画像出力装置3の印刷解像度および画像表示装置4の表示解像度に基づいて閾値THを設定する。また、前記表示倍率は、前記入力画像データの画像の所定部の長さに対する、前記表示装置にて表示される画像の前記所定部の長さの比率であり、閾値設定部27は、前記表示解像度に対する前記印刷解像度の比率を前記閾値として設定している。
【0144】
以上の構成によれば、表示解像度または印刷解像度が変動することによってディザパターンの周期的成分を正確に反映させるための必要十分な画素数を得るための表示倍率が変動しても、表示解像度または印刷解像度に基づいて前記閾値を変更しているため、閾値以上の数値範囲がディザパターンの周期的成分を正確に反映させるための必要十分な画素数を得られるような表示倍率の数値範囲になるように閾値を設定できる。これにより、プレビュー画像を表示するための表示装置を交換や変更して表示解像度が変更され、または、印刷解像度の設定値が変更された場合であっても、表示されるプレビュー画像にモアレが発生することを抑制できるという効果を奏する。
【0145】
なお、本実施形態では、表示用変倍処理において画像データが間引かれることの無い表示倍率の最低値を閾値THとしているが、閾値THは当該最低値に限定されるものではない。閾値THは、表示用変倍処理において画像データが間引かれることの無い表示倍率の値であれば前記最低値に限定されない。例えば、前記の最低値より微量の所定値だけ高い値を閾値THとしてもよい。
【0146】
また、本実施形態では、使用者は、操作パネル5を用いて表示倍率を指定するようになっているが、テンキーによって表示倍率が指定されてもよいし、タッチパネルに表示されている複数の表示倍率の中からいずれかの表示倍率を使用者が指定(選択)するようになっていてもよい。
【0147】
なお、閾値TH以上の表示倍率については、閾値THの整数倍となる表示倍率のみを指定可能(入力可能)としてもよい。例えば、閾値THが100%である場合、100%以上の表示倍率については、100%、200%、300%・・・が指定可能となる。また、この場合において、指定された表示倍率が、閾値TH以上であって、データの間引きを伴わずに画像寸法の拡大のみ行われるような高倍率の場合、変倍処理は、画像データにおける縦方向の画素数および横方向の画素数を、表示倍率を閾値で割って得られる整数倍にするような処理であってもよい。
【0148】
また、画像表示装置4に画像を表示するアプリケーション(ブラウザなど)によって表示する画像サイズを変更されるようになっていてもよい。
【0149】
[実施の形態2]
以上では特に言及していないが実施の形態1は印刷倍率が100%且つ一定であることを前提としたものである。しかし、使用者によって印刷倍率が変更可能であって当該印刷倍率に応じて印刷用変倍処理が行われる構成の場合、前述した閾値THも調整することが好ましい。そこで、本実施の形態では、利用者にて指示された印刷倍率に応じて印刷用変倍処理を実行するようになっている複合機について説明する。なお、以下では、実施の形態1と同一の部材については同じ参照符号を付してその説明を省略し、実施の形態1と異なる点のみ説明する。
【0150】
図7は、本実施形態の複合機100aの構成を示すブロック図である。複合機100aに備えられる画像処理装置1aは、出力階調補正部20の後段であって階調再現処理部21の前段に印刷用変倍処理部40を備える点と、閾値設定部27の代わりに閾値設定部27aを備える点とが図1の画像処理装置1と異なるが、他の点については図1の画像処理装置1と同一である。
【0151】
印刷用変倍処理部40は、出力階調補正部20から印刷用変倍処理部40に送られてくる画像データに対し、使用者に指定されている印刷倍率に基づいて印刷用変倍処理を行うブロックである。印刷用変倍処理とは、画像出力装置3にて出力される印刷画像の寸法が印刷倍率に応じた寸法になるように画像データの画像に対して行われる拡大縮小処理を意味する。また、本実施形態の印刷用変倍処理では、画像データの画像の解像度が印刷解像度と同一値になるように解像度変換も行われる。つまり、印刷用変倍処理とは、印刷用変倍処理部40に入力される画像データの画像の寸法を印刷倍率に応じた寸法に調整し、且つ、当該画像データの画像の解像度を印刷解像度と同一値に調整する処理を意味する。
【0152】
つぎに、印刷倍率について説明する。印刷倍率は、画像データの画像の拡大縮小率であり、下記の式Cにて定義される値である。
印刷倍率(%)=(画像出力装置3にて印刷される画像の所定部の寸法/入力画像データの画像の所定部の寸法)×100 式C
