説明

画像処理装置および制御方法

【課題】 省エネルギー状態からの迅速な復帰を可能とする画像処理装置、および該画像処理装置が実行する制御方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の画像処理装置100は、当該画像処理装置100の稼働状況に応じて複数の省エネルギー状態間を遷移させる主制御手段110と、省エネルギー状態中、復帰の契機となるイベントが発生したことに応答して、当該画像処理装置100を復帰させるための復帰処理を開始する省エネルギー制御手段150とを備える。本発明の省エネルギー制御手段150は、当該画像処理装置100が遷移している現在の省エネルギー状態を検知する検知手段152と、複数の異なる復帰処理の制御シーケンスのうち、検知された現在の省エネルギー状態に対応した制御シーケンスに従って、当該画像処理装置100を復帰させる復帰制御手段152とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置の省エネルギー化技術に関し、より詳細には、省エネルギー状態からの迅速な復帰を可能とする画像処理装置、および該画像処理装置が実行する制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー機能を備える画像処理装置において、省エネルギー状態から復帰完了までにかかる復帰時間の短縮が求められている。従来より、画像処理装置においては、画像処理装置全体を制御する主制御部の他、省エネルギー状態時において上記主制御部とは独立して制御を行う省エネルギー制御部を備えた画像処理装置が知られている。このような画像処理装置では、装置が省エネルギー・モードに移行している状態で、省エネルギー制御部が画像処理装置を復帰させる場合、省エネルギー状態の解除を指令する解除信号を画像処理装置に送信することにより、省エネルギー状態から待機状態へ復帰させている。
【0003】
上述した省エネルギー制御部を備えた画像処理装置としては、例えば、特許第3136936号明細書(特許文献1)は、ファクシミリ装置全体を制御する主制御部の他に、省エネルギー状態時に制御する省エネ制御部を設け、待機状態に、主制御部、操作表示部、電装部等の電源を主制御部からの省エネ制御信号に応じて遮断し、省エネルギー状態に移行したときに、省エネ表示手段により電力節減中である旨を表示し、省エネ制御部は省エネキー押下、原稿セット、リンギング信号、オフフック信号等の立ち上りトリガ信号により省エネルギー状態から解除して、主制御部に対して省エネ解除要因信号を送出することを特徴とする省エネルギー機能付きファクシミリ装置を開示している。
【0004】
また特開2002−218099号公報(特許文献2)は、省エネルギー状態時の消費電力の効率を高めることを目的として、省エネルギー方式として、主制御部による判断および要求に基づいて、装置内の主制御部を含む各主要部への主電力を遮断し、待機電力へ移行し、待機電力によって各主要部の動作状態を監視し、動作状態が所定の条件を満たしたときは、主電力の供給を再開し通常状態へ復帰させる本体省エネモードの他に、所定の条件により通信装置から通信回線接続装置への電力供給を停止させる完全省エネモードと、電力供給は停止させずに、通信回線接続装置の備えるスリープ機能を利用して省エネルギー化を実現するスリープ省エネモードとの2種の省エネルギー・モードを用意し、場合に応じて選択的に使用することを特徴とする通信システムを開示している。
【0005】
画像処理装置は、上記特許文献2にも開示されるように、主制御部の制御の下、機器の稼働状態を監視して、種々の省エネルギー状態間を遷移する。このような省エネルギー状態としては、スタンバイ・モード(待機状態)、予熱モード、エンジン・オフ・モード、STR(Suspend To RAM)モードなどを挙げることができる。そして、それぞれのモードに対応して電源供給ユニットの給電を受けるユニットが異なり、これにより待機消費電力の程度、復帰時間やウォームアップ時間等が多様な種々の省エネルギー状態を実現し、ユーザのニーズに応えている。
【0006】
省エネルギー状態では、ファクシミリのデータ受信、印刷要求、ドキュメント蓄積要求など外部からデータを受信した場合、上記省エネルギー制御部は、主制御部へ省エネルギー状態の解除信号を送信する。このとき画像処理装置は、種々の省エネルギー状態に遷移しているが、例えば、STRモードからの復帰処理では、以下のようになる。まず、省エネルギー制御部が主制御部のサブCPUへ省エネルギー状態解除信号を送信し、その後、サブCPUが同じ制御部のメインCPUを起動させ、メインCPUは、起動後、エンジンのCPUの起動処理を行う。エンジンのCPUが起動した後に定着ヒータなどに電源が投入される。このように、画像処理装置が省エネルギー状態から実際に復帰完了するまでには、多くの過程を経る必要があり、その分だけ時間が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献2の技術によれば、完全省エネモードと、スリープ省エネモードとの2種の省エネルギー・モードが用意され、必要に応じて選択的に使用することができ、省エネルギー待機状態時の消費電力を低減することができる。しかしながら、復帰時間の面においては、通信回線装置が、回線インタフェースにより信号を受信して、画像処理装置へ省エネルギー状態の解除信号を送出するときに、画像処理装置が移行している省エネルギー状態にかかわらず、常に一定の制御シーケンスにより復帰処理を行っているため、効率的かつ迅速に復帰処理を行えるというものではなかった。
【0008】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、本発明は、画像処理装置が移行している省エネルギー状態を検知し、検知した状態に応じて省エネルギー状態からの復帰処理の制御シーケンスを変更することにより、可能な限り迅速な復帰を可能とする画像処理装置、および該画像処理装置が実行する制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上記課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、当該画像処理装置の稼働状況に応じて複数の省エネルギー状態間を遷移させる主制御手段と、下記特徴を有する省エネルギー制御手段とを備える構成を採用する。本発明の画像処理装置における省エネルギー制御手段は、省エネルギー状態中、復帰の契機となるイベントが発生したことに応答して、当該画像処理装置を復帰させるための復帰処理を開始する。また、上記省エネルギー制御手段は、復帰処理においては、当該画像処理装置が遷移している現在の省エネルギー状態を検知し、複数の異なる復帰処理の制御シーケンスのうち、検知された現在の省エネルギー状態に対応した制御シーケンスに従って、当該画像処理装置を復帰させることを特徴としている。
【0010】
また本発明では、当該画像処理装置を復帰させる際に、検知された現在の省エネルギー状態が主制御手段の大部分への給電を停止するものである場合には、上記対応した制御シーケンスとして、主制御手段に対し省エネルギー状態の解除を指令する解除信号を送出するとともに、当該画像処理装置が備えるユニットへの電力を供給する電力供給ユニットに対し、必要とされるユニットへの給電開始を指令する電源供給信号を送出することができる。さらに、本発明によれば、上記画像処理装置が実行する制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
上記構成によれば、当該画像処理装置が取りうる複数の省エネルギー状態のうちの現在移行している省エネルギー状態の別に応じて復帰処理の制御シーケンスが実行されるため、省エネルギー状態における各ユニットへの給電状態に適合した効率の良い制御シーケンスに従って復帰処理が行われ、復帰処理を迅速に行うことができ、復帰の契機となるイベントが発生してから復帰完了するまでの復帰時間を、省エネルギー状態に応じて短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の複合機の概略的なハードウェア構成を示す図。
【図2】本実施形態の複合機の動作状態の遷移を説明する図。
【図3】スタンバイ・モード中の給電状態を示す図。
【図4】エンジン・オフ・モード中の給電状態を示す図。
【図5】STRモード中の給電状態を示す図。
【図6】本実施形態の複合機において実行されるSTRモードからの復帰処理を示すフロー図。
【図7】本実施形態の複合機において実行されるファクシミリ・データを受信した場合にファクシミリ印刷出力を完了させるまでの処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明の実施形態は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、以下の実施形態では、画像処理装置の一例として、コピー、ファクシミリ、スキャナ、プリント等の画像を扱う複合機能を有する複合機100を用いて説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の複合機100の概略的なハードウェア構成を示す図である。図1に示す複合機100は、コピー、ファクシミリ、スキャナ、プリント等の画像を扱う複合機能をオペレータや図示しないホストに提供している。複合機100は、メインコントローラ部110と、エンジン部140と、オペレーション・パネル・ユニット(OPU)部144と、ファクシミリ・コントロール・ユニット(FCU)部150と、電力供給ユニット(PSU:Power Supply Unit)160とを含む。
【0015】
メインコントローラ部110は、中央演算ユニット(CPU)112と、CPU112にノース・ブリッジ(NB)114を介して接続される特定用途向け集積回路(ASIC)120(以下、第1ASIC120と参照する。)と、システムメモリ116と、第1ASIC120に接続されるローカルメモリ118と、HDD122とを含む。メインコントローラ部110は、さらに、CPU112にサウス・ブリッジ(SB)124を介して接続されるネットワーク・インタフェース・カード(NIC)126と、ユニバーサル・シリアル・バス・インタフェース(USB)128と、入出力のためのASIC130(以下、第2ASIC130と参照する。)とを含む。なお、メインコントローラ部110は、本実施形態の主制御手段を構成する。
【0016】
NIC126は、複合機100をインターネットやローカル・エリア・ネットワーク(LAN)等のネットワークに接続するインタフェースである。USB128は、USB1.x,2.0,3.0などの規格に準拠した入出力インタフェースである。複合機100は、NIC126およびUSB128を介して、ホストからプリント・ジョブ等の実行要求を受信し、これに対応して、画像形成動作を開始することができる。
【0017】
第2ASIC130は、メインCPU112を補助するCPU(以下、サブCPUとも参照することがある。)としても使用される。省エネルギー・モードのひとつであるSTR(Suspend to RAM)モードへ移行した際に、より省エネルギー効率を向上させるため、メインCPU112を含むメインコントローラ部110の大部分への給電を停止して、この第2ASIC130がサブCPUとして複合機100の制御を行う。
【0018】
OPU部144は、タッチパネルなどの表示装置および入力装置を含み構成され、オペレータからの入力操作を受け付けるとともに、オペレータに向けたメッセージ表示を行う。OPU部144は、メインコントローラ部110の第2ASIC130に接続されている。
【0019】