式Cの入力画像データとは、式Aと同様、印刷処理の指示またはプレビュー画像の表示の指示が入力される前に送受信部6にて一旦保存されている画像データを意味する。また、所定部の寸法とは、式Aと同様、主走査方向(横方向)の長さ、または、副走査方向(縦方向)の長さを意味する。なお、ここでの「長さ」とは、画素数の多少を意味するものではなく、画像における実際の長短を意味するものである。
【0153】
また、本実施形態においても、印刷処理の指示が入力された場合、画像データ伸張部15から出力される画像データは第1経路切替部16によって色補正部17に送られ、階調再現処理部21から出力される画像データは第2経路切替部22によって不図示の印刷用記憶部を経由して画像出力装置3へ送られるようになっている。これにより、印刷処理の指示が入力された場合、印刷用変倍処理部40による処理を経た画像データが画像出力装置3に送られるため、使用者に指定されている印刷倍率に応じた寸法の画像が画像出力装置3によって印刷されることになる。
【0154】
つぎに、本実施形態において、プレビュー表示の指示が入力された場合の処理について説明する。
【0155】
プレビュー表示の指示が入力され、表示倍率が閾値TH未満である場合、画像データ伸張部15から出力される画像データは第1経路切替部16によって表示用変倍処理部24に送られるようになっている。つまり、閾値TH未満の表示倍率が指定された場合、表示用変倍処理部24は、色補正部17から階調再現処理部21までの各部と印刷用変倍処理部40とを経た画像データを入力せず、色補正部17から階調再現処理部21までの各部と印刷用変倍処理部40とを経ていないRGBの色空間の画像データを第1経路切替部16から入力し、この画像データに表示用変倍処理を施し、表示用変倍処理後の画像データを表示用の画像データとして出力するようになっている。
【0156】
これに対し、プレビュー表示の指示が入力され、表示倍率が閾値TH以上である場合、画像データ伸張部15から出力される画像データは第1経路切替部16によって色補正部17に送られ、階調再現処理部21から出力される画像データは第2経路切替部22によって表示用変換処理部22および表示用変倍処理部23へ送られるようになっている。言い換えると、閾値TH以上の表示倍率が指定された場合、表示用変倍処理部24は、色補正部17から階調再現処理部21までの各部と印刷用変倍処理部40とを経た画像データを入力し、この画像データに表示用変倍処理を施し、表示用変倍処理後の画像データを表示用の画像データとして出力するようになっている。
【0157】
つまり、プレビュー表示の指示が入力され、表示倍率が閾値TH以上である場合、印刷用変倍処理部40にて、画像データの画像の寸法が印刷倍率に応じた寸法になるように印刷用変倍処理が施される。その後、当該印刷用変倍処理が施された後の画像データは表示用変倍処理部24に入力し、当該画像データの画像の寸法が表示倍率に応じた寸法になるように表示用変倍処理が施されることになる。例えば、印刷倍率が50%に指定され、且つ、表示倍率が400%に指定されている場合、印刷用変倍処理部40にて変倍率が50%の印刷用変倍処理が施され、表示用変倍処理部24にて変倍率が800%の表示用変倍処理が行われることになる。これにより、画像表示装置4にて表示される表示画像の寸法は、400%の表示倍率に応じた寸法になる。
【0158】
そして、本実施形態は、印刷倍率を調整可能な形態であるため、表示用変倍処理部24において画像データが間引かれない表示倍率の最低値は、印刷解像度と表示解像度のみならず印刷倍率にも依存することになる。
【0159】
つぎに、本実施形態における閾値THの設定手法を説明する。閾値THは閾値設定部27aにて設定される。閾値設定部27aは、表示用変倍処理部24による表示用変倍処理において画像データが間引かれない表示倍率の最低値を閾値THとして設定する。
【0160】
閾値設定部27aは、プレビュー画像の表示指示が複合機100に入力される度に、下記の式Dによって閾値THを設定(算出)し、第1経路切替部16および表示用変倍処理部24は、閾値設定部27にて設定された閾値THを用いて処理を行う。
閾値TH=印刷倍率×(印刷解像度/表示解像度) 式D