エンジン部140は、オペレータまたはホストからのジョブの実行要求に対応して、原稿の画像読み取り動作や転写紙への画像形成動作を行う。エンジン部140は、CPU142と、スキャナ・エンジン(図示せず)と、プリンタ・エンジン(図示せず)とを備える。スキャナ・エンジンは、原稿を光学的に走査してイメージ・データに変換する。プリンタ・エンジンは、スキャナ・エンジンにより得られたイメージ・データや、FCU部150により受信されたファクシミリ・データや、NIC126やUSB128により受信されたジョブ・データに従い、電子写真方式やインクジェット方式等の所定の印刷方式で転写部材上に作像する
【0020】
FCU部150は、ファクシミリ送受信を制御するハードウェアであり、独立したCPU152と、回線インタフェース(回線I/F)154と、バックアップ用のRAM156と、ROM158とを含む。回線インタフェース154は、図示しないNCU(Network Control Unit)やモデムを介して公衆電話回線に接続され、ファクシミリ・データの送受信を行うために使用される。RAM156は、複合機100が電源オフである間に受信したファクシミリ・データを一時的に格納するために使用される。ROM158は、起動用プログラムを格納し、起動時にCPU152からの読み出し要求に応答して、起動用プログラムを提供する。
【0021】
上述したFCU部150およびエンジン部140は、PCIバス172を介してメインコントローラ部110の第1ASIC120に接続されており、このPCIバス172を通じて画像データの送受信などが行われる。
【0022】
電力供給ユニット160は、例えば電源プラグ162によりオフィスのアウトレットに電気的に接続されて、メインコントローラ部110、エンジン部140、OPU部144およびFCU部150へ電力を供給している。
【0023】
本実施形態の複合機100は、上述した各機能部への給電状態が異なる複数の省エネルギー・モードを備える。複合機100が取りうるモード(動作状態)としては、特に限定されるものではないが、スタンバイ・モード(待機状態)、予熱モード、低電力モード、静音モード、エンジン・オフ・モード、STRモードなどを挙げることができる。本実施形態の複合機100は、待機状態において、一定のアイドル時間が経過した場合や、一定の時刻になった場合等に、上記省エネルギー・モード間を遷移することにより、複合機100の省エネルギー化を図っている。これらの省エネルギー・モード間の遷移は、メインコントローラ部110が、PSU160へ電源制御信号を送出することによって行われる。
【0024】
図2は、本実施形態の複合機100の動作状態の遷移を説明する図である。本実施形態の複合機100は、メインコントローラ部110の制御の下、複合機100の稼働状況に応じて、スタンバイ・モード(待機状態)210、予熱モード220、低電力モード230、静音モード240、エンジン・オフ・モード250およびSTRモード260間を遷移する。
【0025】
図3は、スタンバイ・モード210中の給電状態を示す図である。スタンバイ・モードは、ジョブの実行要求等を直ちに処理することができる待機状態である。スタンバイ・モード210中のPSU160の電力供給を受ける範囲(以下、給電範囲という)S1は、図3に示すように、メインコントローラ部110、エンジン部140、OPU部144およびFCU部150に及び、スタンバイ・モード210中はすべてのユニットへの電源供給が行われている。
【0026】
このようにすべてのユニットに電源供給が行われていることから、スタンバイ・モード210中の複合機100は、回線インタフェース154を介してファクシミリ・データを受信した場合や、NIC126またはUSB128を介してジョブの実行要求を受信した場合でも、そのデータをメインコントローラ部110へ送信し、続いてエンジン部140へ送信し、そのまま印刷出力を行うことができる。
【0027】
スタンバイ・モード210中、サブCPUとして動作する第2ASIC130は、定期的にメインCPU112へ当該複合機100の稼働状況を問い合わせる。例えば、電源投入後の所定時間が経過してもオペレーション・パネル(図示せず)からの操作や、NIC126またはUSB128を介したジョブの実行要求を受領しなかった場合には、システム設定に応じて、予熱モード220、低電力モード230、静音モード240、エンジン・オフ・モードまたはSTRモードの各省エネルギー・モードに移行する。
【0028】
なお、スタンバイ・モードからSTRモードまでの移行する経路は任意である。図2に示すように、予熱モード220、低電力モード230、静音モード240およびエンジン・オフ・モード250を順次へてSTRモード260へ移行するよう設定することができるし、これらのうちのいくつかのモード(例えば図2の点線で示したモード)を省略することもできる。
【0029】
省エネルギー・モードのひとつである予熱モード220は、エンジン部140の図示しない定着ユニットの定着温度を所与の予熱温度まで低下させたモードであり、このモードでは、さらに、OPU部144への給電を停止することもできる。同様に低電力モード230は、定着ユニットへの給電を停止し、または予熱温度以下に温度を下げたモードである。さらに静音モード240は、夜間におけるFAX受信やファイル受信を行うためのアプリケーションを起動するものであり、スキャナ・エンジン、プリンタ・エンジン、フィニッシャ等を動作させないモードである。
【0030】
エンジン・オフ・モードに移行する際には、メインCPU112は、エンジン・オフ移行処理を開始し、エンジン部140のCPU142へエンジンへ電源オフ要求を送信する。エンジン部140のCPU142は、メインCPU112からエンジンの電源オフ要求を受信すると、電源オフ処理を実行し、完了とともにCPU112へ電源オフ処理終了通知を送信する。これを受けて、エンジン部140へのPSU160からの電力供給が切断され、複合機100は、エンジン・オフ・モードに移行する。
【0031】
図4は、エンジン・オフ・モード中の給電状態を示す図である。エンジン・オフ・モード250中の給電範囲S2は、図4に示すように、メインコントローラ部110およびFCU部150に及ぶ一方、エンジン部140には給電が行われない。このように、エンジン部140の給電を停止することにより、当該モード中の省エネルギー効率を向上させている。
【0032】
エンジン・オフ・モードでは、エンジン部140に電源供給が行われていないことから、エンジン・オフ・モード中の複合機100は、回線インタフェース154を介してファクシミリ・データを受信した場合には、そのデータをメインコントローラ部110へ送信した後、エンジン部140の起動完了を待って、エンジン部140にデータを送信し、印刷出力を行うことになる。
【0033】
上記エンジン・オフ・モード中、エンジン・オフ完了通知の受信から所定時間が経過してもオペレーション・パネルへの操作もNIC126、USB128、回線インタフェース154を介したアクセスがない等、STRモードへの移行条件が満たされた場合には、メインCPU112は、第2ASIC130へSTR準備要求を送信する。第2ASIC130は、STR準備要求を受信すると、STR移行準備処理を実行し、完了とともにメインCPU112へSTR準備完了通知を送信し、メインCPU112は、電源オフ処理を実行する。これを受けて、メインコントローラ部110の大部分への給電が停止され、PSU160からのメインCPU112への電力供給が絶たれ、複合機100は、STRモードに移行する。
【0034】
図5は、STRモード中の給電状態を示す図である。STRモード260中の給電範囲S3は、図5に示すように、メインコントローラ部110の一部およびFCU部150のみに及び、メインコントローラ部110の大部分およびエンジン部140には給電が行われない。メインコントローラ部110上の第2ASIC130、NIC126、USB128およびメモリ116,118には、STRモード260中でも給電が維持される。
【0035】
NIC126およびUSB128に給電を維持するのは、STRモード中にもNIC126またはUSB128を介したジョブの実行要求を受信する必要があるからであり、メモリ116,118に給電を維持するのは、現在の複合機100の状態をメモリ116,118に保持したまま、メインCPU112を含む大部分のユニットへの電源供給を止めることで、復帰時間を短縮しつつさらに省エネルギー効率を高めるためである。
【0036】
STRモード260では、このように、大部分のユニットへの給電が停止されているため、省エネルギー効率を向上することができる。しかし、メインコントローラ部110が起動していないため、STRモード260中の複合機100は、回線インタフェース154を介してファクシミリ・データを受信した場合等には、メインコントローラ部110およびエンジン部140の起動を待つ必要がある。
【0037】
複合機100が、予熱モード、低電力モード、静音モード、エンジン・オフ・モード、STRモードなどの省エネルギー・モードへ移行中に外部から処理要求を受領した場合には、要求された処理の遂行に必要なユニットへの給電が停止されている場合があるので、必要に応じて必要なユニットへの給電を開始し、これらの起動の完了を待たなければならない。この各ユニットへの給電を開始する復帰処理を適切に行うことが、省電力モードから待機状態に復帰するまでの復帰時間の短縮化を図る上で重要となる。
【0038】
以下、複合機100を復帰させる契機となるイベントとして、ファクシミリ受信をした場合を一例として、本実施形態の複合機100が実現する復帰処理について説明する。本実施形態では、ファクシミリ・データを受信し、復帰の契機となるイベントの発生を検知するユニットであるFCU部150に搭載されたCPU152が、復帰時の制御の中心となる。なお、FCU部150は、本実施形態の省エネルギー制御手段を構成し、CPU152は、本実施形態の検知手段および復帰制御手段を構成する。
【0039】
FCU部150のCPU152は、信号線174を介してメインコントローラ部110の第2ASIC130と通信して、現在移行している省エネルギー・モードを監視する。すなわち、CPU152は、第2ASIC130と通信し、第2ASIC130から状態通知を受け取ることにより、複合機100が現在、スタンバイ・モード、予熱モード、低電力モード、静音モード、エンジン・オフ・モードまたはSTRモードのいずれのモードに移行しているかを検知する。そして、本実施形態のFCU部150のCPU152は、複合機100が現在移行しているモードの別に応じて復帰処理の制御シーケンスを変更し、復帰時間の短縮化を図る。
【0040】
以下、受信時に複合機100がスタンバイ・モード、エンジン・オフ・モードおよびSTRモードに移行している場合のそれぞれについて場合分けしながら、複合機100がファクシミリ受信してからその印刷出力を完了させるまでの処理について説明する。なお、予熱モード、低電力モード、静音モードについては、エンジン部140への電力供給が一部係属しているという点を除き、エンジン・オフ・モードの場合と類似しているため、説明を割愛する。
【0041】
複合機100がスタンバイ・モードに移行している場合には、このモードではすべてのユニットへの給電が維持されている状態であるため、CPU152は、そのまま、回線インタフェース154を介して受信したファクシミリ・データをファクシミリ印刷要求とともにメインコントローラ部110へ送信する。続いてメインコントローラ部110のCPU112は、受信したファクシミリ・データをファクシミリ印刷要求とともにエンジン部140に送信する。これを受けて、エンジン部140はファクシミリ・データの印刷出力を実行する。
【0042】