これにより、印刷倍率が調整可能な構成においても、表示用変倍処理において画像データが間引かれることの無い表示倍率の最低値を閾値THとして設定することができる。これにより、表示用変倍処理において画像データが間引かれることの無い表示倍率が指定された場合、階調再現処理を施した画像のプレビューを表示する一方、表示用変倍処理において画像データが間引かれるような表示倍率が指定されている場合、階調再現処理を施していない画像のプレビューを表示することになる。それゆえ、ディザパターンを反映させるだけの画素数が十分でないような場合は階調再現処理を施してないプレビュー画像を表示するといったことが可能になり、これにより前述したモアレの発生を抑制でき、使用者が印刷画像のプレビューを正しく確認できる。
【0161】
図8は、本実施形態における複合機100aにおけるプレビュー画像の出力動作を示すフローチャートである。図8のフローチャートは、S7の後且つS8の前に印刷用変倍処理が行われる点が図3と異なるだけであり、他の点については図3のフローチャートと同様である。
【0162】
最後に、上述した各画像処理装置の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成されてもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現されてもよい。
【0163】
すなわち、画像処理装置は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、上述した機能を実現するソフトウェアである画像処理装置の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記画像処理装置に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行するようになっていてもよい。
【0164】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0165】
また、画像処理装置を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムコードを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【0166】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明は、印刷される画像の画像データを処理する画像処理装置、画像処理システムに特に好適である。
【符号の説明】
【0168】
1 画像処理装置
1a 画像処理装置
3 画像出力装置(印刷装置)
4 画像表示装置
17 色補正部(色空間変換部)
21 階調再現処理部
23 表示用変換処理部
24 表示用変倍処理部(表示用データ出力部)
27 閾値設定部
27a 閾値設定部
31 コンピュータ(画像処理装置)
37 プリンタ(印刷装置)
40 印刷用変倍処理部
41 コンピュータ(端末装置)
51 プリンタ(印刷装置)
80 画像形成システム
100 複合機(画像形成装置)
100a 複合機(画像形成装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置に適用可能な色空間の入力画像データを、印刷処理に適用可能な色空間の画像データに変換する色空間変換部と、
前記色空間変換部による処理を経た画像データに対して、印刷装置にて印刷処理を実行するための中間調処理を施す階調再現処理部とを備えた画像処理装置において、
前記階調再現処理部の処理を経た画像データを前記画像表示装置に適用可能な色空間の画像データに変換する表示用変換処理部と、
前記画像表示装置での表示倍率として閾値以上の表示倍率が指定された場合、前記表示用変換処理部による処理を経た画像データに対して、指定された表示倍率に基づく表示用変倍処理を施し、当該表示用変倍処理後の前記画像データを表示用の画像データとして出力する一方、前記画像表示装置での表示倍率として前記閾値未満の表示倍率が指定された場合、前記入力画像データに対して、指定された表示倍率に基づく表示用変倍処理を施し、当該表示用変倍処理後の前記入力画像データを表示用の画像データとして出力する表示用データ出力部と、
前記印刷装置の印刷解像度および前記画像表示装置の表示解像度に基づいて前記閾値を設定する閾値設定部とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記表示倍率は、前記入力画像データの画像の所定部の長さに対する、前記表示装置にて表示される画像の前記所定部の長さの比率であり、
前記閾値設定部は、前記表示解像度に対する前記印刷解像度の比率を前記閾値として設定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