一方、複合機100がエンジン・オフ・モードに移行している場合には、エンジン部140への給電が停止されているため、FCU部150のCPU152は、ファクシミリ印刷要求をメインコントローラ部110へ行うと同時に、信号線176を介してPSU160にエンジン側電力供給信号を送出する。PSU160は、エンジン側電力供給信号を受けて、エンジン部140への給電を開始し、給電を受けて起動したエンジン部140は、プリンタ・エンジンや定着ユニットの起動を開始させる。一方、メインコントローラ部110は、エンジン部140の起動が完了した後、受信したファクシミリ・データをファクシミリ印刷要求とともにエンジン部140に送信し、これを受けて、エンジン部140はファクシミリ・データの印刷出力を実行する。
【0043】
メインコントローラ部110がファクシミリ印刷要求を受信した後にエンジン部140の起動処理を開始するという従来の復帰シーケンスではなく、コントローラ部110がFCU部150からファクシミリ・データを受信している間に、エンジン部140の起動処理が開始されるので、複合機100が印刷可能となるまでの復帰時間、ひいては印刷完了までの時間を短縮することができる。
【0044】
また、複合機100がSTRモードに移行している場合には、上記エンジン部140に加え、第2ASIC130を含む一部を除きメインコントローラ部110の大部分への給電が停止されているため、複合機100がSTRモードに移行している場合には、FCU部150のCPU152は、以下の制御シーケンスを実行する。
【0045】
図6は、本実施形態の複合機において実行されるSTRモードからの復帰処理を示すフロー図である。図6に示すように、複合機100がSTRモードに移行している間に、(1)回線インタフェース154を介してファクシミリ・データを受信すると、(2)CPU152は、メインコントローラ部110のサブCPUとして動作する第2ASIC130に状態を問い合わせ、現在STRモードに移行している旨の状態通知を受ける。続いてCPU152は、(3)信号線174を介して、第2ASIC130に対して復帰要求として省エネルギー状態解除信号を送出すると同時に、信号線176を介して、PSU160に対してエンジン部140の必要な部分への電源供給を開始するようエンジン側電力供給信号を送出する。
【0046】
第2ASIC130は、CPU152から省エネルギー状態の解除信号を受信して、メインコントローラ部110の全体への電源を投入し、これを受けてメインCPU112が初期化されて起動される。PSU160は、エンジン側電力供給信号を受けて、(4)エンジン部140への給電を開始し、プリンタ・エンジンや定着ユニットの起動を行う。メインCPU112が起動した後、FCU部150のCPU152は、回線インタフェース154を介して受信したファクシミリ・データをファクシミリ印刷要求とともにメインコントローラ部110へ送信し、メインコントローラ部110のCPU112は、エンジン部140が起動した後、ファクシミリ・データをファクシミリ印刷要求とともにエンジン部140へ送信する。
【0047】
FCU部150のCUP152が解除信号を送出し、第2ASIC130がメインコントローラ部110を起動し、その起動が完了した後にコントローラ部110がエンジン部140の起動処理を開始するという従来の復帰シーケンスではなく、ファクシミリ受信したFCU部150のCPU152がメインコントローラ部110の起動を開始させると同時に、エンジン部140の起動を開始させるので、複合機100が印刷可能となるまでの復帰時間、ひいては印刷完了までの時間を短縮することができる。
【0048】
以下、図7を参照して、本実施形態の複合機100が実行する、復帰処理における制御方法について説明する。図7は、本実施形態の複合機100において実行されるファクシミリ・データを受信した場合に、ファクシミリ印刷出力を完了させるまでの処理を示すフローチャートである。
【0049】
図7に示す処理は、例えば複合機100の起動に応答して、ステップS100から開始される。ステップS101では、FCU部150のCPU152は、ファクシミリ・データを受信したか否かを判定する。ステップS101で、ファクシミリ・データを受信していないと判定された場合(NO)の場合には、ステップS101をループさせ、ファクシミリ・データの受信を待ち受ける。一方、ステップS101で、ファクシミリ・データを受信したと判定された場合(YES)の場合には、ステップS102へ処理を進める。
【0050】
ステップS102では、FCU部150のCPU152は、メインコントローラ部110の第2ASIC130と通信して、状態通知を受けて当該複合機100が現在移行しているモードを検知する。なお、好適な実施形態では、この信号線(バス)174を通常時に電源を切断しておき、ファクシミリ・データを受信した後、必要となった時に電源を投入して信号線(バス)174を開通させる制御とすることで、より高い省エネルギー効率を達成することが可能となる。
【0051】
ステップS103では、FCU部150のCPU152は、上記検出されたモードがSTRモードであるか否かを判定する。ステップS103で、STRモードであると判定された場合(YES)には、ステップS104へ処理を分岐させる。
【0052】
ステップS104では、FCU部150のCPU152は、メインコントローラ部110の第2ASIC130に対して省エネルギー・モードの解除信号を送出して復帰要求を行い、ステップS105で、PSU160に対しエンジン側電源供給信号を送出する。ステップS106では、、FCU部150のCPU152は、メインコントローラ部110の起動が完了したか否かを判定し、メインコントローラ部110が起動完了するまでの間(NOの間)、ステップS106をループさせる。
【0053】
一方、ステップS106で、メインコントローラ部110の起動が完了したと判定された場合(YES)には、ステップS107へ処理を進める。ステップS107では、FCU部150のCPU152は、回線インタフェース154を介して受信したファクシミリ・データをファクシミリ印刷要求とともにメインコントローラ部110へ送信する。
【0054】
ステップS108では、メインコントローラ部110のCPU112は、エンジン部140の起動が完了したか否かを判定し、エンジン部140が起動完了するまでの間(NOの間)、ステップS108をループさせる。一方、ステップS108で、エンジン部140の起動が完了したと判定された場合(YES)には、ステップS109へ処理を進める。ステップS109では、メインコントローラ部110のCPU112は、FCU部150から受信したファクシミリ・データを、ファクシミリ印刷要求とともにエンジン部140へ送信する。
【0055】
ステップS110では、エンジン部140のCPU142は、定着ユニットの起動が完了したか否かを判定し、定着ユニットが起動完了するまでの間(NOの間)、ステップS110をループさせる。ステップS110で、充分にウォームアップし、定着ユニットの起動が完了したと判定された場合(YES)には、ステップS111へ処理を進める。ステップS111では、エンジン部140のCPU142は、受信したファクシミリ印刷要求の印刷処理を開始し、当該印刷処理が完了すると、ステップS112で示すポイントAを介してステップS101へ処理を戻し、次のファクシミリ・データの受信を待ち受ける。
【0056】
再びステップS103を参照すると、ステップS103で、STRモード以外のモードであると判定された場合(NO)には、ステップS113へ処理を分岐させる。ステップS113では、FCU部150のCPU152は、検知されたモードがエンジン・オフ・モードであるか否かを判定する。ステップS113で、エンジン・オフ・モードであると判定された場合(YES)には、ステップS114へ処理を分岐させる。
【0057】
ステップS114では、FCU部150のCPU152は、PSU160に対しエンジン側電源供給信号を送出し、ステップS107へ処理を進める。ステップS107では、受信したファクシミリ・データを印刷要求とともにメインコントローラ部110へ送信する。以降の処理は、STRモードの場合と同様に行われ、メインコントローラ部110のCPU112は、エンジン部140が起動完了するまでの間(ステップS108:NOの間)、ステップS108をループさせ、起動が完了したと判定された場合(YES)には、ステップS109で、FCU部150から受信したファクシミリ・データを印刷要求とともにエンジン部140へ送信する。
【0058】
ステップS110では、エンジン部140のCPU142は、定着ユニットが起動完了するまでの間(NOの間)、ステップS110をループさせ、起動が完了したと判定された場合(YES)には、ステップS111で、受信した印刷要求にかかる印刷処理を実行し、ステップS112で示すポイントAを介してステップS101へ処理を戻す。
【0059】
再びステップS113を参照すると、ステップS113で、エンジン・オフ・モード以外のモードに移行していると判定された場合(NO)には、ステップS115へ処理を分岐させる。ステップS115では、FCU部150のCPU152は、検知したモードが、STRモード、エンジン・オフ・モードおよびスタンバイ・モード以外の他のモード(例えば、予熱モード、低電力モードまたは静音モード)であるか否かを判定する。ステップS115で、他のモードであると判定された場合(YES)には、ステップS116へ処理を分岐させる。
【0060】
ステップS116では、FCU部150のCPU152は、PSU160に対し、ジョブの実行に必要なユニットへの電源供給信号を送出し、ステップS117では、受信したファクシミリ・データを印刷要求とともにメインコントローラ部110へ送信し、ステップS109へ処理を進める。ステップS109では、メインコントローラ部110のCPU112は、FCU部150から受信したファクシミリ・データを、印刷要求とともにエンジン部140へ送信する。以降の処理は、STRモードおよびエンジン・オフ・モードの場合と同様に行われ、ステップS110で、エンジン部140のCPU142は、定着ユニットが起動完了するまでの間(NOの間)、ステップS110をループさせ、起動が完了したと判定された場合(YES)には、ステップS111で、受信した印刷要求にかかる印刷処理を実行し、ステップS112で示すポイントAを介してステップS101へ処理を戻す。
【0061】
再びステップS115を参照すると、ステップS115で、検知されたモードがスタンバイ・モードであると判定された場合(NO)には、ステップS118へ処理を進める。ステップS118では、FCU部150のCPU152は、受信したファクシミリ・データを印刷要求とともにメインコントローラ部110へ送信し、ステップS119では、メインコントローラ部110のCPU112は、FCU部150から受信したファクシミリ・データを印刷要求とともにエンジン部140へ送信し、ステップS111へ処理を進める。以降の処理は、スタンバイ・モードでは定着ユニットも充分ウォームアップしているため、ステップS111で、エンジン部140は、そのまま印刷要求にかかる印刷処理を実行し、ステップS112で示すポイントAを介してステップS101へ処理を戻す。
【0062】
以上説明したように、上述までの実施形態によれば、画像処理装置が移行している省エネルギー状態を検知し、検知した状態に応じて省エネルギー状態からの復帰処理の制御シーケンスを変更することにより、可能な限り迅速な復帰を可能とする画像処理装置、および該画像処理装置が実行する制御方法を提供することが可能となる。
【0063】
複数の省エネルギー状態を備える従来技術の画像処理装置では、移行中の省エネルギー・モードの別にかかわらず、一律の制御シーケンスに従って復帰処理が行われていた。これに対して、上述した実施形態の画像処理装置は、画像処理装置が移行している省エネルギー状態を検知し、検知した状態に応じて省エネルギー状態からの復帰処理の制御シーケンスを変更している。このため、移行中のモードに適合したより迅速に行える制御シーケンスに従って復帰処理が遂行されるため迅速に復帰を完了させることが可能となる。