印刷装置に送られる画像データに対して、指定されている印刷倍率に基づく印刷用変倍処理を行う印刷用変倍処理部を備え、
前記印刷用変倍処理部は、前記表示倍率が前記閾値以上である場合、前記表示用変換処理部に向けて送られる画像データであって前記階調再現処理部の処理を経る前の画像データに対して前記印刷用変倍処理を行うようになっており、
前記印刷倍率は、前記入力画像データの画像の所定部の長さに対する、前記印刷装置にて印刷される画像の前記所定部の長さの比率であり、
前記表示倍率は、前記入力画像データの画像の所定部の長さに対する、前記表示装置にて表示される画像の前記所定部の長さの比率であり、
前記閾値設定部は、下記式1によって前記閾値を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
閾値=印刷倍率×(印刷解像度/表示解像度) 式1
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置を備えるとともに、前記印刷装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
画像表示装置を有する端末装置と、画像データに基づいて印刷を行う印刷装置とを備え、これら端末装置と印刷装置とが通信により情報の送受信を行うとともに、
画像表示装置に適用可能な色空間の第1画像データを前記端末装置から受信すると、第1画像データを印刷処理に適用可能な色空間の画像データに変換する色空間変換部と、
前記色空間変換部による処理を経た画像データに対して、印刷装置にて印刷処理を実行するための中間調処理を施す階調再現処理部とを前記印刷装置が備えている画像形成システムにおいて、
前記端末装置は、表示用変換処理部と表示用データ出力部と閾値設定部とを備え、前記印刷装置にて対して前記第1画像データを送信し、前記印刷装置は、前記階調再現処理部による処理を経た後の画像データを前記端末装置に送信し、
前記端末装置の前記表示用変換処理部は、前記階調再現処理部の処理を経た画像データを画像表示装置に適用可能な色空間の画像データに変換し、
前記端末装置の表示用データ出力部は、前記画像表示装置での表示倍率として閾値以上の表示倍率が指定された場合、前記表示用変換処理部による処理を経た画像データに対して指定された表示倍率に基づく表示用変倍処理を施し、当該表示用変倍処理後の前記画像データを表示用の画像データとして出力する一方、前記画像表示装置での表示倍率として前記閾値未満の表示倍率が指定された場合、前記第1画像データを表示用の画像データとして出力し、
前記端末装置の閾値設定部は、前記印刷装置の印刷解像度と前記画像表示装置の表示解像度とに基づいて前記閾値を設定することを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
画像表示装置に適用可能な色空間の入力画像データを、印刷処理に適用可能な色空間の画像データに変換する色空間変換工程と、
前記色空間変換工程による処理を経た画像データに対して、印刷装置にて印刷処理を実行するための中間調処理を施す階調再現処理工程とを含む画像処理方法において、
前記階調再現処理工程の処理を経た画像データを画像表示装置に適用可能な色空間の画像データに変換する表示用変換工程と、
前記画像表示装置での表示倍率として閾値以上の表示倍率が指定された場合、前記表示用変換工程による処理を経た画像データに対して、指定された表示倍率に基づく表示用変倍処理を施し、当該表示用変倍処理後の前記画像データを表示用の画像データとして出力する一方、前記画像表示装置での表示倍率として前記閾値未満の表示倍率が指定された場合、前記入力画像データに対して、指定された表示倍率に基づく表示用変倍処理を施し、当該表示用変倍処理後の前記入力画像データを表示用の画像データとして出力する表示用データ出力工程と、
前記印刷装置の印刷解像度および前記画像表示装置の表示解像度に基づいて前記閾値を設定する閾値設定工程とを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置の前記の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−244603(P2012−244603A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116208(P2011−116208)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】