【0064】
なお上述では、画像処理装置の一実施形態として、複数機能を備えた複合機を例に説明してきた。しかしながら本発明の実施形態では、画像処理装置は、レーザプリンタなどの画像形成装置、スキャナなどの画像読取装置、ファクシミリなどの画像通信装置など、画像を処理する機能を有する如何なる装置として構成することができる。
【0065】
また、上述した実施形態では、復帰の契機となるイベントとしてファクシミリ受信を一例として説明してきたが、ファクシミリ受信に限定されるものではない。例えば、コントローラ部110やOPU部144を省エネルギー制御手段として、NIC126またはUSB128を介したジョブ・データの受信、ドキュメント蓄積要求の受信、オペレーション・パネルの操作、原稿台の開閉の検知、ADFへの原稿のセットの検知などを復帰の契機とするイベントとして採用することができる。
【0066】
この場合に、メインコントローラ部110への給電が停止された状態でも、メインコントローラ部110が備えるNICやUSBを介して受信していたジョブ・データ等に対応できるように、メインコントローラ部110を代替して外部からデータを受信する受信部をFCU部150に設け、当該画像処理装置が省エネルギー状態へ遷移したことに応答して現在の省エネルギー状態を検知し、検知された現在のモードがSTRモードである場合に、この受信部を機能させる構成としてもよい。本来メインコントローラ部110で行う処理についても、FCU部150が代替で受信することによって、メインコントローラ部110の給電を停止することができるようになり、より省エネルギー・モード時の待機電力を低減することができる。
【0067】
また、上述した実施形態では、復帰の契機となるイベントの発生に応答して、一律に概ねすべてのユニットへ給電が行われる待機状態に復帰するものとして説明してきたが、他の実施形態では、イベントの種類、すなわち要求されたジョブに対応して、そのジョブを完了させるために必要なユニットのみを選択的に給電し、復帰させる構成とすることもできる。例えば、メインコントローラ部110に給電が不要なジョブである場合には、復帰時にメインコントローラ部110への給電が行われないので、省エネルギー効率をさらに向上させることが可能となる。
【0068】
また、上述した実施形態では、ファクシミリ・データを受信すると直ちに印刷出力まで行われるものとして説明してきた。しかしながら、ファクシミリ・データ受信後の印刷出力のタイミングは任意である。例えば、ファクシミリ・データを受信した場合、直ぐには復帰動作に移行せず、RAM156にファクシミリ・データを一時的に蓄積し、のちの複合機100のオペレータからの明示的な指示を待って印刷出力を開始する構成としてもよい。この場合でも、オペレータによるオペレーション・パネルの操作に応答して、移行している省エネルギー・モードに応じた適切な制御シーケンスで復帰処理が行われるため、印刷完了までの時間を短縮することができる。
【0069】
また、上述した実施形態では、復帰処理における制御シーケンスが、複数の省エネルギー・モードに対応して予め定められているものとして説明してきた。しかしながら、他の実施形態では、省エネルギー・モードの給電状態や、対応する制御シーケンスを、例えばオペレーション・パネルの管理画面を介した操作によりユーザ定義可能に構成することもできる。例えばプリンタ・エンジンを可能な限り迅速に起動させたいという要望に対応して、プリンタ・エンジンの給電を優先的に開始することもできる。
【0070】
また上記機能は、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)、などのレガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語などで記述されたコンピュータ実行可能なプログラムにより実現でき、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD−RW、DVD、SDカード、MOなど装置可読な記録媒体に格納して頒布することができる。
【0071】
これまで本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
100…複合機、110…メインコントローラ部、112…CPU、114…NB、116…システムメモリ、118…ローカルメモリ、120…第1ASIC、122…HDD、124…SB、126…NIC、128…USB、130…第2ASIC、140…エンジン部、142…CPU、144…OPU部、150…FCU部、152…CPU、154…回線インタフェース、156…RAM、158…ROM、160…PSU、162…電源プラグ、172…PCIバス、174,176…信号線、210…スタンバイ・モード、220…予熱モード、230…低電力モード、240…静音モード、250…エンジン・オフ・モード、260…STRモード、S1…給電範囲、S2…給電範囲、S3…給電範囲
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特許第3136936号明細書
【特許文献2】特開2002−218099号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
当該画像処理装置の稼働状況に応じて複数の省エネルギー状態間を遷移させる主制御手段と、
省エネルギー状態中、復帰の契機となるイベントが発生したことに応答して、当該画像処理装置を復帰させるための復帰処理を開始する省エネルギー制御手段と
を備え、前記省エネルギー制御手段は、
当該画像処理装置が遷移している現在の省エネルギー状態を検知する検知手段と、
複数の異なる復帰処理の制御シーケンスのうち、検知された前記現在の省エネルギー状態に対応した制御シーケンスに従って、当該画像処理装置を復帰させる復帰制御手段とを含む、画像処理装置。
【請求項2】
前記復帰制御手段は、検知された前記現在の省エネルギー状態が前記主制御手段の大部分への給電を停止するものである場合には、前記対応した制御シーケンスとして、前記主制御手段に対し省エネルギー状態の解除を指令する解除信号を送出するとともに、当該画像処理装置が備えるユニットへの電力を供給する電力供給ユニットに対し必要とされるユニットへの給電開始を指令する電源供給信号を送出する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記復帰制御手段は、前記イベントがジョブの実行要求の受信である場合には、前記対応した制御シーケンスとして、当該画像処理装置が備えるユニットのうち該ジョブを完了させるために必要なものをのみを選択して給電開始を指令する、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記省エネルギー制御手段は、当該画像処理装置が省エネルギー状態へ遷移したことに応答して前記検知手段により現在の省エネルギー状態を検知し、検知された前記現在の省エネルギー状態が前記主制御手段の大部分への給電を停止するものである場合に前記主制御手段に代替して外部からデータを受信する受信手段を機能させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記省エネルギー制御手段が受信したジョブのジョブ・データを一時的に蓄積するメモリ手段と、一時的に蓄積された前記ジョブの実行開始の指示を受領する指示受領手段とをさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記検知手段は、前記イベントが発生したことに応答して当該画像処理装置の現在の省エネルギー状態を検知するための信号線を開通し、前記現在の省エネルギー状態を検知することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記復帰処理の制御シーケンスの起動する機能部の順序が、ユーザ定義可能であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像処理装置であって、当該画像処理装置の稼働状況に応じて複数の省エネルギー状態間を遷移させる主制御手段と、省エネルギー制御手段とを備える当該画像処理装置が実行する制御方法であって、前記制御方法は、
前記省エネルギー制御手段が、省エネルギー状態中、復帰の契機となるイベントが発生したことに応答して、当該画像処理装置を復帰させるための復帰処理を開始するステップと、
前記省エネルギー制御手段が、複数の異なる復帰処理の制御シーケンスのうち、検知された当該画像処理装置が遷移している現在の省エネルギー状態に対応した制御シーケンスに従って、当該画像処理装置を復帰させるステップと
を含む、制御方法。
【請求項9】
前記復帰させるステップは、検知された前記現在の省エネルギー状態が前記主制御手段の大部分への給電を停止するものである場合には、前記対応した制御シーケンスとして、前記省エネルギー制御手段が、前記主制御手段に対し省エネルギー状態の解除を指令するサブステップと、前記省エネルギー制御手段が、当該画像処理装置が備えるユニットへの電力を供給する電力供給ユニットに対し必要とされるユニットへの給電開始を指令する電源供給信号を送出するサブステップとを含む、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記復帰させるステップは、前記イベントがジョブの実行要求の受信である場合に、前記省エネルギー制御手段が、前記対応した制御シーケンスとして、当該画像処理装置が備えるユニットのうち該ジョブを完了させるために必要なものをのみを選択して給電開始を指令するサブステップを含む、請求項8または9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記制御方法は、前記省エネルギー制御手段が、当該画像処理装置が省エネルギー状態へ遷移したことに応答して検知手段により現在の省エネルギー状態を検知するステップと、検知された前記現在の省エネルギー状態が前記主制御手段の大部分への給電を停止するものである場合に、前記省エネルギー制御手段が、前記主制御手段に代替して外部からデータを受信する受信手段を機能させるステップとを含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記省エネルギー制御手段が、受信したジョブのジョブ・データを一時的にメモリ手段に蓄積するステップと、指示受領手段が、一時的に蓄積された前記ジョブの実行開始を指令する指示を受領するステップとをさらに含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項13】
前記制御方法は、前記省エネルギー制御手段が、前記イベントが発生したことに応答して当該画像処理装置の現在の省エネルギー状態を検知するための信号線を開通するステップと、前記省エネルギー制御手段が、前記現在の省エネルギー状態を検知するステップとを含む、請求項8〜12のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項14】
前記復帰処理の制御シーケンスの起動する機能部の順序が、ユーザ定義可能であることを特徴とする、請求項8〜13のいずれか1項に記載の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−259326(P2011−259326A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133469(P2010−133469)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】